環境省水・土壌・地盤環境の保全土壌関係中央環境審議会等における検討中環審答申及び検討会土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会

土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会(第1回)会議録


1.日時

平成12年12月19日(火)10:00~12:00

2.場所

虎ノ門パストラル本館7階 やまぶき

3.議題

(1)公開の取扱いについて
(2)土壌汚染問題の現状と土壌環境保全対策の取組状況について
(3)土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討の進め方等について
(4)その他

4.出席者

(委員)
大塚 直 委員 河内 哲 委員 嶌田 道夫 委員
高橋 滋 委員 谷川 義夫 委員 中杉 修身 委員
野口基一委員(岸川神奈川県大気水質課課長代理代理出席)
林 裕造 委員 原田 尚彦 委員 松村 弓彦 委員
(細見 正明 委員、吉田 文和 委員は欠席)
(事務局)
遠藤 保雄 水質保全局長
長尾 梅太郎 水質保全局企画課長
伊藤 洋 水質保全局土壌農薬課長
小沢 典夫 水質保全局水質管理課長
齊籐 眞 水質保全局企画課地下水・地盤環境室長他

5.配付資料

資料1-1 土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会委員名簿
資料1-2 土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会開催要領
資料1-3 土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会の公開の取扱いについて(案)
資料1-4 土壌汚染問題の現状について
資料1-5 土壌環境保全対策の取組状況について
資料1-6 土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討の進め方等について
参考資料1-1 市街地土壌汚染対策の課題と当面の対策(土壌環境保全対策懇談会中間報告)
参考資料1-2 平成10年度土壌汚染調査・対策事例及び対応状況に関する調査結果の概要(平成12年3月環境庁水質保全局)
参考資料1-3 土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会の開催について(記者発表資料)
参考資料1-4 本検討会の開催に関する新聞報道等について
参考資料1-5 省庁再編に伴う土壌環境保全対策関係組織の改編について

6.議事

【事務局】 ただいまから土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討会(第1回)を開催する。まず、水質保全局長から御挨拶申し上げる。

【水質保全局長】 (挨拶)

【事務局】 ここで報道関係者には御退席をお願いする。(報道関係者退席)
 第1回目の検討会であるので、資料1-1の委員名簿の順に事務局より委員を御紹介をさせていただく。(委員の紹介)
 次に事務局を紹介させていただく。(事務局の紹介)
 配付資料の確認をさせていただく。(配付資料の確認)
 引き続き、検討会の設置について説明する。(資料1-2について説明)
 資料1-2の開催要領の4にある検討会の座長について、選出をお願いする。座長は委員からの互選により選出されるが、どなたか御推薦はないか。

【A委員】 原田委員に座長をお願いするのが良いと思うが、いかがか。

【事務局】 今ほどA委員から、原田委員にお願いしてはいかがかという御意見があったが、他の委員方に御意見はないか。(異議なし)
 では、座長を原田委員とし、議事進行をお願いする。

【座長】 (挨拶)
 議事に入る前に座長代理の指名をする。開催要領では、座長が座長代理を指名することになっており、嶌田委員に座長代理をお願いしたいが、いかがか。(異議なし)
 では、議事に入る。まず、公開の取扱いについて、事務局から説明をお願いする。

【事務局】 (資料1-3について説明)
 事務局案としては、[1]会議は非公開、[2]会議資料は原則として公開とし、非公開を前提として収集したデータが記載されている、あるいは関係者と調整中といった資料は座長の判断に基づき「委員限り」という旨の記載をし、非公開、[3]会議録は出席した委員の了承を得た後、発言者の氏名を伏せて原則として公開としたい。

【座長】 検討会の公開の取扱いについて事務局案が説明されたが、御意見等あるか。(意見なし)
 では、事務局案どおりの取扱いとする。
 次に、議題(2)土壌汚染問題の現状と土壌環境保全対策の取組状況について、事務局より説明をお願いする。

【事務局】 (資料1-4及び資料1-5について説明)

【座長】 では、ただ今の事務局の説明について、委員から御質問、御意見、補足説明等あれば御発言いただきたい。

【B委員】 資料1-4について、何点か質問がある。まず3ページに、土壌汚染判明事例が土地所有者の調査により平成10年度に急に増加したとあるが、報告の増加によるものか、調査の増加によるものか、その理由が微妙だと思う。10年度以前にも調査されていたものの報告されていなかったが、最近になって公表されるようになって判明件数が増えたのではないかという感じがする。
 それから、4ページの表4について、廃棄物処分場跡地という分類があるが、これは具体的にはどういうものか。廃棄物処分場で廃棄物があるところを掘り出せば土壌環境基準は当然超えるので、これがどういう意味合いを持っているのか、わかればお教えいただきたい。
 次に7ページの1.超過事例数の多い業種について伺う。化学工業のVOCが4事業所となっているが、2.「1.」のうち、地下水・伏流水汚染を生じていたものを見ると化学工場のVOCが6事業所とある。地下水汚染だと増加するのはどういうことか。これは土壌としては環境基準を超過していなくても、地下水基準を超過する事例があるのか、あるいは記載ミスなのか。
 8ページの図4では、汚染深度は大体5メートルということだが、実際にはどのぐらいの深さまで調査されているのか。深さはそれほど深くまで調査されていないと思う。だから、5メートルのところが多いということにならないか。調査事例でどこまでの深さまで調査したということを把握しないとはっきりわからないのではないかと思う。
 11ページ以降にある事例の1、2、3、4の全てについて、(5) 汚染規模の最高濃度とは、溶出試験の溶出液の濃度ということか、確認したい。

【事務局】 それでは順に説明したい。
 まず、3ページの平成10年度に判明事例が増加した原因については、この時期に大規模な地下水汚染等が判明した事例を受けて企業等の自主的な調査が始まっているということと、「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針」を作成する動きもあったということ等により、調査・報告ともに増加したと考えている。
 4ページの廃棄物処分場跡地については、これはおそらく、処分等の跡地と知らずに土地の改変を行い、掘って初めて処分場だったと判明した事例が入っていると考えている。
 7ページの件数については、詳細な数字は調べてみないとわからないが、B委員の御指摘のとおり、地下水のみの事例が含まれて数字が増えている可能性があるので、確認をさせていただきたい。
 8ページの深度については、基本的には汚染が見られなくなる深度まで測定することにしているが、浸透力が弱く、比較的土壌に吸着されるような重金属については5メートルの範囲ぐらいまでにとどまっていると考えている。
 また、汚染の最高濃度はすべて溶出液の濃度である。

【座長】 他に質問等あるか。なければ次に進むが、必要あればまた後日御質問いただきたい。
 それでは、議題(3)土壌環境保全対策の制度の在り方に関する検討の進め方等について、事務局に説明をお願いする。

【事務局】 (資料1-6について説明)

【座長】 説明に対する御質問、補足意見、あるいはこういう点も加えて議論してはどうかといったこと等について、御検討いただきたい。

【B委員】 検討課題中に盛り込まれているか明確ではないが、気になる点を幾つか申し上げる。
 最初に1の土壌汚染の環境リスクのとらえ方がポイントになるかと思う。その理由は、作った制度が実効性のあるものになるかどうかについては、単に環境基準を適用すれば済むということにはなかなかなりにくく、社会的な要請と環境基準とが必ずしも一致するものではないからであり、その点を考える必要があるだろう。
 後者については、土壌環境基準の達成に向けて淡々と対策をするのか。実際には先ほど質問したとおり、土壌環境基準を達成しても地下水は浄化されないことが起こり得るが、社会的視点からは、究極には地下水が浄化されなければ土壌が浄化されたことにはならないと考えられてしまう可能性がある。その点をどのように整理するか。また、ここでは発動要件として挙げているが、これと別に考えた方が良いのが処理目標である。処理目標と発動要件とは、結果的には同じになるかもしれないが、異なる意味を持つと思う。
 その関連でもう1点申し上げる。土壌・地下水汚染の場合には処理対策とは何なのかという点が、非常に問題となってくる。処理目標をなかなか達成できずに時間がかかっている場合、そこまで続けている対策の中身は何なのか、この点を議論をしなければ、実効性のある形には結び付いていかないのではないか。
 もう1点は、将来的なことを考えると、浄化対策の重複、すなわち規制項目の増加への対応をどう考えるかということである。例えば、土壌環境基準の項目が増えると、ある物質に対する処理を実施した土壌に対して、別の物質に対する処理を行わねばならないこともある。汚染土壌を除去する場合は良いが、その他の対策の場合にはそういったことが起こり得る。これに対して何か措置ができないかということが検討課題になると思う。具体的には、現在、水質環境基準に対応して要調査項目及び要監視項目が設けられている。しかし、現在、土壌にはそういったものはない。そういう項目をどのように考えるかということも含めて検討することによって、実効性ある対策になっていくのではないか。
 それから、多分土壌汚染のリスクを抑えるという意味で一番重要なのは、浄化ではなく、汚染の有無をいかに把握するのか、それを社会的に把握するのかである。業者が把握するのではなく社会的にいかに把握するのかという仕組みをどのように作るかという点が、おそらく最も重要だろう。そういった点は、多分2.や4.に盛り込まれているのだろうが、これを中心に第一に考えるべきではないかと考えている。

【座長】 ただ今の御指摘は当然踏まえて議論し、各委員に御意見を伺うことになると思うが、有益な御指摘であるから、事務局でも論点を整理しておいていただきたい。
 1及び4については、先行している検討会等で骨組みを作り、それをこの検討会でそのまま了承するというものではないだろう。これらの検討会が出した結果について、また別の角度からここで議論するということである。将来的な話だが、それぞれの検討会で、この検討会であまり意見がつかないような良い成果が上がれば、非常によいと私個人は思う。

【C委員】 B委員が指摘されたリスク管理については、「土壌の含有量リスク評価検討会」で検討されているとのことだが、地下水については飲用として使っているか、この暴露の場合にはこういうリスクがある、といった点が処理目標にかなり関わってくるので、それを検討するような体制が必要なのではないか。

【土壌農薬課長】 ただ今の御指摘は、おそらく今回の検討会の中でもかなり重要なポイントだと認識している。前回の「土壌の含有量リスク評価検討会」でも事務局から提案させていただいたが、ダイオキシン類対策特別措置法で初めて扱った直接暴露、いわゆる土壌の人体への直接影響といったリスクについて、この検討会では新たにアプローチを始めた。
 一方で、従来の土壌環境基準は、いずれも溶出基準という形で地下水を介しての影響を見ている。すると、今回このように制度を考えていく際に、地下水を飲用するかどうか、その他の用途に用いるかという議論が必ずでてくる。
 また一方で、直接暴露については、ヨーロッパ等の諸外国の例を見ると、含有量そのものを扱っている。含有量との関係や溶出量との関係等いろいろ整理すべき事項があるため、その点を「土壌の含有量リスク評価検討会」である程度整理したものを提示し、これを御議論いただきたいと考えている。

【C委員】 対象とする地域は市街地だということだが、市街地という定義は何か。結局は、今回議論するのは、工場等も全て含めて検討するという理解でいいのか。

【土壌農薬課長】 開催要領にも市街地という言葉はたびたび出てくるが、ここで用いた「市街地」という言葉は、きちんと定義付けされている訳ではない。当方が従来から対応してきた市街地ということであり、端的に申し上げると、農用地以外で問題になるようなところということである。C委員御指摘の工場や、様々な汚染地の事例を本日御紹介したが、それらを幅広く考えているということである。

【B委員】 先ほど目標の話について追加したい。目標を設定すれば、達成期間をどうするか。土壌の場合は比較的速やかに目標を達成できるのかもしれないが、特に地下水について一緒に考える場合は、達成期間をどうするか非常に難しい。定めるのが難しく、「可及的速やかに」ということになってしまうのかもしれないが、その点をどう考えるか。そして、処理目標と達成期間をどう考えるか。達成期間中の処理対策はどうするか。これによって、随分実効性が違ってくるだろう。実効性がなければ、最初の汚染の存在の社会的な把握が妨げられることになる。後者は比較的緩くというと語弊があるが、過大な負担にならなければ、汚染の存在を社会が把握できる。社会が把握できればそれに対応する手段を得ることができる。汚染を知らずに暴露されるのが一番怖いことなので、それを何とかなくすのがまず第一であろう。

【座長】 ただ今の御意見は、基準の実現期間といったものか。

【B委員】 それを環境基準にするのかについては、処理対策の中身によって違ってくるだろう。究極はもちろん環境基準である。しかし、処理対策にかなりコストを費やして積極的に処理するうちに長期的には徐々に効率が落ちてくる。その場合、コストをかける対策を少しずつでも進めねばないとすれば非常に過大な負担となる。最終的なゴールは環境基準を達成することだろうが、その処理対策のゴールという意味での処理目標が必ずしも一致するかについては、これからの議論次第だと思う。

【水質保全局長】 御指摘は、我々が非常に悩んでいる核心を突いている。その理由は、この土壌問題についての一番の問題は対策にかなり費用がかかることだとの考えが潜在的に皆様のベースにあり、そのため非常に高い理想を掲げれば、費用がかかるために問題が全て地下に潜ってしまうことになるからである。
 しかし、一方で、ただ今のB委員の御指摘のとおり、放置すれば健康へのリスクがどんどん高まっていくという大問題を抱えている。したがって、健康リスクを現時点から極力軽減させるシステムを、どのようにして社会に受け入れられる形で定義するかということが、我々に求められている課題ではないか思う。
 したがって、そういったことを念頭に今、規制改革委員会から、溶出基準ではなく直接暴露の観点からの基準設定を指摘されている。そうなればより現実的な手段が出てくるかもしれないという仮説で問題が提起されているのではないかと思う。それを具体的にどういう地域に、どういう水準で適用するかについては、別の委員会において、最低限の健康被害が生じないという基準をつくらなければいけない。しかし、その場合に何を介して健康被害が起こるかというと一つは地下水である。一方で、地下水のない地域でも地下水を基準とするのかという議論も当然ある。したがって、そのような現実の場にどういう形で適用するのかということが非常に重要になってくるのではないか。
 加えて、そこで健康リスクの基準が仮にできた場合に、ではそのリスクをどのように軽減していくか。対策、目標、あるいは期間というものは費用との兼ね合いになってくる。それらを現実的にどのように組み合わせていくのか。こういう方程式を解かねばならない。このように考えているが、実際にどう組み合わせるかについては、委員方のこれからの議論を踏まえつつ、一つ一つ整理していきたい。

【座長】 水質や大気であればかなり理想的な環境基準でも、あらゆる手段をその実現に向けていかねばならない。土壌の場合は環境基準が一応あるが、それと対策基準といったものとは多少違いがあるかもしれない。その対策基準を現実的にやっていなくてはならないが、それは土地の用途別に変わってくるのか、その他まだまだ細かく議論するところはある。そういうことを念頭においてここで検討しようという理解でよろしいか。

【水質保全局長】 答えを今から想定するのは問題かもしれないが、従来の公共関与型のスタイルとして農用地土壌汚染防止法とダイオキシン類対策特別措置法があり、この場合は対策基準イコール環境基準だった。しかし、今回検討するものについては、もっと弾力的な対応が必要になるかもしれないという前提は置く必要があるのではないだろうか。

【座長】 ただ今の御発言は問題提起であり、賛成・反対意見を求めるというものではない。様々な議論の種にしようということで、御意見等あるか。

【D委員】 資料の1-6の「[1]主な検討課題」の「2.汚染地の把握と土壌汚染の調査の在り方」に、「土壌汚染の調査の信頼性の確保方策」とあるが、調査の主体がどこにあるかによって、このことは絶対に必要な事項である。例えば、医薬品や食品の安全性の問題に関しては、調査あるいは研究の主体がメーカーであった場合、その信頼性の確保については非常に大きい問題がある。同様に、もし調査の主体が土地所有者の場合には当然問題になってくるだろうから、信頼性確保の方策はかなり重要だろう。特に最近は遺伝子組み換え食品の安全確保に相当するものは一番大きな問題になっている。もし本当にこれを取り上げるならば、かなり何かすっきりしたことを考えないとまずいのではないか。

【B委員】 D委員がその問題提起をされたので、先ほど地下水をどう考えるかという話をした真意について追加する。土壌の汚染の調査は実は1,000m<SUP>2</SUP>に1カ所測定することになっている。資料1-4を見ると約半数の事例は1,000m<SUP>2</SUP>以下である。ということは1,000m<SUP>2</SUP>ごとの調査では汚染地が見つからない可能性が十分にある。費用の問題もあってそのようにしているのだが、調査の信頼性は、実際にもう少し暴露を考慮した上で、あいまいさを担保していかなければならない。そういう意味では、地下水調査も一つの補完になるし、土壌が粉じんで巻き上がることが問題になるならば、大気等を測定して補完するといったことが必要になってくるだろう。だから、土壌汚染の調査の信頼性は非常に難しい。掘り出した途端に土壌は地下にある状態とは異なることになる。そうは言いながら、一応こういう形で調査したものを環境基準として定めているので、そのあいまいさをいかに補完するかという点も頭に入れて対策要件等を考えていく必要があるだろう。

【E委員】 非常に技術的な話だが、台風等で気圧が低くなるとVOCが蒸発して大気に出てくるという話を聞いたことがあるが、今のB委員の御意見との関係で、大気に巻き上がる場合に、単に土壌汚染だけについて対策基準等を今後考えていくということだけでいいのか、あるいは大気の基準でもそういった検討をされているのか、あるいは既に含まれているのか、事務局にお伺いする。

【事務局】 少なくともトリクロロエチレン等については、大気の環境基準がある。また、近い将来、おそらく水銀等も含めて大気に関する様々な有害物質の指針をつくり始めるだろうと思う。当方としては、まず大気の基準があってほしい。その上でいろいろと土壌が発生源になり得るのかといった議論をしっかりしなければいけないだろう。
 ただ、今年度については先ほど申し上げたとおり、土壌の含有量リスク評価検討会ではまず重金属から始めたが、できればこの後にVOC等の分野に移って、また御検討いただこうと思っている。そこも一つの大きな部分であろう。土壌をその発生源とみなす必要があるのかということについて調査をした上でまた御議論をいただこうと考えている。

【F委員】 それと関連で資料1-4の5ページで、悪臭、大気汚染の影響がいわゆる重金属等でも出てきているが、かなり基準を超えたというような事例で、どういう事例が出てきているのか、教えていただきたい。

【事務局】 詳しい資料が手元になく、推測なのだが、重金属で悪臭、大気汚染が出てきているのは、必ずしも重金属が原因となっているものではなく、同時に例えばごみが埋められていたとか、あるいは何かにおいのある揮発性物質が一緒にあったとか、そういうことで発生した事案だと思われる。

【D委員】 先ほど申し上げた調査の信頼性というのは、技術的な信頼性と社会的な信頼性の二つあるが、私は後者の方を申し上げた。実はこういう調査の後の評価の場合、根拠に基づく評価になると思うが、実際は根拠だけで評価しているわけではない。遺伝子組換え食品の場合もよく突き詰めると、いろいろな概念とか、初期値をかなり取り入れて評価している。この場合に、その概念や初期値をなぜ行政が取り入れたのかという説明がなく、一般の方々の大きな疑問になる。それが非常に大きな問題である。
 例えば、遺伝子組み換え食品の場合、しばしば使っているのが実質的同等性(sub-stantial equivalence)である。すなわち、従来ある食品と全く同じものであるということを前提として評価している。しかし、実質的同等性という概念を、これから評価しようとするものについて取り入れてよいかということについての判断がきちんとなされておらず、非常に大きな問題になっている。似たようなことがここでもあるのではないかと思い、先ほど申し上げた。

【土壌農薬課長】 社会的な信頼性については、主な検討課題の土壌汚染の調査の信頼性の確保方策について盛り込む際に事務局でも議論したが、D委員の御指摘にあった遺伝子組み換え食品と同様に、いろいろ考えねばならないことは事実だと思う。しかし、先ほどB委員からの御指摘にあったように、1,000m<SUP>2</SUP>で調査した場合に漏れがある可能性がある。おそらく、全部ネットワークを組んで、精緻に調査しても漏れはあり得ると思う。しかし、最初の水質や大気でいう常時監視的な調査を一生懸命やると非常に膨大な経費と行政コストがかかるため、その辺をどうするか。むしろ、そのようなところで仮に異常が出た場合に後で補完的な精緻な調査をやる際にどうするかとか、そういった組み合わせや、どういう主体が行うか等についても、この検討会でいろいろ御議論いただきたいのでよろしくお願いする。

【座長】 では、議題(4)その他(次回以降の日程調整等)について事務局より御説明をお願いする。

【事務局】 次回以降の年度内の検討会の開催予定については、各委員から日程調整表をいただいており、これに基づいて本日御欠席の委員の日程も確認の上、座長と御相談し、年内にも御連絡差し上げたい。
 また、参考資料1-5にあるように、来年1月6日に環境庁が環境省になり、それに伴って事務局を担当する水質保全局土壌農薬課も新たに環境管理局水環境部土壌環境課となり、第2回以降はその体制で臨むことになる。

【座長】 それでは、本日の会議資料の取扱いについてだが、特に非公開の必要がある資料はないと思われるため、いずれも公開扱いでよろしいのではないか。(意見なし)
 では進行を事務局にお返しする。

【事務局】 以上で第1回の検討会を終了する。

-以上