水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の
救済措置の方針

平成22年4月16日
閣議決定

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 水俣病は、その発生から半世紀以上にわたり、水俣病の被害者に多大な苦痛を強いるとともに、地域社会に深刻な影響を及ぼしており、今なお新たに多くの方々が救済を求めている。こうした事態を看過することはできないことから、救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め、 その救済を図るため、水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法(以下「特措法」という。)が制定された。
 特措法に基づく取組に関しては、いのちを守るとの基本的な考え方の下、これまで関係各方面から広く意見を聞くよう努めてきたところであり、水俣病被害者を迅速にかつあたう限り救済するため、メチル水銀へのばく露や症状に関する要件を適正で可能な限り幅広いものとし、また、対 象となる方の判定のプロセスを公正で可能な限り丁寧なものとすることとして、検討を行ってきた。
 このような検討の結果を踏まえ、特措法第5条及び第6条の規定に基づき、救済措置の方針を次のとおり定める。


1.救済措置

水俣病が生ずる原因となったメチル水銀を排出した事業者(以下、「関係事業者」といいます。)であるチッソ株式会社、昭和電工株式会社の責任と、平成16年のいわゆる関西訴訟最高裁判所判 決において公害防止政策が不十分であったと認められた国及び熊本県の責任とを踏まえて、水俣病被害者の方々をあたう限りすべて、迅速に救済します。
 このような基本的考え方の下、以下のような措置を行います。


(1)対象となる方

通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた(メチル水銀を体内に取り入れること)可能性がある方のうち、
(ア) 四肢末梢優位の感覚障害(手足の先の方の感覚が鈍いこと)を有する方
に加え、(ア)に当たらない方であっても、
  (イ) 全身性の感覚障害を有する方その他の四肢末梢優位の感覚障害を有する方に準ずる方
を対象と します。
通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性がある方とは、 熊本県及び鹿児島県においては、昭和43年12月31日以前、新潟県においては、昭和40年12月31日以前に、
  (ア) ③に定める「対象地域」に相当の期間(注1)居住していたため、熊本県及び鹿児島県においては水俣湾又はその周辺水域の魚介類を多食したと認められる方、あるいは、新潟県においては阿賀野川の魚介類を多食したと認められる方
に加え、上記と同様の年月日以前に、
  (イ) 「対象地域」に相当の期間居住していなかった方であっても、熊本県及び鹿児島県においては水俣湾又はその周辺水域の魚介類を、新潟県においては阿賀野川の魚介類を多食したとそれぞれ認めるのに相当な理由がある方(母体を経由してメチル水銀のばく露を受けた可能性がある場合を含みます(注2))
とします。

(注1)  1年以上とします。
(注2)  熊本県及び鹿児島県においては昭和44年11月末までに生まれた方、あるいは、新潟県においては昭和41年11月末までに生まれた方については、胎児期のばく露の可能性を考慮して、救済措置の地域要件(③に詳述)、症候要件((2)⑥に詳述)と併せて総合的に判断することとします。
また、熊本県及び鹿児島県においては昭和44年11月末以降に、新潟県においては昭和41年11月末以降に生まれた方であっても、臍帯、胎毛筆(赤ちゃん筆)の毛又は(妊娠中の)母親の毛髪における高濃度のメチル水銀のばく露の可能性を示すデータなどの科学的なデータのある方については、どこでメチル水銀のばく露を受けた可能性があるか原因を確認した上で、救済措置の地域要件、症候要件と併せて総合的に判断することとします。

 「対象地域」とは、そこに居住している方が、通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けた可能性があり、水俣病患者が多発した地域として関係県が具体的に定める地域です。なお、この地域に相当の期間居住していなくても、②(イ)に当たる方は、①の症状があれば対象となります。
 亡くなられた方については、認定審査会の提出資料その他公的な診断による資料がある方は、その資料により申請することができます。(2)による判定の結果、対象となられた場合には、遺族の方に一時金を支給します。

(2)対象となる方の判定方法

 国及び関係県は、申請受付の広報を徹底し、救済措置を受ける必要のある方が、確実に申請していただけるよう努めます。
 一時金等の申請をした方は、関係県が指定する医療機関(注3)(以下、「指定医療機関」といいます。)の医師による診断を受けていただきます。
 関係県は、各県が設置する判定検討会の意見を聴いて、一時金等対象者を判定します。
 判定検討会における一時金等対象者の判定は、指定医療機関の医師による診断の検査所見書及び申請者が任意に提出する医師(注4)の診断書(以下、「提出診断書」といいます。)を総合して行います(注5)。

(注3) 指定医療機関
  国立水俣病総合研究センター及び神経科若しくは神経内科があり、かつ、次の(a)(b)の要件のいずれをも満たす医師が在籍している公的医療機関から、申請される方の利便の観点から所在地を勘案して県が指定する機関とします。
  (a) 現在、神経内科、神経科又は精神科のある医療機関に在籍していること。
(b) 一定の施設基準を満たす医療機関に3年以上在籍した経験を有し、かつ、1年以上の臨床神経学的診療経験を有すること。
(注4)申請者が任意に提出する、提出診断書を発行する医師の要件
 (a)及び(b)の要件のいずれをも満たす医師とします。
(注5)なお、④の提出診断書が申請から3ヶ月以内に提出されなかった場合は、検査所見書のみによって判定を行うことになります。
 検査所見書の様式は、申請する方の居住歴などメチル水銀ばく露に関する疫学要件や提出診断書における診断内容等が参照しやすいものを、環境大臣が定めます。
 対象となる症状
  (ア)検査所見書と提出診断書の両方の診断書において四肢末梢優位又は全身性の感覚障害がある場合は、対象となります。
  (イ)四肢末梢優位の乖離性の感覚障害は、全身性の感覚障害と同等に扱います。
  (ウ)(ア)に該当しない場合で、いずれか一方の診断書において四肢末梢優位又は全身性の感覚障害がある場合は、他方の診断書における次の所見を踏まえ、判定検討会における総合判断により判定します。
・口周囲の触覚又は痛覚の感覚障害
・舌の二点識別覚の障害
・求心性視野狭窄

 提出された資料のみでは四肢末梢優位の感覚障害などが認められない方であっても、ご家族の中に既に認定患者となられた方がいらっしゃるなど、メチル水銀の影響を受けた可能性が高い一定の要件を満たすと判定検討会が認める方については、判定検討会は、もう1回、検査所見書又は提出診断書の追加提出を受け付け、再検討することとします。
 なお、関係県が判定検討会の委員を選任する際には、原則として、判定を受けられる個々人の検査所見書又は提出診断書を作成した医師を選任しないこととします。しかし、選任すべき特段の理由がある場合は、これを認めることとします。この場合は、当該委員が作成した診断書を用いた判定には参加できないこととし、この判定には、別途選任する臨時委員が参加できることとします。

(3)支給内容

 一時金等対象者となることが決まった方は、以下の支給が受けられることとなります。


 一時金
   関係事業者は、一時金等対象者に対して、一時金として次の金額を支給します(注6)。

(注6)  ここでの関係事業者とは、熊本県及び鹿児島県関係はチッソ株式会社、新潟県関係は昭和電工株式会社を指します。以下、支給等に関する規定については、同じとします。

  (ア) 一時金等対象者一人当たりの金額 210万円
  (イ) 一時金等対象者であって、一時金の支給等を要望する活動を行ってきた次の団体に所属している方に関しては、一人当たりの金額の他に一定の金額を加算します。この金額については所属する団体ごとに次に定める金額とします。
水俣病出水の会 20億円
 上記金額のほか、社会福祉法人を設立し、鹿児島県出水市又は近隣市町村において、胎児性水俣病患者等の地域生活支援事業を行うための施設整備費及び10年以上の運営費に充てる金額として9億5千万円を同団体に所属している一時金等対象者に加算します。
水俣病被害者芦北の会 1億6千万円
水俣病被害者獅子島の会 4千万円
  (ウ) 一時金の加算金額は、当該団体に対し一括して支給し、団体の合意によりこれを各人に対して配分するものとします。その支給に当たっては、団体の会員の方々が、団体として一括して一時金の加算金額の支給を受けること及び関係事業者や国・関係県との間で争いのある状態を終了させることについて合意することが必要です。

 療養費
   関係県は、一時金等対象者に水俣病被害者手帳を交付します。水俣病被害者手帳の交付を受けた方が、通常起こり得る程度を超えるメチル水銀のばく露を受けたことによって発症すると考えられる症状(以下、「特定症状」といいます。)に関連して、社会保険各法の規定による療養を受けたときは、社会保険の医療費の自己負担分を支給します。
また、関係県は、水俣病被害者手帳の交付を受けた方が特定症状の軽減を図るために、はり師又はきゅう師から、はり又はきゅうの施術を受けたときや、温泉療養を行ったときは、 月7,500円を上限として、要した費用を支給します。
 療養手当
   関係県は、一時金等対象者が特定症状に関連して社会保険各法の規定による療養を受けたときは、療養手当として次の金額を支給します。
入院による療養を受けた方 1月につき1万7,700円
通院による療養を受けた日数が1日以上の70歳以上の方 1月につき1万5,900円
通院による療養を受けた日数が1日以上の70歳未満の方 1月につき1万2,900円

(4)申請の受付

 一時金等の申請は、十分な周知措置を講じた上で、いずれかの時点では、終了することとなりますが、平成7年の政治解決に際しても、その内容を十分に知らなかった、四囲への遠慮から申請を行わなかった、などの事情で申請漏れをした方がいると指摘されていることを考慮して、十分慎重に取り運ぶ必要があります。
 このため、救済措置の開始に当たってはあらかじめ申請の受付の時期を定めることはしませんが、特措法第7条にかんがみ、極力速やかに対象者を確定し支給を行うこととします。
 まずは、平成22年5月1日において保健手帳(注7)の交付を受けている方及び公害健康被害の補償等に関する法律(以下、「補償法」といいます。)第4条第2項の水俣病に係る認定の申請を行っている方で、これらに代えて一時金等の申請を行おうとする方については、原則として平成22年度中にはその申請に基づき判定を終え、一時金等対象者及び2.(3)で定める療養費対象者を確定して救済を行うこととします。
 その上で、新たに救済を求める方については、平成23年末までの申請の状況を、被害者関係団体とも意見交換の上で十分に把握し、申請受付の時期を見極めることとします。

(注7) 水俣病総合対策医療事業の保健手帳のことです。

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2.水俣病被害者手帳

一時金等の対象となる程度の感覚障害を有しないまでも、一定の感覚障害を有する方で、水俣病にも見られる症状のいずれか(注8)を有する方にも、関係県は、水俣病被害者手帳を交付し、水俣病被害者として安心して治療を受けていただけるようにします。

(注8) 具体的には、次の10症状。
 しびれ、ふるえ、カラス曲がり(こむら返り、痙攣、足がつる)、見える範囲が狭い・はっきり見えない、耳が遠い・耳鳴り、味覚・嗅覚の異常、言葉を正確に発せない、めまい・立ち眩み、つまずきやすい・ふらつく、物を落としやすい・手足の脱力感。

(1)  水俣病被害者手帳は、これを病院で提示すると医療費の自己負担分の支払が不要となる手帳です。 1.(3)②に定められた療養費の支給を受けることができます。
(2)  水俣病被害者手帳は、一時金等の受付を開始した後、速やかに、少なくとも3ヶ月以内に交付を開始することとします。
(3)  水俣病被害者手帳の交付開始に伴い、保健手帳はこれに統合することとし、以下に定める療養費対象者に交付します。
  現に保健手帳の交付を受けている方であって、今後も療養費の支給のみを求める方(すなわち、水俣病に係る、一時金等の申請、補償法第4条第2項の認定の申請又は裁判による請求をしない方)に対しては、公的診断や判定を受ける必要はないこととし、3ヶ月以内に水俣病被害者手帳への切り替えを実施します。
 一時金等の申請をした方については、その方が一時金等対象者と判定されて1.(3)②により水俣病被害者手帳の交付を受けている場合のほか、一時金等対象者と判定されなかった場合にも、一定の感覚障害を有する方で、水俣病にも見られる症状のいずれかを有すると判定された方に、水俣病被害者手帳を交付します。
  手帳の統合に伴い、保健手帳の申請・交付はなくなりますが、1.(4)のとおり当分の間は、一時金等の申請を受け付けていますので、症状に不安のある方は、その申請をして、一定の感覚障害を有する方で、水俣病にも見られる症状のいずれかが認められれば、水俣病被害者手帳が交付され、安んじて医療を受けることができることとなります。

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3.その他


(1)  関係事業者、国及び熊本県は、直近の適切な機会において、水俣湾の周辺地域及び阿賀野川流域における、すべての水俣病被害者の方々に対し、おわびの意を表します。
(2)  1.及び2.の施策の実施に当たっては、国、関係県及び関係事業者は、緊密に連絡をとりつつ実施体制を整備し、また、申請を行う方にその内容を丁寧に説明するとともにご意見を伺うよう努め、円滑な申請を行うことができるように心がけることとします。
(3)  一時金については、関係事業者、国及び関係県との間で争いのある状態を終了させ、今後とも争わない旨の協定を関係事業者との間で締結の上、支給するものとします。また、一時金のうち1.(3)①(イ)により加算される金額については、1.(3)①(イ)に掲げる各団体と関係事業者、国及び関係県との間で争いのある状態を終了させ、今後とも争わない旨の協定を関係事業者との間で締結の上、一括して支給するものとします。
(4)  既に水俣病に係る補償又は救済を受けた方及び補償法第4条第2項の認定の申請、訴訟の提起その他の救済措置以外の手段により水俣病に係る損害のてん補等を受けることを希望している方は、一時金等対象者又は療養費対象者となることはできません。また、一時金等対象者となる方は、今後ともこれらの手段を取らないように約束していただきます。水俣病被害者手帳の交付を受けながらこれらの手段を取ることができないことも同様です。
(5)  環境大臣は、特措法第4章の規定に基づき、公的支援を受けている関係事業者の経営形態の見直しが行われる場合には、個別補償協定に係る補償債務の履行や特措法の救済措置の実施が確実に果たされるように対応します。
(6)  国、関係県及び関係事業者は、特措法第7条にかんがみ、裁判による解決を求めている方とも、争いのある状態を早期に終了できるよう取り組みます。
(7)  この救済措置の方針の細目その他実施に必要な事項は、環境大臣が別に定めます。

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(参考資料)


 救済措置の実施と併せて行う、水俣病発生地域における地域再生・振興及び健康調査・環境調査等に係る施策の具体的事項について

 国及び関係地方公共団体は、引き続き水俣病問題に真剣に向き合い取り組むこととし、関係事業者による取組や地域の幅広い関係者と連携協力しつつ、次のような施策を進めます。


1.医療・福祉施策

(1)  高齢化が進む胎児性患者とその家族の方など関係の方々が安心して住み慣れた地域で暮らしていけるよう、国、関係地方公共団体、関係事業者及び公益団体などの協力の下、必要な通所やショートステイ等の在宅支援サービス、地域の医療との連携などの医療・福祉施策について所要の取組を行います。
(2)  一時金等対象者又は療養費対象者のうち、熊本県天草市御所浦町と鹿児島県出水郡長島町獅子島などの離島(島外の医療機関への交通手段が船舶又は航空機以外にない島をいいます。)に居住する方が、月1回以上、島外の病院に通院した場合には、関係県は離島加算を支給します。

2.地域社会の絆の修復

 水俣病に関する偏見・差別の解消と、水俣病問題で疲弊した地域の再生を図るため、地域社会の絆の修復、地域の再生・融和(もやい直し)について所要の取組を行います。


3.水俣病に関する健康調査

 水俣病に関する調査研究を進め、水俣病被害者の方などの症状の改善、地域全体の環境管理に役立てていきます。

(1)  メチル水銀が人の健康に与える影響を把握するための調査研究(健康不安者のフォローアップ)
 将来に水俣病被害者が存在するか否かの可能性とそれに関する対応については、今後の調査研究による新しい知見によるべきものですが、当分の間、過去に相当の期間、熊本県及び鹿児島県においては水俣湾又はその周辺水域の魚介類を食べたことに伴い、あるいは、新潟県においては阿賀野川流域の魚介類を食べたことに伴い、健康不安を訴える方について、以下のとおり健康診査等を実施し、その推移をモニタリングします。
対象
  (ア) 一時金等の申請を行った方で、一時金等対象者又は療養費対象者のいずれにもならないとされた方のうち、熊本県及び鹿児島県においては、昭和49年末までに1年以上、水俣湾又はその周辺水域の魚介類を、新潟県においては、昭和46年末までに1年以上、阿賀野川流域の魚介類を食べたことに伴い、健康不安を訴え、登録する方
  (イ) 平成22年5月1日現在において補償法上の認定申請を行っている方で、一時金等の受付が終了した後に棄却処分となって一時金等の対象とならなくなった方のうち、熊本県及び鹿児島県においては、昭和49年末までに1年以上、水俣湾又はその周辺水域の魚介類を、新潟県においては、昭和46年末までに1年以上、阿賀野川流域の魚介類を食べたことに伴い、健康不安を訴え、登録する方
内容
  (ア) 健康に不安のある方を登録して、医師による健康診査、保健師による保健指導が無償で受けられるようにします。
  (イ) 希望者には、必要に応じて、国立水俣病総合研究センターが実施する研究に参加し、脳磁計(MEG)等による高度な検査が受けられるようにします。なお、この研究では、今回の一時金等の対象となった方も含め、幅広い方々の参加を求めていきます。
(2) 高度な治療に関する調査研究
 胎児期に脳がメチル水銀の影響を受けたことによりしびれや疼痛、不随意運動などがある者に対して脳磁計などの検査を行い、障害部位を特定し、将来的に磁気刺激や電気刺激などによる治療に結びつけるための研究を行います。
(3)  効果的な疫学調査を行うための手法の開発
 関係する地域に居住している方の水俣病に関する不安を解決することに向け、関係者の協力や参加の下、毛髪中水銀値等の過去のメチル水銀ばく露データを持っている方について、高ばく露地域に居住していた集団、低ばく露地域に居住していた集団、対照集団に分けて、それぞれ、長期的に健康状態の追跡調査を行いながら、水銀値及び健康影響との関係について、比較して分析を行います。
(4)その他の健康調査
 以下のような健康調査を継続して行っていきます。
・胎児期のメチル水銀の低濃度ばく露による健康影響に関する研究
・メチル水銀に対する細胞感受性の解明など水俣病の発症機序に関する研究
・メチル水銀ばく露による健康影響に関する国際的なレビュー

4.水質汚濁状況の監視の実施

 原因企業が排出したメチル水銀による環境汚染を将来にわたって防止するため、水質汚濁の状況の継続的な監視やその他必要な所要の措置を講じます。


5.国際協力

メチル水銀に関する海外の研究者や環境・公害行政の担当者等の受入れを積極的に行い、国内の研究者や行政担当者との交流を進めます。また、国内でのメチル水銀に関する研究成果や水俣病の教訓などを、国内外に広く発信していきます。加えて、水俣病発生地域の研究者や行政担当者、技術専門家、水俣病被害者などを、現在、公害問題の発生している開発途上国や新興国に派遣し、直接、研究成果や知見、技術、教訓などを伝えていきます。


6.国立水俣病総合研究センター

水俣病における医療・福祉や調査研究、国内外への情報発信等において中核となるような役割を適切に果たすこととします。


7.環境教育・学習、環境モデル都市としての取組、その他の地域振興

水俣市の進める環境モデル都市づくりや、みなまた環境大学構想の検討に協力するとともに、水俣病に関する経験と教訓を学ぶ学校・企業・団体研修等の受け入れ、環境教育プログラムの充実、市民や企業による環境学習や環境意識啓発を積極的に進めるなど、水俣病発生地域が、地域内外の環境人材育成を図るための拠点となって、幅広い世代への環境教育を積極的に進めます。
 新潟においても、阿賀野川流域の環境資源を活用した地域づくりや環境学習を行うフィールドミュージアム事業、環境と人間のふれあい館を活用した環境学習・体験学習など、地域に根付いた取組を積極的に進めます。
 また、環境に対する高い市民意識や蓄積された環境産業技術、美しい自然や豊富な地域資源などを積極的に活かして、エコツーリズムをはじめ、環境負荷を少なくしつつ、経済発展する新しい形の地域づくりを積極的に進めます。


(以上)


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