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フロンガス・代替フロン

ポイント!

「フロン」と聞くと“オゾンホール”や“オゾン層破壊”を思い浮かべる方が多いと思います。近年、南極のオゾンホールは回復傾向にあるといった報道もあり、フロンは解決した環境問題だと思われている方も多いかもしれません。しかし残念ながら、フロンにまつわる環境問題はまだ続いているのです。

1. オゾン層の問題
フロンは主にものを冷やすために使われている物質で、エアコンや冷蔵庫に使われています。いくつかの種類がありますが、まとめて「フロン類」と総称されています。このうち、日本ではオゾン層を破壊するフロンを「特定フロン」、破壊しないフロンを「代替フロン」と呼んでいます。

1980年代から、特定フロンによって南極上空のオゾン層に穴があく「オゾンホール」が問題になりました。オゾン層は生物に有害な紫外線を吸収する役割があります。オゾンホールの拡大を防ぐために特定フロンは世界中で生産や消費が規制され、代替フロンへの置き換えが進みました。その結果オゾンホールの拡大は止まり、2000年以降オゾンホールの面積は減少しているとみられます。しかし2024年現在もオゾンホール(下の図の灰色の部分)は存在しており、まだまだ回復に時間がかかると言われています。

南極付近のオゾン層の分布図

南極付近のオゾン層の分布図 データ提供:気象庁

また、オゾン層を破壊しない代替フロンはオゾン層保護の点では効果がありますが、実は二酸化炭素(CO2)より強い温室効果をもち、地球温暖化の大きな原因となっています。

2. フロン類と温室効果
代替フロンがどのくらい温暖化に影響があるかというと、代表的な温室効果ガスであるCO2の温室効果と比較すると、なんと100~1万倍以上にも及びます。例えば、ビル用エアコン1台に含まれるフロンが漏れると、約50t分のCO2と同じくらいの温室効果があります。この温室効果は、レジ袋を約150万枚製造したときや、乗用車で日本を40周したときと同じとされています。

ビル用エアコン1台に含まれるフロンが漏れると、約50t分のCO2と同じくらいの温室効果があります。この温室効果は、レジ袋を約150万枚製造したときや、乗用車で日本を40周したときと同じとされています。

3. フロン類の今後
では、フロン類をどのように扱えばいいのでしょうか。すでに使っているフロン類は空気中に漏れないようにすることが最も重要です。エアコンの効きが悪くなるなどフロン類を使った機器に異変を感じたら、早めに購入店などに相談し点検してもらいましょう。また、不要になったら家電リサイクル法などに従って正しく廃棄しましょう。

また、昨今フロン類ではなく自然由来の物質を使った機器が普及し始めています。そのような機器があれば利用しましょう。例えば自宅や会社のエアコンや冷蔵庫、エアダスターなどにフロン類が含まれている可能性がありますので、「ノンフロンマーク」などを目印にノンフロン製品の購入を検討してみてください。

フロンの見える化マーク

フロンの見える化マーク(※フロン類を使用している製品に表示されている場合があります)

ノンフロンマーク

ノンフロンマーク

イラスト/丹下京子

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