検索画面に戻る Go Research
[Ｃ―１ 北半球における越境大気汚染の解明に関する国際共同研究]
(２) 次世代型ソース・リセプターマトリックスの精緻化と検証に関する研究
独立行政法人国立環境研究所
|
|
|
大気圏環境研究領域
|
|
村野健太郎
|
PM2.5・DEP研究プロジェクト
|
|
大原利眞
|
京都大学防災研究所
|
|
植田洋匡
|
財団法人 計量計画研究所
|
|
神成陽容
|
株式会社 トーニチコンサルタント
|
|
片山 学
|
埼玉大学
|
|
外岡 豊
|
静岡大学
|
|
大原利眞
|
[平成14〜16年度合計予算額]
平成l4〜16年度合計予算額 41,805千円
(うち、平成16年度予算額 12,526千円)
［要旨］
中国・韓国・日本間の越境大気汚染のために、次世代型ソース(発生)・リセプター(沈着)マト
リックスの作成を進めた。このモデルの入力データとして、対象国・地域が中国、台湾、韓国、
北朝鮮、モンゴル、日本、対象汚染物質がSO2、Nox、NMVOC、NH3、空間分解能が緯度経度0.5度
である東アジア排出インベントリー(EAgrid)を2000年時点に更新した。既往の推計結果と比較した
本推計結果の最も大きな特徴は、中国におけるSO2排出量およびNMVOC排出量が従来の推計値に比
べて多いことである。特にNMVOCは顕著であり、その評価は今後大気過程のシミュレーションと測定結
果の対照により確認することが必要であることが明らかとなった。ソース・リセプター解析のために、地
域気象モデルRAMS(Regional Atmospheric Modeling System)と物質輸送モデル
HYPACT(Hybrid Particle And Concentration Transport Model)を使って東アジア域における
硫黄酸化物と窒素酸化物のソース・リセプター解析を行った。日本領域における年間沈着量は、硫
黄化合物O.84TgS(1.03gS/��)、窒素化合物O.62TgN(0.79gN/��)である。また、発生源地域別寄与率
は、硫黄については中国49％、日本21％、朝鮮半島12％、火山13％、その他５％、窒素について日本
39％、中国34％、朝鮮半島18％、その他９％となり、いずれの物質も中国からの寄与が非常に多いことが
示された。三宅島起源の硫酸エアロゾルは冬季は北西季節風により大部分が太平洋に輸送されたが、そ
の他の季節には日本列島に輸送された。噴火により降水のpHは年間で日本列島の日本海側でO.1-O.3、
太平洋側で0.3-10程度減少し、黄砂による降水の中和作用を相殺した。非火山性の硝酸や塩酸が二次
的な環境酸性化を促した(噴火による間接的な環境酸性化効果)。数値計算結果によると、この間接効
果による酸性沈着増加量は、噴火による硫酸沈着増加量(直接的環境酸性化効果)と同程度
(0.07-2.1倍)であった。
［キーワード］
酸性雨、東アジア、発生源インベントリー、長距離輸送モデル、ソース・リセプター解析
(3.49MＢ)
