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[F−1 野生生物の生息適地から見た生物多様性の評価手法に関する研究]
(1)野生生物種の生息適地評価関数の開発に関する研究
独立行政法人国立環境研究所
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生物多様性研究グループ 生物個体群研究チーム
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永田尚志
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生物多様性研究グループ 侵入生物研究チーム
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五箇公一
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大阪府立大学農学生命科学研究科
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夏原由博
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北海道環境科学研究センター 自然環境部
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梶光一
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〈研究協力者〉 北海道環境科学研究センター
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布和敖斯尓
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株式会社EnVision
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鈴木透
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NPO法人バードリサーチ |
植田睦之 |
[平成15〜17年度合計予算額]
平成l5〜17年度合計予算額 37,776千円
(うち、平成17年度予算額 11,097千円)
[要旨]
環境省の自然環境保全基礎調査(自然環境GIS)の植生図、国土地理院発行の数値地図データ、および、気候値メッシュ(気象業務支援センター)、気象年報(気象庁)、人工衛星データ(LANDSAT等)の各種データを地理情報システム(GIS)に統合して、大型獣としてエゾシカおよびホンシュウジカ、79種の繁殖鳥類、13種の両生類等の野生生物の生息適地を解析した。鳥類では、生息パッチベースのモデルから開発を進めたが、細かい解像度で全国をカバーすることが不可能なため、第6回自然環境保全基礎調査のデータをもとに3次メッシュを単位とする生息適地評価関数を作成した。対象種が大きくなるにつれて3次メッシュで作成した評価関数の適合度が悪くなり、行動圏の大きさに合わせたスケールで生息適地評価関数を作成するほうがよいことが明らかになった。1978年以来、北海道で7〜8年おきに行われた5kmのメッシュで集計された分布情報から生息適地評価関数を作成した結果、1978年には積雪深とササのタイプがエゾシカの生息分布を制限している重要な要因であることが明らかになった。北海道のエゾシカは環境の変化に伴う積雪の減少で積雪が制限要因とならなくなり、個体数増加に伴う個体群圧の影響で急速に分布を拡大したと推察された。東日本のニホンジカは、積雪や人為的土地改変による制限を強く受けていたが、個体数増加によって周辺地域へ分布が拡大していたと考えられた。カスミサンショウウオについては、調査によって生息、の有無を調査し、ロジスティック回帰モデルによる生息適地推定を行ない生息適地評価関数を作成した。不在データの得られていない他の両生類12種については、第5回自然環境保全基礎調査のデータをもとに生態ニッチ要因分析によって生息適地を推定した。また、1/2500の景観スケールで作成したカスミサンショウウオの生息適地図を使ってメタ個体群存続可能性分析を行い、土地の改変による絶滅リスクへの影響のシナリオ分析をおこない、ミティゲーションの効果を予測した。
[キーワード]
生息適地モデル、地理情報システム、景観生態学、スケール、行動圏