- 日時:平成17年3月16日(水) 14:00~16:00
- 場所:経済産業省別館8階 817号会議室
- 議題
(1)第1回会合議事概要について
(2)実証試験要領(第3次案)について
(3)実証機関の募集・選定について
(4)今後の検討スケジュール(予定)について
(5)その他 - 出席検討員 藤田正憲(座長)、小坂幸夫、滝沢英夫、名取眞、宮崎章
- 配布資料
- 議事
会議は公開で行われた。
(1)第1回会合議事概要について
- 資料1に基づいて説明が行われ、修正すべき点がある場合、各検討員から事務局に連絡することとなった。
(2)実証試験要領(第3次案)について
- 事務局より、資料2、資料3に基づき説明が行われた。
【藤田座長】
- 試験要領にあまり大きな変更を加えていないようだが、質問があればいただきたい。
【宮崎検討員】
- 原則として実証対象機器の運転費用は、環境技術開発者が負担することになっている。原則に従わない場合(実証試験実施場所の状況に応じて)は、発生費用の一部を関係者間で協議して決めるということか。
【事務局(清水)】
- 実証機関のほか、受益者である設置場所の所有者も含めて協議して頂きたいと考えている。
【藤田座長】
- パブリックコメントの要はこの点にあると思われる。環境省の目的として、ほう素等排水処理技術の普及があることから、運転費用について再検討を行ってでも、実証試験の実績を積む必要があるということなのだろう。
- 山岳トイレし尿処理技術分野では、技術設置場所までの運搬費用を(実証機関を通じて)環境省負担としていたように記憶している。
【事務局(清水)】
- メーカーからのパブリックコメントは、「山奥の温泉地に実証対象技術を設置した場合、維持管理のための移動が大きな負担になる。実際の運転操作が簡単な場合、それを実証機関に委託したい」という内容だった。このような場合、運転や作業の分担にについて協議して頂きたいと考えている。
【藤田座長】
- 事務局による文言修正は特に問題ないだろう。
- (試験要領7ページについて)温泉経営者は、自分の排水特性について特に情報を持っていない場合を想定した修正なのか。
【事務局(清水)】
- 実証試験実施場所の情報を収集・整備するのは誰かと考えた場合、本技術分野では必ずしも環境技術開発者とはならない場合がある。そこで実施主体にこだわらない表現に修正した。
【名取検討員】
- (試験要領付録2について)実証試験を行う場合、目標水質の設定は、実証項目の設定とは別枠で行うものであろう。排水規制のレベルと、現在の処理技術のレベルは異なることが多いように思う。特にほう素処理技術の場合、全国一律の排水基準を達成できる処理技術は数少ないであろうから、目標水質の設定は重要な作業になるはずである。
【藤田座長】
- 資料3の試験要領8ページでは、「実証項目の設定」があり、表2に水質実証項目が示されている。ここで目標水質の設定を行うことになるのか。
【事務局(清水)】
- 目標水質の設定については、資料3の10ページで記述している。
【藤田座長】
- ある対象技術が選定されると、そこでその技術の目標水質も決定されることになるのか。そうであれば、名取検討員の指摘事項は、実証試験要領で十分検討されていることになるだろう。付録2に関する修正は、意味が通りやすくなるよう並べ替えることが目的か。
【事務局(清水)】
- ご指摘の通りである。
- 現在の試験要領では、目標水質設定の際の考え方を示す箇所を特に設けていない。目標水質の取り扱いに関する名取検討員のご指摘は重要であり、31ページの修正箇所は元のままとし、目標水質設定の過程が分かるようにしてもよいかと考えている。
【藤田座長】
- 目標水質の設定に関して項立てはあるのだが、「水質実証項目の実証試験」中に埋もれてしまって、なかなか目立たない。目標水質の設定がすぐわかるようにすべきであろう(元の表現に戻す)。
【宮崎検討員】
- (試験要領7ページの実証機関の情報収集等について)「排水温度等の影響で」という表現がある。これは、流入水を指しているのか。処理水、流入水、排水という用語が紛らわしい。
【藤田座長】
- 排出側からみた排水と、処理側からみた排水とでは、表現が異なる。文言を再整理してもらいたい。
【事務局(清水)】
- 試験要領全般について文言を見直したい。
【名取検討員】
- (試験要領の7ページ下から3行目について)。余剰汚泥は「廃棄方法」ではなく「処理・処分方法」とするのが適切であろう。
【藤田座長】
- 有機性排水処理技術分野における試験要領の用語を引きずっているのだろう。生物処理の場合は、余剰汚泥とするが、今回は物理処理なので、ただ単に汚泥もしくは発生汚泥としたほうが良いだろう。
- (試験要領7ページの「pH調整槽等排水処理施設」という表現について)前処理装置としたほうが紛らわしくない。これら装置が、実証対象機器本体に含まれないことを明確にすべきであろう。
【滝沢検討員】
- 最近の温泉では、循環濾過を行っているところがある。レジオネラ菌対策のために特殊処理を行っている場合もあるようである。そうした循環濾過装置に何らかの吸着剤が使用されている場合もあり、これがほう素を吸着してしまう可能性もある。
【藤田座長】
- 事業所(排水発生源)における水利用のフローを整理し、実証試験計画を策定する場合にはそれを考慮してもらう必要があるだろう。そのフローを考慮しながら、どのような流入水が実証対象技術に流れ込むのかわかるようにしておく必要がある。
【小坂検討員】
- 事業所によっては、様々な系統から排水が集まり、各工程で使用する薬剤も様々である。可能ならば、製品生産ラインについてもある程度、事前に情報整理する必要があるだろう。一方で、その事業所における代表的生産ラインを対象にした実証も重要であろう。
【藤田座長】
- そうした情報は入手が難しい場合もあるので、そこは実証機関が状況に応じて判断すべきであろう。実証機関がそのような検討をする際、どのような情報を集めるべきなのかわかる文言を試験要領で示せば問題ないだろう。全事項について、事前に決めて試験要領で示すことは難しい。
【事務局(清水)】
- (試験要領の7ページについて)実証機関が収集すべき情報の一つとして、新たに一項目設けて、「流入水の発生フロー」を追加すべきか。
【宮崎検討員】
- (資料2のパブリックコメントご意見③について)本実証事業の結果が、ほう素等の排水規制に関連した検討材料として使用されるのは困るとのコメントはもっともである。環境省は、実証開始にあたり、規制の方向性を明確に示しておく必要があるのではないか。この点を明確にしない限り、環境技術の開発者も実証事業に応募しづらいだろう。
【藤田座長】
- 宮崎検討員の発言は、資料2の5ページにおける対応案をより踏み込んだ表現にしてはどうかとの趣旨から出たものであろう。環境省の考えとしては、技術開発と規制を同時並行で進めていくという理解だったように記憶している。
【事務局(村山)】
- 処理技術なくして規制の方向性を定めることはできない。また一方で処理技術が存在するので規制を強化できるという話にもならない。経済性なども併せて検討しなければいけない。この度の技術実証をほう素規制の検討材料として直接用いる考えは特にない。
【宮崎検討員】
- (資料2の5ページにおける対応案について)現在の回答を聞くとよく理解できるが、資料2の文章だけではその趣旨が伝わりにくいようである。資料を修正するならば、本事業において技術の普及を図った後、経済性やその他の要素も検討しながら、ほう素規制について検討する旨を明示してはどうか。実証試験要領ではないものの、この資料は公的に残る。
【藤田座長】
- 環境技術実証モデル事業の各技術分野のうち、例えば、小規模有機排水処理技術分野における実証ニーズは極めて高い。自治体でも独自の規制を打ち出しながら、メーカーもそのマーケットを意識しながら製品を出している状況である。それと比べると、本技術分野は市場が未熟であり、メーカーでも規制の方向性について確認しておきたいという意識が出てくるのであろう。
- 個人理解としては、本モデル事業の目的は「優良技術の育成」にあると考えている。パブリックコメントを寄せた方の「技術レベルの比較検討材料に用いられる」という懸念は無用であろう。「技術の育成」という目的をメーカー側に正しく伝えることが重要である。
【藤田座長】
- 細かい文言修正は事務局に一任するので、その結果を最終とりまとめとし、試験要領の確定版を公表してもらいたい。
(3)実証機関の募集・選定について
- 事務局より、資料4、資料5、資料6に基づき説明が行われた。
【藤田座長】
- 参考資料1を参照頂くと、そこで「実証機関選定の観点」が示されている。これらを具体化したものが資料5と資料6になる。
- 本技術分野では、地方公共団体以外のNPOや公益法人も実証機関になることができる。
【宮崎検討員】
- (資料4の「5.応募資格」、「6.その他」について)「6.その他」では、「分野毎にその実証試験結果等を踏まえ、各ワーキンググループでの検討の結果、地方公共団体に加えて、別途・・・可能性があります」となっている。本技術実証分野では、まだ実証を行っていない。NPO法人や公益法人を応募資格の対象に含めるかどうかは、実証試験結果等を踏まえながら、ワーキングで検討することなのではないか。
【事務局(安部)】
- 本技術分野は、平成16年度開始分野であり、平成17年度は2年目となる。本モデル事業実施要領によれば、1年目は地方公共団体を対象に募集し、2年目はNPO法人や公益法人まで対象を拡大することとなっている。この3月15日付文書のうち「実証試験結果等を踏まえ」という表現は、ホームページ掲載時に削除させて頂きたい。
(4)今後の検討スケジュール(予定)について
- 事務局より、資料7に基づき説明が行われた。
- 事務局より、全検討員に対して引き続き就任が依頼された。
【滝沢検討員】
- 先ほどの話に戻ってしまうが、実証試験実施場所となり得る温泉事業者が、本事業を全く認識していないのが実情である。温泉事業者のなかには、本事業をほう素規制の強化に関連づけた事業だと誤解している者もいる。最終的には事業者にとっても利益となることを強くアピールしていかない限り、本事業の実施に障害が出るのではないかと感じている。
【藤田座長】
- 開発者側に浸透していてもユーザー側に浸透していないという問題は確かにあるだろう。通り一遍では難しいと思うが、色々な情報伝達チャンネルを通じて、情報を提供していく必要がある。
【事務局(村山)】
- 水濁法排水基準に係る暫定基準の見直し検討を平成16年の初めごろ行った。この際も地方の温泉事業者より「規制の存在をはじめて知った」などとの意見が寄せられた覚えがある。都道府県へ通知を行う際、都道府県によるこの事業の周知依頼も行いたいと考えている。
- 実証試験実施場所となる事業者の方々に対しては、事業に関する誤解が生じないよう環境省からも協力要請を行っていきたい。
【宮崎検討員】
- 本事業では、温泉排水及びめっき排水を対象にした処理技術の実証を目的にしている。おそらく、温泉事業者よりは、めっき事業者のほうが排水処理の事情に通じているだろうし、ほう素規制に関しても危機感を持っているだろう。彼らも良い技術の育成には協力したいと考えているようである。ただ、自分たちが実証に協力することで、暫定基準から一律基準の適用がなされるということであれば、やはり協力の際に躊躇してしまうだろう。
- この事業は、事業者(排水発生源)にとっても有益なことなので、事業趣旨の説明を入念に行う必要がある。本事業の実施によって、暫定基準から一律基準をすぐに適用するものではないことを理解してもらう必要がある。そうしなければ、実証試験実施場所の提供を受けることは難しいだろう。
【滝沢検討員】
- 温泉排水におけるほう素規制の問題を温泉事業者が知ったきっかけは、公文書などからではなく、週刊誌であったりすることが多い。全旅連(全国旅館生活衛生同業組合連合会)など、これまでとは異なるルートでの情報発信を行って頂きたい。
【藤田座長】
- 中小事業者における経営が厳しい実情は理解できるが、環境保全の重要性も理解してもらう必要がある。理解してもらいながら前に進む方法を検討していく必要がある。
- 本事業における当面の問題は、実証試験実施場所の提供如何であろう。環境省としては、他組織の協力を仰ぎながら、実証機関と二人三脚で周知・調整を行ってもらいたい。
- 実証体制をここまで整えながら、応募技術が皆無になってしまうことは避けたい。そもそもほう素規制は何のためにあるのかと感じてしまう。
- 実証試験結果は最終的に環境省のホームページで掲載されることとなる。本技術分野には、複数業種を対象としており、実証機関も複数出てくる可能性もある。実証試験結果報告書のフォームが同一となるように、環境省と実証機関の間で十分な調整を行って頂きたい。
【小坂検討員】
- 地方公共団体へ通知する際、本庁の環境部局だけでなく、工業試験所等へも連絡をしたほうが良いかも知れない。
- 環境部門から産業部門に連絡があった際、なかなか結論を出しにくい場合もある。産業部門でもこうした連絡を事前に受けていれば、それなりの準備をすることが可能である。実証機関を確保するためには、そうした工夫も行って頂きたい。
【宮崎検討員】
- めっき排水に関しては、環境部局よりも工業試験所のほうが熱心だろう。
【藤田座長】
- 主張はわかってもらえると思う。環境省の方で工夫してもらいたい。
【小坂検討員】
- めっき業界もほう素規制で悩んでいるところである。暫定基準の延期を行って欲しいという気持ちもありつつ、処理技術の開発を進めて欲しいという気持ちもある。なかなか良い技術は出てこないのが実情だが、それでもいくつかのメーカーが開発を行っており、東京都下水道局などがモデル排水を用いた実証試験を行っている。だが、その結果はあまり世間に知られていない。
- 排水処理技術メーカーから見れば、公的資金で実証できることは良い機会のはずである。メーカーにもしっかり周知すれば、応募技術の数も増えることだろう。
【名取検討員】
- ほう素排水の処理技術については、開発実績が大変少ない状況である。色々なメーカーに問い合わせてもほとんど実績がない。その意味では、こうした実証試験の意義は大きいと考えている。
【藤田座長】
- ユーザーもメーカーも中小企業であることがほう素規制を進めていく上でのネックになっているかも知れない。環境省も色々なかたちで支援を行っていく必要があるだろう。
(5)その他
- 事務局より、実証試験要領を3月中にとりまとめ、次回検討会が、平成17年度5月頃に、実証機関として応募した組織を招聘し、非公開で行われる旨、説明された。
(以上)