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環境協力に携わる方々へ

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平成7年度 在外日系企業の環境配慮活動動向調査

調査結果の概要


1.調査の概要

海外に進出している日系企業による環境配慮の状況を把握するため、平成7年度、アジア4カ国(インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア)において事業活動を行っている日系企業を対象に、現地の日本人商工会議所の協力を得てアンケート及び現地ヒアリング調査を行った。

アンケート調査は、4カ国の日本人商工会議所の個人会員及び団体会員を除く企業会員2,070社(非製造業や小規模な現地事務所等を含む)に発送し、うち、425社から回答を得た(回収率20.5%)。

回答企業の内訳を見ると、業種については製造業65.4%、非製造業(建設業、卸売業、金融・保険業等)31.3%であった。従業員数については100人以上500人未満32.0%、100人未満31.3%、1000人以上20.0%等となっており、500人未満の企業が全体の6割以上を占めている。

現地ヒアリング調査については、14社を対象に行った。


2.調査結果

(1)進出に当たっての環境対策

  • 進出先での事業実施に伴い、法的に環境アセスメントを実施する義務のあった企業は28.7%に過ぎなかったが(図-1)、実際にはこれを大きく上回る46.1%の企業が環境アセスメントを実施していた(図-2)。
    (現地の法律等に基づいて環境アセスメントを実施した企業30.6%、自主的に行った企業15.5%。)
図1図2

(2)環境対策を進めるためのシステム、組織

  • 「環境庁の環境にやさしい企業行動指針」を知っていた企業が29.9%、「経団連の地球環境憲章」を知っていた企業が27.3%あった(図-3、複数回答)ほか、環境に関する全社的な経営方針を制定しているないしは検討中である企業が53.2%あった(図-4)。
  • 環境問題に取組むための部署又は担当者を置いている企業が51.3%あった(図-5)。
    (専任の部署を置いている企業11.1%、専任の担当者を置いている企業4.2%、兼任の担当者を置いている企業36.0%。)

図3

図4図5

(3)環境に配慮した事業活動

  • 環境保全のための経費や投資などの支出について現行規制をクリアするため以上に行いたいと考えている企業が74.1%あった(図-6)。
    (会社の業績等に関わらず負担したいと思う企業20.5%、業績に深刻な影響を与えなければ、できるだけ負担したいと思う企業53.6%。)
図6

(4)進出先国での操業に当たっての環境面での課題

  • 現地の大気汚染、水質汚濁等に関する規制対象となっている企業が36.2%あった(図-7)。
  • 大気汚染、水質汚濁に関する測定結果等を現地の行政機関等に報告している企業が、27.0%あった(図-8)。
    (法律に基づき報告している企業21.4%、自主的に報告している企業5.6%、法律に基づき定期的に立入検査を受けている企業22.8%。)

図7

図8

  • 現地での操業に当たって、社内のみで軽微なものも含めて19.5%の企業が環境面で何らかの課題を経験している(図-9)。
    その課題の内容としては、水質汚濁物質の排出が48.5%と最も多く、次いで廃棄物の処理・処分、悪臭がそれぞれ18.2%、振動、騒音が13.1%であった(図-10、複数回答可)。

図9

図10

  • 現地ヒアリング調査によると、事業工程からの排水処理は、当該国でトップクラスの対策がとられているが、企業内での生活系排水が処理されていない企業が見うけられた。
  • また、同じく現地ヒアリング調査で、廃棄物については処分地が確保できずに敷地内に保管し続けている企業が見うけられた。こうした状況は、適切な管理方法をとらない場合には、環境問題を引き起こすおそれもあり、将来に向けての課題を抱えている例と言える。
  • 今後環境面で課題等が発生する可能性があると考えている企業が24.2%あり、その内容としては、廃棄物の処理・処分が53.4%、水質汚濁物質の排出が40.8%、振動、騒音が28.2%、大気汚染物質の排出が26.2%であった(図-11、複数回答可)。
図11

(5)日本政府に期待すること

  • 海外進出企業の環境対策の一層の充実のために、日本政府に期待することとしては、各国の環境に関する情報提供(マニュアルの作成等)が59.8%、進出先における相談窓口の設置31.5%、進出先国の行政機関における環境保全技術、測定技術等の向上のための指導や支援、研修生の受け入れ等が24.5%、進出に当たっての各国の測定方法等の環境に関する技術指導が24.2%であった(図-12、複数回答可)。
  • 現地ヒアリング調査においても、各国の環境規制や環境問題の現状等を取りまとめたマニュアル、先進企業の対応例などを取りまとめた事例集などの作成に対する希望が聞かれた。
図12