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今月のキーワード 代替食
普段あまり意識されませんが、生産時や加工時にはビニールハウスなどの施設を稼働させたり機械を動かしたりし、また輸送時には車・船・飛行機を使うなど、食品の生産・加工・流通の過程ではさまざまな形でCO2が排出されています。また、合成肥料や農薬の生産、家畜のげっぷなども温室効果ガス増加の原因であると言われています。
商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を CO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組み(カーボンフットプリント)があり、食品のなかでも排出量が多いものと少ないものがあることが分かります。特に肉や乳製品は他の食材に比べて温室効果ガス排出量が多くなっています。こういった情報が広まるにつれ、温室効果ガス排出量の低い野菜を中心とした菜食や、輸送にかかる排出が抑えられる地産地消など、エコな食生活の選択肢が増えてきています。
食の選択肢のひとつであり、近年注目が集まっているのが代替食です。代替食とは特定の食品に似せて別の素材で作られた食品のことで、例えば肉の代替食(代替肉)は大豆や小麦、エンドウマメなどを一度粉末にし、肉に似せて味付け・成形して作られています。タンパク質が豊富でカロリー・脂質・コレステロールが少ないので、ヘルシー志向の食品として浸透しています。冷凍食品や飲食店のメニューに採用されているほか、料理に使う食材の形でも販売されていて、徐々に存在感を強めつつあります。最近のものはさらに肉に近い食感・見た目になっていて、味もおいしくなってきているようですよ。
肉に次いで環境負荷が高い酪農(乳製品)も、豆乳やココナッツミルク、アーモンドミルクなどさまざまな植物由来の代替食が提案されています。そのまま飲む以外に、加工品のバターやチーズなども作られており、普段の食事にも取り入れやすい代替食といえます。牛乳は食物アレルギー発症例の18.6%を占める(鶏卵の33.4%に次いで2位※)食品でもあり、代替食はアレルギーを持つ方の食の可能性を広げる一助となってくれるでしょう。
※「令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf
また、新たな代替食として、食用昆虫の開発が始まっています。苦手な方も多い昆虫ですが、肉と同じかそれ以上の動物性タンパク質を含み、温室効果ガス排出量は肉より少ないと言われています。飼育に必要な面積も小さく済むなどメリットが多く、魅力的な代替食です。食べやすいようにコオロギを粉末にしてせんべいに使うなど、工夫しながら普及が進められています。
毎日の食事でなくても、週に1回、月に1回代替食を採用するだけでも環境への負荷やCO₂排出量を減らしていくことができます。代替食を食生活に気軽に楽しみながら取り入れてみませんか?