環境省大気環境・自動車対策大気汚染状況・常時監視関係光化学オキシダント関連情報光化学オキシダント調査検討会(平成24年度)

平成24年度第2回光化学オキシダント調査検討会 会議録

1.日時 平成25年1月21日(月) 10:30~12:30

2.場所 一般財団法人日本気象協会 第一・第二会議室

3.出席者(五十音順 敬称略)

(委員)
秋元 肇  石井 康一郎 板野 泰之 井上 和也
指宿 堯嗣 岩崎 好陽  浦野 紘平 金谷 有剛
坂本 和彦 紫竹 益吉  下原 孝章 竹内 庸夫
土屋 徳之 橋本 光正  向井 人史  若松 伸司
(欠席)
大原 利眞
(環境省)
環境省大気環境課 大森課長、後藤課長補佐、山口技官
一般財団法人 日本気象協会

4.議題

(1)データの多角的解析結果について(中間報告)
(2)平成25年度VOC環境濃度調査について
(3)その他

5.配付資料

資料1-1
データの多角的解析結果(中間報告)Oxの長期傾向の整理
資料1-2
データの多角的解析結果(中間報告)Oxの長期傾向の要因検討
資料1-3
データの多角的解析結果(中間報告)Oxの指標の検討
資料1-4
平成2~24年度の気象の状況(参考)
資料2
平成25年度VOC環境濃度調査について
資料3
今後のオキシダント対策の評価フロー
参考資料1
平成24年度光化学オキシダント調査検討会開催要綱
参考資料2
平成24年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)議事録

6.議事

後藤課長補佐  定刻となりましたので、平成24年度光化学オキシダント調査検討会(第2回)を開催いたします。本日は委員の皆様には、お忙しい中ご出席を賜りありがとうございます。
本日の出席状況でございますが、大原委員が所用によりご欠席でございます。
それでは早速ですが、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第
座席表
資料1-1「データの多角的解析結果Oxの長期傾向の整理」
資料1-2「データの多角的解析結果Oxの長期傾向の要因検討」
資料1-3「データの多角的解析結果Oxの指標の検討」
資料1-4「平成2~24年度の気象の状況」
資料2「平成25年度VOC環境濃度調査について」
資料3「今後のオキシダント対策の評価フロー」
参考資料1「平成24年度光化学オキシダント調査検討会開催要項」
参考資料2「平成24年度光化学オキシダント調査検討会(第1回)議事録」。
さらに前回と同様に、昨年度の検討会の報告書も机の上に置かせていただいております。以上でございますけれども、委員の皆様、資料はおそろいでしょうか。
それでは議事に先立ちまして次第をごらんください。本日は、議題(1)としまして、前回活発にご議論いただきましたモニタリングデータの多角的解析について、現時点までの解析結果についてご報告させていただきたいと思います。
資料1-1では長期傾向をさらに整理していまして、年度ごとの濃度が滑らかになるような工夫などをしています。資料1-2ではポテンシャルオゾンの解析などをしております。資料1-3では指標の検討に向けて8時間値や積算濃度を検討しております。本日はさらなるご議論、ご意見を賜りたいと考えております。
議題(2)では、環境省が例年実施しておりますVOC環境濃度調査について、平成25年度どのように行うのがよいのかということについて、ご助言いただければということで考えております。よろしくお願いします。
それではこれ以降の議事進行につきましては、秋元座長にお願いいたします。

秋元座長 おはようございます。第2回目の検討会を始めさせていただきます。
今日は、ご紹介にあったように、データの多角的解析結果のご報告がメインですが、前回の議論にあったように、「それぞれのデータ解析が何のための解析で、何をこれから読み取れるのかということがわかる方がいい。ただやってみたらこうなりましたというのでは、いくら聞かされてもわかりませんよ」という意見がこの前あったと思いますので、できるだけそれに沿った形で解析を実施していただいていると思います。
冒頭に整理しておきますと、オキシダントの増減とその原因を明らかにするということで、オキシダント検討会を開催しているわけですが、VOC削減の効果がどのように出ているのか、NOx濃度が低下している影響はどのように出ているのか、もう一つは、越境汚染の影響がどう変動しているのか、これら三つは一体的にみんな絡まっているわけですけれども、それを少しずつでも分けて評価ができるような解析手法がないかということで、できる限りそういうものに沿ってやっていただいていると思います。今日のご説明を伺った上で、さらにもう少しその辺をはっきりさせることが今年度の作業かと思います。
ではまず早速、「データの多角的解析」について事務局から説明をよろしくお願いいします。

(1)データの多角的解析結果について(中間報告)

事務局 それでは、資料1-1から1-3までを使いまして、現段階でまとまっている結果についてご報告させていただきます。
後藤様からご紹介がありましたように、資料1-1では、これまで平均濃度は上がっている、高濃度のほうは改善傾向にあるのではないかという議論が昨年度の検討会でありましたので、それについて整理させていただきました。
資料1-2では、その内容についてもう少し詳しく、ポテンシャルオゾンであるとか、前駆物質の濃度の変化であるとか、その辺の関係について整理させていただいております。
資料1-1と1-2は平均濃度であるとか高濃度であるとか濃度について議論していますが、資料1-3では、これらとは異なる指標として、超過時間数や時間的なスケールなどについて議論していただこうと思っております。

資料1-1 Oxの長期的傾向の整理
資料1-1を使いまして、Oxの長期的傾向の整理についてご説明させていただきます。
ページをめくっていただきまして2ページでは、今回の解析の前提条件について整理しております。優先解析地域につきましては、関東地域、東海地域、関西地域、九州地域の4地域としております。それぞれ対象としている都府県につきましては、国環研から時間値のデータベースをお借りしていますが、平成2年から平成22年までデータがそろっている都府県について対象にしております。
解析期間と季節区分の設定につきましては、前回の検討会では、解析期間を平成12年ぐらいからとお示しいたしましたが、解析していると、もう少し長いスケールで見たほうが傾向をとりやすいことがわかりましたので、平成2年から23年までの22年間の濃度について整理しております。
季節は年内の区分ですが、基本的には年度の4月から3月までの整理し、季節として春、梅雨時、夏場、秋という形で区分しております。
解析対象物質は、オキシダント(Ox)、前駆物質のNOx、非メタン炭化水素(NMHC)を対象としました。資料にはVOC成分と書いておりますが、今回は解析が間に合っていないため含んでおりません。微小粒子状物質の関係についても、今回は解析に含んでおりません。ポテンシャルオゾン(PO)につきましては、タイトレーション効果を考慮した検討ということで入れさせていただいております。
解析に用いるデータとしましては、国立環境研究所で取りまとめられております大気環境時間値データファイルをご提供いただきまして、1時間値を用いて統計解析をさせていただいております。ただ、平成23年度につきましては、確定値が間に合っていないようでしたので、日本気象協会で環境省のそらまめ君で公開されている速報値を独自に保存しておりますので、そのデータを解析に使わせていただいております。
硫酸イオン以降のところは、今回はデータ解析に間に合っておりませんので使っておりません。以上が前提条件でございます。
3ページは今回検討した内容でございます。一番上の二つは資料1に該当する部分です。Ox平均濃度の上昇はどういう状況にあるのか、高濃度の改善はどういう状況なのかを整理しております。3番目から6番目までは資料1-2で整理しております。下の3行につきましては資料1-3で整理しております。
資料1-1では、はじめに「Ox平均濃度の上昇の状況」で、Oxの平均濃度が上がっていると言われているという状況を整理しております。2番目の「高濃度の改善状況の把握」では、高濃度が改善しているというお話が昨年度の報告にもありますので、それについてどういう状況なのか整理しております。
4ページから、実際の解析についてご説明させていただきます。
4ページは、いま申し上げた話と重複しますが、昨年度の報告でも平均濃度の上昇が言われていたことと、高濃度の出現が横ばいから低下になるという内容が報告されていましたので、平均濃度の上昇については昼間の平均濃度の年平均値を算出しまして、それがどうなっているかというのを見ております。一方で、高濃度の出現が改善しているという話がありますので、昼間の最高値の年間98パーセンタイル値を出して評価しています。
5ページは、平均値の長期的傾向を示したものになります。Oxの昼間(5~20時)の平均値を測定局毎に日別で算出し、測定局別に年平均値を算出しています。この結果を地域ごとに平均をとったものが5ページの図になります。年度ごとにばらつきがまだ残りますので、移動平均をとって滑らかにする形をとらせていただきました。移動平均は、例えば平成12年度と書いてある部分は、その前後の年を含めた3年間について平均をとったもので、11年、12年、13年度の平均となります。
これまで言われていたように、どの地域についても平均濃度は上がっている傾向が示されているかと思います。これについては、これまでどおりの結果になっております。濃度が若干低下する地域も見られますが、その理由は十分につかめておりません。
6ページはオキシダントの高濃度の改善について検討しています。昼間5時から20時の間の最高値を測定局別・日別に算出し、測定局毎に365個の年間データを高い順に並べて、98%目にあたるものを98パーセンタイル値として算出します。それを地域別に統計をとっています。この図は、測定局ごとの98パーセンタイル値が地域の中で一番高いものを書いています。これも移動平均をとって若干滑らかにしておりまして、関東、東海、関西、九州という形で変化をとっています。
関東につきましては、平成13年から低下傾向が徐々に見え始めまして、全体的に下がってきているのが特徴になります。これは、地域内での最高値が下がっているのではないかということを示しています。
東海・関西につきましても、関東には遅れていますが、18年ごろから徐々に下がっている傾向が見てとれます。九州は平成20年以降下がっている傾向は見てとれますが、移動平均をとっていますけれど3カ年分しかないので、はっきりと低下とまでは言いにくいところがあります。
これは3年平均をとって滑らかにしていますが、単年度ごとに見たものは7ページになりまして、かなりばらつきがあります。特に関東につきましては、低下傾向はあるといいながら、平成22年度は濃度が高くなる傾向もありまして、年度ごとのばらつきはまだ残っております。これが平均濃度と高濃度の状況ですが、もう少し詳しく見ていこうと思っております。それが8ページからになります。
8ページから、平均濃度の上昇について何が要因なのか検討しております。平均濃度の上昇要因を検討の目的として、データは昼間の平均値、統計期間は年度としております。
9ページは昼間の平均値の年平均値です。これは3年の移動平均をとる前の、年度ごとの変動をあらわしたものです。かなりばらつきはありますが、全体的には上昇傾向があることが見てとれます。
その中で青色の点線の枠の年について、濃度分布をお示ししております。それが10ページになります。大体6年ごとの年度間隔でとっていまして、最近については中間の年である17年度をとっています。最新の年で23年度もお示ししようかと思ったのですが、23年度は速報値であるので、確定値の22年度をお示ししております。濃度分布を10ページにお示ししております。上段から関東、東海、関西、九州で、左側から平成2年、8年、14年、17年、20年、22年ということで濃度分布をお示ししております。この図は、昼間(5~20時)の平均値の測定局ごとの年平均値になります。色のスケールは青色が10ppb、最高が50ppbで書いています。
濃度の分布の傾向を見ますと、平成2年や8年あたりは、関東では青色の10ppbや20ppb以下となる値がかなり多くあり、郊外では30ppbぐらいの濃度がありました。最近の年度になるに従って、青色の10ppbや20ppb以下の低濃度の局が減っているという状況が見てとれます。
最近の年平均値の分布を見ると、極端に濃度が高い局の出現はほとんどなくなりました。平成22年については、埼玉県・群馬県・栃木県の県境が高いところとしてあらわれて、もともと低かった東京湾沿岸のところは、緑から黄色の20ppb後半から30ppb前後の濃度に変わっているのがわかるかと思います。
同じように東海・関西・九州におきましても、都心部の濃度が低かったところは、黄色の10ppbぐらいだったものが30ppbぐらいに上がる傾向が見てとれるかと思います。
測定局の濃度ランク別の局数がどうなっているか調べたものが、11ページになります。下段は、関東・東海・関西・九州とそれぞれ濃度ランク別の測定局数の比率を示したものになります。青色の折れ線が平成2年から4年の3年間の局数比率、緑色が中間の11年から13年度、赤色が20年から22年度。20年前と10年前と最近といった形で変化をお示ししております。
そうしてみますと、関東が一番はっきりと変化が出ているのですが、平成2年から4年は最低ランクの5ppbから10ppbが一番低くて、一番頻度の多いのが20から25ppb、高いところで40から45ppbだったものが、年度を追うに従って低濃度側の局数がどんどん減っています。最近になりますと15から20ppbが最低ランク、最多ランクが30から35ppbということで、低いランクが上がり、中間的なところも濃度が上がっている。一方で最高値の濃度ランクはどうかというと、40から45ppbでほとんど変わっていないという傾向がわかりました。
ほかの地域も、関東と同様に同じように低濃度ランクや最多ランクの濃度上昇傾向が見られます。しかしながら、関西や九州では高濃度側の傾向が異なっています。例えば、九州は最低値側のランクも上がっていますが、最高値側のランクも上がっていて、全体的に濃度が高濃度側へシフトしていると傾向が見てとれます。
最低値側のランクの濃度、中央値的なところの濃度、最高値側の濃度が経年的にどうなっているのかをお示ししようと思います。年度ごとに地域内の上位2%となる局の濃度、同じく上位10%、中央値、下位10%、下位2%の局の濃度がどうなっているかを示しているのが、12ページになります。11ページのすそ野の一番低い側の濃度、一番山になっている部分の濃度、一番高いところの濃度がどうなっているかを示したものになります。
12ページは、地域ごとの平均値の2、10、50、90、98パーセンタイル値を書いています。関東につきましては11ページの測定局比率で見たとおり、高濃度側の98パーセンタイル値や90パーセンタイル値は概ね横ばい傾向でした。低濃度側の2パーセンタイル値や10パーセンタイル値は上昇傾向があるということで、測定局比率と同じような傾向が見てとれます。
東海・関西についても似たような傾向はあるのですが、関西から九州にかけては高濃度側も上昇する傾向があり、測定局比率と同じような結果をお示しすることができたかと思います。
13ページに、まとめをさせていただきました。オキシダントの平均濃度は上昇傾向にあるというのは前から言われているところですが、関東・東海については、平均濃度が高い側の局はあまり変化がなく、低い側の局は中濃度にシフトしていて、全体で濃度が上がっているということ。
関西・九州については、低い側は同じように中濃度にシフトしますが、高い側もさらに高濃度側にシフトしているということで、全体的に濃度が上がっているという傾向がわかりました。
ここまでは平均値の話ですが、14ページからは高濃度の出現状況の話をさせていただきます。高濃度は改善しているだろうということが言われておりますので、どういう状況なのかを整理しました。ここでは、はじめに、昼間の5時から20時の最高値を局別・日別に求め、そこから測定局別に年間の98パーセンタイル値を算出しました。その中で地域内の最高値を見たり、平均値を見たりということをしております。
15ページは、先ほどと同じ図ですが経年変化になります。これは3年の移動平均をとっていないものになっていまして、局別の昼間の最高値の年間98パーセンタイル値を出して、関東内での最高値が経年的にどうなっていくのか、東海内で最高値がどうなっていくのかを見たものです。
平均値の図と同じように、青色の枠で囲った年度について濃度分布を整理したものが16ページになります。年度ごとのため傾向がつかみにくいところがあるので、こちらも最終的には移動平均をとるような処理をしなければいけないかと思っています。今回は、年度ごとの特徴もつかみたかったので、年度で示させていただいております。
関東は、平成2年を見ていただくと、郊外の埼玉と群馬の境界あたりと東京と埼玉の境界あたりの2カ所で濃度が高くなっていたのが、平成8年になると群馬県で高くなります。14年になると埼玉と東京あたりが高くなります。
先ほどのグラフで14年が関東の中で濃度が一番高くなりましたので、14年あたりが一番濃度の高い分布になります。14年以降、17年、22年にかけまして徐々に濃度は下がりつつあるのですが、濃度が高くなる地点は割と郊外に出始めているのがわかります。22年度は関東で濃度が高くなった年なので入れているところもありますが、埼玉の中南部の濃度が高くなるような分布になります。
ほかの地域につきましては、先ほどのグラフと同じような傾向がありまして、東海については平成17年に豊田のあたりで高濃度が出た後、徐々に下がりつつあるというのがあります。関西についても同じように17年あたりが一番ピークで、徐々に下がりつつあるという傾向が見てとれます。九州については、17年あたりで黄色の点々が見えるのが見えなくなってくるのですが、19年度が特にまた高くなり、ほかの地域とは少し違う傾向があります。
この中で、98パーセンタイル値の地域内最高値と地域内平均値がどうなっていたかを見たのが17ページです。関東につきましては、最高値は22年度を除外すれば割と下がっているという傾向が見てとれます。平均値につきましても、やや低下傾向というのを見ることができます。
東海につきましては、18年ごろから最高値側が下がりつつあって、平均値側はもう少し後れたところで下がりつつあります。関西につきましても、18年ごろから徐々に下がりつつありますが、平均的な濃度については大体横ばい。九州につきましては、最高値は19年ぐらいをピークにして下がっている傾向はありますが、平均値については大体横ばいかやや上昇しているのが見てとれます。
平均値と同じように、濃度ランク別の測定局数がどうなっているかを整理したのが18ページになります。ピークの年が関東でいうと14年あたりになりますので、先ほどとは違って4期間について示しております。濃い青色が平成2年から4年、薄い青色が8年から10年、緑色が14年から16年、赤色が20年から22年になります。
関東では、濃い青色のところのピークが110から120あったのが、8年から10年では一旦下がります。そこからもう一度ピークが緑色のところに上がって、全体的に濃度が高くなる。それがまた20年になると下がってくるという傾向で、上がって下がって、上がってまた下がるというような形になります。
東海につきましても、似たようなところで一回下がって上がるような傾向があります。九州につきましては、2年から4年が一番低くて徐々に上がっていく傾向で、今は横ばいか80から90ぐらいのところをピークにずっとしている傾向が見てとれます。
このときの分布の上位側、下位側、中央値がどうなっているかを調べるために、19ページではその濃度を経年的に整理しております。
こうして見ますと、関東は22年が大きく上がりますが、高い側は低下する傾向が見てとれます。中央値についても若干低下する傾向があります。最近10年ぐらいを見ると、そういう傾向が見てとれるかと思います。
東海につきましても、17年ぐらいから高濃度側は下がっている傾向がありますが、低い側のランクも上がっている傾向があります。関西につきましても、東海と似たような傾向があります。九州につきましては、高い側が最近3年は下がっている傾向がありますが、19年ピークのところで横ばいかやや下がるぐらい。低い側は常に上がっているという傾向が見てとれるかと思います。
高濃度について20ページで整理しています。高濃度については改善傾向が見てとれます。ただ、関東・関西では改善が見られる局が多いものの、東海・九州では悪化している局も見られて、地域差が大きい。また、気象要因による変動が大きくて、急激に悪化する年も見られます。全体的に平均値は上昇傾向、高濃度は改善傾向がこれで見てとれたかと思います。

資料1-2「Oxの長期的傾向の要因検討」
平均値が上がっていることや高濃度が改善している要因を検討しようということで整理したのが、資料1-2になります。
資料1-2の2ページは、資料1-1と同じ内容を記載しております。
3ページに、資料1-2で整理した統計値について示しております。赤枠のところになります。はじめに、越境汚染がどの程度あるかを把握するために、季節別の平均濃度について検討しています。
次に、8時間値について、0時から8時までを朝、昼を8時から16時、夜を16時から24時という3区分にして、時間帯ごとの平均値についてどう変わるかを調べています。特に春季の朝方について、越境汚染がどういうふうになっているかを検討しております。
さらに、タイトレーションの影響を除外した形で検討する必要があるので、ポテンシャルオゾンについて検討しております。
最後は、前駆物質との関係がどうなっているのかというのを整理して、オキシダントの変化の要因を検討させていただいております。
初めに、越境汚染の検討のところをお開けください。5ページでは、季節差の検討についてお示ししております。季節別の濃度傾向の把握ということで、これによって越境汚染がいつぐらいの時期に強く来るのか、どの程度あるのかというのを把握しようと考えました。
データは、昼間(5~20時)の平均値を用いております。統計期間は春(4~5月)、梅雨(6月)、夏(7~8月)、秋(9~10月)として統計をとっております。
その結果は6ページになります。6ページは、昼間の平均値の地域平均について季節別に統計をとったもので、赤色が春、梅雨時が青、夏が緑、秋がオレンジという色で経年変化をとっております。これにつきましても、3年移動平均をとって滑らかにした形で示しております。
こうして見ていきますと、それぞれ上昇傾向にあります。資料1-1で示したようにオキシダント濃度の年平均値は上昇傾向であることがわかりましたが、季節別には若干差がみられます。関東の春は上昇傾向がありますけれども、梅雨時は横ばい、夏は若干低下、秋はやや上昇するという傾向があります。他の地域も、大体似たような傾向ですけれども、濃度の上がり方は地域ごとに違っていて、九州は特に平成14年あたりから強い上昇が春季に見られます。
濃度上昇がどれぐらいあるのかというのを調べるために、平成15年を基準年にして、各年度の濃度比をまとめて経年変化を整理したものを7ページに示しております。平成15年比というのは、14年から16年の平均値を基準で1にして、それに対してほかの年がどういう比率になっているかを経年的に示したものです。
こうしてみますと、関東・東海・関西は季節別に多少ばらつきはありますけれども、大体同じような伸び率で伸びていることがわかります。
ただ、九州については傾向が違いまして、春先が特に強く伸びている傾向があります。夏と梅雨時につきましては上昇しているように見えますが、16年を基準値にした場合を考えると、緑色の夏はほぼ横ばいの傾向がありまして、梅雨時も同じような傾向があります。秋については春季と同様に上昇している傾向が見られました。このように、ほかの地域と比べ九州だけ異なる傾向があるというのが特徴になっていました。
整理しますと、季節別の平均値の経年伸び率は関東・東海・関西では差があまり見られませんが、九州では季節差が大きく、特に春先の平均値に変化が大きい。平均濃度の濃度上昇は、春と秋の変化傾向によるものが大きいのではないかというのが、ここでわかりました。
次の9ページは、朝の8時間値の濃度傾向というタイトルで示させていただきました。昼間のオキシダントは、地域内で排出される前駆物質の光化学反応によるオキシダントの生成が強くあらわれていて解析するのが難しい。そこで、越境汚染の解析に適する時間帯として、朝・夜の光化学反応が弱い時間帯を選んで解析してみようと考えました。
1日を3時間帯として、朝を0時から8時、昼を8時から16時、夜を16時から24時という3区分に分けて、8時間平均値を使って検討しております。先ほどの検討で、春先は越境汚染の影響が出やすいだろうということ、夏は出にくいだろうということがわかりましたので、春と夏について経年変化を整理しております。
その結果が10ページになります。左側の緑色の枠で囲ってあるのが春先(4~5月)の統計値、右側のオレンジ色の枠で囲ってあるのが夏(7~8月)の統計値。上段が朝、中段が昼、下段が夜です。便宜上、朝・昼・夜と呼んでいますけれども、そういう時間帯になります。
7月から8月の夏は、朝と夜は地域差があまりないというのが見てとれて、昼はもともと持っている前駆物質の濃度の違いもありますので生成する量がだいぶ違うという傾向があります。春先を見ますと、昼間は生成するものがあって見にくいですが、朝と夜については九州では濃度が強く上がるという傾向が見てとれます。
解析していくと、夜の解析については昼間生成したオゾンが強く影響してしまい、昼間の結果をひきずりながらの結果になってしまいます。見ていくのであれば朝のほうがいいだろうと考えて、11ページに朝の8時間値について春季の傾向を整理しました。
グラフの真ん中の粗い点線が、先ほどの平均値でお示ししているものになります。実線の高い側に分布しているものは域内平均値の最高値になります。細かい点線は域内の最低値になります。
こうして見ていきますと、九州の最高値が14年あたりから急激に伸びている傾向が強く出ていることが特徴になっております。低い側の濃度については、関西と九州が17年、18年あたりから急に伸びているのが特徴です。
測定局別濃度がどのような分布になっているかを整理したものが、12ページになります。先ほどまでと同じように、濃度ランク別の測定局数を整理させていただきました。
同じように関東・東海・関西・九州を整理しておりますが、先ほどの解析とは違って、平成14-16年以降の変化を示しています。平成14年から平成16年を緑色の折れ線、中間の平成17年から平成19年をオレンジ色の折れ線、赤色は平成20年から平成22年の折れ線ということで、春の朝8時間値の平均濃度ランクになっています。
ざっと見ていった感じですと、全体的に最近の平成20年から平成22年にかけて高い側の濃度が上がる傾向はありますが、特に西側の地域で強く出ています。関東については、若干高濃度側が下がって、低い側が上がっているという、先ほどと同じような傾向が見えます。東海・関西・九州については、高い側も徐々にスライドしているのが見てとれます。特に九州については、平成14年から平成16年に対して平成20年というのはかなり大きく、15ppbぐらい上昇しているのが強く見てとれます。この辺の濃度の変化が、特に西日本で強く出ているという傾向がお示しできたかと思います。
同じように、すそ野の濃度と中央値の濃度がどのように変化しているかというのを整理したのが、13ページになります。特徴的なのは、九州地域が上も下も同じように上昇している傾向が見てとれるということです。関東の上側の濃度はあまり上がっていないですが、下側が上がっているという傾向が見てとれ、関西・東海はその間の傾向になっています。
14ページにまとめました。越境汚染の影響が大きい春季と影響が小さい夏季について朝・昼・夜の8時間値の平均値の経年変化を見ました。九州の朝8時間値は地域全体に濃度上昇が見られ、越境汚染の影響が見られるのではないかと考えております。関東と九州の中間に位置する東海・関西は両方の傾向が見られ、西の地域に行くほど越境汚染の影響が強く見られたのではないかと考えました。
15ページではポテンシャルオゾン(PO)の経年変化を整理しております。平均濃度が上昇して低濃度局が中濃度にシフトしたところがあって、要因としてはタイトレーションが低下した可能性と越境汚染の影響が強くなった可能性が考えられます。そこで、タイトレーションに影響されない指標としてPOを用いて、オキシダントの濃度上昇の要因について検討しました。
データとしましては、毎時間POを計算して統計をとっております。統計をとったのは、昼間(5時から20時)の平均値です。
POの計算式は、αを0.1と固定して今回は計算しました。昨年の報告にもございましたように、α自体をどうとるかというのも大きな問題ではあるのですけれども、ここではそこの議論を避けて0.1の固定という形で解析しております。同じように、平均値であるとか、98パーセンタイル値を解析しております。
結果ですが、16ページにPOの昼間の平均値の年平均値をお示ししております。これも移動平均値をとっております。
関東につきましては、平成16年あたりから緩やかに低下傾向が見られます。東海につきましても、同じころから横ばいから低下の傾向が見られております。関西はやや上昇する傾向で、最近20年あたりから頭打ちして下がってきています。九州につきましては、13年あたりから徐々に上昇傾向があってピークが20年ぐらい、そこからやや下がってきている傾向が見てとれました。
16ページは移動平均をとりましたが、詳しく見るために17ページは年度ごとの変化を示しております。
昼間の平均値に変動はありますが、同じように6年ごとで中間の年をとった分布が18ページになります。平成2年から22年までのPOの昼間の平均値の変化をお示ししました。関東・東海については、分布を見ても徐々に低下する傾向が見てとれます。ただ、関西・九州については、POが平成20年ごろまで上昇する傾向があり、分布でも同じような傾向があります。ただ、徐々に低下する傾向も平成20年、平成22年では見られるというところが特徴になっています。
濃度ランク別の測定局数がどうなっているのかを把握したのが、19ページになります。関東につきましては、基本的に低い側の濃度が青色から赤に最終的にシフトするのですが、低い側は若干上がり、高い側は逆に下がっていて、中央値はあまり変わらないというのが特徴になります。
東海についても似たような形で、40から45ppbを中心にして上側と下側が徐々に真ん中に集まってきている傾向があります。関西につきましては、正規分布とは違いますが同じような形で上側と下側が減って、真ん中あたりが局数は増えているけれども濃度自体はあまり変わっていない。逆に九州は低い側も高いほうにシフトしますし、高い側も高いほうに若干シフトして、全体的に中央値も高くなっていくという傾向が見てとれました。
すそ野と中央値を同じように見たものが20ページになります。いまご説明いたしましたように、関東は高い側も低い側も下がっていて、中央値自体も若干下がる。先ほどはあまり変わっていませんでしたが、経年傾向を見ると若干下がりつつあるのが見てとれるかと思います。逆に九州は高い側も、最近は下がる傾向がありますが、上がる傾向が見てとれて、全体的には上がる傾向が見てとれます。
ここまでは平均値でしたが、同じようにPOの昼間の最高値の年間98パーセンタイル値についても経年変化をとっています。それが21ページになります。基本的にはOxの最高値と同じような傾向が見てとれて、平成13年か平成14年あたりをピークに関東は下がりつつあります。ほかの地域についても、横ばいだったのが平成18年あたりから下がりつつあるというのが見てとれます。
ただ、これも年度ごとに見ているとばらつきがあります。22ページは同じPOの最高値の98パーセンタイル値ですが、年度で見たのか、3年平均で見たのかという違いで、特に平成22年は強く上がるのが関東の特徴になっております。
23ページで整理させていただくと、タイトレーションの影響を受けにくい指標としてPOを用いてOxの平均濃度の上昇について検討しています。
POは東の地域ほど低下傾向が見られ、西の地域ほど上昇が見られました。関東・東海は、越境汚染よりもタイトレーションの低下によるオキシダント上昇が大きいことから、平均濃度が上昇したのではないかというのが見てとれます。逆に九州については、タイトレーション低下よりも越境汚染の影響が大きく出始めていたために上昇が見られたというのが見てとれました。関西は、その中間的な傾向が見てとれたということです。
タイトレーションまで見てきましたので、今度は前駆物質とどう関係があるのかということを整理したのが、24ページからになります。前駆物質としてはNOxとVOCですが、VOCの濃度は情報がないので、NMHCについて整理させていただきました。
25ページでは実際の濃度の経年変化をお示ししました。先ほどまでは地域ごとでしたが、発生源地域での変化がどうなっているかを見たいというのもありまして、25ページは都県別にさせていただきました。
関東は東京、東海は愛知県、関西は大阪、九州は福岡県の傾向をそれぞれ示しております。赤色がNOxの経年変化、青色がNMHCの経年変化、緑色がその比というふうにしております。測定局は一般局すべてを使った統計ですが、これについても年度の変化がありますので3年移動平均にしております。
規制との関係もありますので、そこも含めてご説明させていただきます。自動車NOx法が、埼玉県など関東と関西で先行して平成4年に法規制がありまして実際に施行されております。その後、平成13年に改正されて自動車NOx・PM法ということで、関東、関西に加えて愛知県、三重県が含まれるという形で自動車規制が始まっております。
自動車の単体規制としては、短期規制から新長期規制、最近はポスト新長期が導入されていますので、それぞれの規制の効果がNOxなりに示されていくことになります。あとは、VOC規制が平成17年になります。
NOxの経年変化は、大阪、東京では平成9年ごろまでは横ばいだったものが、そこから急に下がり始めるという傾向が見てとれます。愛知県については、平成14年ごろから変化傾向が強く出ています。この3県につきましては、自動車の規制の影響がNOxの濃度変化にあらわれているというのが見てとれます。
VOC規制の効果としてNMHCがある程度変わればと思ったのですが、東京や愛知県を見ますと、平成17年以前と以後については低減率が変わってきているのが見てとれます。大阪もそういった傾向が見てとれます。福岡は、NMHCについてはよくわからないというのが正直なところです。
NOxは経年的にずっと下がっており。自動車の規制でNOx濃度が大きく変わってきているというのが、前駆物質の特徴になっております。
それがOxやPOにどう関係しているのかを見たのが、26ページになります。それぞれ濃度レベルが違うので、平成3年の平均値を基準値にして変化率を示しております。横軸が年度、縦軸が比率になります。
赤・青・緑はNOxとNMHCとその比。オレンジ色はOxの平均値の地域平均になります。黒色の実線がPOです。局別の98パーセンタイル値の域内最高値を点線で書いていまして、Oxがオレンジ色の点線、黒色の点線がPOになります。
こうして見ていきますと、Oxのオレンジ色の平均濃度が上がる点は東京だと平成9年あたり、大阪も同じようなところ、愛知県については平成13年あたりとなっていて、ちょうどNOxが下がり始める時期に一致するというのが見てとれるかと思います。
一方で、最高値が下がり始めるのが大阪で平成17年あたり、愛知県については平成18年から平成19年あたり、福岡についても同じ平成17年前後から最高値については徐々に下がっている傾向が見てとれます。これはVOC規制のころのNMHCの変化と大体同じような時期に、愛知県は少しずれている気もしますけれども、低減傾向があって、最高値側についてはVOCの規制が効いてきているのではないかと思います。
前駆物質とOxの関係ということで、27ページに整理させていただきました。レジーム図とか、NOx・VOC・Oxの関係図といわれるものですけれども、横軸にNMHCの濃度、縦軸にNOxの濃度をとって、プロットの色がOxの濃度になります。
昼間の最高値(98パーセンタイル値)については、前駆物質の濃度が低いときは濃度が低くて、高くなると濃度が高くなるという傾向が、地域ごとにも示されますし、全部併せたものでも同じような傾向が見てとれるかと思います。
ここでは、都府県ごとの平均値や最高値について1点プロットしておりますので、関東については東京以外にも神奈川県や埼玉県などの県が含まれており、ほかの地域も同じように地域内の府県を入れ込んでプロットしております。
28ページでは平均値を示しています。タイトレーションの影響を除外したほうがいいということで、POについて同じようなプロットを書いております。
こうして見ますと、前駆物質の濃度が低いほうがPO濃度は高くなるという傾向が、関東・東海・関西については同じように見えます。九州だけは違っていて、前駆物質の濃度が低いところで高くなるという傾向が見られました。これは多分、前駆物質の濃度が下がりつつある中で、越境汚染の影響が強くなるところが示されていて、レジームとは関係ない世界の話なのかなというのが見てとれるかと思います。
以上が要因解析でして、西日本のほうで越境汚染の影響が強く見えてくるというのが傾向でございます。

資料1-3「指標の検討」
最後に資料1-3は、その他の指標の解析になります。これまで平均濃度と最高濃度のお話をさせていただきました。この他の指標として、基準を超える濃度となる時間がどれぐらいの時間数になるのか、濃度の積算時間はどうなるのかを見たものになります。
ページをめくっていただいて3ページは、資料1-2までと同じ表です。資料1-3では、下段の三つの項目を検討しております。基準値以上になった時間数であるとか、積算濃度であるとか、8時間値がどういう傾向にあるのかを把握しておきたいというところもありまして、8時間値の年間98パーセンタイル値について整理しております。
5ページからは、Ox濃度が基準値以上になった時間数の経年変化になります。基準値に40、60、80、100、120ppbをとりまして、それ以上になった時間数について整理しました。測定局ごとに1日あたりの平均超過時間、基準値以上の時間数をまず出しておきます。それを出すと1未満のかなり小さい数字ばかりになってしまうので、365日を掛けることによって、年間あたりどれぐらいの時間数になるかを出し直しております。
ややこしいことをしたのは、測定局ごとに測定する時間数が違っているので、それを正規化するという意味で、こういう処理をさせていただきました。
6ページがその結果になりまして、それぞれの地域の平均値を出しています。縦軸は対数スケールにしています。変化率が若干見にくいですが、時間数が40ppbと120ppbにすると2けた違ってしまうので、その変化を同時にお見せしたいところがあって、こういう形にさせていただいております。
見ていきますと、それぞれの地域が120ppb以上の時間数は徐々に減りつつあるのが傾向として見てとれるかと思います。九州につきましても、平成19年をピークにして徐々に下がっている傾向があるというのが特徴になっています。
ただ、時間数自体が、関東だと120ppbの超過時間は平均すると10時間ぐらいになるのですが、九州になると1を割るぐらいの数値になり、地域ごとに時間数のレベルが違います。その辺をどう評価するかというのが、もし時間数を指標とした場合はネックになると考えております。
120ppb以上になった年間の時間数の分布を整理したのが、7ページになります。関東から関西につきましては、平成2年から平成22年まで今までと同じ年度でやっています。九州につきましては、平成17年以前で高くなることが少なかったので、平成17年以降の毎年の分布の違いを示しております。
九州だけを見ていきますと、平成19年は越境汚染が話題になった年ですけれども、特に時間数が大きくなったのが見てとれるかと思います。関東につきましては、濃度分布に近いところはありますが、平成15年あたりを時間数としてピークにとりながら、徐々に減っているという傾向が見てとれるかと思います。
9ページは同じようなものですけれども、積算濃度×時間数という形の積算濃度で示しております。ただ、そのまま積算してしまうと問題があるので、基準濃度に対してOxの濃度がどれだけ上がったかという、差分の濃度について積算しています。基準値につきましては、資料には60と書いてありますけれども、40から120ppbについて整理しています。
その結果が10ページになります。局ごとに出しておいて、365倍して正規化するという方法をとっております。
こうして見ていきますと、関東については徐々に低下傾向にはありますが、22年、23年は若干増加しているところも見てとれます。ただ、傾向的には低下しているというのが見てとれます。東海・関西・九州についても同じような傾向です。ただ、時間数と同じように積算濃度自体のレベルが全然違っていて、関東は100ありますが、九州は10とか1というふうに、けたが違っているので指標として使うには難しい面があるというのが課題としてあります。
11ページでは分布を示しましたけれども、これも時間数と似たような形の分布になるというのが特徴になります。
13ページからは、昼間の8時間値の年間98パーセンタイル値について整理しました。EPAやWHOでは8時間値が基準になっているところもありますので、Oxの評価の指標として8時間値が使えるかどうか、どういう傾向があるかを整理しています。
EPAの指標では、8時間値の移動平均値をとって日最高値をとりますが、今回は8時から16時の固定した時間帯の8時間値について整理しております。
結果は14ページになります。冒頭でお示しした昼間(5時から20時)の平均値の傾向とよく似ているのですが、関東については平成16年あたりから徐々に下がりつつあるのが傾向としてあります。ほかの地域についても、やや下がりぎみの傾向が見てとれるというのが特徴になります。
これは3年間の移動平均をとっていますので、年度ごとのものを15ページに載せております。1時間値を見るよりは少ないですけれども、かなりのばらつきが見てとれるという傾向があります。ただ、経年的には減っているというのが見てとれます。
それぞれ先ほどと同じように6年ごとの濃度分布を示したのが、16ページになります。これも平均値の濃度の変化と割と近い形が見てとれます。低い側の濃度が減りつつあり、高いところも関東については減っているのが特徴になっているかと思います。
測定局の濃度ランク別の局数がどうなっているかを示したのが17ページになります。関東については、高い側が減り、低い側が増え、8~10年に比べて20~22年は中央値の頻度が高くなっているという傾向があります。西日本に行くと、九州は特徴的ですけれども、2年から20年にかけて最多ランクの濃度は上昇する傾向にありますし、高い側の濃度も上がり、低い側の濃度も上がるという傾向が見てとれます。
同じように、すそ野の濃度が経年的にどうなったかを整理したのが18ページになります。これも平均値の傾向と近いですが、これぐらいの変化があるということで、5時から20時の平均値よりは変動がとれるという傾向になっています。
以上、今回まとまったものをご説明させていただきました。

秋元座長 ありがとうございました。だいぶ意味がわかりやすく整理できつつあるような気がします。これにつきまして、委員の方からご質問、ご意見、コメントをいただきたいと思います。資料は三つに分かれていますが、全体を通じてでも結構ですし、個別でも構いません。

下原委員 資料1-2の11ページでは、ここ3年ぐらいOx濃度は下がっているとのことでした。福岡に関して私の感覚的なものですが、Ox濃度は移流で上がるという予測を立てていても、風が強かったり、日射が弱くて、注意報まで上がらないということがありました。それが平均に効いているかどうかは分からないですが、気象的な要因もあるのかなという気がしています。
それと14ページです。私がこの資料を読んでいて思うのは、移流の影響でOxが上がる部分と、VOCとNOxのバランスという地域的な要因で上がる部分があると思っています。九州は移流の影響が非常に強い。関東や関西も移流影響を受けているとのことですが、半地球規模でいうなら慰留により少しは影響を受けているかもしれませんが、九州の移流とそれ以外の地域とは分けて考えたほうがいいかと思います。
14ページに、東海・関西では春先にOx濃度が上がるから移流と両方の影響があると書かれています。しかし、春先に上がるのは光化学反応でも上がりますから、東海・関西でも移流の影響だと言っていいのかなという疑問を持っています。というのは、19ページのPO濃度を見てみますと、九州は高濃度側に最近はシフトしていますが、関東や関西はしていません。もちろん関東や関西は移流の影響が全くないと否定しているわけではありませんが、私は移流よりもむしろ内陸汚染の影響が強いのではないかと考えています。
あと一つ、私がこの解析の中で一番大事だと思うのは27ページです。移流と地域のOx生成とは分けて考えないといけない。NOx濃度が下がってきたのに対してNMHCの下がり方が悪いから、そのバランスが崩れてOx濃度が上がるというのは多分にあると思っています。
27ページでその傾向があまりよく見られないというのは、関東という一つの区切りで見るからであって、県ごとに分けてみるとか、ある年度を基準にしてNOx濃度が5%減る、10%減るというのを横軸、縦軸にはVOC、それに対してOx濃度がどの程度上昇するかというパーセントで、九州を除いてテーブルをつくる。
九州は九州で同じようなテーブルをつくって、関東とは分けて見ることで、例えば、NOx濃度が下がっているのにVOCがそこまで下がっていなくてOx濃度が上昇しているという現象が、もう少し見えてくるのではないか。結局、関東や関西では移流影響よりもむしろ地域的なOx濃度の上昇による影響がより強いのではないかと思っています。以上です。

秋元座長 ありがとうございました。私から今のご発言に対してコメントさせていただきます。
今日見せていただいたものから、九州が越境の影響が一番強くあらわれているというのは間違いないと思います。順番に九州が一番強くて、関西、東海、関東というふうに東へ行くに従って弱くなる。これは非常にリーズナブルなことで、関東と東海の差が見えていないところはあるかもしれませんが、恐らくそういう順番だろうというのは、物理的に非常に納得できることです。
ただ、それぞれ程度の差があって、どちらかにきちっと分けるというのはよくないです。地元のものとの比率の問題で、比率が九州の場合は越境が大きい、関東の場合は小さいけれども常ににあって、それが増えている。絶対量としては関東の場合には地元のOx生成が一番高いですけれども、トレンドとして増えているというのは、モデルや何かの結果も含めてですけれども、越境の影響を関東でも受けている。そんな目で見ていくのがいいかなという気がします。
ほかにどうぞ。

板野委員 下原先生の話とも関連しますが、資料1-2の23ページではPOの経年変化の解析がまとめられています。3番目の項目で越境汚染とタイトレーションについて言っていますが、ここで越境汚染と言い切ってしまうような解析ではないので、こういうところは気をつけなければいけないと思います。
これは昼間の濃度を使った解析なので、やるとすればOxで得た朝の濃度を使った解析のほうが光化学生成の影響をより除去できるので、そちらのほうがいいかと思います。
今度は少し違う話になりますが、朝の濃度を使うと、朝というのはNOxの濃度が非常に高くなります。特に古いOxのデータだと、湿式のオキシダント計を使っているデータがありまして、それに対してNOxが正に干渉するという影響があります。その辺は私どももⅡ型の研究で解析していると非常に悩ましいのですけれども、これはどうしたらいいという話ではないですが、そこを注意する必要があります。
一方では、向井先生がよくご存じのように、湿式のオキシダント計だと、NOxは正に干渉するけれども感度としては低いという話があって、すごくややこしい。これは確認ですけれども、湿式のオキシダント計も乾式もまぜ込んで解析された結果ですよね。

事務局 はい。両方使っています。

板野委員 その辺をうまくやる必要があるのかなと思ったりします。

秋元座長 ありがとうございました。ほかにどうぞ。

向井委員 湿式、乾式の関係は難しいですが、1点言っておかないといけないのは、オキシダントスケールは平成22年から変わっています。平成23年はすごく下がっているところがありますが、スケールの変わり方よりもちょっと大きいかなという気もしていますが、平成23年が特に下がっているうちの半分ぐらいはスケールの変化によるものと思っていただいたほうがいいかもしれません。平成22年度途中からスケールを変えている県が多いので、解析に使った県がいつスケールを変えたかを調査していただいて、スケールにファクターをかけるなりしたほうがいいかと思います。
それから細かいことですけれども、関東地方の解析対象自治体に千葉県が入っていると思いますが、表の中で抜けているのは間違いですか。

事務局 すみません、千葉県は入っています。訂正させていただきます。

秋元座長 ありがとうございました。向井さんの最初のコメントは非常に重要で、Oxのキャリブレーションのスケールが国際標準になったということで、それによって方向としては下がる方向になるわけですね。

向井委員 はい。

秋元座長 それは平均的にどのぐらいのパーセンテージですか。

向井委員 平均6%から7%の間ぐらいです。これを見ると1割下がっているので、半分ぐらい効いているのかなというのが今の感触です。あまり正確なことは申し上げられないですけれども。

秋元座長 そこはきちんと補正するというか、トレンドを今後見ていくときに何か工夫したほうがいいですね。確かに変なことになったらまずいので。
どうぞほかの方。

金谷委員 一つ前の話に戻りますけれども、資料1-2でOxの朝の8時間値について検討されているところがあります。その後からPOの話が出てくるのですが、朝の8時間値の解析もOxではなくてPOでやったほうが、タイトレーションの効果を除去して議論して、より越境汚染に対する点が見やすいのではないかと思いました。
それと先ほど話に出たNOx・VOCのNMHC比の話ですけれども、これも前駆物質の濃度比に対して季節変化の可能性があることと、光化学的反応の理論からいって、それが特大になるはずの比自体も季節変化します。データが減ってしまうということで季節を選ぶことは悩ましいところはあると思いますが、その辺を詳しく見られたらいいと思いました。

秋元座長 ありがとうございました。POの時間別というのは確かにわかりやすいと思うので、ぜひやってみてください。

浦野委員 質問ですけれども、資料1-2の8ページの2番目、「低濃度の濃度上昇は、春季と秋季に大きい傾向があり、夏は横ばいに近い」という結論は、どこから来ているんですか。もとの情報にはそういうものが出てきていないですけれども、それが一つ目の質問です。
それから、資料1-2の27ページは、タイトルが「都府県別最高値」と書いてありますが、地域別に関東、東海というふうになっているのに、都府県というのは特に何か考えているんですか。内容は都府県になっていないような気がします。
NMHC濃度とNOx濃度とOx濃度は非常に重要な図なわけで、これをもう少し違う形で見て縦軸、横軸で切ってみると、例えばNMHCが20以下でNOxが30以下のところは130以上がほとんどなくなってくる。区域ごとの濃度分布をもう少し解析すると、どこら辺が悪くて、どこら辺はOx濃度が高くなりにくいという、確率的なものが見えてくるのかなと。これを違う形で解析してみると、かなりいろいろ見えてくると思っています。
それから次の質問ですが、資料1-3の12ページに結論的なことが書いてあって、3番目に「地域毎に積算濃度の傾向を把握することは重要であるが、地域間の違いを比較するなど、扱いが難しい面がみられる」。これは意味がよくわからないので、もう少し説明をいただきたい。以上です。

秋元座長 ありがとうございました。事務局からお答えいただけますか。

事務局 初めに、資料1-2の8ページの2ポツ目は、資料をつくっている段階では、ほかの資料と同じように低濃度側の変化や高濃度変化を入れていたのを説明上、不要と判断して資料から省いたのですが、そこの結論を削除することを忘れておりました。すみませんでした。

秋元座長 この結論は除いておいていいですね。

事務局 はい、削除してください。

浦野委員 27ページと28ページについては、今後検討していただくということですか。

事務局 27ページは、「都府県別」と書いているのに関東というまとめ方をしているという話でしたが、1個1個のプロットは、例えば東京都の平成20年のNOx濃度の平均値とVOC濃度の平均値とOxの最高値をあらわしています。1個がある年度のある都県の濃度を代表しますので、関東と書いてあるのは、神奈川、東京、埼玉、千葉なとの都県別のプロットを重ねています。

浦野委員 それは全体がそういう解析ですよね。

事務局 このプロット自体も、1個1個それぞれ都府県のものが書いてあって、それを重ねているというような感じです。

浦野委員 そうすると、ほかのときの関東の扱いとは違うんですね。

事務局 ちょっと変えています。関東の中での発生源地域と群馬や栃木など移流の影響が強そうな地域ではレジームが違うかなという思いもあったので、あえて変えてやってみました。

秋元座長 変えるのはいいけれど、それを同じ言葉でやると聞いている人がわからなくなる。

浦野委員 他のページのところでは全部の地域を集めて解析した結果であるのに対して、ここは都府県ごとに解析したものを関東地区は関東地区でまとめて表現したという意味ですか。

事務局 そういう意味です。

浦野委員 わかりにくいので、その辺は注釈をつけていただくほうがいいですね。逆に言うと、この中で都府県ごとに別の図をつくろうと思えばできるということですね。

事務局 分けられます。例えば関東のところで上から列が2本出ていますが、これは違う県のものを示しております。

浦野委員 そういう意味ですか。その辺は整理をして、27ページと28ページはおもしろいデータなので、もう少しいろいろな解析をやっていただけるといいかもしれません。

事務局 わかりました。ありがとうございます。

秋元座長 これはいろいろな意味があって、うまくやらないと伝わらない。特に関東は、発生源の東京など南関東と、群馬が典型だろうけれど移流先の栃木と群馬、埼玉はどこで切るかは問題ですけれども、北と南ではこういうものを書いたときに違いが出てくる可能性があるんです。VOC・NOxはどちら側で効くかということは科学的に違うはずなので、そういうのが統計データから出るとわかりやすい。浦野先生のコメントも踏まえて、うまく切り分けて出してみてください。

事務局 わかりました。ありがとうございます。
それから資料1-3の12ページについてですが、うまく表現できなかったのですけれど、言いたかったのは、10ページの120ppbを超過する積算濃度を見ていただくと、関東は100ぐらいのレベルがあり、逆に九州だと1ぐらいのレベルがあります。仮に基準値というか、これ以上の積算濃度になったらだめだというようなものを敷くときには、地域ごとにレベルが違うと敷きにくいのではないかということがあって、こういうコメントにさせていただきました。内部でも指摘があって、うまく表現することができなかったのですが、そういった意味でございます。

秋元座長 ここに書くことではないような気がしますね。最終報告のときには、また別のまとめ方になると思いますけれども。

浦野委員 今後もう少し検討していただくということで。何を言っているかよくわからなかったので。

事務局 わかりました。

板野委員 資料1-2の27ページのVOC・NOxプロットに戻りますが、この解析は、光化学生成で増えてくるOxに対して、VOCとNOxがどういう関係があるかを調べる図だと思います。今はほぼ確実なこととして光化学生成と越境汚染の影響があることがわかっている中で、この図を作成するというのは非常に難しい問題があります。光化学生成してきたOxとNOx・VOCとの関係を図にしないと、うまい解析ができるはずないです。それが九州の図に如実にあらわれていると思うんです。
やり方が正しいかどうかは別ですが、例えば朝の一番低いときの濃度と最高値の濃度との差分が光化学生成分だとするとそういうものを使うとか、そういった解析をしないと意味のない解析になってしまうので、何か工夫が必要ではないかと思います。

秋元座長 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。このタイプは30年前からやられていることなので一つのやり方ではあるけれども、これから本当のメッセージが得られるようにするというのはそう簡単ではない。安易にやってこれがどうだというのはよくない。やる以上は、いま言われたように、少なくとも何がわかるかというのをやっていただくといいと思います。
これは今回初めて出てきたので、中身をどういうふうな方向で整理するのがいいかという意見は出ていないと思いますが、今日いただいた意見で次回までにやっていただくということにしたいと思います。

井上委員 2点ほどお聞きします。まず、トレンドの傾きを出すときに、基準の年度が指標によってばらばらのような気がしたのですが、あえてそのようにされているのか。できたら、統一したほうが見やすいのではないかと思いました。
2点目は、資料1-1の17ページは、日最高値の98パーセンタイル値の域内最高値あるいは域内平均値を赤と青の線であらわしていますが、98パーセンタイル値の域内最高値は下がっているような傾向がある。一方、平均値のほうはそれほどでもなさそうである。このときどちらを使ったほうが解析にいいのかということですが、その辺はまだお決めになっておられないのでしょうか。
資料1-2の26ページを見ると、昼間の98パーセンタイル値については最高値しか書いていません。その辺は最高値のほうが重要と決められたのか。
私個人的には、最高値ももちろん重要ですけれども、平均のほうが全体のことを考えれば重要なのかなという気がします。統計的な意味でも、どこかの最高値、局所的に出やすいところの変動を見ていいのかなという気もします。

事務局 傾きを見ているのが資料によって年度が違うというのはご指摘のとおりで、やっていてもばらばらしてしまったので最後にそろえようかと思っていたのですが、時間的に余裕がなくてできませんでした。申しわけございませんでした。全部の解析を通した中である程度基準になる年を決めて、同じように傾きを求めようかと思っていますので、次回か最終報告までには間に合わせたいと思います。
あとは、98パーセンタイル値の最高値を見るのがいいのか、平均値がいいのかというのは、私もどちらとも決めかねるところがあります。ただ、一番高くなるところがどう変わっているのかというのも重要なので、これはこれで一つ見ていかなくてはいけないかなとは思っています。平均的に高い濃度が地域的にどうなのかを見るのも確かに両方得ていかなくてはいけなくて、どちらが重要かというのは特に考えていなくて、できるだけ両方を見ていくつもりでございます。

秋元座長 ありがとうございます。今の質問とも関連するので私からも、今日の資料を見せていただいた上で今後の整理の仕方についてコメントします。
まず、今日はっきりしてきたのは、特にトレンドを見るときには3年移動平均をとったほうがいい。これは幾つか図が出ていましたけれども、年々の統計だとかなり変動が大きいものが、3年の移動平均をとると相当滑らかになって傾向がよく見てとれる。特にVOCの規制なりNOxの規制でよくなってきた、どうなってきたという議論のときには、今後この検討会では3年平均のものをとっていく形にできないかなと思います。
もう一つは、平均値の平均時間が5時から20時の16時間平均と8時間平均値が混在していますが、これは非常に重要な問題で、前年度の検討会の勧告として、我が国でOxを今後評価していくための指標をどうするか。統計的な解析に耐える指標を考えなければいけませんよというのがあって、それを受けての議論が始まっていると理解しています。これはそういう意味で非常に重要だと思います。
8時間平均値というのが、世界的に欧米でも中国でも使われ出しています。8時間平均値で、しかも98パーセンタイル値なのか何パーセンタイル値がいいかだけれども、そういう形でとると相当安定して見えてくる。国際的にも、そういう方向に行っているのではないか。我が国でも標準として8時間平均値で見ていくという、少なくともこの検討会では、それで見たらどうなるかという整理にまとめていただけないかと思います。
図によって16時間だったり、8時間だったり、移動平均でなくて何時から何時までというふうにしてしまうと、また違って見えてしまう。1日の8時間平均値の平均値ないしは8時間平均値の最高値。先ほどの議論で、最高値も非常に意味があるし、平均値も意味があるだろう。それは両方やっていただくのでいいのではないかと思います。そういうふうに数字を一つに集約していったらどうかと思います。
ほかの方でまだご発言のない方はどうぞ。

指宿委員 全体的にいろいろなデータを出していただきましたが、考えるときに一つ大切かなと思うのは、NOxの規制とVOCの規制とトレンドが合うように、高い濃度のOxが下がっているように見えるというお話でしたが、これを見ていると濃度の比較しか書いていない。例えばNOxの排出量が関東地域ではどうなのか、関西地域ではどういうふうに変わっているのか、そういうデータも一緒に出していただけると、いろいろな考え方ができるようになるのではないかと思います。
特に、関東地域のエミッションと九州のエミッションあるいは関西のエミッションはパターンがあるし、また絶対量的にだいぶ違う。そういったところを分けて出していただけたらと思ったのですが。

秋元座長 確認ですが、今おっしゃったのは、例えば資料1-2の25ページに東京、大阪、愛知、福岡のNOxとNMHCのトレンドが出ていますね。これをエミッションインベントリ、発生量との対比で見たほうがいいということですね。

指宿委員 発生量についても、データを一緒につけてくれるとわかりやすいです。

秋元座長 規制としては非常に重要なことですね。発生量の見積もりと大気濃度とがパラになっているかどうか。それがずれているとしたら、インベントリがおかしいという話になったらこれまた大変なので、それはそうですね。細かいものがあると思いますので、発生量の推計と合わせて見てみるというのは、ぜひお願いします。

井上委員 指宿先生のご発言に関連して、排出量は無理であったとしても、濃度の場合でも、昼間全体をとるのではなくて、NMHCだったら6時から9時でとれますよね。要するに、反応が進んでいない状態の大気だけをとってくると。そういうことをやったほうがいいと思うのですが、既にやられているのかということです。

秋元座長 それは観測データがないでしょう。

井上委員 いや、時間値データベースならつくれますよね。

秋元座長 モニタリングですね。成分別だと反応性があるのとないのが非常にはっきり出るはずですけれど、NMHC全体としたときに絶対濃度で朝と昼間とで反応による差というのは……。

井上委員 NOxのほうはどうですか。

秋元座長 NOxはあるけれども、いずれにしても気象条件との兼ね合いになりますよね。夜間は逆転層が低くて濃度が上がるから、そちらが恐らく効いてくる。中身の発生の話とはちょっと違うかなと。

井上委員 排出量はぜひ欲しいという感じですかね。

秋元座長 それともう一つ、ここで解析したい目的はかなり長期のトレンドなので、何を規制したら何が効いてくるかという話になる。規制するほうは全面的に期間内で規制するわけだから、何時のやつがどうかという話にはならないような気がします。何か意味のあることができるようでしたらば、そのようにしますけれども。
坂本委員 
解析の仕方として、今は越境汚染とローカルでできるものという形でやっていますけれども、同時に資料1-2の26~27ページのデータを見れば、夏季であればエミッションが多いサイトとレセプターサイトという形があるわけです。そういうことも同時に考えると、群馬や栃木の郊外での高濃度については、群馬や栃木で発生したNMHCによってオキシダントが高濃度になる事例や、関東の前駆物質の排出地域で生成したオキシダントが移流して高濃度になった事例などがある。そういった点もわかるような形で、高濃度の典型的な事例を、気象要素の違いも含めて整理しておくと、私たちは全体の解釈を間違わないかもしれないと思います。

秋元座長 ありがとうございます。時間もありますので最後に浦野先生、どうぞ。

浦野委員 8時間値でという秋元座長のお話があって、それはそれでいいと思うのですが、資料1-2の9ページだとゼロから8時、8時が16時、16時から24時になっていますが、目的によって朝の8時からがいい場合、夜がいい場合があります。それぞれに応じて8時間を選ぶということかもしれません。
8時間を選ぶときに、生成メカニズムから切っていくほうに皆さんは興味があると思います。しかし、Oxの被害というのがあるわけです。真夜中は実際にはほとんど被害を感じない。ですから、被害が多く出るときの時間帯のOx濃度も一つの視点として持たないといけない。メカニズムばかりに注目して、そこのところの数値がどうこうではなくて、人が曝露される時間帯も重要だと思うので、その視点と両方併せて時間帯をどう選んで、どういう解析をするか考える必要があると思います。

秋元座長 ありがとうございます。私が言葉足らずだったのだけれども、まさにそういうことです。今のゼロから8時というのは、まさに越境の部分を少しでも見ようということでやったので、残りの部分は何時から何時の8時間ではなくて、1日全体の8時間の移動平均の最高値とか、平均値とか、当然いま言われたような形になるべきですね。そういう方向でお願いしたいと思います。
今日はあまり細かいところまでは議論できませんが、今日の議論を踏まえて、これをまたもう一回再整理して、少なくともこの検討会で何が言えるのかということにだんだん集約していきたいと思います。
それとコンプリメンタリーな話で、VOCの測定値が足りないねと。これは去年から報告書にも書かれているわけです。VOCの規制をするのであれば、規制の結果がどうなったかということを成分まで含めてモニターするようなものとペアでないと、政策としてもおかしいのでないか。というような話を踏まえて、今年度は聞いていただくとわかりますが、不十分ではありますがVOCの測定を強化する予算を取っていただいているようですので、それをどういうふうにしたらいいかについて議論をいただきたいと思います。

(2)平成25年度VOC環境濃度調査について

後藤課長補佐 それでは、議題(2)の「平成25年度VOC環境濃度調査」についてでございます。これをなぜ議題にしたかといいますと、毎年、環境省ではVOCの環境濃度を測定しております。来年度も春からまたやることになるわけですけれども、今のままでいいのかというのもありまして、ご助言をいただければと思いまして議題として挙げさせていただきました。
資料2の1ページ目の下の段をごらんください。これは、現在、環境省が毎年行っているVOC環境濃度調査の内容でございます。もともと目的は、排出量が多かったVOCがどうなっているかを知るためにやっております。現在は全国56地点で、春24時間、夏24時間という形で24時間のサンプリングを年4回やっています。調査している物質は19物質で、平成12年度に排出量が多かった物質をモニターしております。
次のページは、今までモニタリングしてどうだったかというところです。VOCの排出量は減ってきているわけでして、平成12年度比で44%減となっています。VOC環境濃度調査は実際に環境濃度がどうかという意味でやってきたところもありますけれども、下のスライドにありますように、環境中の濃度も排出量の推計結果と同じように減っています。ある意味で、VOC排出量だけではなくて、実際の環境中のVOC濃度も着実に減少していることが、これで確認できたのかなと思っております。
また、3ページ目の上のところですけれども、中央環境審議会のVOC排出抑制専門委員会から、今後のVOC排出抑制対策の在り方について、一般環境におけるVOC成分濃度の測定については、「光化学オキシダント濃度の高くなる時期」「光化学反応性及び大気への排出量を踏まえた光化学オキシダント及びSPMへの寄与が大きい物質」を優先する等、目的に応じた測定の実施を検討するべきだということで、答申をいただいてございます。そこで、調査内容をこのことに合わせて変えられないかと思っております。
3ページの下の段が、平成25年度からのVOC環境濃度調査について考えたものでございます。予算の枠がありますので、できる規模というのがありますから、まず3ページの下の段の基本的な調査内容(案)をベースに、そこにオプションをどれだけ足せるかということで考えたいと思っています。
調査地点としては12地点を基本に考えています。Ox対策の検討に使っていくためには、24時間単独でぽつぽつとあるのではなくて、何日間か続けて調査する必要があると思います。24時間サンプリングを連続7日間で、例えば春と夏とか、梅雨と夏とか年2回ぐらい、Ox濃度が高くなる時期にやったらどうかと考えました。
調査項目ですけれども、アメリカのPAMSで取り上げられているオゾン前駆物質56物質とα-ピネン、β-ピネン。これらの標準物質が手に入りやすい、キャニスターで採取できるもの58物質をやってはどうか。光化学反応性を加味した、こういう物質を優先してはどうかということで、基本的なところでは考えています。
最後のページがご助言いただきたい内容でございます。そうした場合、調査地点をどこにするかという話が出てきます。昨年度のオキシダントの報告書では、優先地域を関東、東海、阪神、九州にしました。
ただ、4地域の中でも注意報の発令日数や越境汚染の寄与は異なります。また後にシミュレーション等に使うことまで考えますと、均等に地点を割り振って全部意味がなくなってしまっても困りますので、どこかの地域を重点的に置いたほうがいいのかもしれません。地点を選ぶ場合でも、いろいろと配置の考え方があるかと思います。例えば、関東で重点的に置くとか、地域ごとに同じ地点数を置くとか、いろいろな形があると思っています。そういうことで、地点の配置をどのように考えるのがいいか、ご助言をいただきたいと思っています。
また、実施時期についても、年2回調査するということになりますと、春と夏ということもありますし、梅雨の時期と夏ということもあるかもしれません。いつぐらいの時期にやるのがいいのかも、ご助言いただければと考えています。
それから、先ほどの基本的な調査内容(案)ですと、まだまだ不足のところがたくさんあると思います。追加的な調査として、サンプリング数や調査項目数の追加も予算の範囲の中ですけれども考えたいと思っています。
例えば試料数を追加することになりますと、24時間サンプリングをするといってもひとくくりではなくて、昼夜に分けたほうがいいという考え方があるかもしれませんし、もっと1日を細かく分けたほうがいいという考え方もあるかもしれません。1日を細かく分けるよりは、年2回を年3回や4回という話があるかもしれません。もしくは、地点数を今は12地点と書いていますけれども、これをもっと増やすほうを優先するという話があるかもしれません。いろいろな考え方がございますので、ご助言をいただければと思っているところです。
調査項目につきましても、ここでは光化学反応性が高い物質として、アメリカで取り上げられているキャニスターで容器採取できるものを挙げていますけれども、昨年の報告書でもホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどアルデヒド類は大事だという話がございました。捕集管を使うようなサンプリングになると聞いていますけれども、サンプリングの数よりもこういう項目のほうが重要だということがあるかもしれません。
また、今年度実施した植物起源のVOCの調査項目が、この58物質の中では例えばリモネン、カンフェンなど一部入っていないものもあります。そういうものも今年の秋冬にやっている中から拾ったほうがいいとか、いろいろあるかもしれません。
最終的には、いただいた結果をもとに予算と相談して考えたいと思っておりますが、ご助言をいただけたらと思います。以上です。

秋元座長 ありがとうございます。これは非常に重要で、不十分ながらでも今後モデルの解析に有用に使える観測調査をやっていただけるように、皆さんには知恵を出していただきたいと思います。
平成25年度からのVOC調査をどうするか、具体的にご意見をいただきたいのですが、まず調査地点数の12地点。この辺は予算のこともあるので、これをあまり大幅に増やしたほうがいいというのは無理だと思います。全体の数はこんなものと考えたほうがよろしいですね。

後藤課長補佐 そういう枠の中で考えたいと思います。

秋元座長 その上で地域分布をどうするか、これはいろいろご意見があると思います。先ほどご説明があったように、確かに関東はいろいろな意味で日本の解決しなければいけない一番大きなエリアだという認識があります。その辺をなるべく精度よく今後解析できるように、関東に地点数を増やすという方向はよろしいのではないかと思います。
具体的に数からいうと最後のページの例示に、関東9地点、東海・阪神・九州がそれぞれ1地点というのがあります。大原さんが今日はご出席できなかったので、モデル屋さんとしてはどういうデータをとってほしいかというご希望を聞いていますが、関東8地点、あとは2地点ずつ。これだと14になりますから増えちゃいますね。
ただ、1地点というのはあまりにも……。要するに、役に立つか役に立たないかというのは、地域代表性の問題と時間代表性の問題ですよね。いずれにしてもこれだけで十分とはとても言えないけれども、少なくとも意味のあるようにしたいというときに、東海・阪神・九州は1でいいのか。
それとも別な案として、東海・阪神はやめて関東と九州だけにすれば、それぞれ数を増やせる。この二つのうちどちらかの考え方だと思いますが、どうでしょう。東海・阪神はなくてもいいという判断はありますか。

後藤課長補佐 大原先生と会うことがありましたのでお話を聞きましたところ、関東は8地点ぐらい、その他の地点は一般とバックグラウンで2地点ずつ、8と2・2・2ぐらいではないかと。

秋元座長 それは一つの考え方だと思いますが、そうすると14になりますよね。

後藤課長補佐 はい。

秋元座長 その程度は許されると。

後藤課長補佐 いろいろとご意見をいただいて、後でこちらのほうで検討します。

秋元座長 これは一つの案ですね。

浦野委員 測定はいくらでもしたいわけですけれども、予算の関係があるので、逆に見るとどこを減らせるかです。物質数は56やらなくても、過去の測定値も少しはあるわけですね。代替の測定値とオキシダント生成能を両方排除して、比較的寄与率の大きいものに絞って、56も測らなくていいようにする。そこを少し減らして、その分を地域だとかに。
時間帯についてもそうです。昼夜両方やりますとそれだけで倍になりますが、例えば春1回、夏1回のうち、どこかの地点の分は1回にする。全部一律に昼夜測るとそれだけで倍になってしまいますから、その辺の組み合わせで何とかできないか。特に物質数は減らしても私は意味があると思います。目的として、自然由来のものを使おうとか、そういうことは必要だと思いますが。
それから、間違いが一つあります。アルデヒド類は「固体吸着-加熱脱着」と書いてありますが、これは加熱脱着ではなくて溶媒脱着なので間違いです。
その辺も含めてアルデヒド類まで測るか測らないというのは、全地点で測るのか。ある代表的なところで例えば関東9地点のうちの2地点3地点だけ測るとか、組み合わせてそれぞれの情報を得られるようにしていく。全部一律で、どれかをとるとどれかがつぶれるという形ではないように、工夫できるのではないかと思います。

秋元座長 ありがとうございます。おっしゃるように、確かにこの58全部は要らないので、反応性のほうからランキングしていけば、どこかで切れるのではないかと思います。
そういうことでそっちが多少圧縮できると考えたときに、地点数は12なのか、14地点ぐらいまではあり得るのかどうか、そこをまずはっきりできますか。12というのは絶対数ですか。

後藤課長補佐 いえ、大よそ調べたところ大体これぐらいかなと思って置いただけです。そこは増やせる余地があるかもしれませんので検討したいと思います。

秋元座長 東海・阪神をやらないというのは変だと思います。今まで4地域を代表地点に選んで、解析を横並びでやっているわけですよね。それぞれ大事なことがあって、それぞれの地域特性が今後だんだん問題になってくる。今は関東と九州がクローズアップされているけれども、残りはいいという話ではないと思う。
そうしたときに代表性からいって、最低二つはやったほうがいい。残りは、関東がここに9と書いてあるのを一つ減らしたとしても、八つぐらいはやったほうがいいという感触がある。そうすると14になりますけれども、そんな感じでよろしいですか。

後藤課長補佐 持ち帰って検討いたします。

後藤課長補佐 それから、58物質の件ですけれども、いろいろ調べてみたところ、それを個別につまんで減らしても値段にはつながらないようなので、ここは一番効率のよいところを検討させてもらい、減らせるところがあれば減らして、ほぼ同じであればこのままいくという形で考えたいと思います。

秋元座長 ただ、きちんと光化学反応性のランキングがわかった上で、大事なものは抜かさない、下のほうはやらなくてもいいというぐらいの感覚を持っていただいたほうがいいと思います。測りやすいか測りにくいかでやると、大事なものが抜けてしまう。
これは、イソプレンは入っているでしょうね。

後藤課長補佐 入っています。

浦野委員 測定は標準でやると一度に結果が出てくるけれども、実際にやるときには検定をして定量するという手間があるわけです。標準は全部使ったって構わないですけれど、そのうちのどのピークだけを定量するというようにすれば値段は下がるはずです。
実際は標準が同じでピークは全部出るけれど、それぞれに検量線をとって確定して、数字を計量証明みたいに出すという手間が結構かかる。技術的には同じなんですよ、今おっしゃったように全部やっても。ただ、それを定量して、報告書に出して決定するというのは手間がかかる。その辺は分析する会社さんと相談して、若干でもほかのものが増えたほうがいい。
逆に、いろいろデータがたくさん出てきて濃度がこうだったああだったと言われても、かえって混乱するので、大事なものだけ分析をしっかりしたほうがいい。

秋元座長 おっしゃるとおりだと思います。数が多いのも少ないのも手間は同じだと言われるかもしれませんが、そうじゃないです。いま言われたように、キャリブレーションをやるにしたって、これだけの数をやるのはものすごく時間がかかるし、どうしたって注意が散漫になります。大事なものだけに集中して、これだけはきちんとというほうが精度は上がるはずだと思うので、その辺は58全部を同じレベルでやることはない。
ただその代わり、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドはモデルにとってものすごく重要で、感度が非常に高いので、12地点か14地点ぐらいなら全地点でやっていただいたほうがいいと思います。
あとは、何日間やるかという話ですが、24時間サンプリング×連続7日間×年2回、これはいかがですか。連続7日間というのは意味があるので、土日も含めてやることによって本当に違う。本当は2週間連続でやると精度がよくなるのだけれど、最低限、土日含めて7日間。それを4~5日で変なところで切っちゃうと意味がわからなくなるので、連続7日間というのはよろしいのではないかと思います。
年2回だと、やはり春と夏でしょうかね。
そのときに、今の案の24時間サンプリングということは、24時間の平均値をサンプリングするという意味ですね。

後藤課長補佐 はい、そうです。

秋元座長 それでいいのか、朝・昼というか。特に成分別に見ると、物質によって昼間は全然低くなっているものもあるので、日平均値と反応が始まる前の0時-8時の平均値とがかなりレベルは違ってきます。これをモデルに入れるときはどちらがいいのかな。若松さん、その日の反応の始まる前のレベルのものがわかっていたほうがいいですかね。

若松委員 従来の調査の目的が発生源対策の効果の把握ということでこういった形になっていますが、今回は目的が若干変わりますよね。どういった目的に使いたいかということがまずあって決まるので、むしろかなり大きく変えたほうがいいかなという気もします。
全体的に発生源をトータルに広く把握するという測定は、これまでの結果である程度わかったので、次はそうではない、いま話があったような時間帯ごとの発生量を把握するとか、特定の季節を重点的にやるとか、そういったことでまず優先順位をつけてやってみる。これは限りなく増えるはずですので、優先順位が低いところから切っていく形で決めないと、収拾がつかないのではないかという気がします。
例えば植物起源もあるでしょうけれども、それと一緒に沿道のものも含むと、非常に広いものを一緒に把握することになってしまうので、そこはどちらかにしたほうがいい。今年度はこれを中心にして、来年度は別のものというふうにしないと、沿道も植物も時間帯も地域もとなると非常に薄いものになるような気がします。そこはこれまでのご意見をご検討いただいて、集中したほうがいいという感じを持っています。

秋元座長 24時間サンプリングがいいか、夜のイニシャルを押さえるのがいいか、どなたかご意見ございますか。

指宿委員 その議論の前に、今まで平成17年度から19物質やってきているわけですよね。これについては調査しなくなるのですか、代替になるのですか。

後藤課長補佐 そうです。

指宿委員 今の24時間サンプリングなのか、12時間サンプリングなのかで大事なのは、例えばジクロロメタンみたいに光化学反応性の低いものが一緒に測定されていれば、移動や拡散も含めたパラメータになります。ところがそういうものがなくて、反応性ばかり見て上からとってくると、何をサンプリングしたかわからなくなる。ほとんど、アルデヒドといっているものがデータとして出てきてしまう危険性もあると思います。
今までの平成17年度から平成22年度までのデータでは、トルエンやキシレンは夜の間にサンプリングされて濃度として出ている。ところが昼間はどんどん減っているのでそれほど出ない。もしどうしてもその辺が気になるなら、ある特定の物質について24時間と12時間とで分けて別に測定しておくと、目的が非常にはっきりした実験になると思いますけれども。

浦野委員 従来のものについては、環境省の測定はしないけれども、規制されている主なVOCについては自治体で測っていますよね。例えばジクロロメタンあるいはトリクロロエチレンといった光化学反応性の低いものは、自治体からのデータが上がってくるわけですよね。

後藤課長補佐 そうです。有害のほうからはあります。

浦野委員 それをうまく使いこなすことが必要という気がします。環境省のこの調査だけですべてVOC関係を把握するというのは無理なので、その辺も併せる。今までやっていたデータが全部なくなるわけではなくて、自治体のデータは生かしていく。ただし、ウンデカンなどは自治体で測っていないというのはありますけれども、幾つか規制項目のものを利用していくことも考えないといけないんじゃないですか。
その上で、今回のものをどこまで24時間にするか、8時間のものはどれをやるかというのを考える。アルデヒド類を測るとしたら、8時間なのか24時間なのか。ほかのトリクロロエチレンなどを測るのとは違うと思うんです。
ただ、サンプリングがお金と手間がかかるので、朝早く5時に行って夜中じゅうのサンプリングをとってこいというのは結構きつい。現実的なサンプリングの仕方をうまく考えないと、お金がすごくかかってしまうということも含めて、検討しないといけないですね。

秋元座長 ありがとうございました。それでは、今日ここでいただいたご意見を参考にして、最適な実行プランをつくっていただければと思います。
そろそろ時間でもありますので第2議題はこの辺にしていただいて、その他の議題に入りたいと思います。

(3)その他

後藤課長補佐 その他の議題についてですけれども、前回の第1回の検討会の際に、お手元の机に置いてある昨年度の報告書の173ページの「今後のオキシダント対策の評価フロー」という図について、これは目標を設定してシミュレーションをやっていくという図になっていますけれども、ここにモニタリングの話があいまっていくのが正しいのではないかというご意見をいただきました。それでつくり直したものが資料3になります。
資料3の左側、赤で囲っているところにつきましては、昨年度の報告書の流れのとおりです。加えたものは、シミュレーションの条件設定をしていく中で、「排出インベントリの精緻化」を同時に図っていかなければいけないということ。あとは、昨年の図では、シミュレーションの実施条件の設定をして、シミュレーションの要求精度を設定するところまでしか書いていませんでしたが、「シミュレーションによる対策の検討・評価」を行うところまでを加えています。基本的には昨年度のとおりだと思っております。
それと、1回目の検討会でご意見が出ましたように、「モニタリングの充実」を図り、「モニタリングデータを活用した解析」をして、その二つがお互いに絡み合って進めていくことになりますので、その部分を右側に追加して一つの絵にしております。これが、今後のオキシダント対策の評価フローの修正版というように考えております。以上です。

秋元座長 ありがとうございました。これを見てご意見はございますか。

浦野委員 最終版かどうかは知らないけれども、改善されたのは間違いないので、これで当面いってもいいんじゃないですか。

秋元座長 最終的にまた微修正が入るかもしれませんけれども。
あとは、今日の資料で資料1-4「平成2~24年度の気象の状況」というのは参考資料で、特にご説明はなくてもいいですか。

事務局 はい。

秋元座長 実はちょっと気になっているのは、今日は気象要素の話を入れると年々変動の話になるので、あえてそこに立ち入らないようにしましたが、3年平均値でのトレンドの解析をやった後で、今度は年々変動で特にひどくなる年ですね。いま気になっているのは、北京が先週ものすごい大気汚染でしたよね。中国もそれなりに大気汚染対策が進んでSO2などはかなり減ってきているのに、ある気象条件になると史上最悪の汚染になってしまう。
平年的に見ればよくなってきているけれども、こういう気象条件になるとここまで悪くなる可能性があるみたいな、そういうことも本当はわかっているほうがいいというのがあります。気象を加味したものも、これは来年度の仕事になるかはわかりませんが、最後にはそこも入れておかないと片手落ちになるという気がします。

3.閉会

秋元座長では、以上で今日の議題は終わりますが、それ以外に何かございますか。特にございませんようでしたら、本日の会議を終わらせていただこうと思います。では、事務局へお返しいたします。

後藤課長補佐 秋元座長、ありがとうございました。
次回の検討会の日程につきましては、委員の皆様には既に連絡済みでございますが、2月25日(月)10時半から同じ会場で開催したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
委員の皆様、本日は長い時間にわたりましてご討議いただきましてありがとうございました。これで、平成24年度光化学オキシダント調査検討会(第2回)を終了します。(了)

ページのトップへ