環境省水・土壌・地盤環境の保全水環境関係今後の水環境保全に関する検討会

今後の水環境保全に関する検討会(第1回)議事録


1.日時:
平成21年9月4日(金)10:00〜12:05
2.場所:
中央合同庁舎第5号館共用第8会議室
3.出席委員:
浅野直人、石原道男、及川 勝、大木貞幸、太田信介、岡田光正、
   奥村 彰、須藤隆一(座長)、田中宏明、中杉修身、福岡捷二、
   細見正明、堀口健夫、森田昌敏
環境省: 
鷺坂水・大気環境局長、伊藤水環境担当審議官、木村総務課長、
森北水環境課長、田中土壌環境課長、大友農薬環境管理室長、
是澤地下水・地盤環境室長、富坂水環境課課長補佐     ほか
4.議題
(1)検討会の設置について
(2)水環境の現状と課題について
5.議事録

【森北水環境課長】 まだ田中委員がお見えになっておりませんが、定刻となりましたので、ただいまから第1回今後の水環境保全に関する検討会を開催させていただきます。
 私は環境省水環境課長の森北でございます。座長が決まりますまでの間、進行を務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、議事に先立ちまして、私どもの水・大気環境局長より御挨拶を申し上げます。

【鷺坂水・大気環境局長】 おはようございます。水・大気環境局長の鷺坂でございます。本日は、委員の皆様方には大変多忙な中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より水環境行政に御協力、御指導いただいておりますことをこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
 水環境行政についてでございますが、いわゆる旧水質二法が施行されてから半世紀が過ぎております。かつての激甚な水質汚濁は改善されてきているとは言いますけれども、例えば閉鎖性水域においては必ずしも水質の改善が十分ではないというふうに承知しておりますし、また近年、多様な有害物質による土壌や地下水の汚染等の懸念が生じているなど、環境保全上の目標やリスク管理の在り方を含め、新たな施策の展開が求められているところでございます。
 一方、地球温暖化に伴う気候変動により降雨量や水生生物の生息環境に変化をもたらすことが懸念されるなど、21世紀におきまして、水環境問題は地域の汚染問題から非常にグローバルな地球的規模の問題に至るまで非常に幅広い観点から検討することが必要ではないか、このように考えている次第でございます。
 今回、こういったことを考え、水環境保全の在り方について検討していただきたいということで、この検討会を開催することとした次第でございます。
 環境省といたしましては、こういった検討会の場の皆様方の御意見、御指導、御協力等もお願いを申し上げまして、水環境行政を取り巻く様々な課題について的確に対応してまいりたい、このように考えているところでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 簡単ではございますが、私からの初めの挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いします。

【森北水環境課長】 ありがとうございます。
 では、続きまして、委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと思います。お手元に資料1、検討会委員名簿を配布しておりますので、それを御覧いただきたいと思います。
 本日は14名の先生方に御出席いただいております。私のほうから出席の先生のお名前のみ御紹介をさせていただきます。
 まず、浅野直人委員でございます。
 石原道男委員でございます。
 及川勝委員でございます。
 太田信介委員でございます。
 大木貞幸委員でございます。
 岡田光正委員でございます。
 奥村彰委員でございます。
 須藤隆一委員でございます。
 田中宏明委員でございます。
 中杉修身委員でございます。
 福岡捷二委員でございます。
 細見正明委員でございます。
 堀口健夫委員でございます。
 森田昌敏委員でございます。
 環境省の出席者を御紹介させていただきます。
 先ほど御挨拶申し上げましたが、改めて鷺坂水・大気環境局長でございます。
 伊藤水環境担当審議官でございます。
 木村総務課長でございます。
 田中土壌環境課長でございます。
 大友農薬環境管理室長でございます。
 是澤地下水・地盤環境室長でございます。
 富坂水環境課課長補佐でございます。
 以上でございます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 お手元の議事次第の下に配布資料ということで項目をあげさせていただいております。資料1、資料2、資料3−1から3−4、そして参考資料、以上が配布資料でございます。
 不足がございましたらお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、座長の選出をお願いしたいと思います。事務局といたしましては、須藤委員にお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様方、いかがでございましょうか。
             〔「異議なし」との声あり〕

【森北水環境課長】 ありがとうございます。
 それでは、須藤委員に座長をお願いしたいと思います。これからの議事進行につきましては、須藤委員によろしくお願いいたします。

【須藤座長】 かしこまりました。それでは、議事進行役を務めさせていただきますが、一言御挨拶だけ申し上げてから進めたいと思います。
 先ほど鷺坂局長からもお話がございましたように、水環境は、それなりの推進はあるものの、現在もなお山積している課題が非常に多いということで、この「今後の水環境保全に関する検討会」が開催されたと事前に伺っております。そういう中で、委員の先生方、大変御多忙の中をお引き受けいただきまして、また、本日もお繰り合わせ御出席いただきましてありがとうございます。限られた時間と限られた回数ではございますが、どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
 また、本日は大変多数の傍聴の方もおいでいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
 それでは早速議事に入りたいと思います。
 議事は、お手元の議事次第にございますように、2つ用意されておりまして、最初は「検討会の設置について」ということでございまして、この検討会の設置の意義やスケジュール等についてお話がいただけると思います。それでは、事務局から御説明ください。

【森北水環境課長】 それでは、資料2でございますが、「今後の水環境保全に関する検討会」の設置要領、1枚紙を配布させていただいております。
 この検討会の目的・趣旨につきまして、伊藤水環境担当審議官より御説明をさせていただきます。

【伊藤水環境担当審議官】 水担当審議官の伊藤でございます。よろしくお願いします。
 冒頭、鷺坂局長からもお話がありましたとおりでございますが、今年はいわゆる水質二法が施行されてちょうど50年目ということでございます。政府として本格的に水質保全に関する取組を開始してから既に半世紀を過ぎたわけでございます。この間、産業界あるいは地方公共団体をはじめとする関係方面の皆様方の御努力によりまして、水俣病の原因となるような激甚な水質汚濁は改善してきた次第でございますが、湖沼や閉鎖性海域ではまだまだ改善が十分ではないという状況にあります。また、様々な有害物質による公共水域や地下水、土壌の汚染を未然に防止していくことが国民の健康の保護の観点から極めて重要な課題になっているということでございます。
 このような状況におきまして、環境保全上の目標としての環境基準の在り方ですとか、あるいは今、要監視項目ということで指定しております物質についてのモニタリングや未然防止の在り方、あるいは排水口での規制に重点を置いていましたこれまでの規制の在り方、公平の観点も念頭に置いて、小規模事業場や面的負荷への的確な対応をしていかなければならないのではないか、こういった様々な課題があると思っております。
 これを全体としてどのような考え方に基づきまして、どういったことに重点を置きながら進めるのかといった点について、全体として整合性のある形で整理し、その上で行政を大きく展開しなくてはならないのではないか、こういうふうに考えている次第であります。いわば水環境行政を進めるにあたっての芯といいましょうか、背骨といいましょうか、そういったものをきちっと確立し、その上で新たな展開、大きな展開を図っていく必要があるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
 こういったことにつきましては、これまでも中環審の場あるいは様々な場で、須藤先生あるいは浅野先生、森田先生などから「しっかりやれ」ということを御指摘いただいてきたわけでございますが、こういったことを踏まえまして、今回、この検討会を開催させていただき、今後の水環境保全・行政の在り方について幅広く検討していただきたいと考えている次第であります。
 水環境保全に関する課題といたしましては、先ほど申し上げましたことに加えまして、気候変動に伴う影響といった地球的規模での重大な問題もございます。また、足元では、企業においても、あるいは地方公共団体においても、経験豊富な人材が退職し、力が弱まっているのではないか、こういった問題もあろうかと思います。また、一部の企業では、公害防止の基準超過の隠蔽とか、あるいはデータの改ざんが行われていることも明らかになってきております。このようなことも含めて、いろいろ課題はあるのではないかと思っております。
 なお、後ほど御説明申し上げますが、別途、環境大臣より中央環境審議会に対しまして、「今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について」諮問が行われおります。中央環境審議会の大気環境部会・水環境部会の合同部会が設けられまして、審議が行われようとしているという状況でございます。この合同部会におきましては、大気、水共通の課題であります排出測定データの未記録・改ざんへの対応策あるいは緊急時の対応策等について審議が行われることになっております。
 大気、水共通の課題につきましては、中央環境審議会を中心に議論が行われるということになりますが、本検討会におきましても水環境保全の観点からいろいろ御議論をいただき、必要に応じて本検討会での検討状況あるいは検討結果を中央環境審議会の審議に反映させていただきたいと考えておりますし、また、中央環境審議会での審議の状況につきましても本検討会において御報告していきたいと考えております。特に中環審の議題の例にあがっております「緊急時の対応策」といったことにつきましては、水環境特有の問題があるのではないかと考えております。具体的には、大気と比べて水の緊急時対応の範囲が狭いのではないか、こういった問題意識も持っておるわけでございますが、ぜひとも本検討会でいろいろ検討していただきたいと思います。
 この水環境行政を大きく展開していくためには、早急に取り組まなければならないこと、あるいは少し時間をかけて方針を決めていかなければならないこと、いろいろあると思います。中央環境審議会での審議の状況も見ながら、本検討会でも機動的に検討を進めていただければと考えている次第であります。
 水環境行政は、気候変動の問題あるいは生物多様性の保全の問題と並んで、今後の環境行政の重要な柱であると考えている次第であります。我が国の水環境行政を大きく展開していくためにも、本検討会において十分かつ活発な御議論を賜りたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

【森北水環境課長】 設置要領につきまして、今、目的・趣旨について審議官より御説明申し上げましたが、その続きで、設置要領の2番の構成でございます。これは、ここに書いておりますように、学識経験者、事業者、地方公共団体の関係者で委員を構成するということで、全体で19名の委員の皆様方にお願いをいたしております。
 (2)のところで、この検討会が必要とする場合には、臨時委員を置くことができる。そして、必要に応じて、座長の了解を得て、参考人を出席させることができる、というふうにいたしております。
 検討事項につきましては、水環境保全の現状と課題を踏まえまして、今後の水環境保全の在り方について議論していただくということでございます。
 あと、座長、事務局についての記載がございます。これが設置要領でございます。
 なお、設置要領には記載しておりませんが、この検討会は公開でさせていただいております。資料、議事概要につきましては、環境省のホームページに掲載するということにいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
 以上、設置要領についての御説明でございます。

【須藤座長】 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの設置要領について御質問あるいはコメントございますでしょうか。
 伺っていますと、水環境の全てについて対象に論議をする、こういうことであって、何かに限定しているわけではございません。ただ、一方では、中環審のほうで大気と共通する部分の、特に法的な措置、緊急措置などのことについては議論するということのようでございますが、ここでそれを取り上げないということではなくて、ここでも取り上げてくださって結構でございます、というふうに伺ったわけでございますので、その辺の部分は相互に関連しながら、報告し合いながらやっていくということでございます。この検討会は、水環境のあらゆる全てのことについてやるけれども、ただ、整理しながら、どこで、何をどういうふうにやっていくかというのは、整理の段階の決めていって、早くできるものは早くやるし、来年、さらにその次というふうにいくものだったら、それはそこで整理していく、こういうふうなことでございますので、全てであるというふうな御理解で進めていきたいと思います。第1回でございますので、範囲を限定しないで進めていくことにしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 ということで、やってみないともちろんわかりませんが、それと、水環境、先ほどいくつかの当面する問題、今までの反省等もお話がございましたが、これについて水環境課のほうで整理していただいておりますから、「水環境の現状と課題について」ということで、まずは事務局としての整理を伺った上で、先生方の御意見を伺うということでございますので、資料としては一括して全て御説明いただいた上で、先生方からそれぞれ御意見を伺おうと思っております。まずは事務局のほうから資料について御説明ください。お願いします。

【森北水環境課長】 それでは、事務局のほうから資料3−1〜3−4、さらに参考資料も配布させていただいておりますが、それにつきまして一括で説明をさせていただきたいと思います。その後、委員の皆様方には水環境保全に関する課題についてフリーにディスカッションをいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【富坂水環境課課長補佐】 それでは、資料3−1から順に御説明させていただきたいと思います。
 資料3−1「水環境の現状」ということでまとめさせていただいているものでございます。既に御承知の事項が多いかと思いますけれども、ざっと御説明させていただきたいと思います。
 まず、公共用水域の水質汚濁ということでございまして、現在、公共用水域、地下水に関して、政府の目標として水質環境基準が定められております。水質環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準ということで1ページ目にまとめてございます。こちらにつきましては、昭和45年に初めて設定されておりまして、公共用水域でのモニタリングということで昭和46年度から開始しております。当時は8項目でございましたが、順次追加され、現在では26項目指定されております。
 こちらの主な項目について、下の図は、基準の非達成率ということでございまして、環境基準を超過している測定地点数を示しております。測定開始当初の昭和46年には相当数の超過地点が見られておりましたが、しばらくして規制の効果などによって非達成率が極めて改善されているという状況でございます。
 また、平成5年に鉛及び砒素についての基準を改定している。いずれも厳しくなっているということで、基準超過状況が高くなっている。こちらについては、自然要因によるものが多いということでございます。
 また、環境基準項目以外に、人の健康の保護に関連する物質ではありますけれども、公共用水域等における検出状況などから見て、引き続き知見の集積に努めて改めて検討するべき項目として「要監視項目」というものを設定しております。本文中、「平成5年に22項目が設定され」となっておりますけれども、「25項目」でございます。訂正させていただきます。現在では27項目ということでございます。こちらにつきましては、現在、行政上の通知という形で項目の指定をさせていただいております。
 2ページ目にその関係を示させていただいております。環境基準項目につきましては、環境基本法に基づく政府の目標ということで現在26項目定めております。要監視項目ということで、引き続き知見の集積に努めるべきと判断された物質について27項目、さらに「水環境リスク」に関する知見の集積が必要な物質ということで「要調査項目」というのを300物質群定めております。
 平成5年に環境基準項目15物質追加、1物質削除しておりまして、要監視項目の新規項目25項目設置しておりますけれども、それ以降の平成11年、ふっ素、ほう素等3物質追加、現在検討しております環境基準項目については、全て要監視項目から環境基準項目への指定替えというような状況になっております。
 3ページ目でございます。生活環境の保全に関する環境基準ということでございまして、人の生活環境に密接な関係のある動植物などを含めて、水の状態についての指標ということで、BOD、COD、pHなどの10項目が指定されております。それから水生生物保全の観点から全亜鉛ということで指定しているものがございます。
 特に水のきれいさというものを表す指標としてBOD又はCODが現在一般的に使われておりまして、上の図でございますが、全体としては85.8%の基準の達成状況ということでございます。中身を見てまいりますと、河川については段階的な改善が見られているのではないか。ただし、海域、湖沼については達成率としては横ばい、特に湖沼については達成状況として低いというような状況でございます。
 下の図は参考ということで、水質の実際のデータの推移ということでございまして、全部を平均で丸めたものでございますが、河川については長期的に低減傾向、湖沼についても若干低減傾向が見られておりますけれども、なかなか改善されていない。海域についてはあまり変動が見られないという状況でございます。
 同じく生活環境の保全に関する環境基準でございますが、水生生物の保全に関する環境基準ということで、平成15年に全亜鉛が初めて指定されているということでございます。こちらにつきましては、現在、環境基準項目として全亜鉛1項目、要監視項目としてクロロホルムなど3物質が指定されているということでございます。
 水生生物の基準につきましては、有用な水生生物及びその餌生物並びにそれらの生育環境の保護を対象としているものでございます。
 表として水生生物の現状ということで示しておりますけれども、汽水・淡水魚類、貝類、藻類、こういったものが水に関する生物ということでございまして、絶滅のおそれのある種ということで相当数が挙げられている状況でございます。
 5ページ目でございますが、水環境の保全対策ということで、実際に政府としてとられている対策を御説明いたします。
 先に6ページを御説明させていただきます。水質汚濁防止法の体系を示しておりますが、基本的には、排水が適正に処理されるようにするための様々な規制的な措置をとっているということでございます。
 一番左上に「特定施設の設置の届出」というところがございます。排水を排出する工場・事業場については、まず行政、都道府県あるいは水濁法の政令市のほうに届け出て、正しい施設になっているかどうかという書面審査あるいは必要に応じて計画の変更命令を行うことになっております。
 こちらの手続を経まして、中段でございます第2条、「特定事業場」という形で行政上確認されるということでございます。この特定事業場に課せられた義務として、一つは排出水を排水基準以内に収めるように処理をすること、そういった汚染状態について測定・記録することということがございます。
 これらが正しく行われているかどうかということについて、一つは工場・事業場に対する立入検査を行うことになっている。あるいは一番下の段にございますが、公共用水域、河川、海域などにおける常時監視を自治体の側で行うということになっております。それらの措置についても様々書いてございます。
 前に戻っていただきまして5ページでございます。水質汚濁防止法に基づく対象事業場ということで図として示してございます。昭和46年当初、10万事業場程度でございましたが、現在、30万事業場をちょっと切るというような状況で推移しております。排水の量が特に多い、生活環境項目の規制がかかる日量50m3以上の排出事業場は3万5,000程度ございます。有害物質を使用している特定事業場の数は1万5,000程度あるということでございます。
 7ページでございます。閉鎖性海域における対策ということでございまして、先ほど海域、湖沼においての基準の概観について御説明いたしましたが、海域におけるCODの環境基準の達成状況は、横ばい程度の状況になっているということでございます。
 全窒素・全りんということで下の方に示してございます。最近のところ若干の改善傾向で推移しているという状況でございます。
 8ページでございます。富栄養化対策ということでございますが、水質の状況を表す指標としてCODが現在用いられているところでございますけれども、これらの閉鎖性海域については、富栄養化を防止する観点から、窒素及びりんに係る排水規制を行っているところでございます。
 また、水質総量削減対策ということで、閉鎖性海域に流入する河川あるいは排水を排出する事業場に対しての負荷量の総量を削減していくという取組をこれまでに行ってきているところでございます。
 9ページでございます。湖沼における対策でございますが、こちらにつきましては、現在、湖沼水質保全特別措置法に基づいて特別な対策がとられている湖沼について御説明してございます。こちらの湖沼について、COD、窒素、りんについての水質の推移をお示ししております。他の水域に比べて極めて高いレベルではございますけれども、若干の改善あるいは極めて高いところについては、劇的な改善を見せているところもございます。ただし、なおまだ改善が必要な状況であるということでございます。
 10ページに、現在の湖沼水質保全計画が策定されている11指定湖沼の位置図が示してございます。昭和61年以降指定されておりまして、最新のものでは八郎湖が指定されているという状況でございます。
 11ページは、湖沼水質保全特別措置法の体系図でございます。まず、環境大臣が湖沼水質保全基本方針を定めることになっておりまして、こちらを受けて、各都道府県において湖沼についての特別な対策が必要であるという判断があった場合に、指定の申出というものを受けて、環境大臣が指定湖沼及び対策をとるべき指定地域の指定を行うということになっております。これを受けて、都道府県において湖沼水質保全計画を定め、これに基づく水質保全に資する事業の実施ですとか、汚濁負荷削減のための上乗せ規制あるいは流出水対策地区、湖辺環境保護地区の指定をするといったような形で直接の対応策をとっているという法律の仕組みになっております。
 12ページでございますが、変わって地下水の汚染の御説明でございます。地下水につきましては、現在、健康項目に関する環境基準が定められておりまして、こちらのモニタリングが行われております。地下水につきましては、測定のポイントを全部一に決めているわけではございませんで、地下水の状況が全般的にどうなっているかということを調査するための概況調査、地下水の汚染が判明した場合の継続的にその状況を確認するための定期モニタリング調査が行われているところでございます。
 まず概況調査について、公共用水域と同様に低い状況で推移しているところではございますけれども、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、砒素については数%程度の検出状況が見られております。また、こちらについて継続的なモニタリング調査ということで申しますと、硝酸性窒素が継続的に増えているという状況でございます。
 地下水の汚染対策ということで13ページでございます。今御説明しましたような水質の常時監視を行っておりますけれども、直接の対策として、有害物質の地下浸透禁止、事故時の措置、汚染された地下水の浄化等の措置命令、そういった対応がとられることになっております。特に地下水の飲用があるかどうかということが重要でございますので、もし飲用が判明した場合の飲用指導なども重要になってくるところでございます。
 特に硝酸性窒素による地下水汚染が課題となっておりますので、こちらについての汚染防止、浄化の手法の確立に向けた調査を行っているところでございます。
 14ページでございます。水質汚濁による被害状況ということでございまして、現在、河川等において、水の被害という観点から申しますと、一つは水道等の利水に対する障害ということで、水道水の異臭味の課題がございます。平成19年には82の水道事業者において170万人を対象とした被害が生じております。
 また、水質事故ということで申しますと、油類とか化学物質の流出等によって事故が起こっておりまして、下のグラフにありますように、経年的に増加傾向にあるということでございます。
 水質汚濁防止法において、こういった水質事故について措置をとることとなっておりまして、こちらの方で把握している数字、全国ベースで400から500件程度、少しずつ増加傾向にあるという状況でございます。
 15ページでございますが、健全な水循環の確保ということでございます。これまで御説明してきた内容は、主に水質の面からの保全ということでございましたが、水質に加えまして、当然、水量というものも重要でございますし、水生生物の保全の観点から、あるいは水辺地環境の保全、そういう全体の水環境というものを守っていく必要があるということで、これは環境省だけではございませんで、関係省庁にも絡んでくることでございますけれども、全体の健全な水循環の構築に向けた取組が必要であるということで、環境基本計画においても、重点分野として位置付けられておりまして、それぞれの取組が行われているという状況でございます。
 16ページでございます。世界の水問題の現状ということでございます。日本においては、水道、下水道などの汚水処理ということで相当程度達成されているわけでございますが、世界に目を向けてみますと、現在、安全な飲料水を利用できない人口が8億8,400万人、トイレなどの基礎的な衛生施設を利用できない人口が25億人以上ということでございます。
 世界的にこういった方々の生活を改善していくということで、国連ミレニアム開発目標として、平成15年までにそういった方々を半減するといったような目標を設定しておりまして、こちらについての取組が日本としても求められている状況でございます。
 7番、地球温暖化による影響ということでございます。気候変動に関する政府間パネルの第4次評価報告書において、気候システムの温暖化は疑う余地がないという判断が出ております。特に水関係における影響については、湿潤熱帯地域と高緯度地域では水利用可能性が増加するけれども、中緯度地域と半乾燥低緯度地域では水利用可能性が減少する、あるいはそういったことによって水不足の深刻化が起きてくるであろうという予測がされているところでございます。
 また、地域的に見ますと、水の蒸発散量の増加とか水温の上昇等が見られてきまして、それによる渇水の発生あるいは水質の悪化、地下水の塩水化、そういったものが水環境に対する影響として示されているという状況でございます。
 日本の国内ということで、18ページにいくつかの事例を載せてございます。気温上昇あるいは水温の上昇により、水害の発生とか、気象上の変化が既に起きているのではないかという報告がございます。
 以上、水環境の現状ということで概観説明させていただきました。
 続きまして資料3−2でございます。事務局におきまして、水環境保全に関する課題の例ということで示させていただいているものでございます。事務局の問題意識ということでまずは御紹介させていただきたいと思います。
 1番の水質環境基準(健康項目)の設定ということでございます。現在でも水質環境基準27項目を定めているところでございますけれども、こちらにつきましては、現在、水質汚濁防止法に基づく排水規制を基本的にかけているという状況でございます。また、健康項目の設定にあたっても、そういった規制の必要性ということも含めて設定しているという状況でございますが、例えばモニタリングは必要であるけれども、規制としては予防的な対応でいいのではないか、あるいは事故が起こって、環境中に放出されたときの緊急時の対応、こういったものが必要な項目。これらについて環境基準は少なくとも設定するべきではないか、という問題意識が第1点目でございます。
 あわせまして、現在、要監視項目、要調査項目という形で行政上の情報として出しているものがございますが、こういったものの法的な位置付け、役割についても整理する必要があるのではないか、という問題意識でございます。
 2番目は、水質環境基準の生活環境項目でございますが、御説明いたしましたように、現在、水のきれいさというものを表す評価項目としてBODあるいはCODを用いているわけでございますけれども、これらの指標は激甚な公害時代に定めたものでございまして、現時点での水質悪化現象あるいは国民の実感にそぐわないのではないか、という指摘がございます。こういったものについて、BOD、CODが使われておりますけれども、これを補完あるいは代替する目標を設定すべきではないか、というのが2番目の課題として考えております。
 3番目としまして、水環境における生態系・生物多様性の保全という観点でございます。水質保全という分野から見ますと、現在、水生生物の保全に関する環境基準を定めております。また、これに対応した排水規制を行っております。こちらにつきまして、生態系・生物多様性の保全といったことを考えていきますと、そういった物質・項目の規制ということだけではなくて、さらに幅広い施策を考えていく必要があるのではないか、という課題でございます。
 4番目は、閉鎖性水域における水質改善ということでございます。こちらにつきましては、既に環境省としても湖沼法あるいは総量削減という形で検討を重ねてきておりますけれども、湖沼においても達成率が依然として低い状況である。あるいは海域においても近年横ばいとなっているなど、更なる改善が必要になっているという状況の中で、今後どのような対策に重点を置くべきであろうか、という課題でございます。
 5番目は、未規制の小規模事業場や面源負荷への対応ということでございます。現在の排水規制は、比較的規模の大きな事業場を対象として排水規制という形で厳格なものを定めておりまして、それ以下のものについては、各自治体などにおいて、それに準じた対応を行っている、あるいは行っていないという状況がございます。こういった小規模事業場について、何らかの排水対策、規制以外のものも含めてだと考えておりますけれども、そういった対応を考えていくべきではないか、という課題でございます。
 裏に参りまして、地下水・土壌汚染の未然防止対策ということでございます。本年、土壌汚染対策法が改正されまして、土壌汚染の対策が強化されたわけでございますが、地下水に関しても土壌とあわせて未然防止対策という形で、今の土壌汚染は、既に起こってしまった土壌汚染をどうするか、という課題でございますけれども、未然防止対策を強化していく必要があるのではないか、という課題でございます。
 7番、公共用水域における水質事故への対応ということでございまして、油とか化学物質、こういったようなものが環境中に出てくるといった水質事故が増加傾向にあるということでございまして、こちらの防止対策の充実とか対応の迅速化といったものを考えていく必要があるのではないか、という課題でございます。
 8番の事業者の不適正事案への対応ということでございます。こちらは別途、小委員会のほうでも検討していただくことにしておりますけれども、排水データの改ざんとか、排水基準違反といった不適正事案が近年報告されております。こういったものについての制度的な対応をとる必要があるのではないか、という課題でございます。
 9番目、環境保全上健全な水循環の確保ということでございますが、第3次環境基本計画において、この分野は重点分野として掲げられておりますけれども、特に環境省だけでは対応できないような問題もございますし、環境省として取り組むべき課題もございます。関係省庁と連携して、どのような点に重点を置くべきなのか、という課題でございます。
 10番目、地球規模で深刻化する水問題ということでございますが、現在でも世界で水問題が起こっております。また、地球温暖化、経済発展、人口増加といったものによって今後さらに水問題が深刻化していくことが懸念されております。特に世界の水問題については、日本にとっても重要な問題でございますので、今まで日本が解決してきた水分野に関する解決策、技術、経験、こういったものをどのように生かしていくか、という課題がございます。
 最後でございますが、地球温暖化による水環境への影響の懸念ということでございまして、もう少しローカルに見てみますと、例えば多摩川などで外来熱帯魚が繁殖している。琵琶湖において、気候変動によって、今まで起こっていた水の浄化槽の循環が行われなくなってきているのではないか、といういくつかの指摘がございます。こういった水分野において気候変動に関する影響の解明、適応策ということで今後検討していくべきだと考えておりますけれども、どのような戦略で進むべきなのか、という課題。
 以上、11、御説明させていただきました。
 資料3−3につきましては、改正経緯についてざっと概観しておりますので、御覧ください。
 資料3−4は「検討スケジュールについて」ということでお示ししております。本日第1回目ということでございますが、大体月1回ペースで議論させていただいて、第4回、今年中に中間的なとりまとめという形で一通りの方向性を議論していただければと考えております。
 なお、小委員会のほうでもこの中間的なとりまとめについて御報告する、あるいは逆に小委員会での議論についてこちらの水検討会のほうでも御紹介させていただくという形で進めさせていただきたいと思っております。
 また、今年中に一通りのとりまとめをお願いしたいと思っておりますけれども、それ以降についても継続的な議論をしていき、来年秋ぐらいに最終とりまとめということで考えておりますので、よろしくお願いいたします。

【森北水環境課長】 続きまして、総務課長のほうから小委員会についてお願いいたします。

【木村総務課長】 お手元の参考という資料を御覧いただければと思います。先ほど来、説明の中で言及させていただいておりますが、中央環境審議会大気環境・水環境合同部会の下に「公害防止取組促進方策小委員会」を設置するという件でございます。
 趣旨のところですが、近年、環境問題が多様化している。これは地球温暖化問題とか、廃棄物・リサイクル問題、こういったような問題が今非常に重視されているということで、相対的に従来の公害防止対策に対する注目度が低下しているということは否めないと思います。それから、公害防止対策を取り巻く状況は構造的に変化しているということにつきましては、そういったような重点が他の環境問題に移っているということに加え、先ほど伊藤審議官からも話がありましたけれども、自治体、企業、いずれにおいても、公害問題が非常に大きな社会問題であった時代に大量に企業、自治体に入り、その問題を担ってきた人たちが退職している、そういったようなこともございます。そうした中で、昨今、基準の遵守の確認等、公害防止対策の的確な実施の必要性が高まっているということでございます。
 このようなことを背景として、環境省において「効果的な公害防止取組促進方策検討会」というものを開催し、平成20年4月に報告書をとりまとめたということでございます。 その報告書の概要を最後のページに付けさせていただいております。「検討の背景」にございますように、また、先ほど来、何回か言及されていますが、一部の大企業などにおいて排出基準超過あるいはデータ改ざんなどの不適正事案が発生したということ、それから、環境問題の多様化、公害防止エキスパートの退職等を背景とした、事業者、企業、地方自治体における公害防止管理業務の構造的な変化が背景にあるということでございまして、この検討会報告書では、まず基本的な考え方として[1]〜[3]にまとめていただいております。[1]法令から運用レベルまで、様々な方策を組み合わせた総合的な対応、[2]事業者及び地方自治体における自主的な取組の促進、[3]事業者、自治体による管理から社会的な情報共有によるオープンな管理へ、ということでございます。基本的には水濁法、大防法とも昭和45年の公害国会で抜本的に強化され、基本的な構造はそのまま今に至っておりますが、今の時代背景、この「検討の背景」に述べているようなことを踏まえたときに、今のままの枠組みだけで十分なのか、というような問題意識からこのような基本的な考え方が導き出されていると考えております。
 具体的な方向と方策ということで、事業者における取組の促進、地方自治体における取組の促進、横断的な方策、こういった3つの分野に分けて、それぞれ柱になるような項目について御提案いただいているところでございます。
 最初のページにお戻りいただきまして、こういったような検討会報告書が昨年4月にまとめられているところでございまして、おまとめいただきました報告書の中で、運用の改善等で対応できる部分については、対応を進めてきたところでございますが、効果的・効率的に公害防止を実施するために、制度的な対応の必要性も含めて検討をする必要があるのではないか。その際に、大気環境分野と水環境分野を横断的に見て検討を深めていただく必要があるのではないか、という問題意識から、今年の8月19日付けで環境大臣から中央環境審議会会長に対して、今後の効果的な公害防止の取組促進方策の在り方について諮問が行われたということでございます。
 諮問文は裏のページに付けさせていただいております。諮問内容、理由等は、先ほど来申し上げているようなことでございます。
 この諮問を検討するにあたりましては、先ほど申し上げていますように、大気、水にわたる横断的な検討が必要であり、所掌内容も中環審の大気環境部会と水環境部会の両方に係るものでございますので、大気環境・水環境合同部会というものを設置しまして、そこにこの諮問の審議を付議した。大気環境部会、水環境部会両方の委員の方々全員にお集まりいただきますと、非常に大きな人数になりますので、さらに調査審議を専門的かつ集中的に進める観点から、両部会所属委員の御了承を得た上で、この合同部会の下に「公害防止取組促進方策小委員会」を設置いたしました。合同部会の部会長は、水環境部会の部会長の松尾先生を会長のほうから御指名いただいておりまして、小委員会のほうは、大気環境部会長の坂本先生を松尾部会長のほうから御指名いただいております。松尾部会長には小委員会にも御参加いただくというような形をとっております。
 主な検討事項は、ここに4つ書いておりますが、これは例示でございまして、基本的には先ほど説明しました検討会報告書を土台にしながら、さらに緊急時の対応等、先ほどこの検討会の検討事項で挙げられている部分の中で、特に大気の施策との比較において検討することが適切なものについては、ここで御議論いただいてはどうかということでございます。
 スケジュールですが、9月29日に第1回を開催し、答申のとりまとめを年内目途に行っていただくという方向で、月1回程度、関係者からのヒアリングもはさみながら御審議いただくということをお願いしたいと思っております。
 小委員会の構成ですが、小委員長の指名によりまして、3ページ目にあります委員の皆様方に御参画いただくということになっておりまして、全員の御承諾もいただいております。基本的には水環境部会と大気環境部会のメンバーの皆様方のうち、特にこの問題に関係が深い委員の皆様方に御参画いただいた上で、さらに先ほどの検討会報告書のとりまとめに御参画いただいた委員の皆様、さらに自治体の現役の幹部の皆様にも若干名御参画いただく形で審議を進めていただくことにしております。
 以上でございます。

【須藤座長】 大変要領よく全部の資料を一括して事務局のほうから御説明いただきました。今ちょうど会議の予定の真ん中の時間になったわけでございまして、残り約1時間足らずでございます。私が冒頭に申し上げましたように、本日は、委員の皆様から、水環境の全て、日頃お仕事等々をして、あるいは研究を通して考えられていることを、先ほどの事務局の資料3−2にこだわらなく、出していただいて、将来考えるときに抜けがないようにしたいと思いますので、先生や委員のお立場で結構でございますので、順番に、長々とやると時間オーバーしてしまいますので、今日14人の先生がいらっしゃいまして、若干整理する時間もございますから、一人3から4分に限定して、名簿の順で、私が指名しては失礼でございますが、浅野先生から順番にお願いしたいと思います。
 質問などは後でまとめて御回答いただくようにいたしますので、ずっと委員の先生のお話を伺いたいと思います。お願いします。

【浅野委員】 事務局の整理は大変よく整理できていると思います。ただ、資料3−3は水濁法を中心に書かれていますので、これだけではちょっと足りないなという気がするわけです。
 1996年のことですが、松尾先生が座長になられて「水環境ビジョン」というものが出されたわけです。これは、環境基本法ができ、環境基本計画が作られた後、それまでの公害中心の環境政策を大きく転換するという最初の動きであった。つまり、水環境行政はこのときに大きく転換を図る糸口を作ることができた。この報告書は大変大きな影響を与え、まもなくの、河川法の改正というようなことにもつながったわけです。河川行政の中にも環境の視点をしっかり入れてもらえるということになったのは、このビジョンの影響であったと思います。
 ですから、このように環境基本法制定、環境基本計画策定後のあらたな環境政策確立という時期にリーダーシップをとった水環境行政であるにもかかわらず、その後の動きを見ていますと、すこし動きが乏しいことが問題だと思うわけで、この段階で改めて体制をたてなおそうということは、まことに適切であると思います。
 今日の資料に課題として挙がっているものの中で、「水環境ビジョン」の中で書かれていることに落ちているのは[10]と[11]だけです。1996年当時、既に地球問題以外の政策課題は意識されていたということをもう一ぺん思い出す必要があると思います。
 その上で、我々は、これから水環境全体をどうするか、という議論もあるのですが、しかしながら、もう一つの視点として、水濁法という枠の中でできることをできるだけやらなきゃいけないということがあります。つまり、大きく転換しようとしている水環境行政の中での水濁法の役割とか機能というものをここでしっかり考えなきゃいけないと思います。今までは何となく当然に水濁法が水環境行政の骨格と思っていたわけですが、むろんすでに水環境ビジョンの時期から気づいていたように、それだけではなくなってきているのだろうと思います。しかし、そうではないということは踏まえながらも、環境基本法の下で大きい地位を占める水環境行政の中での骨格となる水濁法をより適切に機能させる必要がある。
 そこで、ポイントは、既に問題意識としても出されていますけれども、これまでは、環境基本法等にもとづく環境基準があって、それを実施するための水濁法というふうになっているわけです。ところが、今や水環境の領域でも環境基準というものは、水濁法の前提としての環境基準を越えた存在になりつつあるし、そこをちゃんと生かしていかないと、環境基準そのものが時代に対応できなくなっている。特に生物の点に着目した環境基準は、規制と連動させるということをしゃにむに考えたために、どうしても先に進まないわけです。ですから、元来、環境基準というものはあくまでも政策目標である。その中のどの部分を水濁法でシェアするのか、どの部分は水濁法以外の手法でシェアするのか、ということをこの検討会ではきちっと整理をして示していく必要があるのではないか。その上で、水濁法の枠の中で足りない部分はどこかということをもっと明確にする必要があると思います。
 これも問題意識として既に出ていますけれども、特定施設を中心に排水規制という水濁法の枠組みは、既に生活雑排水のところでは取り払われていて、新しい道が開かれていますが、そこが十分に意識され、強化されてきてないわけです。相も変わらず特定施設を中心にというふうに思い込んでいるのですが、既に突破口を開いているわけですから、開いている突破口をどうやってもっと実のあるものにするか、ということが大きな課題ではないかと思います。
 それから、環境基準そのものについては、たびたび申し上げていますが、水だけではないので、水、大気両方にわたって環境基準全体の分類のし直しと位置付けをやるべきだろう。同じように環境基準といっても中身がばらばらなんです。ばらばらなまま要監視項目とか要調査項目をまたさらに環境基準の中に入れていったら、収拾がつかなくなると思うので、むしろ環境基準についても一ぺん整理し直して、規制に直結するようなタイプのものと、リスクマネジメントにつながるものと、もっと政策全般にわたって取り上げなきゃいけないものとの分類をやってみるとか、機能分類はぜひこの中でやる必要があるだろうと思います。
 3番目は、土対法を改正したのですが、土対法はもともと土壌汚染防止法ではない。土壌汚染防止のかなり重要な担い手である水濁法が、土壌汚染防止法としては必ずしも十分に機能しきれてないわけですから、土対法を改正した立場から言うと、水濁法の責任は重いと思いますから、そこをちゃんとやらなくてはいけないと思います。

【石原委員】 私は自治体の立場ということでお話をさせていただきたいと思います。
 いくつかございますが、特に常日頃思っていることで、公共用水域における事故時の対応でございます。私は福島県でございまして、人口200万超くらいですが、年間に公共用水域の事故が100件をちょっと超えるぐらいです。大体7から8割ぐらいがいわゆる油の流出、これは工場・事業場だけではなくて、家庭のものとかも含みますけれど、その他残りは原因不明とか、化学物質の流出事故でございます。水質汚濁防止法の中で、油と有害物質についての事故時の措置等が規程されておりますが、昨年は2件ほど対応に苦慮した部分がございます。
 具体的な事例をお話しした方がいいかと思いますが、スチレンの流出とジメチルホルムアミド、こういった化学物質の流出事故で魚が死んだりしておりまして、魚類に対する影響とか、人にとっての有害性、有毒性の判断、こういうのも事故があると、瞬時に我々行政のポジションで求められます。というのは、流れている水を下流で取水している場合、上水道を止める必要があるかどうかとか、田んぼに入った場合にどうするのかとか、このぐらいのオーダーだったらどうなるのかと。実際判断に利用できるデータのあるものもございますが、特殊な化学物質でありますと、工場・事業場である程度持っている必要がある。我々としてはMSDSとか、いろいろな資料で調べるのですが、必ずしも十分ではない。ということで、ある程度のところで判断せざるを得ない。それも速やかにですね。
 こういったことを踏まえれば、私、今日初めて見させていただきまして、公害防止取組促進方策検討会というところでの報告書の概要の中に「事業者及び地方自治体における自主的な取組の促進」というのが挙がっています。事業者のリスクコミュニケーションというか、リスクの管理という部分だろうと思いますが、そういったところは自らどういうものを扱っていって、外に出た場合にどういうふうに影響するのか、こういった部分についてしっかりと意識を持って事業者が自らやっていただかなくてはいけないのではないか。
 あわせて、行政のほうとしては、どういう体制で、通常測定していない、モニタリングの対象になっていないものを速やかに分析して、どういうふうに判断しなくてはいけないのか、こういった部分が課題として求められていると思っております。
 加えて、先ほど冒頭に話をしましたが、水質汚濁防止法の事故時の措置の規定があのような形でいいのかどうか、そこも御検討いただければ非常にありがたい。
 いくつかございますが、長くなってしまいますので、とりあえず1点だけお話をさせていただきました。

【及川委員】 私のほうからは中小企業という観点からお話をさせていただきたいと思っております。
 御承知のように、日本の企業は420万事業所ありますけれども、99.7%が中小企業、そのうち雇用が7割を占めているということでございます。したがいまして、今回の水環境保全の今後の在り方について考えるときも、ぜひ中小企業の観点、頑張る中小企業、もう少し頑張っていただけばこういうふうになりますよ、というような観点から、中小企業が手に届くような関係で今後の在り方をぜひ進めていただきたいと思っております。
 そうしますと、特に中小企業の問題ですと、人とか、お金とかという問題がございますが、特に最近、情報化についての格差、大企業がいろんな形で情報を持って新しいビジネスに出られるのですが、中小企業はなかなかそうはいかない。特に情報的な手法によって、あるいは経済的な手法でもよろしいかと思いますが、中小企業が水環境に取り組むことが自分の経営にプラスになるのだ、というような観点からぜひ御審議いただきたいと思っております。すなわち、ともすれば、規制、規制でまた中小企業に業務負担あるいはいろんなコストがかかるという観点を少し変えていただくような新しい考え方の視点が必要なのではないかと思っております。
 それと、課題の[10]で地球規模で深刻化する水問題とか、[11]の地球温暖化による水環境への影響というのがございます。日本が今後、特に中小企業が新しく進出する分野というのは、環境分野だと言われていますが、特に水処理関係の水の管理については、ヨーロッパに比べて日本は大変遅れています。大変先進的な部分もあるのですが、特に水処理、膜の分野とかというところが、今後、中小企業にとっても新しいビジネスチャンスになるのかなと思っていますけれども、そういった新しい、日本の企業が貢献できるという観点からも、[10]とか[11]の分野について考える必要があるのではないかと思っております。

【太田委員】 私はこれまで農業用水や農村地域の水質問題、さらには水資源供給者としての立場での仕事をしてきたわけですが、法律ができて50年というのは大きなテーマですし、せっかくの機会なので、この検討会の場をどうしていくかということも頭に置きながらお話しさせていただきます。
 御提案いただいた中身については、浅野委員も御指摘いただいたように、これまでのことが網羅的に整理はされていますけれども、私の印象ですが、水・大気環境局の皆さんの関心事項にすっと入っていかれて、我々は少し置いていかれている感じがするのです。
 もう一つは、どうしても所掌事項でやれることというイメージが強い感じがします。もう一度フォーカスを少し引いて、全体を俯瞰するような整理をすれば、局長あるいは須藤座長がおっしゃっていたような方向に向けて、議論のスタート地点に戻れるのではないでしょうか。
 なぜこういうことを言っているかと申しますと、参考の「報告の概要」の一番頭の「公害防止の取組強化に向けた基本的な考え方」の中に、3番目で「事業者、自治体による管理から社会的な情報共有によるオープンな管理へ」と書いてありますね。これは非常にいいことだと思うのです。要するに、私も霞が関でかつて仕事をしていたわけですが、実は一生懸命やっているのだけれども、なかなか自分たちのことが伝わらない。社会の人々がそれを理解しないと、結局、物事は前へ進まないという意味で、一度曼陀羅的にといいましょうか、全体を整理いただくと、今こういう状況になっているのか、それから、ここがポイントだな、ここまでやられているのか、がはっきりしますね。そうすれば、おのずと、やらなきゃいけないこと、あるいは時間的な緊急度とか、そういうものも整理していけるのではないか。その整理の仕方としては、現状ペーパーなのでしょうが、少しそこに将来も入れながら、今こういう状況ですよ、それはこういうことでこうなってきたのだと。だから、恐らく時間軸と平面軸的なことになると思うのですが、水平軸、垂直軸みたいな整理をいただくと、議論が、今ここの議論をやっているのだというのがはっきりしてくるかなという感じが非常にいたしました。そうした中で中長期的課題が絞り込めるのではないでしょうか。
 事務局が先ほど言いましたが、既に少し先行されているので、皆さんは当然このことに日々取り組まれているし、委員の中にはそういうことに相当関わっている方もおられますけれども、ぜひ傍聴の方も含めて、皆がついていけるような感じで、それを追体験させていただくといいのではないか。追体験するのだけれども、追体験する中で、いや、こういうこともあるんじゃないかというのは、当然いろんな知見をお持ちの委員の皆さん方ですから貴重なご意見がいろいろ出てくると思います。そういうものが盛り込めていけば、かなり建設的なものになるのではないかというふうに感じています。
 それから、先ほど及川委員からもありましたが、農業も似たところがありまして、規制、規制ということではなくて、インセンティブというのでしょうか、やったら何かいいことがあるなというものに、これはもちろん、水環境課の所掌あるいは水・大気環境局だけでやれるわけではないと思っていますけれども、そういうものも含めて、せっかくやるのですから、風呂敷を少し広げて何か答えが出ていけばいいかなという感じがします。

【大木委員】 埼玉県水環境課の大木と申します。自治体の現場の観点から2点ほど発言させていただきます。
 公共用水域の水質汚濁ですが、埼玉県は大体全国を縮図にしたようなところがありまして、都市もあり、山もあり、田んぼも多いというところであります。BODの環境基準の達成率も20年度でようやく全国並みの90%台に乗りそうだということであります。多少の前後はあるのでしょうが、90%ちょっと超えたくらいのところにいきそうだと。ただ、まだ達成してないところを詳しく見ていきますと、例えば二つとか三つとか、そういうところはたぶんまだかなり時間がかかるのではないか。それは単に有機汚濁だけではなくて、有害物質もちょっと絡んだりというふうな、問題河川というと問題があるのですが、そういうふうなところが残っている。これは、例えば大気汚染の場合でも、SPMとか窒素酸化物で最後にどうしても都市の構造上残ってしまうようなところについて、いわゆる局地対策というのをやるわけですが、川についても、ある程度、局地というのではないのですが、特定の流域対策のようなものをやっていく必要が出てくるのではないかと思っております。これは手法としてはいろいろ考えられるのでしょうが、条例でやる、あるいは自主的な取組としてやる、地域の取組としてやるというふうないろいろなことがあると思うのですが、そういうことも今後必要になってくるのではないか。近々必要になると思っております。
 もう1点は、同じ指標としてのBODの考え方なんですが、先ほど水質の悪化現象とおっしゃられたのは、意味がよくわからなかったのですが、私は、BODは有機汚濁のほう、わりとラフな指標としてはとてもわかりやすいのではないかと思っております。ただ、かなり数値が小さくなってきているという段階で、先日、山梨大学の風間先生が雑誌に書いておられましたが、かなり水質のいいところ、例えばAA類型、環境基準でいうとBOD1というところで、測定の委託業者が変わった年にわずかだけれども環境基準をオーバーしてしまったと。それは因果関係はもちろんわかりませんけれども、そういうふうな話もありました。BODの場合は、御承知のとおり、測定というのが、分析者があらかじめどの程度になるかと予測しながら分析するということがありまして、委託、委託で今進んでいますので、分析者が現場からどんどん離れていくというふうなことも多少関係があるのではないかと思っております。そういう意味では、BODはいいと思うのですが、低濃度化してくる中で、例えばTOCとか、そういうもので補完していくということが今後必要になってくるのではないかと考えております。

【岡田委員】 極めて膨大な課題で、これを1〜2年で片づけられるのかと若干心配になったのですが、まず、先ほど太田委員がおっしゃったように、みんながついていけるようにしてほしいというところは非常に賛同します。課題はよく列挙されていると思うのですが、この課題の例、例えば資料3−2の課題ですが、そもそもこの具体的な課題の内容を次回に向けてもう少し整理していただいて、課題であると言うのですが、なぜ、誰が課題と判断したのか、そういう事情が少し共通認識としてあった方がいいと思うのです。例えば課題である、問題であるというのは、そもそも今の環境基準という仕組みが問題なのか、それとも環境基準が達成されてないか、達成方法の評価の仕方が問題なのか、達成できないことが問題なのかとか、いろんなフェーズがあると思うのですね。それを一緒くたに議論すると、たぶん非常に混乱するだろうと思います。
 例えば生態系・生物多様性の保全ということになると、今の枠組みで人の健康と生活環境の保全、これをプラスアルファと考えるのか、亜鉛のように生活環境の中でしか――と言うと申し訳ないけど――見ないということにとどめるかどうかという議論は、たぶん一番上部の大がかりな議論だと思うのですね。もちろん水質汚濁防止法の話も大変なのですが、それは今の環境基準を認めた上で、どう達成するか、という方法論の話になってしまいますから、大変なんだけど、少し小さいのかな。場合によっては、上が変わったら、たぶん全部変わるだろうと思います。
 その辺のところを明確に整理していただいて、なおかつ、先ほど浅野先生が「水環境ビジョン」があるじゃないかとおっしゃったので、そういう資料をもう少し情報共有した方がいいのではないか、ぜひお願いしたいと思います。
 それと、同じ水でやっている、例えば[2]に関係する現実の水質悪化現象との整合性が必ずしもよくない。要するに海のCODはなかなか実態を表さないのではないかという認識から、今、底層の溶存酸素、透明度を既に入れているわけですね。入れるにあたっては、それなりの哲学、どこまでの魚を守るべきかという議論がまだまだ中途半端です。でも、一応やっていますので、そういう情報も入れながら、なぜDOを入れたか、というような経緯も情報共有すれば、次に向かって議論が深まるのではないかと思います。

【奥村委員】 最初にお尋ねすべきだったのですが、この検討会は法律的にはどういう位置付けなのかということを教えていただければと思います。

【伊藤水環境担当審議官】 これは水・大気環境局長のいわば私的諮問機関的なものです。ですから、当然、何か法律改正をやろうとかいうことになった場合は、当然この検討会を踏まえて、別途、審議会で審議いただくというのが、通常のやり方になると思います。

【奥村委員】 わかりました。
 事業者の立場から言いたい事を昨日から少し考えておったのですが、先ほどから浅野先生と岡田先生が環境基準についてうまくお話しいただきまして、ほとんど言うことないなと思っているのですが、事業者としては、今流行りのCSRとかいって、自主的に法律や規制を超えていくつかやっているのですが、これはこれで悩みがありまして、ある目標を立ててやっていきますね。その目標が来年には達成できるというふうにわかった場合、じゃあ、今度、これからの5年間の新しい目標を作れ、こういうことになってやっていくのですが、「どこまで続くぬかるみぞ」という意見もあれば、何を言うか、より良い方向を目指しているのだから、当然との意見もある。一方、企業の場合、予算にもちろん制限があるわけですから、その兼ね合いでいろいろ悩んだりしています。
 例えば水であろうが、大気であろうが、ある種の規制なり何かで対応しようと、これは自主的な対応でも何でもですが、そうすると、例えば結構エネルギーを食う場合もある。一方で炭酸ガスを減らせと。これもやっていますから、その兼ね合いをどうするかとか、いろいろ悩ましいところもありまして、総合的に考えて合理的な方法が一番いいわけですが、その答えは簡単にはわからないのです。いつも悩んでいるのはそういった点であります。

【田中委員】 こういう場にお呼びいただきましてありがとうございます。
 今まで河川の水質と下水道、特に生活に関わるような視点から関わってきましたので、そういう視点から意見を言いたいのです。よくまとめていただいたと思うのですが、まず、一つキーワードの中で、例えば今の水域状況はどうかというときに、環境基準、いろんな項目が生活項目にあるのですが、ほぼ大体よくなっている。一部は問題があるという意見があるのですが、衛生学的な微生物の基準が今ほとんど評価されてないんですね。例えば大腸菌群数の問題を取り上げると、一番最上流から超えているのです。それは当然インディケーターが悪いというところで今済まされているのですが、そういう視点の検討が、正直言って、日本はほとんどされてないのではないか。ヨーロッパ、アメリカを見ていると、まず泳げるかどうか、レクリエーションとしてふさわしいかどうか、そういう視点からの大きなビジョンがまず決められているのですね。そのためのインディケーターとしてどういうことがあるかということをずっと今まで議論して、しかも排水管理まで含めて議論しているのですが、実はその視点が日本はすぽっと抜け落ちる。今、水濁法の中で定められているものは、下水道法でも定められているのと一緒なわけですが、技術的な視点から決められたもので、それでどの程度水域の環境の安全性が保たれているかという視点がない。 ところが、実際には放流先の水域、特に海域あたりだと、例えばノロウイルスなどが出てきたときに、あれはウイルスの問題だから、環境省さんと関係ないじゃないかと思われているのですが、実は大きく言うと、極めて関係している。それは都市の排水系もそうですし、農業系の排水系とも関係している。そういう視点がまず根本的に今抜け落ちていないかどうかということが心配ですね。レクリエーション、いろんな漁獲生産量についての安全性の視点としてどうかという視点を少し明確にすべきなのではないかという気がします。
 次の話として、生活由来で、特に私が今非常に注目し始めているのは、いろいろな形で生活の排水系の対応が今まで進んできて、例えばBODの対応をしてきたし、界面活性剤の対応もある程度されてきて、しかも、今やっとNPの問題に来たわけです。ところが、その視点の中に、先ほど言った衛生微生物の問題が、実は極めて生活排水系のし尿の中の流れで影響しています。
 同じようなし尿系の流れの中で今、海外で注目し始めているのは、一つは、日本で少し忘れてしまいましたけれども、し尿由来の微量物質、例えばエストロゲンの問題あるいは医薬品類が今までの処理系としては極めてとりにくい。しかも、一部は生物影響が出始めているのではないかという海外の情報。日本でも今そういう研究がされ始めていますが、そういう生態系への視点として見たときに、今まで環境省の押さえているようなテリトリーのボーダーラインのところ、他省庁と関わってくるところ、そこのところの視点を場合によっては考えていかなきゃいけない。ここがやるのか、あるいは他がやるのか問題はありますけれども、視点としてはそういうことを見ていかないといけないのではないか。
 生態系の問題としては、そういう微量物質の問題も一つあるのですが、実はもっと大きな問題として先ほど話がある水温の問題があるわけです。確かに温暖化にいきなりいく話もあるのですが、実はそれより前に、都市の排水系が持っている熱でかなり大きな変化をさせているわけです。あるいは河川構造もそうかもしれません。そういう問題、いきなり地球温暖化の前に、一体どう水温の状況が変わってきているのか。これは水生生物基準で、どんな生物がすんでいるかという議論をしたときにもかなり大きな議論になっているわけですが、そういう情報を少し欲しい。
 3つ目、これは非常に賛成なのですが、非常時の場合ですね。これの中には事故の問題が当然ありますし、雨天時の問題も実は結構大きな問題を持っているわけです。先ほど言った衛生微生物の視点から見ると、雨のときに非常に、事故とは言わないですが、水道側で問題が起こるケースがあるわけです。そういうものが今、川においてもあまりきちんと評価されてない。そういうことが必要になってくるし、非常時の中に水質事故というものもあるのですが、同時に、例えば地震が起こったときの災害で一体環境はどうなるのか、という問題とか、あるいはアウトブレークが起こったときの先ほどの衛生微生物の問題、それから今少し興味をもってやり始めていますが、インフルエンザのパンデミックが起こったときの大量に使われるある薬の問題とか、さらに海外などだとテロにおける危機管理までも水質の問題としてやり始めていますので、そういう視点も必要ではないかという点です。
 最後に、水の循環と流域の視点、これは当然、今までも議論されていると思うのですが、流域の管理という視点で見たときに、確かに湖沼法とか総量規制で流域の負荷と水質の達成性みたいなものが一部議論されているところはあると思うのですが、一般的な全ての環境基準の達成性が果たしてどこを、どう押さえればいいのか。それから、水の大きな循環として見た場合に、実は物質の循環に比べて、水を繰り返し利用されるという問題が極めて低い部分があるわけです。例えば工場排水系などは回収率が既に8割ぐらいいっていると思います。農業系はわかりませんが、それなりに回収して使われていると思うのですが、都市として見ると、下水道の例でいくと、わずか1.4%しか回収されてないのです。そうすると、多量な水道がとられて、ある程度処理はされているのですが、多量に海域なり水域にドーンと出てくる。そういうシステムが長期的に見たときのエネルギーの問題との兼ね合いとして、場合によってはどういうふうな体系にまで変えていかないといけないか、という視点も少し考えておく必要がある。その結果として、水の環境の中で生物の共存との問題あるいは水の安全性の問題、そういうものとどういうふうに関わってくるのか、という視点も必要な気がします。

【中杉委員】 田中先生の非常に広い話をもう少し絞った形でお話をさせていただきます。環境省のいろいろなところに絡ませていただいているので、そういう観点から少し申し上げます。
 一つは、先ほど他の省庁云々の話がされましたけれども、省庁の中でどう整合をとっていくかという話が必要なんですね。健康項目一つとっても、健康項目の中身は全部化学物質。環境省総合環境政策局環境保健部では化学物質という扱いをしているわけです。その間の整合というのは全くとられていない。化学物質は化審法なり化管法なりで管理をしている。こっちは水濁法なり大防法。大防法のほうは有害大気の見直しをするところで化管法との整合をどうとろうかという議論を今始めています。そういう意味では自主管理という中身についても、どうやるのか、水濁法の中でやるのか、化管法の中でやるのか、そこら辺の交通整理も必要になる。
 それから、先ほど石原委員が言われた事故時の話についても、化学物質の管理のほうからも事故時の対応ということを検討している。それをどうするか。場合によっては、事業者の方にとってはダブルの規制になってくるという問題があります。そういう意味では他のものとどうするのか。
 それから、水グループの管理の中でも地下水保全と土壌保全、土対法と水濁法、そこの整合をどうとるか、という話がもう一つ大きな問題ですし、農取法と水濁法とはどういうふうに整理するか。農薬というのは非常に特殊なものなので、同じ健康項目といっても一律に扱えないと思います。
 もう一つは、環境をモニタリングするという意味でもそこら辺の整合をどういうふうに他の調査とどう枠取りをしていくか。そういう見方で見ていただく必要が一つあるだろうと思います。
 もう少し細かい点でいきますと、水については基準があるのだけど、底質についてはほとんど問題が起こったときだけしか基準等が設定されていません。ある種の化学物質については、水の中に見えなくても底質の中に見えてきて、それが結果として生物濃縮を起こして問題を起こすということは当然考えられるので、ここら辺のところをどう考えるか。ダイオキシンについてはありますが、その他についてどうするか、ということも一つ考える必要があると思います。
 もう一つ、最初に申し上げればよかったのですが、数年前、何年前だかよく覚えていないのですが、たぶん須藤先生もそういうことを聞かれたと思います。水グループだったか、水局だったか、水環境問題についてどういう問題があるかということをヒアリングされたことがあるのです。そのときに岡田先生もたぶん聞かれてお答えしているだろうと思いますが、そのときの話がどう整理されているのかというのは、引っくり返していただいて、もしあれば、それを整理していただくのがよろしいのではないかと思います。
 それから、生物生態系の話ですが、これは議論をしっかりしておかなきゃいけないのは、今の水生生物の保全目標みたいな話ですね。それが絶滅の例として、絶滅危惧種の話が書いてありますが、それは話としては別ものですよね。この問題をどう考えるか、そこら辺をしっかり分けて考えなきゃいけない話だと思います。
 それから、先ほどのTOCの議論がありましたが、有機汚濁の問題については、もう30年も前から、須藤先生が国環研におられた頃からそういう議論をしていた話ですので、そこら辺の経緯をどうするか。それから、私も常時監視の効率化ということで何度も手伝いをさせられていますけれども、実際にモニタリングするというものに対しての観点からどう考えるか、そこら辺のところも含めて全体に見ていく必要があるだろうと思います。

【福岡委員】 私は河川の、特に洪水・土砂問題、最近では水環境にも少し関わりを持ってやってきたということで、この検討会に出させていただいています。今まで私が水環境で関わってきたこととしては、課題の[4]閉鎖性水域における水質改善とか、[9]環境保全上健全な水循環の確保、[11]地球温暖化による水環境への影響の懸念の3つです。
 まず、水環境の問題で何が一番大事なのか、私は環境データの蓄積だろうと思っています。データの蓄積についてあまり一生懸命やっていないのではないか。現場が少ないからデータについてはそれほど集めることが出来ないのかもしれませんが、環境問題というのは、データに基づいてどう理解し、政策を考えるのかが重要であると感じています。
 [4]の閉鎖性水域で私が関わった仕事の中で、10個ぐらいの湖沼の水環境管理を議論したときに、先ほどお話がありましたように、どうしても解決しなきゃならない問題は、湖内の底質と、流域の面源、点源等からの湖沼への汚濁物質流入量とどんなものが入ってくるのかがよくわからないので、川や湖を管理していく上で、ネックになっていることです。水質問題はあるところまでは解決ができるところに来ているのですが、その2つが未解決なところに問題があります。
 私が前から環境省さんに他の省庁と一緒になって流出の試験域をつくって、湖沼に入ってくるものについてデータを一緒に集めてほしいということをお願いしているのですが、一部動いたところはありましたけれども、大した結果を待っていないのではないかと感じております。湖沼水質問題で個別のいろいろな問題があるというのは、今伺って理解しましたが、全体的にもっと大きな意味での水管理という目で見ると、その辺のデータをしっかり積み上げ技術的に検討しなければいけないというのが1点目です。
 2点目は、これからの話になってしまうかもしれませんが、この会議は「水環境」が議論の中心となっていますけれども、水環境だけでは済まないレベルの水問題がたくさん出てきています。先ほどもございましたように、それぞれ水を管理する省庁がいろいろあるのでやりにくいということなのですが、地球環境ということで内閣府でいろいろ議論される段階になっています。そこでいつも問題になるのは、地球環境、水環境等の情報のプラットホームをどうやってつくり、共通して利用できるようにするかです。それぞれのところでは一生懸命やってきて、今まではそれでよかったのですが、今後はトータルとして、それぞれのやっている技術を統合化していかなきゃいけない。それぞれは上手に最適だと思われるものをやってきたのですが、今後出てくる、あるいは今出てきつつあるものを考えたときに、その技術が適正な技術になっているのか、適地技術になっているのかが意外とつめられていない。技術ができたら、それがもう技術として、水環境、水管理の問題も含めて動いていくわけですが、地球環境に関わる問題は、特に環境省は中心になって適正技術について検討されていますから、そこらはあまり心配していませんけれども、私が関係する河川において地球環境の変化による洪水流量とか渇水流量問題が頻繁化したときに環境に関係する問題はよくわからないと、河川問題解決のネックになる可能性が大きい。いろいろ施策を出したって、環境的にどうなのだろうかと考えたら、大変難しい問題に発展する可能性がある。それを今からどういうふうな視点で環境データを集めるか。そのためには、先ほど申しました省庁の共通の情報プラットホームをつくって、地球環境問題に、こういった流域について、こういうふうなものを考えて、調べ集めなきゃならないというようなことを環境省のこの委員会からもよい提案が出ていくようなものであってほしいと思います。
 そういうことで、直接的な、水質汚濁防止法のような話ではありませんが、地球環境に伴う問題は、各省庁がそれぞれすごい勢いでやっていくことになる。そのときに環境行政水環境の役割はものすごく大きくなるのだということを我々は十分意識して、しっかりとしたデータに基づいて議論できるようにしていただくことが大事になると思っております。
 環境保全上健全な水循環ということも、地球環境変化に対する適応策まで拡げなくても現在進めている施策の延長上で重要なものはたくさんありそれらの中で加速するものはどんなもので、新たにやらなきゃならないものはどんなものか、ということを考えて進めていくことが大変大事です。現在の技術をどううまく将来に向けて生かすのか、ということもぜひ取り上げていただきたい。私が関わっている河川環境ではそういうことが大変重要になっていまして、他の省庁と一緒にやっているところでもそういうことが常々議論になっています。

【細見委員】 50年たったということで振り返ると、基本的にはいろんな課題に対して、水問題に関してある程度はクリアできてきたのではないか。残っているそれぞれ小さな項目も含めて今回いろいろ課題を挙げていただいておりますけれども、日本というのは、わりと公平にそれぞれの分野にそれぞれの水環境施策がとられてきて、今のような結果になっているのだと思うのですが、これから少し観点を変えていかないといけないのは、我々が持っているお金とか人とか、そういうものは非常に限られてきているので、あちこち全部ばらまき的にやるのではなくて、ある程度重点化する方向が必要なのではないか。今回、優先順位が云々という言葉も聞かれましたけれども、ぜひそういう方向でやっていかないといけない。
 例えば、今、福岡先生も言われましたが、私自身も研究所に入ってから閉鎖性水域の水質改善というのをずっとやってきて、もう30数年関わってきたわけですが、具体的に、確かにここまでこうやれたというのがあまり明確にはなっていない。それぞれ努力されて、現状維持か、少し良くなっているというのが現実だと思うのですが、実は、ここでちょっと観点を変えて、もし重点配分をして、例えば東京湾を考えてみると、これは環境省の立場もありますし、農林水産省とか経済産業省、他省庁との関連もあって、一つだけではできないのですが、今回、岡田先生が委員長になられている閉鎖性水域の第7次の規制に向けて、各省庁が一応いろいろな努力をされているという報告を受けました。問題はそれをいかに生かしていくか、本当にそれを現実化というか、環境省から見て他省庁に対してもこういうふうにやってほしいというか、やるべきではないかという提案ができるように、プラットホームというのがまずベースに必要なのかもしれませんが、積極的に働きかけるというのが必要なときではないかと思います。
 その際に、浅野先生の言われた、もちろん法律のコンプライアンスの問題があって、最低限そこはやらないといけないと思うのですが、これからは恐らく限られた資源の中では自主的に取り組んで、仮にBODあるいはCODの規制が10だったところ、我が社は5であったということに対する評価をできるような仕組みを取り入れていくことで、特に閉鎖性水域の問題に関していうと、農業系の雨天時の問題や下水道も含めてですが、努力した分だけが報われるような仕組みを考えていきたいと思っています。
 もう一つ、何が問題かというところをもう一回整理し直すべきだろうと何人かの先生がおっしゃっていたと思いますが、リスクに関しては、健康項目の中でもレベルが少しずつ違っていて、本当に同じように扱っていいのかというのは、我々自身も少しは考え直さないといけないと思っています。特にウイルスとか、昨今のインフルエンザの問題を考えると、電車に乗るのでもみんなすごく気にして、咳エチケットというのでしょうか、そういうものを含めて、すごくある種のリスクの高い状況かもしれません。一方で、例えば化学物質で非常に微量なところを、研究ですから測定して、こういう問題があるかもしれないというのを研究で進めていくわけですが、リスクの大きさの観点からバランスを一度見直す。本当に何が問題なのか。例えばリスクでいうと、田中先生が言われるようにウイルスが問題だとすれば、そこに関してもっと集中的に投資すべきではないかと思います。満遍なくというのは、今までやられてきて、ある程度成功してきたと。次の段階では重点配分かなと思っています。

【堀口委員】 私は国際法が専門ですので、その観点から若干コメントをさせていただきます。
 世界を見渡して、環境対策が進んでいる地域といいますと、一つはヨーロッパだと思うのですが、ヨーロッパの動きを見ていますと、少なくとも二つ特色がありまして、一つは皆さんも恐らく御存じと思いますが、予防という観点が強く打ち出されていて、科学的な不確実性の段階から早期に対応していくという考え方が打ち出されています。
 予防の具体化の手法というのは様々なのですが、例えば陸上起因海洋汚染の取組では、主となる規制手段となっているのは、技術水準に基づいて、発生源でその環境負荷を最小限化していくという考え方がとられています。また、こういったリスク管理では、今言ったような方法だけではなくて、多様な手段を組み合わせるということも一つ特色になってきていまして、例えば規制的な方法だけではなくて、先ほどどなたかがおっしゃっていたような経済的なインセンティブを与えるとか、情報を利用して環境保護に向けて行動を促していくとか、そういった多様な手法も考えていく必要があるのではないかと考えております。
 もう一つヨーロッパの動きの特色としましては、これも皆さん御存じかもしれませんが、「統合的環境保護」という考え方が出てきまして、大気なら大気、水なら水というふうに分けて単純に対応するのではなくて、総合的に汚染管理をしていく必要があるという考え方が打ち出されるようになってきています。例えば海洋の環境を改善するような対策をとった結果、土壌が汚染されてしまうというようなことはやはり問題がありますので、総合的に汚染管理というものを考えていかなきゃいけない、そういうことも強く出されるようになってきていますので、こういった動きの中で、ヨーロッパももちろん今、試行錯誤で動いている面があると思いますが、こうした制度の運用とか制度の在り方の中で参考になるものがひょっとしたらあるのではないかと思っています。
 あと、統合的管理とはちょっと似たような話として、最近、ヨーロッパの海洋汚染の条約とかの動きを見ていますと、漁業資源の保全の条約との連携というものが見られるようになってきています。もちろん漁業資源の保全の問題は環境省の管轄ではないと思うのですが、もし水環境における生態系の保全とか、そういうものを打ち出してくるのであれば、当然、漁業資源の問題とかも関わってくるはずですので、そうした問題をどう考えていくかということも検討すべき課題なのではないかと個人的には思います。
 もう一つで終わりにしますが、[10]で地球規模で深刻化する水問題というのがありましたが、その中で言及していただいたように、水にアクセスできない人たちが増えてきているとか、そういう問題ももちろん重要な問題かと思うのですが、国際的には、例えばさっき申し上げたようなヨーロッパの動きなどはそうなんですが、半閉鎖海といわれる、例えば北海であるとか地中海であるとか、そういうところで国際的な汚染が問題になっていまして、私は詳しく今の状況はわからないのですが、例えば日本海とかオホーツク海についても、そうした国際的な協力の取組が将来的に必要になってくるのではないか。あるいは私はちょっと不勉強なのでわからないのですが、その点に対する科学的な研究はどの程度進んでいるのかとか、そういったことも含めて考えていく必要があるのではないかと個人的には思っております。

【森田委員】 3つほどあります。まず1つは、一人の市民としてどういう水環境であってほしいかということを考えますと、「きれいな水」、「安心して飲める水」というのがずっと本当に確保できるのか。ペットボトルの水を飲まなくていいような世界に早く戻ってもらいたいというのがあります。それはずっと水質保全法、工場排水規制法から水質汚濁防止法、この辺の法律改正の中で、いつも汚染をする人と汚染を受ける側というのがある種のコンプロマイズしながら進んできているような、そういうのがもともとの流れの中にあって、結果的には汚れがどんどん拡大してきている。そして昔には戻れない状態になっているのですが、しかし、土壌の汚染を改善し、また、そこに汚染物質を投入しなければ、やがてまた昔のようにきれいな水の時代に戻れるということがあると思います。そういう意味では、どういう水の世界に我々はもう一回戻ることができるか、そのためにはどのぐらいの投資を必要とするか、それを計算していただいて、それはたぶん数十兆という世界を超えると思いますけれども、それを含めて、国民の選択肢としてそれを示すということを少しお考えいただきたい。これが一つです。
 第2は、有害物質の問題、特に微量有害物質の問題で、水質汚濁防止法でいろいろなことを手がけていますが、基本的には、モグラ叩きを少しやっていると。だけど、次々と別のところに面的に小さいものがたくさん現れてきて、よく考えてみると、周りはモグラだらけという状態になってきているのですが、それでは本当に健康問題にしても、あるいは生態系にしても守れるのだろうかという問題が特にない。これを解くためのメカニズムがたぶん必要で、それは水系に汚染物質を決して入れないという概念あるいは社会的な仕組み、あるいはモラルの問題、それを全部築き上げていかないと。まだ何となく徹底してないのは、環境を汚すことは罪である、そういう意識が必ずしも市民レベルでも理解されていないところがあります。しかし一方で、環境を汚しているのは実は事業者だけでなくて市民の生活そのものが汚している。そういうことも含めて御理解をいただきながらよくしていくしかないかなと。これがまず一つ。
 同時に、いろいろな汚染物質によって広がってきているものを、しかも、その影響は非常に長期に浴びて初めて見られるような、そういう出来事に対して、どのような未然防止の手段を講じられるかというのは、相当複雑な問題ですが、その両方を解くアプローチが要るかなということです。
 最後になりますが、この種の活動の中で、比較的、例えば基準設定などが難しいのは、エコに対する悪影響ですね。ここのところは評価が非常に難しいし、その一方で、生物の多様性はどんどん失われて、何らかの影響があってもおかしくないということが続いていて、しかし、特定された原因が証明されたような形で現れてこない。一体これはどうしようかということになります。
 この辺のエコトキシコロジーを含めた領域というのは、Society of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC) という学会みたいなものが活動しておりまして、アメリカで会員数5,000人ぐらい、産業、EPAの役所、サイエンティストが集まってわいわいと議論している集まりなんですが、ヨーロッパで大体2,000人余りの会員数で動いています。日本は非常に活動が低調で、しかも、これから非常に急速に拡大するであろう中国をはじめとして大陸が弱いということがある。これを何とか拡大したいと思っておりまして、SETACの本部から頼まれて、SETAC Japanを立ち上げ、SETAC Asia Pacificの活動を軌道に乗せようと考えていますので、またここにいらっしゃる先生方にもいろいろお願いするかと思いますが、ひとつよろしくお願いします。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 ほとんどの先生の分野はどこかに網羅されているような問題でもありますが、抜けている問題が1〜2ありましたので、私から日頃考えていることを付け加えさせていただきます。
 それは、先ほど浅野先生もちょっと言われたのですが、生活雑排水の問題を水濁法の中に入れて、生活排水対策重点地域というのを設けて、あのときはあの制度を出して大変いいと思っていて、どんどん着実に進んできたのですが、マンネリ化したということとか、予算の問題とか、あれから下水道が普及したということもあって、最近あまり活性化されていない。これをもう一回見直し、点検していただきたいということと、小規模排水をこれと連動させればいいのではないかと思っていました。小規模排水の問題は、いろいろ言われながら、何もやっていませんね。特に面源もそうですし、小規模排水の問題を浄化槽の問題として重点地域の中でとらえて、浄化槽というのは、産業排水とか面源負荷は入れないのだけれども、下水道などの場合は小規模排水ももちろん入るので、要するに浄化槽というのは、環境省唯一の水環境保全をよくするというか、制御する。ほかに方法が環境省の中に持っていないんですね。しかも、予算もかなり多い。こういう中で、水環境保全に関する問題の中での浄化槽の位置付けが不明解だし、もっと発展的にできるだろうということを申し上げておきたいというのが1点と、今のような重点地域の問題を見直して、強化なり何か考えてほしいということが1点です。
 2点目は、他の先生もちょっと言われたのですが、私は、「水環境」というのですか、水質のことばかりにこだわって、水循環の問題があったのですが、あと、底質と生態系の問題、総合的に水環境というものをとらえる、あるいは評価するということをこれからの大きな課題にしていっていただきたい。この2点だけ付け加えておきます。

【富坂水環境課課長補佐】 本日欠席の大阪府、笠松委員から御意見をいただいておりますので、その一部を御紹介いたします。
 特に大阪において、気候変動とも絡んでいるのですが、ヒートアイランド現象が顕著になっているということでして、これを水の問題からいきますと、緑化面積の増加とか、透水性舗装といった形の対策でやっているということでございますが、こういった問題を解決するための一つの取っかかりとして、「ローカル水循環」というものをもっと重要視すべきではないかと。大阪のような都市部においては、特に地下水が貴重な水資源であるということがございまして、当然、使いすぎれば地盤沈下という問題が過去にも起こっておりますけれども、適切な地下水の汲み上げと現地での高地下暗渠?への水の供給といったことが都市環境の改善あるいは地下水汚染があった場合の早期発見といったものにもつながってくるのではないか、あるいは熱源の管理といったものもできるのではないか、という御意見。
 ほかにもいくつかいただいておりますけれども、ほかの先生方から御意見がありましたので、割愛させていただきます。

【須藤座長】 まだいろいろ御意見を伺いたいところですが、大体予定した時間がまいりましたので、実は、資料3−2は項目しか書いてないのですが、先ほどここにちゃんと問題点を書きなさいという御指摘もあったのですが、私、事前に資料を拝見したときにそれなりに環境省の問題意識は書いてあったのですが、先生方から自由な発言を求めた方がよろしかろうと思いましたので、そこの部分は削除していただきました。思ったとおり、環境省の問題意識以上にたくさんの項目が出ましたので、環境省の意識プラス今日の先生方の問題をもう一回整理していただいて、この整理でいいかどうかは事務局でまとめていただいて、次回に、こういう問題意識があると。それから総合化の問題とか、先ほどみんなが理解できるようにという、問題の階層性といったらいいですか、そういうようなことも含めて整理をしていただいて、水環境保全に関する課題としてまとめた上で、まず当面何をやっていこうかと。こんな方向で、森北課長、よろしいですか。

【森北水環境課長】 座長、どうもありがとうございました。
 今、座長からお話しいただきましたように、今日、たくさんの貴重な御意見をいただきました。次回は、今日いただいた御意見を踏まえまして、課題を再度整理させていただきまして、課題ごとに内容を充実させまして、先生方に掘り下げた議論をしていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

【須藤座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、たぶんまだ言い足りないこともおありかと思いますが、この議論は再度できるような仕組みにしていきたいと思いますので、そのときにまた御発言をお願いしたいと思います。
 今回の議事録につきましては、事務局で調整後、発言委員等への確認等もよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日は委員の皆様に長時間にわたり御熱心な御討論をいただきましたことをお礼申し上げたいと思います。
 次回は、追って日程調整をして御連絡いただくと思いますが、またそのときには御出席をよろしくお願いいたします。
 以上をもちまして本検討会を閉会とさせていただきます。
 どうもお疲れさまでございました。

――了――