分類 1-(1)-2-ア

 

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協力事業名
日中環境保護協力協定合意プロジェクト「環境標準試料の作製と評価」
事業の概要
黄砂の発生量を抑制し、発生源及び輸送料把握のための指標となる標準試料の作製と評価を目的とした研究プロジェクト。中国内陸部の黄砂発源地砂漠において、人為汚染していない表層砂を25トン採取し、それを蘭州砂漠研究所の風洞施設を利用し、風による分級を行い、約4kgの黄砂エアロゾル様の最終生成物を得た。それを1800本の硬質ガラス瓶に詰め、製品とした。それを日本、中国、米国、英国などの著名な分析機関で多元素分析を実施し、その統計的解析によって13元素の保証値を決定した。本標準試料は、現在、中国標準試料認定委員会を通じ、世界の標準物質が登録されているCOMARに登録申請中である。本事業の推進にあたり、JICA側の全面的協力が得られたことが大きい。
事業形成の経緯
東アジア地域の大気環境問題の一つに、黄砂エアロゾルに関するものが存在する。日本、中国、韓国を含む地域の大気エアロゾルモニタリングにおいて、黄砂の広域輸送を多国間環境テーマとして取り扱う時、相互に提示する科学的データの信頼性が問題となる。そのデータの信頼性を高めるための有力な方法は、基準となる標準物質を基にすることである。しかし、黄砂だけでなく砂漠由来の土壌起源系大気エアロゾルに適用できるような標準物質は、今のところ世界にないのが現状である。世界初の黄砂エアロゾル標準物質を作製し、東アジア地域の環境科学データの信頼性向上に寄与することを目的として、事業の展開を計った。
日本側担当組織

(主担当組織)

国立環境研究所地域環境研究G

(主要担当者名)

・森田昌敏、
・西川雅高

(関係する政府機関)

環境省

中国側担当組織

(主担当組織)

中日友好環境保護中心

(主要担当者名)

・全 浩

(関係する政府機関)

国家環境保護総局

日中以外の
国の関与
なし

主な対象地域

(現地受け皿組織)

(地域)中国内陸部砂漠地帯および黄土高原

(組織) 中日友好環境保護中心

財源
国環研特別研究費の一部充当
財政規模
(5年間) 約3000万円
これまでの成果
世界初の黄砂エアロゾル標準物質を作製し、それを基に、日中間の大気エアロゾルの分析データ比較を行っているところである。この標準物質を使用した論文が、International Journalに既に数報掲載された。
今後の展望
日中両国の他、韓国、米国を含めた東アジア地域の分析データの信頼性確保に寄与する。また、室内実験材料としても幅広く利用されることが期待できる。
開始時期
1996年
終了時期
2000年

備考
(参考資料等)

Global Environmental Research, Vol.4, 103-113(2000) に詳細を掲載
記入者
及び連絡先
(組織/部署)国立環境研究所地域環境研究G (氏名)西川 雅高
(住所)〒305-0067 茨城県つくば市小野川16-2
(Tel) 0298-50-2495 (E-mail) mnishi@nies.go.jp
(Fax) 0298-50-2570 (URL)