環境省水・土壌・地盤環境の保全水環境関係今後の水環境保全に関する検討会

今後の水環境保全に関する検討会(第2回)議事録


1.日時:
平成21年10月26日(月)16:00〜18:10
2.場所:
中央合同庁舎第7号館共用会議室1
3.出席委員:
浅野直人、石原道男、及川 勝、大木貞幸、太田信介、奥村 彰、
   笠松正広、須藤隆一(座長)、中杉修身、平沢 泉、福岡捷二、
   眞柄泰基、森田昌敏
環境省: 
鷺坂水・大気環境局長、伊藤水環境担当審議官、木村総務課長、
森北水環境課長、田中土壌環境課長、大友農薬環境管理室長、
是澤地下水・地盤環境室長、富坂水環境課課長補佐     ほか
4.議題
(1)水環境保全に関する課題について
(2)その他
5.議事録

【富坂水環境課課長補佐】 定刻となりましたので、今後の水環境保全に関する検討会(第2回)を開催させていただきます。
 本日、水環境課長の森北は所用により1時間ほど遅れることになっております。私、水環境課の富坂が事務方の進行を務めさせていただきたいと思います。
 本日、13名の委員に御出席いただく予定でございます。何名か遅れてくるという連絡をいただいております。
 前回御欠席の委員で今回初出席となられる委員がいらっしゃいますので、ここでお名前だけ御紹介させていただきたいと思います。
 笠松正広委員でございます。
 それから、遅れてくると連絡がございました平沢泉委員でございます。
 眞柄泰基委員でございます。
 続きまして資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と配布資料一覧に続きまして、資料1が委員名簿でございます。
 資料2が設置要領でございます。
 資料3−1が第1回の議事録の案でございます。
 資料3−2、「第1回検討会における意見を踏まえた課題等の整理」でございます。
 資料3−3はその課題・論点の整理でございます。
 それから資料4−1から資料4−13までお配りしております。
 不足等がございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
 それでは、資料3−1にあります前回の議事録(案)でございますが、委員の皆様には事前にお送りし、御意見を反映させたものでございます。さらに訂正等お気づきの点がありましたら、本検討会終了後に事務局に御連絡いただきたいと思います。
 事務局からは以上です。
 それでは、須藤座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

【須藤座長】 かしこまりました。
 大変天候の悪い中を御遠方からお集まりいただきましてありがとうございます。また、時間も調整の結果、16時という時間で、これも大変御迷惑をおかけしたのではないかと思いますが、なるべく多くの皆さんが集まれる時間帯ということで事務局にお願いしておりますので、どうぞお許しをいただきたいと思います。
 本日も大変たくさんの傍聴の方においでいただきまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 本日の議題は、ただいま事務局からお話がございましたように、水環境保全に関する課題ということで、前回に引き続いてこの議論をやっていくということでございます。2時間という限られた時間でございます。後で進め方等についてお話がありますが、私といたしましては、説明は1時間ぐらいにとどめていただいて、前回と同様にできれば一渡り委員の先生方にもう一回、今日の説明を踏まえて御意見を伺いたいと思っております。前回は浅野先生の方からお願いしたと思いますので、今回は、まだ森田先生がいらっしゃっていないので、眞柄先生の方からでも回っていきたいと思いますが、後半はそれぞれの先生からお話をいただければと考えております。
 それでは、議事に入ります。事務局から、まず本日の議論の進め方及び資料の説明について、富坂補佐、お願いいたします。

【富坂水環境課課長補佐】 本日の進め方について事務局から御説明申し上げます。
 本日は、旧水質2法が施行されてから50年間の設置策の評価と、それを踏まえた考察及び前回の検討会において各検討委員の皆様からの御指摘等を踏まえまして、事務局のほうで具体的な検討課題を整理させていただいております。資料3において課題・論点の整理をしております。資料4の各パーツにおきまして個々の課題についての資料を用意させていただいております。事務局からそれぞれの資料について簡単に御説明させていただいた後、御意見や御提案をいただきたいと思います。
 それでは、まず資料3−2、3−3に基づきまして、前回の意見、課題等の整理について御説明させていただきたいと思います。
 資料3−2につきましては、前回資料でお出ししました今後の論点について、「これまでの取組」、「望ましい水環境像」、「水環境保全の目標」、「水環境保全のための今後の取組」という大くくりの整理をさせていただいております。
 資料3−3におきまして、この論点に基づきまして、各委員からいただきました意見を整理させていただいております。資料3−3に基づきまして、それぞれかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
 まず「水環境ビジョン」についての意見でございます。「水環境ビジョン」の中で、地球規模の水問題、地球温暖化以外のことについては既に指摘されている、意識していたということをもう一度思い出す必要がある、という御意見でございました。
 また、水問題について、ここがポイント、ここまでやられているのか、といったことを整理した上で、自ずとやらなければならないこと、時間的な緊急度などを整理できるのではないか。水平軸、垂直軸のような整理をした方がよいのではないか、という御意見でございました。
 2番、「望ましい水環境像」についてでございます。問題意識としまして、「環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組」は、関係省庁と連携して何に重点をおくべきか、という点でございます。
 御意見としまして、その地域におけるローカルな水循環を回復するような制度を構築できないか。また、水の循環と流域の管理という視点から、環境基準の達成性をどう押さえればいいのか、という御指摘でございました。
 2ページにいきまして、最後のポツでございますが、水循環の問題について、底質と生態系の問題、総合的な水環境というものをどういうふうに評価していくか、という御意見をいただきました。
 また、生態系・生物多様性の保全ということについて、生活環境の枠組みということでしか見ないのかどうかということ。それから、医薬品類が今後の課題になってくる。あるいは水温の問題といったようなものがあるのではないか、という御指摘でございました。
 続きまして3ページ、水環境保全の目標のうち、健康項目についてでございます。問題意識としまして、モニタリングや未然防止措置が必要とされるような物質については、環境基準を設定すべきではないか、という問題意識。
 意見としまして、環境基準というのは政策目標であって、それをどのように実現していくのか、水質汚濁防止法で対応する、あるいは水濁法以外の手法で対応するといったことを整理しておく必要がある。また、環境基準項目についても、規制に直結するものと、リスクマネジメントにつながるものといったようなものを整理していく必要があるのではないか。また、省庁の中で化学物質対策という視点から見たときにどう整合をとっていくか、というような御指摘でございました。
 また、一番下のポツでございますが、微量有害物質の問題ということで、水系に汚染物質を決して入れないという概念あるいは社会的な仕組み、モラル、そういったものを築いていく必要があるのではないか、という御指摘でございました。
 続きまして4ページ、生活環境項目でございます。問題意識としまして、現行のBOD、CODの評価が現実の水質悪化現象や国民の実感にそぐわないといったような指摘があるということについて、意見としまして、例えばTOCのようなもので補完していくということが必要なのではないか。あるいは海のCODというのはなかなか実態を表していないというものがあるので、どこまでの魚を守るべきかという議論を、こういった情報を入れながら、情報共有を進めていくべきではないか、ということでございます。また、「泳げる河川」ということについて、下水処理場との関係についてどうなのか、というような御意見をいただいております。
 4番の「水環境保全のための今後の取組」ということでございます。
 「事業者の不適正事案への対応」という問題に関しまして、御意見としまして、事業者のリスクコミュニケーション、自らどういうものを扱っていて、外に出た場合にどういうふうに影響するのか、ということをきちんと対応すべきではないか。また、行政としても通常測定していない項目について、どのように分析あるいは状況判断をしていくのか、といったことを課題として御意見をいただいております。
 「公共用水域における水質事故への対応」ということについて、水濁法の事故時の措置規制がこのような形でいいのか検討すべきではないか。また、非常時の場合、事故の問題ですとか、雨天時において大きな問題があるのではないか。また、事故時の話について化学物質の管理のほうからも検討しているので、こういったものを整理すべきではないか、という御意見でございました。
 「閉鎖性水域における水質改善」について、閉鎖性水域で、特に底質の問題は重要であるという御指摘。また、湖沼などに入ってくるものについてデータを一緒に集めてほしい。統合的に扱えるようなものを検討すべきではないか、という御指摘でございます。
 また、閉鎖性水域の7次規制に向けていろいろ努力をされているということについて、環境省からも提案ができるように積極的に働きかけていくことが必要ではないか、という御意見でございました。
 6ページ、「未規制の小規模事業場や面源負荷への対応」ということでございますが、水濁法の枠組みの中で、既に生活雑排水については排水規制という枠組みが取っ払われているという御指摘。それから、中小企業に負担あるいはコストがかかる観点、規制という手法を少し変える新しい考え方が必要ではないか、という御指摘。また、農業とか面源対策について、インセンティブといいますか、自主的に取り組んだことを評価できるような仕組みを取り入れていくべきではないか、という御指摘でございました。
 「地下水・土壌汚染の未然防止対策」でございますが、土対法を改正したけれども、これは土壌汚染防止法ではない。土壌汚染防止の重要な担い手である水濁法がしっかり対応しなければならない、という御意見。また、農薬等の化学物質、ガソリン、重油などの汚染物の処理は、土壌汚染対策と水といったもののルール化を検討すべきではないか、という御意見でございました。
 「地球温暖化による水環境への影響」という部分につきましては、省庁のプラットホームをつくって、水環境問題、地球環境問題とあわせてどのように調べないといけないといったことを早急に動かすことを考えていくべきである、という御意見でございました。
 「地球規模で深刻化する水問題への国際貢献」ということで、御意見としまして、水処理、膜の分野といったものについて、中小企業にとっても新しいビジネスチャンスになっている。日本の企業が貢献できるという観点から考えていく必要があるのではないか、という御意見でございます。
 また、半閉鎖海といわれる日本海、オホーツク海、こういったところで国際的な協力が必要になってくるのではないか、という御指摘でございました。
 8ページでございますが、「水環境のモニタリングとデータの蓄積」という観点からの御意見としまして、特に水環境の問題でデータの蓄積が一番大事なのではないか。情報のプラットホームの持ち方、統合化を考えていく必要がある、という御意見でございました。
 「統合的な環境管理」という点についての御意見ですが、規制で対応しようとすると、エネルギーを必要とする。一方で炭酸ガスを減らさなければならないといったところの合理的な方法について、いろいろ整理していくべきではない、ということでございます。
 最後、9ページでございますが、「全般的な意見」という観点からの御意見でございますが、水環境行政の中での水濁法の役割・機能というものを考えていく必要があるのではないか。
 また、誰が課題と判断したのか、そういう事象が共通認識としてあった方がいいのではないか。環境基準の考え方について、仕組みが問題なのか、基準が達成されていないからなのか、評価の仕方が問題なのか、こういったものについて整理する必要があるのではないか、ということでございます。
 また、お金とか人とかのリソースが非常に限られているという中で、どのような方向で重点化していくのか、ということを整理する必要があるのではないか。ぜひそういう方向でやっていただきたいと。
 前回このような意見をいただいたところでございます。以上です。

【須藤座長】 ここで一回切りますか。それとも一通りやって先生に伺った方がよろしくないですか。今までのところは、前回の発言に基づいて事務局でまとめていただいた整理ですよね。それを踏まえて、これから優先的に取り組みたいとか、そういうことを言っていただいた方が、先生方に御意見を伺うのに都合がいいし、ここで意見を伺うと、ここが抜けている、あそこが抜けているとなってしまうので、ぜひもう少し進めてください。

【富坂水環境課課長補佐】 では、引き続きまして、資料4−1から資料4−13まで通して御説明させていただきます。
 まず資料4−1に「これまでの取組について」ということで、水環境あるいは水循環という視点からの検討状況を整理してございます。
 まず1番に、「水環境ビジョン懇談会報告書」というものを平成7年にまとめてございます。メンバーは以下のとおりでございますが、2ページ目に報告書の概要についてかいつまんで整理してございます。
 豊かで清らかな水と美しい水辺のおりなす水環境というものが貴重な環境としての価値を有すると。望ましい関係を作りあげていくために、流域などの水循環に着目して、「場の視点」(水環境をそこに生きる人や生物との関わりを中心にとらえる見方)と「循環の視点」(水環境を流域全体における水循環の健全さからとらえる見方)、両方の目をもってとらえることが必要であるとしております。
 「今後の施策の基本的方向性」としまして、地域の自然的、社会的特性を踏まえた体系的な取組、水質保全対策の一層の推進が必要であるとして、下に挙げてございます3つの柱、「総合的な取組」、「学び、参加、協力」、「共通目標の設定」というものをまとめているところでございます。
 また、「水環境計画」としまして、3ページでございます。このような取組を体系的に実施するために「水環境計画」を作成することを提案しております。作成の中心としては、地域関係者の取組を調整する立場にある市町村の役割が重要であること、また、住民、事業者、民間団体の参加を得て作っていくこと、関係者の共通認識を作っていく役割として「水環境計画」を提案しているところでございます。
 4ページ目に、当時の整理した図を示しているところでございます。
 5ページでございますが、その他の取組について、今までの水質汚濁に係る取組を時系列・事項別に整理したものでございます。
 一番左側が「全般」ということで、水環境ビジョン懇談会、健全な水循環系構築に向けた取組ということで、これは後ほど資料で説明させていただきます。
 「人の健康」ということについては、環境基準項目、要監視項目等を逐次追加してきているという状況でございます。
 「生活環境」につきましては、1つは富栄養化対策、水質汚濁対策ということで、窒素・りんなどの規制を行っているところでございます。特に局地の部分については、閉鎖性水域での対策といったものをとらえているところでございます。
 なお、最近になって事業者の不適正事案がいろいろ発覚しているという状況がございます。
 「地下水・土壌汚染対策」ということについては、1990年代に地下浸透規制の導入がされて、土壌汚染対策法もできているという状況でございます。
 「生態系」については、自然環境・野生生物保護の観点からずっと行われてきておりますけれども、最近では生物多様性の視点が極めて多くなっている。
 また、「地球環境問題」についても逐次進められている。このような状況でございます。
 続きまして資料4−2、「望ましい水環境像について」の検討状況ということでございます。旧水質2法から始めてございますが、水質汚濁防止法の制定が昭和45年に行われております。また、このときに環境基準についても、当初、健康項目8項目、生活環境項目ということで決定されているところでございます。
 水環境像の整理につきましては、平成5年に環境基本法が制定され、また、環境基本計画が平成6年に策定されております。環境基本計画の中で、「水環境の保全」において、施策の柱として「環境保全上健全な水環境の確保」というものが掲げられているところでございます。その後、水環境ビジョン懇談会あるいは健全な水循環の確保に関する懇談会で、「場の視点」、「循環の視点」をもってとらえることの重要性などが指摘されているところでございます。
 モデル的取組ということで、地域水系における水循環系健全化の取組の例を示しております。
 平成10年以降、関係省庁連絡会議というものを発足しておりまして、あるいは環境基本計画、今日まで3次にわたり作られておりますけれども、そういったところでも水循環系の重要性が示されているところでございます。
 3ページ、折り込みでお出ししておりますのが、平成15年12月にまとめました関係省庁連絡会議での資料でございます。環境基本計画あるいは関係省庁においてそれぞれ議論がなされ、統合的に対応がとられているという状況でございます。平成15年の水循環系構築の計画づくりにつきまして、特に地域における取組を促進する、地域で実践している主体に対して、目標あるいはプロセスというものを提示して、基本的な方向や方策のあり方を提示しているものでございます。
 次に、現在の水環境・水循環に関する計画の策定状況ということで、これは平成18年に環境省が調べたものでございますが、44河川事務所、47都道府県及び11市町村を対象に行ったアンケートにおきまして、水循環計画を策定したと回答しているのは39機関、72計画という状況でございました。
 続きまして5ページ以降、水環境における生態系・生物多様性の保全についてということでございます。現在の水生生物の保全に係る環境基準、全亜鉛について定められておりますけれども、この環境基準の根拠としましては、「人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境」を含んでいる概念だということが環境基本法の中で定義づけられているところでございます。この中で特に有用な水生生物及びその餌生物並びにそれらの生育環境の保護というものを含めて水生生物の保全に係る環境基準を生活環境項目として定めているという状況でございます。
 その類型指定の考え方につきましては、(2)でございます。水産を利水目的としている水域のみならず、水生生物の保全を図る必要がある水域の全てについて行うとなっているところでございます。
 資料4−2については以上でございます。
 資料4−3、「水質環境基準(健康項目)について」ということでございます。環境基準(健康項目)につきましては、現在26項目、現在、追加の手続、公共用水域で1項目、地下水について3項目を行っている状況でございます。こちらは適宜、我が国やWHO等の国際機関において検討され、集約された科学的知見を基に改定を進めていくということにしております。
 一方、要監視項目というものを水の目標として定めているものでございます。この定義としましては、「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、引き続き知見の集積に努めるべきもの」ということで、特に法的根拠はなく、中央公害対策審議会答申を受けて、こういった項目について個別に情報収集を行っているという状況でございます。
 2ページでございますが、要調査項目についてということでございます。これらの項目については、水環境におけるリスクはあるけれども比較的大きくはない、または不明である。そういった項目について、環境中での検出状況や複合影響等の観点から見て、知見の集積が必要な物質ということで整理しているものでございます。こちちについても特に根拠はないという状況でございます。
 3ページ目は、モニタリング地点数の推移ということで示しているものでございます。要監視項目については、環境基準項目に比べて5分の1あるいはそれ以下の地点数で測られているという状況でございます。
 資料4−4を説明します。「水質環境基準(生活環境項目)について」というものでございますが、特に平成17年に湖沼環境保全制度の在り方に関する答申あるいは閉鎖性海域における第6次総量規制の在り方に関する答申、これらで相次いで水環境の目標の在り方等が重要な課題として指摘されたところでございます。
 湖沼環境保全制度について、地域住民にもわかりやすい補助指標を設けて活用することが適当ではないか。具体的には透明度、透視度、クロロフィルa、底層のDO、カビ臭物質、生物指標などを例示として挙げているところでございます。
 また、「第6次総量規制の在り方について」ということで、CODとして把握される海水中の有機物質について、酸素消費速度が遅い有機物の割合が増加してきている可能性がある。そのため、海域環境の変化や新たな科学的知見を踏まえ、指定水域の目標とすべき水質とその評価方法等について、検討する必要がある、という御指摘でございました。
 これらを受けまして、閉鎖性海域の中長期ビジョンに係る懇談会、こちらは平成18年度に立ち上げております。特に、この中で論点整理を行っておりますけれども、生物の生息環境を表現する状態指標の候補として、底層の溶存酸素量及び透明度、これらは、水生生物の生息に影響を与える指標であったり、水生植物の生育の環境条件ということで挙げられているところでございます。
 この論点を受けまして、「閉鎖性海域中長期ビジョン策定に係る懇談会」で平成19年度から検討を始めておりまして、底層DOにつきましては、生物の集団の維持を可能とするレベルで設定すること、また、極端な底層DOの低下によって底生生物も生息していない場所が存在しているということから、そのような場所を解消するためのDO目標というような目標の考え方が提示されております。現在これは検討中の状況でございます。
 また、透明度についての考え方(案)ということでございますが、浅海域における海藻草類に必要な水中光量を確保するための目標値あるいは景観的な要素といったようなものから目標の検討が行われている段階でございます。これらにつきましては、今年中に環境省事務局案を作成しまして、中長期ビジョンという形で今年度中に策定することを目指している状況でございます。
 また、海域以外の水質環境基準の生活環境項目全般についても検討を行っている段階でございまして、生活環境項目に係る望ましい水環境像、その水環境を直接的に表す状態指標、状態指標を制御する関係にある制御因子といったような視点から、衛生指標、底層DO、透視度・透明度などについて基準のあり方を今後整理する予定としております。
 資料4−5でございますが、「事業者の不適正事案への対応について」ということで整理しているものでございます。こちらの方で整理しておりますのが、平成19年に公害関係のデータ改ざんということが社会的に問題になりまして、そのときの事案、また、近年の事例ということで挙がっておりますので、大気の部分をちょっと含めておりますけれども、御紹介させていただきます。
 特に事例として多くありましたのが、測定データを協定値あるいは基準値以内に合致するように書き換えて地方自治体に報告していたというような事例、自動測定器自体がそもそも動いていなかったというような事例、あるいは一番下の事例でございますが、排出水を測定する際に河川水で希釈してその水を測るといったような情報操作を行っていたというような事例が報告されているところでございます。
 次に2ページでございますが、水質汚濁防止法の規制事務の実施状況ということで、毎年統計をとっているものでございます。立入検査数は、ここ数年程度横ばいで推移している。全国で47,000件程度ということでございます。そのうち、毎年10件前後、排水基準違反ですとか、総量規制の基準違反といったようなものがあがってきております。また、行政処分としまして、改善命令又は施設の一時使用停止命令という形で40件前後で推移しているという状況でございます。地下水浄化措置命令あるいは緊急時の措置命令というものについてはあがってきていないという状況でございます。
 一方で行政指導について、水に関して、法に基づく命令ではなく、行政指導の範囲で改善を図っていくというものについて、毎年7,000〜8,000件程度あがってきているという状況でございます。
 下に参考として示しておりますのは、公害等調整委員会で公害の苦情調査を行っておりまして、こちらの方で実際に基準違反だったかどうかということについて整理しているデータがございましたので、ここで紹介させていただきます。苦情があっても結果として違反していなかったものも相当数あるわけでございますが、全体で6,500件程度のうち、全体で850件程度が結果的に違反していたという事例であったという紹介でございます。
 3ページ目でございますが、現在、この検討会とは別に中央環境審議会の公害防止取組促進方策小委員会でも議論が行われておりまして、このうち、事業者による法令遵守の確実な実施から、公害防止管理体制の高度化あるいは基準超過時や事故時における自治体の機動的な対応の確保、こういったものが検討されているところでございます。
 資料4−6、「公共用水域等における水質事故への対応について」でございます。図1については、全国一級河川における水質事故が年々増加していること、また、水濁法における事故時の措置も増加しているという状況でございます。
 2ページ目でございますが、水質汚濁防止法の事故時の措置について、類似の事例とあわせて整理いたしましたので、紹介いたします。水質汚濁防止法の対象につきましては、特定事業場の設置者、もう一つは貯油事業場(油を保管する設置者)というものでございます。この対象物質につきましては、水濁法の有害物質又は油を含む水、貯油事業場については油を含む水のみが対象となっております。事故の要件としては、貯油施設の破損その他の事故ということで、こういったものが公共用水域等に排出されたことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるというものが事故の要件としてあがっております。これについて、排出又は浸透の防止のための応急の措置であったり、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出ることとなっております。これらの措置を講じていないと認めるときには、応急の措置を講ずべきことを都道府県知事が命ずることができるとなっております。
 参考として挙がっている中で特に特徴的な部分でございますのが「事故の要件」という部分でございます。大気汚染防止法につきましては、「ばい煙及び特定物質が大気中に多量に排出されたとき」と多量性を要件としているところでございます。また、下水道法で、下水道への排出というものでございますが、これは、政令で定める場合(規制基準以内であった場合)を除いて、公共下水道に流入したとき、すなわち規制基準をオーバーしている場合には事故の要件に該当するというような整理がされているところでございます。
 罰則については、現在これらの法令全て6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となっております。
 3ページ目でございますが、水質汚濁の発生原因別の苦情件数ということでございます。公害等調整委員会のデータでございますが、この中で最も大きくなっておりますのが「流出・漏洩」という部分でございます。事故等によって水質汚濁が生じているというものが全体の3分の1強という状況でございまして、2番目に多いのが産業排水でございますが、これらが苦情全体の半数を示している状況でございます。
 4ページ目に都道府県における水質事故ということで、例示として埼玉県、神奈川県の情報を載せてございます。特にこれらの中で、原因がわかっているものについては、全体の半数程度という状況でして、残りの半数は、水質汚濁の事故が起こったけれども、その原因については結局わからなかったという状況でございます。また、もともとの発生の理由として、油類の流出が相当数あるという状況でございます。
 5ページ以降、水質汚濁防止法に基づく有害物質以外の化学物質あるいは水濁法の特定施設以外の施設からの原因物質の流出による水質事故を整理してございます。
 5ページは要監視項目ということで、1,4-ジオキサン、トルエンの事故の事例でございます。
 6ページ以降が生活環境項目に関して事故があったという事例でございまして、事故の状況として、施設の破損あるいは火災といったようなものが事例として挙がっております。項目としては、pHとか汚泥といったようなものが挙がっております。
 7ページでございますが、生活環境項目の中でフェノール類、水生生物の保全に係る要監視項目にあがっておりますけれども、特に環境基準項目とはなっておりません。これらについても爆発事故ですとか、タンクからの溢出といったようなことが事故として起こっております。
 8ページの中段以降、事業場以外から発生した事故事例でございます。工事現場など、すなわち一定の場所に設置されているわけではない、そういった施設あるいは事業からコンクリートの打設に伴って高pHの水が出て水質事故になったといったような事例もございます。不法投棄あるいは貧酸素といったような状況もございます。
 9ページ、その他化学物質ということでございまして、特に規制対象ではございませんが、スチレンとか、水酸化ナトリウムあるいは消毒用として使われている次亜鉛素酸ソーダ、そういったものも大量に排出されることによって水質事故となったというような事例でございます。
 飛ばしまして、13ページ、特定施設以外の有害物質ということで、半導体素材工場、こういったものは現在、水濁法の特定施設になっていないというものもございます。
 14ページ、その他ということでございますが、着色等ということで、塗料、インクなどが水環境中に流出することによって水質の問題が起こっているという状況がございます。また、農薬についてもいくつか報告があるという状況でございます。
 資料4−6は以上でございます。
 資料4−7、「閉鎖性水域における水質改善について」ということでございます。こちらは湖沼、閉鎖性海域ということでございますが、湖沼につきましては、湖沼水質保全特別措置法に基づきまして、11指定湖沼がございますが、それらの対策が行われているということでございます。水質汚濁防止法以上の対策ということで、下水道、浄化槽などの施設整備ですとか、底泥のしゅんせつ、生態系を活用した水質浄化等々が計画の中で定められ、各都道府県において対応がとられているという状況でございます。
 3ページでございますが、各湖沼の水質の推移ということでございます。高濃度の湖沼におきましては、COD、全窒素、全りん、漸次低減しているという状況もございますけれども、それ以上下がらない、横ばいの状況であるという湖沼も相当数あるという状況でございます。
 これらを受けて、平成18年4月から改正湖沼法が施行されております。湖沼に流入する汚濁負荷の一層の低減をするために流出水対策地区の設定をする、あるいは湖沼の水質改善に資する植生の保護等の措置を盛り込むということで、これらの保護地区を設定するといったような対応がとられているところでございます。
 続きまして4ページ、閉鎖性海域における取組と現状についてでございます。昭和53年に水質総量削減制度が導入されておりまして、区域内の生活系排水対策、指定地域内の事業場に対する総量規制基準の適用、小規模事業場等に対する削減指導、こういったものが行われているところでございます。
 特に平成13年12月から始まりました第5次水質総量削減計画において、海の富栄養化対策として窒素、りんが指定項目として指定され、漸次対策がとられているという状況でございます。
 6ページの図4にCOD、窒素、りんの負荷状況を示しております。規制開始後、漸次流入負荷量が減少しているという状況にございます。
 7ページに、海域別のCOD、りん、窒素の濃度推移ということでございます。東京湾とか大阪湾といったところでは低減傾向が見られる状況でございますけれども、それ以外についても横ばいになっているという状況でございます。
 環境基準の達成率ということで8ページに示しているところでございます。まだ全体として6〜7割の達成状況ということでございます。
 第7次水質総量削減に向けた検討としまして、本年2月に中央環境審議会に対して諮問が行われたところでございます。水質総量削減の実施状況、水質汚濁のメカメカニズム、総量削減対策の現状等について議論を行っているところでございまして、今年度中に第7次水質総量削減の在り方について答申をいただく予定としております。
 資料4−8、「未規制の小規模事業場や面源負荷への対応について」ということでございます。
 まず、特定事業場ということでございますが、下のグラフでございますが、最近、若干下り気味でございますけれども、全国で28万事業所程度ございます。そのうち、一日当たりの平均排水量が50m3以上の特定施設、こちらに生活環境項目に係る一律排水基準がかかっておりますけれども、平成19年で35,539、平成18年では36,139事業場という形で、全体として約13%という状況でございます。これはあくまで一律排水基準の適用事業場ということでございますが、各都道府県において水質規制の上乗せ規制ができることとなっております。
 その規制値ということで、2ページに概観するための資料を準備してございます。こちらの方に載せております基準値でございますが、水域あるいは事業種別ごとに基準を細かく決めているところがほとんどでございますので、その中で最も厳しい値となっているものを抽出した状況でございます。大体BODについて20〜30程度、CODについても30程度というような規制値がかかっているところでございます。
 3ページでございますが、水質汚濁に関する公害苦情と水濁法の関係ということでございます。表2は、資料4−5にも一部示しましたけれども、こちらでは違反していなかった事例ということに着眼して整理してございます。公害苦情を受けて、結果的に水濁法の違反ではなかったというものの事由として、一つは規制基準内であったというもの、もう一つはそもそも規制基準の適用対象外であったというものが全体の3分1程度あったという状況でございます。これらが本当に水環境にとって問題なかったのかどうかというところまではここでは評価できないのですが、このような状況でございました。
 次に生活排水対策ということで、平成2年に水濁法の改正により設けられた制度でございますが、生活排水対策の実施が特に必要であるとして認められた地域を、生活排水対策重点地域として定めることができることとなっております。現在351市町村が指定されているところでございます。こちらで推進計画を定めることになっておりますけれども、全体の6割程度で達成又は一部達成と未達成が4分の1程度あるという状況でございます。
 また、生活排水対策の中で、生活排水処理施設の整備というのが重要な施策の一つとして挙がっているところでございます。浄化槽、下水道の整備ということで、特に生活排水対策重点地域においては浄化槽の整備等が進んでいるところでございます。
 普及啓発でございますが、生活排水対策、施設が整備されるまでの間あるいは整備された後も家庭でできる対策というものも非常に重要でございますので、こういった普及啓発活動を継続的に行っている状況でございます。
 図3に各水系における負荷量というもので整理しているところでございますが、閉鎖性海域、3湾全部合わせたものについてですが、雑排水による負荷が全体の4分の1と非常に大きなウエートを占めているという状況でございます。
 続きまして5ページ、面源負荷の低減に関する取組ということでございまして、先ほど湖沼法の改正によって流出水対策が示されてございます。例示で御説明しますと、例えば道路の清掃あるいは遊休農地の活用、アダプトプログラムによる住民の力を借りながら河川の浄化を行っていく、このようなことが行われております。
 6〜9ページは、各負荷量ということで示されてございますが、産業系の未規制が負荷量として割合多いものがあったり、雑排水が多いものがあったりというように、各水域によってそれぞれ特徴があるという状況でございます。

【是澤地下水・地盤環境室長】 資料4−9を御説明させていただきます。
 1ページ目に地下水汚染事例件数の推移を示しております。これは地下水汚染事例件数を累計で示したグラフでございますので、右肩上がりになることはやむを得ないところかと思いますけれども、毎年一定割合で増え続けているということで、地下水汚染を防止するという意味ではまだ十分に対策がとれていないということを示しているかと思います。
 1ページめくっていただきまして、汚染原因者の主たる業種を示した表がございます。原因の業種としては、クリーニング関係かと思いますが、下から3番目の洗濯業、金属製品の製造業、輸送用機械器具の製造業などが多いという状況にございます。
 さらに次のページでございますが、これは土壌汚染の原因行為について示したものでございます。地下水汚染と土壌汚染、もちろん必ずしも一致するものではございませんけれども、原因行為について、例えば施設の漏洩事故のようなものであったのか、あるいは排水の地下浸透であったのか、あるいは廃棄物が原因であったのか、そのような行為別で見てみると、この表のような状況にございます。汚染原因物質の不適切な取扱いといったところが多いという状況でございます。
 地下水汚染あるいは土壌汚染の原因に関して私どもが整理して持っている情報は以上のようなところでございまして、必ずしも十分なものではないと認識しております。このため、本年度、地下水汚染の実態調査あるいはどうすれば有効な対策を講じることができるのか、という点について詳しい調査を計画しております。その結果も踏まえて、今後の施策の方向性を考えたいと思っております。

【富坂水環境課課長補佐】 資料4−10、「地球温暖化による水環境への影響について」の御説明でございます。
 1ページ、2ページは、前回も資料としてお出ししておりますが、IPCCにおいて、世界平均気温の上昇によって水環境にも影響があるということが余録として示されている。あるいは気候変動による影響という事例について示しているところでございます。
 3ページでございます。琵琶湖における全循環の状況ということで、特に水循環、水温の影響が、全循環というものが観測されなくなったということの要因になっているのではないか、という指摘がされているところでございます。
 また、池田湖においては、昭和61年以降、浄化槽の水の混合がないことによって、底層での無酸素状態がずっと続いているということが観測されている状況でございます。
 4ページ以降、河川における水温変化についてということで、過去30年程度、実際に水温がどのように変動しているのかということを試算したものでございます。北上川については特に影響ということではっきりしたものは言えないのかなということ。多摩川におきましては、1981年から90年以降、若干上がっているようにも見受けられるという状況でございます。長良川、四万十川におきましても若干水温の上昇傾向が見られるような気がする。一つの試算でございますので、はっきりしたことは断定はできませんけれども、水温としては上昇傾向にある。ただ、この原因が気候変動によるものなのか、あるいは都市温排水等の影響によるものか、ということについては、なお検討を要するのではないかと考えているところでございます。
 資料4−11でございます。「地球規模で深刻化する水問題への国際貢献について」ということで、1ページは、前回もお示ししております世界の水問題の現状ということで、安全な飲料水、衛生施設を継続して使用できない人数を減らしていくという取組が行われているところでございます。特にアジア地域において問題が大きいという状況でございます。
 2ページ下段は、バーチャルウォーターについてということでございまして、食料自給率についてもございますけれども、食料輸入を通じて海外の水に依存しているという事例が指摘されているところでございます。海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量という試算がございますが、これが約800億m3という状況でございます。これは日本国内で使用される年間水使用量と同程度であるという指摘がされております。
 3ページ、環境省の取組ということで御紹介させていただきます。一つは、アジア水環境パートナーシップ(WEPA)ということでございまして、現在パートナー国は11カ国でございます。これら諸国においての水環境のガバナンス強化を目標として、情報データベースの構築、ステークスホルダーの情報共有化、人材育成・能力向上といったような取組の支援を行っている状況でございます。
 また、特に中国に対しては日中水環境協力ということで、首脳会談でも水問題の解決が重要であるということから、分散型排水処理モデル事業の実施など技術的支援と普及促進の協力を進めているところでございます。
 資料4−12、「水環境のモニタリングとデータの蓄積について」というものでございます。
 まず水環境のモニタリングにつきましては、水質汚濁防止法に基づきまして、都道府県知事が水質測定計画を策定した上で、各主体、すなわち都道府県知事であったり、国であったり、あるいはその他の者が入る場合もございますけれども、水質汚濁状況の常時監視を行い、その結果を都道府県知事がまとめて公表するという体制となっているところでございます。下の方に常時監視の流れということで、都道府県がそういったデータの集積を行い、環境省がデータベース化して情報公開をしているという状況でございます。
 2ページ目以降、水環境に関する各種データベースということで、現在世の中にどのようなものがあるかというのを整理しているものでございます。一番上の「水環境総合情報サイト」というのが水質環境基準、水濁法に基づくモニタリングデータを整理したものでございますが、その他にも各主体においてそれぞれデータを公表しているという状況でございます。
 資料4−13でございます。「統合的な環境管理について」ということで、EUのIPCCについて御紹介させていただきます。
 産業汚染の統合的防止・規制の達成を目的としている。産業汚染というのは、大気、水質、土壌、廃棄物、事故防止というものが含まれておりますけれども、1999年から適用されて、2008年に改正されているという状況でございます。2008年の改正では、産業排出に係る法令の一本化、BAT概念の明確化などが盛り込まれているところでございます。
 この指令の概要につきまして、BAT(Best Available Technique)に基づいて排出限界値を決める。さらに、環境基準がより厳しいものを求める場合には、追加的措置を定める。また、排出モニタリング条件について定めるというような状況でございます。
 また、国内法化の例ということで英国の例を示してございますが、「環境許可規制」の適用企業に対して、「事業パフォーマンス・リスク評価」というものを適用して、点数に応じて規制緩和措置を行っているという状況でございます。この「環境許可規制」の対象施設が徴収される手数料あるいは課税等の規制を緩和したり強化したりするというようなマネジメントでございます。
  以上で資料の説明を終わらせていただきます。

【須藤座長】 大変膨大な資料について簡潔に御説明いただきましてありがとうございました。
 今日の論点は、先ほど申し上げましたように、前回の資料について資料3−3で整理していただきました。そして、前回のときの当初予定した項目よりも更に増えたといいましょうか、新たに必要だというような問題として項目として挙げられるのが、今、最後の方で言われた、統合的な環境管理とか、水環境モニタリングとデータの蓄積とか、あるいは地球規模での深刻化する水問題への国際貢献、このような問題が新たに項目として整理できるのではないかと思います。その他の問題について、たくさん項目があって、それは当初大体予定したことで、その問題の解説は、今それぞれの資料4−1〜4−13で御説明いただきました。
 本日は、もう一回フリートーキングというほどフリーに広がるのもよろしくないのですが、まとめは第3回からやりたいと座長としては思います。それなので、前回の議論の中でもう少し深掘りした方がいい問題とか、優先的に取り組んだ方がいい問題とか、こういうものをそれぞれの先生から挙げていただいて、これだけたくさんあるものを一ぺんに水環境保全の検討会で決めて、それでやりましょうと言っても、そうそうすぐにできるわけではございませんので、事務局から私が仰せつかっているのは、まず重要な順というか、やらなくていけない、やるべき問題としては何があるのか、ということを最終的にこういう問題から抽出していけるような議事運営をしてほしいというふうに依頼されていますので、座長としては、方向性としてはそういう議論をしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、前回は浅野先生の方から伺ったと思いますので、今回は、まだあと2回ありますから、森田先生の方から順番に数分ずつ、前回御欠席の先生は少し長めでも結構でございます。では、森田先生からいきましょう。

【森田委員】 非常にたくさんのことをやらなきゃいけないということ、それはそのとおりなんですが、あまりたくさんのことが並びすぎているために、どうしてもインパクトが弱いというか、羅列的になってしまうケースがありますね。
 私の論点としてまずお願いしたいのは、水をきれいにする、あるいはいい環境を考えたときのゴールは何なのかということをまず旗印を上げる必要があるかなという感じがするのです。そのゴールは、たぶん絶対到達できないだろうと思うのですが、それでもなおかつ、そういう目標地点を可視化しておく必要がある。水濁法にしても、現実にやっている作業は何か、そういったゴールは意識しながら、しかし具体的に起こる、例えば産業からの排出とか、そういったものと、一方で産業のもってきているある種の貢献といったものをコンプラマイズさせるような、そういうプロセスの中で基準が決められてきた。このアプローチ、このような作業というのは、どうしてもこれからもずっと続くでしょうし、その時々の社会的な状況によって、その妥協点がシフトするということはたぶんあると思うのですが、まず、旗印として「きれいないい水とは何なのか」というのを一旦は掲げておくというのがまず第一に必要かなと。
 第2は、ヨーロッパなんかに少し先導されるのですが、そこに向けてやや、妥協だけではなくて、踏み込もうというようなものがいくつか動きとしては見られている。それは、例えばBATの概念はたぶんそうですね。これはある種のコストを無視してでもいい技術を入れるということを通じて環境をよくしよう、そういう概念があります。また、予防原則とか、その他のアプローチもそれに近いのだと思うのですが、そのようにして日本の水行政も目標に向けて、現実の妥協だけではなくて、一歩踏み出すという姿勢をこの際、明示していただければいいかなという感じがします。

【須藤座長】 ありがとうございました。たくさんある中で、そういう目標はやはり最終的に掲げておいた方がよろしいということですね。その辺の議論はこれまであまりしていませんね。
それでは、眞柄先生、お願いします。

【眞柄委員】 いっぱい話したことがあるのですが、急に指名されたので、全部頭の中で整理しきっていないので申し訳ありませんが、1つは、先ほど一番最初にお話がありましたように、いわゆる水質二法ができて50年たったわけですね。個人事で申し訳ないのですが、つい先週、私は大学卒業45周年記念の同窓会を開いたのです。要するに水環境保全の 50年の歴史を私はずっと歩いてきました。現在の水環境と50年前の水環境とは全く違います。では、私が、あるいは私より若い人が50年後の我が国の水環境をパースペクティブに見たときにどうなっているか。それはたぶん森田先生が言われた「やっぱり目標を持ってなきゃだめだよ」ということだったと思います。50年前の私たちの目標は、たぶん今よりもうちょっと悪いけれども、少なくとも農作物に影響も出ないし、お魚も戻ってくるし、泳げるし、水道水源に使えるし、せめてそれぐらい日本中なろうよ、というのが目標だったと思います。そういう意味で、現在の水環境は、50年前私たちが掲げた目標は達成しているだろうと私は思います。
 しかし、50年後どうなっているかということを考えたときに、先ほど地下水・地盤環境室長が言われたのですが、私たちにとって、クリーニング、要するに有機塩素系の溶剤が地下水を汚しているというのは、まさに青天の霹靂でした。50年前想像できないような化学物質が50年の間に使われるようになって、しかも、それがヘルスリスクを及ぼすようなところまで我々は経験したわけです。それと同じようなことがこれからあるかもしれない。そのあるかもしれないということに対して、どういう備えをしていくかということを真剣に考えておく必要があるだろうと思います。
 来月、WHOが飲料水の水質ガイドラインの第4版の最終ドラフトのミーティングを開きます。その内容はもちろん届いていますけれども、第3版と第4版の間に大きな進歩はほとんどありません。なぜないか。これは日本もそうですし、アメリカもそうですし、ヨーロッパの工業先進国もそうですが、化学物質についてリスク評価と現状の存在状況を調査するための予算が極端に少なくなったということです。例えばUNEPの、WHOもやっていましたICPSの予算はもうほとんどありません。アメリカのEPAでもコマーシャルプロダクトに対するリスク評価を社会の関心に応えるために行うための予算的な措置もなくなってきています。かつてはIPCCと同じレベルで化学物質のリスク評価・リスク管理について国際的なプラットホームがあって、そこで生み出されてきたのが、今、日本でも我々が持っている健康項目に対するリスク評価あるいは存在状態についての結果だったんです。それと同じようなものがこれからもどんどん出ると思ったら、もう期待しない方がいい。
 では、それは誰がやるかという意味では、ミレニアムゴールで飲み水とサニテーションのことがありますけれども、国際的に考えれば、もちろんそういうものも大事です。特にサニテーション、飲み物に関して言えば、国連では建設費よりも維持管理と更新の金だと言っているぐらいです。更新をするというときには、どういう質の水を供給したり、どこまで質を改善して環境に戻さなきゃならないか、というところが明確になっていかなきゃいけない。その部分がこれからあまり出てくる可能性が少ないのではないかというのが正直な印象です。
 私たちは水環境のことを議論しています。浅野先生とは時々議論をして、だいぶ怒られましたけれども、今の水環境、大気もそうですが、自然由来については手を加えていません。ただ、水環境、国土保全、災害防止、自然由来のものに対するアクションというのは、国として不可欠で、行うべきものだと私は信じております。残念ながら、国交省さんも一部の河川では酸性排水についておやりになっていらっしゃいますけれども、全体的に見たときに、自然由来であるということがゆえに、例えば環境基準の達成レベルが低いという事例がたくさんございます。
 あと2つだけ申し上げたいのは、50年前と今と何が違ったかというと、私たちはダムという停滞水域という新しい水環境をこの50年の間どんどんつくったということです。50年前、須藤先生がいらっしゃって申し訳ないのですが、陸水学者の方は一握りだったですよね。それで一時、いろいろな国あるいは地方自治体、大学でもいわゆる停滞水域の水質保全あるいは水質改善についての研究者がたくさん生まれました。今、かつて国立環境研が始まったときにいたぐらいの陸水学者の数と同じぐらいしか停滞水域の水環境のことをやっていらっしゃる研究者はいません。それは、先ほど申し上げた化学物質についてのリスク評価・リスク管理についての研究がだんだんと少なくなっていったのと同じことを我々は経験しています。ですから、必要なものはいつでもやって、続けるというようなことを考えなきゃいけないと思います。
 そして、もう一つ大事なことは、我が国は残念ながら少子高齢化ということによって社会経済的にある意味では停滞した社会に行くことは間違いないと思います。経済的に停滞していく社会の中で、一人当たり水資源賦存量が1500〜2000?ですか、その限られた水資源の賦存量の中で、いかに利水をし、排水をし、水資源を管理し、水環境を管理していくか、という政策を我々日本人が作ることができたら、それは本当に次の世界の人たちの目標になると思います。
 御存じのように、お隣の韓国は日本よりも少子高齢化の進行が激しいです。中国は今、人口のピークですが、中国も少子化対策でどんどん少なくなっています。ところが、韓国や中国は水資源あるいは水行政の縦割りを廃止して横抜きにして、中国の水資源を国全体でどう活用していくか。そのときに生態系へ何割水を割り振るのだというようなことまでもう彼らは設定しています。お隣の韓国も新しい水環境管理計画を今年から動かし始めました。そういう意味では日本政府も「今後の水環境保全に関する検討会」をベースにして、次の世代に向けて、新しい考え方で政策を立てていただきたいと思います。そして、立てる過程で、先ほども御紹介がありましたように、アジアの諸国とお互いにディスカッションをして、できるだけ共通のコンセプトで水環境管理をするということが大事ではないだろうかと思います。
 最後に、誤解があるといけないので一言申し上げますが、水道の水質基準の項目が多くなっています。しかし、検査にかかるコストは変わっていません。むしろ下がっていると思います。そして、水道の水質基準の改正で水質の試験方法を変えています。できるだけ人の意思が働かないような試験方法を開発しています。つまり、測定値をいじられないような試験方法を目指して私たちは試験方法を考え、試験方法を設定してきております。いわゆるQC、試験精度の管理というのが自動的にできるような試験方法を導入していますので、そういう意味では、虚偽のデータを報告するとか、虚偽のデータあるいはチューニングをするとか、そういうことが起きないようなことを念頭にして水道の分野は進めていっておりますので、環境の分野も新しい環境基準の項目などを考えるときに、人の意思あるいは人の操作で結果が左右されるような試験方法は今後導入しないようにしていくべきではないかということであります。
 細かいことまでなりましたが、以上であります。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、福岡先生、お願いいたします。

【福岡委員】 前回のいろいろな御意見に対して御説明いただきましてありがとうございました。私が申し上げたことについても資料を用意していただきましてありがとうございました。
 説明を伺って私が感じましたのは、環境省の扱う水環境問題は、法律や制度を作ることに一生懸命で、その効果を評価することに少し甘いなと思います。すなわち、制度等を作って関係するデータを集めて、その効果を把握するということが、今日の資料や説明を聞く限りあまり感じられない。例えば流出水対策地区制度を作って面源負荷の低減をいろいろなところで実行することは、非常に大事なことです。そのようにやられている意味はわかりますが、始まって間もないこともあるけれども、やってみてどうだったのかという評価をちゃんと調べることが必要です。
 私は河川の洪水や環境問題等に関与しているのですが、そこでは問題の解明に何が一番大事かというと、データの収集です。私が関わる河川分野としては、主に国土交通省ですが、そこでは河川の必要なデータはずっととり続けているんです。データをとることに一生懸命になっていて、データをあまり上手に使ってこなかった面もあったのですが、今では蓄積してきたデータが政策や技術判断の上で非常に大きな意味を持ってきています。すなわち、何かをやるとか、どういう判断をするかとか、そういうときに観測データが重要で、解析技術ツールも進んできていますので、その蓄積されたデータを上手に活用する価値が高まってきています。
 今日の中で、私が前回申し上げたことに対する回答とも関係していると思うのですが、「水環境のモニタリングとデータの蓄積について」という項目が挙げられています。各省庁で検討している地球環境問題については、それぞれの分野で環境をどう考えるのかが異なるので、環境省としては共通のプラットホームを作るような方向で努力していただきたいということを申し上げました。そうすると、こういう観測データ一覧表が出てくるわけです。各省庁のデータ収集の一覧表では大したことはないのです。具体的な問題の中で、この一覧表でどう使えるのか、また、環境省としての水環境行政をどう進めるかです。水質だけではなくて、もっと広い水環境行政の中で、司令塔として他行政機関に「どうしてください」とするかが大切で、そのことがあまり感じられないわけです。要するに環境省の持っている所掌事務とか、いろいろなことを考えると、無理なことを申し上げているのかわかりませんが、これから水環境行政のあり方の議論の中で、環境省の持っている役割は大変大事です。こういうリストが出てくるだけではなくて、実はこのリストでは大して使い物にならないということを示していただきたい。
 例えば、須藤先生の有明海の水質問題の委員会で私も委員として参加しています。有明海の水環境問題の中で、今まで私たちがやってきたことはどれだけ役立っているかということを突きつけられたときに、データがそれほど集積していないために大した答えを作れないというのが実情です。なぜこうかというと、水環境というものについてどう考えるか、起こっている問題についてどう考えるかということをあまり外に向かって言ってきてないし、関係省庁に対しても「絶対こういうことをやらなきゃならない」ということを言ってきてないということがあるのだろうと思います。私は関わっている水分野で、環境行政から核心に触れることを言われたときには、治水問題とか利水問題の中に環境を上手に取り入れることによって、治水も利水も環境も広がっていくことを知っています。それが大事なことなんだということを環境行政はよく知っていただきたいというのが私の思いです。
 2点目はお願いです。水環境行政というのは、環境省だけで行っているのではありません。他の省庁でどんなことをやっているのかということをもっと調べリストアップすべきだと思います。地球環境問題等、今後環境問題の中で、環境省がどういう役割を果たすのかを深く考えていただきたい。そのときには各省庁から相当議論が出て来て、「それは違うよ」と言うかもしれません。それでも何が大事なのかについて説得力を持つことを考えていただきたい。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、平沢先生、お願いします。

【平沢委員】 今回初めて、2回目から参加させていただきます。前回の議事録、膨大なものを送られまして、読んできなさいと言われて、ざっと見たのですが、様々な意見がほとんど入っていまして、そんなに言うことはないのですが、私なりの意見をあまり時間をかけないで述べさせていただきます。
 日本は資源のないところでものをつくっていますので、どうやってこれから生きていくのかという中で、水環境をどうするのだ、そういう視点が必要だと思っていまして、資源と環境とものづくり、この3つの接点の中で水をどうするのだということを、その3つをよくバランスをとって水環境のことを提言できたらいいなというふうに私はちょっと定性的な言い方で申し上げます。私も具体的な答えを持っていません。
 それと、そういう中で実際にいろいろやっていくと、今、先生が言われたことと同じことになってしまうのですが、水の用途というか、利用ですね、利水ということを考えつつ、その地域に合った水環境というものもあるのではないか。全国一律の流れというのはあると思うのですが、それよりもう少し地域ごとに目的に合って考えていく。実際それを取り締まるのは大変なのかもしれませんが、そういうふうな柔軟なシステムを考えられたらいいなと。
 それから、これも須藤先生と同じですが、いろいろ課題があるのですが、どういう順番でやっていくのか、その優先順位をぜひ考えていただきたい。それから、ぜひアジアを中心に考えて、アジアの中の日本あるいは日本の中のアジアということで考えていただきたい。
 最後に、先生と全く同じですが、私もいろいろな水問題をいろいろな省庁から聞かれ、僕はりんを結構やっているのですが、農水省さんもやっているし、下水もやっているし、環境省もある程度関係あるし、同じようなことをそれぞれやっていて、もう少し一元化して、戦略的にチーム日本でやれるような提言というか、そういうふうにすると、もう少し結果が見えてくるし、逆にその成果も、先生が言ったように、よかったかどうかという評価をして、直してというような、そういう取組がぜひこの提言で出たらいいなと思っております。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、中杉先生、どうぞ。

【中杉委員】 今までお話があった先生方と同じことを申し上げることになるかと思いますが、4番目で課題としていろいろ挙げていただいているのですが、今後の取組ですね。個別の課題なんですね。これがなぜ出てくるのかというところがはっきりしない。全体の俯瞰的な話をとらえなきゃいけないだろう。これは眞柄先生が言われた、50年前と今は全く状況が違うというところを踏まえてどうなのか。前回私が申し上げた話なんですが、霞ヶ浦の環境基準はずっとクリアできていない。けれども、その水を私はもう40年近く飲まされている。これは何なんだ。そういう意味では、水環境保全の目標とは何なのだ。これは環境省がやれる範囲を越えて、他の先生方がいろいろ議論されていますが、もちろん環境省がやれる範囲の話はありますけれども、全体を書いた中で、ここは環境省がやるのだという絵を描いていかないといけないだろう。そういう意味での俯瞰的な問題のところを書いて、その中でどうするかということがまず最初にないと、それがあってこそ、4番目で、だから、ここの問題がこうなんだというのが生きてくる、説得力が出てくるだろうと思います。それが1番目です。
 それから、これも前回申し上げたことをもう一回申し上げるような形になるのですが、これは他の省庁ともですが、他の法律との話で、水濁法と他の法律との絡みがものすごくあります。今回の例で言えば、事故の問題。事故の問題は、原因は水濁法以外のところがかなり絡んでいるわけで、それと水濁法がどういうふうに絡んで整理をするのか。そこら辺をやらないで水濁法だけが頑張っていてもしょうがない話だろう。これも含めて全体の俯瞰図を描いてもらう必要があるだろう。
 もう一点だけ申し上げますと、生態系保全の話で、これは化学物質の話というか、有害物質の話だけが出てきています。ただ、今、生態系を破壊している最も大きなものは、有害物質の濃度ではなくて、それが原因だとはとても思えない。そこの部分をどう考えるのか。生態系を保全しなきゃならなければ、そちらをちゃんとしてから化学物質の話をしないと、重箱の隅を突ついているような感じで、本来そんなところに生物が棲んでないというところで一生懸命化学物質の濃度を下げているような感じがして、そういう批判を受けないように、トータルで考えて、この部分はこうだという形で整理をしていく必要があるだろう。そういう意味では全部に共通するのですが、全体像が何なのかを踏まえて、その中で環境省として何をやるという個別の話に入っていく必要があるだろうと思います。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、笠松委員、お願いいたします。

【笠松委員】 大阪府の笠松でございます。前回欠席しまして申し訳ございませんでした。水環境をどう考えるかということについての方向性は、もう各先生がおっしゃっていただいていまして、そのとおりだと思います。一言言うと、水環境のゴールをどう可視化するか、ということに尽きると思っています。行政に関わっている者の立場から、逆に、どうするかというよりは、今現在困っていることを話させてください。これは大阪府の困っているというのではなくて、現場にいた者として私自身が感じているということで御理解いただきたいと思います。
 まず、データについてですが、これは皆さん御案内のとおり、データがないということについては、ちゃんと整ってないというのは、そのとおりだと思います。では、今後、我々として行政が税金を使ってどういうデータをとっていくか、ということについて、あまり議論がされていない。常時監視という形で、環境基準の設定されている河川については、こういうところでポイントを決めて測りましょう、という形になっているのですが、それがどんどん項目も増える。あるいは場所も増えるし、地元からの要望もあると。測るべきところはどんどん増えていくわけですね。ところが、何人かの先生方もおっしゃっていたように、予算的には完全に頭打ちになっています。では、どうすればいいのかというと、今まであまり出てなかったものを減らして、新しいものに転換するしかないわけです。タコが足を食っているみたいな感じ。そうすると、先生方からすると、データの継続性がないとまずそこで言われてしまうんですね。ところが、背に腹はかえられずで、そういうふうにして対応しているのが現状です。だから、困っている点で言えば、お金の問題ではなくて、本来、何を継続的に測るべきか、ということがあまり議論されてなかったように思います。
 では、大阪の場合、どうしているかというと、結局、事故時あるいは魚が浮いたとか、においが出たとか、そういうときに持って帰って即うちのセンターで分析する。「何が出たかわからないから、とにかく想定されるものをやってちょうだい」というので、そういう機関を今現在持っています。ただ、これもいつまで持たせてもらえるかわからない。ほとんどそういうものはみな「環境計量士の制度があるのだから、外注化したらいいじゃないの」という形でどんどん外注化の方に行ってしまいます。これも一長一短ありまして、確かに分析のやり方は決まっているのですが、サンプリングの仕方あるいは保存の仕方ということからすると、必ずしもそうでない。極端に言うと、今まで分析した人がかわってしまうと、データが急に変わっているというのがあり得ます。特にそれは薄くなればなるほど実際に出てきます。コストの面で安いところをとらざるを得ないということで、これでどうやって管理するのかなというのが困っていることの一つです。
 あと、時間をもらって申し訳ないのですが、2つだけ気になっていることを言いますと、1つは、異常時の場合にもあるのですが、降雨時に川の環境が大きく変わります。特に大阪は琵琶湖から京都を通じて淀川というメインの河川があるのですが、そこに流れ込む川あるいはその支川も含めて、流域下水道もあるのですが、合流式の下水処理場があります。そこは大雨が降りますと通常と違う水が出てきます。では、その水が水域全体に対してどういう影響をしているのですか、ということについて、まだそこまで正直、手が回っていない。つまり、下水を普及させるということに、あるいは処理できる範囲ではちょっとでも処理しましょうということに今まだそこまでしかたどり着いていません。
 実は、なぜこういうことを急に言い出したかというと、うちの知事が、大阪の淀川の支川である中之島のところの大川で、「川のきれいなことを証明するために俺に泳がせろ」と言っています。その川の上流に合流式の下水処理場が3つあります。雨が降った後やはり出てくるんですね。BODで見ると、2とか3ぐらいなのですが、果たしてそこで泳げるかというと、担当者はみんな首をかしげます。やめてほしいというのがあります。そういうような状態で、水の環境というのは何を指標にしてやったらいいのか、というのは、私自身困っていることの一つです。
 最後に、前回メモでお出しさせてもらって恐縮でしたが、大阪は多分に漏れずヒートアイランドしています。この原因の一つとして、都市部が乾いているというふうに表現していいと思っているのですが、緑も少ないですし、地肌がない、土がないわけですね。それがどうなるかというと、その場での水の循環がされてないというのが感じられます。大阪は地盤沈下の地域でしたので、地下水の汲み上げが制度的にできないことになっていますので、本当ならば、そういう小さな水を汲み上げて、その地域で撒くなり、一般の方に使ってもらうようなことをすれば、少しは町が冷えるのかなと思っているのですが、なかなかそれが思うようにいかないという現実があります。
 例えば、その結果、深いところはわかりませんが、表層地下水位は上がっていますので、地下鉄とか、建物の地下部では湧き水がいっぱい出ているんですね。それを汲み上げると、川に放れないんです。下水処理場に放ってくださいということに制度上なっています。要するに、せっかく出てきた水が使えないのです。何かその辺、制度上うまくいかないかなと思うのですが、ただ、地盤沈下という現象は大阪の人間は懲りていますから、「汲んでも大丈夫なの?」というのがわからないこともあって、利用できないというところもあります。何かいいお知恵をお借りできればと思うところです。
 とりあえずその3つほど。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、奥村委員、お願いいたします。

【奥村委員】 まず事業者の立場から申し上げたいと思います。今回の資料で、資料4−1でちょっと驚いたのですが、4ページ目の一番上の「背景」というところに「水環境の悪化」と書いてありまして、何か悪化しているのかなと。先ほど眞柄先生から、50年前にこの法律ができて、そのときに考えていたことに比べたら随分よくなったと。まるでこれは50年間何もやってこなかったと言っているのに等しいと。これはいくらなんでもひどいのではないかという点が1つです。
 それから、事故の方ですが、事業所でいろいろなものをつくっている立場から言いますと、どうしても事故というのは起こり得ます。もちろん防ぐために努力しているわけですが、この図を見ますと、折れ線グラフがやけに増えている。一方、事故時の措置という方は横ばいであると。特にかなり増えているのは、いわゆる事業場とはちょっと関係ないのではないかという感じを持っているのですが、私が言いたいのは、先ほどからお話が出ていましたが、ゴールが何かということが明確にされてないのではないかと思います。水環境は悪化していると。江戸時代と比べたら悪化しているだろうと思います。
 今後、水環境保全ということを考えるのであれば、時間軸といいますか、100年後こういう形を目指すのか、あるいは20年後なのか、そういったことなしにいきなりここにある「今後の取組」という個々の課題の話になると、今までと同じような話が続いて、報告書が出るたびに「悪化している」、「悪化している」という話が繰り返されたら、これは事業者だけではなくて、官庁も国もかなり予算を使ってきたはずですね。それで「悪化している」と。それだったら、それこそ環境省の水環境部局は廃止すべきだと言っても過言ではないと思うのです。私が言いたいのはそれだけです。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、太田委員、お願いいたします。

【太田委員】 この会議は、いつも局長がずっと出ていただいており、それだけの重要性があるのだろうという認識でおります。そこで、前回お話ししたことを切り口を変えてお話しすることになるかもしれませんが、私の意見を申し上げます。
まず、この委員会はある意味では行政と委員との共同作業でまとめていくものですよね。だから、事実を説明いただくのも結構ですが、行政の皆さん方からできるだけ情報発信、つまり、「自分たちはこう思うのだ」というのがないと、意見を申し上げて、それをとりまとめれば、良い結果が得られるということにならないと思うんです。特に行政は最後にまとめたものを施策に移していかないといけない訳ですから。
 施策という切り口でみても、今日出ている話題でも、例えば「事実確認をどうするんだ」という、調査みたいな世界もあれば、規制を含めた法律的な対応もあれば、あるいは事業で水質をよくするための具体的な、工事だけではないと思いますが、対策を講じるとか、あるいは運動論とか、極めて多様ですね。そういうものはおそらく全て環境省だけでは当然できない話ですので、これを曼陀羅とか、俯瞰とかと私は申し上げたのですが、様々な対応の関連を整理するところまで行き着かないと、せっかくの議論がもったいないなという感じがしています。
 例えば今のビジョンですと、目指すべき水環境として「既にこういうことを書いています」というのであれば、書いたことをいろいろな場面で言われていると思いますから、それをバーッと列挙いただいて、「皆さん、値頃感どんなところですか」とお聞きになり共通認識を形づくっていけばよいと思います。それも時間軸で見ると、時代によって変化すると思うのですが、時代毎の目標を社会にも発信するということが大切だと思うのです。例えば「自分達が泳げる水環境がいいんです」ということであれば、そういう話でもいいし。ただ、これも全国一律ということではなく、おそらく重点地域みたいな話があるように、地域によってだいぶ違いますよね。私も農林行政をやっていましたが、平地の農村と都市近郊農村と中山間と全く対応が違うわけですね。だから、それは一気に精緻にというのは難しいと思いますので、あらあらでいいですから、大きなエリア、ゾーン分けみたいなことをして、おそらくそれぞれで問題の所在も処方箋も違ってくるので、全体が見られるように整理いただくと非常にわかりやすいというのが1つです。
 その上で、具体的に何かアクションを起こすときに、時間もお金も限られているわけですから、まずこれが効くぞというものを把握することが重要ですね。逆に、現状認識については問題の大きさ、つまりどこを一番叩かなきゃいけないかを明らかにすることです。いろんなモグラがいますので、元凶のモグラを叩かなきゃいかんとすれば、これがそのモグラですと。そのモグラに対してどんな薬が効くのかと。効き方もいろいろとあると思いますので、これだとこのように効くという事実関係の整理が必要です。その上で、今まで取り組んできたいろんなことが効いているのと効いてないのとありますので、効いたものを使わないと、おそらく同じ失敗をしてしまう可能性もある。そういう意味では、過去のいろんな施策の検証みたいなことも係ってくるので、そういうものを整理いただくと、「ここだな」というのが見えてくるのではないでしょうか。
 特に今回、3つぐらい課題がプラスになったことについては、私はこのように勝手に認識しています。まずはともかく公害とかが大変になってきたので、健康だけ守らなきゃいけないということから始まって、やっぱりそれだけではいかんぞと。社会がだんだん向上してくれば、そこで泳げるとかも含めて、魚がいるとか、いろんなことを含めて、現状をもう少しよくしたいなとなりました。これからの時代は、いや、それだけじゃないぞと。今度は気候変動とか、いろんなものがまた来るので、押し寄せた状況においてもいいレベルの状況を守りたいねということだと思います。さっき奥村さんの言われたことでいうと、これまで大変なことが押し寄せてくるのを一生懸命頑張ってそれを突き返してきているわけですね。だから、インパクトというか、入ってくるものが大きくて、それに対して努力した結果として「変わってない」という現状がある。だから、ある意味では「変わってない」というのは大変なことなんだというようにも言えるのではないでしょうか。そういう意味で、要するにインパクトとか、問題の大きさ、そういうことを整理していただくと、先ほどの資料3−2の全体の課題が、これは事柄をずっと列挙してあるので、その関係性を整理いただき、ここが特にその中では問題なんですと言う点をあきらかにしていただく。例えば「事業者の不適正事案への対応」がどれぐらいのインパクトが本当にあるのか。確かにこういう質のものは問題だけど、この程度なら、対応しなくてもまあいいじゃないかとは言いませんけれども、事後にしてもいいんじゃないかという判断もありうると思うんです。そういう事柄を少し整理いただくと、だいぶわかりやすくなるのではないかと思って話をさせていただきました。よろしくお願いします。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、大木委員、どうぞ。

【大木委員】 埼玉県の大木でございます。自治体の立場から何点か、特に生活排水対策について、前回、1回目の検討会で最後に須藤先生がおっしゃってくださった内容ですが、一つ、前提のようなことですが、汚水処理人口普及率、下水道、合併処理浄化槽、農村集落排水施設等の整備なんですが、これが埼玉県で平成20年度は87%。全国が85%ぐらい。埼玉は、前回も申し上げたのですが、大体全国の縮図のようなところでございます。
 ただ、これには一つの盲点がありまして、下水道は普及率で考えているので、実際には接続していないものが、埼玉を例にとれば、7%とか8%ある。そうすると、生活排水処理率が87とか85といっても、実際にはもっと低いわけですね。80%いくか、いかないか。全国でいうと、そういうことになると思います。ですから、そういう意味で生活排水対策、たぶんまだ2割ぐらいについて浄化槽対策がしっかりやられていく必要があるし、さらに残りの部分について今後整備していくときには、特に人口が少ない地域になっていくわけですから、浄化槽対策については、かなりの優先順位で取り組んでいく必要があるのではないかと思います。
 それから、生活排水対策重点地域についてですが、埼玉では6カ所ほどあるのですが、比較的新しく、平成13年とか14〜15年に重点地域に指定した荒川の上流とか都幾川の上流、そういうところで非常にうまくいっている。つまり、そこで推進計画を作るのですが、通常こういうのは、いわゆる計画のための計画になってしまうのですが、非常にいい計画で、今7〜8年あるいは10年近くたってみても、着々と進んでいる。浄化槽中心ですが。なぜかというと、当時、重点地域の指定を受けないと市町村整備型の浄化槽整備事業ができなかったと。当時、特定地域何とかと言っておりましたが、そういったことで地元のほうがそれをやりたいと。そういうことから、重点地域に指定してほしいというふうな一部の市町村、それを広げていったということで、何か施策をうまく組み合わせて、結果的にそうなったのですが、そういう形でいくと、計画というのもわりと地に足のついた形でできていくのかなというふうに感じました。
 それから、これは全く個人的な意見ですが、水循環とか水資源ということをいった場合に、いつも引っかかるのは、地下水がタダだということ、これは地盤沈下の問題などとも絡むのですが、地下水が、管理はされているし、報告も来るし、いろいろなマクロの水循環の計算というのもなされているわけですが、地下水が基本的にタダだというところで、水循環が切れてしまっているのではないかというか、何となくそういう気がいたします。ですから、これはとても自治体でできる話ではないのですが、かなり大きな話として、例えば地下水が有料になったとする。それを地下水のモニタリングなり、水資源の管理のほうで使っていく。そういうふうなことをしていかないと、「水循環」といっても、絵は描けても、なかなかそこに踏み込んでいけないという気がいたします。これは個人的な意見です。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、及川委員、どうぞ。

【及川委員】 中小企業団体中央会の及川でございます。資料4−5あるいは資料4−8、中小企業を含めて大変厳しい企業環境の中で、ますます企業は余裕をなくしている中で、こういった事故あるいは不適正な事案が増えないように考えなきゃいけないと思っています。逆に言うと、それだけ今後とも中小企業を中心に企業が大変余裕がない、余力がない、特に雇用面について、そういう厳しい現状が続くのかなと思っています。
 資料4−8の4ページでございますが、例えば生活排水処理施設の整備が重要で、また、啓発のところですが、「10〜30%程度削減」という数字も出ています。もしこういった生活排水処理施設が設置できるのであれば、20〜30%削減できますよ、というようなわかりやすいラベリング方式みたいなやり方で進むのがよろしいのかなと思っています。要するに、中小企業の環境が厳しい中で、規制、規制というだけでは、今後ともあまり進まないのではないかというような感じを私は持っています。
 資料4−9でございますが、2枚目に「汚染原因者の主たる業種」というのが出ていまして、先ほど洗濯業とかの御紹介がありました。ここの業種が大変数字が高いということがあると思います。これはサービス業ですので、大変小規模、零細企業が多いのかなと思っています。これだけはっきり業種的に数字が出ていますので、重点的な業種別対策が効果があるのではないかと感じております。
 資料4−11でございますが、「地球規模の」というところですが、こういった国際貢献というところであれば、「環境技術で世界に貢献する」という切り口はぜひ必要だと思っています。
 資料4−13は、私自身知らない世界で、今後考えていく上で大変重要な資料であると思っています。先ほど来「可視化」ということが出ていると思いますが、可視化を考えるときにも、この資料にある「統合」というキーワードでぜひ可視化を進めていっていただければありがたいと思っています。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、石原委員、どうぞ。

【石原委員】 福島県の石原でございます。前回、1回目のときは、一つに絞ってということで、事業者の事故時の対応等についてお話しさせていただきました。今回は別な視点で2点ほどお話をさせていただきたいと思います。
 具体的には、水質の環境保全を考える上で、委員の皆様方が今までお話しされているとおりだと思います。これまで水質の保全については、産業系の排水の規制とかがずっと中心となってきておりまして、さらにそれについて上乗せ規制とか何かというよりは、むしろ事業者に対しても自主的な取組とか、あるいは国民にも水環境に対しての配慮した行動とか、こういった部分も非常に重要ではないかと思っております。
 水生生物の類型指定を福島県でしたときに、県レベルの審議会がございまして、そういうところで諮問し答申をいただくといった中での意見の一つを照会させていただきますが、というのは、水生生物をこれから保全していく水環境ということで、亜鉛についての濃度が環境基準として当てはめになるという説明の際、そういうことではなくて、「そこに魚がいるということが大切なのではないか。魚がたくさんいるということもそうですし、昔はメダカもいたんだよ。」ということでした。
 これは何を意味するかといいますと、どうも見ている方向が、少し違うのではないか。水生生物保全に係る水質環境基準を考えるに、魚がそこに棲むということは、水質の問題もありますけれども、例えば水環境としての河川河床がどういうふうになっているか。たしか河川法の改正が数年前にあって、三面張り禁止ということで、そちらの方は国交省で対応してきていると思いますけれども、まさに何をそこの水生生物保全の水環境としてとらえるかといったときに、いくつかの委員の先生方からもございましたように、国としてどういうふうに取り組んでいるのか、どういうデータがあるのか。国土交通省ではこういうふうにやっているよ。農水省ではこうだ。そこのところを環境省として、水環境としてどういうふうにとらえるのか。全体的にコーディネートするのも私は環境省だと思っています。まずその辺を整理した上で、国民、我々からいえば県民ですが、説明していかないと。先ほど申しましたように、工場・事業場に対する規制ではなくて、国民の理解と協力が益々重要な時代になってきている。協力を得るためには、科学的なデータをもとに論理的に説明をしなくてはならないということもございます。また、インセンティブを与えるような取組というのも必要かと思っています。そういったところを考えて、リーダーシップをもってやっていただけるのが環境省だというふうに期待しております。まず、それが1点でございます。
 もう一つは、閉鎖性水域についてでございます。湖沼法については、汚濁された湖沼の水質の回復を目的として法律ができています。また、そのおそれのある湖沼が指定湖沼として対象になる。閉鎖性水域については、一度汚れてしまえば回復が困難だということで、こういうふうにできているわけで、湖沼法の対象の指定湖沼についても、なかなか水質が回復できないとすれば、費用対効果ではございませんが、汚染されていない湖沼、こういったところについて何らかのところの検討とか取組というのも手を加えるべきではないのか。これは湖沼法制定の際の衆参環境委員会の附帯決議の中にもありますので、その辺をもうちょっと検討すべきではないかと私は思っているところでございます。
 あわせて閉鎖性水域のところについて申し上げれば、海域とかについては自然由来の汚濁負荷というのは少ないのかもしれませんが、今日の資料を見させていただきました琵琶湖の例などを見ても、湖沼は自然由来の汚濁というのは3割とかを占めるわけです。私のいるところはもっと田舎なもので、湖沼の汚濁負荷で自然由来の占める割合というのはもっと多いわけです。もう少し自然由来以外の汚濁負荷に対して規制ができたり、対策できるかなというところはあるわけですが、面源の負荷の低減も取り組み対象になってきているということでございますので、自然由来の汚濁についても、例えば植林だけではないと思いますが、もう少し何かあるのではないか、そういうところに検討を加えていただき対策として方向性を示していただきたいと思っております。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、浅野先生、どうぞ。

【浅野委員】 いろいろな御意見が出たわけですが、まず、奥村委員からのご発言についてですが、ご指摘の資料のうち、4ページで、「悪い」ということがどこに書かれているか申しますと、1995年に書かれた「水環境ビジョン」の報告書にこの表が載っていて、そこに「水環境の悪化」ということが書かれているわけです。それから既に十何年たっているわけですから、今の段階でなお同じように「悪化」と言っているわけではないというのをまずお断わりしなきゃいけないということと、ここで「悪化」というのは、奥村委員がご懸念の、事業者が一生懸命になって汚染の対策をやってきたことを無視しているのではないか、とお考えの水質汚濁問題だけを言っているのではないということを指摘しておきたいと思います。ここで言っている「水環境」とは、水質汚濁だけでなく、「河川流量の減少」「湧水の枯渇」「親水機能の低下」「水に育まれた文化の喪失」「地盤沈下」「生き物の生息環境の悪化」など含めて、広い水環境の悪化・劣化が問題だと言っているわけです。その文脈の中での「悪化」ですから、決して汚染の問題を言っているわけではないということをまず御理解いただきたい。
 それからもう一つ、これはこの検討会のメンバーにそんなことを要求するのは無理ですから、しょうがないのですが、ちょっとだけ困ったなと思うのは、環境省は、というよりも、国は、三次にわたって環境基本計画を作っており、その中に書かれていることは、法律家的な感覚でいうと、全て国民は知っているはずだということになっているのですが、基本計画の中で「水環境のあるべき姿」という点については、綿々と1994年以来書き続けられているわけで、第三次計画にもそのことを書いているわけです。先ほど御指摘があったように、水環境の理想像を場面に応じて記した上で、さらに流域ごとの特性に応じて将来像を設定・関係主体の協働による地域づくりを進めるべし、といった指摘が行なわれているのです。それを頭の中に入れた上で議論しているつもりなのですが、少し委員の間でこういうこれまでの水環境行政の積み上げに関する認識のギャップがあるような気がします。
 もう一ぺんこの検討会に、環境基本計画の水環境の部分に何を書いているかというのを資料として提供しておかないと、混乱が起こるかなと思います。それを認識した上で、それでもなお、環境基本計画に書いていることや実際の状況には大いに問題がありますね、と言われることは一向に構わないし、私も不足だと思っていますから、まだまだ論ずるべきことはありますが、少なくともここまでは書いてある、考えてきているということを前提にして議論しないといけないのだろうなと思います。
 それから施策を、各省がばらばらにやっているというのは、おっしゃるとおりですが、この件に関しても、環境基本計画は、政府が閣議で決定した計画であることが幸いして、この計画に書かれたことについては各省が一生懸命になって実施してください、そして各省がどれだけのことをやったか、毎年毎年ちゃんと中央環境審議会に報告してください、という仕組みが組み込まれております。そこで各省には、総合政策部会で毎年かなり厳しく、指摘をし、点検結果を閣議に報告するということにもなっているわけです。ですから、サボっている役所は、そこで首をすくめて帰らなきゃいかんということにはなっているわけです。ただ、そうは言いながら、今日の委員の御意見を聞いていて、私もそうだと同感するのは、縦割りの弊害は毎回総合政策部会でも指摘されているのですが、それにしては水環境部があまりにも弱腰、各省に対してもっと強く言わなきゃいけないところを言ってないということは感じられるところ、と思います。だから、今日多くの委員から、環境省がちゃんとリーダーシップをとるべきだとのご発言があったことは、大変な応援だと思って聞く必要があるだろうと思います。
 その上で、これも何となく古くからかかわってきた人間の常識で言ってしまうと申し訳ないのですが、大体法律をいじろうかなというときに手順があって、いきなり審議会で議論しないで、まず下ごしらえする。それから次は審議会にかけて、どうしましょうという議論をやっていくのがこれまでのやりかたでした。そのやり方からいえば、この検討会には、おっしゃるように、大きなビジョンを描くということも期待されておるのですが、そこは実はもうすでに中央環境審議会でこれまでにもちゃんとやっている面もあるわけですね。それを前提にした上で、それらがさらに今日どうなのかということをもう一回洗い直した上で、さらに具体的には水環境に関連する法律の中でどこが不備なのかをはっきり整理しましょう。それもすぐ手を着けてやれることはすぐやるし、少し時間をかけて議論してやらなきゃいけないことは、時間をかけてやりましょう。場合によっては水環境の法律を越える部分についても口出し、手出しをして、もっと全体を直すということも提言しなきゃいけませんねと、こういうことが役割として期待されているのだろうと思うのです。
 本日各役員のご発言、一々ごもっともで、私も全部メモさせていただきましたからこれを整理すれば、いろんな論点の抽出ができると思っておりますけれども、とりあえず中間的なとりまとめという段階で本日ご発言があったことを全部こなすことはまず無理でありますから、スピード感をもって事を進めるためには、水環境に関する一応基本となっている水質汚濁防止法に今欠けている点については、すぐにでも次の通常国会で直しておきましょう、もっと時間をかけてやらなきゃいけないことは、もう一国会分ぐらい時間をかけてやりましょう、というようなことを考えておかないと、次の通常国会の玉がなくなってしまいます。そこで、玉つくりというのをやらなきゃいけないわけです。そうしますと、今、喫緊の課題は、現行法でどうしても穴が空いてしまっている点は、いわゆる事故が起こったときの対応についてでして、あまりにも現行法は事故の概念がギチギチしすぎていて、実情にあいません、という問題です。
 第2番目は、不適正事案について何とかしなきゃいけません。これは現行法がやや甘いのではないかということがある。この辺はやらなきゃいけませんし、それからちょっと時間をかけなきゃいけないのですが、大企業がよくやっているのはよくわかっているのですが、どっちかというと、未規制のところが結構負担をかけているのに、そこは何にも手が打たれてない。とりわけ面源負荷というのは、本当になかなか手の打ちようがないので、何とかしなきゃいけないということは前から言われていますから、この辺のところはどうしたらいいのかと知恵を絞って、すぐはできないかもしれませんが、考えなきゃいけないことだろうと思います。
 さらに、地下水汚染の防止についてどうするのだということがあるだろうと思います。これもちょっと時間をかけなきゃいけませんが、やらなきゃいけない。こんな手順になるだろうと思います。
 それにしても、今日の先生方の御意見を伺っていて、私は本当にそうだと思いました。前から思っていたのですが、今の法律は、基本的には公害対策時代の枠組みから一歩も出てない。つまり、工場公害モデルから進歩してないのです。そこを何とか突破しないと、というのが松尾先生が中心となって作られた「水環境ビジョン」だったわけです。その精神が必ずしも水環境部では生かされていない。だから、前回、これをもう一回読み直せと申し上げたわけです。そこをもう一回よく読んでいただいたら、工場公害モデルからどういうモデルに変えたらいいのかということが提言されているのだけど、こと水濁法の世界に関して言うと、水環境ビジョンで言っているようなことをすべて今の水濁法の枠組みの中に入れることは、はっきり言って、不可能です。これはとても出来っこないことを書いています。
 では、どうしたらいいのかというと、工場公害モデルから一歩出て、面源負荷をどうするんだ、中小・家庭系をどうするんだ、というところを、おっかなびっくり工場公害仕様の法律の中に下水の整備とか何とかと書いていた点をもっと正面に出さなきゃいけません、こういうことなんだろうと思います。つまり、工場公害モデル時代に作った水濁法の模様替えをしなきゃいけない。おそらく、「特定施設」「有害物質」という枠組みもそろそろ限界がきている。だから、「有害物質」という言葉をやめて、「第一種水質汚濁物質」「第二種水質汚濁物質」「第三種水質汚濁物質」と直すだけでも随分違ってくるし、「特定施設」にしても、もっと上手な言い方をして、その中に特定施設が含まれるというような仕掛けに変えなきゃいけない。そういう構造の変化をやっていかないと、身動きできませんよ、ということが今日のいろんな御意見の中で出ているのだと感じております。
 ただ、この検討会でこれから仕事をしていくためには、それだけをちまちまやったのでは皆さん全くファイトがわかないので、どうせやるのだったら、眞柄委員が言われるように、長期のゴールと、それも50年先とかということを言って、それもちゃんと考えて言わなきゃいけないだろう。水環境ビジョンは残念ながら温暖化は考えてなかったので、50年先、 100年先とかのことは言っていないのです。先ほどふれた環境基本計画にしても、今どうかということを言っているだけで、健全な水循環のありかたとしては、できたら昭和30年代に戻したいね、ぐらいのことしか言ってないから、それも一方でこれやり、しかし他方では、50年先どうなんだという議論は必要でしょう。
 特に今日言われたことの中で大事だと思ってお聞きしたのは、温暖化ということももう一つあるのですが、少子高齢化ということがあって、これから先の日本の社会がどうなるかということがはっきりわかっているわけですから、その中で、今与えられている水の賦存する資源をどううまく利用するか、そういう観点から50年先を考えてどうするのだということをやらなきゃいけないですね。それを考えたゴールをしっかり示す。
 それから、EUなどで既に水質のターゲットについては、日本とはちょっと違った考え方が出ていて、しかも、それは地域別にちゃんと考えなきゃいけないというので、いっぱいある。そんなのがありますから、我が国で使えるものは使うということをやっていく。これは少し時間をかけてもいいことですから、当面直ちにこの検討会がやらなきゃいけないのは、さっき私が申し上げたように、とにかく今の水濁法でどうにもならない点は、早く次の通常国会でいじってくださいということを政府にお願いしなきゃいけない。それもここで言っただけでなく、審議会で言うことが効果的ですから、そこに行くための仕事はスピード感をもってやりながら、全体構造としては、皆さんがおっしゃることはよくわかるので、それが生きたような報告書になるということが大事ではないかと思います。

【須藤座長】 今、浅野先生が水環境保全の在り方を構造的に御説明いただいたので、概ねそれでまとめになるのですが、今までで抜けていることを2〜3追加しておかないといけないかと思っていますのは、一方で、先ほど事務局からあったのですが、中環審の中の公害防止取組促進方策小委員会ですか、浅野先生と私がこの中では入っているのですが、水質事故の対応、不適正事案への対応というのは、大気も含めて、共通の部分をそこでやりましょうとなっているんですね。その辺の部分は、私はそのときの会議で発言しているのですが、概ねそっちに任せて、そこは迅速にやる、にしていただきたいということを1点申し上げておきたいと思います。
 それから、生物、生態系の問題というのはいっぱい出ているのですが、化学物質の問題で亜鉛とか、いろいろ問題は、私は承知の上でずっとやってきているので、私の責任もあるのですが、生物のいろいろな問題を、例えば米国や英国なんかも、生物でバイオアッセイで工場排水を管理しようとか、環境を管理しようというのは、いくらでも実際に、先ほど浅野先生のお話のように、あるんですね。この辺のところを環境省は勉強を始めているのですが、早めにこういうことをどんどん入れていかないとまずいなと思うことと、最後に、環境基準でCODを測ったって、ずっと同じだと言われていて、皆さんもいやになって、CODの話をしなくなってしまった。結局、水環境の理想像なり、そういう問題と、そういう利水目的の観点からの基準値に乖離がありすぎて、指標としていいのかどうかというところは早めに、だめならだめでいいんです。実は私はCODなんか測らなくてもいいかなと思っているのですが、しかし、これが一番大事な指標になっているんですね。そういうこともあって、「お前がいる限りはCODはTOCに変わらないんじゃないか」とみんなに注意されているのです。私は「そんなことはない。私はそんなにCODを愛しているわけじゃないんだ」と言っているのだけど、そういうふうな問題もあって、その3点については、皆さんが今まであまり言わなかったので、それを付け加えておきます。

【中杉委員】 浅野先生が、今やらなきゃいけないことと言われたけれども、私も須藤先生が言われたような話で、ゴールの話が一つ大きな問題だと思うんですね。そのゴールを今のままで決めておいて、そこが問題だからといって拙速にやったときに、今度大きな議論をしたときに全然変わってしまうことがあるだろう。だから、そこら辺をしっかり議論して、それを踏まえながら、今やらなきゃいけないことを議論すべきであって、拙速は避けるべきだと私は思います。

【須藤座長】 「拙速」と言ってはいけないのですよ。今すぐやらなくてはいけないことが残っているものはやりましょうということで。

【中杉委員】 その方向がいいかどうかを確認してやってください。

【須藤座長】 それは議論しなくてはいけないと思いますね。
 では、この辺から1時間ぐらい議論をすると、本当は白熱していいのですが、お約束した時間を少し過ぎていますので、その他の議題として何かございますか。それと、いくつか質問もあったのですが、ここでお答えになると、また時間が延びてしまうので、いずれかの方法で、第3回目か何かにお答えいただいた方がいいかと思います。その他の議題はどうでしょう。

【森北水環境課長】 いろいろ御意見いただいたものは、こちらの方でも整理をして、次回、お答えできる分はお答えしたいと思っております。
 それと、次回、今日の御意見を踏まえて、今は事実関係といいますか、そういったデータをお示ししたところだけでございますので、もう少し我々の考えも含めて整理をしてお示しできればと思っております。

【須藤座長】 わかりました。結論は一言で言ってしまえば、環境省はもっとしっかりせいということだと思いますので、水環境行政についてどうやってリーダーシップをとったらいいのか、ということをお示しいただいた方がいいのではないでしょうか。その上で、先生方の学術的な意見、行政的な意見あるいは技術者としての意見を入れていくのが最も早い道だろうと思いますので、ぜひ伊藤審議官を中心に頑張っていただいて、強いリーダーシップをとれるようにこの機会にもう一度決意をしていただいて、部下もいっぱいいらっしゃるでしょうから、ぜひ一丸となって方向性を示していただきたいと思います。
 それでは、まだ御意見があると思いますが、もしあれば、個別に森北課長なり富坂補佐に言っていただきたいと思います。
 第3回、4回目も決まっていましたよね。それだけ御紹介ください。

【森北水環境課長】 次回は、11月20日(金)で、時間は今日と同じ4時からということで予定をさせていただいております。よろしくお願いいたします。

【須藤座長】 わかりました。
 それでは、大変熱意あふれた議論をしていただきましてありがとうございました。予定より10分ちょっと超えてしまいまして申し訳ございません。議事進行がまずかったのですが、貴重な御意見をいただけて大変ありがたく思っております。
 これをもって本検討会は終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。

――了――