環境省廃棄物・リサイクル対策廃棄物処理の現状検討会・懇談会生ごみ等の3R・処理に関する検討会

第7回 生ごみ等の3R・処理等に関する検討会 議事録


(平成18年4月13日開催)

午後1時58分開会

【土井廃棄物対策課長補佐】 定刻2分前でございますが、委員の皆様おそろいでございますので、これより第7回の生ごみ等の3R・処理に関する検討会を開催させていただきます。
 まず、本日の委員の出席状況を報告させていただきます。
 本日は犬伏委員、酒井委員、崎田委員、山口委員、ご都合により欠席でございます。また、大塚委員の代理といたしまして、阿部様にご出席いただいております。代理を含めて14名の委員様に、本日ご出席いただいております。
 資料を確認させていただきます。お配りしております資料1、参考1、2と3種類ございます。資料1につきましては、「生ごみ等の3R・処理の目指すべき方向に関する現状と論点整理(案)」ということでございます。参考1につきましては、前回の検討会で宿題となりました要因分析と生ごみの減少要因の検討関係の資料でございます。参考2といたしましては、バイオマス系の廃棄物の組成データベースの利用ということで、国環研の山田委員からご説明いただく予定になっております。
 以上、3種類の資料でございます。もし、漏れ落ち等ございましたらご連絡いただきたいと思います。
 議事に入ります前に、廃棄物リサイクル対策部長であります由田の方からごあいさつをさせていただきます。

【由田廃棄物・リサイクル対策部長】 廃棄物リサイクル対策部長の由田でございます。どうも大変ご苦労様でございます。お聞きいたしますと、私も第1回目に出させていただきまして、皆様方のご議論の一番スタートのときに一緒にいさせていただいたんですが、7回目ということでちょっと途中さぼっておりまして、すみませんでした。
 この間、いろんなこともございました。廃棄物関係では、容器・包装リサイクル法も3月10日に閣議決定をさせていただきまして、現在、国会の方に提出をさせていただいております。本国会で、何とかご議論をお願いしたいというふうに思っておるところであります。
 それから、もう一つ大きな話としましては、3月6、7、8と3日間、3Rイニシアチブ高級事務レベル会合というのをやらせていただきました。これは、一昨年のシーアイランドサミットで小泉総理が、日本で3Rイニシアチブということでやっていきたいと、こういう提案をさせていただきまして、昨年の4月に小池大臣を中心としまして、3Rの閣僚会合というのを20カ国の皆さん方と、地域1個ありますけども、EUありますが、それから4つの国際機関の方々に集まっていただきまして、閣僚レベルの会合をやってもらったわけであります。そのときに、随分ある種の宣言などもいたしたのですが、その後、これをフォローアップするということと、さらにどう展開していくかということで会合を持たせていただいたわけであります。事務レベルの会合ですから、クラスとしては私どものクラスの会議でありまして、私も日本代表側のところに座らせていただきましてやらせていただいたわけでありますが、それなりの大きな進展もございました。
 特に、その会議におきまして、我が国は2つ、2008年が我が国のG8当番の年でありますから、日本でこのサミットが開かれるという予定になっております。そのときを目指しましてこの3Rイニシアチブを、それなりに国際的にも発信し、盛り上げていきたいということとあわせまして、秋にはアジア全体を中心としまして、3Rの国際会議を開催したいということを会議の席でも申し上げまして、歓迎をしていただいたところであります。ただ、この会議におきまして、2008年にG8が我が国でありますが、その前の年、2007年がドイツの当番でありまして、ドイツの代表の方からも2007年のときにも、自分たちのところでも3R取り上げたいとこういう発言があり、その後にことしはロシアが当番でありますが、ロシアも取り上げたいとこういう発言がありまして、2008年がゴールというわけではありませんが、ある節目に至るまで、このG8で3Rの問題をやっていこうと、こういうことにもなったわけであります。こういう進展があったということが1つであります。
 今後アジア全体をにらみました場合に、やはり3Rといいましても、特に廃棄物問題を中心として考えた場合には、大きく3つぐらいポイントがあるわけであります。今、国際的にも随分問題にもなっており、急ピッチでこの議論がなされており、かつアジアを中心に昨年の11月もワークショップを、私どもとバーゼル条約事務局とでやらせていただきましたe-Wasteの問題もあるわけであります。これも1つの大きなテーマの直近のものでありますし、それからSARS、あるいは鳥のウイルスの問題もありまして、感染性廃棄物対策も国際的にも、大変アジアに関心が高まってきております。
 それと並びまして、やはりごみ問題の一番どこでも大きな課題が、この生ごみの問題であります。こういう生ごみ、あるいはe-Waste、感染性廃棄物、そのほかにも国によっては、例えば韓国などはPCBの処理がなかなかできないということで、日本で5カ所立地したというようなことを随分評価をしていただいたり、いろんなことございますが、共通する問題としてそのようなことがあるわけであります。
 その1つが実は、生ごみの話であります。特にこの生ごみに関しましては、これに関連いたしまして、5年ほど前に食品リサイクル法が制定、施行されまして、ことしこれを見直すべき、検討すべき年になっているわけですが、1つは食品リサイクル法の進展というものがあるわけであります。これは関係者の大変なご尽力によりまして、目標を立てました20パーセントを達成できるところも、かなり大幅に達成するというような事業者も随分ふえてきておるわけであります。
 一方で、これに関しまして、かつていわゆる衛生処理ということの原点。我が国は大変高温多湿な国でありまして、もうご案内のとおり衛生的処理ということが大変重要な、歴史的にもそういうことで取り組んできたわけでありますし、このごみの焼却体制というものが、実は非常に重要なことでありました。ただ、一方でダイオキシン問題なども近年に至って出てまいりまして、実は昨日、EUの総局長さん、次官級の方でありますが、我が国とバイの会議で来られていたのでありますが、環境省の方に立ち寄られまして、温暖化と並んで関心事は3Rということで、私ども直に話をさせていただいた。余り時間がなかったのですが、その中の1つとして、ごみ焼却炉がこれだけきちっとやって、ダイオキシン対策がこれだけできたということに対しては驚きを示されていまして、ほかのリサイクルなどに関しましてはヨーロッパも日本と余り変わらないぐらいかんばっていると、こういうことが言われたんですが、このダイオキシン対策は驚異的であると、こういう驚きを示されておりました。
 また、今後ともEUなどともバイの今後、いろんな情報交換、意見交換もしていきたいと思っているわけでありますが、この生ごみに関しまして新たに昨年度から、私どもの環境省の補助金に変わりまして、循環型社会形成推進交付金というものを開始をさせていただきまして、ことし2年度目になるわけでありますが、この中でメタンを回収し、そこからさらに電力など熱回収をしていくと。将来、このシステムは燃料電池など、水素化社会を目指すものとして大変注目をされておる技術でありますが、そういうふうなところも目指していこうということで、交付金でも第1番バッターでこれを書かせていただいておりますし、きょう委員としてご参画の京都市の方でもご検討をしていただいているわけであります。
 こういうふうにこのごみの処理に関しまして、我が国が実は国際的に見ても、これは実は中央環境審議会の方でも委員の先生方から何度かご指摘のある話でありますが、窒素過多ということがよく指摘をされておりまして、食料品が我が国、輸入側に回っているわけであります。そういう意味では、e-Wasteの問題というのは途上国側に出て、これが問題になるということでありますが、逆にこういう有機物、食料品関係、我が国は大変たくさん輸入をしているわけであります。そういうふうなことで、ややほかにバイオマスと言われているグループの中で、畜産系のふん尿の処理なども課題としてはあるわけであります。このあたり全体をどう考えるかという問題の中で、高度にエネルギーを回収すると、脱石油化といいますか、こういうふうなことにどうやって貢献していくんだということも1つの課題としてあるわけであります。
 循環型社会形成推進基本法におきましては、優先順位として排出抑止を第1番におきまして再利用、再生利用と、それからエネルギー回収と、適正処分と、こういう順番なのでありますが、ある種の環境負荷を落として効率的に進めるためには、この原則を変更することもあると、こういうことも書いているわけでありまして、このあたりをどう考えるかというのが、大変目の前で重要な課題になっております。我が国の環境政策の2大柱として、ちょっと今、入院はされていますが、小池大臣もかねがね循環型社会の形成と、脱温暖化社会の形成は、この環境政策の2本の柱ということもかねがね言われているわけでありますし、今世紀は環境の世紀とも、多くの人が呼んでいるわけであります。
 こういう中で、この生ごみのあり方をめぐりまして、生ごみあるいは有機系の廃棄物の処理のあり方をめぐりまして、きょうは7回目ということで、きょう皆さん方でご議論いただきまして、ビジョンというものがおまとめいただけるのではないかということを期待しております。私としましては、この脱温暖化社会、循環型社会の形成をどのようにしていくのかということ。それから展開し、できるだけその地域に特性が合ったようなことにも配慮しながら、これらにどういうふうに臨んでいくのかと、アジアのリーダーとしてイニシアチブを発揮していくためには、かなり高度な技術的な展開もしていかざるを得ないのではなかろうかというように考えております。どうか、きょう、またご議論のほどよろしくお願いをしたいと思います。以上でございます。

【石川座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 本日は、これまでいろんな議論をしていただきましたけれども、特に生ごみ等3R・処理のビジョンについて議論をしたいと思います。本題の議論に入る前に、前回、宿題が出ておりましたので、それに関してご報告いただくのと、それからバイオマス系廃棄物の組成データベースに関して山田委員から情報提供がございますので、そのご説明を先にしていただきたいと思います。それでは、生ごみの減少要因の検討結果についてご説明いただけますでしょうか。

【土井廃棄物対策課長補佐】 それでは、説明させていただきます。
 参考1の資料をごらんいただけますでしょうか。前回の検討会で宿題をいただきました内容の検討でございます。前回、一般廃棄物に占めます厨芥類の比率というものを環境省が調査いたしました一般廃棄物組成調査結果6都市の平均値を用いまして、それと一般廃棄物の排出実態調査のデータを用いて出しましたのが、この1ページの真ん中にあります表の下から2つ目、1人1日当たりの生ごみの排出量ということで、これが11年度と15年度を比較いたしますと、271グラムから226グラムとなっており、対11年度比が83.4%ということで、16.6%減少したと。この要因について、どういうことが考えられるかということで分析を加えました。
 2番のところに書いてございます、5つほど考えられる要因がございますので、順次ご説明させていただきます。
 1つといたしましては、家庭での生ごみのコンポスト化というものでございます。現在、多くの市町村におきまして、家庭用生ごみ処理機の購入世帯に対する助成が行われております。家庭で生ごみのたい肥化等、自家処理している比率は、先ほど言いました厨芥比率のもととなります6都市で見た場合に2%であると推測されています。減少に対する影響度は2%程度でございますので、低いのではないかということで考えます。これにつきましては、次のページをごらんいただきますと、対象となります6都市の年度ごとのコンポスト容器・電動生ごみ処理機に対します市の助成件数というものを整理いたしました。助成件数イコール世帯数ではございませんが、1軒1助成と換算いたしまして、各年度におきます全世帯に対する比率、それを5年間累計いたしましたのが、この表の右側から3つ目ぐらいにございます平成11から15年の計ということで、この平均が1.7%となっております。補助のスタートからこれまでの累計の数字は、この右側、平均で5.5%でございますが、何分にも補助の期間が長いわけでございまして、この中には再度の購入の助成ということで5.5%が丸々現在コンポスト化をやっている家庭の比率ではなかろうということで、ここで2%といいますのは、5年更新ということで考えた場合に、約2%程度ではないかということで考えております。
 次に家庭ごみの有料化、これにつきまして検討を加えましたところ、有料化につきましては、生ごみ等を含めましたごみ排出量減少の1つの大きな要因となっております。ただ、この6都市におきましては、有料化の状況に変化はございませんで、2つの都市で有料化、昭和60年から実施、料金変更なしというところと、平成8年から実施、料金変更なしというところでございまして、これも、生ごみ比率の比較対象となりました11から15の間の減少を説明できるような要因ではないと考えております。
 次に(3)といたしまして、可燃ごみの収集回収の変化ということで書きました。収集回数が減った場合には次の収集までの間、生ごみの場合水分が多いと腐ったりいたしますので、極力水気をとると、水切りするということによって重量が減っているのではないかということも考えたわけでございますが、この6都市におけます収集回数につきましては、いずれも週に2回ということで、平成11年から15年の間の変動はございませんでした。そういうことでこの期間、減少を説明できる要因ではないということが言えます。ちなみに参考といたしまして書いてございますが、全国平均での収集回数は11年度が2.2回、15年度が2.16回ということで、若干減ってきております。
 次に4番目といたしまして、食の外部化。外食、中食でございます。外食産業の市場規模は、平成16年で24兆4、000億ということで、平成12年度対比で91%と、近年減少してきております。それに対しまして惣菜、弁当類、調理パンなどを製造いたします、いわゆる中食産業の市場規模というものは、考えられる要因といたしましては女性の社会進出、核家族化、個食化等の消費者ニーズの変化、スーパー、コンビニの発展ということで年々拡大いたしまして、平成16年で6.2兆。平成12年度対比で104%と伸びてきております。このことを反映いたしまして、国民の食生活占めます外食率は平成15年度で35.9%ということで、平成11年と比べまして減少しておりますが、惣菜、調理食品を加えた食の外部化率というものは、平成11年の43%から平成15年度には43.6%ということで伸びてきております。そういったことを考え合わせますと、この中食の食料商品に占めます割合が増加していることから、この組成調査対象の6都市における生ごみ比率の減少の1つの要因となっているのではないかと。その程度というものはなかなか分析できないわけでございますが、要因の1つとなり得ると考えております。
 最後にディスポーザーの普及の関係でございます。ディスポーザーは近年、新築集合住宅システムに組み込まれているというものが増加してきておりますが、まだまだ全体といたしましては件数は少のうございます。特に、この調査対象6都市におきましては、1つの市で合計5物件トータル800世帯がこの11年から15年の間に新築されただけでございまして、この減少にはほとんど影響がないと考えられております。全国的な数値につきましては、書いてございますように平成8年から11年までの4年間と、12年から15年までの4年間を比較いたしますと、約54倍という急激な伸びを示しております。全体戸数では14万戸。その中で首都圏が7割を占めておる状況でございます。
 次に最後の4ページでございます。もう一つの宿題でございました、家庭ごみの中での「食べ残し」の比率が増加している原因の推測と。これにつきましては、前回の資料の中で、京都市さんの調査されました生ごみの細組成分析というものを資料としてつけたわけでございますが、その中で昭和56年度と現在を比較いたしまして、食べ残しの比率が顕著に増大しているというデータを示しております。この増大の原因について、なかなか定量的な分析というものを行えるだけの材料そろっておりませんでした。ただ、検討会の中でもお出しいただきましたご意見なり、当方でも考えました結果、以下の事項が原因になり得るものと推測されるわけでございます。4つございます。1つは小家族、核家族化に伴う消費量の減少。それに対応します購入の際の最小包装販売量がそれに伴って小さくなってない部分、その差が廃棄につながっているのではないかというのが1つ。
 2つ目としまして、まとめ買い。週末のまとめ買い等ございますが、そういったまとめ買いをすることによって適量以上購入して、それによって消費期限切れ廃棄というものがあるのではないかと。
 3つ目としまして、値引き商品の買い過ぎと。まとめ買いとも関連いたしますが、買い過ぎに伴う消費期限切れ廃棄。
 最後に、賞味・消費期限の理解不足等を背景とした消費期限切れ以前の廃棄ということ。その4点が要因と推測されるということで考えております。
 以上、簡単なご報告ではございますが、説明を終わらせていただきます。

【石川座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、今ご説明いただいた資料について何かご質問ございますでしょうか。
 今、伺っていると減少の理由として5つ検討して、1、2、3、5は多分違うだろう、もしくは小さいというふうな解釈だとすると、あえて言えば、挙がった中では4が比較的それらしいという解釈でよろしいのでしょうか。

【土井廃棄物対策課長補佐】 先生のおっしゃられるように、当方ではそれが要因ではないかと考えております。

【石川座長】 4だとすると、この平成16年と12年比較していますけど、これ売り上げは実質価格ですか、名目ですか。家計調査そのままを使っていれば名目じゃないかなと思うんですけど、もしそうだとすればこの間デフレだからきっともっと影響が大きいですよね。6.2兆円ふえたというのは、価格が下がっているから数量で言えばもっとふえているという話かもしれないですよね。

【土井廃棄物対策課長補佐】 数値につきましては、そのままの数値を使っておりますので。

【石川座長】 わかりました。ほかにどなたかご質問とかご意見ございますでしょうか。よろしいですか。では、古市先生どうぞ。

【古市委員】 余り大した問題ではないのですけれども、減ってきた原因というのは、この間ちょっとヨーロッパを回ってきて、向こうで生ごみはほとんど出ないのは、やっぱり料理をしていないのじゃないかなと思うんですね。もう単純な料理しかしないから、ごみが余り出てこないのですね、向こうは。そうすると、日本も多分そういう昔のように手の込んだ料理をしなくなったのではないかなというようなことも考えられないかなというのが1つの感想。
 それと、もう一つなのですけれども、家庭ごみ中での食べ残しの比率が増加している原因の推測。これももう一つ私感じているのは、若い人というか、食に対する教育の問題があるのではないかなと思うのですね。要するにもったいないという意識。昔の人は米粒1つ残さない、お百姓さんが一生懸命つくったものを残すとは何事だという教育を受けていますけれども、今の人は外食していても、家でもそうですけど、平気で残すんですよね。だから、そういう教育の問題が根本にないかなというのをちょっと感じました。
 以上です。

【石川座長】 ありがとうございました。ほかに関連するご意見、はい、どうぞ山田さん。

【山田(正)委員】 家庭用のコンポスト機のところですが、減量への影響としては小さいというご判断ですが、その家庭単位での減量の可能性ということで、購入を補助した状況だけではなくて、これ本当に使っているのかという情報が必要だと思います。大体1年目ぐらいはおもしろいので使うのですけれど、だんだん使わなくなるというのがよく聞く話です。その辺をフォローされるというのも1つ大事だと思います。

【石川座長】 ありがとうございました。最大で5.5%ぐらいで、恐らく稼働率を考えるとそんなに使っていないだろうという解釈ですよね。データはないのですよね。

【土井廃棄物対策課長補佐】 はい、これ該当6都市に聞きとり調査したわけでございますが、助成の数値自体はあるのですが、先ほど先生おっしゃられたようにその後、確かにリピーターといいますか、古くなったのでまた補助を受けている方もいらっしゃる反面、もうそのままで切れている方もいらっしゃると。これより細かいデータ見ますと、補助のスタートのとき数年は結構件数多いのですが、その後は本当に一定量といいますか、やっぱりぐっと落ちております。実際6都市とも、購入をして継続している方が何世帯いるかとかいう調査データございません。そういった細かいデータも、できればまた見つけてみたいと思います。

【石川座長】 よろしいでしょうか。もしよろしければ、次の情報のご説明に入りたいと思いますが。
 では、山田委員の方からデータベースのご説明をお願いできますでしょうか。

【山田(正)委員】 私からご説明いたします。参考資料の2です。「バイオマス系廃棄物の組成データベースとその利用」という題名をつけております。私たちの研究所で、バイオマス系の廃棄物、主に汚泥なり生ごみなりに対してのデータベースをつくっていこうという研究をしております。
 理由としては、「1.はじめに」というところの中ほどに書いてございますが、食品系や生ごみ系の廃棄物の発生量や組成の情報が共有されていないということが一番利用を阻害しているのではないかというのが、我々の思いとしてありまして、こういう研究を始めたわけです。普通の資源ですと、紙、瓶、缶にしろ、収集と利用の中に入る業者さんが、ある程度質を見きわめていますが、生ごみの場合はそういう役目を負う方がまだいらっしゃらない。もしかしたらいるのかもしれませんが、現状がよくわりません。よって最初の段階では、そういう情報は公表し、共有すべきではないかということです。
 その次に「2.評価方法」としては、実は生ごみ自体を集めるのが難しい作業でして、今のところは経産省の産業分類の小分類の15業種、区分としては事業系一廃もしくは産廃になる廃棄物ですが、約81試料を収集して分析しています。分析している項目は、食品分析法に基づく食品成分としての分析。それから、バイオマス資源としての利用性を考えて割と微生物が食いにくい、リグニン、セルロース、ヘミセルロースといったものの分析。また安全性を考えまして、無機成分については重金属類の分析を行っています。今のところは、どちらかというと、食品製造工場などから発生する廃棄物を対象にしており、汚泥ではないことで、病原菌は分析の対象とはしておりません。
 1枚ページをめくっていただきまして、その次の「2.2循環資源量の計算方法」というところですが、これはあくまでも例えばという話ですが、こういった組成データベースをどう使うかという意味で、メタンガスの生成量、それから乳酸の生成量、アルコールの生成量、炭化物の生成量または熱量、燃やしたときの熱量の計算をしております。あくまでも利用の方法は、これらに限られたことではないと思いますが、例示としてお示ししてございます。
 もう一つ説明を忘れましたが、ここにきょうお示ししたのは、どちらかというと事業所から出てくる廃棄物についてのデータベースであり、これとは別に埼玉県さんと一緒に耕種系の農地から出てくる廃棄物に対するデータベースもまた別途つくっております。今回はここから割愛しております。
 「3.結果」のところですが、組成データベースとしては、ずっとめくっていただきまして、表の1、2というところに実際のデータが載せてございます。先ほど15業種と言いましたが、別個の工場から出てくる廃棄物が排出時には混ぜられるという実態がございますので、漬物とかソースとか、ある程度製品でくくって示してございます。表1が一般的な食品成分に関するもの。一番右端には、食塩が人の食べ物にはたくさん入っているというのが特長ですので、それを示してございます。表2が重金属類の成分表です。重金属類につきましては、食品ですので余り問題はないのであろうというふうな認識はしておりますが、一応は分析はしております。
 表1を見ていただきますと、実は生ごみといっても、漬物からお茶までさまざまなものがございまして、組成にかなりばらつきがあり、利用においてはこれをまず見きわめないといけないということがわかると思います。戻っていただきまして、2ページ目のところですけれども、データソースの細かいところが2ページ目の一番下の方に書いてございますが、例えば漬物から出てくる廃棄物には、味つけ前のものと味つけ後のものが混ざっているとか、給食センターから出てくるものには、調理前のものと残飯が含まれているということで、こういうものをつくるときには排出形態にも注意する必要があるというようなことがわかっております。
 もう一枚めくっていただきまして、では、こういったデータベースをつくって何ができるかということの例として資源としての量の予測というのを行っております。それが表3です。実際には表4と書いてありますが、すみません、表の番号が振り間違えです。これを見ていただきますと、例えばメタンガスにおきまして、パン工場から出てくるものが一番大きく、次いで小豆使用生菓子工場が大きく、漬物工場、給食センターからのごみというのは比較的小さいということがわかります。組成のデータを使うとこういうことが計算できるというわけです。
 総じて言えば、パン工場から出てくる廃棄物というのが、メタンガス、乳酸、熱エネルギーの回収効率が高く、資源としては効率が高いというようなことが、今調べた中では言えます。まだ15業種しかやっておらず、有機性の廃棄物を出している業種というのはまだたくさんございます。私どもは、そういったものに対するデータを順次集めていく予定ですが、なかなかご協力が得られないのが難点です。工場に入ってそういうものを調べられるというと、不安を持たれる業者さんがたくさんいらっしゃいます。もし、ここにおられる委員の方々などご協力いただければありがたいです。
 あとお気づきになられたと思いますが、実は飼料とかコンポストとか、そういったいわゆるマテリアル系の資源利用について、まだ組成のデータベースができ上がっておりません。特に飼料については、品質として何を測ったらよいかわからないからです。恐らくアミノ酸とか、塩濃度とかそういったものが資料の品質として重要なのだろうと予想はしますが、飼料を使う側の実際の要求がまだ見えてこないからです。
 以上です。

【石川座長】 どうもありがとうございました。この資料についてご質問、ご意見ございますでしょうか。

【堀尾委員】 コーヒーですか、これは。コーヒーかすですか。

【山田(正)委員】 コーヒー抽出かすです。

【堀尾委員】 いずれにしても、今の委員長からのお話もあったんですが、アルコール発酵にしろ乳酸発酵にしろ、一応ある目安に過ぎないということで、かなり違うのではないかという気がしますので。例えばお茶からアルコール発酵ということは、なかなか難しいだろう。菌はないわけではないと思うのですけど。

【石川座長】 これ全体の、何に使うかといったときの大ざっぱな、大体どのくらいというのをエスティメーションするデータベースということですよね。はい、わかりました。

【山田(正)委員】 お茶から本当にアルコール発酵をするのかというのは確かにそうです。ここでは例として組成より一律に変換式を当てはめており、個別の品目についてアルコール発酵すべきかどうかという判断ができる情報は別途入れていくべきだとは思います。まだ、そこまでよく見ていないというのも現実です。

【石川座長】 発酵ですから、例えばCN比とかも合わせないと、単独ではいかないですよね、恐らく。いかがでしょうか、この資料、ご質問とかご意見よろしいでしょうか。
 それでは、本題に入りたいと思います。本題の議論に入る前に資料1というのがございます。これを準備していただいておりますので、これについてご説明いただきたいと思います。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 では、お手元の資料1「生ごみ等の3R・処理の目指すべき方向に関する現状と論点整理(案)」ということで、これはそのまま読みたいと思います。
 「1 生ごみなどの食品廃棄物の発生状況」。生ごみ等の食品廃棄物は、一般廃棄物では、[1]一般家庭の厨芥類が約10.5百万トン。[2]食品卸売・小売業の売れ残りや廃棄食品、外食産業の調理くずや食べ残しが約5.0百万トン。産業廃棄物では[3]食品製造業の動植物性残さが約3.4百万トンとなっております。このほかに、有機性廃棄物で水分を多く含むものとして代表例[4]家畜ふん尿が約89.0百万トン。[5]下水道汚泥が74.8百万トン。[6]食品製造業者の有機性汚泥が約43.4百万トンと。さらに、し尿・浄化槽汚泥が約28.8百万トンとなってございます。これらまとめますと、食品廃棄物で18.9百万トン、水分を多く含む有機性廃棄物全体で、254.9百万トンとなってございます。これらを表1にまとめてございます。後ほどごらんいただければと思います。
 「2 リデュース(発生抑制)」。食品廃棄物等の発生状況と発生抑制。[1]食品産業全体の状況。平成16年度の食品廃棄物等の年間発生量は、11.4百万トンで微増傾向となっております。内訳は、食品製造業が4.9百万トン(43%)、外食産業が3.1百万トン(27%)、食品小売業が2.6百万トン(23%)、食品卸売業が0.8百万トン(7%)となってございます。13年度と比較してみた場合、外食産業は約3%減少しておりますが、全体では約4%増加となっております。これらが表2にまとめてございます。平成16年度に発生の抑制に取り組んでいる事業所は、食品産業全体で55%でございます。各業種ともに全体を通じて半数以上での取り組みが見られるのは、仕入れ過程の「製造(販売)量に合わせた仕入れ」、「ロスの出ない製品・材料への仕入れの見直し」となっております。製造・卸売よりも流通の下流側である小売・外食でこうした取り組みが高く、下流側での取り組みが進んでございます。
 [2]コンビニエンスストア、スーパーなどの状況。小売の代表的な業態でございます、コンビニエンスストアの1店舗1日当たりの生ごみなどの食品廃棄物の発生量は約15キロとなってございます。また、生ごみなどを含むごみ全体の発生量は約60キロでございまして、生ごみは全体量の1/4という状況でございます。これらについては表3にまとめてございます。続きまして、大手スーパーにおける1店舗1日当たりの生ごみなどの発生量は約370キロとなってございます。また、生ごみ等を含むごみ全体の発生量は約1,730キロと、生ごみなどは全体量の約1/5でございます。これについては表4にまとめてございます。続きまして、1店舗当たりの生ごみなどの発生量を総売上高10万円当たりで計算してみると、コンビニエンスストア、スーパーともに約3キロということでございます。売上高で指標化をして、比較をしてみたというものでございます。これが表5にございます。また、食品廃棄物の内容でございますが、スーパーから発生する生ごみは、ほとんどが生鮮食品の調理くず、野菜、果物ほかと魚介類の調理くずや内臓、骨でございますが、コンビニエンスストアでは売れ残りとなった食品廃棄物が占める割合が非常に高い状態となっております。これは表6にまとめてございます。それから、次のページでございます。リデュースの取り組みでございますけれども、コンビニエンスストアでは、販売ロスを減らす販売方法と発注精度の向上。こうした取り組みが行われております。スーパーでは、賞味期限の迫った商品の特価販売を行っております。この取り組み例につきましては、ファーストフードも含めまして表7にまとめております。
 続いて、[3]家庭の状況でございます。家庭から排出される粗大ごみを除いたごみ。これは可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみと通常呼ばれますが、こういうものの合計でございます。そういうものに占める厨芥類の比率は、平成15年度で31.2%。これに対して11年度38.3%となっておりまして、家庭ごみの排出量は横ばいでございますが、厨芥類の比率が減少しておりますので、生ごみの排出量は年々減少している傾向ということでございます。先ほどの参考資料1に関係するものでございます。また、京都市におかれて、平成14年度に実施しています「家庭ごみ細組成調査」、これによりますと厨芥類の組成状況は「調理くず」が約56%と最も多くなってございます。次いで、「食べ残し」が約39%ということでございます。近年の傾向は、この「調理くず」の比率が減少する反面、賞味期限切れなどの「手つかず厨芥」が増加してきていると、このようになってございます。このようなことをもとに、発生抑制の方向性でございますが、食べ物を大切にすることは、食に関する基本的な哲学とも言えることにかんがみ、食品の食べ残し、売れ残りはできるだけ抑制されなければならないのではないか。したがって、引き続き食品の食べ残し、売れ残りを減らす事業形態や消費形態を見いだしていくことが必要ではないか。コンビニエンスストアなどにおいて、店舗の食品廃棄物の量や内容が分析、把握されており、これはリデュースに向けて極めて重要な取り組みではないか。市町村において家庭の生ごみの細組成を分析、把握することも同様に重要ではないか。
 続いて、「3 飼料化・たい肥化利用」。飼料化、[1]飼料の需給構造等。国内における濃厚飼料の総供給量は年間約27百万トンとなっております。このうち国内産原料によるものは2.8百万トン、全体の約1割でございます。この需給構造を絵にまとめましたものが、図1の飼料の供給構造でございます。左側に輸入、あるいは国内産という欄がございまして、真ん中のところに濃厚飼料、供給量というところがございます。これらが畜産農家において消費をされているというところでございます。豚、鶏、牛というように、ここでは絵で表示をしております。生ごみ、食品残さは、豚及び鶏を給与対象とする飼料の原料として認められておりますが、牛などへ給与する飼料の原料とすることは禁止されております。この関係を表8、飼料原料の利用規制状況ということでまとめてございます。それから、一般的に畜産農家は、配合飼料メーカー、または全農から飼料卸問屋、または県経済連、販売店、または地元JAを経由して配合飼料の供給を受けており、生ごみなどの飼料利用はこの既存の供給ルート、内容を変更することになるわけでございます。
 続きまして、[2]飼料利用の条件でございます。成分が均質で必要な栄養成分があり異物の混入がないこと。原料が安定的に供給されること。農家にメリットが出るよう、競合するほかの飼料原料よりも安価であること。有害物質が含まれていないこと。油分、塩分が多く含まれないこと。多数の発生源の食品廃棄物を利用するときは、原料となる食品残さを混合し、飼料の栄養成分を安定化できるよう発生源を組み合わせたレシピをつくることが重要となる。パンくずなどの食品製造工場から排出される単一のものは、比較的利用しやすく、リキッドフィーディングによって乾燥工程を伴わず省エネルギー、省コストな飼料利用ができる。
 続いて「たい肥化」でございます。[1]肥料の需給構造等。年間の生産量は普通肥料が983万トン、特殊肥料が435万トン。うち、たい肥は342万トンでございます。全体で1,418万トン。輸出入のほとんどは普通肥料でございます。生ごみや食品残さは、一般的にはたい肥、土壌改良剤ということで、特殊肥料の原料となり得るものでございます。たい肥の流通は、畜産農家と普通の農家との間でたい肥に使う畜産ふん尿とわらを交換する、こうした形態ですとか、地域のたい肥化センターでたい肥化され、地域の農家に販売される形態などにより、主に地域で流通をしてございます。日本の農地に受け入れ可能な窒素の需要量の面積当たりの窒素需要量限度量を250kg/ha当たり1年といたしますと、124万トンとなります。生ごみの窒素分が42万トン。家畜ふん尿が73万トン、化学肥料が49万トン。作物残さ21万トン。これを合計しますと185万トンであり、計算上生ごみ、家畜ふん尿の無制限なたい肥化利用というのは、土壌の窒素過多をもたらすことになるというわけでございます。
 [2]肥料(たい肥)利用の条件。成分が均質で必要な栄養成分があり、異物の混入がないこと。原料が安定的に供給されること。農家にメリットが出るよう、競合するほかの肥料(たい肥)よりも安価であること。有害物質が含まれないこと。油分、塩分が多く含まれないこと。需要のピークが春、あるいは秋という季節性があるたい肥の需給事情に対応できる保管・ストックなどのシステムが必要である。
 続きまして、飼料化・たい肥化の方向性でございます。生ごみ等食品廃棄物をリサイクルした飼料、肥料、原料が安定・確実に利用されること(リサイクルの出口が滞らない)が、飼料化・たい肥化の前提となるのではないか。したがって、一律、一様に飼料化やたい肥化を目指すのではなく、食品廃棄物の性状、量や、飼・肥料の需要等に応じて、飼料化、たい肥化、その他の方法を柔軟に選択することが重要ではないか。飼料または、たい肥としての利用を目指す場合は、生ごみ等食品廃棄物のうち、食品工場の残さのように品質・量が安定していて飼料の原料として利用しやすいものを飼料化したり、あるいは地域または食品関連事業者が生ごみ等食品廃棄物をリサイクルした飼料及びたい肥が安定・確実に利用される食品リサイクルシステム、これは、後ほど出てまいります循環利用のループ、を構築することなどによって、安定確実に利用されるようにすることが適切ではないか。飼料メーカーが配合飼料の原料としてできるようにする方向は、安定・確実なリサイクルの観点から重要なのではないか。また、今後は地球温暖化防止や省エネルギーの観点から、飼料化に伴う化石燃料の消費を抑制することも念頭に置く必要があるのではないか。安定的、確実なリサイクルのためには、循環利用のループ、すなわちすべての関係者の顔の見える関係、食品残さを排出する食品関連事業者→飼料化・たい肥化事業者→畜産農家・耕種農家、さらにまた戻りまして食品残さを排出する食品関連事業者、こうした関係をつくることが重要ではないか。こうした循環利用のループは、地域に密着したものから企業ベースのものや、あるいは都市・近郊・郊外という広がりを持つものが考えられる。排出者である食品関連事業者、飼料利用する畜産農家、たい肥利用する農家、飼・肥料に関する専門家などの関係者が地域で協働し、飼・肥料の安全性や品質の確保を図ることが重要ではないか。たい肥利用で競合する家畜ふん尿、下水汚泥などのバイオマス系廃棄物と地域事情に応じたすみ分けを行うことが重要ではないか。特に、たい肥利用など農地にかえす場合は窒素過多とならないようにすることが必要ではないか。
 続いて、エネルギー利用でございます。(1)エネルギー利用の現状。家庭の生ごみ、外食産業・小売・卸売等流通過程での食品残さ、食品製造業など製造過程での食品残さの利用用途として、飼料・たい肥などの原材料利用のほかに、ガス化・エタノール化などの燃料化、発電などのエネルギー利用が考えられる。バイオマスのエネルギー利用は、地球温暖化対策としても有効である。
 次のページでございます。これまでの資料で一応こういったエネルギー利用用途の経路といいますか、代表例というものを示してまいりましたが、その絵を図2に載せてございます。バイオマスのエネルギー利用については、エネルギーに変換する主な技術として発酵等の生物化学的変換、ガス化などの熱化学的変換及び燃焼の3つの方法があると。この3つの方法につきまして、食品廃棄物、あるいは家畜ふん尿、こういったものについて変換技術、主要なものとその技術水準について事例が多いもの、あるいは対応技術として適するもの、事例があるもの、そのほか表9にまとめてございます。
 次のページでございます。生物化学的変換である各種発酵は、含水率の高いバイオマスに適しており、中でもメタン発酵を用いたシステムは食品廃棄物、家畜ふん尿、下水汚泥を中心として多数の実用化事例が見られております。また、エタノール発酵は糖・澱粉系のものを対象として実用化が進められております。このほか、アセトン・ブタノール発酵、水素発酵のように研究開発段階の技術もございます。熱化学的変換は、含水率の低いバイオマスに適しており、木くずの熱分解ガス化システムや、木くずや農業残さなどの炭化システムが実用化されております。また、廃食用油を対象としたエステル化、バイオディーゼル化のシステムも実用化の事例が多数見られております。また、バイオマスから水素を製造し、燃料電池でのコジェネレーションを行う、すみません、「上」というのが誤字でございます。行うシステムは、一部食品製造工場などで先導的導入事例が見られております。これは将来の究極的なクリーンエネルギーシステムであり、オンサイト利用や地域における分散型利用を初めとしまして、将来の水素社会につながる技術・システムでございます。
 (2)バイオマスエネルギーの利用可能量。主要バイオマス全体のエネルギーとしての利用可能量。経済性などの実際上の利用制約を考慮しておらず、現実的な利用可能量はさらに限定される可能性ございますが、年間当たり1,327PJ、約3,500万原油換算kLでございます。これは我が国の一次エネルギー総供給量の6%弱に相当いたします。
 (3)エネルギー利用の方向性。生ごみなどをメタンガス、エタノールなどエネルギー利用することは、枯渇性の資源から再生可能な資源への転換を促し、地球温暖化対策にもなり価値が高いのではないか。生ごみなどの食品廃棄物の性状、飼料・たい肥利用の需要、エネルギー利用のしやすさ、地域的な事情などに応じて、飼料・たい肥利用、エネルギー利用などのうち安定・確実な方法を選択するのが合理的ではないか。また、飼料利用しやすい食品製造過程のものを飼料の原材料として利用し、その飼料を与えた家畜のふん尿を、たい肥化、またはバイオガス化してエネルギー利用するというようなシステムの連鎖の全体で、飼料及びたい肥利用の原材料利用、それとエネルギー利用を組み合わせて多段階で再生利用やエネルギー利用を行うことも重要ではないか。エネルギー利用の方法は、既存のごみ焼却施設などでほかの廃棄物と混合焼却・熱回収する従来システムか、生ごみなど食品廃棄物をほかの廃棄物と分けてバイオガス化、メタン発酵などのエネルギー回収、利用を行う新しいシステムが選択肢として考えられる。どちらを選択するかは、エネルギーとして利用し得る量や、二酸化炭素の削減効果、ライフサイクル全体でのコストなどを比較し、総合的に見て有利なシステムが選択されることとなるが、新しいシステムとしては実用化されている技術であるバイオガス化が中心になることが想定される。この場合、バイオガス化システムを既存のごみ焼却システムや、高濃度の含窒素廃液、発酵廃液でございますが、に対応できる水処理システムと組み合わせたコンバインドシステムとすることが、発酵残さや発酵廃液の安定・確実な利用が困難なケースでは基本となるのではないか。
 次のページでございます。「5 リサイクル、エネルギー回収に共通する方向性」でございます。生ごみなどの食品廃棄物のリサイクル、エネルギー回収などの具体的な方法は、一律、一様な判断で選択するのではなく、その性状や地域の事情などに応じてきめ細かに考える必要があるのではないか。具体的には、生ごみなど食品廃棄物の発生量と組成を把握し、地域におけるリサイクルなどの需要・ニーズに応じ、安定・確実なリサイクルやエネルギー回収という観点から、最適な技術を組み合わせ、効率的なリサイクルやエネルギーの回収システムを選択することが合理的ではないか。このため、生ごみなどの食品廃棄物について、飼料利用、たい肥利用、エネルギー利用などから見た場合に必要となる組成データを分析、把握した組成データベースを構築し、利用できるようにすることが極めて有意義ではないか。飼料・たい肥・バイオガス化によるエネルギー回収が生ごみ3R・処理の全国的、標準的な選択肢となるが、生ごみなど食品廃棄物の種類、量、性状、地域のリサイクル・エネルギー利用のニーズ、土壌の窒素過多が生じないかどうか、リサイクル・エネルギー回収コストなどを踏まえ、安定・確実なリサイクル・エネルギー利用を前提とし、地域において多様な方法が選択できるようにすることも重要ではないか。
 また、こうしたリサイクル・エネルギー回収システムの構築は、大規模な食品関連事業者の場合には、独自のシステムづくり・運営が比較的容易であると考えられるが、特に小規模な事業者の場合には、家庭生ごみのリサイクル・エネルギー回収を行う市町村のシステムを活用することが考えられるのではないか。また、独自のシステムづくり・運営の場合であっても、地方公共団体と食品関連事業者の間で連携、協力することが重要ではないか。生ごみなど食品廃棄物には、食品としての成分のほか、さまざまな化学物質や微量な有害物質が含まれることもあるため、フードチェーンや農地に生ごみ等食品廃棄物を戻す場合には、化学物質、重金属などのリスク管理をしっかり行うことが必要不可欠ではないか。生ごみ等食品廃棄物の循環的利用はようやく進展しつつある段階であり、循環的利用を標榜した不適正なリサイクルなどを防止するため、循環利用のループづくりを行ったり、あるいは排出されたものがどのようにリサイクルなどされているのかトレーサビリティーを確保することによって、生ごみ等食品廃棄物が安定、確実にリサイクルされるようにすることが重要ではないか。生ごみ等食品廃棄物の循環的な利用をさらに進めるためは、組成データベースづくりや地域の生ごみ等発生量と循環利用ニーズの把握など、循環利用のためのインターフェースを整備していくことが重要ではないか。
 「6 おわりに」。生ごみ等食品関係廃棄物は、その衛生的管理という立場から、焼却処理が行われてきましたが、一部に見られた飼料化・たい肥化の動きを加速させ、循環型社会形成の一端を担うように進めるべく、食品リサイクル法が平成12年に制定されております。平成13年から実施をされてきたわけでございます。この食品リサイクル法の実施により、食品リサイクルシステムは形成が始まり、進展をし始めたところでございますが、今回検討してきたとおり、安定的な利用面での留意すべき課題や、窒素過多に伴う地下水の窒素汚染といった留意すべき課題などを考慮する必要があり、その限界も十分認識しつつ、我が国が食品などバイオマスの大量輸入国であることを踏まえ、国産の循環資源を利用した飼料化・たい肥化の確立を目指すことが重要である。その一方で、従来のごみの衛生的管理・減量化との立場からの焼却処理も、現在では高効率発電などによる熱回収システムへと進展してきており、地球温暖化防止の取り組みやRPS法の実施も相まって、バイオマスのエネルギー利用は重要度が高まっております。さらに、メタン回収などの先進的な熱回収システムも実用化され、燃料電池による高効率なエネルギー利用といった将来の水素社会につながる先導的な取り組みも見られております。このような状況に加え、持続可能な社会を実現する重要な要件である脱温暖化社会の構築、循環型社会の形成が我が国の環境政策の柱となっていることを踏まえますと、飼料化・たい肥化などの再生利用と、石油にかわるバイオマスエネルギーの回収を、地域の事情なども考え合わせ効率よく組み合わせることは、環境負荷の低減にとって有効であると認められるものと考えられる。
 生ごみ等食品廃棄物の3R、エネルギー利用、適正処理を進めていくためには、まず、生ごみ等食品廃棄物の3R等の全体的なビジョンを関係者で共有することが重要である。このため、本検討会では、生ごみなどの3Rのビジョンについて議論を重ね上記のように取りまとめたものである。さらに、今後は、生ごみなどの3R・処理の目指すべき方向を具体化するために、食品関連事業者、消費者及び行政などの関係者の役割をどのように強化することが考えられるか、また、生ごみなどの3R・処理の目指すべき方向の具体化を支援し、促進するために、どのような政策手段が有効であるか、検討することが必要である。
 以上でございます。

【石川座長】 どうもありがとうございました。それでは、このご説明いただきました資料についていかがでしょうか。ご質問とかご意見とかございますでしょうか。では、中井委員。

【中井委員】 最初にちょっと質問させていただきたいと思うのですが、今回の中間取りまとめといいますか、論点整理ということなのですが、私が第1回目のこの会議のときに質問させていただきましたのは、きょうの最後のところでも表現がありましたけども、食品リサイクル法の5年に1回の見直し議論を、この委員会で環境省としてやっていくつもりなのかということをお聞きしたと思うのですが。その線に沿って今回の取りまとめといいますか、今回特に、従来の指標に加えてエネルギー化ということが割と全面的に出ているような、そういう取りまとめになっていると思いますので、その辺のことを確認をさせていただきたいというふうに思います。

【石川座長】 では松澤さんから。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 中井委員から今、ご指摘のあった点につきましては、ちょうど一番最後にご指摘いただきましたように、これからまたこの検討会で数回、このビジョンづくりによって、その方向の具体化を支援し、促進するためにどのような政策手段が有効であるか。ここに食品リサイクル法、この制度に関係します見直しも当然入ってくるというふうに考えております。

【石川座長】 ほかにご質問、ご意見ございますでしょうか。

【川島委員】 6ページのたい肥化のところでこういう認識でいいのかという、窒素過多という表現があるのですが、何となく余り化学的ではないのですね。どのくらいが過多なのか。例えばお茶畑なんかだと、いいお茶をつくるためにはヘクタール当たり1トンくらい入れたりするのですね。ですから、250kg/haを限度量としてとかいうのは、ざっくりとした数字ではこういうことなのでしょうが、何となく非常に科学的でないというか、そういう印象を持ちます。例えば水田なんかだと100キロくらいなのですね、大体年間。すごくばらつきのある数字があります。
 それから、その次の無制限なたい肥化は、土壌の窒素過多をもたらすということになっているのですが、これも確かにこの数字だけ見るとそうなのですが、例えば化学肥料は要らない、やらなくて、生ごみと家畜ふん尿を一生懸命戻すようにすれば、化学肥料を使わなくていいということもできるわけですね。化学肥料はハーバー・ボッシュ法を基本にして合成しているので、化石燃料を使いながら肥料をつくっているわけで、リサイクルという理想に立てば、そういう化学肥料を使わないで生ごみや家畜ふん尿を積極的にリサイクルした方がいいのかなとも私は考えるのですね。それは現実的ではないと思いますが、いろいろな意味で。
 だから、こういうふうに書いてしまうと、現在使っている化学肥料は、もうそれをギブンの条件として与えてしまって、全部リサイクルすると窒素過多になってしまうからよくないよというのは、ものの考え方として現実をさらっと書けばこうなるのでしょうけど、未来を目指していく方向ですか、基本法みたいのを書いているとすると、何となく現状是認をしながら、腰が入ってないなという記述に思えます、窒素のところについては。ただ、現実を見たときには、なかなかこれは難しい問題なので、どこまでそこを書き込むかということはあるかとは思います。一応、どうしたらいいのかというよりは、そういうふうな印象を持ちました。

【石川座長】 どうもありがとうございます。特に、最初の部分は、この250キログラムなら250キログラムという数字をどう思うかということですので、必要ならもうちょっと書くかなというぐらいだと思いますが、後半の化学肥料49万トンを前提とすると圧倒的に多い。これを引き算するとちょっと多いぐらいですね。おおむねバランスぐらいかもしれませんね、数字の精度を考えれば。そこのところが考え方の問題でもあると思いますので、ほかの委員からもご意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 化学肥料を入れていることを前提とすると確かにそうなのですが、どのぐらい先を見るか、どういう形で言うか。直ちに化学肥料全部やめてというのを、じゃあ、本当にできるかというと別な問題があるので、それならそれを書けばいいということでもあると思うのですよね。ここでは、5行ぐらいで全部戻すことはできないという趣旨のことを書いているのですけれども、本当を言うと量のバランスだけでできないということではなくて、化学肥料もある種、何かいろんな条件で必要なこともあるからということなのでしょうね。恐らく49万トン全部というのは到底無理でしょうけど、部分的には減らすこともできるかもしれないですよね。この点はいかがでしょうか。生産サイドの方が、犬伏委員がいらっしゃらないから、ちょっと残念だったですが。

【川島委員】 農業を現実にしている人たちの高齢化が進んでくるので、ハンドリングのいいものを求めるわけですね。同じ窒素を加えるのでも、例えば家畜ふん尿からつくったたい肥を畑にすき込んでいくのは大変な労力になるわけで、もはや70歳くらいの人が普通の農民になっているところでは、即効性のある、要するに粉ですね、尿素のような粉を最初にまいてしまう方がいいというので、そういうような現実があるわけですね。だから、マスバランスからいけば可能なのですけど、私はなかなか現実の農業の高齢化みたいなことを考えていくと、非常に難しい選択であるとは思います。昔だったら、肥料は大切なので何回も追肥をしたのですね。でも追肥は面倒くさいので、要するに腰が曲がってやるような作業だったのですが、それをしなくなるので今、元肥のところでばんとやってしまうのですね。もう少しくらい、例えばお米だったらとれなくても関係ないので、要するに田植えをしたときに、そのときだけしか肥料をやらないというようなやり方をするので、なかなか現実的にはできないということが起きているのだと思います。

【石川座長】 どうもありがとうございます。はい、どうぞ。

【山田(久)委員】 ちょっと教えてほしいのですが、たい肥のところで[1]の年間の生産量、普通肥料が983万トン、特殊肥料435万トン、全体で1,418万トン、このデータと、124万トンという数字は、いわゆる肥料に占める窒素の割合がそういうふうになっているのかということ。この1,418万トンという肥料が輸出した量を引いて全部、今、農地にまかれているとして、それとの関係で言うとどうなのかと、ちょっと教えていただけませんか。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 最初の○は、肥料そのもののウエート、統計上の重さを書いているものです。日本全体として、1,418万トンでありますが。ちょっと在庫があるのか、含まれているのか、この量そのものが消費されているかというところは、後で確認をいたします。それに対して、4つ目の窒素のところに書いてある124万トンとかというこの数字は、窒素に換算した数字でございまして、124万トンというのは日本の農地面積にここで窒素需要限度量、今、川島先生からもご指摘ありましたが、ここでは仮に250kg/ha・年としてますが、それを掛け合わせますと、124万トンという数字であります。以下、生ごみ、家畜ふん尿、それからこれは化学肥料の消費量だと思いますが、化学肥料の消費量を窒素換算したものが49万トンということで、4つ目の○のところの数字は窒素としての重量、数字です。

【山田(久)委員】 1,418万トンと124万トン、あるいは185万トンというのは、すべて連動しているんですか。要するに在庫として余る数字があるとすれば年々在庫引きますから、またおかしくなりますし、窒素過多というのは現状、要するに生ごみの無制限なたい肥化利用は土壌の窒素過多をもたらすとなるのですけれども、この現状の1,418万トンというのはどういう事態なのかということは説明されていないみたいなので、ちょっとよくわからないのですけど。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 化学肥料も含めて全体で、1,418万トンというのが我が国で、ほぼこれは最終的に消費される量だと思いますけれども、1,418万トン。これが化学肥料も含めた肥料全体、この中にももちろんたい肥も入っていますが、それが1,418万トンです。1,418万トンのうちのどれぐらいが化学肥料で、それがこの49万トンという窒素の量にリンクしていくかというのはここでは書いておりませんけれども、今、ちょっと手元に、すぐにはございませんが、1,418万トンのうちの化学肥料分というのが、何百万トンか恐らくあって、それを窒素換算すると49万トンと、こういう関係になっているわけです。

【山田(久)委員】 普通肥料とか化学肥料、特殊肥料は、特殊肥料というのはたい肥化の肥料ではないのですか。そうではないのですか。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 大部分がたい肥です。

【山田(久)委員】 そうですよね。だから、その1,418万トンというのは、化学肥料の49万とは違いますよね。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 983万トン、普通肥料のうちの一部が化学肥料ということです。

【山田(久)委員】 僕、聞きたいのは、今もう既にこの1,418万トンというものが、ほとんど生産されて使われているとすると、窒素過多の状態なのか、どうなのかという現状は、それが見えないのですよね、この表現では。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 ここでは、余り現状の窒素が多めになっているかどうかというところは、今回論点整理の中には入れておりませんが、仮に生ごみ、家畜ふん尿、こういったものを農地に全部戻せるかという単純な計算を一定の仮定でしてみると、窒素の、ここは「窒素過多」という言葉を使っておりますけども、そういうことになるということを言っているわけです。ちょっと現状までは分析はしていません。

【山田(久)委員】 したがって、一番最初の1,418万トンというのはどういう状態なのかという中で、さっき先生がおっしゃった肥料の構造、普通肥料と特殊肥料の関係とか、いわゆる化学肥料どうするかという問題が出てくるのではないかと思いますもので、難しい問題であるかもしれないけれども、現状がどういう事態を指しているのかということと、この無制限なたい肥化利用は土壌の窒素過多をもたらすということはちょっとよくわからないので、整理された方がいいのではないかなと思います。

【石川座長】 最初の川島委員からのご指摘と関連ある話で、今わかりましたけれども、この1,418万トンというのは、肥料全体で後ろの窒素とリンクしていないので、窒素としての肥料の投入がまずわかれば、これがどのぐらいでしょうね。100万トンかそこらかなという感じはするのですけれども。4つ目の○のところでは、最大限をまず設定して、それに対してもっと多いというふうな議論をしているのですが、最大限というのは大体あいまいと言えば、あいまいな話なのですよね。窒素による害が出るという話だと、つくるものによって違うのではないかという話も川島委員から出てきましたし。ですから、むしろデータとしてあるのは、現在投入している窒素量と比べて生ごみとかたい肥、全部入れたらそれをはるかに上回っているというふうな話であれば、過多かどうか知りませんが、今、使っている窒素以上にごみとしての窒素が出ているのだということは書けますよね。もうそうすると多分、割と定義の問題はクリアできるのではないかなというふうに思います。それでいかがでしょう。山田委員のご指摘、そういうことですよね。窒素投入がわからないという話ですよね。じゃあ、そういうことで。多分、窒素としての投入はデータあるのではないかと思うんですよね。

【山田(久)委員】 今、実際に取り組んでおられる方々が、事業について心配になってしまうのですね。実際は、今の現状の窒素投入量はどのようなレベルなのかということでないと、たい肥化を進めていく事業が将来どうなてしまうのかという問題とリンクしてきますから、そこら辺を整理してあげないといけないのではないかということです。

【川島委員】 今の山田委員の意見と同じで、ちょっとこう書くと取り組んでいる人たちにやり過ぎるといけないよというようなメッセージが私も強すぎると思うんですね。犬伏委員がおっしゃるように実際にすごく難しいのは、お百姓さんたちが何かわけのわからないものでつくられたコンポストだと、将来妙な汚染物質があったりするのは怖くてとかいうようなところで、なかなか使ってくれないという状況があるんですね。それでも市民運動の方たちの中では、かなり努力しているわけですね、純粋なものをつくっていると。だけど、こういうふうに書いてしまうと何か、お前たちの努力はやると余りよくないのだよみたいなメッセージが強過ぎるので、私は何か違う表現の方がいいのではないかなというふうに思います。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 全体の窒素量は、以前川島先生が作成された資料ですとか、農環研で窒素収支を定期的に、オールジャパンということで出されていますので、ここの表現もやはりオールジャパンのマクロなものと、今ご意見ありましたような実際の地域での事情というのが違いますので、少し丁寧な表現になるように考えたいと思います。

【石川座長】 ありがとうございました。それでは、ほかの点について何かご意見ございますでしょうか。では、古市委員。

【古市委員】 窒素汚染のお話なのですけど、生ごみ、家庭一般廃棄物の方からたい肥化してやっていくという、それの大体の目安をつくって、どこまで入れられるかという話を窒素制約でやられていますよね。また、違った視点でいくと産廃としての家畜ふん尿がありますよね。これが非常に大量に出てきて収支が合わなくて、ある意味で環境、要するに地下水汚染を起こしているわけですね。それを取り締まるという意味で、家畜排泄物取締法ができたのですけれども、こちらからいきますと、要するに今まで環境にある意味で無秩序に出ていたものを管理してたい肥化するなり、ガス化することによってコントロールできるようになるわけですね。そういういい面もあるのではないかなという、そういう視点もどこかで書かれたらどうかなという気がちょっといたしました。

【石川座長】 ありがとうございます。それでは、山田委員。

【山田(正)委員】 今の窒素の話と違う話ですが2点あります。1つ目は、エネルギー利用の方向性のところの最後には少し書いてありますが、こういった再利用をしたときに出てくる残さの適正処理を確保することは、もう少し強めに書いておかないとちょっと怖いような気がします。残さとは恐らく発酵系では廃液でありますでしょうし、飼料やたい肥化でも利用できなくてはじかれるものはあり、そういったものはやはりちゃんと適正に処理するということが必要だと思います。
 もう一つは、生ごみは足が早いものですから、品質を保つためには、輸送とか保管とか、に対する注意が必要かなと思います。特に飼料化など、比較的品質がいいものを使わないといけないときには、非常に大事なことだと思います。データベースにつながるかもしれませんが、発生する場所や集める範囲に対する計画論みたいなものが入っていた方がいいのではないかなと思います。

【石川座長】 関連するお話ですか。はい、じゃあ、どうぞ。

【小島委員】 エネルギー回収の件なのですけれども、発酵残さだとか、それの利用ということの中で、9ページに焼却工場と一緒にやるというのが基本ですと書かれています。確かにそれは非常に望ましいと思っておりますが、多分今後のことになるかと思うのですけども、焼却工場の立地とメタンガスの立地というのは、以前もちょっとお話をさせていただきましたけれども、用途地域上のずれがございまして、具体的に言うと準工業の地域ですと、ガスの製造施設ができないという課題がございます。今後の具体化の中で、そういう課題への対応策もちょっと打ち出しをしていただきたいなというように思います。
 それと、あと確認なのですけれども、生ごみのエネルギー回収ということで、RPS法も含めて既存のごみ焼却施設をこの検討会の中で積極的に位置づけしていくという方向でよろしいんでしょうか。

【石川座長】 ここにはまだ書いていないところですか。

【小島委員】 エネルギー利用のところの従来システムというのと、あと高効率発電等の、ということが書いてあります。市民に聞きますと、燃やしていると何かだめだというイメージが強くありますが、生ごみを燃やしていてもカーボンニュートラルという意味で言えば、CO2を発生することなくエネルギー回収していますよということを1つの方法としてPRしていくことをこの場でされるのかなとちょっと思いましたので。

【石川座長】 この点に関しては、最初の由田部長のお話にも少し触れられていた点があるかと思いますけれども、この中で議論をして合意をしておくことが必要な点ではないかというふうに思います。エネルギー利用については議論をしてきましたし、メタン発酵だとか幾つか検討しましたですよね。さらに残ったもの、特に山田委員から出た話は、残さが出てそれをどうするかということは非常に重要だというご指摘がありまして、ちゃんと焼却をして処理をするというのは、1つの選択肢としてあるわけですけれども、さらに積極的に焼却して高効率の熱回収をするようなオプションというのは、別に悪くはないのだというふうなことをきちっと議論をすると、こういうご指摘かなと思いますが、この点に関していかがでしょうか。

【堀尾委員】 ちょっとずれるかもしれませんが、生ごみを一廃から分けて処理をするということは、残りのごみについては高効率発電ですか、そういう利用がやりやすくなるというメリットがありますよね。それをどこかでまずきちんと触れられておくといいと思いますね。
 それで、私はちょっと2、3あるんですが、よろしいでしょうか。続けさせていただいて。この7ページでたい肥化についての、あるいは飼料化についての4の前の真ん中あたりに「また」というのがありまして、飼料化に伴う化石燃料の消費を抑制することも念頭に置く必要があると。非常に大事なことを言っていただいていると思うのですが、この言葉に類する言葉をエネルギー変換においてもやはり念頭に置く必要があるというふうに、どこかで入れていただく必要があるのではないかと思うのですね。エネルギー変換においても、ともすれば高効率というものを結果としての一部分的な高効率を求める余り、結局はたくさんのエネルギーを使ってしまうということがありまして、この辺のただし書きがどこかで必要なのではないかというふうに思っております。
 それから、あとは細かいことですが、9ページの上から2番目のバイオディーゼル化ですが、バイオディーゼル燃料化とした方がよろしいのではないでしょうか。
 それから、その次の水素社会の議論。これはその下の(3)のエネルギー利用の方向性等の表現、ここではすべて文章が「のではないか」という形で書かれているんですが、水素社会論が余りにも断定的過ぎるというのが私の直感的な印象です。ですから、「となると考えられる」とかいろいろな言い方がまだ十分あるだろうという感じがしました。あと10年ぐらいは、そう簡単には決着のつかない技術でございますので、必ずしも断定的でない方がいいのではないかというふうに思います。
 それから、(3)の9ページの一番下のところで、焼却とか、今、ご議論があったところがバランスのとれた表現になっているとは思うのですが、さらにこれは省庁連携施策と絡む話だと思うのですけれども、下水等の既存のインフラストラクチャーとの関連で考えれば、例えば都市部、人口密集部においてもバイオガス化は不可能ではないと私は思いますので、その辺の下水等にディスポーザーから入れる、入れないは別といたしまして、ウエット系の廃棄物を都市部でどのように扱うかということについては、より高度な立場から判断ができるような文章があってもいいのではないかと思います。
 それから、10ページのインターフェースですか、6の上にございますけれども、循環利用のためのインターフェースを整備していくことが重要ではないかと、これも非常に的確だと思うのですが。もう少し拡大して、全体の中に若干抜けているのかなという感じがするのが、地域コミュニティーとの関係といいますか、コミュニティーとのインターフェースというものを何か触れておかれてもいいのではないかという気がいたします。といいますのは、やはりリデュースの一種の社会的な実現方法としては、やっぱり社会的な圧力といいますか、監視ですとかいろいろなことがありますから、その辺の、皆さんがこの問題に対していつも気にしていて見られるようにしていくというのが必要だろうと思うのですね。先ほどの山田委員の方から出されているのは、データベースのその1つになっていくだろうと思うのですけれども、そういったような社会的なインターフェースといいますか、コミュニティーへの接点というのをどこかで触れられてもいいかなというふうに思いました。
 以上でございます。

【石川座長】 どうもありがとうございます。たくさん挙げていただきましたので、それの前のご発言のところからちょっと順を追ってやっていきたいと思います。
 その前の段階では、メタン発酵残さの処理というところと、それから高効率な焼却、既存の処理システムの評価ですね。
 それから、堀尾委員からもご指摘ありましたけれども、エネルギー回収のところでは、簡単に言うとエネルギー回収効率とか、炭酸ガスの削減効率のようなものが多分指標として有力なのですけれども、往々にして部分的な評価に終わっているケースがあるわけですね。そうすると、実際そこの装置の部分ではいいかもしれないけれども、前処理のところですごいエネルギー投入がされているとか、ほかのところでCO2が使われているということも十分あるわけですね。個別のケースについて、すぐに全部が計算できるかどうかわかりませんけれども、ここは方向性、ビジョンの話ですから、おっしゃることは全くそのとおりだと思いますので、効率、例えばエネルギー利用に関しては、エネルギーの回収効率なり、原単位かもしれませんね。トン当たりの回収率だったら効率ではなくて、原単位なのですけれども、原単位もしくは、炭酸ガスの削減原単位は重要なのだと。ただし、それの評価は部分的なシステムでやるのはよくないのだと、全体でちゃんと評価しなければいけないというふうな視点を入れておくということかなと思います。これは多分個別のケース・バイ・ケースで随分違う話だと思うのですね。
 それから、あとは表現の問題が幾つかありましたけれども、新しい問題としては既存のインフラ。それから、ちょっと話は広がり過ぎるかもしれませんけれども、インフラにはちょっと入れるとまずいかもしれませんね。コミュニティーとのインターフェースみたいな話ですね。これは、この委員会でもこれまで大分時間を使って議論をしてきたことでもありますし、ごみを出すという立場と、食べ物を買うという立場と、それからその途中回っている部分があるわけで、ここのループがちゃんとしていないといけませんねという議論は随分、ここで1回分以上使って議論をしたと思いますので、何らかの形でもう少し、よく読むと書いてあるのですけど、もう少し上の項目で出てくるような形の方がいいのではないかなという気は私はします。
 いかがでしょうか。今、ちょっとかいつまんでご説明しましたが、そういう点に関してご意見ございませんでしょうか。では、庄司委員。

【庄司委員】 そのことに直接ではないかもしれませんが、関連して全体的にちょっと気になったことは、自治体の一般廃棄物処理をする立場から見た場合に、この最終的なまとめが、自治体が今後の生ごみ処理をどういうふうにやっていくのか、廃棄物処理をどう政策的に位置づけていくかという際の、1つの元になるものだと思うのですね。そういう意味で見た場合に、まず最初の、2項のリデュースのところでは少し触れていますが、今、石川先生がおっしゃったように、その辺のことを自治体が生ごみの発生のリデュースをするという仕組みの上で、今後具体的にどういうふうにしていくのかということを、ここで中心的に論じられている生ごみの手法との関連をもう少しつけて、方向性をもう少し具体的に出した方がいいのかなと思います。
 それから、真ん中にいろいろな手法がここに整理されているわけですが、この構成で言えば3番目の飼料化、たい肥化の利用とか、個別に出ていますけれども、この中で自治体の一般廃棄物処理の中の生ごみという点で見ると、やっぱり家庭系の生ごみが大半だろうと思いますね。しかし、生ごみ全体でみれば家庭系生ごみは全体の4.1%なわけです、ここで整理されているのを見ても。我が国の生ごみリサイクルの全体からすれば、家庭系生ごみは一部なのですけれども、自治体の生ごみ処理の次元で言えばここが非常に大きいわけですね。恐らく関連するのは、[2]の事業系生ごみの一部が一般廃棄物として出てくるだろうと思いますし、[3]以降のものは、大半が産業廃棄物として区分けする部分で、中には一般廃棄物も部分的に入っています。
 そうすると、今後の一般廃棄物の処理責任を負っている自治体の生ごみリサイクルとしては、どういう方向性を出していくのかというのを、自治体にとってもう少しヒントになるような形での整理が必要ではないか。これまでいろいろな仕組みづくり、例えば単に手法だけではなくて、手法は幾らあってもそういった地域的なループをつくらなくてはいけないとか、利用先と需要と供給との関係もやらなくてはいけないとかと出ていますね。そういう意味合いを含めた形で、最後の個々の自治体が取り組んでいくときの方向性というのを、もう少し出した方がいいのではないかと思います。
 その場合に多分、個々の自治体、大都市などは一定規模の量が集まり、その自治体で独自でできるでしょうけれども、中小の小さな自治体においては単独でなかなかできないので、多分広域的な連携というか、言葉はいろいろあるでしょうけど、広域的な処理体系というのもつくっていかなくてはいけないでしょう。それから同時に、それは一般のごみ処理と違って自治体の中で内部的に完結することではなくて、事業者との連携がなかったら多分できないのだろうと思うのですね。そういう意味では、そういう仕組みの方向性というのは、何かもう少しヒントになるようなものを整理して出しておかないと、自治体としては飼料化、肥料化とかリサイクルとかいろいろあるけど、実際にはなかなか難しいし、リデュースはもう限界あるし、結局は従前の焼却処理、そこはそれで熱回収を効率的にやるとか、あるいはせいぜいバイオマスの新しい形でのエネルギー回収をどういうふうにやっていったらいいかとか、もうそこにしかいかないと思います。大半は結果的には、多分そこは選択肢になるのだろうと思うのですが、全体の3Rということをやっぱり基本的に考えていった場合に、そこの位置づけでどういうふうに体系化していったらいいのかとか、ヒントになるような整理をもう少しする必要があるのではないかなというふうに思いました。

【石川座長】 庄司委員のご指摘も、コミュニティーとのインターフェースだとか、これは事業者と自治体というところが重要だというお話なんですが。いずれにせよこれは今までだと何か、だれがどういう責任をということで割り切れていた話なのですが、3Rイニシアチブで目指しているのは、いずれにせよ多分そういうことではできない。生ごみに関しては特にできないと思いますので、主に小規模な自治体に向かって、もう少し何かヒントになるようなことが書かれていた方がいいのではないかというご指摘だと思いますが、いかがでしょうか。何か具体的なご提案だとか、ご意見ございましたら。はい、どうぞ。

【山田(正)委員】 家庭系の生ごみの焼却以外のオルタナティブとして、やっぱり京都市さんがやられたメタン発酵というのは1つのやり方だと思います。この技術のブレークスルーには廃液を下水道放流できるかというところが大きいと思います。現状では、放流しづらいことが多いです。この可能性があれば廃液処理の問題はなくなってきます。ベストというわけでもないですが、下水道でも農集などの既存の排水処理設備に廃液を入れるというような連携の仕方も示しておくことが大事かなと思います。

【石川座長】 この点はいかがでしょうか。その前に堀尾委員からご指摘あったような既存のインフラを前提にして、どう考えるかのうちのまた1つだと思うのですね。下水道が今あるわけですから、そこに放流するというふうな形が一体合理的なのかどうかという話と、それから、今すぐには多分難しいのでしょうけれども、もしそれが社会的に見て合理的だとして、どうするべきかという話ですね。

【小島委員】 今の話は9ページのところの後段4行の中に、1つはごみ焼却場のことがあるのですが、さらに水処理についても組み合わせてというような表現があるので、ここの具体的なイメージが焼却工場の水処理なのか、下水なのかちょっとよくわかりませんが、そういうイメージは書かれているので、そこをもう少し補強されたらいいのではないかなと思います。

【石川座長】 9ページの一番下のパラグラフのところで、これを普通に読むと何か新しくそういうのをつくるというふうに読めるのですけれども、そうではない場合もあり得るようにするということでしょうか。

【小島委員】 1つはごみ焼却システムを使うということが書いてありますよね。水処理システムをこれは新しくつくるのか、焼却場の排水処理施設を一緒に使うことによって効果的に処理できるので、そういう意味からコンバインド化が非常に有効なのかなとイメージはしていました。別途、下水も含めた水処理なのかなともイメージしていましたので、その辺がよくわかるようにしていただければと思います。
 再度お話をしますけれども、それは望ましい方向ですが、焼却工場というのは準工業地域もできますが、ガスの製造施設はできない制約がありますので、そういう規制緩和もこういった方向の中で打ち出していっていただけると助かるなと思います。

【石川座長】 バイオガス化装置にしても、現実の立地の問題で規制緩和が必要な場合があるということですね。いかがでしょうか、こういう点に関してご意見ございますでしょうか。
 では、中井委員。もしほかに関連するご意見なければよろしいですか。関連する意見、じゃあ、山田委員、先に。

【山田(久)委員】 ちょっとこれは確認なんですけども、今、庄司さんがおっしゃった市町村の指針となり得る論議という問題で、これは今後この委員会であと2、3回ということなので、そこで踏み込んだ論議はされるということでよろしいですか。それならいいです。

【古市委員】 私、多分山田さんと同じことを考えていると思うのですけれども、結局これは個別のリサイクルだとかエネルギー回収とかで考慮すべき要因をいろいろ挙げていただいて、よくまとめておられるのですけれども、ただ、それを事業化に向けてどうシステムを組んでいくかという、そのイメージがわかないのです。システムの議論がないのですね。
 だから、事業主体が民間の事業者のお話なのか、自治体の話なのか。自治体の話のところでは具体的にやっていかなければならないですね、普及させるための。そのときにインプットの問題として、先ほども少しコミュニティーという話をしましたけれど、どんなふうに人集めて、どのぐらいの量、どういうふうに質を確保しながら集めていくかという方法論、そういう議論がほとんどないのですよね。
 それから、アウトプットにしてもどういう場合にニーズがあって、ニーズの可能性みたいなことをどれだけ探っているのかというのがないのですね。これがないと動かないですよね。それから事業化も、例えば先ほどの自治体ですと、今、経済的な効果みたいな、どのような政策手段が有効であるかというのが一番最後に書かれているのですけれども、それをこれから2、3回議論されるというのであれば、それを一生懸命したいと思うんですけれどもね。ここのところが今でも、例えば生ごみをたい肥化、バイオガス化するのがいいよというのがわかっていてそうしましょうと、焼却負荷量を減らしましょうとしても、全量焼却になる可能性あるのですね。なぜかというと、それと灰溶融に持っていった方が補助金がつくからですよね。そこのいいこと、エネルギー面とか、物質リサイクルという面から考えても、いいことが通らないような仕組みがあるならば、それを改善しないといけないですね。そういうような話はどうなのかというのをやっぱり今後、議論していかないと、具体的な問題として皆さん、自治体は困っているのですよ。だから、そういうもう少し踏み込んだ議論ができないかなというのがちょっと感想です。

【松澤廃棄物対策課長補佐】 先生、いいでしょうか。今、山田さんと古市先生からお話がありましたけれども、議論の手順としては、この会議の冒頭で第1回のときにご説明いたしましたが、まずいろいろなご意見があるだろうと思います。最初に私どもとしては、どういうリサイクルなりエネルギー回収、それから3Rということですので、リデュースも入っているのですけども、まずどういうところを目指すべきかというのを共有するのがいいのではないかと。
 その次に、関係者の役割分担というのは、じゃあ、どうあるべきだろうかという具体論に入っていき、実際の政策手段。今、古市先生が焼却灰溶融の方が補助があって、バイオマス利用が逆に阻害されるのではないかと。それは、現実は必ずしもそうではなくて、イコールフッティングになっていますけれども、その辺の手法の話、そういったところを続きでやっていけばいいのだろうと思います。
 いろいろこれまで7回議論していただいた中で、やはり何ていうのでしょうか、この方法一本やり、あるいはこうするのがベストだというのはなかなか。データを今、集めてみましてもエネルギー利用1つとってみましても、どう言ったらいいのでしょうか、いいという好成績のデータもあれば、実際、設計なり企業が言っているようなものではなくて、もっと成績が悪いのではないかというデータもございますし、このあたりは一律にといいますか、クリアにAパターンからDパターンまで、これは経済性はこうだ、エネルギー回収はこうだとか、なかなかそこは実際には決め打ちするところが難しいという部分があると思います。そこをきれいにこの検討会で決めるには、今のところまだ十分に、特にエネルギー利用の部分については一部のデータが必ずしもないのかなというふうに思います。
 そういうことで、とりあえずビジョンとしては、ここに書いてありますような飼料、たい肥、それからバイオガス化というのが標準的な方向性としてまず、考えられるのではないかと。ただ、それだけではなくて、中井委員からも例えば炭にするというお話がありましたけれど、地域的に選択できる方法というのも当然あるのだろうと思いますので、そういったまとめ方にこのビジョンのところはしております。市町村が例えばどういう役割を担うのか、事業者の方がどういう役割を担うのかというのは、このビジョン以降の議論の中でやっていく必要があるのではないかと考えています。市町村の処理システムというのは、今、既存のやつがありますので、それについてどういう方向性があるべきかというのは、それはこのビジョンの中でもう少しわかるように、わかりやすいように書く必要があるのだと、それは我々もそのように思います。
 今のところまだ、10ページの4つ目の○のところで少し市町村のシステムの話が書いてあるところ、あるいは先ほど来、ご指摘のありました9ページのエネルギー利用のところで書いてあると、こういうところにとどまっております。この辺はよりもう少しクリアにしていく必要があると思いますので、ご意見を踏まえてその辺の明確化というのをもう少し踏み込んだ書き方する必要があれば、やっていけばいいかなというふうに思っています。

【古市委員】 今、松澤さんのご説明はわかりましたけれども、ビジョンを合わせていく、同じ方向を向いていくというのは、最初に出だしから出てくる、非常に重要だと思います。それで、多分今までこういうふうにまとめてこられたんだと思うのですね。これから、本腰の議論されるということもわかりました。ただ、ここで10ページから11ページに書かれている内容につきまして、これがこういう方向だよ、この検討会の取りまとめだよということにするには少し寂しいなと。もう多分、世の中の人は、このぐらいのことはよくわかっているのですよ。次の段階で何をするかということを具体的にしたいのです。議論したいのです。だから、多分これに7回かかって、丁寧にやっていただいたと思うのですけれども、だったらもうその2倍、あと10回ぐらいですね、詰めていくような議論をしたらいかがでしょうかというふうに私はちょっと思いました。

【中井委員】 先ほどの古市委員のご発言にもちょっと関連をしますけれども、現実的なイメージがこの論点整理で非常にわきにくいという、私もちょっとそういう感触を持っております。私どものような排出事業者側の立場からいきますと、例えば10ページの5番の上から4つ目の○の中に、例えばこういう表現があります。「大規模な食品関連事業者の場合には、独自のシステムづくり・運営が比較的容易である」というような表現がありますけれど、これは多分1カ所で大量に食品廃棄物を排出するという、そういう事業者のイメージだと思うのですけれど。実は問題なのは、コンビニもそうですし、私どものような外食産業もそうなんですが、事業展開が非常に広域化しているという現実があるわけですね。つまり多店舗展開をして、複数の市町村に店舗が非常にまたがっているというような場合に、やはりどうしても市町村の区域を超えて廃棄物の収集運搬をしていくということが、効率的に求められるということがあるのですけれども、実際には自区内処理を原則とした廃掃法がやはりその阻害要因になっているということを、まず根本的な問題だということを、以前にもそれに似た話を私は発言をしたと思いますけれども、そういう問題提起をきょうもさせていただきたいと思います。
 具体的に、では、どうしていくのかということなのですが、例えば同じ○の中で、その3行下に、「地方公共団体と食品関連事業者の間で連携、協力」という表現がありますけれども、我々のつたない経験でまいりましても、これも以前お話ししたかもしれませんけれども、例えば食品リサイクル法と、食品リサイクル法も含めた循環基本法が必ずしも既存の法体系で優先になっていないと。特に、市町村の担当の窓口の方々は、循環基本法ということについて余りにも理解が至っていないというケースが非常にあるように思っております。ですから、そういう意味からいきますと、連携、協力は確かに必要ですし、我々もしたいのですけれども、ここはこういう表現ではなくて、例えばリサイクルですから再生利用の状況を何らかの形で定期的に報告するというようなことを条件にして、既存の規制緩和をきちっとやっていくというようなことを明確に書いていただかないと、連携協力というような表現だけでは具体的に何を言っているのか、どうすればいいのかということの問題解決の糸口が見えてこないのではないかなという気がいたしております。

【石川座長】 どうもありがとうございました。非常に大事な問題だろうと思います。ただし、時間がちょっと迫っていまして、恐らくこの問題はあと5分というわけにはいかない問題だろうと思いますので、議論自体は次回以降に持ち直すしかないだろうと思います。ただ、この後、きょうご議論いただいたことをベースに事務局サイドで、この論点整理を修正していただくわけですけれども、その中でどう取り扱うかということについては今、合意をしていただきたいと思いますが、ご提案としては例えば廃掃法の規制緩和について何らかの形で触れるというご提案でしょうか。ほかの委員の方、はい。

【山田(久)委員】 ここの論点のまとめを見ますと、今の委員の発言については、その部分だけ踏み込んだことになりますので、先ほどから庄司さんのおっしゃっていたことも含めて、今後の議論ということにしていただきたい。そこで、それぞれの市町村の役割、事業者の役割が具体的に論じられる中で、最終的な取りまとめに向かっていくと思うのですけれども、その中でどう表現されるかが問題であって、この部分だけ法的な規制緩和をすべきだというような表現はまずいのではないかと思います。

【石川座長】 規制緩和をするべきだというのは、ちょっと強過ぎる表現かもしれませんね。恐らく現状の廃掃法との関連でしょうね。リサイクルを事業者が進めようと思ったときというのでしょうか、それとも食リ法を遵守しようと思ってやろうとしたら、何か廃掃法が引っかかったというのでしょうかね、何かやりにくいことがあったと、そういうことについて触れるということでしょうか。

【山田(久)委員】 このまとめでその次の次の項目のところに、「循環的利用を標榜した不適正なリサイクル等を防止するため」ということがあるわけですね。今、全国的に脱法処理がふえていて、これが広域的な中で非常に産廃の場合にふえているわけです。だから、廃棄物の適正処理という観点から廃掃法はあるわけでございますから、そのことについて安易に踏み込んだ意見は、皆さんの議論の中でやっていくのはいいのですけれども、廃掃法が問題だというようなことはまだ、言えないんじゃないかということです。

【中井委員】 私が申し上げているのは、廃掃法全般を見直すべきだというようなことを言っているつもりは全くありません。現実に多店舗展開をしているようなコンビニだとか外食産業の立場で、広域的に効率的なリサイクルを進めようとしたときに、現実には阻害要因になっているということを言っているわけです。したがって、そのために規制緩和という表現がまずければそれは構いませんけれども、一方的に緩和すべきだというふうに言っているわけではなくて、先ほど申し上げたように、じゃあ、具体的にきちんとやられているのかどうかということを何らかの形で、例えば定期的に報告する義務を負わせるとか、そういう方法が幾らでも考えられるのではないかと思うのですね。ですから、そういう手法についてはまた議論をすべきだと思いますけれども、いつまでたっても今のような状況の中でまいりますと、阻害要因は現実としてあるのだということは、きっちりと認識をしていただかないといけないというふうに思っております。

【石川座長】 いかがでしょうか。ほかの委員の方、ご意見。では、伊藤委員。

【伊藤委員】 私もその点については、今後も議論していきたいと思っております。あと、違う角度なのですけれど、食品関連事業者の立場から一言申しますと、7ページの飼料化、たい肥化の方向性の中で○の3番目、6番目あたりで、食品関連事業者から出て、再生利用されまた食品関連事業者へ戻るという「循環型のループ」の話が幾つか入っておりますが、できればここに「消費者」も関与させていただけると非常にありがたいのです。結局は最終的に売れるか、売れないかでそのループができるわけです。4ページの排出抑制の方向性のところでは消費形態にも触れられておりますので、この「循環型利用のループ」におきましても、最終的に「消費者」に生産物が消費されていくことが重要ですので、食品残さからつくられた飼・肥料を用いて生産された農畜水産物が積極的に購入いただけるような理解を求める、そんな視点もちょっと入れていただけると、もっとうまくループが回っていくのではないかなと思います。

【石川座長】 どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。多分、中井委員からのご指摘のところをどう取り扱うかというのが、多分事務局として一番悩むと思いますので、皆さんのご意見をなるべく伺いたいと思います。今、議論がありまして、中井委員からのご指摘は、現実に広域でやろうと思ったら阻害要因としてあるということで、それは議論していこうと。議論するという点に関しては、皆さん合意されていると思います。ただ、論点の中にどういうふうな形で書くか、もちろん廃掃法の一般的な意味での規制緩和などというところではもちろんないけれども、ご指摘があったのは広域で市町村、もしくは都道府県も越えるような領域で、実際に食品リサイクルを実施しようとすると、実務的に不都合な点が事実としてあったということですね。これ、私、ちょっと時間がないので議論はできませんけれども、問題提起しておきますと法律上の問題ということが1つあるだろうと思いますね。ただ、それを変えるか、変えないかというのはいろんな副作用もありますから、どうするかという議論が1つあると思います。
 それからもう一つは、実は法律上はできるはずのことが何年間も待たされるとか。それはつまり市町村の窓口で判断ができなかったり、市町村によって判断が違っていたり、エンフォースメントですね。法律の施行のところが、透明で効率的に行われていないという話もいろいろ伺います。これは別に規制緩和の話ではないですよね。現状の法律そのものはちゃんと適用されているのかという、だれにも同じように公平に適用されていますかという議論なので、もう既にこのレベルでちょっと問題が実はあるのではないかなという気もするのですね。そこのところだけで、中井委員のご指摘のような問題が全部解決するかどうかわかりませんけれども、当面そういうふうな問題もあるのではないかと思います。ですから、何らかの形でそういうことを触れておくということは、実際に問題に当たった事業者としての委員の方からのご指摘があったわけですから、何か書くことが必要なのではないかなと思うのですね。ただ、それが今、申し上げたような、すぐに廃掃法を全部見直すのだという話とは、質が違うのだということはもうちょっとちゃんと書いた方がいいとは思います。ちょっと時間がないので、いきなりご提案させていただきましたが、いかがでしょうか。もし、そういう線でよろしければ……、はい。

【山田(正)委員】 実は10ページの共通のところの方向性に書いてあることですが、1つはご指摘あったように地域で動かす場合と、広域で動かす場合には……というような問題があるというのを書いておくことと、もう一つは、ここに書いてあることを法律でやるのか、ガイダンスでやるのか、それとも事業者さんたちの取り組みでやるのか、実は明確ではないですよね。こういったことを実現するために、制度や社会的な仕組みづくり、技術的なガイダンスなど、どのように果たすかということを議論すべきであるみたいな形でまとめておくというのが、今の段階ではよろしいんじゃないかと思いますけども。

【石川座長】 いかがでしょうか、今、山田委員からご提案ありましたが、そういう線で、あと事務局……。じゃあ、どうぞ。

【古市委員】 いや、今、山田さんがおっしゃった点でいいと思うのですよね。この11ページの一番最後の○が要約、一番おっしゃりたいことだと思うのですけれども、生ごみ等の3R、エネルギー利用、適正使用の全体的なビジョンを共有するということ。じゃあ、それを共有した上で、次に具体的にどういうふうなアクションをしていくかと、そのときにどのような政策手段が有効であるかということを議論しましょうとなっていますよね。ただ、このどのような政策手段が有効かというと、この内容をどこまで深めるのか、どの範囲まで議論するのか、これがちょっとまだ見えないので、では、やりましょうかという感じなのですけれどね。総合的な部分に立ち返るのか、それとか経済的な補助、交付金の話にも行くのかどうかとかね。いろいろバリエーションがあると思うのですよ。どこまで踏み込むのかという、その辺のところのある程度の目安みたいなものが少し欲しいなという気はいたします。

【石川座長】 いかがでしょうか。まず、その目安というところで、もしお答えがありましたら。

【粕谷廃棄物対策課長】 どこまで踏み込めるかは結局、いろんな関係者がどの辺まで合意できるかということになるので、今の段階でこれまで必ずやりますというふうに言える話ではございませんが、議論はいろいろすればいいのではないかなと思っております。政策手段というのに込めたいろんな思いを酌み取っていただければというふうに思います。
 それから、中井委員がおっしゃった点については、5のどこかに広域で集める場合云々というようなところを何がしかの形で入れていかなければいけないのかなと。それが阻害なのか、運用としてうまくいってないのか、その辺はちょっとまだ、難しい点はありますけれども、多店舗展開のときに市町村の中だけでは完結しないケースがあるということは事実ですから、その辺については何らかの言及は入れようかなというふうには思っております。

【石川座長】 いかがでしょうか。この後事務局に、きょうの議論を踏まえて論点整理を修正していただくということでお任せいただいてよろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、本日の議題はこれで終わりまして、次回以降の日程について事務局から何かご案内はございますか。

【土井廃棄物対策課長補佐】 次回以降につきまして、次回は5月中下旬を予定しております。日時は別途また調整させていただきますが、その際に、当初予定の8月ごろまでの数回、2、3回と考えておりますが、その開催日時をあわせて調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

午後4時02分閉会