
~環境省 ぐぐるプロジェクトフォーラムを東京で開催~
「ぐぐるプロジェクト5年間の活動を総括、未来に向けて」
ラジエーションカレッジ各部門優秀賞/ふくしまメッセンジャーズ賞受賞者も表彰
環境省が2021年度から放射線の健康影響に関する情報発信として展開してきた“ぐぐるプロジェクト”は、今年度が事業の最終年度となります。今年度の活動報告に加え、5年間の事業を総括する「ぐぐるプロジェクトフォーラム」を2026年3月19日(木)に建築会館(港区芝)で開催しました。
第1部
フォーラムの第1部では「2025年度の活動報告」として、ふくしまメッセンジャーズの活動報告とラジエーションカレッジ作品公募の受賞者表彰式を行いました。
ふくしまメッセンジャーズは今年度全国8か所で「福島の今」や「放射線の健康影響」について、楽しく分かりやすく自分たちの声を届けてきた活動を報告しました。メンバーの佐藤大亮さんは、「私たちの活動が、一人でも多くの方々に福島についての正しい知識を理解していただくきっかけとなったのであればとてもよかった」、また渡辺瑠奈さんは「イベントの訪問都市ごとにどんな工夫をしていくかを全員で協力しながら試行錯誤していくことにやりがいを感じた」とそれぞれ感想を述べました。
ラジエーションカレッジの作品公募はキャッチコピー、ショート動画、グラフィックアーツの3部門が設けられ、全国から117点、総勢120名から応募がありました。厳正な審査の結果、キャッチコピー部門ではレボレポさん(社会人)、ショート動画部門では岡田將宏さん(会社員)、グラフィックアーツ部門では引原光音さん(総合学園ヒューマンアカデミー京都校)の作品が優秀賞を受賞しました。また、今年度はふくしまメッセンジャーズ賞が設けられ、キャッチコピー部門では池田雅春さん(社会人)、ショート動画部門では真山怜大さん(青山学院高等部)、グラフィックアーツ部門では辻直子さん(社会人)の作品が選ばれました。
今年度の応募作品について、すべての部門を審査したキャンサー・ソリューションズ株式会社の桜井なおみ代表取締役社長は、「今年度の応募数は、昨年度からほぼ倍増した。これは大変喜ばしい成果。作品の内容も単なる知識の紹介から、未来を見据えた表現へと変化している。この『自分ごととして考え、表現するプロセス』自体に本プロジェクトの大きな意義があり、目的は十分に達成されつつあると感じている」と総評しました。

左:岡田將宏さん(社会人)
右:引原光音さん(総合学園ヒューマンアカデミー京都校)
- 優秀賞受賞者
- キャッチコピー部門
- レボレポ〔ペンネーム〕さん(社会人)
- ショート動画部門
- 岡田將宏さん(社会人)
- グラフィックアーツ部門
- 引原光音さん(総合学園ヒューマンアカデミー京都校)
- ふくしまメッセンジャーズ賞受賞者
- キャッチコピー部門
- 池田雅春さん(社会人)
- ショート動画部門
- 真山怜大さん(青山学院高等部)
- グラフィックアーツ部門
- 辻直子さん(社会人)
第2部
第2部では「5年間の振り返りとこれから」をテーマに、パネルディスカッションを行いました。
冒頭、ぐぐるナビゲーターの桂三四郎さんから、「2021年に『正しい情報をどう伝えるか』で始まったプロジェクトは、試行錯誤しながら『福島の今』を軸とする発信へ辿りつき、ふくしまメッセンジャーズの発足につながった」と振り返りました。
5年間の成果を報告した友納理緒環境大臣政務官は、「放射線による次世代への健康影響が低いまたは極めて低いと考える人の割合は今年度61.3%と横ばい。当初目標の80%には届かなかったものの、極めて低いと回答した人は22.6%と、5年間で最も高い数値となった。目標未達の背景には、事故からの時間経過に伴う『情報接触機会の減少』がある。正しい知識が更新されないまま、過去の不確かなイメージだけが固着するリスクが浮き彫りとなった。知識の伝達のみならず、『福島の声』を直接届ける活動が、意識変容の鍵であることを再確認した」と述べました。
続いて大阪大学の大竹文雄特任教授は行動経済学の観点から、「当初の目標設定は『誤解している層を減らす』という損失回避的なものだったが、これを『正しい知識を持つ層を増やす』という利得的なフレームへ変更した。また、UNSCEARのような『権威』の引用以上に、福島にゆかりのある人々の声や『多数派の正しい認識』を伝える方が効果的であるとの知見に基づき、プロジェクトはメッセンジャーズ中心の発信へと舵を切った。これは学術的にも極めて妥当な戦略的転換である」と報告しました。
ディスカッションでは、福島県立医科大学の坪倉正治主任教授は「福島での15年間は、①切実な不安の時期、②情報の飽和と拒否の時期、③歴史化・風化の時期、という3つのステージを経てきた。現在の小中学生にとって震災は既に『歴史』。だからこそ、行政的な説明ではなく、若者が自ら関わり、次世代へバトンを繋ぐ『伝承』の形が必要とされている」とこれまでの活動と今後への期待を寄せました。
ふくしまメッセンジャーズのサポーターとして登壇した高橋彩乃さんは「当初は医療や技術への関心から入り、福島とは距離があったが、プロジェクトを通じて福島が自分の一部、すなわち『自分ごと』になっていった。関東に住む私のような若者が福島の今を気にかけるようになる。こうした『関係人口の創出』こそが、5年間の大きな成果だと思う」とこれまでの活動の感想を述べました。
討議の総括として、専門家や医療者、若者の視点が融合し、「風化」という不可避な課題に対し、若者の参画による「伝承」や活動の「継続」が重要であることが共有されました。環境省は、「放射線の健康影響に関する風評や差別をなくしていく」というテーマそのものが終わるわけではなく、これまで得てきた知見や手法について、形を変えながら継続・進化させていく方針を示しフォーラムは閉幕しました。
- 登壇者
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桂三四郎氏(落語家/ぐぐるプロジェクトナビゲーター)
大竹文雄氏(大阪大学感染症総合教育拠点 副拠点長・特任教授)
坪倉正治氏(福島県立医科大学放射線健康管理学講座 主任教授)※リモート出演
桜井なおみ氏(キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長)※ビデオ出演
箭内夢菜氏(俳優・タレント/ふくしまメッセンジャーズサポーター)
高橋彩乃氏(社会人/ふくしまメッセンジャーズサポーター)
黒澤瑞季氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
齋藤望乃氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
坂田直香氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
佐藤大亮氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
飛田千花氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
吉村春輝氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
渡辺瑠奈氏(ふくしまメッセンジャーズメンバー)
引原光音氏(総合学園ヒューマンアカデミー京都校/ラジエーションカレッジ優秀賞受賞者)
岡田將宏氏(合同会社mouse/ラジエーションカレッジ優秀賞受賞者)
辻直子氏(社会人/ふくしまメッセンジャーズ賞受賞者)
真山怜大氏(青山学院高等部/ふくしまメッセンジャーズ賞受賞者)
友納理緒(環境省環境大臣政務官)
伯野春彦(環境省大臣官房環境保健部部長)




