(1)都市・緑地(国土交通省) (委員)地域にもともと生育しない緑化用植物が雑木林に侵入するなど、緑化と生物多様性保全とが矛盾する結果をもたらす場合がある。 →緑化と生物多様性の保全とは基本的には別の目的のものと認識しているが、緑化樹種の選定は場所の特性に応じて配慮されている。生物多様性への影響は重要な課題であり、今後改定予定の新しい緑の政策大綱の中にもその視点を入れていきたい。
(委員)都市公園や緑地の分野は、全体として生物多様性に関わりがあるという考え方が必要である。例えば、単に緑化をすればよいのではなく、新たな緑化によって生物多様性がどう変化したかをきちんとモニタリングして、今後の方針を検討すべき。
(委員)全総計画に国土規模での生態系ネットワークが位置付けられているが、全国的な緑地のネットワークの枠組みについてどのように検討しているのか。河川、海岸等との連携を図っているか。 →都市部では公園緑地がネットワークの一端を担えるが、全国的には自然公園や森林などを含めたネットワークの枠組みの考え方が必要と考える。
(委員)緑の政策大綱は旧国土庁、河川局、港湾局も含む国土交通省の全省的なものとすべき。さらに政府全体の枠組みを、生物多様性国家戦略に位置付けていく必要があるのではないか。
(委員)屋敷林や斜面緑地は生物多様性の観点からも重要であり、積極的な保全が必要。 →緑地保全地区などの地域指定の対象となり得る。相続税の減免など行っているが、なかなか指定が進んでいないという実状がある。
(委員)道路と生物多様性との関係についての説明も聞きたかったが。 →道路による自然破壊の批判があることは認識。のり面の切盛を最小限にしたり表土の保存等の取組を全国的に進めていきたい。
(2)文部科学省 (委員)天然記念物保護については、事業の内容が環境省と重複しているが、環境省との行政の一元化はできないのか。河川や農地との連携は行っているか。 →文化庁は学術的な価値の観点から保護対策を実施しており、両省でできるだけ連携している。その他関係省庁とも連携する場合もある。
(委員)科学技術と生物多様性との関係で重要なのは、生物多様性に関する基礎的研究の推進と人材の育成である。バイオテクノロジーの研究に比べて甚だしく劣っている生物多様性関連分野の研究規模の拡大を図り人材養成に関わる環境を根本的に変えていくことが文部科学省に関わる最重要テーマ。 →科学研究費補助金などで生物多様性分野の研究を推進している。
(委員)地球規模での、海洋における生物の保全の戦略が必要ではないか。 →海洋に係わる関係省庁の取り組みは、海洋開発分科会にて審議することになっており、海洋における生物の保全を含めた海洋環境の保全のための戦略、施策については現在検討中。
(委員)学校教育の分野では、来年度から始まる総合学習の一環として生物多様性を教える体制は十分か。学校外部からのサポートを得るにしてもあまりに人材が少ないため、特定の人に集中する危惧がある。体制の強化が不可欠。
(3)経済産業省 (委員)海外の遺伝資源へのアクセスに目を向けているようだが、国内の多様な遺伝資源を保全しながら利用するという観点も必要。 →国内の遺伝資源の有効利用が前提。関係省庁とも連携を図りつつ検討している。
(委員)経済産業省関連では、発電所や送電線の立地と生物多様性保全とは大きく関わっていると思う。環境配慮の充実に向けてどのような方針で取り組んでいるのか資料を出してほしい。経済産業省に限らず、これまでの事業が生物多様性に及ぼした影響を踏まえ、環境配慮充実の方向へ転換するといった考え方があってもよいのではないか。
(委員)経済産業省は移入種対策にも関連しているのではないか。 →ペット対策ということに関しては当省は所管していないと思う。
(4)厚生労働省 質問等なし。
(5)外務省 (委員)生物多様性関連のODAの額はいくらか。 →12年度は約100億円。 (委員) 環境ODAの全体像がわかる概略資料がほしい。
(委員)アジアの生物多様性保全への国際協力について、個別のODAのプロジェクト方式による対応だけでなく、日本として恒常的な全体の枠組み、戦略を検討していく必要がある。ODAや海外協力隊などによる現地の経験や知識が国内にストックされるシステムが必要。
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