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[Ｆ−５ サンゴ礁生物多様性保全地域の選定に関する研究]
（２）保全すべきサンゴ礁環境の探索
� （歔瓦垢戮�サンゴ礁の水質・光環境条件に関する研究
独立行政法人産業技術総合研究所
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地質情報研究部門 物質循環研究グループ
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鈴木 淳
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＜協力研究者＞
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東京大学 大学院新領域創成科学研究科環境学系
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川幡穂高
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琉球大学 熱帯生物圏研究センター
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酒井一彦・森本直子・岩瀬晃啓
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[平成15〜17年度合計予算額]
平成l5〜17年度合計予算額 11,196千円
(うち、平成17年度予算額 2,832千円)
［要旨］
サンゴ礁生物多様性保全地域の選定に際して、サンゴ礁生態系の特徴である生物多様性を維持しうるサンゴ礁の環境構成要素の状態および広がりを考慮する必要がある。また、一旦設定された保全地域の長期的な環境管理のためには重要な環境指標の抽出と数値基準の導入が求められる。そこで本サブサブテーマでは、サンゴや藻類の分布や物質生産（群集代謝）に影響を与えると考えられる水質と光環境に注目し、光環境の支配要因である濁質挙動、それぞれの時空間パターンの把握と変動要因を明らかにするとともに、多様な生物群集を維持しうるサンゴ礁環境の数値基準及び指標の導入の可能性を探る。琉球列島石垣島周辺部の３つのサンゴ礁（宮良湾、シモビシ、カタグヮー）について水質（水温、塩分、濁度、栄養塩）および炭酸系溶存成分のある瞬間における分布状況を捉えることを目的とした、いわゆる「スナップショット」観測を複数回実施し、生物群集の分布特性と海洋環境との比較、特に陸域の影響について検討が可能なデータセットを収集した。宮良湾に面したサンゴ礁内岸寄りで塩分が外洋水よりも低下している様子が捉えられ、これは汀線付近からの陸水の流入によると考えられる。海水の各種栄養塩は岸部で高く、塩分と逆相関して、岸側から沖方向に向けて希釈されて行く様子が認められる．サンゴ礁における富栄養化の指標として、グレートバリアリーフやカリブ海の研究より、海水中クロロフィル濃度0.3-0.5μg L-1、溶存無機態窒素（NH4+NO3+NO2）1μM、リン濃度0.1-0.2μMがしきい値（閾値）になると提案されている1）。この基準に比較すると、宮良湾の湾奥部は富栄養化レベルにあると考えられる一方、シモビシ、カタグヮーではサンゴ礁海水の水質は閾値を下回って良好である。また、石西礁全域を対象とした水質調査を実施し、礁湖内では海水中クロロフィルや各種栄養塩濃度が外洋に比べて高いことを見出した。本研究による観測結果は、ベースラインデータとして今後の石西礁域の水質変化のモニタリングに有用であると考えられる。
［キーワード］
サンゴ礁、水質、クロロフィル、富栄養化、栄養塩
(2.90MＢ)
