開催概要

平成29年7月1日(土)、熊本県水俣市において、水俣条約が発効することを記念して、「水俣条約発効記念行事~発効に向けた水俣からの声~」を開催しました。(環境省、熊本県、水俣市および国連環境計画の共催)

イベントでは、ソールハイム国連環境計画事務局長や水俣条約政府間交渉委員会のルグリス議長、西田水俣市長をはじめとする水俣の人々らが、水俣条約への期待や水銀汚染のない世界を願う「水俣からの声」を発信しました。

第1部

関芳弘環境副大臣 開会挨拶

関芳弘環境副大臣

水俣条約が近く発効することを心から歓迎するとともに、水俣条約の取りまとめに尽力した多くの方々への感謝を述べました。また、日本は世界の水銀対策をリードする役割を担い、これからも途上国支援を推進し、グローバルな「マーキュリー・ミニマム」の環境が実現されるよう、全力を尽くす決意を述べました。

エリック・ソールハイム国連環境計画事務局長 開会挨拶

エリック・ソールハイム国連環境計画事務局長

水俣条約発効に向けて努力した関係機関や水俣の人々へ感謝の言葉を述べるとともに、当日水俣病患者に面会して、力強さに感銘を受けたことを紹介しました。そして、水俣条約の発効によって、水銀汚染を世界からなくすという成功物語をつくっていく決意と、それにより、水俣の苦痛を希望に変えていこうとする意志を述べました。

田嶋徹 熊本県副知事 開会挨拶

田嶋徹 熊本県副知事

2013年の外交会議の開催地として水俣条約の発効を歓迎するとともに、条約の名称にこめられているように、水俣病のような悲劇が二度と繰り返されないよう、地球規模での水銀削減が加速する願いを述べました。また、熊本県として、今後も水俣病の経験・教訓を世界に発信し、水銀フリー社会の実現に向けて、様々な施策に取り組んでいく決意を述べました。

マーク・シャルドネンス スイス環境局長官 ビデオメッセ―ジ

マーク・シャルドネンス スイス環境局長官

水俣条約の発効は、地球と人類を守る新たな時代の幕開けであり、条約によりその道筋を共有することができると述べました。また、スイス政府として水俣条約第1回締約国会議をホストできることを光栄に思うとともに、水銀汚染をなくすためにみんなで取り組んでいきたいと述べました。

石井菜穂子 地球環境ファシリティ統括管理責任者 ビデオメッセ―ジ

石井菜穂子 地球環境ファシリティ統括管理責任者

水俣条約の発効は、水俣病のような悲劇が二度と起こってはならないという被害者の願いの実現につながるものであると述べるとともに、まだ課題も残っており、みんなが協力して解決策を見つける必要があると述べました。また、水俣条約を地球規模の取組とするためにも、全ての国が条約を批准する必要があるとし、地球環境ファシリティとしても各国政府へ支援していくと述べました。

水俣市中学生のメッセージ

水俣市の中学校から8名の生徒が登壇し、「世界中の人たちが水銀で涙を流さない世の中にしましょう」、「子供に水銀を使う仕事をさせないようにしましょう」、「世界の皆さん、水俣に来て水銀のことを学んでください」、「水俣条約で世界を守りましょう」といったメッセージを世界に向けて発信しました。

第2部

フェルナンド・ルグリス 水俣条約政府間交渉委員会議長 記念講演

水俣条約発効に尽力した関係者に対して感謝の意を述べるとともに、この歴史的瞬間を水俣の人々と共に祝福できて光栄であると述べました。また、水銀による人類の健康・環境への脅威に立ち向かうための正しい方向に向かっており、水俣条約により世界規模で水銀の脅威に立ち向かうことができると述べました。さらに、水俣条約第1回締約国会議では、水俣の人々とともに、水銀の歴史をつくっていきたいと述べました。

水俣トーク:西田弘志 水俣市長

子供たちに水俣出身であることに自信を持ってもらいたいという思いから、水俣病について正しく学ぶ取り組みや、環境保護活動等の取り組みを進めてきた経緯を説明しました。また、水俣条約の発効は、世界中の人々にプラスになるとともに、水俣市民の誇りにもなると確信していると述べました。

水俣トーク:宮本勝彬 前水俣市長

健康や命より重たいものはないと述べ、水俣条約が、命の大切さを最優先させることの重要さを世界中の人々が立ち止まって考える機会となり、豊かな人生を送る「指針」になることを祈念しました。

水俣トーク:緒方正実 語り部の会会長

水俣条約の発効は、水銀被害で失われた生命が無駄にならない瞬間であると受け止めていると述べ、水俣病のような悲劇を二度と繰り返さないために、次世代のためにも水俣条約を通じた土台づくりをすることが我々の責任であると述べました。また、水俣病を水俣条約として世界の教訓につなげたことは水俣の人々の誇りであり、水俣条約を通して世界の尊い生命を救うことにつながると信じていると述べました。

水俣トーク:青年海外協力隊 薗畠ひとみ氏 ビデオメッセージ

青年海外協力隊 薗畠ひとみ氏 ビデオメッセージ

現在中米のパナマ市で行っている、子供やコミュニティに向けた廃棄物管理に関する環境教育活動を紹介し、ごみ分別の習慣がない国における水銀を含む廃棄物の処理の難しさについて触れながら、水俣病や水銀について身の回りの人に伝えるアクションが条約の実施において重要であると述べました。

水俣トーク:水俣高校生徒 有田雪菜さん

水俣高校生徒 有田雪菜さん

自ら描いた絵が外交会議で配布されたタンブラーの絵の1つに採用されたことで、日常生活が世界につながることを実感したこと、環境モデル都市の水俣市民として環境問題への意識が高まり、身近なことから変えていこうという意識に変わったことを紹介し、みんなが環境問題に興味を持ってほしいというメッセージを述べました。

水俣トーク:水俣条約暫定事務局 クラウディア・テン・ハーヴ氏

水俣条約暫定事務局 クラウディア・テン・ハーヴ氏

外交会議で配布されたタンブラーの絵を描いた有田さんに会えたことの喜びを述べ、小さなことでも後に大きな影響をもたらすことを実感したと述べました。また、「水俣」は、問題に立ち向かったとても勇敢な水俣の人々を示す明るい言葉であると述べるとともに、水俣の人々と一緒に水銀汚染を世界からなくすよう取り組んでいきたいと述べました。

水俣トーク:西田弘志水俣市長、登壇者全員

西田弘志水俣市長、登壇者全員

水銀汚染のない世界を実現していくためには、若い世代を育てることが重要であると述べ、水俣で生まれ育った人のみならず、世界中から水俣を訪れるすべての人々が水俣の宝であり、世界の貴重な人材であると述べました。そして、水俣にある水銀対策関係の施設とともに、美しい自然を紹介し、水俣を訪れて、環境保全や水銀対策の大切さを学び、感じてほしいと述べました。

望月靖 国立水俣病総合研究センター所長 閉会挨拶

望月靖 国立水俣病総合研究センター所長

本日の行事において、あらためて水俣の力を実感したことを述べるとともに、世界の人々に対して、水銀対策の大切さを訴える水俣の声にこれからも耳を傾けるよう呼びかけました。そして、水俣病総合研究センターとしても今後できる限りの国際協力をしていくとともに、「マーキュリー・ミニマム」の環境実現に向けた期待を表しました。

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