1.開催日時及び場所
- 開催日時:
- 平成20年10月21日(火)午後5時59分から午後8時3分まで
- 開催場所:
- 中央合同庁舎第4号館共用1214特別会議室
2.出席者
- 検討員:
- 審良正則、石川雄一、井内康輝、岸本卓巳、酒井文和、坂谷光則、三浦溥太郎、森永謙二
- 環境省:
- 原 德壽、弥元伸也、泉 陽子他
- 厚生労働省:
- 絹谷國雄、井上裕司他
3.議事内容
午後5時59分 開会
- 佐々木補佐 定刻より二、三分早いですけれども、ただいまより第1回石綿による健康被害に係る医学的事項に関する検討会を開催いたします。
メンバーの皆様におかれましては、ご多忙中のところ、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
まず、会議を始めるに当たりまして、事務局からお手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。資料、大部にわたりますけれども、クリップを取っていただきまして、まず座席表、それから議事次第、その次に、資料1としまして、この検討会の開催要綱、それからメンバーの一覧表、それから資料2としまして、指定疾病以外の疾患の取扱いに関する指摘等、それから資料3としまして、本検討会の論点メモの案、そして資料の4としまして、検討のスケジュール(案)をお付けしてございます。
それから、これら本資料とは別に、ちょっとブックレット形式になっておりますけれども、基本資料集、こちらをお手元に配付させていただいております。こちらは目次でご覧になっていただければ分かりますとおり、石綿に関連する基本的な事項、これは毎回検討会のたびにお手元に配付させていただいて、適宜ご参照いただくという趣旨で作成しております。
それから、その他の資料でございますけれども、本日の会議では説明は省きますが、参考資料として、一つはコピーした資料でございますが、石綿健康被害救済対策関連の来年度の予算概算要求PR版の資料をお付けしてございます。そして、もう1点は、独立行政法人環境再生保全機構で発行してございます「アスベストと健康被害」という小冊子、こちらの方を、テーブル席の皆様方に配付させていただいているところでございます。
資料については以上でございますけれども、欠落等ございませんでしょうか。大丈夫でしょうか。
それでは、議事に入ります前に、本検討会メンバーの皆様のご紹介をさせていただきます。失礼ながら50音順で申し上げます。
まず、独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター放射線科部長、審良正則委員です。
財団法人癌研究会癌研究所病理部長、石川雄一委員です。
広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授、井内康輝委員です。
独立行政法人労働者健康福祉機構岡山労災病院副委員長、岸本卓巳委員です。
埼玉医科大学国際医療センター放射線科教授、酒井文和委員です。
独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター院長、坂谷光則委員です。
社団法人地域医療振興協会横須賀市立うわまち病院副医院長、三浦溥太郎委員です。
それから最後に、前独立行政法人労働安全衛生総合研究所特任部長、森永謙二委員です。
なお、本日、東洋大学経済学部教授の神山宣彦委員より、ご欠席とのご連絡をいただいているところでございます。
どうぞ、よろしくお願いします。
続きまして、オブザーバーの方々を紹介いたします。
厚生労働省労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室、絹谷國雄室長でございます。
同じく、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課、井上裕司主任中央じん肺診査医です。
では、開催に当たりまして、事務局を代表しまして、環境省総合環境政策局環境保健部長の原よりごあいさつ申し上げます。 - 原部長 皆様、本日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。環境保健部長をしております原でございます。よろしくお願いいたします。
ご承知のように、平成17年のいわゆるクボタショック以降、石綿による健康被害の救済ということで法律が制定され、平成18年から施行されているところでございます。その際にも、今日の先生方にもお世話になりまして、医学的な判定をどうしていくかという面について検討いただいたところでございます。
また、この法律では5年以内に見直しをするということになっておりまして、今現在のところ、2年半たっているわけですけれども、その前に医学的な面から、石綿による健康影響について、改めて検討していただきたいというふうに考えております。
この2年半の間に救済制度の中で約3,800人の方が救済を受けておられるという、非常にまた数の多い形になっておりますけれども、今後、今までいろいろなところでも議論がございましたけれども、2点、検討をお願いしたいということで、今回、開催をしたわけでございます。
1点目は、ご承知のように、現在、指定疾病としては中皮腫と石綿によります肺がんというものが指定されておりますけれども、その他の石綿関連の疾患について、どうするかという問題がございます。
代表的なものは石綿肺と言われるものでございますけれども、これについては、従来、職業に関連して起こってくる病気ということで、一般環境経由では認められないということが知られているところでございます。これらについて、どう考えていくのか。
それから、そのほかの胸水等の問題もございますけれども、もちろん、石綿によらない要因でも、さまざま起こってくるわけでありますので、そのあたりの区別をどうしていくのかと、そういうような点についても、いろいろと議論が必要になってくるのではないかと思っております。
さらに、2点目ですけれども、中皮腫とそれから肺がんについては、現在も指定疾病として認めているところでございますけれども、その判断をどうしていくかと。一定の基準を先生方にもつくっていただいたわけでありますが、それをこの2年半の間のたくさん集まってきました症例等を含めまして、その医学的な検討を、再度、点検をしていただくといいますか、検証をしていただけたらと考えているところでございます。
また、この検討会のスケジュールですけれども、適宜開催をして、約1年程度、来年の秋までには結論を出していただきたいというふうに考えております。その途中でさまざまな議論、今言いましたような2点以外の議論も出てくるかと思いますけれども、それについては、適宜また議論を深めていただけたらと思います。
いずれにしても、限られた日程ですので、委員の皆様方に加えてオブザーバーの厚生労働省の方にも種々ご意見を賜りたいと思っております。よろしくお願いいたします。
以上であいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。 - 佐々木補佐 ここで改めまして、本検討会の庶務を務めます事務局を紹介申し上げます。
先ほどごあいさつ申し上げました環境保健部長の原でございます。
同じく環境保健部企画課長の弥元でございます。
同じく環境保健部企画課石綿健康被害対策室長の泉でございます。
同室長補佐の根木でございます。
最後に同室長補佐の佐々木でございます。どうぞよろしくお願いします。
なお、会議に当たりまして、一点留意事項がございます。今回、備えつけのマイクを各テーブルにご用意させていただいているところでございます。ご発言いただく場合には、座長の許可を得ていただいた上で、真ん中のボタンを押していただければ、このように赤いランプがつきます。これでご発言お願いしたいと思います。発言が終わられましたら、一応、後の方のこともございますので、また押していただいて、このようにご確認いただけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
では、続きまして、本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。
お手元の開催要綱に従いまして、座長は互選によりお願いしたいと存じます。どなたか推薦等ございませんでしょうか。 - 酒井委員 森永委員が最適ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
- 佐々木補佐 ありがとうございます。その他ご推薦等ございませんでしょうか。
特段なければ、森永委員に座長をお願いしたいと思いますけれども、よろしいですね。
(異議なし)
- 佐々木補佐 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様のご賛同を得ましたので、森永委員におかれましては、ご足労でございますけれども、座長席の方にお移りいただけますでしょうか。
よろしくお願いします。
それでは、座長に、まず、一言ごあいさついただいた後、以降の議事運営をお願いしたいと存じます。 - 森永座長 皆様のご賛同を得て、座長を務めさせていただくことになりました森永です。一言簡単にあいさつさせていただきます。
この法律は平成17年11月に救済法の具体的な認定基準のあり方を決める会として検討会が発足したときのメンバーを中心に集まっていただいているものであります。
5年以内の見直しというのは、見直し条項ということで入ってございますので、さらにまたいろんな意見もございますので、2年半経ちましたけれども、これから皆様のご協力を得て、十分な検討を行っていきたいと思います。
2年半何をしていたんだと思われる方もおられるかもしれませんが、2年半の間に認定の作業が、46回の判定の小委員会が開催されて、先ほどちょっとお話がありましたように、三千何百人の方の認定作業というものがございまして、そちらの方にも大変今日の先生方はご尽力されておられます。その経験も生かしながら、これからこの検討会を進めていきたいと思います。
では、ひとつ皆様方、ご協力をよろしくお願いします。
それでは、この議事次第に沿って議事を進めていきたいと思います。
まず初めに、本検討会の設置の経緯及び趣旨について、事務局の方で説明をよろしくお願いします。 - 佐々木補佐 それでは、お手元の資料の1及び資料2に従いましてご説明申し上げます。
資料の1は、本検討会の開催要綱でございます。
目的にございますように、石綿による健康被害の救済に関する法律、これは平成18年に成立した法律でございますけれども、こちらにおきまして同法の施行後5年以内に施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うこととされてございます。
ここでそのバックグラウンドでございますけれども、資料2の方をあわせてご参照いただけたらと思います。
資料の2は、指定疾病、中皮腫肺がん以外の疾患の取扱いに関する指摘等、外部からの指摘等でございます。こちらをまとめさせていただいたものでございます。
法律制定当時、平成18年3月2日の中央環境審議会の答申の抜粋や、それから、当時の国会の議論でございます参議院並びに衆議院の環境委員会におけます当時の法律案に対する附帯決議の抜粋を掲載させていただいております。一つ一つ読み上げませんけれども、ざっと申し上げますと、指定疾病につきましては、中皮腫及び肺がん以外の疾病についても、さらに知見を収集して、その取扱いについて検討していくと。その上で必要に応じて対象に加えていくんだといったことが述べられてございます。
同じ資料、裏面といいますか、2ページ目をご確認いただけたらと思いますけれども、繰り返しになりますが、4にございますとおり、石綿による健康被害の救済に関する法律の附則第6条の中で、施行後5年以内の必要な見直しということが規定されておりますし、それから、最近では、本年の5月9日でございますが、与党アスベスト対策プロジェクトチームのご議論の中でも、同様の内容のご指摘をいただいているところでございます。
資料1、開催要綱に戻らせていただきます。こういったことを受けて、この一環として、石綿による健康影響に係る医学的事項について、医学的な専門的見地から検討を行うため、本検討会を開催するものでございます。
主な検討事項としては、そこにございますとおり、1、指定疾病について、2、非腫瘍性石綿関連疾患について、3、その他関連する医学的事項について、ということで挙げさせていただきました。
3の構成を省きますけれども、4、その他にございますとおり、本検討会は、原則公開とさせていただきたいと思います。
ただし、公開することにより、特定の方に不利益をもたらすというおそれがある場合には、非公開とさせていただきたいと思います。
なお、本要綱は平成20年、本年の9月25日から施行させていただきます。
簡単でございますけれども、以上でございます。 - 森永座長 今の資料の説明で、皆さん、何か質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、今日は第1回目の検討会ということで、事務局の方で基本資料というものを用意していただいております。それについて、第1回目ですから、ちょっと説明をお願いしたいと思います。
事務局の方、よろしくお願いします。 - 佐々木補佐 それでは、まず、環境省の方からお手元の基本資料集に従いまして、石綿と健康被害、そして石綿による健康被害救済制度等につきまして、簡単ではございますけれども、ご説明申し上げます。
1枚ページをおめくりください。まず、石綿と健康被害というところでございます。
「1.石綿について」、ここでは代表的な石綿としてクリソタイル、アモサイト、クロシドライトが挙げられるんだということ。
そして、その特性と用途でございますけれども、石綿は、極めて細い繊維で、非常に丈夫で変化しにくいという特性から、これまで建材とか、摩擦材、断熱材等々、非常に広範囲にわたって国内で使用されてきたということが挙げられるかと思います。
2ページに入りまして、「使用量と規制」でございます。
下段のグラフにございますとおり、1970年から90年にかけまして、非常に大量の石綿が輸入されていたという状況でございます。ただ、その後、段階的な規制の強化が行われまして、現時点では我が国に輸入される石綿の大部分が削減されるところとなったところでございます。
3ページへまいります。「2.石綿の曝露作業」でございます。各ジャンル別といいますか、分類で列記させていただいております。こちらは説明を割愛させていただきたいと思います。
4ページへ入ります。「3.石綿による健康被害」でございます。
まず、石綿による健康障害のメカニズムでございますけれども、ここにございますとおり、石綿は非常にヒトの髪の毛の直径よりも大変細く、空気中に飛散しやすいということ。そのため、吸入されて、ヒトの肺胞に沈着しやすいという特徴がございます。こうして体内に滞留した石綿が原因となりまして、そこで生体反応が起きまして、肺組織の線維化やがんを引き起こすということがございます。
簡単でございますけれども、健康障害、大きく腫瘍性疾患と非腫瘍性疾患に分けさせていただいております。
前者、腫瘍性疾患でございますけれども、代表的なものとしては、4ページにございます中皮腫が挙げられるかと思います。それから、ページをおめくりいただきまして、原発性肺がんが挙げられます。以上2点につきましては、現行法で指定疾病とされているものでございます。
それから、後段の非腫瘍性疾患でございますけれども、まず、石綿肺が挙げられます。5ページの下半分でございますけれども、石綿肺は、石綿を大量に吸入することにより、肺が線維化するじん肺の一種であるということでございます。それから、ちょっと飛ばしまして、真ん中ぐらいですが、通常、石綿を職業性に大量に吸入曝露した労働者に起こり、石綿曝露開始から10年以上経過して石綿肺の所見が現れると。つまり、石綿肺は、高濃度の石綿曝露の医学的所見の一つともいえると。そして、一般環境曝露による石綿肺の発症例は、これまでに報告されていないところでございます。
あと、もう一つ、特徴でございますけれども、同じ5ページの一番最下段でございますが、石綿肺の診断というのは、非常に、必ずしも容易ではないと。しばしば特発性、これは原因不明ということでございますけれども、特発性の肺線維症との鑑別に困難を来すことがございます。診断には石綿曝露作業歴の確認が重要でございます。
以上、石綿肺でございました。
続きまして、6ページに入りまして、まず、良性石綿胸水でございます。胸水というのは、ご承知かと思いますけれども、石綿以外のさまざまな原因によっても生じる非特異的な状況でございます。特に石綿粉じんを吸入することによって、胸腔内に胸水が生じる場合、これを良性石綿胸水と呼んでおります。
これは比較的高濃度の石綿粉じんを吸入することによって生じ、発症までの潜伏期間は平均12年から30年と、他の石綿関連疾患と比較して短いと。これも同様に一般環境曝露での発症例は、これまでのところ報告されていない状況でございます。
あと、これも最後の方のパラグラフでございますけれども、特徴としては、胸水の持続期間は平均3カ月で、自然消退することもあるという報告がございます。
続きまして、びまん性胸膜肥厚に移ります。胸膜、すなわち胸の中で臓器を覆う膜というのは、言ってみれば二重の膜でございますけれども、そのうち臓器側、すなわち内側を覆う臓側胸膜でございますが、こちらについて慢性線維性の胸膜炎を生じた状況が、このびまん性胸膜肥厚というところでございます。これについても、結核性胸膜炎など、石綿以外のさまざまな原因によっても生じるものでございます。
また、先ほどの良性石綿胸水と同様に、比較的高濃度の石綿の累積曝露により発症すると考えられておりまして、職業性曝露によるびまん性胸膜肥厚の症例での石綿曝露期間は、おおむね3年以上になるとされております。
あと、(3)としまして、その他石綿曝露の医学的所見もあわせてこちらの章に挙げさせていただきました。
ページをおめくりいただきまして、胸膜プラーク、先ほどの胸膜の話がございますけれども、今度は外側の方になります壁側胸膜に生じる限局的な線維性の肥厚のことでございますけれども、その胸膜プラークというものと、それから石綿小体を挙げさせていただいたところでございます。中身の説明については割愛させていただきます。
続きまして、資料8ページにまいります。こちらはデータでございますが、石綿関連疾患による死亡の数と、それから人口10万対の死亡率、こちらの年次推移を表したものでございます。出典は厚生労働省の人口動態調査でございますけれども、いわゆるICD10が適用された平成7年にさかのぼりまして、ずっと数字を記載させていただいております。ちょっと見にくいかもしれませんが、数字の上段が人数で、下段が人口10万対の死亡率となってございます。
疾患としましては、左端、ご確認いただけたらと思いますが、中皮腫、それから、気管支及び肺の悪性新生物、すなわちがんですね。そして、石綿アスベスト及びその他の無機質繊維によるじん肺症、その次に、人口動態調査の分類に従いまして、J60、J62ないしJ65、これは脚注にございますように、炭鉱夫じん肺症、J62は珪酸を含む粉じんによるじん肺症等々というものをこちらでまとめさせていただいております。
それから併せて、参考としまして、その他の間質性肺疾患を一番下段に挙げさせていただきました。
全体的には死亡率で見ていただければわかりますとおり、増えているなというような傾向が見てとれるかと思いますが、あと、特筆すべき点としては、石綿肺が含まれる石綿及びその他の無機質繊維によるじん肺症でございますけれども、こちらの数字は、一番下、参考で挙げましたその他の間質性肺疾患と比べて格段に少ないと。これらが鑑別の一つの課題と挙げられるかと思います。
それでは、次に、資料をおめくりいただきまして、9ページ及び10ページでございます。
こちらは環境省の方で、委託調査によりまして各地方自治体に行ってもらっています石綿暴露の健康リスク評価に関する調査の結果をまとめさせていただいたものでございます。これまで平成18年度、19年度と実施しておりまして、18年度につきましては、大阪府、尼崎市、それから佐賀県にございます鳥栖市に調査を行っていただいております。それから、19年度につきましては、これらに加えまして、横浜市、岐阜県にございます羽島市、奈良県といった形で調査を実施していただいている状況でございます。
それぞれにつきまして、手挙げでございますけれども、申請された方に対し、健康状況を調査しまして、その所見の有無についてまとめさせていただいたものが、こちらのデータになります。
特に石綿の曝露に非常に相関性の深い胸膜プラークありといった所見につきましては、それぞれ下段の方で、今度はそれぞれの曝露歴との関係ということで、別途集計をさせていただいている状況でございます。
これらのデータについては、これまでも公表させていただいているものでございます。
続きまして、11ページに入ります。本検討会に当たりまして、国内の主な石綿関連諸法規について簡単でございますけれども、まとめさせていただきました。1からそれぞれ、石綿含有製品の製造・使用等に関する規制、それから2で、その取扱いに係る管理に関します規制、そして、労働者の健康管理に関する規制、それから健康被害への補償・救済、これに我が石綿による健康被害の救済に関する法律も位置づけられるかと思います。そして、財政支援に関する法令ということで列記させていただいております。ご参考にしていただければと思います。
それから次、12ページから32ページまでは厚生労働省から提供いただいている資料で、こちらはちょっと割愛させていただきまして、大きく飛びまして、33ページをごらんください。
こちらは我が国の石綿健康被害救済制度、これに相当するであろう各国の非職業関連による石綿健康被害救済制度を、これまでの調査の結果を簡単にまとめさせていただいたものでございます。まだ深くは追求できていないところもありますが、とりあえず、調べられたものについて列記させていただきました。
一番左側が日本ということで、参考に挙げさせていただいておりますけれども、似たような制度を持っている国として、フランス、オランダ、ベルギーが挙げられます。それから、まだ制度化されてございませんけれども、その制度化を目指すような法案が国会で審議されているということで参考までに、イギリス、アメリカの状況についても、ここで掲載させていただいているところでございます。
この左のフランス、オランダ、ベルギー、日本もそうですけれども、非常に制度としては似通っていまして、本人や遺族を対象としまして、石綿への曝露、このあたりを要件としまして、中皮腫を中心とした対象疾病に対して補償給付を行っていると、そういう状況でございます。詳細は割愛させていただきます。
続きまして、34ページから、いよいよ石綿による健康被害救済制度の関連の資料をお付けしてございますが、まず、34ページにつきましては、同制度の設立の経緯ということで、簡単に挙げさせていただいております。
冒頭、環境保健部長のあいさつにもございましたように、平成17年6月末に、いわゆるクボタショックが勃発して、その後、関係省庁による石綿使用の実態調査、それから各関連の検討会、はたまた、関係閣僚会合が開かれまして、いろいろ対策が取りまとめられました。その中で平成18年2月に「石綿による健康被害の救済に関する法律」が成立しまして、3月27日に施行されたという状況でございます。
そのプロセスの中で、35ページ、36ページでございますけれども、先ほど森永座長からお話ございましたように、この制度発足に先立ちまして、医学的な検討が行われました。「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会」でございまして、こちら平成18年2月に取りまとめていただきました報告書の関連部分を抜粋したものを資料としてお付けさせていただいております。
そして、それを受けまして、37ページ、38ページでございますが、中央環境審議会、平成18年3月2日でございますけれども、この医学的判定に関する考え方についてということで答申がまとめられました。その抜粋をこちらでお付けしてございます。内容については省かせていただきます。
そして39ページ、石綿健康被害の救済制度でございますけれども、真ん中の囲みにございますように、救済につきましては、国、地方公共団体、そして関連する事業者、みんなで救済するんだということで、中段でございますけれども、石綿健康被害救済基金、こちらに拠出をして基金を設置しました。これは独立行政法人の環境再生保全機構に設置しました。
これに対して被害者または死亡した被害者のご遺族の方々から申請請求がなされ、医学的判定を要するものについては、環境大臣に判定の指定がなされて判定が行われてございますけれども、これに基づきまして、認定給付が行われる、そういった仕組みでございます。
その事業の実績といいますか、結果が40ページ以降のデータでございますが、40ページは環境再生保全機構さんのホームページから引っ張ったものでございますけれども、石綿健康被害救済法に基づく受付の状況、それから、トータルの認定等の状況をお示ししたものでございます。
そして、これらのうち医学的判定の状況をまとめたものについては、41ページ、こちらでございますけれども、まとめさせていただいているところでございます。
そして、これらについて、申請請求決定件数でございますが、月別で状況を示したものが42ページの資料でございます。
それで、最後の方でございますけれども、43ページでございますが、本検討に関連するであろうということで、各種調査研究事業をリストアップさせていただきました。これまで進めてきた調査研究事業でございますけれども、医学的判定の検討に用いることを目的として進めさせていただきたいと考えているものを4点挙げてございます。
それから、最後でございますが、44ページ、本年6月に行われました、石綿による健康被害の救済に関する法律の改正点、簡単に概要をまとめさせていただいたものでございます。
全体的に申し上げますれば、より救済を広く、そしてすき間をなくすという考え方から、支給対象期間の拡大だとか、それから、特別遺族弔慰金等の請求期限の延長だとかを図ったところでございまして、本年12月1日の施行を予定しているところでございます。
以上雑駁でございますけれども、環境省からの説明を終らせていただきます。 - 森永座長 それでは、基本資料集のところで、厚生労働省の方の資料もございますので、関連する部分を厚生労働省の方、今日、オブザーバーで来ていただいていますので、説明を順次お願いしたいと思います。
まず、労災保険の方からよろしくお願いします。 - 絹谷室長(厚生労働省) 12ページをお開きいただきたいと思います。これは18年の2月に、「石綿による健康被害に係る医学的判断に関する検討会」というのを設けていただきまして、そこで検討した結果を、18年の2月9日に認定基準の改正という形で出したもののパンフレットでございます。これは全国の労災指定医療機関を始めとしまして関係者の方にお配りした資料をそのままお付けしているものでございます。
労災の石綿の関連疾患につきましては、12ページの下にございますように、石綿肺、肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚の五つの疾患が対象疾病となっているところでございます。
13ページ、お開きいただきたいと思います。まず、対象疾患のうちの石綿肺についてでございますが、石綿肺は従来よりじん肺法という、いわゆる労働者の健康管理の観点からつくられております法律体系の中で措置してきたという経緯がございます。本日、担当の主任じん肺診査医が来ておられますので、後ほど健康管理を含めてご説明があろうと思いますので、私からは対象となる疾病、じん肺法の中で書かれているわけですが、じん肺区管理区分が管理4相当の方、それと管理2、3、管理4の石綿肺に合併した合併症を持っておられる方を対象にしているところでございます。
合併症につきましては、13ページの一番下にございますように、肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸ということで、ここで認めるという形をとっております。
なお、合併症の中には原発性の肺がんもございますが、これは次のページの14ページでご説明をさせていただきます。
14ページが肺がん、原発性の肺がんについて認定の基準を定めたものでございます。一つは第1型以上の石綿肺であるというものであれば、業務上の疾病として認めようということでございます。それと第2点目が胸膜プラーク、それに石綿曝露作業10年以上という二つの要件を満たしている場合に認めようというものでございます。3番目が、石綿小体、または石綿繊維、それに10年以上の曝露歴というものがあれば、業務上の疾病として対象にしていこうというものでございます。
3につきまして、小体、繊維がございますが、これにつきましては、下の脚注に書いてございますような本数を設定いたしまして、10年未満であっても、これだけの本数があるものについては認めていくというふうな形での認定の要件を定めてございます。
それから3番目、中皮腫でございます。中皮腫については、下の脚注といいますか、米印があろうかと思いますが、大変確定診断というものを重要視させていただいております。確定診断が行われた中皮腫につきましては、一つが第1型以上の石綿肺があれば、これは業務上ということにしております。それから石綿曝露作業1年以上あれば、これも業務上ということにしております。
なお、1年未満のものもあるわけでございますが、これにつきましては、大変、曝露との関係、難しゅうございますので、すべて本省にりん伺していただきまして、本省の検討委員会で個別に判断していくと、こういうシステムをとっておるところでございます。
15ページをお開きいただきたいと思います。石綿胸水の関係でございます。
石綿胸水、大変いろんな原因が考えられて、石綿以外による原因、例えば、結核性胸膜炎、リウマチ性胸膜炎等というものがあるというふうなことでございます。
したがいまして、これは大変診断が非常に困難であるということ。それと、患者さん個々によりまして障害の程度の軽重が大変区々であるという観点から、これはすべて本省に、地方に判断するのではなく本省に持っていきまして、本省の方で検討委員会を開催して決めているというのが、今の現状でございます。
5番目がびまん性胸膜肥厚でございます。胸膜肥厚につきましては、肥厚の厚さ、広がりというものを第一の要件として設定してございます。それから、併せまして、著しい肺機能障害というものが認められるもの。また、もう一つ、さらに石綿曝露作業3年以上というふうなものが認められるということを認定の要件にしているところでございます。
続きまして16ページをお開きいただきたいと思います。16ページは、石綿救済法に基づく特別遺族給付金、私どもで運営させていただいております特別遺族給付金制度の今までの支給決定状況について表にしたものでございます。
特別遺族給付金、もうご承知のとおり、時効によって労災の給付の請求権がなくなった方について、この特別遺族給付金の対象にしているわけでございます。18年度、18年3月27日から19年3月末日までの件数でございます。請求件数が1,567件、これに対しまして支給決定をさせていただきましたのが977件でございます。支給決定率にいたしますと、約6割、62%程度になろうかと思います。
それとは別に、労災保険法に基づく、先ほど言いました5疾患に係る疾患も給付、労災保険の本体で対象にしているわけでございます。過去5年間だけ見た表をここに掲げさせていただいております。請求件数、19年度が1,129件、これに対しまして支給決定したのが995件という状況でございます。
その下は肺がん、中皮腫、それぞれの内訳を記載させていただいております。
以上でございます。 - 井上主任中央じん肺診査医 それでは労働衛生課の方からご説明をいたします。
今日のとじた資料の21ページからでございます。まず、先にパンフレットの前に、21ページからの方を説明させていただきたいと思います。
じん肺法というのを労働衛生課では所管してございますけれども、その中でポイントとなりますのは、まず、29ページをお開きいただきたいと思いますけれども、労働者の方、特に石綿を含めた粉じん作業に従事された方は、健康診断を受けるということになってございまして、その写真の直接撮影を行うわけでございますが、29ページの真ん中辺に第1型から第4型までございます。これをまず説明したいと思いますが、第1型というのは、両肺野にあると。そして、少数、石綿で申しますと、不整形陰影があるというようなことで、2型は多数あると。それから、3型は極めて多数あると。大陰影というのがあるのは第4型ということで、そこまではいくことは少ないわけでございます。そのように大きくエックス線上は分類をしております。
これをもとに管理区分というのを決定しておりまして、その次の31ページをごらんいただきたいのでありますけれども、管理1というのは、これは各都道府県の労働局が 決めていくわけでありますが、管理の1というのは、全く所見がないと。管理2が先ほどの1型、少しあると。それから、管理3は2型あるいは3型以上ということでございまして、石綿で言えば、多くあるとかというのが第2型で、第3型は極めて多くあると。第4型は、先ほど申した大陰影があると。大陰影と申しますは、長径、短径、ありますけれども、大陰影が長径が1センチ以上というものでございますが、石綿肺の場合は、余りこの4型というのは見られることは多くないということでございます。
そのような形で健康診断を、じん肺法では実施をしておるわけでございます。それが1点でございます。
この管理区分の決定というのは、先ほど申しましたように、地方の労働局の中に地方じん肺診査医会というのがございまして、そちらで行いまして、不服があった場合は、本省、中央じん肺診査医会のところで審査請求という形で審査をし、決定をすると。さらに不服がある場合には、行政事件訴訟法ということで裁判へと移行すると。行政訴訟ということになります。
そういう段取りになってございまして、次に、23ページ、皆様方の資料の23ページをごらんいただきたいと思うんですが、23ページ真ん中辺に、随時申請という括弧書きの言葉がございます。確かに、職場で健診を先ほどのように行うことになっているわけですが、随時申請ということで、在職中であっても、また、退職後であっても、いつでも随時申請というのを労働者が申請を各都道府県の労働局に対して行うということが可能でございます。出す資料はエックス線ですとか、いろいろ、医療機関での診断書ですとか、そういったものでございます。
それが先ほどの地方じん肺診査医会の意見を聞いて、また、同じようなルートで上がってまいります。それが大きくじん肺法の仕組みでございます。
それで次に、カラーの方に戻りますけれども、在職中はそういうことで、石綿を含めじん肺の患者さんは、労働者はそのような形で見るわけでございますが、在職後というか、そういう粉じん作業の職場、そういった職場から離れても、その後、石綿健康管理手帳というものがございまして、石綿については、このような名前の健康管理手帳、それから、石綿等の粉じん業務につきましては、同様の手帳が申請により交付されるということになってございます。
この健康管理手帳というのは何かと申しますと、これは労働安全衛生法の67条に基づくものでございまして、昭和47年から法律が、労働安全衛生法が発足した当時から制度とともに発足した制度でございます。
これは、がんその他の重度な健康障害のおそれがある有害業務に従事していた労働者において、その関連疾患の発病まで長期の潜伏期間があり、離職後も健康管理が必要なものについて、事業者にかわって国が健康管理の支援を行うものでございます。
先ほど、労災の方からもパンフの資料がございましたけれども、石綿につきましては年2回健康診断を受けることができるということです。
それで、余談ですが、石綿等の粉じんについては、年1回ということで、昭和47年発足当時は、先ほどのいう管理区分の3の方については、このような健診が離職後受けられる。平成15年になりまして、管理区分の2に引き下げられまして、2以上の方が対象に、拡大になったということでございます。石綿のこの手帳が始まったのは平成8年からということでございます。
そして、この石綿の手帳の交付要件というのも、実は、このパンフレットの趣旨ですけれども、当初から拡張されました。すなわち18ページ目にございますように、当初は(1)にあるような両肺野に不整形陰影、これは石綿肺の特徴ですけれども、または石綿による胸膜肥厚があると。胸膜肥厚というのは、胸膜プラークないしは、いわゆるびまん性の胸膜肥厚、どちらか一方でもいいわけですけれども、そんな所見がある場合は、この対象になっていたわけです。しかしながら、石綿については、さらに、19年の10月から(2)と(3)、趣旨はほぼ同様ですが、いわゆる石綿粉じんの曝露従事者で従事歴が特に濃厚な曝露を受けてしまった方、それについては1年以上、そして、それ以外の(3)の方については10年以上というふうな形でございます。そういう方も対象になって健康管理手帳を交付しているというような状況でございます。
石綿肺の場合は、したがいまして、先ほどのじん肺、管理の2以上ということで、先ほど拡大されたと申しましたけれども、これは少数の陰影があるというものでございますから、肺の本体に何らかの所見があれば、じん肺の方の手帳も、年1回受けられる手帳ももらえますし、一方、石綿の方のこちらの手帳ももらえますと。これは年2回受けられますので、両方の健康管理手帳によりまして受けられると。両方の健康管理が受けられるという状況になってございます。無料で受けられるということでございます。
以上でございます。 - 森永座長 それでは、今まで説明がございましたけれども、これに関して何か質問なりご意見ございますでしょうか。
石綿の健康管理手帳は、間接曝露については何か考えがあるんですか。 - 井上主任中央じん肺診査医 現在、先日9月に健康管理手帳も含めまして、石綿は間接曝露につきまして、私どもの方の審議会の安全衛生分科会というのがございますが、そちらの方に諮問いたしまして、間接曝露についても、労働者については対象にするという方向で承認をいただいたところでございます。
- 森永座長 今日の資料にはありませんけれども、労働衛生課の方では、そういう考えで、今、作業を進めていると、そういうことですね。ありがとうございます。
ほかに何かご質問ございますでしょうか。 - 坂谷委員 環境省の方の資料からですけれども、代表的な地域を選んでレントゲン上の所見をとられました。この資料で言いますと、9ページ、10ページのことなんですけれども、健康リスク調査でございますが、これが各地域によりまして、調査の実際行われたシステムといいますか、例えば、私が属しております大阪府でありますと、肺がん検診というのがございまして、それを利用しての石綿曝露の健康リスク評価ということをやられました。すなわち、所見の判断が肺がんの専門家の方々による判定でございまして、それが良いか悪いかといいますか、適切であるかどうかというところに問題があろうかというふうに私は考えております。
できれば石綿曝露、石綿関係の専門家の目でもって見た方がよかったのではなかろうと。あるいは、せめて見直しをする方がよかろうではなかろうかと、こういうふうに考えておるということを申し上げたかったのでございます。9ページ、10ページの資料でございます。
以上です。 - 森永座長 ありがとうございます。
この表以外でも大田区でも東京は独自にやられているようなんですけれども、岸本先生、何か意見ありますか。 - 岸本委員 今、坂谷先生がおっしゃられましたように、胸膜プラークというのは診断基準が実際に決まっておりません。非特異的な胸膜肥厚と胸膜プラークとを間違える場合もございますので、東京大田区では、とりあえず、専門家で一度集まって、目合わせをして、最終的には委員会で、あり・なしを判定したということでございますので、今、坂谷先生がおっしゃられましたように、そのあたり、石綿関連疾患の専門医で見直しをしてみると、恐らくパーセンテージも私は変わってくるのではないかなというふうに思います。
特に問題なのは、結核性胸膜炎、もしくは肺結核で胸膜に石灰化を来した場合に、これを石綿による石灰化胸膜プラークというふうな診断がなされる場合もありまして、それが一番鑑別で問題になったところでございます。
以上です。 - 森永座長 ありがとうございます。
お二方の意見が、そういうのがあるということは、一応、聞きおいておきまして、実際の議事に進めていきたいと思います。
医学的な検討をこれから行いたいと思いますけれども、一応、事務局の方で論点メモというものを資料3ということで用意していただいております。それと同時に、今年度、来年度もいろいろな調査研究事業というものも検討されておられるようなので、そのことの説明をまずお聞きしてから、それから議論に入っていきたいと思います。
では、説明を事務局の方、お願いをします。 - 佐々木補佐 それでは、事務局の方からお手元のまず資料3をもとにご説明したいと思います。
こちらは本検討会の論点メモの案ということで、事務局よりたたき台として出させていただいたものでございます。
ごらんになってお分かりになりますとおり、まず、1で石綿肺の取扱いを挙げさせていただきました。(1)総論的事項としまして、[1]、まず、この疾患のつかみといいますか、概念の整理でございますが、疾病の概念、発生しうる集団、発生頻度、経過、予後等、そういったものを項目として挙げさせていただいております。
あわせて、[2]でございますけれども、先ほどちょっと触れましたが、石綿肺と特発性間質性肺炎、または特発性肺線維症等との鑑別、そういったものもご議論の事項として挙げさせていただいたところでございます。
それから、(2)でございますが、仮に石綿肺を現行法の救済法の指定疾病に加えた場合ですけれども、そのときの判定基準に係る課題というのも項目として挙げさせていただいたところでございます。
続きまして、2でございますが、その他の石綿関連疾患としまして、先ほどもご説明いたしました良性石綿胸水、それから、びまん性胸膜肥厚、これらの取扱いを項目として挙げさせていただきました。
あわせて胸膜プラーク有所見者の取扱いを3点目として挙げさせていただいたころでございます。
それから、現行の指定疾病である中皮腫、肺がん、これらについての取扱いも併せて論点メモの中にお示ししたところでございます。
それから、この検討を行うに当たりまして、環境省の方で進めさせていただく予定の各種調査研究事業でございますが、先ほどの基本資料集、冊子の方に戻りまして、最後の方から2ページ目、43ページをお開きいただきたいと思います。
こちらに4点、調査事業を挙げさせていただいているところでございますが、最初は、先ほど、ご質疑等ございました健康リスク評価に関する調査でございます。こちらは平成18年度からスタートしておりまして、18年度は3地域、19年度は6地域、それから、本年度につきましても、19年度に引き続き6地域を対象としまして調査を実施していきたいというふうに考えております。
それから、二つ目は、石綿関連疾患に係る文献調査でございます。これも18年度から石綿に関連します医学的判断に関する論文の検索とそのレビューを実施してまいったところでございますけれども、今後はこの検討会の進捗状況といいますか、ご議論の状況を踏まえながら、一般環境経由による石綿肺等の発生事例について調査を行っていきたいというふうに考えております。
それから、三つ目でございますけれども、救済制度の各国、諸外国の動向、これについてもフォローしていきたいと考えております。先ほど一覧表でお示ししましたが、特に今後はさらに深堀りいたしまして、石綿関連疾患のそれぞれの国におけます取扱い、それから認定基準、認定実績等の詳細について調査をしてまいりたいと考えております。
そして最後でございますが、4点目としまして、石綿関連疾患症例の解析調査、本年度からスタートしたいと思いますけれども、国内の医療機関の協力をいただきまして、石綿肺などと診断された方の曝露状況や画像所見、病理所見、臨床経過などを調査するとともに、石綿曝露の客観的かつ非侵襲的な証明方法を研究してまいりたいと考えております。
これらの調査の成果を本検討の方に反映させていただきたいというふうに考えております。
以上でございます。 - 森永座長 ありがとうございます。
それでは資料3の論点メモの1の、まず石綿肺の取扱いから議論を始めたいと思いますが、総論的な事項として、疾病の概念ということがございますが、石綿肺をどういうふうに定義するかということだと思いますが、これについてご意見ございますでしょうか。これは一応、今までの労働安全衛生法、じん肺法ですか、じん肺法でいうところのじん肺の1型以上という考え方でよろしいですか。 - 岸本委員 最近は胸部CT画像が非常に汎用されまして、職業性の石綿曝露のあった人に線維化がある場合をドクターは石綿肺と診断をするんですけれども、これは従来どおり、今、座長がおっしゃられましたように、じん肺法では胸部レントゲン上、PR1/0以上のものを石綿肺というふうに定義されていますし、じん肺を見ております私どももそのような理解でございます。石綿肺の定義はそのようにされた方がいいんではないかというふうに、私は思います。
- 森永座長 ほかの委員の先生方、どうでしょうか。
坂谷先生、どうぞ。 - 坂谷委員 特に論点メモの1の[2]について、しっかりやっていただきたいと、こういうふうに思います。
この分野に関しましては、皆さん、ご承知のように、厚生労働省の方が歴史も実績もありまして、進んでおりますが、実は先ほど井上診査医の方から説明のありました部分で、カラー刷りの18ページに、健康管理手帳の交付要件で、18ページの下半分です。(1)で、両肺野に石綿による不整形陰影があり、または石綿による胸膜肥厚があること。簡単に「石綿による不整形陰影」と、こう書かれておりますが、不整形陰影があれば、すなわちすべて石綿によるものではない。その辺で、医療機関、どこでも手軽にというか、簡単に診断していただけるようにという意味が入っているんでありましょうけれども、職歴があった方で不整形陰影がありましたときに、それが石綿によるということを証明する、確かに判断するというのは、非常に難しいことであるということは、現場におる人間としては、常々感じていることでありまして、もう一度戻りますが、論点メモの[2]について、適切に作業をお願いしたいと、こういうふうに思っております。 - 森永座長 三浦委員、どうぞ。
- 三浦委員 診断基準については、岸本委員の診断基準でいい思うんですけれども、胸部直接写真で1型以上の陰影があるもの、これがじん肺の定義ですね。
ところが、もう一つ、先ほど、中央じん肺診査医の井上さんからありましたけれども、じん肺というのは、非常に緩やかに進むということと、もう一つ、それに基づいた管理区分が決定される。この管理区分が決定されることによって、それ以上、その仕事に従事することによって病気が進行するのを抑えるという意味合いがあるわけですね、配置転換とか、職業替えとか。そういう問題がありますから、非常に緩やかにあるものを、要するに、じん肺法として非常にすぐれた判断基準が、世界じゅうで使われる判断基準ができていると。
ところが、これを今度、そのままそっくり、定義はいいんですけれども、どの程度から非常に、特に日本は非常に軽いものが石綿肺として1/0として認定されやすいと。外国のドクターと話しますと、何でこれを1型というんだという話が、よく出てくるんですけれども、やはり、人間の目が見るものですから、底辺のところは、どっちでもいいようなところが非常にたくさんあるわけですね。ですから、その辺を、今後どうやって対象疾病として考えていくかということで、やっぱり、程度も必要になってくると私は考えます。
先ほど坂谷委員がおっしゃっていましたように、やはり、特発性間質肺炎というのは、急激にどんどん進むものですし、それから、石綿肺とじん肺は、むしろ、逆に緩やかに進むものと、そういう違いもありますから、この辺の区別もきちっとしていった方がいいと思います。
それと、もう一つ、先ほど、環境省で既にやられている6地区の写真の読影基準について、坂谷委員の大阪では、違う基準で読影されている可能性があるというお話をされていましたけれども、やはり、それはもう一度、できれば、こういうところで、みんなの目でもう一回見直して、公平な目で見直すというのは、非常に大事かなと、私は今考えています。 - 森永座長 そこで議論が、それぞれの委員の先生方の議論があると思いますけれども、とりあえず、結論ではなくて、一応、現在、じん肺法でいうところの石綿肺、つまりレントゲンで1型以上と、その1型がいろいろ問題があるというご指摘もございましたけれども、詳しいところまでは踏み込まないで、一応、そういうじん肺法の1型以上というのを仮に、今、コンセンサスを得たということで、次の話に進めていって、もう一度。
そうしないと、話が進まないものですから、定義だけで終わってもいけませんので、とりあえず今、そういう考え方で、それでは、そうしたらどういう集団で発生することが考えられるかということも、ちょっと議論を次に進めていきたいと思うんですけれども。
先ほど、経過については三浦委員の方からお話がございましたけれども、発生しうる集団、あるいは発生の頻度、量、そういうことについて何かご意見ございますでしょうか。委員の先生方。 - 岸本委員 石綿肺という診断基準は大体5項目ございまして、その中で一番重要というのは、職業性石綿曝露があるということであります。あと、他の疾患を鑑別するだとか、努力性の肺活量が落ちるだとか、吸気時に捻髪音を聴取するだとか、レントゲンで不整形陰影があるということなんですけれども、やはり、診断で一番大切なのは、職業性石綿曝露があるということだと思います。
ですから、ないものを石綿肺とするためには、今、先生方が言われました大阪府だとか、尼崎だとか、羽島だとか、鳥栖で、撮影されたフイルムを我々が見て、環境曝露下で石綿肺と言っていいという症例が出てまいったときに考えるべきでありまして、通常は職業性石綿曝露があるものを石綿肺というふうに定義しましょう。これは古典的にも言われていますので、まず、そういう範疇で考えていくということでいいのではないかと私は思います。 - 森永座長 環境曝露以外の方ではどうですか。発生しうる集団としては。
- 岸本委員 職業性間接曝露でもありえますが、家庭内曝露ですね。家庭内曝露でアスベスト肺、石綿肺が出るというのは、私は知らないものですから、それについては、文献的なレビュー等をやってみて、海外にそういう事案がどの程度あるか、どの程度の頻度かというのを確認してみて、検討するでは、いかがでしょうか。
- 森永座長 その環境以外の労働者性のない、ある意味で労働者みたいな、そちらの方の可能性はどうなのかなと思うんですけれどもね。
- 岸本委員 それはデータを持たないものですから、ここで言及するのはどうかと思いました。
- 三浦委員 可能性としては、やはり一人親方、大工さんとか左官屋さんとか。昔、私の経験では、大工さん、大工の棟梁なんですけれども、自宅の仕事場を閉め切って石綿をガーと切っていたと。家族が「お父さん、こんなところで仕事をしていたら病気になっちゃうよ」と言ったら、お父さんは「ばか言え、こんなほこりを隣近所にばらまいたら、もっと迷惑じゃないか」と。そういう話もあって、実際にはその方は石綿肺があったんで、一人親方というのは、ありうることだと思いますけれども。
- 岸本委員 よろしいですか。一人親方もやはり職業性の石綿曝露を来す人々で、労災の補償の対象にならないことが多いですね。労働者性といわゆる一人親方の期間でじん肺法は、長さで労災かどうかというのを決めることになっています。労災の対象にはならないけれども、一人親方の方は、職業性の石綿曝露を受けた方という、そういう大きなくくりでいけば、ここに戻るのではないかなというふうに思います。
- 森永座長 環境曝露のケースは、2年前の報告書のときには、いわゆる、そういうような例は、今までは余り報告はないということで取りまとめていまして、今、岸本委員が言われたように、ないことをレビューで調べるというのは非常に大変な作業なんですけれども、それを急いで今回はやらないといかんと、そういうことですね、一つはね。
どうでしょうか。坂谷委員の方から間質性肺炎との鑑別の問題というのが出ましたけれども、委員の先生方、今までの経験からどうなんでしょうか。何かご意見ございましたら、どうぞ。 - 井内委員 先週、ギリシャでIAPという国際病理学会がございまして、そこでDr.Roggliという職業性の肺疾患に非常に強いアメリカの病理医が、それに関する演題を発表しておられました。それでディスカッションしてきました。
彼の今回の発表は、特発性間質性肺炎と言われている症例で石綿曝露の可能性がある人たちを、つまり石綿曝露があり線維化のある症例を数十例、ない症例を数十例集めて、それぞれアスベスト繊維を電顕的にカウントして、データをつくっていました。
それで、彼の結論というのは、やっぱりアスベスト繊維を計らないと分からないということを言っているんです。クラシカルには、病理学的な立場から言いますと、石綿肺の特徴というのは、細気管支周囲性の線維化だというふうに、我々は教科書的に今までは勉強してきましたし、確かに、本間先生たちのいう南アフリカのアスベスト障害者の場合は、そういう典型例があるところなんですが、現実には、そういう例を我々が経験することは大変少ない。それで、結局、アスベスト障害による線維化というのは、何によって決めるかという診断基準が非常にぐらついていて、ヨーロッパやアメリカの大変経験の豊富な人たちですら、病理学的な所見というものに依存するような診断基準というのは非常につくりにくい、苦労をしているというのが現状だなということをつくづく思いました。
そういう事実を踏まえると、先ほど、ご議論も既にあったんですが、じん肺法で1型以上であれば、そう認めて、臨床的にはかなりIAPとは違う、非常に緩やかな経過であると、おっしゃるとおりであり、結果としてできた線維化から逆に、この障害がアスベスト、石綿によるものであるかどうかという決め方というのは、非常に非侵襲的なやり方でも難しい。病理で材料が提供されてすら、そうなのだから、そうじゃないレベルで、これが石綿による障害であるかどうかというのを決めるは、大変世界的なレベルで見ても、非常に今、困難な状況にあるということを、つくづく、今、感じているところです。
それをどう克服するかというのは、この1年の検討でできるかというと、非常に暗たんたる気持ちがするんですが、最大限努力をして、何かこの基準をつくらない限りは、大変難しいなと思います。単なる線維化と、坂谷委員がおっしゃったように、特発性の線維症とこの石綿肺をどう鑑別するかというのは、やっぱり、難しい問題として残ってしまうんではないかなという気が、今しています。
以上です。 - 森永座長 ありがとうございます。
ヨーロッパは、典型的なひどい石綿肺の事例というのは、もうほとんどないんじゃないかなと思うんですね。Dr.Roggliなんかも、そういう典型的な石綿肺は余り見ていないというふうに、本間先生は言うんですけれどもね。実際、そういう、私ども、私や坂谷先生が経験してきた泉南の紡織の石綿肺というのは、最近余り見ない。少しはまだ泉南の地域ではあるようですけれども、そういうようなものが全国各地域にたくさんあるというような印象は、私は、今、ちょっと持っていないというのが実情なんですね。
ですから、今言ったような、病理学的にも非常に難しい問題がある。しかし、病理的な侵襲的なケースをもって最終診断を下すというようなやり方は、やっぱりとれないですよね。ですから、今までの考え方でいけば、岸本委員が言っているように、職歴と画像で診断をメインはそれでやるという今までの古典的なやり方に、もう一つは経過を見ていくという三浦委員の考え方が、今のところ、一番妥当というか、それ以外にないんじゃないかなという気はするんですけれども、どうでしょうかね。 - 酒井委員 画像診断の立場から言いますと、基本的には、石綿肺とその他の原因による肺線維症の鑑別は難しいと思います。気道中心性の線維化といいながら、例えば、有機粉じん、無機粉じん、ほかのいろいろなことで、気道中心性の病変をつくりますし、原因が石綿であると特定することは、画像からは無理です。つまり線維化が気道中心性の二次性の線維化
であったとしても、それが石綿によるということを画像だけから言うのは、これは現時点では不可能だと思います。
仮にプラークがあったとしても、石綿吸入があったことを示すだけで、線維化の原因が本当に石綿であることの証明にはならないわけです。石綿を吸入したことが直接線維化に関連しているかどうかには、個体の反応性の違いがあるわけですので、大きなギャップがあります。ですので、線維化の原因を画像診断からつけるというのは、なかなか難しいというのが、正直、私の考えです。 - 岸本委員 今、酒井委員がおっしゃられたとおりでありまして、我々、臨床をやっていますので、典型的な胸膜プラークがあって、ある程度の職歴があれば石綿肺ではないかと疑い、そのような診断をした人が亡くなって、解剖した場合に、今、井内委員が言われましたように、胸膜プラークがあるから石綿肺であろうといった症例が、実際は特発性間質性肺炎だったという事案も、経験をしております。何もない段階で、画像だけで、石綿による肺の線維化石綿肺ということを診断するのは、これは医学的に、酒井委員がおっしゃられるように問題があるのではないかなと思います。画像プラスアルファということになると、職業性石綿曝露歴を一応求めるということなるのではないかなとは思います。もちろん、画像は参考にはなると思うんですけれども。
- 森永座長 その場合の職業歴というのは、中皮腫のような曝露歴じゃないですよね。
- 岸本委員 中皮腫はあくまでも低濃度曝露、家庭内曝露だとか環境曝露でも発生します。胸膜プラークもそうですけれども、石綿肺というのはじん肺でありますので、珪肺と同じように、一定以上の石綿を吸った方ということになると思います。石綿肺がん診断基準であります25石綿繊維/ml×年というのがありますけれども、最低レベルでも、そのレベル以上吸わないと起こらない疾患であるというふうに従来から言われています。ですから、職業歴についても、低濃度曝露ではないというふうに考えていいんではないかと思います。ボーリッヒ先生も1975年の図表で、石綿肺は高濃度曝露量を吸入することによって発生するというふうにおっしゃっておられますので、やはり、そのレベルは考慮すべきではないかなというふうに思います。
- 森永座長 もう一つは、派手な胸膜プラークの患者さんがおられたときに、単純のレントゲンでは、読み間違えと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、なかなかそこのところの線維化の所見というのは非常に難しいですよね。その辺は、三浦委員、坂谷委員、岸本委員もよく、審良委員が一番見ているかもわかりませんけれども、そのあたりのいろんな患者さんを診てきてどうなんでしょうか。私はちょっと読み過ぎというか、その辺の判断は非常に難しいんじゃないかと思うんですけれども、ほかの委員の先生方、どうでしょうか。
審良先生、どうですか。 - 審良委員 確かに今、胸部写真というのは、昔、診断基準を立てたころにはCTがなかったので、確かにそういうのが、診断基準の面として出てきているのですけれども、今、CTが出て、HRCTというのが、また出てきて、そこで見えた影をどう扱うかというのが、やはり問題ではないかと思うのですけれども。
確かに胸部写真だと、違うものも入れてしまう可能性、1型というのは1/0と0/1というのが、物すごく難しいというか、その分ける判断が物すごく神業に近いとか言われているぐらいに難しいので、確かに、CTがない時期ではそれしか仕方なかったと思うのですが、今、CTが出てきているので、やはり、それで胸膜病変とかを分けて読めるということは、それを参考にかなり入れ込んだ方がいいのではないかと思うのですけれども。 - 森永座長 ほか、三浦委員、どうでしょうか。同じようなことなんですが。
- 三浦委員 昔は余り厳密に胸膜病変と肺実質の線維化病変と分けなくてもいい時代があったんですね。でも現在は胸膜病変と肺の線維化病変はきれいに分けないといけないということになっていますから、それを単純写真では、不整形陰影という中には、胸膜プラークによって見えなくなっちゃった部分も当然入ってしまいますから、それもやはり審良委員の言われるように、CTを使わないと現実にはわからない。単純写真では、特に軽い部分については、もう全くわからないと思います。
- 森永座長 岸本委員、どうでしょう。
- 岸本委員 審良委員がおっしゃるとおりだと私も思います。私が見ていましても、石灰化胸膜プラークで不整形陰影が見えなくなっている症例というのは、そんなに少なくありません。今、特に審良委員がいろいろ研究をされていますHRCTでの石綿肺の特徴というのも、ある程度明らかにされていますので、胸部レントゲン所見を主に、それでCT、HRCTで、胸部レントゲン所見を補完するという意味で、すべてレントゲン所見とHRCTを含むCTの両方を参照して鑑別等も行っていくというのが、やはり、今、現実的でいいのではないかなと思います。
- 森永座長 坂谷委員、どうぞ。
- 坂谷委員 偽陽性に二種類ありまして、今のお話でおわかりになるように、線維化もないのに、プラークだけなのに、正面写真だけを根拠に判断すると、線維化がないのに石綿肺と判断しておる症例がありうると。それから、もう一つは、ほかの手段も含めて、肺線維症は確かにあるけれども、石綿肺以外の肺線維症を石綿肺としてしまっている症例があると、この二種類の偽陽性があるわけです。
それで、広く考えましたら、国民の労働者の福利厚生のことから考えますと、そうであるのに違うとしてはねるのは気の毒である。だけど、そうでないのをそうであるというふうに判断して、救済してあげることは、やり過ぎかもしれませんけれども、悪いことではないというふうに考えることはできるんですが、ただ、それでも業務上外の判断に関しては、座長がおっしゃったように、確かに曝露歴もあって、石綿肺に間違いなさそうであるけれども、親方であるために労災の対象にならないというのが存在するというところに一つの問題があると、こういうふうに整理ができるかと思います。
それから、もう一つ、岸本委員からさんざんご発言がありましたが、私どものところでも職業性曝露以外で石綿肺と思われる線維画像のある症例を経験したことはありません。
以上です。 - 森永座長 ありがとうございます。
石綿肺については、今日議論をした中では、まず、一つは、環境リスク調査でいろいろ線維化の所見がありとか、いろんな言われている例がありますけれども、それは一度、我々専門家の目で、もう一度ちょっと見させてほしいなと、検証すべきだと、こういう意見ですよね。だから、それはぜひやるべきではないかというふうに思います。
それから、文献レビューは、これはないことを調べるというのは、あることを調べるのは比較的簡単なんですけれども、ないということを調べるというのは、ある意味で大変な作業なんで、これははっきり言って、18年度、19年度、文献レビューの委託先がころころ変わって、しかも安いコストでやろうと思ったら、ろくな文献検索ができない、その辺のところも、ひとつきちっと考えていただいて、それはまともにやろうと思えば、ないことを調べるというのは非常に時間的にもコスト的にもかかるということを承知の上でやらなければいけませんから、やるという、その辺の配慮をひとつ考えていきたいと思います。
もう一つは、来年度から環境省の方では、石綿肺等の症例も集めて検討しようという考えをお持ちのようですから、それもひとつ、そういう調査研究事業をとりあえず走らせいただいて、早急にそれをとりまとめて、今回の検討会に反映させていくというようなことも必要かなというふうに思います。
石綿肺のことばかり話をしてもあれですので、2のその他の石綿関連疾患の取扱いということで、具体的には、良性石綿胸水とびまん性胸膜肥厚が挙げられていますが、これについて何か委員の先生方、ご意見ございますでしょうか。 - 三浦委員 両方とも疫学調査もかなり少ない分野なんですけれども、ある程度、職業的に石綿曝露、はっきりと分かっていて、得体の知れない胸水がたまってきた。あるいは次第に胸膜が厚くなってきたと。そういう場合に初めて診断ができる疾患なのですね。
実際にはどの程度あるかは、まだ全く分からない。特に良性石綿胸水については、診断すらできない状態ですので、患者さんを診て、根掘り葉掘り聞いていたら、昔、3年以上、高濃度の曝露をしていたというので初めて分かるとかということが結構多いものですから、これはやはり、なかなかすぐに取りかかるというのは、ちょっとかなり難しいかなとは思うんです。
ただ、一般環境にどのぐらいあるかは、全く分かっていないんですね。ないことはないだろうと思うんですよ。ないことはないだろうと思うんですけれども、全く分からないんで、今回の調査を見ているうちに、うまいことぶつかってくれればなという、一つは期待はあるんですけれども。
それと、もう一つは、びまん性胸膜肥厚の場合には、先ほどの話にありましたけれども、結核性胸膜炎との鑑別が、日本は、昔、結核性胸膜炎を罹患した患者さんというのは結構たくさんいますから、それとの鑑別が日常茶飯事としては一番多い。それから、リウマチあるいはパーキンソンのお薬なんかを飲むことによるびまん性胸膜肥厚というものもありますので、そちらとの鑑別が次になかなか難しいということで、これぞまさしく、もうちょっと見ないと、私は分からないかなとは懸念しているんですけれども。 - 森永座長 特に中皮腫の初期の胸水と良性石綿胸水の鑑別というのは、非常に難しいですよね。岸本委員、どうですか、その辺は。
- 岸本委員 確かに私も良性石綿胸水と思って診ていた人が、途中から中皮腫だったという症例があったりして、それを症例報告にしたことがございます。
石綿肺のときも同じだったんですが、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、これは石綿曝露歴があるというのが診断基準で一番重要なんですね。特に良性石綿胸水は、診断基準の一つとしてそれがございます。びまん性胸膜肥厚は、今、三浦委員がおっしゃられましたように、結核性胸膜炎とかほかの胸水を来す疾患でもありますので、これは石綿によって起こったびまん性胸膜肥厚だと診断するためには、やはり、何らかの、特に職業性の石綿曝露歴があるというのが、一番間違いないということでございますので、このあたりを一般環境でも、こういう疾患が起こっているのかどうかというのが、非常に私も難しいと思います。
それと、私、いつも不思議だと感じています。石綿によって胸水が起こるという目で見れば、この疾患はそんなに少なくないと思います。今、中皮腫が多発しているような地区では、もっと良性石綿胸水というのは多いのではないかと考えます。意外に、大阪だとか兵庫あたりから、この疾患の申請がなくて、むしろ、岡山だとか広島に多いということになると、診断をされる先生方にもいろいろあって、ひょっとしたら見落としているというようなこともあるのかなというふうに、今、思っております。
ただ、三浦委員がおっしゃられましたように、症例が非常に少ないために、バイアス等が非常にかかっているということも懸念されておりますので、石綿肺もそうですけれども、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚であって、石綿が原因な症例を集めて、詳細な検討をまずやってみるというのが一番大切なのではないかなというふうに思っております。 - 森永座長 良性石綿胸水と胸膜中皮腫の鑑別の問題もありますけれども、後で振り返ってみたら、水がたまったのは中皮腫だったということになりますが、そこにさかのぼる、今度の法改正ができましたので、一般的に良性石綿胸水が、どうなんでしょうかね、療養を要するような状態が長期間続くような疾患とは考えないですよね、普通は。ですから、そこのところは、ちょっとほかの疾患とは違う扱いにしてもいいのかなとは思うんですけれども、どうでしょうかね。
それと、問題はびまん性胸膜肥厚ですけれども、これも石綿によらないものも結構あるわけですけれども、環境リスク調査では、びまん性胸膜肥厚については特にチェックしているわけではないですよね。ですけれども、一応、そういう材料があるわけですから、もう一度、そういう目で見てみるということもいいんじゃないかな、どうでしょうかね。 - 岸本委員 そのように私も思います。びまん性胸膜肥厚、最近、事案があるんですが、胸膜プラークで、レントゲンを正面で見ると、びまん性胸膜肥厚に類似の例も確かにあります。専門家が見れば、びまん性胸膜肥厚ではないんですけれども、びまん性胸膜肥厚の厚みだけを見れば、労災の認定基準を満たすような方もありますから、このあたりも含めて、慎重な検討をということになるのではないかなと思います。
座長がおっしゃられましたように、良性石綿胸水で著しい健康被害というのは胸水貯留をきちんと排液せずに、これが慢性化して、肺が元に伸びなくなり、元のように膨らまなくなった際に起こってくる場合があります。そういう場合は、一応びまん性胸膜肥厚に準ずるということにすれば、良性石綿胸水で著しい健康被害、障害はないと見ていいんではないかなと思います。 - 森永座長 これはまれに、しかし、エンカプスレートされるような例がありますよね。一応、それはびまん性胸膜肥厚と同じような扱いにしたらいいですよね。
今日はとりあえず、この論点メモに沿って全般のところで、一通り委員の先生方の意見をお聞きして、次どうするかということを考えたいと思いますので、一応、あと、時間が余りありませんけれども、胸膜プラークと現在の指定疾病の取扱いについても簡単に触れたいと思いますが、3の胸膜プラーク有所見者の取扱いですが、これについては何か委員の先生方、ご意見はございますでしょうか。
労働衛生課の方では、退職した労働者の方については、プラークの所見のある方については、健康管理手帳が既に、平成8年からですか、そういう制度があるということですので、これはプラークというのは、石綿を吸った客観的な証拠ですので、それは退職された労働者と同じような扱いにするのが望ましいという考え方でよろしいでしょうかね。 - 三浦委員 特に今年の9月から間接曝露者もプラークがあれば、手帳の交付の対象になったというお話でしたよね、先ほど。
- 森永座長 まだこれから。今…。
- 三浦委員 今、検討中なんですか。
- 井上主任中央じん肺診査医 先ほど、分科会では了承いただいたのですが、この後は、いろいろパブコメとか、現在やっておりますし、ただ、予定では一応、来年の4月、予定ですが、施行できればなというふうに考えております。間接曝露ということで、職業性の労働者についてはということでございます。
- 森永座長 中皮腫についてですけれども、最近いろんなことが分かってまいりました。その辺について、ちょっと、それぞれ委員の先生方で、今、世界的にはこういう動きがなっているよというような話がございましたら、どうぞご意見をおっしゃっていただきたいと思うんですけれども、ございませんか。どうぞ。
- 坂谷委員 私より井内先生の方が適切かと思いますけれども、病理学的にグローバルなというか、欧米での診断基準と日本が考えている、こういうふうにしようと、井内先生中心に考えておられることと、ちょっと乖離があるみたいで、全体を肋膜肺全摘手術をしての場合でもそうなんですけれども、病変の存在が浸潤があるかないかで、悪性度といいますか、中皮腫と言うべきか、この段階では言わないでおこうというか、日本は積極的に浸潤がなくても悪性中皮腫の初期像であると。小さな材料の判断でもそういうふうにしましょうと。それで積極的な治療を行わないと、助かるものも助け得ないという方向へ動いているように聞いております。
ところが、欧米では、今までどおり、やっぱり浸潤像が見えなければ、悪性の中皮腫とは言いがたいのではなかろうかと。遅れている、遅れていないの問題ではなくて、少し微妙にずれてきているというふうに臨床医としては考えておるんですけれども、それでよろしゅうございますか。 - 井内委員 坂谷委員がおっしゃる点が、一番我々が今、悩んでいるところであります。いわゆる、ほかの臓器では上皮内がんというやつがあって、上皮内がんというのは浸潤していないわけですから、非常に治療効果も上がりやすいし、適切に手術ができれば、それでがんを完全になくすることができるという意味では、そのレベルでの上皮内がんという診断がつくような状況での発見というのが一番望ましいわけですね。
欧米では、ただし、上皮内がんという概念が、ほかの臓器でもそうなんですが、極めて慎重であるといえます。例えば、一番日本で多い胃がんなんかで言いますと、粘膜内がん、上皮内がんというのは、日本では非常に積極的につける。それは一に、内視鏡の発達が非常にあって、内視鏡診断というのをきちっと臨床の先生がされると、明らかに所見が違うということを前提に、病理医もそれをがんとつけてきたというふうに思うんですが、欧米では、やはり、内視鏡の遅れというのが一番大きいんじゃないかなと、私自身は個人的には思っています。欧米では浸潤がなければがんと言わないということに非常に固執して、そこが長い間、日本との間で議論になっていましたが、少し欧米も日本の考えを認めつつあるというふうに、私は理解をしています。
それで、同じようなことが、今の中皮腫診断にも言えていて、上皮内にとどまる、つまり、浸潤の全くないものをがんとは言わないというふうに欧米の人たちはかなり固執をして、atypical mesothelial proliferationという言葉をどんどん使うわけでありますが、それを余り使い過ぎますと、臨床の人たちは、これをどうしていいのか、どう扱っていいのか、全くわからないということになりますので、ある意味で、これは悪性腫瘍か腫瘍でないかというところをはっきり決めるための努力というのを、とにかく続けなければいけないというふうに思っているところです。
日本では、そういう意味での判断基準をつくるための遺伝子レベルの解析でありますとか、いろいろ努力を皆しておりますので、私たちは何らかの客観的な事実ということで証明をしようという意味でも、先行的な知見が出ればなというふうに期待しています。しかし実際には、そこまで十分なエビデンスがあって、これはがんである、がんでないということが診断できてないのが現状だろうというふうには思います。
ですから、大きなずれがあるというよりも、取扱いの違いというふうにとどまっているんじゃないかなというふうに、私自身は理解をしています。だから、どういうものをがんと言うかという概念の違いであって、例えば、この前、坂谷先生たちのもとで、先生のところの病院の症例を一緒に見せていただきましたけれども、私自身は、例えば、カナダのDr.Churgと私の診断基準というのはほとんど変わらないというふうに思いましたので、そのことについては、決してずれがあるわけではないというふうに思っています。
要は考え方の違い、その見ている病変をどう扱うかの扱い方の違いというのが、非常に大きいというふうに思っていますが、できるだけ、がんか、がんでないかという診断に早く到達できるように、それが患者さんを救う大きな道になりますので、そちらの方に向って努力を続けるというのが、今の我々の立場であるというふうには思っています。 - 森永座長 WHOの最近の、2004年でしたかのときの分類で、高分化型の乳頭上皮がん…mesothelioma、これは別扱いになりましたですよね。その辺について、先生、何かご意見ございますか。
- 井内委員 実は我々もそのことに興味を持って、少し検討をしています。症例が集まってまいりましたので、集めてみると、やはり、いわゆる我々がやっている免疫染色のプロファイルが違うんですね。ですので、どうもこれは普通の中皮腫とは扱いを変えてもよいのではないかなという気はします。
ただ、そこの厳密な診断基準というのが、まだ正直言って、欧米も日本も少しずれているように思うんです、みんながどういうものをそう診断しているかというのが問題です。そこをクリアカットにしていく必要があろうかなと思います。
これは、benign cystic mesotheliomaといっている例も全く同じような問題が生じていますので、先ほどの議論にもつながるんですが、どういうものが本当の意味での悪性腫瘍かどうかという定義に関して、もう一度、整理をする必要があろうかと思います。しかし、これはちょっとまだ学問的なレベルの話であって、ここで扱うような患者さんの救済云々に関して、どこまで踏み込んだ決断ができるかというのは、ちょっと別問題かもしれません。そこまでに、もう少し時間がかかるかもしれません。 - 森永座長 特に腹膜については、アスベスト曝露とは関係がないような方が多いですよね。ですから、胸膜については曝露歴のある方も何かおられるみたいですけれども、そういう石綿の曝露という観点から言うと、またちょっと違うんじゃないかなという気もするんですけれどもね。
- 井内委員 中皮腫に関して言えば、今の問題点は座長のおっしゃるとおりで、我々が3,000例近くの判定をしてきたこの2年以上の経験からいって、アスベスト曝露が必ずしも考えにくい方が中皮腫であるという事実も、明らかになってきました。それが特に腹膜例であったり、若い女性例であったり、そういう例が中皮腫だという我々の今の診断基準からいったら、決して外れるものではないけれども、アスベスト曝露によって中皮腫が起こるという前提からいえば、少し逸脱しているという症例が見つかってきた。それが今、おっしゃるような、高分化型乳頭状中皮腫と言われているものとか、cystic mesotheliomaと言われているようなものとか、そういうものも含めて、もう一度整理をされる必要がある時期に来たといえます。要は、今までは症例が少なかったものですから、検討するにもエビデンスが少な過ぎるというところがあったと思うんですが、我々日本の症例もかなり手に入るように、検討できるような状況になってきましたので、それらの再整理が必要な段階に入ったなというふうな感じを持っています。
- 森永座長 ありがとうございます。
ほかは何かございますか。 - 坂谷委員 今の井内先生に追加ですけれども、パネル的に何人かの専門家が集まって目合わせをして判断しますと、違う症例が中皮腫として上がってきておる症例が割合あること。それから、逆もあるんだろうと。上がってこない症例の中にも中皮腫があるだろうということ。
それで何を言いたいかというと、各現場の施設では、たかがせいぜいお一人の病理医がいろいろ判断をされて、診断を、最終的には主治医ですが、やっているわけですね。1人の主治医にこの種の疾患の診断を任せるというのは、現状では危険という言葉は過激過ぎますけれども、本当にいいんだろうかという問題が残ってくると思います。
症例、これから増えるのかもしませんが、複数の病理医の目で見て、間違いないであろうということを、中皮腫に関しては言うべきである、そういうステージに、まだというか、あるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。 - 森永座長 いや、それはもう前々から言っているんだけれども、厚生労働省は考えてくれていないんでね。中皮腫の診断を行政機関が判断するというのは、そもそもおかしな話で、これは医療機関の方にゆだねるような、そういうシステムをやはりこれから考えていかないと、労災にも中皮腫は関係しますし、救済法でも関係してくるので、これは診断のところの最終のfinal
diagnosisは、やっぱり、何かそういう専門の機関がやるべきだというのは、私どもは前から言ってきているんだけれども、厚生労働省は一考に耳を傾けてきていなかったのが現実なんですけれども、それは、やっぱり、今の段階に来ていると、私は思いますね。
ですから、それはどうでしょうか、ちょっと意見が。 - 井内委員 実はフランスのFrench Mesothelioma Panelというのが大変有名だというのは、先生方もご存じだと思いますが、日本にも来てくれたことのあるDr.Gallateau-Salleが、先の学会でまとめたデータを発表してくれたんですね。
それでみると、やはり、これまでのことと同じですが、中皮腫と診断されて送られた例の十数%はやっぱりリジェクトされている。つまり、フランスにも補償制度が、先ほどご紹介あったようにあるので、対象からはずれるようにリジェクトされているんだということを言うわけですね。私、質問したんですが、そういうときに、とにかくもめていないのかと、まず、臨床医ともめないのかと、その次には患者、あるいは遺族ともめないのかと。いや、それはもめると、同じだというふうな話になりました。
やはり、決して日本だけが、坂谷委員がおっしゃるように、診断があやふやなまま申請が行われているわけではなくて、やはり諸外国でも同じ問題があるので、おっしゃるように、ある意味で複数の臨床医、あるいは病理医、あるいは放射線科医が集まって、診断をつけていくという最終的なシステムというのがあればということを、まさに思います。それはフランスでも同じようなことを考えて、そういうものをつくっているわけですね。
それと、もう1点は、ちょっと視点が違うんですが、今は中皮腫患者さんの救済については、all or nothingなんですね。要は、中皮腫であれば救済される、中皮腫でなければ救済されない。ですから、我々が中皮腫であるかないかという判断を確定的に決めなきゃいけないわけですが、実はそれは大変苦しい場面がたくさんあるわけですね。多分、中皮腫であろうというのもあれば、多分、中皮腫でないだろうというのもあるわけですね。それをコンピューター方式である、ないと2段階で診断をつけていく、あるいは決定していくというのは大変難しいので、やはり、ある程度カテゴリー分類といいますか、例えば5段階ぐらいにして、5は絶対そうだという、4は多分そうだと。3はどっちかわからないと。2は多分そうじゃないだろう、1は絶対違うというふうにして、我々の医学的判断が100%でないということも知っていただきたいというような気もします。
特に病理医、あるいは放射線科医は、総合判断ということをやっているわけであって、決してあるものを100%こうであるというふうには決めにくいわけですから、多少のグレーゾーンが残るのは、致し方ないわけで、そのグレーゾーンの扱いは、先ほどの石綿肺の議論にも多少出てきましたけれども、これからの議論だと思いますけれども、どういうところまでが救済可能なのかどうかというのは、また別の判断として、医学的判断とは別のところでやっていただくというシステムが、そろそろ必要なんじゃないかなと、この2年余りの経験で、つくづく、今、感じているところです。
以上です。 - 森永座長 中皮腫については、まだまだいろんな問題、課題があるということを、これは行政の方にももうちょっと認識を持っていただかないと困るというふうに、私からも一言言わせていただきます。
もう時間がありませんので、次回のことも含めて、委員の先生方から、先ほどもご提案がありましたけれども、改めて、委員の先生方から、次、どう進めていったらいいか、ご提案がありましたら、おっしゃっていただければありがたいんですが。 - 三浦委員 まずは先ほどありましたように、症例を、特に石綿肺ですね。症例をぜひ見て、そこで、全然ないのか、やっぱり、環境でも、こんなところにはありそうだとか、ある程度感触が、何もないと、この先進めないと思いますので、ぜひ、症例検討をしていただけたらと思うんですけれども。
- 森永座長 環境リスク調査は、そういう職業曝露の方も含まれていますよね、対象はね。ですから、一応、できるだけ全部見るという考えでいいんですか。それでいいですよね、どうでしょうか。
- 坂谷委員 はい、私が言いましたし、座長も特筆されましたけれども、既に資料が健康リスク調査、4地域ですけれども、あるわけでして、それを我々の専門家の目でもう一度検討して、現場での判断とどれぐらい乖離があるか、乖離がないか、その辺を検証する作業は、ぜひとも必要かと思います。
- 森永座長 ほかに提案ございますでしょうか。先ほど、岸本委員がおっしゃった文献の話ですね。これはもう例年やっているけれども、特に石綿肺について、早急に特化として、レビューもやりましょうということですね。
それから、ほかに意見はございませんでしょうか。どうぞ。 - 坂谷委員 メモの最後の4の現在の指定疾患の取扱いで、色囲いで肺がんが残っておりますが、皆さん、被害救済委員会のメンバーも多ございますので、お気づきだと思うんですけれども、肺がんが石綿粉じん吸入に起因するかどうかという判断で、画像上の所見があれば救うと。逆に、画像上の所見がなければ、はねられてしまうことがあるんですが、たまたまといいますか、肺内の石綿小体の計測をしてある、石綿繊維を計測してあって、それが基準値に達している症例というのが、そう稀ではないということを気づいております。
でありますので、救済の方の作業であって、肺がん全部にそれをするわけにはいきませんけれども、石綿肺の取扱いのところで、ギリシャでの学会の例を井内先生がおっしゃいましたけれども、やはり、石綿繊維あるいは石綿小体の計測を手軽にできるように普及をするという作業も、厚生労働省及び環境省両方が作業されるべきではなかろうかと、こういうふうに思います。 - 森永座長 それは具体的に言うと、非侵襲的な検査というのはBALになりますよね。
- 坂谷委員 そうです。
- 森永座長 それをもっとどんどんとやって検討すべきだと、こういうことですね。
- 坂谷委員 はい、そういうことです。
- 森永座長 はい、わかりました。
では、次回のスケジュールについては、資料4が出ていると思うんですけれども、今、委員の先生方からいろんな意見が出ました。それを反映させて、この資料4では、どういうイメージになりますか。 - 佐々木補佐 事務局の方から資料4に基づきまして、今後の検討のスケジュールでございますけれども、ご説明申し上げます。
本日は10月第1回の検討会ということで、左端でございますけれども、年度末、2ないし3月に何回目かの検討会を開催しまして、ここで冒頭ご説明申し上げました各種調査研究事業の中間報告的なもの、この中に文献レビューも含まれると思いますけれども、やっていければと思っています。そして、この間も適宜開催と書いてございますけれども、今し方先生方からご意見ございました健康リスク調査のレビュー、そういったものを入れ込みたいなというふうに考えております。
検討の全体でございますけれども、今から約1年間、来年の秋ごろを目途としまして、この検討会の報告書をお取りまとめいただきたいと考えておりまして、その結果は中央環境審議会へ報告させていただければと思っております。
そして、来年度へ入りましても、この間も適宜会議を開催してまいりたいと考えております。
以上でございます。 - 森永座長 それでは、委員の先生方からは、やはり、具体的な材料があるんだから、それをもう一度専門家の目で検証したいということですので、早急に委員の先生方のスケジュールを調整して、症例検討をこの検討会でやりたいと思いますが、よろしいですね、それは、事務局の方も。
そうしますと、今度は少し個人情報が入りますので、具体的にフィルムをシャーカステンで読影しないとだめということになりますので、次回は非公開でやらせていただくということになると思いますけれども、できるだけ早く、11月中にでも、まず、そういう検討会を持てるように、早急に日程調整をお願いしたいと思います。
時間がもうちょっと過ぎましたので、これで検討会を終了したいと思うんですけれども、事務局の方から何か一言ございますか。 - 佐々木補佐 今、スケジュールの話がございましたとおり、次回検討会につきましては、早急に日程調整をさせていただきまして、来月目途という形でしまして、また、皆様にご連絡を差し上げたいと考えております。
それから、次回会合につきましては、個人情報を扱う、そういった場になると考えられますので、非公開とさせていただきたいと思います。
以上でございます。 - 森永座長 ありがとうございます。
それでは、これで第1回の検討会を終わりたいと思います。ご協力ありがとうございました。
午後8時03分 閉会