Q&A(平成29年度版、HTML形式)

第3章 放射線による健康影響

QA3-3 東京電力福島第一原子力発電所事故で放出されたプルトニウムやストロンチウムによる健康影響はありますか。

  • ①どちらも健康に影響はありません。
  • ②事故後に行われた国の土壌調査で検出されたプルトニウム、放射性ストロンチウムのどちらの量も微量で、事故前の測定値と同じ範囲でした。
  • ③なお、今回の原発事故では、粒子質量の大きなプルトニウムが拡散した範囲は、非常に狭い範囲でした。元々自然界にはほとんど存在しないプルトニウムが現在の土壌中に存在しているのは、大気圏内の核実験に由来するものです。またその量もごく僅かですので、健康への影響はありません。

【プルトニウム】
プルトニウムは元々自然界にはほとんど存在しない核種です。しかし、現在では微量ですが土壌中に存在しています。これはインドや中国などによる大気圏内の核実験が1950(昭和25)年から1960(昭和35)年代に盛んに行われ、その後1980(昭和55)年まで続いたことに由来するものです。これが、土壌に吸着されて未だに残っているわけです。今回の事故で測定されたプルトニウムは極めて微量で、上記の核実験に由来するものとほぼ同じレベルであり、この程度であれば、健康への影響はありません。
また、プルトニウムは融点が約640℃、沸点は約3,200℃ですから、セシウムやヨウ素のように低い温度で液化したり気化することはありません。したがって、現時点では健康に影響が出るような量のプルトニウムが広範囲に飛散することはありませんが、今後も調査を継続し、その汚染の広がりを慎重に確認していく必要があります。

【ストロンチウム】
平成23年9月に文部科学省が公表した環境中の放射性ストロンチウムの測定結果によれば、土壌に含まれる放射性ストロンチウムの濃度の平均は、放射性セシウムに比べて100分の1以下と、かなり低い数値です。
測定結果から算出した放射性ストロンチウムによる50年間の積算実効線量は、最も高い地点でも0.12ミリシーベルト(mSv)程度です。つまり、最も高い地点に50年間とどまったとしても、放射性ストロンチウムで被ばくする外部被ばくと内部被ばくを合わせた線量は極めて限られた数値であるといえます。このため、放射性セシウムに関する対策をきちんとしておけば、放射性ストロンチウムに関する対策も十分取れていると考えられます。

(参考資料)
・原子力規制庁「環境放射線データベース」
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top
・東京電力ウェブサイト「福島第一原子力発電所周辺環境への影響|アーカイブ」
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/index2-j.html#anchor05

①放射線医学総合研究所ウェブサイト「放射線被ばくに関するQ&A」、②長崎大学「放射線・放射性物質Q&A(2)」より作成

出典の公開日:①平成23年9月27日、②平成25年3月11日

本資料への収録日:平成29年3月31日

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