未来をつくるファッション

未来をつくるファッション

 私たちの暮らしを豊かにしてくれるファッション。その一方で、大量生産・大量消費・大量廃棄によりファッション産業が環境に多大な負荷をあたえていることが問題になっています。こうした中、企業や自治体、そして私たち生活者も持続可能なファッションのあり方を見つめ直し、新たな取り組みが生まれています。

ファッションと環境の関係

 一着の服が私たちの手元に届くまでには、原材料の調達、生地・衣服の製造、輸送、販売という長い工程があります。このプロセスにおいて、限りある天然資源や水、エネルギーが消費され、多くのCO2を排出しています。環境省では国内での現状把握と私たち生活者に向けた情報発信に取り組んでいます。それをまとめたサイトが「サステナブルファッション」。私たちの日々の暮らしに欠かせないファッションと向き合い、持続可能な未来へ世界を変えていきましょう。

※環境省「SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に

ファッション産業が環境に及ぼす影響
洋服が作られてから廃棄されるまでの流れ:原材料→製造→販売→購入→廃棄。服1着あたりの原材料調達から製造段階までに排出される環境負荷の総量(年間):CO2排出→約25.5キログラム、水消費量→約2,300リットル。1人あたりの衣服消費・利用状況(年間):購入枚数→約18枚、手放す服→約12枚、着用されない服→25枚。出典:環境省「SUSTAINABLE FASHION」サイト

未来につなぐ一着を

 ファッション業界ではすでに、地球環境への影響を抑えるためにさまざまな動きが始まっています。メーカーやブランド、行政など多様な主体が、それぞれにできることを考え、実践しています。その取り組みは、CO2や有害物質の排出を抑えること、これまで廃棄されていたものを有効に活用すること、大量生産を前提としないものづくりに挑戦することなど多岐にわたります。

POINT 1 クリーンにつくる

脱炭素型繊維ソアロン

 服1着を作るのに、原材料の調達から製造段階までで約25.5kgのCO2が排出されていると概算されています。今、世界が脱炭素社会の実現に挑戦している中、ファッション業界もCO2排出量を削減するべく、環境にやさしい素材への転換や製造工程の見直しなどに取り組んでいます。例えばこれまで広く用いられてきた石油由来の合成繊維の使用を減らす、植物由来の繊維やリサイクル繊維の活用もそのひとつ。三菱ケミカル株式会社が生産する「ソアロンTM」は、天然パルプを主原料とした自然由来の半合成繊維で、国際認証や環境ラベルを取得しており、サステナブルな脱炭素型繊維として注目されています。

脱炭素型繊維が開くサステナブルファッションの扉

 2021年3月、脱炭素型繊維ソアロンTMを生産する三菱ケミカル(株)が、オリジナルファッションブランド「age3026TM」を立ち上げました。ソアロン製の生地を使用した製品のみで展開し、繊維の特性を知るメーカーならではの高級感や風合いを生かしたラインナップ、通気性や防しわ性の良さなどの機能性が購入者からの支持を得ています。「千年先へと紡ぐ」ことをコンセプトに、必要な数だけつくる完全受注生産とし、ボタンやタグ、パッケージなども環境基準をクリアしたものを選ぶなど、サステナブルファッションのあり方を提案。化学メーカーとしてできるサステナブルへの挑戦を具現化したブランドとして、さらなる進化を目指しています。

age3026の商品

POINT 2 新しい循環をつくる

リユースコーナーに並ぶたくさんの子ども服

 不要となった衣服や布を廃棄せず、さまざまな形で生かす取り組みが広がっています。フリマアプリを使って生活者同士が古着の販売や購入を楽しんだり、アパレルメーカーが店頭で古着を回収して資源として再利用したり。また、廃棄されるはずだった衣類にデザインやアイデアを加え、別の付加価値を持った製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」という概念も生まれています。こうした新しい資源循環の形成には、自治体や市民団体も大きな役割を果たしています。

島に住む人から人へ持続する価値

 島根県西ノ島町では「不要になったけれど、まだまだ使える衣服などの子ども用品」を役場で回収し、町のコミュニティーセンターで月2回リユースコーナーを開き、必要とする町民に無料で提供するリユース事業を行っています。きっかけは「子ども用品が手に入りにくい」という島に移住してきた子育て世帯の声。離島ゆえのこの悩みを、不要な人から必要な人へと衣服などを循環させ、解消してきました。8年目を迎えた今年は、島民からの要望で「リユースフェスタ」を開催するなど島全体にリユースへの関心が広がっているほか、子育て世代の交流の場という新しい価値も生み出しています。

リユースコーナーを利用する人々

POINT 3 ストーリーとともにつくる

工場で光る職人の技

 シーズンごとに新作を市場に大量投入し、流行や目新しさで販路を開いてきたファッション業界。しかし最近は、作り手の顔が見えたり、企業のビジョンが反映されていたり、希少性の高いメード・イン・ジャパンの商品が注目され、作ることと売ることを一体化させたファクトリーブランドも登場してきています。商品の色や形だけでなく、その商品がどのように作られてきたかという視点で選ぶ人が増えています。

語りたくなる商品から生まれる新たなつながり

 すぐれたものづくりの技術を持っている国内の工場と手を組み、工場直結ブランドを展開しているのが「ファクトリエ」です。縫製工場やニット工場をCEO自らが足を運んで開拓。それまでのブランド主導で複数の中間業者が介在して発注を受けていた生産方式と異なり、工場主導で企画して、販売価格を決め、工場の名前を入れて販売する支援をしました。こうして生まれるのは、職人の情熱と技術がつまった一流品。販売サイトの商品紹介ページでは、すべての商品で作り手のこだわりが語られています。また、購入者からは作り手に応援メッセージが送ることができ、商品を通して作る側と買う側の思いの交流が、商品への深い愛着へとつながっています。

購入者から工場へ送られたメッセージ

私たちができること

 長く着ることのできるデザインを選ぶ、必要な服を厳選して買う、破れたり、ほころんだりしたら修繕する、廃棄する前に再利用できないか考える……。私たちの意識や行動が変わることで、適量生産・適量購入・循環利用の社会へと変えていくことができます。一枚の服と愛情を持ってつきあうことから、ファッションとは?豊かな暮らしとは?未来に残したい世界は?と、考えを広げてみてください。自分らしいエコなファッションの楽しみ方を見つけていきましょう。