環境省水・土壌・地盤環境の保全

平成12年度有明海海域緊急環境調査報告書(概要版)

平成13年3月
環境省水環境部

目次

  1. 調査目的
  2. 調査概要
  3. 主な調査結果の要約
    (1) 水温・塩分
    (2) 水質
    (3) 底質
    (4) 植物プランクトン
    (5) 底生生物(マクロベントス)

1. 調査目的

 複数の県にまたがる広域な閉鎖性海域である有明海において、ノリの不作が大きな問題となっており、水産庁において有明海ノリ不作対策緊急調査が実施されているところである。環境省として、今回、水産庁の調査と協力連携して有明海の水質、底質等の状況について、緊急に調査を行うものである。

2. 調査概要

 現在関係4県において行われている水質モニタリング(水質汚濁防止法に基づく水質の常時監視等)に加え、底質、底生生物等いくつかの追加の調査項目を実施した。
 また、有明海全域を対象に環境基準点から24地点を選定し()、水質、プランクトン、底質、底生生物等の調査を実施した。
 調査日時は、平成13年2月23日〜24日の2日間である。

3. 主な調査結果の要約

(1) 水温・塩分
 湾奥ほど水温・塩分が低い傾向にあり、湾奥から湾央にかけての海域では緩やかな成層が形成されている。また、諫早湾奥部では水温は高く塩分は低い傾向にあり、ここでも緩やかな成層が形成されている。
(2) 水質
  • 無機態栄養塩(窒素及び燐)は、熊本県の白川河口部地先と湾口部、湾奥部の一部の地点を除いて定量下限値以下の極めて低い値となっていた。
  • SiO2-Si(溶存態のシリカ)は、熊本県の地先海域で最も高く、諫早湾と湾口部でも比較的高い値が見られたが、それ以外の地点では0.05mg/L以下と低かった。
  • クロロフィル−aは、湾奥部で20μg/Lを超える地点も見られ、赤潮に近い状況といえる。
  • DO(溶存酸素)は、赤潮に近い状態を反映してほとんどの地点で9mg/Lを超えており、全地点の上層・下層ともに飽和度は100%を超えていた。
 これらの結果は、珪藻プランクトンの大量発生によって海域の栄養塩が減少し、ノリの生育不良を招いたことを裏付けるものとなっている。
(3) 底質
  • 底質は、湾奥部及び諫早湾で中央粒径が細かく、強熱減量、COD及びTOC等で示される有機物も高い傾向が認められた。
  • 強熱減量は1.8〜11.3%であり、10%を超えるのは湾奥西部と諫早湾内の地点であった。
  • 酸化還元電位は、湾奥部などの地点で低かったが、硫化物は、筑後川河口地先や湾奥西部、そして諫早湾の地点で高い傾向にあった。酸化還元電位が高いほど、硫化物は少ない関係にあった。
  • 全窒素は湾奥西部で最も高く、2mg/g・dryを超える地点が3点みられ、全燐は、湾奥部、諫早湾、熊本地先海域で高く、0.5mg/g・dryを超えていた。
(4) 植物プランクトン
  • 優占種はいずれも珪藻類であり、瀬詰崎沖の下層を除く、全ての調査点でSkeletonema costatumRhizosolenia imbricataEucampia zodiacusが優占していた。優占種の内、Skeletonema costatumEucampia zodiacusは、過去にもたびたび有明海で大規模な冬季赤潮を引き起こし、ノリの色落ち被害を引き起こしている。
  • 水平分布状況をみると、全体の細胞数合計は湾奥で多く、湾口で少ない傾向がみられた。各優占種の分布傾向も同様であったが、今回ノリの色落ちを引き起こしたといわれているRhizosolenia imbricataは比較的均一に分布していた。
(5) 底生生物(マクロベントス)
  • 底生生物(マクロベントス)は、各調査点で11〜64種類、個体数は229〜5,636個体/m2であった。
  • ゴカイ等の環形動物の占める割合が高い調査点が多かったが、最も個体数の多かった湾奥部の調査点A-2では軟体動物の占める割合が高く、そのうち95.0%をサルボウガイが占めた。
  • 湿重量は、各調査点で1.07〜5,524.42g/m2の範囲であり、調査点によってかなりのばらつきがみられた。

 調査地点(図をクリックすると大きくなります)