平成9年度環境庁重点施策の考え方について 平成9年度重点施策

平成9年度環境庁重点施策の考え方について


 地球温暖化問題に代表されるように、環境問題は人類の生存基盤を脅かす問題となりつつあり、今後の我々の環境問題に対する対応の在り方が、21世紀以降の人類の暮らしや経済活動の発展の鍵となると予想される。21世紀まであとわずかとなった今日、新たな環境問題についての本格的な対策を開始する等により、社会の持続的な発展に向けて、技術的・経済的・制度的基盤を築くことが緊急の課題となっている。
 平成9年度は、環境問題への国際的取組の大きな節目として、地球温暖化防止京都会議及び国連環境特別総会等が開催される。特に地球温暖化防止京都会議での環境保全上実効ある国際約束の成立に向け、主要先進国かつ会議開催国である我が国の強力なリーダーシップの発揮と国民の参加を得た温暖化防止活動の展開が必要となっている。
 また、環境政策の基本的指針である環境基本計画の進捗状況について、平成8年6月に中央環境審議会の点検報告が取りまとめられ、計画に基づく取組が進められているものの、各主体の取組を有機的に結び付け、全体として効果をあげる仕組みの構築を図る等、今後、なお一層の取組の推進が必要と評価されたところである。さらに、科学技術基本計画などを踏まえ、環境保全施策全体を通じて、環境保全型への経済構造の改革に資することが求められている。

 これらの状況を踏まえ、平成9年度は、地球温暖化対策の充実・強化、環境影響評価制度の推進等21世紀における環境保全への取組を国民各界各層の参加を得て実施するための枠組みや基盤の構築を目指し、具体的には以下の施策の積極的展開を図る。

 第一に、地球温暖化防止京都会議において2000年以降の実効ある温暖化防止対策を決定し、会議を成功に導くとともに、地球温暖化防止行動計画の見直し等同会議を契機として国内対策の抜本的な強化を図る。
 さらに、国連環境特別総会等を踏まえ、地球環境戦略研究機関の設立に向けた準備を始めとしてアジア太平洋地域を中心とする国際協力の展開、生物多様性保全、海洋環境保全等各般の地球環境問題についての対策を推進する。

 第二に、環境保全活動に対し、国が率先して取り組むとともに、すべての主体の自主的積極的な参加を促進する。さらに、地域において環境保全に関する先進的なモデル事業を実施することにより、地域や住民を主体とした環境保全活動を推進する。
 また、自然との共生を目指し、総合的なビジョンの構築を進めつつ、自然とふれあい、親しむ場の整備・創造を進めるとともに、野生生物の保護と適正な管理を推進する。

 第三に環境への著しい影響を未然に防止し、総合的な環境保全を図るため、環境影響評価制度について、中央環境審議会の答申を踏まえて法制度の整備を行い、新たな制度の推進を図る。
 また、循環を基調とした環境への負荷が少ない社会システムの構築に向けて、事業者、国民等の取組を促進するとともに、製品の製造から最終処分まで、様々な段階における廃棄物からの負荷を低減するための施策を総合的に推進する。
 さらに、環境保全型への経済構造の改革に資するため、基盤となる環境研究、技術開発・普及を推進する。

 第四に、化学物質による環境リスクの包括的な管理システムの構築の検討、環境リスクの統一的な評価体制の強化、各種対策の実施により、総合的な環境リスク対策を推進する。
 また、各般の大気保全対策、水・土壌環境保全対策等を推進する。

 上記に加え、公害健康被害者の救済、健康被害の予防施策の着実な推進、特に平成7年12月の閣議了解等に盛り込まれた水俣病問題の最終的かつ全面的な解決を図るための施策を着実に実施する。

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