1.日時 平成26年12月24日(水)13:30~15:16
2.場所 一般財団法人日本気象協会 第一・第二会議室
3.出席者(五十音順敬称略)
- (委員)
- 秋元 肇 板野 泰之 井上 和也 指宿 堯嗣 大原 利眞
金谷 有剛 坂本 和彦 紫竹 益吉 下原 孝章
竹内 庸夫 橋本 光正 八田 拓士 星 純也 若松 伸司
(欠席者)
岩崎 好陽 浦野 紘平 向井 人史 - (事務局)
- 環境省水・大気環境局大気環境課 是澤課長、伊藤総括補佐、小林課長補佐
一般財団法人日本気象協会
4.議題
(1)シミュレーション解析の結果について
(2)今後の予定について
(3)その他
5.配付資料
- 資料1
- 光化学オキシダント解析作業部会における検討状況
- 資料2
- シミュレーションを用いた解析
- 資料3
- シミュレーションを用いた解析結果
- 資料4
- 今後の予定について
- 参考資料1
- 平成26年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱
- 参考資料2
- 平成26年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)議事録
- 参考資料3
- 平成26年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)議事録要旨
- 参考資料4
- シミュレーションの条件設定
- 参考資料5
- 排出インベントリデータの整理
- 参考資料6
- シミュレーションを用いた解析結果について
(遠隔地モニタリングデータを用いたバリデーション) - 参考資料7
- シミュレーションを用いた解析結果について
(気象モデルの精度検証(関東地域対象)) - 参考資料8
- シミュレーションを用いた解析結果について
(大気質モデルの精度検証(関東地域対象))
6.議事
事務局 定刻になりましたので、ただいまから「第2回平成26年度光化学オキシダント調査検討会」を開催させていただきます。皆様、本日は年末のお忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
欠席の委員でございますが、本日は岩崎委員、浦野委員、向井委員が欠席となっております。
続きまして、本日の議題の資料の確認をさせていただきます。
議事次第
座席表
資料1「光化学オキシダント解析作業部会における検討状況」
資料2「シミュレーションを用いた解析」
資料3「シミュレーションを用いた解析結果」
資料4「今後の予定について」
参考資料1「平成26年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱」
参考資料2「平成26年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)議事録」
参考資料3「平成26年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)議事要旨」
参考資料4「シミュレーションの条件設定」
参考資料5「排出インベントリデータの整理」
参考資料6「シミュレーションを用いた解析結果について
(遠隔地モニタリングデータを用いたバリデーション)」
参考資料7「シミュレーションを用いた解析結果について
(気象モデルの精度検証(関東地域対象))」
参考資料8「シミュレーションを用いた解析結果について
(大気質モデルの精度検証(関東地域対象))」
さらに、お手元に昨年度の検討会の報告書を用意しておりますので、それも併せてご確認ください。すべておそろいでしょうか。不足がありましたら、事務局までお申し出ください。
プレス関係の皆様にお願いいたしますが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが議事に移ります。これ以降の議事進行は秋元座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
秋元座長 座長を仰せつかっております秋元でございます。よろしくお願いいたします。
実は、前回の本年度第1回の検討会、もちろん私は出なければいけなかったのですが、急遽海外出張が入りまして、座長を大原さんに代行していただきまして本当にありがとうございました。また、皆さんにおわび申し上げたいと思います。
今年度初めて私が出席しますので、最初に全体の流れについて一言ご挨拶しておきたいと思います。
PM2.5とかオゾン、オキシダント、こういうようないわゆる複合的な二次汚染物質、二次汚染問題に関してトレンドその他、変動がどうなっているかを解析するに当たっては大気化学、大気環境学、そういったような科学的なロジックに基づいた、まずは定性的、半定量的でいいのですが、そういうロジックに基づいた要因解析が非常に重要だと思います。過去、前年度までの2年間の本検討会でのデータ解析ではそういう線に沿った解析を行ってきて、前年度の報告書、今お手元にある報告書ができたわけです。
それに基づいて今年度と来年度にはこうしたロジックに沿ったシミュレーション解析による変動要因の定量化に基づいて対策の評価をしていくという話になっていこうかと思います。
そういうことで今年度来年度はモデリングを用いたシミュレーション解析を行うわけですが、モデルに関しては、まず、観測データによるモデルの検証が一義的に非常に重要でして、検証のないモデルというのは数学のお遊びに過ぎないということになってしまいますので、そのモデルの検証が非常に重要です。本年度はどういうモデルを使ってどの程度に現在のモニタリングデータを再現できるのかというような検証を行うというのが主な作業で、実質的な変動要因の解析ですとか対策の評価とかは来年度に引き継ぐというのが全体の流れかと思います。
そういうわけですので、特に今年度は、前回もお話があったかと思いますが、この検討会の中に作業部会というのを設けさせていただきまして、大原さんに作業部会の部会長というんでしょうか委員長というんでしょうか、それをお願いしまして、作業部会でシミュレーションモデルに関するテクニカルな話、何を使ってどういう手順でやるかというようなそういう細かい話はそこで詰めていただく。作業部会の方々の了解を得たものがこの検討会に出てくるという、そういうふうにしたいと思いましてお願いしてございます。
その中で、今日の話にも当然出てくると思うんですが、そもそもこの検討会の始まりのとき、VOCの対策は削減がかなり進んでいるにもかかわらずオキシダントが減っていないのではないかというようなことから始まったということもあって、VOCをどう扱うかというのは今後このモデルの中でも非常に重要になってまいります。VOCと一言で言いましても、VOCには3つの側面があります。有害汚染物質としてのVOC、発がん物質だとか変異原性だとかそういうものをVOCとして規制しなければいけないもの。それから、ここで今問題になっているオキシダント対策、オキシダントの要因としてのVOC、これは昔から言われているわけです。それから、最近話題になっているPM2.5のソースもVOCがメインを占めておりますので、PM2.5のソースとしてのVOC。その3つの側面を、規制するほうからいうと同時に考えていかなければいけない。それがこれまで必ずしもきちんと分けて考えられていなかったという現状があるかと思います。
ある種のVOCはその3つ、有害でもありオキシダントの原因にもなりPM2.5の原因にもなるという類いのものもありますけれども、あるものは有害性はあるけれどもオキシダントやPM2.5には関係ない。あるものは、オキシダントは促進するけれどもPM2.5は作らない、逆の場合もあります。そういう幾つかのケースがございますので、その辺もモデルを動かすときにどういうVOCを対象とするか、特にエミッションインベントリとの関係になりますけれども、そういうものをきちんと整理していくのも今年度の1つの作業になるかと思います。
本来はPM2.5とオゾン、オキシダントというのは表裏一体のもので、本当は分けて考えるのはおかしいですけれども、モデルに関しましても、オゾンに対するモデルはかなり成熟度が高いのに対して、PM2.5のモデルはまだ今は発展段階にあるというようなこともあって、一遍に全部を扱うのは実務的には必ずしもいいことではないかと思います。少なくともこの検討会では、オキシダントをターゲットにしたモデルということでやっていくことになるかと思います。
全体論として申し上げておきたいのはそのぐらいで、あとは個別の問題が出てきたときにまたコメントさせていただこうかと思います。
議題(1)光化学オキシダント解析作業部会における検討状況について(資料1)
秋元座長 では、ここから議事に入りまして、まず議題(1)、光化学オキシダント解析作業部会における検討状況、シミュレーション解析の結果について、事務局からご説明をお願いいたします。
事務局 それでは、資料1「光化学オキシダント解析作業部会における検討状況」についてご説明いたします。
光化学オキシダント解析作業部会はこれまでに2回開催され、シミュレーションを用いた解析方法、図1に検討状況を流れにしましたのでそれと併せてごらんいただくとわかりやすいかと思うんですが、解析項目①~⑤、①シミュレーションの条件設定、②モデルのバリデーション、③排出インベントリデータの整理、④不確実性の検討(植物起源VOC及び未把握VOC)、⑤光化学オキシダント濃度に影響を及ぼす要因の解析について、まず解析方法について検討いたしました。
さらに、第2回解析作業部会を12月9日に開催いたしまして、シミュレーションを用いた解析結果について検討しております。検討対象といたしましては、①シミュレーションの条件設定、②モデルのバリデーション(気象・大気質モデルの精度検証)、③排出インベントリデータの整理、この3点について検討いたしました。
第2回検討会、本日においては、シミュレーションを用いた解析結果についてということで、作業部会における検討状況の報告及びシミュレーションを用いた解析結果(第2回解析作業部会の①~③)についてご報告いたします。また、今後の予定についても議題といたしたいと思います。
以上で説明を終わります。
秋元座長 ありがとうございました。まず、全体説明に何かご意見、コメントなりご質問がありましたらばお願いいたします。
前回、第1回目の話に沿ったことだと思いますが、この間に2回作業部会が開かれているということです。それを踏まえた結果が今日この後紹介されるということですが、何かご質問はありますか。よろしいでしょうか。
議題(2)シミュレーションを用いた解析について(資料2)
秋元座長 よろしければ2つ目の議題、シミュレーションを用いた解析について、事務局からお願いいたします。
事務局 では、資料2、シミュレーションを用いた解析についてご説明いたします。
作業部会においてはシミュレーションを用いた解析方法及び解析結果について検討を行いました。以下に検討内容を整理いたしました。
作業部会における検討内容といたしまして、シミュレーションを用いた解析方法の検討についてご説明します。シミュレーションを用いた解析方法に関して、①シミュレーションの条件設定、②モデルのバリデーション、③排出インベントリデータの整理、④不確実性の検討(植物起源VOC及び未把握VOC)、⑤格子間隔の差による濃度再現性の評価(5kmと10km)、⑥光化学オキシダント濃度に影響を及ぼす要因の解析の項目について検討いたしました。なお、⑤格子間隔の差による濃度再現性の評価(5kmと10km)については新たに設定した項目です。以下に①~⑥それぞれの項目について検討内容を示しました。なお、詳細については資料3において説明いたします。
まず、①シミュレーションの条件設定ですが、ここでは計算領域の設定方法について検討いたしました。これは本資料対応済みで、具体的な項目としては、東アジア領域の見直し、CMAQの大気質の領域の見直し、九州領域の見直しがあります。
次に、大気質境界値データの精度及びデータの連続性について。これは今回の検討会ではまだ対応しておりませんが、今後対応する予定にしております。
②モデルのバリデーションに関しては、対象期間及び検証地点についてということで、具体的には、対象期間3断面を設定していたんですが、各年対象とする、また、検証地点の追加というふうな点について検討いたしました。
③排出インベントリデータの整理ということで、整理対象年及び補完方法について、これは対応済みです。インベントリデータについては整理対象年3断面を設定していたんですが、毎年のインベントリデータを作ることにいたしましたので、対応済みとなっております。
植物起源VOCのインベントリについても対応済みで、当初、EAGrid2000というデータを使用予定だったんですが、MEGANというデータを使ってインベントリを作成しております。
④不確実性の検討ということで、未把握VOCの評価方法について検討いたしました。
⑤格子間隔の差による濃度再現性の評価ということで、今後解析を行っていく上で、現在設定をしております10kmで再現性の点から適切かどうかを5kmの結果と比較しておくほうがよいだろうという意見が作業部会において出ましたので、⑤の項目を設けております。
⑥光化学オキシダント濃度に影響を及ぼす要因の解析ということで、前駆物質排出量抑制対策の効果検討のための感度解析手法について検討いたしました。また、解析基準年の設定の方法についても検討いたしております。
2ページ目をみていただきますでしょうか。シミュレーションを用いた解析結果について①~③について作業部会の中で検討いたしました。
具体的には、①シミュレーションの条件設定では、東アジア領域における大気質境界値の設定方法は対応済み、WRFの計算方法については今後検討していきたいと思っております。
②モデルのバリデーションということで、遠隔地モニタリングデータを用いたバリデーションの結果について検討いたしました。今回報告する内容になります。
2番目として、海外の精度検証地点の追加および気象モデルの精度検証項目の追加になります。東アジア域について10km格子と60km格子の計算結果の比較について。最後に大気質モデルの精度検証方法及び精度検証地点の選定については、これは国内の観測地点で関東の郊外を代表地点として太田市を選んだということで対応済みになっております。
③排出インベントリデータの整理については、植物起源VOCインベントリデータの整理方法については今後検討いたします。最後に国内排出インベントリの補完方法について、これは一部対応済みになっております。
以上で説明を終わります。
秋元座長 どうもありがとうございました。今の資料2は解析をこういう方法でやりましたということで、中身のほうは次の資料3になりますが、こういう条件設定、格子間隔をこういうふうにしましたというご説明に対して、何かこの時点でコメントはございますでしょうか。
この項目だけ見ていいか悪いかわからないかはないと思うので、後で具体的な結果と照らし合わせながら、どこをどうしたらいいということが出てくると思います。資料2についてはよろしいでしょうか。では、実質的な中身のほうに進みたいと思います。
議題(3)シミュレーションを用いた解析結果について(資料3)
秋元座長 資料3についての説明をよろしくお願いいたします。
事務局 では、資料3について説明いたします。シミュレーションを用いた解析結果ということで、1ページ目に項目を整理しております。1.シミュレーションの条件設定、1.1.シミュレーションの条件設定、1.2.境界条件の設定、2.排出インベントリデータの整理、2.1.インベントリデータの整理方法、2.2.東アジアの発生源インベントリデータの整理、2.3.国内の発生源インベントリデータの整理、3.モデルのバリデーション、3.1.遠隔地モニタリングデータを用いたバリデーション(東アジア領域対象)、3.2.気象モデルの精度検証(関東地域対象)、3.3.大気質モデルの精度検証(関東地域対象)、3.4.オキシダント濃度の長期トレンドの再現精度の検証(関東地域対象)、4.今後の解析について、という並びになっております。
この資料3は代表的な結果を載せておりまして、個々の時系列の経過等は参考資料のほうに記載しておりますので、必要に応じてそちらを参照していきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
では、2ページ目にまいります。シミュレーションの条件設定といたしまして、気象モデルとしてWRFv3.5.1、化学輸送モデルとしてCMAQv4.7.1を用いました。東アジア領域として60km格子、関東及び九州領域を10km格子としております。図1-1、1-3、1-4に東アジア、関東、九州領域について示しております。WRFは外枠の領域で計算し、CMAQ大気質モデルについては、WRFから境界値の影響を少なくするために、点線で囲った少し内側に領域を設定しております。
また、東アジア領域についてですが、西の領域部分がカバーできていないのではないかという指摘がありましたので、当初の計画より西に広げております。また、図1-2に示しましたように、NOxの排出量分布と今回設定した領域を合わせてどういう部分をカバーしているかを確認したところ、おおむね排出量の多い地域をカバーしているということが確認できました。詳細な設定条件については参考資料4に示しております。
あと、九州領域ですが、当初、山口県が大気質の領域に入っていなかったのですけれども、今回、点線で示したように、やや北に領域をずらしまして、山口の一部が検討の対象内に入るように設定しております。
次に3ページにまいります。境界条件の設定といたしまして、大気質モデル東アジア領域の境界値として、全球化学輸送モデルMOZART-4による出力値を用いました。データの整備状況から、表1-1に示すような方法で境界値を設定しております。
まず、MOZARTのデータが2003年からしかなかったということで、2001年と2002年については2003年の各月の平均値を対象期間の各月に適用しております。また、MOZART-4のモデルのバージョンが2006年に切りかわっていることから、2003~2006年はMOZART-4/NCEPによる出力値、2007~2010年はMOZART-4/GEOS5による出力値を適用しております。
2.排出インベントリデータの整理について説明します。インベントリデータの整理方法ですが、インベントリデータは適切な指標を用いることによって計算対象期間である2001~2010年それぞれの年について月別・時刻別に整理しました。
2.2.東アジア発生源のインベントリデータについては、東アジアの人為起源の発生源インベントリとしてREAS2.1を用いました。REAS2.1は2000~2008年を対象としているため、2009~2010年については直近の年である2008年の排出量を設定いたしました。また、東アジアの植物起源の発生源インベントリデータとしてはMEGANを用いました。使用したインベントリで対象としている物質については参考資料5に示しております。
2.3.国内の発生源インベントリデータの整理ということで、国内の発生源インベントリデータについては、日本全国を対象として、2次メッシュ単位(約10km)で整理を行いました。使用した排出量データベースは表2-1に示すとおりです。使用したインベントリで対象としている物質及び年ごとのインベントリを作成するのに用いた統計指標については、参考資料5に示しております。
続いて4ページにまいります。これまで説明してきましたモデルの設定及びインベントリデータを用いましてシミュレーションを動かしました。まず、東アジア対象にモデルのバリデーションを行っております。人為起源の大気汚染物質の影響が小さい地点を対象に、シミュレーションによる大気汚染物質の再現性について把握することを目的としております。
解析方法は、人為起源の大気汚染物質の影響が小さいEANETモニタリングサイトを含む地点(図3-1)を対象に、O3、NOxを対象物質としてシミュレーションの再現性について検討しております。具体的には、バリデーションの対象地点の計算値と測定値の経過図及び散布図を作成いたしました。また、モデルの性能評価でも多く利用されているNB、NGE、MPA及び相関係数を算出しております。
図3-1に対象地点を示していますけれども、本検討会では利尻、八方尾根、隠岐、小笠原、辺戸岬、与那国の国内の地域の結果のみとなっております。海外の地域については現在検討中です。
解析結果を説明いたします。まず、バリデーションの対象地点の計算値と測定値の経過図及びNB、NGE、MPA、相関係数については参考資料6に示しております。当資料におきましては、図3-2~図3-5に2008年の辺戸、隠岐、小笠原及び2001年小笠原の経過図を示しております。また、10ページになりますが、表3-1には辺戸及び隠岐における計算値及び測定値の月平均値を示しております。また、表3-2になりますが、12ページに2008年の精度評価指標による統計値の一覧を示しております。
6ページ、図3-2はO3の経過図になるんですけれども、ここは比較的再現性の良好な地点でありました。7ページになりますが、図3-3は隠岐ですけれども、期間を通じて計算値が大きい傾向が見られることがわかります。また、図3-4、図3-5は小笠原を対象にした結果です。図3-4は2008年、図3-5は2001年ですが、2008年と比べて2001年の再現性があまりよくないという例になっております。
時系列で表しますと、各地点こういう図が参考資料に示しております。時系列を月平均でまとめたものを10ページの表3-1に辺戸岬と隠岐の例を示しております。これは2001~2010年の4~9月を対象に、丸(○)を測定値、線を計算値としたものです。辺戸岬については2004年を除くと、O3の測定値の濃度が高くなる4月5月の再現性が比較的高いことが分かります。一方、隠岐につきましては右側になるんですけれども、2001~2008年にかけてあまり計算の再現性がよくない。全体的に計算値が過大になっている傾向が見て取れると思います。
引き続いて11ページ、図3-6になります。各年につきまして、4~6月、7~9月、4~9月につきまして、測定値及び計算値の平均を取ったものを一覧にしております。赤色で示したものが4~6月、緑色で示したのが7~9月、青で示したのが4~9月(暖候期)になります。同じ色の点と線が近いということは再現性が比較的高いということになります。これを見ると、利尻と小笠原、辺戸岬、与那国といった地点は、4~6月の濃度が高くなる時季について再現性が比較的良好であることがわかります。また、夏季7~9月、緑色についてはどの地点もO3の濃度の再現性として過大評価している点と、隠岐については全体的に計算値が過大になっている点が見て取れますが、これは既存の調査と同様の傾向と考えております。
12ページに示しました表3-2より、評価指標として用いられているNB、NGE、MPA、一覧を載せております。この値の目安として、NBを±0.5、NGEを0.5、MPAを0.3以下といった観点で評価しますと、評価指標の値はO3が高濃度となる4~5月の精度は比較的良好であることがわかります。一方、評価指標の値が悪くなるのは、主にオゾン濃度が低くなる夏季ということもわかります。
以上で東アジアを対象としたバリデーションの説明を終わります。引き続いて、13ページ、気象モデルの精度検証ということで、関東地域について説明いたします。
ここでは、大気汚染物質は気流によって移動、拡散するため、気象場の再現性について把握することが必要であり、気象官署を対象に、測定値と計算値を比較し、シミュレーションによる気象要素の再現性について把握することを目的といたします。
解析方法といたしまして、東京、宇都宮及び前橋を対象に、風速、気温の計算値と測定値の経過図、散布図を作成しました。また、気象モデルの性能評価でも多く利用されているBIASとRMSEを算出いたしました。BIAS及びRMSEとも、値が小さいほど再現性が高いことを意味しております。
結果といたしまして、経過図及び散布図、BIAS及びRMSEの統計値については参考資料7に示しております。この資料におきましては、BIASとRMSEについて図3-7から図3-9に示しております。東京、宇都宮、前橋で評価いたしましたが、2008年以降、BIASやRMSEの傾向は変化しているんですが、両指標とも既存の調査と比較して同等もしくはそれ以下の値となっておりますので、再現性は確保できていると判断しております。
引き続いて16ページに移ります。16ページは大気質モデルの精度検証ということで、解析の目的として、大気汚染常時監視測定局を対象に、大気汚染物質の測定値と計算値を比較し、シミュレーションによる大気汚染物質の再現性について把握することを目的としております。
解析方法として、2001年、2005年及び2010年の3年を対象に、東京都杉並区久我山、埼玉県さいたま市衛生研究所及び群馬県太田市立中央小学校の観測データを対象に、O3、PO、NO、NO2、NMHCの計算値と測定値の経過図及び散布図を作成しております。また、4~9月を対象とした時間別平均値を作成しております。これらの解析結果は参考資料8に示しております。
結果ですが、図3-10及び図3-11に計算結果の一例として2005年の杉並区久我山における測定値と計算値の経過図、17ページの図がO3とPOとNO、18ページの図がNO2とNOxとNMHCになります。
相関係数について、O3及びPOともに全地点とも0.5~0.7の範囲にありました。また、POのほうがO3より相関係数がよい傾向が見られております。
今後の検討予定ですけれども、モデルの性能解析で多く用いられる指標による評価も今後行う予定にしております。
次に、図3-12には杉並区久我山におけるO3及びPOの時間別平均値の統計結果を示しました。黒い線と黒い点で示しておりますのがO3になりまして、点が測定値、線が計算値になります。また、灰色で示しましたのがPOということで、O3と同様、点が測定値、線が計算値になっております。2001、2005、2010ともに、それぞれの年で計算値のほうが過大になっていることがわかります。また、2001年、2005年、2010年の順で計算値と測定値の差が小さくなる傾向が見られます。
引き続いて20ページに移ります。ここではオキシダント濃度の長期トレンドの再現精度の検証ということで、解析の目的といたしまして、昨年の調査検討会で検討した新指標(日最高8時間平均値の暖候期98パーセンタイル値の3年平均値)による統計値を用いて、シミュレーションによるオキシダント濃度の長期トレンドの再現性について確認することを目的としております。
解析方法といたしまして、大気汚染常時監視測定局は、新指標による2001~2010年のO3濃度測定値の評価によって、①上昇傾向、②低下傾向、③横ばい、④その他の傾向の局に分類されるということがわかりました。よって、長期トレンドの再現精度を確認するに当たって、①から④の傾向に該当する地点を1地点ずつ選定し、比較検証いたしました。なお、日最高8時間平均値の暖候期98パーセンタイル値の3年平均値は表3-4に示す手順に従って算出しております。
表3-3精度検証に使用した地点として、上昇傾向の地点として埼玉県の戸田・蕨という地点、長期トレンドの低下傾向の地点として川口市新郷(しんごう)、横ばいの地点として東京都杉並区久我山、その他の傾向の地点として群馬県太田市中央小学校という4地点を選んでおります。
図3-5から図3-8に結果を示しております。シミュレーションによるオキシダント濃度の計算値は、この図を見ると、測定地点におけるO3濃度の長期トレンドにかかわらず、2003年以降おおむね低下傾向が見られております。関東地域といった広域のオキシダント濃度の長期トレンドを把握するためには、広域のO3濃度を代表するような統計処理を実施した測定値を対象に検討することが必要だと考えられます。
最後に、今後の解析について、23ページに移ります。次回の検討会までに、当初計画していた解析のほかに以下の解析についても実施する予定にしております。また、本検討会は関東領域までの解析にとどまりましたが、九州領域についても同様の解析を行う予定にしております。
具体的には、境界条件の設定としては、MOZARTのデータの精度確認及びデータの不連続性の確認、BVOC濃度の経年変化についての確認。バリデーションといたしまして、海外の精度検証地点の追加、及び10km格子と60km格子の計算結果の比較。気象モデルにつきましては、風向、日射量、混合層高さについての検討を行います。また、モデルのバリデーションとして、VOC成分についての検討、評価指標による評価、週末効果について検討いたします。
以上で説明を終わります。
秋元座長 ありがとうございました。この資料3の結果が今日の議題のほとんどすべてですので、順番に中身を見ていただいて、ご質問、コメントをお願いしたいと思います。
領域をどういうふうに設定したか、インベントリのデータベースをどう使ったか、測定値を比較する地点をどう取ったか、特に遠隔地点のところをどう取ったか。5ページまでの最初の部分ですが、まずこの最初の部分について何かございますか。
MOZARTの出力が期間によって何かいろいろ違っているんですが、これは今回の結果にどういうふうに影響するんでしょうか。
事務局 先ほどの説明でいたしましたように、23ページ、まずMOZART自体の精度確認をまだ行っていませんので、どういう影響を及ぼしているかは推測になりますが8ページと9ページに、小笠原の結果をお示ししたかと思うんですが、8ページと9ページ、MOZARTの影響が出ているのではないかと思われるのが9ページの結果です。小笠原におけるO3の再現性がよくない理由の1つではないかと考えております。2008年は8ページの結果ですと、測定値と比較して追従はしているかなと思います。9ページにつきましては2003年の月平均値を2001年にあてがっていますので、その影響及び境界値に小笠原は近いということもあって、MOZARTの設定方法の違いが現時点で可能性があるというのは小笠原の結果と判断しております。
秋元座長 では、どうぞ皆さんのほうから、今のことも含めて、個別のデータに入る前に、その辺の境界条件の設定の方法はこれでいいのか、エミッションインベントリはこれでいいのか、その辺で何かご意見はありますか。
若松委員 2つ3つ質問です。気象モデルのバリデーションで、14ページ目の結果などを見ると、2008年より前と後で系統的に違う傾向があるので、これはどうしてかというのが質問の1つ。
あと、18ページあたりを見ると、大体オーダーは合っているのだけれど、NMHCを合わせるのはすごく難しいのだけれども、かなり大幅に低くなっているので、これはどう考えるのか。
あと、メッシュサイズを見直すという話を最初されていましたけれど、結構既往の研究がもうあって、論文になっているのが幾つもあるんですけれども、こういったものをちゃんとレビューしてからの話なのか。無駄なことをやるとあれなので、その辺は既往の研究のメッシュサイズによる違いなどもレビューしたのか。その3点をお聞きしたいのですが。
事務局 まず、1点目の気象モデルの2008年以降の相違ですが、可能性として、参考資料4の2ページにシミュレーションの条件設定として載せましたが、大気のデータとして毎時大気解析GPVのデータを2008年以降追加して用いているというのが2001~2007年との差なので、その影響が出ているのではないかと推測しております。
若松委員 気象データは結構大事なことですね、逆に言えば。ばくっと推定でやると結構大きな差が出るということですね。
事務局 はい。2点目、NMHCの再現性については、作業部会のほうでもいろいろ意見が出ました。過去の報告等を見ても、今回行ったような計算値と測定値の差はあるようだということまでは確認しておりますが、何が原因かというところになると、モデルの中の話になりますので把握していない状況です。
最後、格子間隔については、文献のレビュー等で10kmでも問題はないというような文献もありましたし、作業部会でも解析の目的や物質によって10kmでもそんなに差は出ないという意見をいただいていますが、5kmと10kmで再現性の確認をして、今後、都市域のタイトレーション等の検討ほかございますので、手戻りがないように精度を確認したいと思っております。
秋元座長 ありがとうございました。重要なポイントが幾つかあるんですが、1つずつ片づけたほうがいいのかな。気象データについて、例えば2008年以降、気象庁のデータがより新しいものがつけ加わって変わっているというようなことがありました。大原さんかどなたか、今まで長期トレンドをシミュレーションで再現した研究をやられた方、今回は昔のは入っていないけれども、1990年から20年間の増加トレンドをシミュレーションである程度再現するというような論文が幾つか出ていると思うんですが、そういうとき気象データというのは20年前と最近とで変えたりするんでしょうか。
大原委員 この点につきましては私も気にしておりまして、先日ヒアリングさせていただいたときにも指摘したはずであります。大気質の長期トレンドをシミュレーションする場合に、前提となる気象データ、気象モデルを動かすための気象データが違うと、そこで不連続になる可能性が高いと思います。ここは十分にその影響についてチェックするとともに、たしか打ち合わせのときにコメントしたかと思いますが、精度が悪くなっても前の設定に戻す。ここで言うところの2001~2007年のほうに戻すとかですね。多少精度を犠牲にしても、整合的になるように計算したほうが、後で解釈が楽になると思いますので、それについてはご検討ください。
秋元座長 そういうことだと思うんですね。特にトレンドの議論をするときに、やっぱりエミッションがどういうふうに変わったかによって、どれだけ原因が再現できるかというのが目的であって。気象の取り扱いが変わってくることになると何が何だかわからなくなるから、そっちは動かさないで、エミッションだけを変えてトレンドがどういうふうに出てくるかという、そういうことにしないとストーリーがつかなくなってくるおそれがある。
最近のもののほうがよりいいということはあるでしょうけれども、過去のことも含めての解析の場合には、そこはあえて目をつぶって同じものを使う。そういうほうがよろしいかと思うんですけれども、ご検討ください。
それから格子間隔の点は、本当に5kmをやる必要があるのかということですが、これは作業部会のほうで何か意見はございますか。
大原委員 すみません、2回目の作業部会に参加できなかったので、そこでどういう議論がなされたのか把握していないですが。1回目の作業部会においても、また前回の打ち合わせのときにも、5km、10kmという点が私は非常に気になりました。10kmだと、例えば都市域においてNOx、VOCの対策をした場合の効果が出るのかどうか。5km、10kmの比較はぜひやっていただきたいという趣旨のコメントをさせていただいています。
先行文献について私はよく理解していなくてですね。もしきちんとした空間分解能による依存性に関する知見があれば、それを参考にして進めていただければ、それはそれで結構です。
秋元座長 若松さんのほうから、そういう文献があったら。
若松委員 私のところのドクターコースの齋藤さんが随分やっていて、比べたのがあるので。
大原委員 その論文は存じ上げているんですが、その論文以外に私は把握していないので。はっきり覚えていないですが、たしか単年度の期間限定だったかと。違いましたっけ。
若松委員 その論文の引用文献にも関係したのを載せていて、ほかにもあるんですよ。もし余力があってどんどんやっていただけるのだったら。
大原委員 私は結構ですので、事務局のほうに紹介していただけますか。
秋元座長 そこはさらに検討して頂ければと思います。大原さんからそういうご意見があるので、やれる範囲でやられることはもちろん結構ですけれども、一応文献を踏まえておいていただければと思います。
今のこととも関係するんですが、私が気になっているのは、都市域のバリデーションのときに、特に21ページからの都市の上昇傾向、低下傾向、横ばいというところにわざわざ1つずつ選んでいますが、今回のこの検討会の目的からして、個々の地点のトレンドはそんなに重要ではないと思うんですね。むしろ昨年度の報告書にあるような、関東域、九州域、そこでの全体的なトレンドが平均的に表せるかどうか、そういう視点のほうが重要ではないでしょうか。
個々の地点というのは当然そこの周辺の影響を受けて、それこそ5kmか10kmかで違ってくるとかいろんなことがあると思います。今は別に個々の地点が合う合わないという話ではなくて、むしろ関東域なら関東域全体のモニタリングデータの解析がシミュレーションでどう出てくるか。越境の影響とかタイトレーションの影響とか、ある広域平均値としてどういうふうに出てくるかということが重要です。地点地点で当然タイトレーションの効果は違ってくると思うけれども、それを一つ一つ問題にしてもしょうがない。今回の検討会としては広域の平均値を対象にしたようなバリデーションをお願いできないかなと思うんですけれども、事務局はその辺いかがですか。
事務局 個々の地点ではなく、昨年も行いましたような濃度別ランクで高濃度域と低濃度域の出現頻度が減って中濃度域の出現頻度が上がったというような結果も出ていますので、そういうのが比較できるような統計を行って提示したいと考えております。
秋元座長 もう1つのVOCの問題は非常に深刻な問題で、今議論するのがいいか後で議論したほうがいいのかなんですが。今の時点でできるとすると、例えば18ページの杉並区久我山のデータは、少し下のほうに圧縮されているので良く見えませんけれども、これをもし拡大して見たとすると、恐らく測定値に比べて5分の1ぐらいしか出ていない感じですよね。
これは今後VOCをどういうふうに減らすかとか、特に未知のVOCをつけ加えるかどうか、BVOCをつけ加えたらどうかというような議論のときに、絶対値として問題になると思うんです。今までの過去のシミュレーションデータでNMHCを比較してどの程度に合っているのか。日本のデータもそうですけれども、アメリカとかそういうところでも当然同じことがあるはずなので、その辺がどうかというのはどうですか。
若松委員 普通やっても、3分の1ぐらいしか積み上げできないんですよね。でも、これはあまりにも3分の1どころか5分の1ぐらいに見えるので、どうしてかなと。
秋元座長 5分の1ぐらいになっているような感じですよね、ぱっと見て。
若松委員 実測値の測定のほうの問題とかバックグラウンドの問題とかがあるのかなという気もしますけれども、差が大き過ぎるかなという気がしたものですから。
秋元座長 そうですね。今は久我山のデータだけですが、ほかにもNMHCを測っているところで比較はされているんですか。
事務局 ここには載せておりませんが、あと何点かで比較していますけれどもこれぐらいの差は確認しています。
秋元座長 大体同じぐらいの差ですか。
事務局 はい。
秋元座長 これは、作業部会の方で何かご意見ございませんか。エミッションが悪いと考えるわけですか。インベントリデータがそんなに何倍も不足になっていると。
金谷委員 専門というわけではございませんが、作業部会に出席しておりますので、第2回の作業部会でどんな議論があったかだけお伝えしておきたいと思います。
私たち作業部会でも、これはかなりショッキングといいますか、大きな問題の1つという認識をこの図を見ながら思った次第です。そこに参加されていらっしゃった森川さんですとか速水さんもこれをごらんになったところ、彼らのモデルでも同じような程度の傾向はあるという認識だったかと思います。そういった意味では、エミッションインベントリの時点で、未把握という点ばかり強調されているかもしれませんけれども、もしかしたら把握されている物質自身の排出量も適切に把握されていない可能性もあるのではないかという意識を持ったほうがいいのではないかと思います。
私もここのところをものすごく気にしていて、杉並はどうかわからないですけれどもう少しは広域的に見たときに、自然起源のVOCに由来してこういう差が起きているのかあるいはそうではないのかというのを、何らかの観測データの解析、例えば人為起源汚染、これも測定データはあまりないかもしれませんけれども一酸化炭素との相関、例えばVOCの相関がどれだけ出ているかとか、そういったものを頼りに、何をかさ上げしたほうが現実に近いのか。あるいは、植物起源VOCの排出インベントリを、特にMEGANを採用されたということを先ほど紹介されていたと思いますけれども、そこがEAGridに対して大小関係がどのぐらいあってどのぐらいの確かさがあるのか。そこをどのくらい改良の余地があるのかといったことを頼りに、割と至急改善しなければいけないことの1つだろうと思っています。
秋元座長 ありがとうございました。ここは今後非常に問題になるところだと思いますので、できることからチェックしていったほうがいいと思うんですが。
大原委員 私の狭い経験から言うと、CMAQを使って関東地域でNMHCと比較するとすごく過小になるんですね。
秋元座長 大体このぐらいになるんですか。5分の1ぐらいになるんですか。
大原委員 程度についてはわかりませんが、何%ぐらいですか。
秋元座長 正確な数字はございますか。
事務局 5分の1ぐらいです。
大原委員 大ざっぱに言って、先ほど若松先生がおっしゃったように3分の1とか4分の1とかそれくらいは普通だと。それでいいという意味ではないですが。
秋元座長 例えば外国の論文でもそんな感じですか。
大原委員 外国の論文でNMHCときちんと比較している結果というのは記憶がないです。
若松委員 NMHCという形で測っていないですから、モニタリングしていないですから。
秋元座長 VOCという形かも知れませんけれども。
大原委員 トータルのハイドロカーボンについて気にする必要があるのはもちろんそのとおりですが、同時に、VOCの成分でどのぐらい合っているかということは、限られたデータではありますが成分のデータはあります。それでもって、主要な成分についてどの程度再現できているのかというチェックは、並行して行う必要があるのではないかと思います。
もう1つ、人為起源と植物起源のVOCがどのぐらい影響しているのかを見る上では、やはり空間分布ですね。NMHCの実測値とシミュレーションの空間分布の違い、実測とシミュレーションの差において郊外に行けば行くほど差が大きくなるのかとか、そういうふうな解析をするともう少し乖離を起こしている原因に関する様子が見えてくる可能性もあると思います。ぜひこの機会に、そういうところまで踏み込んで解析していただければと思います。
秋元座長 ありがとうございます。この成分分析をしているVOCの測定地点は何地点ぐらいあるんですか。
事務局 今手元にある今回検証に使おうとしているデータは、過去、環境省で経年的にやられているVOCのモニタリング調査を基にしようかと思っているんですけれども、最低、都道府県に1カ所。
秋元座長 対象地域に入っているところで結構ですが、関東だと各県に1つという感じですか。
事務局 関東ですと、1つの都県に2つ3つある見当です。
秋元座長 いずれにしても今の大原さんのコメントによって、例えば都心部に近いところとBiogenic VOCの影響が大きいと思われるところとで合い方に多少なりとも差があるのかどうか。
それとコメントにあった、AVOCですね。Anthropogenic VOCの例えばベンゼン、トルエンみたいなものとか、飽和炭化水素とかオレフィンとか、そういったものの絶対値がどのぐらい合うのか。それも全体的に5分の1なのか。そういうものはそこそこ合うけれども、ミッシングのものが大きいのか。実際にエミッションインベントリとして与えられている、既知の成分も低いのか。その辺が1つポイントだと思うんです。
このシミュレーションモデルの中では、どの程度にNMHCの種類が分けられているのかにもよるけれども。どうですか。
星委員 この地点ではないですけれども、東京の住宅地で言うとノンメタンに対して100成分以上測っているんですが、7割ぐらいは説明できてしまうので。
秋元座長 モデルでですか。
星委員 モデルでなくて測定値対測定値です。VOC成分を測定していくと、130成分ぐらいを測っていますが、それがノンメタンに対して7~8割を占めていることはわかっています。これは反応性ではなくてノンメタンそのものの値なので、ミッシングになっているわからない物質は恐らく2~3割ではないかと思うんです、測定している項目で言えば。なので、アンノウンの物質がやたらと効いているという感じではない。
もう1つ植物系のものは、都心の近くで言うとイソプレンとかα-ピネンとか測っているのですが、これは大した量はなく、そんなに効いているように思えないというのが測定値側から考えられます。
秋元座長 ありがとうございます。大体そのとおりだと思います。今年度中にあるところまで詰めなければいけないと思いますので、作業部会の方とご一緒に、どこまで何が詰められるかをぜひ次回までにご検討ください。
それ以外のところで、ほかの方から。
下原委員 ページ6、7、8あたりでNOxが計算してありますが、辺戸と小笠原と隠岐は、越境の影響が割と見やすい、比較的清浄地域というとらえ方を私はしているのですが、ページ9で見ると小笠原はNOx濃度が非常に高いです。これは、恐らく測定するところが非常に近傍の汚染を拾っている可能性がある。そうなると代表していないから、対象から外すべきだと思います。
秋元座長 ありがとうございます。確かに小笠原のNOxは変ですね。20ppbもあるというのはちょっと。小笠原のステーションを私は見たことがないのですけれども、道路がすぐそばを走っているとか、何かそういうことではないですか。確かに、このバリデーションの対象地点として、これではまずいということはありますね。
坂本委員 NOxの組成から、非常にローカルなものがあるかないかというのは見当がつくのではないですか。
秋元座長 NOが高いかどうかとか、そうですね。いずれにしてもまずいですね。
大原委員 NOxのインベントリは小笠原は入っていないから、外から来ているものを掲載していることになります。
秋元座長 小笠原の場合、実測値が10ppbだ20ppbだと大きな値が出ること自身、リモート地点としてはあり得ないというか、あってはいけない。
大原委員 小笠原に限らず、リモートの測定局でNOxを比較する意味がそもそもあるのかなと思うんですが。
秋元座長 ただ、さっきのVOCの問題もありますので、NOxも都市部に関してオーダーはきちんと合っていてほしいというのはありますね。
大原委員 都市部はそうですけれども、リモート。
秋元座長 ああ、リモートのところですね。そうですね。リモートでは確かにオゾン、O3、POだけでいいと考えたほうがいいでしょうね。VOCだのNOxだのは測らなくて良いのかも知れない。VOCはもともと測られていないでしょうけれども、NOxはリモート局についてはあえて比較しないということでよろしいのではないかと思いますが。
下原委員 もう1点。最終的に目的がオゾンの予測で、計算値と実測値が合うのがもちろん目的ですが、そのときに風速の計算値と実測値、あるいはNOxの計算値と実測値、VOCでもいいですが、VOCならVOC、NOxならNOxの実測値を予測に入れ込んで、O3の計算値に沿うのか沿わないのかという検証はできませんか? どれが結局要因として効いてくるかということを見たい。
大原委員 できないです。
下原委員 それができれば検証になるのかなと。いろいろな要因がそれぞれ例えば70%のずれで合っていますといった評価ができないのかと思うのですが。
大原委員 シミュレーションは基本的に連続の式等を基にして計算しているので、その物理法則を壊すようなことをやるというのはシミュレーションでないので。もしやるとしたらデータ同化だと思うんですが、今それをすぐにやれと言われても、できないことはないと思いますが面食らうと思います。
秋元座長 もう1つの問題は、リモート局での比較の中で、先ほど事務局からもご説明があった隠岐がオーバーエスティメートになって全然合わない。この問題を作業部会の方にお伺いしたいんですが。
CMAQv4.7だと、特に隠岐が一番目立つんですが、夏のオゾンレベルが非常にオーバーエスティメートになる。日本周辺はご存じのようにスプリングマキシマム、サマーミニマムで、夏は海洋性気団になって最小値を与えるというのは常識なんですが、それがモデルで再現できないという話があります。今回のも、まさにそれをそのまま踏襲している感じなんですね。
その原因が何かというのは、実は研究者のほうでもこの1年ぐらい問題にしていて。例えば1つの原因として、CMAQのこのバージョンに入っている海洋上でのオゾンの沈着速度が小さ過ぎるのではないかという話がある。
その辺を含めて、作業部会というか大原さんのほうで何かこの問題についてその後多少なりとも進展はありますか。
金谷委員 代わりに私からお話しさせていただこうと思います。確かに夏にモデルで表現されるオゾンの濃度は、隠岐に限らず辺戸岬もそうですし、割と広域で高止まりしてしまうという問題が研究レベルでも、秋元先生の発言にありましたように少し前から認識している問題です。
1つは、領域モデルなので、境界条件として与えているMOZARTの、夏場ですから太平洋方面から気体が流れてくることが多いので、南側の境界あたりの値が適切かどうかという問題があるのではないかという認識を持っています。実際その境界に近い小笠原のあたり、あるいはこの領域からは外れているかもしれませんけれども南鳥島のオゾンのデータをよく見ているのですが、それでも同じような傾向があるので、そもそも境界条件の与え方自身が高過ぎているのではないかということが1つあろうかと思います。
その上でさらに、境界から流れてくる間の例えば化学あるいは海表面沈着過程が適切に表現されていない可能性がある。その少なくとも2つの問題があって、夏場の我が国上空でのオゾン濃度は、モデルではどうしても高めに出てしまっているということがあろうと思います。
そういった意味で、S7の推進費で検討してきたことの延長で、具体的には神戸大の山地さんのところと一緒にこの問題を見ています。その中でデポジションベロシティ、オゾンの海表面への乾性沈着速度の与え方を思い切って10倍あるいは100倍とかというような形で振ってみる。まさにここで共通に使っているCMAQを使っているわけですけれども、デフォルトの値を10倍100倍したときにどのぐらい感度があるのかというのを今ちょうど評価しているところです。
今の非常に先見的な解析状況によると、少し濃度は下がるんですけれども、すべてを説明はしないだろうということで、もう少しほかのプロセスの可能性も含めて、対流圏にも成層圏のようにオゾンを破壊する物質としてハロゲン物質がある可能性はあるわけですけれども、そういったことも含めて検討を進めているところです。
秋元座長 ありがとうございました。これは研究者のほうでも問題にしている部分なんですが、金谷さんが言われたように2つ可能性があって。まず直接全球モデルで例えば隠岐とか辺戸とか小笠原のメッシュを見たときに、サマーミニマムがどのぐらい出ているかというのをやはり1回チェックしていただきたいと思います。
というのは、全球モデルでのモデルインターコンパリソンのスタディは今まで何回かありまして。その中で、ある種の欧米のモデルは東アジアの夏のミニマムが全く出ない。内陸と同じように、サマーマキシマムになってしまうような全球モデルが幾つかあるんです。そんなものを使ったら絶対に合わない。MOZARTがどの程度かというのを私は今まで見たことがなかったので、それをチェックしていただきたい。
日本だと今まで、名古屋大学の須藤さんの作られたCHASERでバウンダリーを取って、外部境界を取ってやっていることが多いんです。CHASERはその点日本で作っているモデルだということもあって、夏のミニマムはよく出るということがわかっているんですね。だから、MOZARTがどの程度かというのはチェックして頂きたいと思います。
その上で、全球モデルはそこそこだけれども、CMAQの中で何かが起こっていて夏に高くなってしまうという可能性は当然ある。CMAQのバージョンによって、前はもっとよく合ったのに4.7になったら合わなくなったとか、その次のバージョン5にしたらまたよくなったとか、その手の話はよくあるんですよね。だから、たまたまこの4.7というのが今までで一番悪いことになっているという認識を持っています。
大原委員 そんなことはないと思いますが。
秋元座長 そんなことはないですか。少なくとも山地さんの結果を見るとそうなんですよね。昔論文を書いたのはそこそこよかったのが、その後すごく悪くなったということがあるので。同じ4.7で、何が違ってよかったり悪かったりするのかということなんですが。これも作業部会の方々、CMAQを動かしている方と事務局の方と一緒にそこは詰めていただきたいと思います。
それ以外に。もうちょっと時間がありますので、どうぞ、ほかの部分についてご意見、コメントをお願いします。
指宿委員 今の隠岐のギャップの話ですけれども、例えば粒子状物質の濃度をいろんなところで比較はしていないですか。例えばオゾンのシンクとして粒子状物質があり得るわけですけれど、夏場で隠岐のあたりで非常に高いとか、そういうデータは見られているかどうかなんですが。
秋元座長 粒子状物質はどういうふうに今のモデルに入っているのか、その上でのヘテロジニアスなシンク、オゾンが壊されたり、特にラジカル、HO2が壊されたりというのがモデルの中に入っているのかどうか、その辺はどうですか。作業部会の方でもいいですけれども。このバージョンのモデルでその辺は入っているのか入っていないのか。
金谷委員 私は直接動かしているわけではないですけれどもお答えしますと、恐らく粒子状で壊されるものがオゾンの収支に直接効くということは、取り込み係数の値のレベルからしてなかなか考えにくい。
一方でオゾンの前駆物質といいますか、それが生成するメカニズムに組み込まれている例えばHO 2 のようなラジカルによって、オゾンを生成する途中の過程で邪魔するような形によって、オゾンができにくくなるという効果はあるのではないかというのは、私も研究上の仮説として持っています。それがどの程度なのかというのは、粒子の性質、どういった物質かにもよるでしょうし、HO2ラジカル等を測るコミュニティでも議論したり、測定の実験を実験室でやったりというような段階であります。
そういった過程まで組み込まれている三次元の大気化学輸送モデルというのは、世界的に見てもまだ少ない段階だとは思いますけれども、CHASERはかなりユニークでして、それの取り込みは値として入れているというものになろうかと思います。その他は、ここで扱われているCMAQも含めて、基本的にはそういった過程は考慮されていないと思います。
私も、夏場のオゾンの量にエアロゾルが効くかという観点でいうと、隠岐での値、あるいは福江島なんかでは、PM2.5の季節変動というのは夏場にかなり量としては下がる傾向があります。そういった反応の場合にあり得る粒子の表面積といいますか、そういったパラメータを夏は量としては少ない状況にあるのではないかと考えます。
ただ、夏場に存在している粒子の化学組成あるいはその表面の状態が仮にそういった反応に効きやすいものであれば、それは効く余地がもちろんあるので、それに関しては今後研究を進めていく必要はあるという、そういった段階だろうと思います。
秋元座長 ありがとうございました。ということで、粒子による不均一反応をこのモデルに加えるのはあまり現実的でないということのようですが。
別の観点で、隠岐のオーバーエスティメートの問題のときに、グリッドの切り方がこれだと60kmですよね。隠岐のグリッドの中に松江だとか本州の中の都市部のエミッションのある部分が同じグリッドに入っているかどうかはチェックしていただいたほうがいいと思うんですね。それが入っていると、当然そこでの夏の光化学でできたのが隠岐にカウントされるということもありますので。それはごらんいただきましたか。
事務局 隠岐と松江が同じメッシュに含まれていないことは確認しました。
秋元座長 そうですか。ではその問題ではないですね。わかりました。ではそれ以外のことで、ほかの方いかがでしょうか。
大原委員 作業部会で議論すればいいような話ですけれど、3ページ目のMOZARTの、表1-1で10年間で計算方法が変わっている。これも先ほどの気象のところと同じで、不連続性が非常に気になります。この話を聞いたのが半月前ぐらいなので、これにどう対応すればいいのかはすぐに判断できないところではあるのですが。今年度は無理にしても、この仕事が来年度続くとしたら、場合によってはモデルをCHASERに切りかえるということも視野に入れたほうがいいのではないかと思います。
秋元座長 ありがとうございます。私も個人的にはそう思ったんですが。CHASERを使わないでMOZARTを選んだというのは、特段理由があったんでしたっけ。ネットから取れるからという、そういうレベルの話ですか。
事務局 入手のしやすさと、あと過去の類似の論文等でもよく使われているという判断で今回採用しています。
秋元座長 ただ、使い方によるわけで。ある特定の年のものに使うならいいけれど、こういうふうに10年間ぐらいの変わってきているのを使うというのは、さっきの議論ではないけれども問題があります。
そのことはトレンドの再現の話と非常にかかわってくるので、それをどういうふうに進めるかということでもあるんですが。例えば11ページ以下でもそうですが、2001年から2010年まで年ごとのプロットができていますが、これも去年の検討の結果から言うと3年平均値で議論しようよという話になったと思うんですね。年々見てしまうと、その年の気象変動や何かで上がったり下がったりでぱっと見にわからないというのがある。だから、3年平均にしていただきたいというのが1つ。
それにしても、この検討会というより予算の問題にもかかわるいろんなことがあるでしょうけれども、越境の影響とかタイトレーションの影響とかそういうのを見るときに、10年というのは短いんですよね。20年見るとよく見えてくる。去年の報告書のモニタリングデータの解析は20年やったので、それなりのものが見えてきたということがある。本当は1990年ぐらいから、毎年繰り返し計算しなくてもいいと思うんですが、そのぐらいでトレンドが、そのうちのどのぐらいが越境の影響で、どのぐらいがタイトレーションの影響でというふうな形のシミュレーション結果が出てくるとわかりやすいと思うんですが。2000年以前のものをやるというのは、いろんな意味の制約から無理なんでしょうか。
事務局 まず1点目に、気象データの入手が難しい点と思っています。
秋元座長 気象データというのはどうなんですか。大原さん、黒川君の論文みたいな20年間ぐらいシミュレーションと比較した場合の気象データというのは。
大原委員 気象データはNCEPを使ったと思います。連続データはあると思いますけれども、グローバルですが。
秋元座長 ああ、そうですか。細かいデータがないということですか。
事務局 関東域ぐらいになりますと、我々は気象庁GPVを使っているんですけれども、気象庁GPVが配信されているのは90年代半ば以降になりますので。おっしゃるとおり、グローバルモデルであれば広域の東アジア領域という話であれば可能かなとは思います。
秋元座長 CMAQでも60kmメッシュでやっている分にはできるということですね。
事務局 そうです。あとはエミッションのほうもありますけれども、基本的には、格子が粗い分にはやりようがあると思っています。
秋元座長 エミッションはありますよね。90年からのREASが使えると思います。作業部会の方の具体的な作業とかかわってくるので、そういうことが可能なのかどうか伺いたいのですが。
大原委員 今年度の気象協会の仕様からいっても、今年度実施するというのはあり得ない話だと理解しているんですが。やるとしたら来年度以降。環境省とご相談する必要もあるのかもしれませんが、必要があれば作業部会で計算することは可能かどうかという検討をすることはできようかと思います。
秋元座長 越境の寄与とタイトレーションの寄与とローカルエミッションの寄与とそれを分けて、それぞれがどのぐらいにシミュレーションで説明できるかということをやろうと思ったらば、20年やってほしいんですね。要因解析の数字を出すのは来年度の作業になると思うので、来年度の契約の中に入れていただければいいと思うんですけれどもお考えください。今年度はこれでいいと思うんですが。
それと、この10年間についても3年平均での議論をお願いしたいと思います。先ほどの広域平均の議論と同じように、できるだけ昨年度の報告書等に沿った形で、結果を比較できるような形でやっていただけるといいと思います。ほかによろしいですか。
板野委員 細かいところになるんですけれども、バリデーション、都市域の精度を確認するときに、例えば17ページでオゾン、POとNOの図をされて、NO2も比較されていると伺ったんですけれども、オゾンよりもPOを使ったほうが相関はいいというのとほぼ同じ理由で、NOの相関を見るよりもNOxで相関を見たほうが意味合いとしても合うと思うので、NOxで比較した図を。
秋元座長 18ページの図で比較しているんじゃないですか。
板野委員 すみません。そうですね。勘違いです。
秋元座長 ただ、NOxでやるとあまりよくなっていない。NOよりはいいけれども、NO2よりNOxのほうが相関はよくない。
板野委員 時間値レベルで合うというのはすごく難しいと思うんです。もう1点言おうとしていたことは、少なくともO3の経年変化、トレンドがちゃんと再現されていないと、その後の解析できないというのもそうですけれども、NOxの絶対値が合うというのもメッシュサイズの影響でなかなか難しいと思うんです。NOxとかNMHCの変動、トレンドについてどのぐらい再現できているかというのも、確認すべき重要なポイントだと思います。それは当然検討されるのかもしれないですけれども、一応コメントとして。
秋元座長 まさにおっしゃるとおりで、先ほどのO3のトレンドをやるときには、前駆物質のトレンドがどれだけ再現できるのかというのは重要なので、まさにNOxとVOCについて計算結果がどうなっているか。さしあたりは3年平均のこの10年間でいいですけれども、それについて次回までに出していただくということでございます。
ほかにいかがでしょうか。あと5分ぐらい予定の時間としてはディスカッションを続けられますが。
井上委員 経年変化の解析ですけれども、おっしゃるとおり20年ぐらいやるのがいいと思うんですけれども、今の時点でも21ページだと2003年からの値が載っていまして、22ページだと3年平均にされているんですけれども、なぜこれが2001年から回しておられたのに2003年からしか出ていないのか、作業部会に私も出席させていただいているんですけれども、そのとき気づかなかったので、その点を教えていただきたい。
あとは、NMHCですけれども、ほかのモデルでも過小評価されているけれども、今回特に過小評価の度合いが強いという結果になっていたかと思うんです。その原因として今回は夏季だけを対象としている。ほかのでもし通年を対象としているとしたら、夏季にものすごく過小評価するというのがあるのかなと思っています。
要するに、今回のモデルでも例えば人為起源のNMHCは季節変動を一切与えていないと思うんですが、NOxとの比で見ると、夏に高くなる傾向がありますので、季節変動を与えていないことも過小評価の原因の1つにはなるのかなと思った次第です。
秋元座長 確かに揮発性のVOCの場合には夏に出ますよね。星さん、東京都の観測データから季節性についてコメントはございませんか。
星委員 うろ覚えですが、確かに高くなるものはあります。特に溶剤みたいなもので使われているものは放っておくと出てくるでしょうから、そういうものが高くなっているという印象はあります。最初からガスで使われているものはあまり差がないような気がします。ブタンとか、プロパンガスの成分の配合とかによって決まってくるものなので。正確なデータは覚えていないですけれども、そういう傾向は確かにあります。ノンメタン自体も夏場、ほかの汚染物質は秋に高くなりますと夏にも高くなるというような傾向は確かにあります。
秋元座長 定性的に言えば、夏はそういう揮発性のものは、1次汚染のものも増えるし、2次汚染のものでまさにさっきの捉えられない部分というのも、冬はあまり寄与はないけれども、夏のほうが多いと思いますね。そういうこともあろうかと思います。先ほどのVOCの中身の比較ということも含めて、作業部会と一緒に検討していただければと思います。
それでは、ほかによろしいでしょうか。次回への宿題がたくさんありますけれども、まずは結果を見せていただいたということで。ありがとうございました。
議題(4)今後の予定について(資料4)
秋元座長 それでは、この議題をここまでにしまして、引き続きまして資料4についてのご説明を事務局からお願いいたします。
事務局 それでは、資料4をご説明いたします。今後の予定についてということで、第3回検討会においては、平成27年2月中旬に開催予定の作業部会における検討状況及びシミュレーションを用いた解析結果、モデルのバリデーション(九州地域)、不確実性の検討、格子間隔の差による濃度再現性の評価及び越境汚染の寄与の変化について検討する予定としております。図1に今後のスケジュールについて整理しております。以上です。
秋元座長 特に、今ここには書かれていない、今日出た議論での幾つかの宿題を箇条書きに整理しておいていただいて、落とさないようにお願いしたいと思います。
そのこと以外で次回までにやっておいたほうがいいようなこと、追加項目その他はございませんでしょうか。
紫竹委員 資料2に戻って申しわけないですが、作業部会による検討の内容ということで①から⑥まで1ページ目に項目が書かれていて、2ページ目に今日ご説明のあった資料3の①から③の項目の説明が書かれています。シミュレーションについて素人なので意見できなかったんですけれども、この資料4に解析作業部会でやる項目ということで①から④の項目が出ていますが、今日ご説明があった内容で残りの部分だという意味合いだろうと思うのですが、資料2の一番最後の⑥光化学オキシダント濃度に影響を及ぼす要因の解析は、今年度はやらないという意味合いでしょうか。
事務局 要因の解析といたしまして、越境汚染と、タイトレーションと、NOx、VOC生成量の変化によるO3 の生成の影響を見るのに3つあるんですけれども、今年度につきましては、今後の予定(資料4)で言いますと、第3回解析作業部会で④越境汚染の寄与の変化についてまで、解析する予定にしております。
秋元座長 これは大丈夫でしょうかね。今日の議論からして今年度結果を出すのは難しいように思われますが。私の大ざっぱな理解では、要因解析は来年度、そのための準備を今年度はきちんと整えるというイメージだったのだけれど、今年度ここまで入れてしまうというのは環境省のご要望ですか。
小林課長補佐 今年度の予定としましては、先生がおっしゃられたとおり、シミュレーションに重点をおくためシミュレーションの作業部会も作って進めております。オキシダント濃度に及ぼす要因の解析については、越境汚染の寄与のとっかかりぐらいまでの解析は本年度の予定として入れております。
秋元座長 とっかかりといっても、具体的に何をどこまでやるかということですが。
小林課長補佐 作業部会の先生方にもご相談しながら進めていきたいと思っております。
秋元座長 今のようなお答えでよろしいですか。
紫竹委員 はい。ご説明を聞いていて、資料2の2ページ目はシミュレーションを用いた解析結果で、詳細は資料3で説明という形になって①から③になっているんですが、資料3ではご説明の順番が資料2の順番とは変わっていて、一つ一つの項目が必ずしもマッチしないので、それぞれの資料のつながりが理解しづらい。それを整理してほしいという意味合いではないですが、参考資料も含めて、補足説明が必要なところは参考資料の中身についてもちょっと触れて、「参考資料に書いてあります」ではなく、そこをポイントにして説明していただけると、委員全体も理解しやすいのではなかろうかなと感じましたので、よろしくお願いします。
秋元座長 事務局、その辺は次回になるのかもしれないけれども、ご説明のときに参考資料も必要なところは引用する形でご説明いただいたほうがいいのではないかということだと思いますが。ほかにいいですか。
坂本委員 先ほどの話に尽きているかもしれないですが、VOCについて有害化学物質で測定をしたものを足し合わせると、成分別の比とかそういうものが合うというデータを聞いたことがあるんですね。BTXみたいな。それをきちんとやってみる。
それから、自然起源のほうは当然α-ピネンとイソプレンなんかは季節変化が違うというのはMEGANのほうで入れているわけですね。それがどのぐらいのレーションになっているかとかいうのもデータとしてきちんと示して、結果をお話しいただけるとありがたい。
要は、それを入れたということだけではなくて、どういうぐらいのものを使ったか、レーションはどうだとか、そういうことがわかるような情報で示していただきたいと思います。
秋元座長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
最後にその他、事務局のほうで何かございますか。次回の日程はまだでしょうか。
議題(5)その他
事務局 この後、2月の中旬に作業部会をやりまして、検討会は3月の中旬を予定しております。またその節にはご案内させていただきたいと思っております。
秋元座長 よろしいでしょうか。全般で何か特によろしいですか。本検討会としては、今年度はもう1回ですね。第3回ということになるかと思います。
では、今日の議事はこれで終わりたいと思いますが、最後に一言私から。実は、昨年度の報告書のモニタリングデータの解析のうちのある主要部分を、学術論文にして投稿しておいたほうがいいのではないかという話がありまして。私がファーストオーサーで書いて、この中では板野さんにNOタイトレーションの話があったので入っていただき、気象協会の事務局の方がコオーサーになって「Atmospheric Environment」に投稿して、つい最近、電子版ですけれどもパブリッシュになりました。ご興味のある方は見ていただければと思います。
論文を書いていてわかったのですが、先ほどの越境の話とタイトレーションの話とローカルな話と、この組み合わせでトレンドがなかなか見えてこないというか、最初期待した形で大きさが減ってこないというのは、日本だけではなくて、韓国の論文はまだあまり完全ではないけれども、特に香港、台湾ではまさに同じような視点での論文が既にパブリッシュされているんですね。それと非常に似た状況で、それを少し詳しく解析したというような、そんな形の論文になっていますので、関心のある方は見ていただければと思います。ありがとうございました。もちろん検討会に対してのアクノリッジメントという形で入れさせていただいております。以上です。
では、今日の議事はこれで終わりにして、事務局にお返ししたいと思います。
7.閉会
事務局 本日は長時間にわたりご検討いただき誠にありがとうございました。いろんなご指摘等、たくさんの宿題をいただいてしまいましたけれども、何とか間に合わせて頑張りたいと思っております。
本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。皆様どうもありがとうございました。
以上