検索画面に戻る Go Research
[Ｈ−５企業の技術・経営革新に資する環境政策と環境会計のあり方に関する研究]
（２）環境政策と環境イノベーションに関する研究
�� 環境政策のあり方の提示
(財)地球環境戦略研究機関(IGES)
|
|
関西研究センター
|
天野 明弘
|
＜研究協力者＞ 関西学院大学
|
中尾 悠利子
|
[平成15〜17年度合計予算額]
平成l5〜17年度合計予算額 5,492千円
(うち、平成17年度予算額 1,922千円)
［要旨］
本研究では、環境政策が企業に対して環境イノベーションを促進する誘因を与え、環境と経営のパフォーマンスを同時に向上させるか否かについて、理論的・実証的に分析した。平成15年度には、各国の政策当局による実例の把握と理論モデルの検討により、新古典派経済学者による議論にもかかわらず、そのような可能性が理論的・実証的に否定できないことが確認された。
平成16年度には、日本企業のデータを用いて、企業による環境取組の向上とその経営パフォーマンスの改善とが同時に達成される傾向が近年になって統計的に確認できることを明らかにした。経営業績の良い企業は環境パフォーマンスも良いという逆の関係も明確に検証されるので、本研究の結果は、環境省が政策目標の１つとしている「環境と経済の好循環」の実現可能性に対して始めて実証的裏付けを与えたものということができる。
平成17年度には、環境報告書1 を公表している企業において、廃棄物、PRTR 対象化学物質、二酸化炭素、環境会計などのデータを開示している企業とそれ以外の企業を区別する指標を導入することにより、上記の環境と経済の好循環がより強い形で検証されることが明らかになった。他方、産業別の分析により、地球温暖化対策の強化がエネルギー集約産業および機械産業の好循環の方向を最近時点になって逆転させているのに対し、消費者により近い諸産業では、好循環の傾向が年とともに強まっていることなどが判明した。
以上の研究から、�ヾ超�政策は、企業パフォーマンスを経済・環境の両面で相互作用的に好循環の方向へ誘導できること、��直接規制的手法と情報的手法は、この好循環を強化するのに明確な役割を果たしていること、��しかし政策目標の設定によっては、好循環の方向が逆転する場合もあり得ること、�ぞ霾鹽�手法は、生産者と消費者の関係がより近接している場合に強く働いていること、などが明らかにされた。
――――――――――
1 ここでは事業者が自らの環境負荷の状況を体系的に取りまとめ、定期的に公表・報告しているものを「環境報告書」とした。また、現在発行されている環境報告書の媒体としては、冊子・印刷物、ウェブサイトでの公開、
CD等様々なものがあるが、媒体は何であれ、事業者が自らの事業活動に伴う環境負荷の状況および事業活動における環境配慮の取組状況を総合的に取りまとめ、公表するものを環境報告書としている。ただし、社内版のみの発行は、今回の調査対象とはしていない。
［キーワード］
ポーター仮説、環境政策、環境イノベーション、環境・経営パフォーマンス、統計的因果性分析
(2.59MＢ)
