(1)林野庁 (委員)森林林業基本計画の森林3区分(「水土保全林」「森林と人との共生林」「資源の循環利用林」)において保安林、保護林はどう位置付けられているのか。3区分と保護林・保安林との関係をマトリクスで教えてほしい。 →3区分への具体的当てはめは現在作業中。保安林については、その地域の森林の機能に応じてふさわしい区分に含めることとしている。保安林指定は区分を検討する際の重要な要素の一つである。保護林は全て共生林に区分されている。
(委員)河畔林については、資源の循環利用林であっても残す基準はあるのか。
(委員)林道整備の必要性と生物多様性上の配慮についてどのように考えているのか。 →森林の3つの区分においてそれぞれの利用の形態や自然環境保全に配慮し整備。森林と人との共生林においては、景観や生態系に配慮した線形や構造の林道は安定した林業経営や広葉樹林整備等に不可欠。
(委員)林道は地域の生態系に影響を与えている。計画策定時に専門家や地域が参画するシステムが必要。
(委員)人工林の間伐不足は大きな課題であるが、生物多様性との関連をどう捉えているか。具体的な間伐の実施状況、今後の予定を聞きたい。 →間伐は土壌流出防止などにより生物多様性を保全する面からも重要であるとの認識。平成12年度から緊急間伐5カ年対策(目標面積150万ha)を実施している。 (委員)日本の森林は管理不足で荒れているのではないか。森林の現状、課題、対策について、資料を頂きたい。
(委員)緑の回廊は生物多様性上どう効果があるのか。民有林へも拡大することとなるのか。 →効果については、今後モニタリングをする予定。今後の設定に当たっては、国有林と民有林が連携した取組が考えられる。
(委員)生物多様性保全に関する施策について省庁や予算の枠を超えて一体的に行うことが国家戦略の意味。共生林、里山における施策は環境省など他省庁との連携が必要。
(2)国土計画等(国土交通省) (委員)建設省時代の環境政策大綱を見直し、省全体を対象とした大綱を策定する予定はないか。 →現在勉強を進めているところ。
(3)河川(国土交通省) (委員)河川の自然回復事業はよいことだが、生物多様性の指標としてかつて身近にいた絶滅危惧種の回復計画を取り込むなどの工夫が必要。 (委員)説明のあった事業の多くが、いったん壊した自然を回復させる事業のようだが、本来は自然の河川を守ることが根本にあるべき。自然状態を壊さない取組が必要。 (委員)元の自然を完全に回復させることは困難である。どのような状態を作り出すかの目標の設定とそのためのモニタリングが重要となる。
(委員)多自然型河川工法はドイツ等から導入されたものだが、日本の気候条件とは必ずしもあっておらず雑草の繁茂等の管理上の問題が出ているのではないか。 →地域毎に対応が異なる。地域住民が管理を主体的にやってくれる場合もあれば、管理が大変なので三面張りにして欲しいという要望もある。
(委員)河川行政で先陣を切って計画アセスに取り組んで欲しい。 →委員会を設立して勉強を始めたところ。 (委員)河川に限らないが、事業実施段階だけでなく、計画策定に知恵を注ぐために必要な予算を十分確保することが重要である。
(委員)ダムについては計画見直しの動きもあるようだが、ダムの整備の今後の方針はどうか。 →河川整備計画策定の中で他の代替案も含めてダムの必要性について検討する。
(4)港湾、海洋(国土交通省) (委員)「環の国」会議報告の自然再生型公共事業は、NGOや研究者との連携を重視している。港湾における自然再生型公共事業についてもそういった考え方を取り入れるべきではないか。
(委員)人工的に干潟を作っていくよりは、必要以上に手をつけないで時間をかけて回復させることの方がベターなのではないか。 →場所毎の特性に応じて検討すべきであると考えている。三河湾などの例では、放置しておいても状況がよくなるとは思えない。
(委員)人工干潟でたとえ多くの鳥を呼び込むことはできたとしても、完全に元通りに環境が回復しているとは言えない。再生のための事業はよいことだが、人手を加えた後で何が起こるのかを長期間モニタリングすることが重要。その役割を研究機関が担うべき。 →現象の変化を観測し、様子を見ながらやり方を適宜調整していくことが重要であると認識しており、そのため研究所が中心となってモニタリングしている。
(委員)干潟を造る手法は砂をかける方法のみか。 →大阪南港のように埋立地を掘り込む手法もある。砂を使う場合においても、周辺海域の海砂を使う場合や山砂を海に馴染ませてから使う場合がある。
(5)海岸(国土交通省、農林水産省) (委員)海岸事業の実施は、4つの担当部局でどう整理しているのか。それぞれが異なる目的でやっていて、生物多様性との関わりがよく見えないのではないか。 →事業を実施する海岸管理者が海岸の立地によって異なっているが、連絡会議を設けて協議しながら進めてきた。生物多様性の視点については、海岸法改正を受けてこれから本格的に取り組んでいく。
(委員)海岸関係事業は防護、利用、環境の3つの目的毎に区分されるのか。 →防護が基本にあって、それに環境、利用への配慮を行っており、目的毎の区分は困難である。
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