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[キーワード]環境意識、ライフスタイル、情報メディア、地球温暖化、国際比較調査

[H-052 ライフスタイル変革のための有効な情報伝達手段とその効果に関する研究]

(2)中国における生活様式変革のための有効な情報伝達手段とその効果に関する研究[PDF](263KB)

大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
総合地球環境学研究所 研究部


鄭 躍軍・准教授

<研究協力者>

香港城市大学 商学院

廬 興普・教授

浙江林学院 環境学院

周 国模・教授

華東政法大学 社会学部

唐 和平・教授

北京大学 中国国情研究中心

沈 明明・教授

  [平成18~19年度合計予算額] 19,980千円(うち、平成19年度予算額 7,684千円)

[要旨]

  今日の地球環境問題に関する各種情報は、政府機関、国際機関、企業、民間団体などの様々な組織により多岐わたる形で発信されるようになっている。テレビ、新聞、ラジオなどの従来型情報発信手段の強化にインターネットの急速な普及が加わることにより、多様かつ膨大な情報が国境を越えて流れているのが現状である。一方で、異なる地域社会に置かれる人々はこれらの手段を通じて必要な情報を容易に収集できるようになった。このサブテーマでは、一般市民が発信された情報をどのように収集・認識しているか、そしてこれらの情報が人々の生活様式にどのように影響しているかを明らかにするために、統計的社会調査を生かして情報収集とデータ分析を駆使してきた。特に、サブテーマ(1)との連携により、国際比較研究の視点から日本と中国の特徴を明らかにし、今日の地球環境問題の解決策を実証的に探ることを目的としている。
  本サブテーマでは、最も注目されている地球気候変動問題に焦点を当て、中国の3地域において温暖化問題の現状・原因・解決策に対する一般市民の理解と行動などの情報を意識調査により収集し、人々の生活様式変革を促すための有効な情報伝達手段とその効果を解明してきた。また、日中における環境問題における報道スタイルの違いと国別の環境意識との関連を明らかにした。さらに、一連の調査・分析から得られた知見を基に、一般市民の生活様式見直しのための有効な情報伝達の在り方についての政策的提案を最終目標としてきた。調査地域として、中国経済発展の急先鋒である上海市、かつて多くの国有企業と多様な環境問題を抱えている遼寧省瀋陽市、社会の成熟度や情報伝達手段が内陸と大きく異なる香港を選定した。
  中国3地域において、8割以上の回答者が日常生活に必要な各種情報のみならず環境情報に関しても、テレビと新聞を最も重要な情報源としており、テレビ番組のニュースとドラマが最も注目されており、新聞の社会面と国内政治面を読む人が多い。また、環境問題の様々な情報源に関しては、上海市と瀋陽市で政府機関が強く信頼されているのに対して、香港では日本と同様にジャーナリストが広く信頼されている。