開発途上地域における企業の社会的責任 CSR in Asia
「平成16年度 我が国ODA及び民間海外事業における環境社会配慮強化調査業務」
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本報告書について
環境省は、(財)地球・人間環境フォーラムに委託をし、平成8年度から平成11年度及び平成13年度から平成15年度に開発途上国地域に進出している 日系企業の環境対策の支援を目的として、年度毎に順次、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナ ム、シンガポール及び中国の7ヶ国を対象とした調査を実施し、その成果を国別の環境対策ガイドブックとして取 りまとめた。
近年の企業活動のグローバル化に伴い、開発途上地域、特にアジア地域において活動を展開する日系企業にとって は、これまでの調査で対象としてきた公害対策等従来型の環境問題への対応はもちろんのこと、サプライチェーン管 理や市民社会との対話、人権や雇用問題への対応といった幅広い領域を有する企業の社会的責任(CSR)を念頭においた 環境配慮の強化が、急速に求められるようになっている。しかしながら、異なる社会的特性を持ち情報も比較的限られ ているアジア地域の各国において、日本企業が幅広いCSRの要求事項を達成していくことは、実施面で困難が伴うのが実情である。
このような動向を踏まえ、本調査事業は、特にアジア地域において企業が対応を求められるCSRへの対応に係る先進事例等 の収集を行い、日系企業等関係者への情報提供を行うとともに、企業の取り組みを促進するための行政施策の今後の方向性を 検討することを通じて、我が国の民間海外事業における環境配慮の強化に資することを目的として実施された。
実施に当たっては、文献調査を行い、さらに日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ、シンガポール、中国において 現地ヒアリング調査を実施した。
調査の結果、グローバル企業の開発途上地域におけるCSR戦略、実践の具体例が多数収集されるとともに、アジア各国におけ るCSR促進に向けた力強い動きが明らかになったのは喜ばしいことであった。本報告書はこれらの動向の概要及び具体例をなる べく多く紹介し、企業及び行政への提言をまとめたものである。
■調査概要
本調査は以下のような手法で実施した。
(1) 企業の海外活動におけるCSR対応状況の文献等調査(平成16年10月~12月)
- 企業が作成・公表している環境報告書等から、アジア地域での企業活動において行っているCSRに関連する取り組みの概略に関する情報を収集し、開発途上地域において事業活動を展開しCSRに関連して顕著な取り組みを行っている日本企業及び欧米資本の企業を抽出した。
- (1)で抽出した企業の本社又は東京支社のCSR担当部署等を順次訪問し、開発途上地域におけるCSRに係る取組方針や事例についてのヒアリングを行った。
- (1)で抽出した企業でイギリス・オランダに本社・支店を持つ企業のCSR担当部署等を訪問し、開発途上地域におけるCSRに係る取組方針や事例についてのヒアリングを行った。
- (1)で抽出した企業のうち、シンガポール、フィリピン、タイ、中国において事業活動を展開している企業の事業所又は海外関連会社、サプライヤー、行政・企業関連機関、CSRに関連するNGO/NPOへのヒアリングを行い、地域レベルでの取り組みの実状、現地の環境規制動向や社会状況など取り組みに影響を及ぼしている要因、取り組みの継続・発展に向けた課題、行政に期待したい役割・施策の方向性に関する意見を聴取した。
■調査期間
平成16年9月~平成17年3月■調査チーム
中寺 良栄 (財)地球・人間環境フォーラム企画調査部長 全体総括 | ||||
満田 夏花 | 同上 | 研究主任 日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ、ODA | ||
坂本 有希 | 同上 | 研究主任 シンガポール、ODA | ||
桜井 典子 | 同上 | 研究員 中国 | ||
足立 直樹 | 同上 | 客員研究員 日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ | ||
海野みづえ | 同上 | 客員研究員 中国、シンガポール | ||
角田季美枝 | 同上 | 客員研究員 日本 |
厚く御礼を申し上げます。
- Philipinnes Business for Social Progress(PBSP、フィリピン)
- Prida Tsiasuwan, Social Venture Network(SVN、タイ)
- Stephen Loke, President, Centre for Corporate Social Responsibility(シンガポール)
- サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC、日本)