中島早貴 中島早貴とキーワードから考える

SDGsライフのヒント

聞いたことはあるけれど、なんとなく遠い存在の「SDGs」。日々の生活の中でも実践できるSDGsな暮らし方について、中島早貴さんと一緒に考えてみましょう。

中島早貴プロフィール
1994年2月5日生まれ。℃-uteの元メンバー。グループ解散後は舞台を中心に女優として活躍中。2018年、「つなげよう、支えよう森里川海アンバサダー」に就任。沖縄のサンゴ保全活動団体「チーム美らサンゴ」にも参加している。
キーワード03

mottECO

について教えてください
小早川鮎子さん
環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室
小早川鮎子さん

「mottECO」は初めて聞いたのですが、
どんな意味ですか?

 「mottECO」ってこれまで聞いたことがありませんでした。読み方は「モッテコ」で合っていますか?言葉の響きからだと「持って行こう」を短縮した言い方なのかなと思ったり、つづりを見ると「ECO」だけ大文字なので、みんなで手を取り合ってもっとエコな生活をしよう!という声がけなのかなとも思ったり…。今回は文字だけだと、イメージするのがちょっと難しいですね(笑)。どんな意味なのか教えてください!

質問シーン
回答者画像

外食で食べきれなかった料理の
「お持ち帰り」のことです

 中島さんのおっしゃる通り、「mottECO」は「もっとエコ」と「持って帰ろう」という二つの意味があり、外食をした時に食べきれなかった料理を持ち帰って、食品ロスを削減しようという活動のことです。「ドギーバッグ」については聞かれたり使われたりしたことがあるのではないでしょうか。ドギーバッグは、飼い犬にあげるからという理由で、食べきれなかった料理を持ち帰ったことが由来となった持ち帰り用の容器のことで、海外ではよく使われています。日本では食中毒を心配してなかなか持ち帰りがされないことが多いのですが、環境省と消費者庁、農林水産省とが協力してロゴなどを作り、持ち帰る場合はお客さまの自己責任で、火の通った料理に限定するということを前提として「mottECO」を国として推奨しているところです。

環境省・消費者庁・農林水産省による
「mottECO」周知ポスター

「mottECO」周知ポスター

どうして国が料理の持ち帰りを
勧めているのでしょうか?

 食べ残しの持ち帰りには大賛成です!私はできるだけ食べきろうと頑張って食べてしまう方ですが、それでも「持ち帰りたいな」と思うことがよくあります。親しくしているお店では、ごはんを食べきれないとおにぎりにして渡してくださることがあって、そうすると翌日の朝ごはんにもなるので、とてもありがたいんです。こういうことがいろいろなお店であたりまえにできるようになったらうれしいですね。でも、今どうして国が勧めているんですか?

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外食産業から出る
食品ロス削減のためです

 やはり食品ロスを減らしたいからです。日本の食品ロスは年間で約600万tあり、これはWFP(国連世界食糧計画)が世界中の飢餓と貧困にあえぐ人々に援助している食料の約1.5倍にもあたります。そのうちの約半分が事業系から出たもので、さらにその中の約36%が外食産業から排出されたものと概算されていますが、その多くが食べ残しといわれています。もちろんお店で頼んだ料理を全部食べきれれば一番いいのですが、その時の体調だったり時間的な余裕がなかったりと、さまざまな要因で食べきることができないことも多いので、持って帰るという選択肢があるとお店にも自分にもいいですよね。お店にとっても廃棄コストを節約できますし、お客さまにとっても無理のないカロリー摂取や健康的な食生活につながるのではないかと思います。「mottECO」という呼びかけは202010月に始まったばかりですが、例えば、デニーズさんとロイヤルホストさんの一部の店舗で「mottECO」の導入がすでに始まっています。今後、賛同してくださる飲食店がもっと増えるよう、周知を図っていきたいと思います。

2018年度 国内の食品ロス発生推計内訳

家庭からは276万トン。事業者からは324万トン。事業者の内訳は外食産業が116万トン、食品小売業が66万トン、食品卸売業が16万トン、食品製造業が126万トン。

「mottECO」とSDGsの関係を
詳しく教えてください

 まちの中によくあるファミリーレストランでは、すでに「mottECO」の取り組みが始まっているところもあるんですね!私も賛同しているお店に行って、「『mottECO』したいです!」って言いたいなと思います。「mottECO」はとても身近な行動で、しかも自ら「やりたい」と積極的にできることなので、長く続けられそうにも思います。これも食品ロス削減を目指すための行動という意味では、きっとSDGsにも深く関わっているんですよね? 

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食料についてだけでなく、
エネルギーや資源の無駄を
減らすことにもつながります

 食品ロスの削減に関するゴールは、第1回の「エシカル消費」の時にもお話ししたように、まずゴール12「つくる責任 つかう責任」ですね。また「mottECO」は飲食店と協力して「お持ち帰り」があたりまえになるように世の中に広めていくことが大切ですので、17「パートナーシップで目標を達成しよう」にもつながります。あとは「バーチャルウォーター」って聞いたことがありますか?これは食料を輸入している国(消費国)において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものです。例えば1kgのトウモロコシを生産するには、約1800ℓの水が必要とされています。このように、食品の生産・加工・流通などの過程では、水だけでなく、多くのエネルギーや資源が使われており、食品ロスの削減はそのようなエネルギーと資源の無駄を防ぐことにもつながりますので、13「気候変動に具体的な対策を」とも関係しています。

今月のヒント

「お持ち帰り」はカッコいいこと
って広めていきたいです!

 「お店で食べきれない料理を持ち帰りたいって言うのは、ちょっと恥ずかしい」と思っていた人は多いのではないでしょうか。でもそれが地球に優しい行動としてあたりまえになれば、むしろ胸を張って言えるようになりそうですよね。私もずっと、食べきれない分は持ち帰れたらいいなと思っていたので、まずは親しくしているお店から「『mottECO』って知ってる?」って教えてあげて、もっともっと「お持ち帰り文化」が日本にも広まっていってほしいなと思います。

SDGsって?

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。
持続可能な世界を実現するために、2030年までに達成すべき国際社会全体の目標であり、17のゴールと169のターゲットから構成されています。
「地球上の誰一人として取り残さない」を理念に、行動変革につなげるため一人ひとりが持続可能な社会づくりに必要な知識とスキルを得ることなどが掲げられており、日本も積極的に取り組んでいます。

写真/石原敦志

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