地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ調査
エネルギー供給WG(第5回) 議事概要
- 1.日時:
- 平成22年3月15日(月) 17:30~21:30
- 2.場所:
- 大手町・JAビル3F 301(A+B) 会議室
- 3.出席委員:
- 大塚座長、芦田委員、芦名委員、飯田委員、荻本委員、倉阪委員、斉藤委員、谷口委員
- 4.議題
- (1)前回議事概要の確認
(2)エネルギー供給分野における中長期ロードマップ
- 5.議事概要
(1)前回議事録の確認
修正すべき点を事務局に連絡するよう依頼があった。
(2)エネルギー供給分野における中長期ロードマップ
資料1、2について説明
(質疑)
- <第1章について>
-
- 図1-2について、いつの時点の増加量を示しているのか不明なため、追記する。
- 表1-1について、火力発電のユニット容量約10万kWというのは小さい。
→出典を確認の上、必要であれば修正する。(事務局)
- 1.1について、エネルギー需要の増加と脱化石燃料の必要性を結び付けているが、需要の増分については再生可能エネルギーでまかなえばよいということも言えるため、直接的には関係がない。地球温暖化対策と脱化石燃料の必要性を論じるべきである。
→ご指摘の通りと考える。適切に修正する。(事務局)
- 本WGは、ロードマップの作成が最大の目的であり、ロードマップの必要性について冒頭で論じるべきである。2.3のTransparency Platformについても、冒頭に移動すべきと考える。海外ではすでにロードマップ作りが行われていることを紹介した上で、日本においても必要であることを示すとよい。
→ご指摘の通りと考える。ロードマップの必要性について強調する内容に修正する。(事務局)
- エネルギー需要の増加に対して、化石燃料のみでは需要が賄いきれないから再生可能エネルギーを導入するという視点も重要である。
- 再生可能エネルギーの重要性について、昨年度の報告書の第1章の内容(ストック切り崩し型の化石燃料利用から、フロー型の再生可能エネルギー利用へ)が重要であり、本年度も加えるべきである。
- 再生可能エネルギーで需要がまかなえることを示すため、賦存量についてどこかに記載すべきである。
- 世界の再生可能エネルギーへの投資規模、産学育成について、日本は大きく遅れていることを明記すべきである。
- 再生可能エネルギーについて、現実的なオプションであること、豊富な賦存量を有すること、LCAの観点からも有効であることを明記すべきである。
- 1.3について、日本は資源に乏しいということが強調されているが、再生可能エネルギーについては豊富な賦存量を有する、という認識は必要である。
- <第2章について>
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- 米国の政策について、州レベルのFITについても追加すべき。
- ネットメータリングは一種のフィードインプレミアムであり、価格保証の有効性について追記すべき。
- 図2-7について、英国は今年からFITを導入する予定であり、修正する方がよい。
- 再生可能エネルギーの定義について、日本の定義は必ずしも適切ではない。国際的な定義を前提とした方がよいのではないか。
→今回は地球温暖化対策基本法案における、1次エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を10%にする目標と照らし合わせて検討を行う必要があるため、同法案の定義に沿っている。(環境省)
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再生可能エネルギーの定義については、まず国際機関の定義から紹介すべきであり、地球温暖化対策基本法案ベースに論じるべきではない。なお、IEAはこれまで再生可能エネルギーに消極的であり、IEAの定義は参考にすべきではない。REN21等を引用すべきである。
- 各国際機関による定義と、地球温暖化対策基本法案による定義の両方を事実として併記することで対応する。
- <第3章>
- (全体)
- 検討方法が前回までと大きく変わっている。これまではAIMの目標値を前提としていたが、例えば太陽光の目標値は前回までの7900万kWより低い値となっているのに加え、AIMに関する記述が全く消えてしまっている。今回示されている目標値とAIMの目標値の違いを明記すべきである。また、AIMモデルと違う目標値を選んだ理由も書くべきである。
→前回のWGで示した太陽光の買取価格では、7900万kWの導入は不可能と言うに等しいという議論があったため、今回の目標値を採用した。ご指摘についてはその通りであり、加筆させていただく。(事務局)
- 評価方法について、検証可能性が必要という議論がある。現状の説明内容では、評価方法のロジックが理解できない。本報告書を読む人の誰もが同様の評価を行えるよう、評価方法についてもっと分かりやすく記述すべきである。
→重要なご指摘と考える。出来る限り対応する。(事務局)
- 導入量を前提としてそれを達成するための政策を示すのではなく、やるべき政策を実施した結果としてどれだけ導入量が増えたかを示す方がよいのではないか。
→政策と導入量の増加がきれいな関数になるかは試行錯誤の部分である。昨年度、太陽光については検討したが、他のエネルギーについて、本年度同様の検討を行うのは難しいと考えている。(環境省)
→ロードマップの作成が本WGの目的であることから、もう少し冒頭の部分でロードマップに関する記述をすべき、という問題意識である。
→第1章でロードマップの必要性について論じるべき、というご指摘があったので、そこでフォローさせていただければと思う。特にIRR8%を新たなターゲットとした点については、第7章より前の部分に記述するよう調整する。(環境省)
- 各技術の現状については、いずれかの章にまとめて記載すると非常に有益な資料となる。
- 支援価格が買取価格を意味している部分と、支援費用と固定買取価格が別の意味として混在している部分とがあり、分かりにくい。
→分かりやすくなるよう、言葉の定義を修正する。(事務局)
- (太陽光)
- 習熟率、設備コストの低減について、太陽光発電市場における日本企業のシェアは10%程度であるため、日本企業を前提として算出すると、コストの削減率が小さくなるのではないか。
- 表3-7はミスリーディングになる可能性がある。規制措置ケースの方が買取費用は低くなっているが、例えば太陽光発電システムが高くても導入を強いられることになり、社会的負担は大きくなる可能性がある。最後に必要支援額を示すのであれば、規制措置ケースを併記する必要はないのではないか。
→規制措置ケースの方がよいというミスリーディングにならないよう修正する。(事務局)
- (地熱)
- 国立・国定公園における大規模開発を避けるべき、と明記されている点に異議がある(P3-74)。建物の外観など、景観に配慮するべきといった記載は必要だが、このようは考え方では、ポテンシャルを持ちながらも導入が進まないことになる。
→地表に影響を及ぼさない掘削方法など、自然公園に影響を与えない範囲で実施可能なものから取り組んでいく、という考えのもと取りまとめた。(事務局)
→環境省内で再度調整させていただく。(環境省)
- (総括)
- 表3-71の必要な支援レベルについて、最終的には電気代に上乗せさせる想定か。
→需要家が負担するという前提で、現在と同水準の需要を見込んだときの負担額を算出している。(事務局)
→想定した電力需要9500億kWhは全体検討会での計算結果から引用し、負担額は平均世帯あたり292~530円/月という結果を得た。(環境省)
- 表3-74について、導入目標量が列挙されているが、どの数値の実現可能性が高いのか分からない。(環境省)
→少なくとも温暖化対策基本法案における目標(1次エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を10%にする)を達成するという観点から、▲15%の値が最低限の数字と考えている。▲25%については、環境省として非常に野心的な数字を示すことを目的にしている。(環境省)
- 表3-74について、2020年にすでに浮体式の洋上風力が導入されているのは疑問である。
→着床式については目標として妥当な数字と考える。浮体式については、2020年までに実証を完了させるというイメージではないか。シーメンスはすでに欧州で浮体式の実証試験を行っており、2020年の導入は非現実的ではないと考える。
→浮体式について、来年度から1億円の予算をつけて、実証試験、環境アセス等を行う予定である。平成22年には、浮体式の2MW機の設置を考えている。
- 財政が厳しい中で、効果の高い分野を選定して投資すべきと考える。
→世界的にも浮体式は実証試験の段階であるため、これから参入する市場としては、一つのターゲットになりうる。着床式については、多くの競合他社が存在する。
- <4章について>
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- CCSについて。表4-15で国内への適用可能性が△になっているが、評価の根拠を明記すべき。CCSについては、国内に適切なサイトが存在するとは考えていない。また、地理的問題に加えて、貯留可能量にも制約があると考えており、国内への適用可能性は小さいと考えている。
→ご指摘の通り、評価の根拠について説明が不足しているため追記する。(事務局)
→日本で排出されるCO2全てを貯留するポテンシャルはないと考える。貯留可能量については、資料を事務局に渡しているので、参照すること。
- 「海洋貯留」ではなく、「海底貯留」と記述を訂正すべきである。
- 4.1.3について、どの需要を想定して書かれているのか、意図が分かりにくい。
→本節はガス協会のヒアリング結果をまとめている。産業のガス転換を意図しており、もう少し明確に記述する。(環境省)
- 図4-18について、米国が石炭から天然ガスに移行したのは、単純に投資の観点から、天然ガス火力の方が低コストであったことが理由であり、低炭素化を目指してのことではない。日本人が図4-18を見たときに誤解する可能性があり、この点については追記すべきと考える。
- 表4-19の、IGCCが価格競争力を持つという記述について、微粉炭と比較すればコスト増が抑えられる、または価格競争力の下げ幅が小さい、といった程度の記述が適当ではないか。
- <5章について>
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- 図5-2について、2050年の数字が増えすぎている感がある。
→昨年の8月に再計算した数値を使用している可能性がある。(事務局)
→数字が正しいか、出典を確認する。(環境省)
- 表5-6で、シナリオA・Bを設定しているが、国環研のシナリオA・Bを連想させるため、シナリオ名を変えるか、注釈を加えるかすべき。
→誤解を招かないよう修正する。(事務局)
- 地域の連系線の必要量について、どのようなロジックで算出しているか。風力は送電が最終的な問題であり、この部分の前提がしっかりなされていないと試算の意味がない。
→風力発電協会から出された結果を使用しており、細かい前提条件は把握していない。(事務局)
→1000万kW導入時には、連系線はほとんど必要ないという前提で算出している。2000万kWの場合は前提条件が大きく異なる。
- 北海道で500万kW入れる場合には、必ず連系線が必要となる。もし、2020年時点では連系線が必要ないという前提であるならば、その点を明記すべきである。また、電力を捨てているのであれば、それも明記すべきである。ただし、捨てる電力量は爆発的には増えないはずである。
→前提条件等について、ご相談させていただく。(環境省)
- <第6章について>
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- 6.5のCO2排出抑制効果については、基準年に対する削減率など、削減量の規模感がわかるように示すべき。
→基準年についてはどのように考えているか。
→ここでは再生可能エネルギー発電によって回避された火力発電の量を示している。基準年に対する削減率については追記する。(事務局)
- 6.4の便益についてメリットについてもっと記載すべきである。回避可能原価分を控除しているので言及しないのではなく、その旨断った上で、しかしエネルギー安全保障の観点から言及すべき。また、ふれ幅の大きい化石燃料コストのリスク等について、定性的な記述を入れるとよい。
- 表6-8~6-10について、バイオマス燃料についても表中に行を設け、計上していないことを明記すべきである。
- 経済波及効果の分析にあたり、風力等については工事費は考慮していないのか。風力発電の工事費等は大きいと考えられるため本来は考慮すべきである。
→現状では根拠のある数字がないため、工事費は入れていない。(事務局)
- 図6-1について、比率だけではなく、絶対量も示すべきである。
→そのように修正する。(環境省)
- 10,000円/tCO2について、TERRY
BARKERは批判も多く、引用元として適切でない。文献から引用するのではなく、適当な幅を持たせて(5,000、10,000、15,000など)数値を示すのがよいと考える。
- 再生可能エネルギーの導入によって電気料金下がるということについては検討していないのか。また、再生可能エネルギーのコストターゲットを定めるべきではないか。
→現時点では特段検討していない。(事務局)
→再生可能エネルギーは、回避原価と比較をしたグリッドパリティに向かう、というのが共通認識である。
→固定ケースの電源構成と将来の原油価格見通しを前提とした電力価格と比較することも考えられる。(環境省)
- 表6-7について、系統対策における太陽光パワコンは、太陽光発電設備と重複していると考えられるので項目に挙げる必要はないのではないか。
- 表6-8の数字について、少し違和感がある。太陽光と風力については、桁が違う程の違いは出ない気がするため、数値について確認した方がいいのではないか。
→太陽光の場合は輸出分を含んでおり、メンテナンスも考慮しているといった違いが影響していると考えられる。(事務局)
- その他の便益として、再生可能エネルギーの導入は地域の産業振興だけではなく地域間格差の是正にも寄与する。
- <第7章について>
- (P7-8 再生可能エネルギー1/2)
- 「大規模施設における導入検討の義務化」はもっと前倒しでよい。東京都では今年から義務化している。
→そのように変更する。(事務局)
- 社会の仕組みづくりに関する項目を追加してほしい。
- (P7-9 再生可能エネルギー2/2)
- 地域の風土に合った再生可能エネルギーを選択できるよう、地方のエネルギー政策を立ち上げる必要がある、という考え方をどこかに記載すべき。
- 革新的再生可能エネルギー技術については、「実用化」までを記載すべき。
- (P7-10 エネルギー供給インフラ)
- 次世代送配電ネットワークの落としどころはどこにあるのか。スマートグリッドは調整機能を果たすものであり、大量送電に寄与するものではない。
- 電力系統に係る対策について、比較的容易に出来るものを上にもってくるよう、記載順を変えるべきである。
→記載順について再考する。(事務局)
- 「電力安定供給の担い手」とは何を意味しているのか。
→再生可能エネルギーの導入等により、電力の種類が多様化すると、電力供給の担い手は既存の大手電力会社に限らない、という趣旨で記載している。(環境省)
- デカップリングが複数書かれているが、成果が上がっているようには見えないため、強調すべきではないと考える。
→重複感があるので、整理する。(環境省)
- 「日本版スマートグリッド」という言葉について、「日本版」は必要ないと思われる。
→「日本発」がいいのではないか。
- (全体)
- ロードマップ全体について、模範解答のみが示されており、見た人が様々なオプションを考える余地がないものとなっている。大元の問題と、その問題に対して成すべき対策について追記すべき。
→ロードマップのフォーマットについては固まっているため、変更は難しい。(環境省)
→ロードマップのフォーマットを変える必要はないが、大元の問題との対応関係が分かるものを別途用意しておくと、議論を喚起する意味でよいと考える。
→事務局と相談する。(環境省)
- <報告書概要版について>
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- 全体的に数字が多く、かつ根拠が示されていない。全体的にストーリー性を持たせ、必要な数字のみ記載し、根拠も明記すべきである。「以下のとおり」という表現で済ませないようにすべき。
→ご指摘の通りであり、加筆・修正する。(事務局)
以上