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[H−3 サヘル農家の脆弱性と土壌劣化の関係解明および政策支援の考察]
(4)サブテーマの総合化と政策支援の考察
農林水産省農林水産政策研究所
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国際政策部 アジアアフリカ研究室
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櫻井武司
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[平成15〜17年度合計予算額]
平成l5〜17年度合計予算額 402千円
(うち、平成17年度予算額 65千円)
[要旨]
本サブテーマの課題は、サブテーマ(1)〜(3)の成果を総合化し、コートジボワール危機に端を発するブルキナ・ファソの砂漠化問題に対して制度的および技術的対策の提案を行い、この問題に直接的な貢献をすることである。さらに、人間活動に由来する土壌劣化・砂漠化という地球規模の問題について、有効な政策立案に向けた知的貢献を果たすことを目標にしている。サブテーマ(1)〜(3)は、経済学、土壌学、リモートセンシング学という異なる専門家により担当されるため、一つの共通課題に向けた学際的共同研究を成功させるために、本サブテーマでは初年度より基本概念の検討を行ってきた。最終年度は、サブテーマ(1)〜(3)の成果をふまえ、所得の減少という形で今も継続しているコートジボワール危機に対して、どのような対策をとるべきかについて考察した。この問題がもっとも顕著なスーダン・サバナ地帯南部における技術的な対策は、同地域の技術システムの転換という中期的な流れの中に位置づけるべきであり、休閑に代わる土壌肥沃度維持技術として近年普及が拡大している厩堆肥、ザイ、石列、草列などのさらなる普及と定着が必要である。一方、コートジボワールから得ていた収入に匹敵する収入源がないため貧困に起因する耕作面積の拡大や家畜飼養頭数の減少が長期化するという危惧があり、政府や援助機関による所得回復のための支援も欠かせない。しかし、こうした技術や資金は、村人にとって外部からもたらされるものであり、その有効性は受けての側の条件にも依存する。本サブテーマでは、受け手の側のソーシャルキャピタルの重要性を実証した。したがって、政策立案者は、村人の間にソーシャルキャピタルを醸成するような施策をとることにより、危機に由来するショックを緩和し、土壌劣化や砂漠化の拡大を食い止めることができると考えられる。コートジボワール危機の影響はブルキナ・ファソの農村部に代替的な所得機会ができるまで長く続くと思われ、このような中長期的な支援策が有効であろう。
[キーワード]
サヘル、貧困、土壌劣化、ソーシャルキャピタル、政策提言