環境省>大気環境・自動車対策>大気汚染状況・常時監視関係>光化学オキシダント関連情報>光化学オキシダント調査検討会(平成23年度)
第5回 光化学オキシダント調査検討会 議事要旨
1.日時 平成24年2月9日(木)14:00~17:00
2.場所 経済産業省別館 10F 1014号室会議室
3.出席者(五十音順 敬称略)
- (委員)
- 秋元 肇 安藤 研司 石井康一郎 板野 泰之
井上 和也 指宿 堯嗣 浦野 紘平 大原 利眞
坂本 和彦 下原 孝章 竹内 庸夫 土屋 徳之
向井 人史 若松 伸司
- (欠席)
- 岩崎 好陽 金谷 有剛 橋本 光正
- (環境省)
- 山本大気環境課長 山本大気環境課長補佐 栗林大気環境課長補佐
原大気環境課長補佐 芳川係長
- (事務局)
- ムラタ計測器サービス(株)
4.議題
- (1)光化学オキシダント調査検討会 報告書(素案)について
(2)その他
5.配付資料
- 資料1
- 光化学オキシダント調査検討会 報告書(素案)
- 資料2
- 東京都における光化学オキシダント濃度の経年変化(平成22年度データ含む)
- 参考資料
- 光化学オキシダント調査検討会委員名簿
6.議事内容
議題(1)光化学オキシダント調査検討会 報告書(素案)について事務局より説明があり、議論が行われた。主な意見・質問及び回答は以下のとおり。
(第1章)
(第2章)
- (意見)タイトルがVOC排出抑制制度に関するレビューとなっているが、内容を見ると考察がないため、レビューという言葉は違和感がある。「検証」などとしてはどうか。
- (回答)記載内容としては経過の振り返りであり、表現は変更する方向で考えたい。
- (意見)タイトルで排出抑制制度という言葉を使用しているが、内容は排出抑制制度に使われたシミュレーション手法であり、制度そのものではないので、言葉を変えた方が適切。
- (回答)タイトルを再考する。
- (意見)p.9の推計結果では、夏季と冬季の両方が考慮されているが、注意報発令日数という観点でいくと夏季だけ扱えば良かったのではないか。冬季はVOCの排出量が少なくなりVOC limited寄りになるため、VOCの削減効果が高めに出ている。
(第3章)
- (意見)p.14の表3-1で、実施済み、検討中とあるが、矢印が現在以降に伸びているのは実施中になるのではないか。検討中というのは実施を検討しているのか等、言葉をきちんと定義しないと誤解を生じる。
- (回答)正確になるように修正する。
(第4章)
- (意見)p.31の図4.1.2-3で、植物由来で175万という数字があるが、この数値は変動があって分からないというものだと思うので、波線を入れてunknownの方がいいのではないか。環境省の「揮発性有機化合物排出インベントリについて」という資料に175万トンとあるが、他の文献ではその倍くらいものもあれば少ないものもある、というのが現状である。
- (回答)インベントリ検討会の資料から引用しており、その会議では国内の植物起源VOC排出量を年間約175万トンという数字を採用して使っているということである。このデータはEAGrid2000の日本の植物起源VOCのデータをすべてあわせたものになっているので、平成12年度の推計値そのものである。
- (意見)もとがEAGridであるならば、そのように引用元を書いたほうがよい。
- (意見)p.27で「変更」という言葉が分かりにくい。平成22年度の二次基準器に対する三次基準器の感度比ということは、従来の各自治体が独自に値付けしていたものを標準のトレーサビリティの取れたUV法に変えた最初のものということなので、「変更前」ではなく、それに代わる言葉はないか。また、「変更後」も2回目以降ということになる。そこを分かりやすく記述してほしい。
- (意見)「変更後」に良くなったということについての説明を入れたほうがよい。
- (回答)詳細な文章は検討し、提示する。
- (質問)10%以下なら問題ないが、17%ということになると注意報の達成率などにかかってくるが、そのあたりは今後どのように統計資料を扱うのか。
- (回答)データがある分だけでも遡っていこうと考えている。
- (意見)p.35の図に関して、昼間のオキシダント濃度は通常5時~20時で集計しているが、たとえば昼間、夜間、深夜~朝の各8時間というように組み替えると、日本の都市部、非都市部など、様々なところの傾向が出てくるのではないか。
- (意見)昔はその日の朝のNMHCがその日のオキシダントに効くという考え方であったが、今は移流の影響などから6~9時の値を取るのはあまり意味がないことが分かってきた。今後どのような統計的処理をすべきかという課題もあるので、昼夜等の切り方をどうするかも頭に入れておいてほしい。
- (意見)p.29とp.30の排出量の記述で、例えばp.29のNOxについては、固定発生源と移動発生源の中に船舶や航空機などの寄与率が大きいものが入っていないので、全部カバーできる表現にした方がよい。
- (回答)ご指摘の通りである。港湾統計や、類似の社会統計を使って反映する。
- (意見)p.30のVOCで、寄与率は圧倒的に小さいであろうが、燃料燃焼に伴うVOCもあると思うので、文章中で少ないということを記述してほしい。日本以外では燃焼系のVOCの排出量は結構大きいので、国際的に見た場合にそこを見逃していると思われるのは問題である。
- (回答)定量的なものを把握し、グラフに入れるか文章に書くか、あるいは両方にするかという対応をする。
- (意見)p.30やp.31のグラフで、2005年よりVOCインベントリは全体で下がる傾向にあるにもかかわらず、p.36のモニタリング結果は2006年だけ高くなっている。この年だけ増える理由というのはあまりないはずである。トレンドとして合わないのは奇異な感じがするので、測定方法や測定地点数などが変わっていないかどうか、確認をお願いする。
- (回答)2006年のデータは確認する。
- (質問)p.36の図は、濃度は全地点の平均か。各地点ではどれくらいの頻度で成分分析のデータが取られているのか。
- (回答)月1回、24時間の平均である。キャニスターで24時間捕集する。真空瓶などにゆっくり採取するので、一応24時間の平均値とみなされている。ただ地域ごとに地点数に偏りがあるため、全国を示しているかどうかという点に問題が残る。
- (意見)p.25の自動測定機の校正の議論で、KI法で測るのが光化学オキシダントであると決められて、KI法の自動計測機が導入されたが、それとUV法を使った測定値の換算や校正は、いつどのように変えたのか。UV法ではオゾン以外のオキシダントが測定されないが、そこをどのようにしたのか、平成12年から今までの間にどこで変えたということを記述してほしい。
- (回答)平成8年頃に乾式を導入したが、そのときにオキシダントの大部分はオゾンだということで、オゾンで代用しても大丈夫との検討がありその経緯も含めて記述する。
- (意見)KI法で測定しているのは概念的にはオキシダントであるが、オゾンプラスアルファを含めて、そこまでの精度がない。オキシダント計がきちんと定量的に測定できていないので、今はオゾンだけを測っていて、昔はオキシダントを測っていたということをあまり強調しすぎない方がよい。昔オゾンだけを測っていたとしても同じような誤差があったはずなので、誤解を与えないような記述をしてほしい。
- (意見)p.31の図で、植物起源VOC排出量は、気象条件などにより大きく変わり、夏季に増大し、冬季はほとんどない。夏季の割合を知りたい人が多いと思うので、図や注釈などで、夏季の場合は植物起源の寄与が多いということを付け加えてほしい。
- (意見)排出量の1年足し合わせた値には月変化が大きく、通年の合計値だと注釈を記載する。見積もりによっては2倍程度の誤差があるので、夏の値をあえてここに出す必要はない。
- (意見)p.51の、東京、埼玉等の関東地域のオキシダント濃度のトレンドで、120ppb以上という濃度の高いところで、2007年から減少し、改善しているという表現になっているが、その前のところでもかなり増減があり、資料2の東京都のデータを見ると、東京都の7、8月は2010年にすごく上がっているので、安易に下がっているという結論を出すのは正しくないと思う。これで下がっているのだから効果があったのだという風に言わない方がよい。
- (意見)2008年、2009年が急に減少しているが、2年くらいのもので一喜一憂してはいけない。これは統計的にどういう処理をすべきか、統計的に有意な処理の仕方を今後見つけなければいけないということにも関連してくる。2008年、2009年が減ったということを言っているのであれば、減ったことだけを強調しない方がよい。
- (意見)すべてのデータが点でプロットされているが、点ではない。棒グラフや折れ線グラフは平均値で変動や測定誤差が入ってきており、その点を考慮した場合にどのくらいの幅があるのかを考えると、相当長期に渡らないとトレンドとしては見えない。
- (回答)資料1のp.50、p.51は2009年(平成21年度)までのデータであり、まだ全国規模の2010年(平成22年度)のデータは環境省としては出せない。東京都は2010年度のデータを公表しているので、p.50、p.51の4月、5月と7月、8月は2010年度まで含めたものにしている。ご指摘どおり、それまでは増減と違う傾向が出てきているので、長期的に見ていかないといけない。また、この報告書は平成23年度にとりまとめるものなので、最終的には2010年度までのデータにすべて置き換える。次回の検討会では、報告書の中の換えられるデータはすべて2010年度までのデータを使って、お示しさせていただく。
- (質問)p.50の赤のグラフは60~119ppbの、120ppbは超えない中濃度域が増えているということか。そして夏にはあまり増えていないのは越境輸送の影響が一番効くのは春だから、そういうことを定性的に表している。このグラフはp.44のグラフとは見ているものが違うのか。
- (回答)p.44の局数で見た割合については、平成18年以後実施したVOC排出抑制施策の目標として、超過局数を減らすということがあり、その観点からみた局数での整理ということである。
- (意見)p.50、p.51の図で、60~119ppbの値を赤線で示す趣旨は何か。中濃度の部分をこういった形で出すことによって何が分かるのか。場合によっては削除するか、あるいは119ppbで切るのではなく、60ppb以上という整理をしても良いのではないか。この章で一番重要な図はp.54あるいはp.56で、気象条件を限定した場合に環境濃度がどう動いていくのか、どのようなトレンドを持っているのか、それが気象の年変動の影響を除いた上での排出量の変化に一番近いことを見ているという点において、有効な解析だろうと思う。この検討会では、p.56に示される前駆物質の図の低減によってp.54に示すオゾンの濃度が減っているということが言えるのかどうか、それを共通認識にできるのかどうかを確認することが大事なのだろうと思う。追加のコメントは、p.54と同じような解析を前駆物質についてやってはどうか。NOx、NMHCについてこのオキシダントのパーセンタイルに相当する日のNOxとVOCのデータはあるので、それが長期的に変化しているのかどうかということの解析を行えば、もう少し何か分かるかもしれない。
- (意見)一つ一つのグラフの解析目的や、その結果分かったあるいは分からないことをきちんと書かないと、類似のグラフが並んでどういう解析をしたのか分からなくなるので、そのあたりは論理的にすっきりさせてほしい。
- (意見)報告書の図については、目的を意識してかなり精査されているという印象はあるが、説明が不足している。それぞれが理由を持って選ばれているので、グラフの意図と読み取れる部分の説明をもう少し丁寧に記述したらよいのではないか。たとえばp.54でパーセンタイルの高いところが減ってきていることの意味をきちんと書いた方がよいのと、それに対して50パーセンタイルは増えているこことと、p.50の中濃度のものが増えているということはおそらく同じような意味になると思う。60~119ppbを取るのがいいのかというのは切り方の問題があるが、おそらくグラフはそういうものを表していて、予測としては越境が増えて国内の発生源が減るとまさにこうなるはずである。高いところは減るが、中濃度のところは移流の影響が強く出るのでそこは逆に増えている、ということと定性的には矛盾していない。
- (意見)指定した気象条件のときのNOxとNMHCの数値、また、移流に関する代表的な地点でのオゾンの変化を見て、それを同じように経年変化をとるとかなり中身が見えてくる。そういう解析データをつけると面白いデータであるが、パーセンタイルで出ているものとppbで出ているものがどういう関係にあるかというものも含めて、しっかり考察すると、このデータは政策評価にかなり有効だと思う。これとモデルがどう対応していくかということを今後検証していかなければいけないので、もう少し解析をお願いしたい。
- (意見)p.56の図4.1.3-7で、NOxとNMHCの経年変化の図があるが、この比率がそれぞれNOxとNMHCの平均値で比率を取ったのか、それとも各6~9時の時刻ごとの比を算出してから時間平均化したものかによって、おそらくこの値は少し違ってくると思う。この比率とはNOx limitedとVOC limitedを分けるのに一般的に使われるものなので、どのようにして算出した比率なのかということを注釈としてつける必要がある。
- (回答)数字の算出過程については、グラフに注記する。
- (意見)p.58の注意報の発令延べ日数と日射量の関係の変化については、日射量と温度と風速を用いて多変量解析もできるし、ずれている年は温度が高めであったとか低めであったとか、そういうことの有無も含めて議論をした方がよい。急に2009年から傾向が変わったというのも理解ができないと思うので、さらに検討して今後の課題を明らかにしてほしい。
- (回答)まず注意報発令日数に着目していたところ、近年注目すべきような傾向があった。今後は、日射量などの気象条件との関係についても、他の環境濃度の解析と整合をとった解析をやっていきたい。
- (質問)p.54の図で、元データとしてp.52に気象条件の日数があるが、例えば2003年では4日しかないが、このようにプロットがたくさん取れるものなのか。98パーセンタイルを取ると、データを並べて上から何番目というものを取ることになるが。
- (回答)1局1局で98パーセント値を出しているのではなく、全局のデータの1時間値を並べての整理という形でやっている。
- (意見)データの出し方についても、あまりテクニカルにならずに、疑問を持たれない程度に記述してほしい。
- (意見)p.57の図4.1.3-8で八方尾根と関東地方の98パーセンタイル値を比較しているのはよいが、文章が「2008~2009年度の98パーセンタイル値がやや低下しており」となっており、これをもって東アジアなどの越境輸送の影響が低下したことが関東の夏季における光化学オキシダント濃度を低下させた一つの要因と書くのは危険ではないか。前段を見ると関東の光化学オキシダントは南から来ていると説明しているのに対し、八方は関東の北方向にあるので、バックグラウンドで何を示しているのか、本来良く分からない。そもそも7、8月のデータを言っているので、東アジア等、とは書いているが、越境輸送と明らかに人為起源のものを予想させる書き方になっているので、もう少し広い意味の理由を書いた方がよい。
- (意見)以前の検討会での解析の要望に対応したものと思うが、確かに八方尾根のデータですべて東アジアからの越境輸送というのは危険なので、もう少し幅広な書き方にした方がよい。
- (意見)p.65の半球汚染の部分で、HTAPのレポートから取られた図が2つ載っている。ヨーロッパのほうは90年代まで増えていて、2000年ぐらいから横ばいになっているようにも見られるが、いま国際的に話題になっているのが北米で、この増え方が非常に大きく、アジアの排出量が増えたことだけでは説明がつかない。それに加えて八方が中国の排出量の増加によって説明されるものと比べて2倍くらいになっており、排出量が増えたことによる越境輸送の増加以外に、何かまだunknownなファクターがあるというのが国際的な評価である。わからないことがあるというまとめになっているので、そういう風に見ていただければよいと思う。八方も確かに増えているが、最近2年ぐらいの減少を含めるとちょうど良いぐらいになる。だから何年間で統計を取るかということが、こういうトレンド解析で非常に悩ましく、統計的に有意なものを取るには20年は必要。モデルや中国のエミッションが増えたことにより増えているということである程度説明がつくが、定量的に説明がつくところまではまだ言い切れないというのが現状と考えた方が良い。このあたりの記述も、そういうものを匂わせられるような記述にしておいた方がよい。
- (意見)p.54の図は一定の気象条件ということだが、最終的に2010年まで入ると、かなり上がることが想像できる。p.52のところで、日射量と風向風速については下限、上限があるが、気温だけ上限がない形でやっている。2010年の7月、8月の平均気温は過去最高であり、上限がない条件分けをするとどうしても高くなる傾向があると思う。2010年だけ急に上がった時に、コメントがしにくいところがあるかと思うので、その辺を考慮したらどうか。
(第5章)
- (意見)p.103の第2段落の、ヨーロッパや北米のところで、「両地域における排出量の変化は日本の光化学オキシダント濃度に大きな変動を与えるものではないと考えられる。」とここまで断定していいのか。
- (意見)半球汚染や大陸間輸送の議論は、今国際的には相当動いており、無視できない問題となっている。例えばp.99の各ソース領域からの寄与の図で見ても、特に春の場合だと中国から来ているのが12%に対して、北米、欧州、中央アジアも含めると12.7%となり、平均的に見ると中国より多くなる。これは将来対策をした時にオキシダントの変化を見たときに、決して無視してはいけない量である。欧米がNOx、VOCを下げ、発生するオゾンが下がっているので、そういうものはきちんと取り込んだ方が良い。何かにフォーカスして重要、重要ではないと最初に振り分けず、割合は違うにしろ、それぞれが少しずつ寄与しているという考え方で、今後のモデル解析をやっていった方が良いと思う。行政的に日本が何を対策できるということに集中するのは当然であるが、少なくとも将来濃度予測のようなものに関しては、すべてそういうものを含んだ上での予測をしておいたほうが間違いがないと思う。この書き振りは修正してほしい。
- (回答)正確な表現について、ご指導を仰ぎたい。
(第6章)
- (意見)p.111にモデルの精度向上とあるが、モデルで精度を上げていくのは難しいと思う。今のモデルでVOCを30%削減した予測が合わないというならば、合わないことの検証の方が大事である。地域や期間によって合う、合わないがあると思うが、それはおそらくオキシダントの生成する要因が大きく違うことによる。そういう検証にモデルは使うという方が現実的ではないか。
- (回答)2つの側面があって、対策の検討評価にモデルを使う必要があるので、モデルを改良していくのは必須であると思う。そしてもう一つは、今ご指摘のようなセンスも大事だと思う。両方必要だという意味である。
- (意見)全体構成であるが、この第6章が、この検討会の一番大事な課題である「有効なオキシダント対策を立案するために必要な調査研究のあり方をとりまとめた」ものである。その中で、オキシダントの現状がメカニズムや越境移動も含めてどうなっているかを解析をするために、適切なモニタリングが必要である。それから、政策をとった時の成果を必ず予測しなければならないので、シミュレーションが大事であるということと、そのシミュレーションをやるためには、モニタリングの解析結果と、インベントリのある程度の充実が必要になる。その全体像をきちんと形成しなければならない。それがp.111の図のようにイメージとして書かれているが、用語がはっきりせず、章立てと図の整合性がとれていない。それからモデルの精度向上と書いてあるが、モデルとシミュレーションというのは必ずしも同じ用語ではない。シミュレーションモデルというのと、シミュレーションとモデルというのが別々の用語になっていて、そのあたりが混乱している感じなので、すっきりする必要がある。
- (意見)p.104に課題と対処方針があるが、対処方針と今後の調査研究では何が違うのか。何に対処するのかということは調査研究のあり方であって、課題と対処方針と調査研究のあり方が混乱している。全体としてどういうつながりがあって最終的に調査研究のあり方がこうなるというのが論理的に見えない。
- (意見)p.114で具体的なことがかなり書いてあるが、オキシダント濃度に関する現象解明というよりモニタリングデータの多角的解析と同じことを書いているにもかかわらずP.119の「6.2.3(2)」にモデリングシステムの高度化というのがあり、これをオキシダント濃度の現象解明に入れている。現象解明にモニタリングとモデリングシステムの高度化が入るのか。
- (意見)「6.2.3」で想定する成果の例というのは、特徴の把握や基礎データの把握、分布の把握、1時間値の動向などであるが、本来、有効な政策決定をするために何が必要なのかというのが最終回答になる。そうすると、将来、有効な政策を決めるためには、対策をした時としない時がある程度分かるような基礎情報を調査研究しておきなさいというのが本来である。その裏付けとして過去のモニタリングデータの解析やシミュレーションが必要になるが、そうすると、これを見ていても想定する成果の中に対策との関係が何も出てこない。こういう対策が将来的に分かるようになるでしょうというような形のものがないとこの章は成り立たないので、その辺をしっかり考えてほしい。p.121の「6.2.4(2)」のこれまでの対策効果と検証というところがあるが、今後の対策の成果の状況が何かしら見えるようにするための調査研究のあり方を示す必要がある。
- (回答)作成した側の意図としては、課題整理と最後の調査研究のあり方をつなげる部分として対処方針というものを作ったが、結果的には個々のパーツで重なるようなところがあるので、それは構成をすっきりさせるという意味でも、課題整理の方に入れるものと、今後の調査研究のあり方に書くべきものとを振り分け、対処方針という小項目はなくすという方向で考えたい。それから調査研究のあり方の構成に関し、調査研究のあり方の、オキシダント濃度に関する現象解明の中でモニタリングデータの解析はよいが、それ以外にモデリングシステムの高度化とあるのは違和感があるというご意見については、モデリングシステムの高度化の中のそれぞれを見ていただくと、例えばインベントリの精緻化という中では単に排出量データを精緻化するということに留まらずに、例えば未同定VOCのオキシダント生成寄与などについてはオキシダント濃度の現象解明の基本的な部分に結びつく可能性があると考えており、そういう意味で大きな括りの中で現象解明という傘の下でモニタリングデータの解析とモデリングシステムの高度化というものを入れている。これは人によって考え方が違うかもしれないが、モニタリングとモデリングについては、現象をモデル化して簡単にしていろいろな説明解釈ができるようにするということで、ある意味、実際の状況を測定して把握するものの補完的役割を担うという意味からすると、現象解明の大きな傘の下にモデリングシステムの高度化があってもおかしくはないかと思う。
- (意見)6.1は3つに分かれていて、p.111は3つに分かれている。現象解明とモデルは別になっている。こういう論理構成で全体を進めているのではないのか。それは相互に影響しあって、相互に評価・検証する関係になっているから、3つに分けたのなら3つに分けて論理構成を作って相互の関係も足すというようにしないとおかしい。
- (回答)第6章の前半部分と後半部分で構成に矛盾があることに対し、何らかの対応をしたい。
- (意見)6.1の前段でまとめたモニタリングとモデリングとエミッションインベントリというのは今後のあり方の中でも3つの丸になって、そういったものを使って現象解明なり対策補完をするという流れの方がよい。
- (意見)p.111の6.2の文章自体は論理的になっていると思うが、図が文章と合っていない。それぞれ3つの柱というのをきちんと書くのが良い。
- (意見)p.111の図の下も6.1の3要素とまた違っているので、6.1と6.2の構成要素を同じ3要素に合わせ、6.2の図も3要素にしたほうがよいと思うので検討してほしい。
- (意見)この話をする場合には第1章のところも関係してきて、そこを結論とあわせる必要がある。ここに書いてあるのはほとんどオキシダントについてであるが、ここでやっていること自体がもう一つ大きな問題であるPM2.5にかなり関わることにもなってくるので、そのあたりを横断的に書いたものをどこかに付け加えられないか。
- (意見)報告書全体としてロジックがきちんと取れておらず、第5章以前と第6章とのつながりがよく見えない。第5章以前のまとめとして、何が分かったのか、何が分からないのかということを、チャプターを付けるなりしてまとめておき、そのうえで第6章で課題がどうなのだという整理をするとロジックが成立してくる。また、6.2.3が個別的、具体的過ぎるので、もう少し一般的な表現でもよい。逆に、PM2.5対策との一体的な対策効果、手法をどうするのかという話や、越境汚染対策とのつながりやそれに資するような研究をどう進めていくのか、あるいは国だけではなく、自治体と連携して研究を進めていかなければいけないわけで、そこをどうしていくのかなどの大きな重要な話が全く抜けているので、それを入れ込んだような形で、第6章の再構成をした方が良い。
- (意見)6.2.4にあてるのが良いかはわからないが、(1)、(2)に加えて(3)というのを設けて、今般、第四次環境基本計画でオキシダントについて課題が挙げられており、それと整合するような記載をお願いしたい。
- (意見)最初の方に、過去のシミュレーションの結果でVOCを削減したときのオキシダントの削減率が書いてある。シミュレーションも段々発展し、インベントリの充実や越境輸送の影響なども分かってきているので、現状のモデルで、過去の分もやったら一体何%削減なのかといったストレートな回答を、実際にはそれぞれ不確定性があって難しいところがあるとは思うが、現状がどこまで来ているのかというのが知りたい。
- (意見)あくまでもオキシダント対策をどうするかということをいつも念頭におき、どういう政策をするかということを判断するために必要な調査研究をどうするか、というその視点をしっかり書かないといけない。シミュレーションは絶対にピッタリ合うことはないが、そうはいってもある程度の説明ができる程度の数字を入れ込んだ予測値を出さなければ政策決定できないので、そういう意味では時間・空間をしっかり把握できる情報を極力作っていくということが大事である。モニタリングデータも年間平均値や全国値だけを出しても仕方がない。インベントリにしてもほかのものにしても、時間・空間が入っていないとシミュレーションができない。特にその辺を意識して、それを発生源別それぞれについて、時間・空間をある程度把握できるようにしないといけないということをしっかり書いてほしい。
- (意見)対策効果の評価に関するところで、対策をしたことに対する評価をきちんとしていただきたい。VOCを3割減らしたという定量的な量があるので、シミュレーションに対しても実質的な感度解析の要因にはなると思う。解析をしっかりすることとそれをシミュレーションで説明付けるということは、この間3割削減したことに対するきちんとした回答になると思うので、そういうつもりで調査研究の位置付けを持ってほしいと思う。
- (意見)この検討会で出された意見は重要なものであり、日本で大気環境の政策に対して、科学と政策、いわゆるサイエンス&ポリシーに則った形で動いていった初めての例である。かなり試金石な部分があるので、いろいろな面できちんと構築されていないところがある。今回の報告書でもあるところではテクニカルな部分にかなり入り込んでいるなど、細かいところと大筋で、全体像とのバランスの悪さや、PM2.5との共通因子をもう少し見えるようにしたほうが良いなどといったことが上手くきちんと書きこまれていないということは感じる。いずれにしても、第2章にある以前の予測がなぜ駄目だったのかは、科学者であれば分かることと思うが、そういうことが今後ないようにどうやったらよいのかということを、今回は後の方で書き込んでいると理解している。その上で、第6章の書き方については、いろいろな論理構成を含めてかなり見直したほうがよい。以前の予測が駄目だったのかについて、今のモデルを使ったら見せられるのかということについては確かに非常に大事なことではあるが、今までそういう研究をやっているのか。
- (意見)若松委員が座長の委員会で削減対策の効果評価をやっているので、そこを入れ込めばよい。ただトレンド解析などはしておらず、そういった意味での課題はあるが、基本的な対策効果の評価についてはモデルで解析している。
- (意見)それは入れた方が論理的には分かり易い。
- (意見)第2章から第5章というのは、ある意味では第6章のための資料編のようなものである。それぞれで分かったことと課題をまとめ、それを受けて第6章を作る。第2章から第5章は学術的なものが中心で、それを上手く生かして政策判断するとき、何が必要かということを第6章にしっかり記述することが大切である。
- (回答)構成に関しては具体的なご指示を頂いたので、まず構成を組み替えて内容の充実を図っていく。その中で、平成18年以降のモデルの改善した結果については、資料作成の段階で間に合わなかったので、早急に作業をしたい。それから中身の話に関して、環境基本計画についてはまだ決定ではなく、中央環境審議会で審議中で、オキシダントについては環境基準は環境基準でおいておき、実質的に施策に有効に作用する政策指標の検討を開始しましょうということを案として盛り込んでおり、1時間値ないしは8時間平均値なども素案の中につながってくる内容ではないかと思う。ただ、現時点で基本計画が決定していない中でどういう書き振りをしていくかというところが悩みどころである。また、対策を想定してどういう風に書き込むかというところは、今年度の検討会の報告書でどこまで書いて、来年度以降、中央環境審議会で対策のあり方が審議されるとことを踏まえて、それの前段としてここにどこまで書き込めるのかというのは非常に悩みどころであるが、より政策決定に有効に使えるような調査研究として書き方を充実させていきたい。
- (意見)検討会の報告書に今後の具体的な対策を書く必要は全くない。しかし、オキシダントの環境基準達成率を上げることはSPMも含めて命題としてあり、そのために対策を行う際どういうことが可能なのか、対策したらどれくらい効果があるのかが分かるような調査研究をするというスタンスは絶対必要で、それをはっきりさせるべきである。
- (意見)第6章の構成をかなり直すとしても、今後やるべきことの課題、調査研究のあり方は報告書で示されて、これを今後具体的に委託調査なり研究費なりでそういう方向のものを見ていくという感じになるのか。
- (回答)来年度以降の話は、今年度の検討会の成果に基づき、短期的・長期的、あるいは行政で直接できるものもあるし、研究者の方々にお願いしなければいけないものもある。そういうことも含めて今後この報告書をどのように来年度以降の施策に活用していくかの目途については、次回の検討会で何らかの形でお示ししたい。
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