環境省廃棄物・リサイクル対策廃棄物処理の現状検討会・懇談会生ごみ等の3R・処理に関する検討会

第4回 生ごみ等の3R・処理等に関する検討会 議事録


(平成17年12月19日開催)

午前10時06分開会

【土井廃棄物対策課課長補佐】 おはようございます。定刻を5分ほど過ぎましたが、これより第4回の生ごみ等の3R・処理に関する検討会を開催させていただきます。
 まず、事務局の方から委員さんの出席状況をご報告させていただきます。
 本日は酒井委員、古市委員が欠席ということで聞いております。なお、大雪のせいで新幹線に遅れが出ており、ただいま小島委員、瀬川委員、山田委員がそれぞれ1時間弱おくれるという連絡をいただいております。そういう状況で、ご出席いただいている委員の数はまだまだ少ないんですが、始めさせていただきたいと思います。
 資料の確認でございます。資料は、議事次第から名簿、座席表、一まとめにしてございます。資料1が生ごみ等の飼料化・たい肥化の現状及び課題等についての部分、真ん中ぐらいから食品廃棄物系バイオマスのエネルギー利用システムについて「現状、課題及び今後の方向性」、これが資料2でございます。あと、委員さんにお配りしております参考資料1、2、3とございます。参考資料1は、2回、3回の検討会で出ました追加質問に対する回答でございます。参考資料2は、環境省が行ってまいりましたヒアリング、飼料化・たい肥化のヒアリングの結果を取りまとめたものでございます。参考資料3は、海外におきます事例ということでございます。
 それでは石川座長、よろしくお願いいたします。

【石川座長】 おはようございます。どうも天候のせいで、委員の方、来られない方が多いようです。本日は、前回、前々回、ヒアリングを行ってまいりました、そのヒアリングの結果を踏まえた上で、たい肥化・飼料化についての方向性の議論と、それから本日はエネルギー利用についての現状に関して調べていただいたことがございますので、そのご紹介と質疑を予定しております。まだ委員の方の中で、交通機関のおくれですので、1時間そこそこで数名の方は来られると思いますので、最初にエネルギー利用についての情報提供をしていただきまして、方向性の議論はちょっと重要ですので、少しでも委員の方が多い方がいいと思いますので、後半にさせていただきたいと思います。
 それでは、エネルギー利用の実態についてのご紹介をお願いいたします。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 それでは、お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。何枚かめくっていただきますと、右肩に資料2、食品廃棄物系バイオマスのエネルギー利用システムについて-現状、課題及び今後の方向性-ということで資料を用意しております。この資料に沿ってご説明をしたいと思います。
 最初に1.食品廃棄物系のバイオマスエネルギーの利用の検討の視点ということで、全体のシステムについてどんなシステムがあるのか、それについてどういう方向でご議論いただくのがいいのかを少し整理をしてございます。
 この食品生ごみ、外食産業・小売・卸売等の流通過程の食品残さ、さらに食品製造工場から出てまいります食品残さの利用用途、これにつきましては、これまでご議論いただいています飼料・たい肥利用というものに加えまして、燃料化あるいは発電と、こういうような形でエネルギー利用をすることが考えられるわけでございます。このバイオマスのエネルギー利用につきましては、地球温暖化防止対策ということで注目されているシステムでございます。このエネルギー利用につきましては、堆肥・飼料などの原材料利用と競争する関係にあるかと言えると思います。また、その一方でお互い補い合うということとも考えられると思います。さらに、今回の検討会では、生ごみと食品廃棄物、こういうものについて議論していただいておりますけれども、同じグループにありますバイオマスであります、例えば家畜ふん尿のたい肥化、あるいは木質系バイオマスの燃料化というようなものと比べた場合に、ほかのこういうバイオマス系廃棄物の利用用途とも重なってくるということが言えるかと思います。
こういったことを踏まえまして、ご検討いただくということになりますけれども、まず、循環基本法の基本原則というものがございますので、そういったところを前提としていただきながら、原材料利用との競合あるいは補完関係、さらにほかのバイオマスエネルギーとの関係を考慮しながら、ご検討いただくということになろうかと思います。そして、議論の方向性といたしましては、生ごみなどの原材料利用、それからバイオマス全体のエネルギー利用、こういうものを伸ばしていくということが重要なのではないかと考えてございます。そして、議論に当たりましては、すべて網羅しておりませんけれども、技術の水準ですとか、それからバイオマスの賦存量、どれぐらい使えるかというようなところ、さらに代替します既存の燃料とかエネルギーとの関係、そのほかバイオマスをめぐるシステム全体について、いろいろなことを考慮していただくことが必要かと思っております。
 図1に主なバイオマス、生ごみなど食品廃棄物を含めまして、そのエネルギー利用も含めました利用形態について、これは必ずしもすべて網羅はできておりませんけども、代表的なものを図示してございます。このようにいろいろなシステム、それから用途があるわけですけれども、バイオマスの種類によって、競合あるいは補う関係というのが現にあるということでございます。
 続きまして2ページでございますが、最初にエネルギー変換技術の水準について、NEDOでバイオマスエネルギー導入ガイドブックというのをまとめられておりますので、そういったものを中心に、私どものところで技術水準を簡単に概観をしてみたというのが表1の部分でございます。
 技術水準につきましては実用化、それから実証段階、基礎研究も含めまして研究開発段階という形で、一応3段階にシンプルに大別をしてございます。表1は、そういった技術水準というものに加えまして、いろいろなその変換技術、生物化学的な変換、これはメタン発酵に代表されるものでございますが、そういったものですとか、熱化学的変換、あるいは単純な燃焼というようにまず分類をいたしまして、これが表1のこの縦軸側といいますか、左側の欄でございます。右側、横の欄に、種類別にどれに適した技術であるのかというのがわかるような形で図示をしてございます。
 食品廃棄物の欄をごらんいただきますとメタン発酵、ここの実用化のところに◎という形でついてございます。この◎というのは、事例も多くて、さらに対応技術として向いていると考えられるところに◎をつけてございます。食品廃棄物のところで、例えばアセトン・ブタノール発酵というところは、開発段階ということで○がついてございますけれども、このアセトン・ブタノール発酵、後ほどご説明いたしますが、これについては例えば技術開発・研究開発の段階でありますけれども、事例があり、対応技術として向いているということで○をつけてございます。さらに熱分解ガス化というところ、食品廃棄物の欄で言いますと、実証段階ということで△がついてございます。熱分解ガス化、いろいろなバイオマスに対応できるかと思いますけれども、対応技術として必ずしも向いているかどうかというところはいろいろ議論あると思いますので、対応可能な技術ということで△という印をつけてございます。このような形で、一応そのさまざまな変換技術について、バイオマスの種類ごとに技術水準、現状のものについて整理をしてございます。食品廃棄物につきましてはメタン発酵、それから一部の食品廃棄物になりますけれども、エタノール発酵、さらに下の方にございますエステル化、これはバイオディーゼル燃料化でございますけれども、そういうものが現に実用化をされているというところでございます。
 食品廃棄物と似たような水分をたくさん含んでいますものとして家畜ふん尿、下水汚泥、こういったものがございますけれども、これらについてもメタン発酵というのが◎のマークがついているということで、このメタン発酵というのが中心的な技術として注目できるのではないかということでございます。
 右側の農業残さですとか木くず、こちらに行きますと比較的水分の少ない乾燥したバイオマスということになりますが、ここの部分については、熱分解ガス化というようなところ、あるいは直接燃焼といったジャンルのところが実用化なり、比較的向いているという、そういったことでございます。
 続きまして、3ページはバイオマスエネルギーの賦存量と利用可能性ということでございます。これは、先生方もこの図2のグラフ、いろんなところで既にごらんになっているかと思います。とりあえず現段階では、この日本エネルギー学会でまとめられています調査結果、これがいろんなところで使われておりますので、私どもも今回はこの資料を用意いたしてございます。これは主要なバイオマス全体のエネルギーとしての賦存量、それから利用可能性を試算されているものであります。図で見ますと、左側の棒グラフがエネルギー賦存量で、やや色の濃いハッチングをしていますものがエネルギー利用可能量という整理になってございます。
 図2の(注1)のところをごらんいただければと思いますが、バイオマスの種類ごとに、利用可能量の設定条件をバイオマスの種類に応じて決めてございます。木質系のものなど、食品系のもので言いますと廃食用油を含むものでございますが、これについては賦存量からエネルギー用途以外の有効利用分を除いた量というものを利用可能量として試算をされているということでございます。廃食用油を除く食品廃棄物については、賦存量全量を利用可能という想定をしているというものでございます。それを前提にごらんをいただければというふうに思います。
 この試算によりますと、利用可能量は年間約1,300PJということで、我が国の一次エネルギー総供給量の6%程度という、そういうウエイトのものでございます。このバイオマスのエネルギーの試算の中で、食品廃棄物というジャンルのものがございます。これは図2で言いますと一番右側の部分でございますけれども、これは木質系バイオマスに次いでウエイトが大きくなってございます。バイオマス全体のエネルギー賦存量で言いますと、22%というものでございます。特に食品加工廃棄物という欄の棒グラフが大きくなってございます。これは内訳を見てみますと、食品製造工場の有機性汚泥というのが中心ということでございます。これは有機性汚泥ということなので、いわゆる生ごみなど食品残さと若干異なっております。この食品残さ系のものについて見てみますと、これは食品販売廃棄物、家庭生ごみ、廃食用油という部分でございますが、この部分だけ見てみますと63PJということで、バイオマス全体の約5%と。こういったオーダーといいますか、レベルのものということでございます。これら三つのものにつきましても、既に飼料化・堆肥化が行われておりますので、残る部分がエネルギー利用の対象というふうに考えられるかと思います。
 続きまして、4ページ以降でございますが、先ほどの表1にございました個々のバイオマスエネルギー利用システムについて食品残さ系のものを中心に、どういった状況にあるのか少し詳しく整理をしてみたものでございます。4番のこのシステムの概要の紹介のところでは、先ほどの表1にもございましたが、実用化段階にあるものと、それから研究開発段階のもの、さらに生ごみなどのエネルギー利用と関連するシステムというような、三つの分け方でそれぞれシステムをとりあえず分類分けをしてまとめております。
 まず、メタン利用システム(バイオガス利用システム)でございます。この概要のところをごらんいただきますと、これはご存じのとおり微生物反応でメタンをつくって、このつくりましたメタン、これをもとにガスエンジンとかボイラーで利用すると。エネルギーの形態としては、発電とか熱というような形で使っていこうと、こういうシステムでございます。バイオガス化する場所で、できるだけ出てきたものを有効に使って、残る部分、こういうものについて電気、または熱の形で利用していくということになっているようでございます。このシステムは、高含水率のバイオマスからエネルギーを回収できるということで、いろんなバリエーションがあるかと思いますが、そういった点がポイントになってございます。
普及・導入の状況、③のところをごらんいただければ、食品廃棄物を対象としたもの、家畜ふん尿、下水汚泥、それぞれ多数の実績があるということで、こういったウェット系のものについて実績もあり、向いている技術ということが言えるのだろうと思います。
一方で、課題のところでございますが、電気を売る場合の価格でございますけれども、これは電力会社との関係で決まってまいるかと思いますけれども、発電コストよりも売電価格の方が低いということで、そういう意味で、経済性の面で課題があると。それから、技術的にも例えばアンモニアによる阻害というものがあるので、そういうものへの対策。それから、システム全体として見ますと発酵処理水、こういう処理しないといけない汚水が発生します。あるいは、固形物としては発酵残さというものが出てまいりますもので、こういったものもあわせて全体のシステムをつくる必要があるというところでございます。
今後の方向性なり可能性というところでございます。これは将来を見通すということで、必ずしも簡単ではないんですが、既存の文献なども参考に、ここでは提示をしてございます。余剰分のエネルギーを地域で有効に利用すると、こういうシステムを構築するというのが、このシステムの普及のポイントになるのではないかということでございます。一部の事例では、メタンガスをごみ収集車の燃料として利用すると、そういう小規模のシステムに合った形も考えられるということかと思います。また、将来の話ではございますけれども、水素利用にも関係してくる、貢献し得る、そういう技術ではないか、システムではないかということでございます。
それから、各種データのところでございますが、バイオマスの利用可能量は、先ほどの図2のところから、このメタン利用システムに適応し得るものをピックアップをしてございます。ここは、そういう意味で、利用可能量の数字というのは、ある意味ではマキシマムというような形であろうかと思います。そのほか、バイオマス当たりの変換量ですとか、コストの事例、あるいは価格の事例といったところを紹介してございます。
 次に5ページ、エタノール利用システムでございます。エタノールは、食品廃棄物の中で例えば砂糖を製造する過程で出てまいります糖蜜、こういったものですとか、でん粉系のものが原料になるということでございますので、食品の廃棄物全体をすべてエタノール変換できるというわけではないかと思います。対象は、糖とかでん粉系のものに限られるというものでございます。こういったものからエタノールをつくって、ガソリン自動車の燃料などに利用すると、そういったシステムでございます。
普及・導入の状況でございますけれども、糖・でん粉系を対象としたものは実用化をされていると。NEDOにおいて、アルコール事業ということで実際に商業化プラントといいますか、そういったものも稼働していると。海外におきましても実用化されて、商業化されているというところでございます。この課題でございますけれども、やはりバイオマス全般につきものでございますが、製造コストの低減というようなところが中心的な課題ということでございます。
今後の可能性・方向性でございますけれども、ガソリンに混合してガソリン自動車の燃料として供給していこうと、そういうことで現在流通実証実験が国内で行われているというところでございます。今後、将来的には地域における取り組みというのが増大していくと、そういうところが期待されるものでございます。そのほか、海外を見てみますと、アメリカあるいは中国、こういったところでエタノール導入拡大の方向が出ているということで、そういったエリアは日本の自動車産業の重要なマーケットにもなっておりますので、そういったことでも、このエタノール利用というのが今後進み得るのではないかということかと思います。
 それから、次の6ページでございます。バイオディーゼル燃料利用システムでございます。これは京都市におけます事例というのが非常に有名でございますが、植物油を原料として一定の化学反応でバイオディーゼル燃料、エステル化したものをつくるということでございます。ディーゼル自動車の燃料として100%、あるいは軽油と混合して利用すると。こういうシステムが導入をされております。ディーゼル自動車以外にいろんな燃焼機系でも利用できるというところでございます。
導入・普及の状況でございますけれども、実績は多いということで、小規模なものではありますけれども、自治体主導あるいはNPO主導で公用車ですとかバス、こういったところに使われてございます。ご案内のその京都市の事例では、バイオディーゼル燃料100%の燃料を京都市のごみ収集車全車で使っていると。それから、20%混合したものについて市バスで使っているという状況でございます。この使うに当たっては、自動車側の部品の交換ですとか、そういった一定の対応をした上で使用されているというところでございます。
課題のところでございますが、経済性のほかに、このバイオディーゼル燃料については、寒冷地において冬期に粘性低下するというようなところへの対応が必要だというようなこと。それから、原料であります廃食用油をどうやって回収するのか。それから、でき上がった燃料をだれがどう使っていくのかと、そういったトータルなシステム化が必要なものというところでございます。
今後の可能性・方向性でございますけれども、既に70カ所以上で利用されているというところで、それ以外にも計画を有する地域があるということでございます。こういった取り組みを、基本的にはエンカレッジする方向になろうかと思いますけれども、燃料規格も検討されているということで、バイオディーゼル燃料の流通を支援するような環境整備も進んでいくのではないかと。そういうことで、地域における取り組みというのが定着するなり、あるいはふえていくのではないかというところでございます。
 続きまして、生ごみ等のエネルギー利用と関連するシステムということで、一緒にほかのバイオマスの利用と組み合わせるとか、あるいは既存のシステムと組み合わせるということで、直接燃焼と熱分解ガス化、それから炭化といったところを、この関連するシステムという位置づけでまずは分類をしてございます。
 まず、直接燃焼ということでございますが、この検討会で議論いただきますような生ごみ食品残さ、そういうものを単独で直接燃焼するというのは通常は考えにくいかと思うわけでございますけれども、この直接燃焼のシステム、バイオマスを燃焼して熱として直接利用するか、あるいは電力に変換して利用すると、こういう形態が通常考えられるということでございます。バイオマスの分野では、通常は含水率の低いものを対象とすると。あるいはウェット系のものであれば、水を切って含水率を低くして利用すると。こういうことになろうかと思います。
この直接燃焼についても、経済性が課題というほか、技術的には大規模集中型だけでなく、小規模なもので高効率のもの、こういうものが必要とされているのではないかということかと思います。システムとしては、なかなかこのバイオマスを直接燃焼でエネルギー回収すると、そういったものを新たにつくるよりは、既存の設備の有効活用と、それなりの能力を持つ既存の設備の有効活用というのがむしろ重要ということではないかと思います。
現に、今後の可能性・方向性のところでございますが、RPS法に基づくバイオマス発電というのが実際RPS法のスキームの中で位置づけられて、認定も受けているという状況があろうかと思います。
 それから、次に熱分解ガス化でございますけれども、これは一定の高温の状況下で熱分解をして、化学反応を起こしてガス化をすると。出てまいりましたガスを少し生成するなりした上で、ガスエンジンなどで使っていくと。こういうシステムでございます。
普及・導入の状況のところでございますが、主に木質系バイオマス、含水率の低いものを対象に現在20件程度の実績があるという状況でございます。
課題としては技術的な課題が、一部木質系のものなどの場合にはタールが生成するというようなことがございますので、そういったものへの対応なりが必要ということがあろうかと思います。
このシステムの今後の可能性・方向性でございますが、直接燃焼に比べると技術的にシステム的に複雑になるということでございますけども、効率としては高いんじゃないかという期待が持たれているものでございます。また、小規模でも有効なのではないかということで、少量発生する地域、バイオマスについては広く薄く分散しているということが多いので、そういうところに向いている可能性があるのではないかということでございます。こういったものについても、ウェット系のバイオマスも例えば乾燥するなり、水を切った形で利用するということが現実に可能ではないかと思います。
 それから、最後が炭化でございます。概要のところにございますけれども、空気の供給を制限した状況下で熱化学的な反応で炭をつくるということでございます。この炭をボイラーとかストーブで利用すると。発電するケースも可能ということでございます。この炭化につきましては、古くからございます炭をつくる技術、それと基本的にベースは同じかと思いますけれども、この課題については、利用先をどう確保していくかということで、炭の安定な利用先確保というもののシステム化が必要になってくるのではないかというものでございます。
今後の可能性・方向性でございますけれども、炭化と少し違いますけれども、木質系のものについてペレット化してボイラーですとかストーブに使うという、そういう技術・システムが岩手県で開発されて、導入が進んできております。こういった地域システムを構築するというのが、ポイントになるのではないかということかと思います。
 それから、最後に研究開発段階の技術についても簡単にご紹介をしてございます。これ直ちに導入・事業化できるというものではございませんけれども、将来において事業化が期待できるのではないかと考えられているものでございます。
 まず、アセトン・ブタノール発酵技術というものでございます。この発酵技術につきましても、主に糖系のものを原料として微生物反応で発酵させると。その場合に、アセトンとブタノールを生成できるというところでございます。この技術については、ブタノールとアセトンとそれぞれが出てくるということで、ブタノールについては燃料利用、アセトンについてはメタクリル樹脂の原料などとして原材料利用も期待できるというところでございます。現在のところは、まだ研究開発段階という状況でございます。
 それから超臨界技術という、超臨界の技術についてはいろんな技術があるので、一言でくくるのも余り正確ではございませんけども、とりあえずここでは超臨界技術ということでまとめてございます。超臨界状態で超臨界水という、そういう特殊な水があるわけですけども、反応力が非常に強いということで、その水との反応でバイオマスが分解をして低分子化しますと。この低分子になったものを、例えばガス化するなりするということで、いろいろな反応をほかのシステムと組み合わせて、バイオマスのエネルギー利用を容易化すると、そういった技術ではないかと言えるかと思います。この技術は、反応速度の遅いメタン発酵というような問題を解決する利用技術ということで、注目がされているものでございます。
 それから、12ページでございますけれども、国内及び海外における導入・取り組み事例を簡単にまとめてございます。これは先ほどの実用化段階とされておりますバイオガスを中心に、あわせてエタノールと、それからバイオディーゼル燃料についても整理をしております。
 まずバイオガスでございますが、我が国では食品工場、家畜ふん尿、それから下水汚泥と、そういうものについてバイオガスを発生させて、発電あるいは加温用燃料として使われてございます。これはまずオンサイトで利用すると。そして、余剰分についてそれ以外の用途に利用していくということで、都市ガス原料ですとか天然ガス自動車の燃料として利用するという事例がございます。ヨーロッパではコジェネレーションを含めまして、発電用燃料ですとか地域暖房の熱源に広く利用されているということでございます。
日本におけます導入事例、神戸市におけます下水処理場の消化ガスを使いましたメタンガス、こういうものの自動車燃料利用、それから横須賀市におけます家庭の生ごみから得られたメタンガスをごみ収集車の燃料として利用するケース、長岡市で下水消化ガスを、長岡市の公営ガスであったかと思いますが、ガス原料として利用するというケースがございます。また、最近のバイオガス技術で、北海道で生ごみを対象にしたバイオガスプラントが稼働してございます。
それから、海外の事例のところでございますが、ドイツがヨーロッパでは中心ということで、主に農家で発生する家畜ふん尿、こういうものを原料としたバイオガスプラントがございます。この導入事例のドイツのところの3行目でございますが、約140kWの発電量の総計のところですが、140万kWということで、ちょっと万が抜けておりますので、ご訂正いただければと思います。こういうような形で、ドイツが非常にバイオガスプラントの導入が進んでいると。しかも、それは大規模集中型というよりは、分散型のものが導入されているということでございます。
 それから、先ほどのエタノールでございますけれども、先ほどもご説明いたしましたとおり、国内では実証試験というのが展開をされているというところでございます。
13ページには海外の例を書いてございますが、アメリカにおきましては「2005年エネルギー政策法」という法律が成立し、その中でバイオエタノールの使用促進というのが位置づけられていると。またヨーロッパでは、EU指令というものでバイオ燃料全般について導入を進めていこうということが決められてございます。また、お隣の中国でも、エタノールを10%混合したガソリン、E10の利用が進められているという状況がございます。導入事例の海外のところをごらんいただければ、ブラジルが最も有名でございますけども、ブラジルと米国、これはそれぞれ廃棄物というよりはサトウキビ、トウモロコシ、エネルギー作物というものかと思いますが、そういうものでエタノール製造が行われているということでございます。
 最後にバイオディーゼルプラント、バイオディーゼル燃料でございます。先ほどの繰り返しになりますけど、自治体やNPOにおけます地域の取り組みという事例でございます。これは100%のニートのBDF、それから混合軽油、それを含めて規格化の検討が現在されているというふうに聞いてございます。ヨーロッパでは、ドイツによる取り組みが先行していて、ディーゼル自動車メーカーなども指摘をしていますけども、既存の自動車ではBDF5%と、こういうものが使用可能ではないかということで、広く流通しているというところでございます。
京都の事例をここで簡単に書いてございますが、年間生産量1,500KLということで、市の車に使われているということでございます。
海外では、主になたねとかヒマワリとか、そういったエネルギー作物からつくられているというところでございます。
 エネルギー利用については、以上でございます。

【石川座長】 どうもありがとうございました。
 まず、議事の順番を変えまして、最初に生ごみ等のエネルギー化の現状についてお調べいただいた点についてご説明いただきました。まずこの点については、本格的な議論は次回以降議論したいと思いますけれども、これまでのご説明について何かわからない点、ご不明の点、もしくはご意見、こういう情報も調べた方がいいんじゃないかとかいうふうなご意見ございましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【中井委員】 資料2の図1に関して、ちょっとご質問させていただきたいと思います。
 この中の下から2番目に、固形燃料化という項目がありますけれども、これは、まず1点はRDFを含むという考え方でよろしいのかどうかということが1点です。
 それからもう一点は、生ごみ等食品廃棄物が堆肥化から固形燃料化に至るまで矢印が行ってますけど、炭化にはちょっと行ってないんですが、生ごみ等食品廃棄物を炭化にするということも想定としては考えられるのではないかと思いますので、これは入れていただきたいなというふうに思います。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 ただいまのご質問の1点目の固形燃料化でございますが、これについてはRDF、いわゆる家庭系の廃棄物をごみ固形燃料化しておりますが、そういうものを含むということで、ここでは、この図1の中では固形燃料化を一応書いてございます。
 それから炭化につきましても、次のページの表1のところに食品廃棄物のところで炭化のところに一応△とつけてございますように、もちろんこれは対応可能なシステムではないかということでございます。一応、図1では、表1との関係で言いますと、◎と○のところを基本的に矢印化しているというところでございますので、ちょっと矢印が余りにも多くなり過ぎるので、そういったところで、主に代表的なものということでやったということでございます。そのあたりについては、ちょっとこの図1の中で注記するなり、正確に表記した方がいいかと思います。

【堀尾委員】 今のに絡むんですが、下水汚泥から炭化へという線も、もう既にある程度実証をやってらっしゃるので入れておかれた方がいいような気がします。それから農業残さについても何か、全くゼロというのも何かわからないなという気がします。これはマイナーなことです。
ちょっと本質的なことでご質問したいんですけれども、きょうの利用システムの概要のところのいろいろな整理の観点なんですが、基本的にコストの問題ですね。これについて、もう少し何か配慮された表現が必要なんじゃないかという気がするんですね。技術的には可能であっても、例えば東京都さんなんかにおいても、メタン発酵というのは基本的に随分もう経験済みで、非常にコストがかかるという認識だろうと私は思います。むしろ撤退されてきたわけですね、90年代には。ですから、そういう点から考えますと、何かもう少し考えるべきだと思います。
例えばドイツなんかの例についても、これはドイツの制度によって20年間電力の買い上げがあるから、メタン発酵が小規模でやられている。そして、そのコストも、もうほぼほとんど開示されていますから、それがそのまま日本に持ってこれるものかどうかすぐわかると思うんですね。ですから、何かその辺に配慮されていただかないと、余りにも技術至上主義的な整理だという感じがいたしました。
 それから、あともう一つは直接燃焼等の扱いなんですが、単独にはもちろん直接燃焼というのは恐らくあり得ないというのはいいんですけれども、あるいは既存焼却炉の有効活用、あるいは既存施設の有効活用というのはいいんですが、例えばメタン発酵したときの残さをすべて圃場に還流するということは恐らく不可能だと思います。そうしますと、焼却というのはやはり意味がある。ですから、むしろ結合をしていくというような方向で、例えば脱臭のコストを下げたり、最後の廃棄物処理コストを下げるという観点から、組み合わせ技術として何か位置づけ、技術を見ていく必要があるんじゃないかという気がいたしました。
 以上です。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 今のコストの点についてはちょっと、十分にこの資料2の1ページのところには位置づけておりませんでしたので、今後コスト情報についても少し整理をした上でしっかり考えていきたいと思います。
 また直接燃焼につきましても、先生おっしゃるとおりバイオガスプラントの残さを直接燃焼する、既存の焼却炉に入れる、そういう組み合わせというのは現にいろんなところで検討もされておりますので、重要なシステムかと思います。

【石川座長】 私の方からも、堀尾先生のご質問に絡んで少しあります。
 一つは経済評価の考え方なんですけれども、そもそもこれは廃棄物処理として見るのか、それとも資源回収として見るのかで全く視点が違っていて、この表を見ると、非常に短い表現なので無理もないと思うんですが、ガソリンの価格に負けるとか、生産物が競争市場で売れないと、コストが高過ぎるという表現が多いのですけれども、元来これは廃棄物処理であれば廃棄物処理としての代替費用がかかっているはずであって、その分は少なくとも計算をしていいはずなんですね。その分、コストを負けていても逆に言うと構わないということになります。
ですから、情報としては新しい生ごみの処理というんでしょうかね、再資源化のような技術のコストだけではなくて、それによって代替すべき廃棄物処理のコストという情報が多分必要なはずなんですね。それでネットどのぐらいかかるか、それで赤字なのかどうなのかというのがまず第一に問題で、それからもう一歩踏み込むと、場合によってはそれがさらに赤字でもなおかつやった方がいいかもしれないですね。それは環境効果、炭酸ガスが少ないとか、これはバイオマスですから、そういうことは起こるかもしれないですね。少なくともエネルギー利用をすれば、CO2の発生量は、負荷は減らすことができるので、単純に言えば、想定されている環境税、炭素税の金額ぐらいは赤字であったって別に構わないはずなんですね。そういう視点が恐らく必要なんだろうというふうに思います。
 それからもう一つ、ドイツで普及しているというお話で、私もそう思うんですね。メタン発酵なんか特にそうだと思いますし、ほかのシステムもそうなんですけども、今後、議論を詰めていく中で集中してやるのか、それとも分散してやるのかというのは、恐らく一つの議論の焦点になると思うんです。そこで、全体的な合理性を議論する上では、各技術の規模のメリットがどのぐらいあるのかと。規模の経済性ですね。それがどのぐらいあるのかというのは多分、非常にクルーシャルな情報になるんだろうと思いますので、入手できる限りそういう情報を何とか手に入れていただければなというふうに思います。
 私の方からは以上ですが、ほかに何か。じゃあ、庄司さんから。次、小島さんの方へお願いします。

【庄司委員】 今のお話にも多分関連すると思うんですが、特に食品廃棄物の場合は、対象としているものが一般廃棄物としてくくられるものについては事業系、例えばレストランとかから排出されるものと、いわゆる一般家庭から排出されるものとでは、大分、廃棄物処理という視点から行くと処理の態様が随分変わってきます。特に効率やコストのことを考えるときに1つのポイントだと思うんですね。事業系でも、産業廃棄物としてくくられるものは出どころも一定してるし、質も一定しているので処理しやすいと言えますが、一般廃棄物としての食品廃棄物の場合は、その性格上異物の混入とかがあり、そういったことがこれまでも都市ごみの中では非常に問題になって、リサイクルの場合の実用化が非常に阻まれている部分もあります。その辺も少し細かく分けて考えていかないといけないのかなと思います。

【石川座長】 じゃあ小島さん、お願いします。

【小島委員】 名古屋市もバイオマス、生ごみのメタン発酵をどうするかということでいろいろ考えているんですけれども、先ほどの先生のコストの面でのご指摘をいただいたように、対市民だとか一般の方にどれだけの効果があるのかが分かりやすく説明でききないといけないので、例えばライフサイクルコストだとかライフサイクルアセスメントからのトータルな整理がぜひ必要だと思います。
また、例えば直接燃焼はできないという指摘がありますけれども、可燃ごみと混合している通常の焼却とどう違うのという議論があって、焼却は高効率で、生ごみはカーボンフリーということを考えれば、焼却は何故いけないのという議論も出てきているんですね。そうなると、多分メタンにすると若干コストはトータルとしては高くなるんだろうけれども、やっぱり非常にそれはいいですよというような整理が分かりやすい形で出てくるのがないと、ちょっとなかなか普及していかないのかなというように思います。

【石川座長】 ありがとうございました。何かアイデアはございますか。市民の方に説明するというので。

【小島委員】 そういう意味では、先ほど先生が言われましたライフサイクルからみて、トータルとしてのコスト効果がどうだとか、CO2削減効果がありますよというようなことが、わかりやすいような形で出た方がいいかなというふうに思いますし。あとメタンですと、発電とかエネルギー交換だけで比較すると焼却とどう違うのという話もありますので、生成品であるメタンそのものを使っていく、例えば天然ガスとして車に使うだとか、そういうこともアイデアとしては必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。

【石川座長】 ありがとうございました。ほかに。じゃあ、犬伏さん。

【犬伏委員】 4ページのところのメタン利用システムのところで、課題のところに、システム上の課題として発酵処理水や発酵残さの処理のシステム化が必要だというふうに書いてありますけど、これは要するに廃棄物の処理の過程でまた新たな廃棄物が出てくるということだと思うんですね。それで、こういうような問題というのはここだけにとどまるのか、いろいろなほかのところでも、恐らくブタノール発酵とか、いろんなところで発酵残さみたいなものが出てくると思うんですね。現状では、やはり何か1ページの図の一番上に持ってこられるというか、要するに農地というような感じで土壌に持ってこられるというケースをよく聞いておりますので、ただでさえ困るものが余計困った形で持ってこられると困るんじゃないかというような考え方ができると思います。
 一方で、炭化のところでも、有機質肥料の中に炭を入れるということが、一方でこれは事例が出てきておりますので、例えば有効微生物のすみかとしての炭ですね、何かちょっとごろ合わせになるかもしれませんけども、そういうような形での利用というのも期待されているところですので、難しいものをまたもとに戻されるという考え方と、やっぱりそれに付加価値をつけて利用していこうという動きもありますので、そこら辺がもう少しうまくほかの技術についても出てくるといいと思います。
 あと二つほど、ちょっと簡単なことですけれども、単位のところですね。特に3ページのところから出てくるエネルギー量のところ、一般の人にもわかるようにPJというのを、3ページの一番上のところで少し原油換算されてますけれども、何と読むのかなというような、私だけわからないのかな。
 それからもう一つは、こういうような実用技術・普及技術というのは、どんどん年々歳々動いていると思いますので、文献を幾つか大事なものを引用されてますけれども、やはりいつの時点の資料なのかというようなところがやはり重要じゃないかと思います。
 以上です。

【石川座長】 ありがとうございました。ほかに何かご質問。じゃあ、山田さん。

【山田(正)委員】 先ほどの質問と関連しますが、1点目は地球温暖化の防止というのが、バイオマスの利用については一つの効果として言われているわけですが、そういうことで言いますと、こういった技術における炭素の回収率、もしくは今のところバイオ起源は二酸化炭素にしてもカウントされないので、二酸化炭素にしたものはなくなっちゃうと考えていいと思うんですけども、そういったものを一応はじいていただきたいなと思います。というのは、往々にして残さが出て困ったときは処分場に来てしまうときが多いので、そうしますとまた今度は制御されないメーターになって、地球温暖化の防止にとっては焼却よりも悪いみたいなふうになりかねないところがありますので、その辺はやっぱり注意していく必要があると私は思います。
 2番目は、日本の技術大国としての戦略として、これらの技術が一体どこからやってきた技術なのかということも少し配慮していった方がいいと思います。往々にしてヨーロッパ、ドイツまたはオランダ、またもっと北の方のヨーロッパからの技術が導入されていることが多いのですが、それをそのまま受け入れて日本がこれからやっていくのかどうかというのは、もう一つ別の観点ですけども、重要なことだと思います。
 以上です。

【石川座長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【伊藤委員】 私も犬伏先生からお話あったとおり、微生物処理した場合は、必ず発酵残さが出るかと思います。あと、ほかにエステル化についても何なり副産物出ると思いますので、こういった技術を使った場合の生成物ですね、残さですとか副生成物、こんなものの処理についても少し考える必要があるかと思いますので、その辺を少し資料に入れていただけると助かるかと思います。

【石川座長】 ありがとうございました。
 それでは、各技術について考えられる副産物とか残さでしょうかね。できれば定量的に何割ぐらいというのがあった方がよろしいですかね。それも表にまとめていただけるといいかと思いますが、よろしいですか。じゃあ、いかがでしょうか。じゃあ、どうぞ。

【中井委員】 検討の視点といいますか、議論の視点ということでちょっと申し上げたいんですけども、座長の方から規模の経済性を議論すべきだというお話がありまして、私も賛成だと思うんですけども。
もう一点は、廃棄物を排出して分別をして、それから収集・運搬をして集中処理をする、あるいは個別処理をするという一連のその流れを考えてみた場合に、トータルに全体を議論しないといけないのではないかなという気がします。具体的に言いますと、例えば技術の有用性ということは確かにあったとしても、それが果たして現実に整合性があるのかどうかということがやはり議論が必要ですし、その場合には必ず既存の法体系とどういう整合性があるのかということも議論しなきゃいけないと思いますので、その辺のことをトータルに議論するということも、ぜひこの検討の視点の中に入れていただきたいなというふうに思います。

【石川座長】 どうもありがとうございました。じゃあ崎田さん、どうぞ。

【崎田委員】 遅くなりまして、失礼いたしました。
 すみません、ご説明をちゃんと伺ってないので、もしかしたらピントがずれているかもしれないんですが、このバイオマスのエネルギー利用について、やはり最近本当に地球温暖化の分野で大変重要だということで、この分野が非常にいろんな場所で関心が高まっているというのを私もひしひしと感じます。そのときに、2点私がこのごろ考えているのが、やはりここのところ急激にですね、例えば木質系の廃棄物のエネルギー利用の大きな工場を建てる計画ができてくるとか、何か非常に大規模な計画が日本全国にいろいろと出てきて、そういうお話が聞こえてくるんですけれども、やはりそれぞれが全体でどのくらいの発生量があるのかという、やはり日本全体でどのくらいの量の発生量が一番マスの状態であって、それをどういうふうにみんながきちんと3Rとして考えていこうとしているのかという、何かそういう状況が常に、いろんな方にわかるように出ているとその辺、こう過度に何か特別の技術にわあっと走ったりとか、何かそういうのがなく、みんなが冷静にきちんと全体像を見ていけるのではないかなと思っております。
 あともう一点は、もっとずっと地域の視点から考えていくと、こういういろいろなバイオマスの資源というのは、地域によって出てくるものが、例えば生ごみなどはいろんなところから出てまいりますけど、それプラス、例えば家畜ふん尿がたくさんある場所と、それプラス農業残さ、それプラス木質系とか、地域によってかなり傾向が違うという感じがいたしますので、やはりそれぞれの地域の特性に合ったゼロエミッション型の地域をつくるという、何かそういう視点も必要なのではないかというふうに、このごろ考えております。

【石川座長】 どうもありがとうございます。今、ご指摘いただいた地域の問題、多分バイオマスって特にそうですよね。大体運べないものですから、どうしても特長があれば、そこで何とかしないといけない。それから、中井さんからもご指摘いただいたような、システムトータルで考えないといけないというのは、地域で特性があってシステムトータルでということになると、なかなか余り抽象的なことを議論してても多分しようがないですね。基礎的な情報として、そもそも何万トンにすればどのぐらい、幾らぐらいという情報は必要でしょうけれども、どこにでもそれで行けるというわけではないですよね。そうすると、検討のあり方として、何か典型的なパターン、もしくはケースについて議論するのがいいのかもしれませんね、ひょっとすると。それもちょっと頭の中に入れていただいて、どういうふうに議論を進めればいいかも、次回以降、また議論させていただきたいと思います。
 もしご質問ないようでしたら、たい肥化と飼料化についての検討の方向性の議論に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、たい肥化と飼料化についての検討の方向性についての議論に入りたいと思いますが、資料を整理していただいておりますので、まずその説明をお願いしたいと思います。

【土井廃棄物対策課課長補佐】 それでは、資料1の生ごみ等の飼料化・堆肥化の現状及び課題につきましてご説明させていただきます。
 まず、飼料化についてでございます。現状としまして、まず現在の飼料の需給構造を簡単に示しております。初めにお断りいたしますが、このデータ、下の図につきましては、農林統計協会がまとめました流通飼料便覧2004年版から引用しております。また、その図の中で数字が若干間違っております。畜産農家の豚、鶏、牛というのがございますが、その豚のところの真ん中に、「9,72万頭」となっておりますが、これは972万頭の間違いですので、「,」を消してください。次に牛のところが「4,478頭」となっておりますが、448万頭の間違いですので訂正をお願いいたします。
 それでは、まず需給の構造の中の輸入・国産・消費の概要でございます。国内におけます飼料、特に濃厚飼料の総供給量は、年間約2,700万トン、このうち国内産の原料によりますものは1割の280万トンとなっております。濃厚飼料というものには、栄養価に配慮し多数の原料を混ぜ合わせました配合飼料と、2種類もしくは3種類の飼料を混合しました混合飼料と、最後に生産された飼料そのもの、単味飼料というものがございます。家畜にそのまま与えたりする飼料でございます。そういったものがございます。その中で配合飼料が、下の図を見ていただいてもわかりますように、ほとんどの部分を占めてございます。次に、畜種別に見ました配合飼料の生産量につきましては、鶏用が1,000万トン、養豚用が600万トン、乳用・肉用の合わせた牛用が700万トンとなってございます。
 次に2ページをごらんください。参考として、生ごみ等の中から今現在どれだけ飼料化されていて、残りどれだけ飼料に回せるかということを書いてございます。後ほどごらんいただきたいと思います。
 次に、飼料に求められる品質としましては、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」、俗に「飼料安全法」といいますが、これに基づき飼料及び飼料添加物の製造等に関する規制が、また飼料の公定規格の設定というものが行われております。その中で、栄養成分なり安全性において一定の基準を満たすことが義務づけられております。
下の表、これは農林水産省のホームページの中に飼料をめぐる情勢というものがございます。これは農林水産省生産局消費安全局で出しておる資料でございますが、その中から引用してきております。この下から3行目、動物性たんぱくの主な対象品目となっておりますが、動物性たんぱく質を含む食品残さ(残飯など)、いわゆるここの部分が給与対象○・×ついておりますように、牛は全くだめだと。豚・鶏は○ですよ、使えますよということでございます。ですから、ここで検討していきます食品残さ等につきましては、一部、製造業から出ます動物性たんぱくでないものは○かもしれませんが、それ以下の部分につきましては、牛につきましては飼料化というものがなかなか難しいということでございます。
 次、3ページです。価格の面でございますが、この中では配合飼料の価格を置いてございます。配合飼料の原料はほとんどが外国産であるため、穀物相場などによりまして大きく変動する場合がございます。ここには過去十数年の変動表でございますが、ここの表現では3万からとなっておりますが、ここ数年間で見ますと、4万近くから4万6,000という幅の金額になっております。また、このえさが畜産生産費に占めます割合、飼料費で見てみますと、豚が61%、卵をとります鶏、採卵鶏が54%、ブロイラーが64%と、かなりウエイトが高い状況となっております。
 次に、飼料の供給者と使用する飼料の決まり方のメカニズムにつきまして若干触れております。一般的に畜産農家は、配合飼料メーカーから問屋、販売店を経由して供給を受けております。全農系の飼料につきましては、括弧書きに書いてありますように、それも全国段階から県段階、地域段階ということで供給されているということでございます。自家配合といいまして、農家自らが使用する飼料を決めて使っている場合もございますけれども、飼料を供給する者が、農家の生産しましたブロイラーとか、いろんな家畜の出荷・販売にも関係しております場合には、農家自身が飼料の内容を変更する場合にかなり影響力を持っているものではないかと考えることができます。
 次に、生ごみの飼料化につきましても、取り組み事例ということで触れておりますが、食品製造工場から出ます残さにつきましては、もう配合飼料原料、単味飼料などに利用されているものがございます。ビートパルプとかでございますが、それ以外、ホテルやレストラン、スーパーなどから出ます調理くずや売れ残りなどの飼料化が現在始まってきております。飼料の利用先(農家)を確保しまして、農家におけます飼料利用を進めるため実際に豚肉等の生産品を、そのごみが出されました発生源側の事業者で購入するというビジネスモデルも行われている事例もございます。
 次に、飼料化の原料・用途・方法でございます。原料としましては、まず利用しやすいものは食品製造工場から出ました残さ、パンくず、菓子くず、めんくず、野菜くず等でございます。豚用としましては、リキッドフィーディング、乾燥飼料、発酵飼料、結構多くの用途がございますが、食品製造工場から出ます均一で安定的に供給できるものにつきましては、リキッドフィーディング設備のある農場に持ち込まれ利用、また、食品流通過程で出ます残さは、飼料化工場でレシピに基づき複数の発生源のものを組み合わせて乾燥または発酵を行った飼料が農家で配合飼料に混合され利用されているように聞いております。鶏用につきましては、現在飼養羽数が5万から10万程度の中規模の自家配合飼料利用農家を中心とした小規模な施設で発酵飼料を製造して利用しているところが多いということで聞いております。
 次に、農家におけます飼料利用の条件、4点挙げております。1つは、これは成分が均質で必要な栄養成分があり、異物の混入がないことと。次に、原料が安定的、定時・定量といいますか、安定的に供給されることと。次に、農家にメリットが出るよう、いわゆる生産費コストを引き下げるという点でございますが、メリットが出るよう、競合する他の飼料原料よりも安価であることということでございます。次に油分、塩分が多く含まれていないことということでございます。
 次に、飼料利用システムの課題という点で整理しております。原料の調達につきましては、まずパンくずなど、先ほど言いましたように、食品製造工場から出ますものにつきましては使いやすいということで、そういったものから確実に利用していくことがまず重要ではないかと。次に、食品流通過程の残さにつきましては、出どころによりまして内容も異なってきますので、そういったものを組み合わせてレシピをつくり、そういった目標とする成分に近づけると。そうしまして、できるだけ均一になるようにする必要があるのではないかと思われます。次に、食品流通過程の残さにつきましては、異物混入というものによりまして利用可能なものが限られる場合もございます。そういったものにつきましては、発生源の段階におきまして、確実に異物混入防止という取り組みをやっていただく必要があるのではないかと考えられます。
 次に、飼料の供給先確保ということでございますが、既存の飼料メーカーが配合飼料の原料として利用していただければ、そういった流通に乗った供給先ということで一番いいんですが、なかなか、配合飼料のメーカーさんは、そもそも自社製品の成分を精密に管理しておりまして、現時点におきましては食品残さから製造した飼料は供給量の安定性の問題があり、また品質の管理の問題、衛生面、栄養成分の問題から、その確実性というものが乏しいんじゃないかと懸念される指摘がございます。現在、その利用のハードルはなかなか高いものとなっていると考えられます。
このために、市場流通には乗りませんが、地域に密着した地域循環利用の一連のサークルを構築していくことによって、利用拡大を図る必要があるのではないかと。括弧書きにもありますように、まず残さの排出者から飼料化事業者に物が行きまして、それで飼料化した上で農家が使うと。それで、生産された畜産物をまた排出者といいますか、事業者が購入をし、消費者が消費をするという一連の輪でございます。
また、こうしたサークルは「顔の見える関係」でございます。ですから原料の調達先、いわゆる排出事業所がどこか、また、どういった施設でどのように飼料化しているかというものが明らかになっております。また、栄養成分値(製品の品質)というものを明らかにしまして、トレーサビリティを確保する上でも有効でございます。そういったことによりまして、畜産農家、そのえさを使う側の生ごみ由来飼料に対する不安感を払拭できるのではないかと考えられます。
さらに、畜産農家にメリットが出ることが必要で、他の配合飼料よりも安く供給する必要があります。しかし、ほかの飼料と比べ割安ということでも、なかなか安易に飼料供給ルートを変えられないのではないかということも考えられます。
次にリキッドフィーディングにつきましては、農家におきましては設備投資が必要とありますが、メリットが大きい点、今後期待できる部分もあるのではないかと考えられます。
次に、鶏用のえさの場合につきましては、利用の可能性の高い自家配合を行います養鶏業者は、中規模以下の採卵系農家ではないかと思われます。そういった農家での利用を進めるためには、排出側である食品関連事業者、飼料利用を行います畜産農家、飼料に関する専門家等々の関係者が地域で連携した取り組みというもの、また地域に密着した循環利用のサークルを構築することが必要ではないかとも考えられます。また、大規模な養鶏農家では配合飼料を利用しているところが多いわけで、その利用の拡大のためには、配合飼料メーカーの理解を得られる形で原料利用をやっていただく必要があるんじゃないかと。
 次に、価格に関することがらでございます。競合する既存飼料の価格以下に抑えることが不可欠ということで、まず飼料化を発展させるためには、主として排出側で飼料化にかかるコストを負担する必要があるのではないかと考えられます。また、飼料価格のアップとならないように、運送コストを最小限に抑える必要があると考えられます。次に食品残さ排出側からの料金、これは処理費でございますが、それを得た上で飼料化のコストを賄うと。なかなか、その飼料を売った値段で利益を上げるというのは難しいと考えられますので、そういった処理費で飼料化のコストを賄う、そうやって事業を進めていく必要があるのではないかと考えられます。それと、飼料化のプラントにつきましても、なかなか高価なプラントでは設備費がかかりますので、コンパクトなプラントにすることが経済的に成立する要件ではあるのではないかと考えられます。
 次、品質・栄養成分についてでございますが、排出側の取り組みを確保し、異物が混入していない飼料化製品を供給することがまず不可欠であり、原料となる食品残さを混合して飼料の栄養成分を安定化できるよう、発生源を組み合わせたレシピをつくることも必要であるということでございます。レシピづくりは事業者からみればノウハウでありますが、排出側であります食品関連事業者、飼料利用をする畜産農家、そういった専門家等が地域で協働する取り組みも有効ではないかと考えられます。
 次に、生産品の流通でございます。食品残さを原料とした飼料を与えた豚でございますが、これは一定の食味の評価がされております。ただ、食味とは別に、市場ルートに乗せます枝肉市場では低く評価され、食品残さを原料とする飼料で飼育されたという点だけで、よい評価につながってこないという点がございます。ですから、飼料だけではなく、生産されたその豚も、市場流通ではなく地域に密着した流通をさせる必要があるのではないかと考えられます。次に、食品残さの飼料によって豚を飼育しますと不飽和脂肪酸が増し、肉の食味がよくなるということや、発酵飼料を鶏に与えますと、腸内細菌の働きが活性化して鶏が健康になるということも聞いております。そういった付加価値をアピールして、消費者の選好につながるようにすることもまた重要な点ではないかと思われますし、地元に密着したサークルに学校給食というものを組み合わせて、食育による消費者の支持・理解を得ることも重要ではないかと考えられます。
 その他の重要なポイントといたしまして、食品関連事業者につきましては、まず、食品残さの有効利用・処理という点で飼料化システムに依存し、その円滑な運営のメリットを受ける者として最も重要な役割を果たすのではないかと。したがって、異物の除去、食品残さの成分内容に関する情報、また畜産品の購入といった出口の詰まらないような対応に加え、全体システムの取りまとめなどに総合的に対応する役割を果たすということが、飼料化を成立させる上で重要なのではないかと考えられます。生ごみの飼料利用を進めるにつきましては、まず生産流通消費、その間のコミュニケーションづくりが根本的に必要と考えられます。したがって、まず顔の見える環境をつくります地産地消から始めることが有効ではないかと思われます。次に、市町村等の地方自治体の役割としましては、NPOなどと協力いたしまして、地域に密着した循環利用のサークルをつくるためのコーディネーター役というものを果たし得る存在ではないかと考えられます。
 最後に家庭の生ごみの可能性です。家庭から出ます生ごみは、内容が不均質であり異物の混入する危険性が一番高いわけでございますが、家庭の生ごみを対象としたシステムを考える場合には、市町村が住民への周知、飼料化プロセスの管理、飼料利用側との調整などについてもマネジメントをしっかり行って、また品質の管理を確保するためにも、家庭、農家などシステム参加者はお互いに顔が見え、コミュニケーションをとり得るシステムとすることが現実的ではないかと考えられます。
 以上が飼料化でございます。
 次にたい肥化についてでございますが、ここで使っております数字は、同じく農林統計協会が出されております肥料要覧というものを使っております。2004年度版でございます。
 年間の生産量は普通肥料が983万トン、特殊肥料が435万トン、このそれぞれの肥料の説明は下に書いてございますが、その特殊肥料435万トンのうち堆肥が342万トンということで、合計1,418万トン。輸出入のほとんどは普通肥料でございます。そういった需給事情になっております。
 肥料に求められる品質につきましては、まず普通肥料でございますが、成分が安定しており高濃度で、窒素、リン酸、加里ですか、それが10数パーセント以上含んでおる必要があると。また、公定規格に沿った成分であることが求められるということでございます。ですから、通常、食品製造過程等から出ます生ごみにつきましては、なかなか普通肥料の原料としても求められることはないということです。次に、堆肥も含まれます特殊肥料でございますが、この特殊肥料は含有成分を明らかにしておくことが必要となっております。公定規格はないように聞いておりますが。また、成分も普通肥料と比べまして高くても5%程度ということでございます。現在、食品残さや生ごみは堆肥、土壌改良剤としての特殊肥料の原料となり得ると考えられます。
 価格につきましては、普通肥料は末端価格(市場価格)でトン当たり7~8万、安いものでも5万程度ではないかと。それに対しまして、たい肥等の特殊肥料は5,000~1万円と、かなりの開きがあり、普通肥料の約10分の1の価格であることを認識する必要があると考えております。
 次に、肥料・特殊肥料の供給ということで、肥料は普通、製造メーカーから専門商社、問屋、販売店を通じて、また全農系の肥料の場合には、同じく経済連、地元JAを通じて農家に供給されています。全体のシェアといいますか、全体のマーケットとしては4,000億と言われております。一方、たい肥の流通につきましては、一つに畜産農家と普通農家の間でたい肥に使う家畜ふん尿とわらを交換する形態というのと、地域のたい肥化センターでたい肥化され地域の農家に販売される形態と、また食品関連事業者がたい肥化し、たい肥が地域の農家で利用され、食品関連事業者が農家から農産品を購入するといった形態ということで、地域で流通していると考えられます。
 次に窒素収支の問題でございます。ここに記載しております内容は、1997年の収支ということで、農業環境技術研究所がまとめた内容から引用しております。まず、日本の食料に関する窒素収支につきましては、流入が172万トン、内訳は輸入121万トン・国内生産51万トン。流出は輸出の1万トン、環境への放出は、農業生産システムにおけます168万トン、中身は食生活64万、畜産業80万トンに、作物残さと化学肥料を加えた窒素放出総量は238万トンとなっております。一方、日本の農地に受け入れ可能な窒素需要量は、面積当たりで換算いたしますと124万トンとなるということで、窒素を受け入れる環境は農業だけではありませんけれども、仮に農地で食料由来の窒素すべてを受け入れるとした場合には、可能な量の2倍近い量が環境に放出されているということでございます。生ごみ、家畜ふん尿、化学肥料、作物残さだけでも合計しますと185万トンでありまして、生ごみ、家畜ふん尿の無制限なたい肥化利用は、土壌の窒素過多をもたらすということでございます。これにつきましては、これまでの検討の中でも委員さんの方からいろいろご意見をいただいているところでございます。
 次に、生ごみのたい肥化につきまして、現状の取り組み概要でございます。たい肥化の取り組みは地方自治体、NPO、NGO、廃棄物処理業者、食品関連事業者、一般企業、消費者、これらの複合体等で取り組まれておりまして、その規模も家庭菜園用のたい肥づくりからプラントでの製造までさまざまでございます。
 たい肥化の原料・方法につきましてでございますが、まず飼料と同様均質であること、油分・塩分が多く含まれていないこと、異物の混入が少ないことが挙げられます。家庭の生ごみにつきましては、自家処理の場合には家庭菜園等でたい肥化利用する場合と、家庭から生ごみを収集した後、自治体等がたい肥化したものを販売、または市民に無料で提供している場合がございます。次に、社員食堂やスーパー等から出ます食品残さにつきましては、自家処理し自社で畑等に利用している場合や、一次処理したものをたい肥化事業者(処理業者)に処理を委託している場合がございます。後者の場合につきましては、たい肥を利用して栽培した農産物を排出者が購入し、消費または販売するといったサークルができ上がっているケースもございます。
 次に、農家がたい肥として利用する条件でございます。これは大きく2つ挙げておりますが、既存のたい肥よりも当然安い価格である必要があると。また、成分が安定していること、利用しやすいよう成分が明確になっていることが挙げられております。
 次にたい肥化利用システムの課題につきましてでございますが、生ごみたい肥化製品が毎日出てくるのに対しまして、たい肥の需要というものは、肥料もそうでございますが、ピークが春と秋と、季節性がございます。このために、需要の落ち込む時期に在庫が出ます。その分を在庫コスト、保管コストですね、どういうふうにするのかということが問題になってきますので、そういった季節変動のある需要を前提としたたい肥利用システムを考える必要が、まずあるのではないかと考えられます。このため、たい肥の製造から、そのたい肥を使って生産された農産物の消費まで、たい肥利用農産品消費の各段階におけます受け皿が確定した、循環利用の構築がポイントとなるのではないかということでございます。在庫を抱える時期、長期保管にも品質が劣化しない質のよいたい肥づくりが必要となりますけれども、そのためには完全に発酵処理が終わっておく必要があると。完熟堆肥の製造が重要ではないかと。熱処理が中途半端なり、発酵が中途でございますと、途中土壌にも悪影響を及ぼすということも聞いております。また、保管中の品質劣化というものがございます。そういったことでございます。
次に、堆肥を利用する農家から見れば、どういったたい肥は施肥効果があるかというものがちゃんとデータ提供されている必要があると。それを何で補うかというためには、それが必要であるということでございます。そのために、自治体等が作成します「農作物栽培指導指針」とか、農業団体の「営農指導指針」と、そういったものに生ごみ由来たい肥の施肥設計を組み込み、農家が使いやすいようにすることが利用していくための有効な手段ではないかと考えられます。次は、排出段階におけます分別によって異物混入の防止、これは当然のとこでございますが、そういった徹底した対応が必要となります。
 次に、たい肥化システムにつきましてでございます。たい肥の価格はキロ5~10円でございまして、そういうことから、基本的に生ごみの処理料金の範囲内でそのたい肥化事業が回っていくものでなければ、なかなか事業として成立しないと考えられます。付加価値のより少ないたい肥は、地域内におけます流通が事業成立の要件であると言えます。すなわち、たい肥の運搬コストがかからない、原料調達先とたい肥供給先との距離が近い、地域内利用ということでございます。それがより現実的だということでございます。たい肥化能力に見合った供給先を確保する必要があるということで、たい肥利用で競合する家畜ふん尿、汚泥などのバイオマス系廃棄物と単に価格の安さを競争することは合理的ではなく、後ほど出ますが、窒素過多問題も考慮する必要がございます。地域事情に応じた棲み分けといいますか、利用分けですね、それを行うことが重要ではないかと考えられます。 次に、食品関連事業者でございます。これは畜産の場合と同じでございますが、ここの文言が、申しわけございません、「畜産品」となっております。ここのコマの上から4行目、「飼料・畜産品」となっております。これは「たい肥・農産品」というふうに直していただきたいと思います。その右側も、「農産品の購入」に直していただきたいと思っております。また、その下の行、「飼料化」というところを「たい肥化」と変えていただきたいと思います。申しわけございません。
 次に窒素過多問題につきまして、窒素の供給過剰が続きますと、過剰な窒素は硝酸態窒素という形で地下水に蓄積されるか、野菜に吸い上げられる状況となる。そういった水や野菜を摂取しますと、人の健康に影響を及ぼすということが指摘されております。日本の食料由来の窒素収支は、農地のみで受け入れるとした場合には受け入れ限度の2倍近い供給過剰の状態になっております。今後、さらに食料貿易の自由化が進み、海外依存が高まった場合、外国からさらにまたいろんな農作物が入ってくるといった場合には、窒素収支の悪化がさらに懸念されるということでございます。
このようなことから、家畜ふん尿の堆肥化も生ごみのたい肥化も一律に進めることはできないのではないかと。窒素過多とならない範囲で、地域の事情に応じ、一つに酪農地帯の場合は家畜ふん尿のたい肥化をまず考えると。酪農の少ない農村地帯の場合は、生ごみのたい肥化を考えることが適切ではないかと考えられます。次に、生ごみ及び家畜ふん尿のたい肥化は、窒素収支を悪化させないことが条件と先ほどから言っておりますが、地域においてたい肥利用しやすいものをたい肥化し、たい肥化できない生ごみ、家畜ふん尿はエネルギー利用等で考えていく必要があるのではないかと考えられます。
 最後に、飼料化とたい肥化の関係につきましては、この下の絵、簡単な絵ではございますが、見ていただきましてわかるように、たい肥化は窒素過剰とならない利用を基本とすることが適切と。このため、地域事情の考慮が必要であると。全国的には、飼料化をまず考え、利用しやすいものから飼料化を進めるべきではないかと。たい肥化は、地域事情に応じ、家畜ふん尿の堆肥利用と競合せず、窒素過多とならないように進めることが適切ではないかと。その上で、飼料化できない生ごみ等の食品残さについては、エネルギー利用を進めるべきではないかと考えられると思います。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【石川座長】 どうもありがとうございました。それでは、検討の方向性についての議論を始めたいと思いますが、ご意見ございますでしょうか。じゃあ、川島委員。

【川島委員】 幾つか指摘したいことがあるんですが、10ページ目、窒素過多問題についてということなんですが、「窒素の供給過剰が続くと、過剰な窒素は、硝酸態窒素という形で地下水に蓄積される」、ここはいいと思うんですね。「野菜に吸い上げられる」というのは適切ではないと思うんですね。野菜畑には肥料としてたくさんまいているわけで、別に地下水を吸い上げて、ですから地下水にたまったもので野菜の窒素過多がふえるというのではなくて、これは現在の野菜の栽培の仕方に問題があると思っております。
 それから、「今後さらに食料貿易の自由化が進み、海外依存度が高まった場合の窒素収支の悪化が懸念される」とありますが、これもちょっと事実誤認で、要するに、もし100%私たちの食料を海外から輸入してしまった場合、畑から漏れる窒素とか、畜産から出てくるふん尿というのはなくなるわけですね。ですから、日本の国内で出てくる窒素はそれによって減ってくるということで、海外依存度が進めば進むほど、ある意味で硝酸汚染はなくなっていくんですね。楽になっていくということで。現在、なぜこの問題が起きているかというと、たい肥を農家が使いたがらないということで、結局生ごみや、それからし尿のところで窒素は出てくるんですが、なおかつ化学肥料を使ってしまうというところで、ダブルに使っているということで問題が起きているわけで、食料生産をやめてしまえば、かなり窒素汚染は改善していくんだと思います。
 それから一番最後の、10ページの最後のところですが、「たい肥化できない生ごみ・家畜ふん尿はエネルギー利用等を考えるべき」とあるんですが、これは一つの考え方だと思うんですが、これ残さの問題でして、例えばメタン発酵をさせますね、家畜ふん尿とか何か。そうすると、メタンになってカーボンの部分はエネルギーとして回収できるんですが、その中に含まれていたNはその残さとして残るわけで、それはどこかに持っていって処理しなきゃいけないということで、別にNという観点から見たときに、エネルギー利用したからといって窒素の問題は解決しないということがあります。このことはちょっと事実誤認があるので指摘したいと思います。
 それから考え方のところなんですが、6ページ目のところの真ん中辺で、これは疑問符がついているんですが、この問題を考えるとき必ず出てくる問題なんですね。真ん中のあたりです。生産の流通について、「地域に密着した循環利用の一連のサークルを構築していくことが必要ではないか」ということで、地産地消の問題に触れられているんですが、これは何となく市民運動のところとか、それからもとはイタリアの一部で言い出した地産地消とかスローフードとかという概念だそうですが、日本では非常にはやっているんですが、これは都市化ということと、それから産業がある意味で高度化していくと大規模化が進んでいくとかいうこと、それから日本では太平洋ベルト地帯に要するに半分の人が住んでいるわけで、そこの人たちはどうやって地産地消をしていくのかと。それから、世界的に見たときも、要するにこれは貧困の問題なんかとの絡みがあるんですが、世界で都市化が進んでいるということはまぎれもない事実でして、ある意味で農民の数が減っていくということで、この問題から大上段に地産地消が環境に優しいんだという議論に発展させるのは私は、例えばWTO交渉をどう考えるんだというのは、もう環境の問題から決めていくんだと、一つの視点ではあると思いますが、ここまで踏み込む必要はないと思うんですね。
現状の、ごみの出てくる発生状況を考えたときにどうするかというのが、検討の範囲ではないかと私は思います。これは疑問符がついているので、なかなか地産地消の問題まで踏み込む必要はここではないと私は思います。
 以上でございます。

【石川座長】 どうもありがとうございました。最初の方はご指摘ということかと思いますが。はい、どうぞ。

【伊藤委員】 非常によくまとめられていると思うんですけど、1点だけよろしいでしょうか。
7ページの最後の肥料に求められる品質という文章なんですけども、この続きで、8ページにまたがって、「残さ及び家庭から排出される生ごみが普通肥料の原料として用いられることはない」という部分ですが、以前はこうだったと思いますが、たしか平成11年度の肥料取締法の改正で、たい肥原料に汚泥が入ると普通肥料になるというふうに変わっているかと思いますので。要は、食品残さと畜ふんだけなどでたい肥ができれば特殊肥料なんですけども、汚泥がそれに入って一緒に発酵させると、その肥料は普通肥料に分類されるということに確かなっているかと思いますので、ご確認してみてください。

【石川座長】 その点はまたお調べいただけますでしょうか。
 それでは、川島委員からの論点というんでしょうか、地産地消についてどこまで踏み込むのかというお話がありましたが、これに関連してご意見。じゃあ山口さん、どうぞ。

【山口委員】 今、先生のご指摘のとおりだというふうに思います。完全に小規模な地域循環での地産地消、あるいはそれを通じての食育というのは、なかなか難しい問題があろうかと思います。私ども事業者サイドからしますと、例えば一つの例ですけども、例えば店舗の展開は都市部が当然中心になる。そこに対しての商品供給をする工場は周辺近郊地域に存在すると。また、さらにその郊外といいますか、近郊地域に生産者が存在すると。これは農産品あるいは畜産品、両方でございます。そういう流れの中で、都市と周辺近郊地域のやっぱり連携といいますか、そういう仕組みで考えていくということの方が理にかなっているというか、合理的じゃないかと思います。
そういう中でですね、やはり実現の可能性と持続可能性、そこをベースにやはり経済性というのがありますので、やはり都市部で販売する店舗等が排出するものを合理的に収集をして、そして近郊の地域で処理をして、そして加工をして、例えばえさとして、さらにその地域からやや近郊の農村地域で利用いただくと。こういうような形でですね、そしてまた生産物をできる限りその生産工場に戻すというような仕組みづくりというのが、一番理にかなっているんじゃないかなと。また、それをある意味では日本における地産地消という形で私は表現してもいいんじゃないかなと。こんなふうに考えております。

【石川座長】 ありがとうございました。どうも地産地消って余りはっきりした定義が多分ないんだと思うので、山口委員からのご意見というのは一つの明確な、こういうのを日本型の地産地消と定義すればいいんじゃないかというご提案だったかと思います。じゃあ、崎田さん、どうぞ。

【崎田委員】 今、地域の循環で生ごみを使ったらどうかというお話の中で地産地消というのもありましたが、今、いろいろなご意見の中で、こういう地域での循環型の顔の見える信頼関係というのは、市民活動風の規模ではないかというご意見があったんですが、私は、今現実に考えると、市民活動的な流れであるものと、企業ベースでつくろうとしているものと今、両方がこれはあるなというふうに感じています。
 どういうことかというと、実は基本的には私ここで循環をつくるときに、それぞれの主体が顔の見える信頼関係をちゃんとつくって、次に使う人がどういうものを欲しているのか、そこが大事なんだという、そういう信頼関係で輪をつくっていくのが大切ということを全体に書き込んでくださっていることは私、非常に大事なことですばらしいというふうに感じています。
 それで、市民レベルで言えば、例えば近隣の学校とかホテルとか、そういうのが100軒ぐらいと消費者100軒ぐらいの住宅で、一緒に地域の中で生ごみを集めて、それをたい肥化する工場を環境省とか経済産業省のモデル事業の事業費で徐々に増やしていって、10年ぐらいかけて、そのくらいの規模の地域循環をつくっている町など、よく伺うことがあるんですが。そこなど今、例えばですね、こういう近隣の農家でちゃんとつくった野菜を、野菜スタンドをつくって、そこでちゃんと欲しい人はきちんと買うような感じで、こうつながってくることが見えるということがやはりすごく信頼関係が出るので、どのくらいの規模になっても、その辺のつながってくるという感覚は非常に大事だというふうに思っています。
 今、私、たまたまお話しした、その事例の中では何が問題かというと、その場合は市民が元気に仕組みをつくってきたので、地域の行政が、市民が元気にやっているからいいなということで、行政がちょっとコーディネーター役を果たしてくださっていない部分があって、そういう動きというのは、ここに書いてあるようにコスト的に回していくのが大変きついので、例えばそこに行政が生ごみを普通処理をするときにかかるであろう費用が浮いているわけですので、そういうものの一部を何かうまくそういう活動に応援してくださって、そういう動きを成り立たせるとか、ある程度行政のコーディネーター役というのは、精神的につなぐだけではなくて、少しそういう視点もあってもいいのかなというふうに思います。
 あと、例えば生ごみのたい肥の輪をつくるというときに私は、この文章の中には例えば消費者とたい肥化をする主体と農家が連携をするという輪が書いてありますけれども、もう一つですね、大学とか、そういう専門研究者がこういう輪の中に入ると非常にできるたい肥の品質が安定するとか、そういうことに大変貢献するんですね。ですから、こういう輪の中にそういう専門の方が入るということが非常に重要だと思っています。
 今、これは市民の活動というか、そういうお話をしましたけれども、もう少し輪を広げて、今、もう既にヒアリングなどで出たと思うんですけれども、例えば大手の流通、例えばデパート、私はたまたま新宿におりますので、駅の近くだと小田急さんとか京王さんとかありますが、ああいうところは全部、私鉄の沿線のところの農家とうまく連携して、非常に大きな生ごみの循環の輪をつくっていたり、そういう事業を展開してますので、それでできたお野菜を売るとか、自分たちのストアでちゃんと売るとか、そういうふうに既にやってますので、やはり少し事業化した中でもそういうことは可能ですので、そのくらいの感じでの地域循環というのが今非常に重要なのではないかというふうに思っています。
 あと、ここの全体の中に飼料化を先に取り組んでという方向性がありましたけれども、私も飼料化できちんとできるものはきちんとやっていくというのは、もちろん重要だというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

【石川座長】 どうもありがとうございました。どうぞ。

【山田(久)委員】 先般もお聞きしておるんですけれども、川島先生の方のお話の関係で、僕は化学物質の問題が非常に気になってましてですね、食物連鎖による体内濃縮という問題をこの肥料化とか、えさ化をする人は本当に考えているんだろうかと。この化学物質は、例えば中国でつくられた野菜が大量に今、化学薬品が使われていますけども、それが日本に入って、それが例えば飼料化なりたい肥化された場合に、それがまた日本の土壌に入ると。そしてそれが、根菜類なんか特にそうなんですけれども、吸収が早いですから、これが長期的に、物すごく長期的に眺めた場合に、化学物質汚染ということがどうなのかということについての検査体制というか、追跡調査というものを国なり、そういった機関がはっきり担保していかないと、市民運動、NPO、このたい肥化というものはすばらしい、すばらしいと言われているけども、非常に恐ろしい結果を招く恐れがあるということを20年、30年、50年のスパンで物事を考えていただきたいなというふうに思います。

【石川座長】 どうもありがとうございました。
 幾つか論点が出てきて、やや発散ぎみなのでここでちょっと整理させていただきますと、1つは地産地消ということから出てきて、この点は重要だと思うんですが、どういうふうに議論していくのかというのを考える必要があると思いますね。まず、そもそも地産地消、はっきりした定義、イメージがまだないと思います。ご町内で循環しなきゃいけないのか、市町村でいいのか、県内なのか、こんなのだれも言えないわけですね。
その中で、山口委員から具体的に流通としてはこういうのを日本型の地産地消と言っていいんじゃないかと、こういうのがいいんだというご提案もありました。また、崎田委員からも幾つか具体的な事例をご紹介いただきました。私、ご意見を伺ってて思ったのは、川島委員から最初の問題提起があったんですけれども、そもそも地産地消をやるとしても、これは国の方針として主たる生ごみの処理のシステムであって、全国を、基本的にはこれでやるという話はどなたもお考えになってないんじゃないかというふうに思います。
ですから、考え方として、一般論でこれを否定してもまあ仕方がない。最後に山田委員からご意見ちょっといただきましたけど、これは少し検討する必要があると思います。一般的に農地に、フードチェーンに食品廃棄物を戻すことのリスクをどう検討するか。これは別な視点ですので別途検討が必要かと思いますけれども、それを別にすると、地産地消の場合というのは、要するにやっててうまくいくんだったら、それはごみ減っているんだからいいんじゃないのという気も私しますし……。
 そこで一つ重要な点、崎田委員からご指摘ありましたのは、結果としてごみが減っていて、行政費用がそれなりに減っている。ランニングコストの部分だけですから、そんなに減らないかなと思いますけども、でも長期的に考えれば減らすことができているはずで、そのメリットが還元されないけれども、それなりの運動になっていると。冷静に考えれば、その部分は行政が最大限、上限として機会費用として払ったって構わないはずですよね。トータルの、払ったって別に清掃費ふえるわけではないですよね、全額払っても。半額でもっと増えるんだったら、トータルとしては社会的費用は下がっているはずですから、そういう視点が恐らく必要なんじゃないかなと。実際にそういう補助金を整備するかどうかというのは別の話かもしれませんけれども、考え方としては、そういうふうに考えるべきではないかと。市民・事業者が社会的な費用を下げる活動をしているのに、もう少し補助があればもっと下がると。にもかかわらず、それができないというのは、これはハードルとして認識すべきではないかという気もいたします。
 それから、最後になりましたけど、山田委員からフードチェーンに戻すことのリスクを一体どう担保するのかというご意見がありました。これについて何かご意見ございますでしょうか。どちらの点でも結構ですが。じゃあ、どうぞ。

【山田(正)委員】 両方に関係すると思うんですけども、なぜ地産地消がいいと思ってしまうかということは、先ほどの6ページの地産地消が書いてあるすぐ下に書いてあるんですけども、要するに「顔が見える関係」があるからということは、要するに信用してないということですよね。お互い出したり受け取ったりする人が。それが一番の問題であると。これをどう信用させたらいいのかというので、1つのアイデアが地産地消という、狭いところで顔が見えた範囲でやるということであると。ということを考えると、やはりもう少し違うシステムなり、先ほどの有害物質とかの混入を防ぐシステムを考えるのであるならば、やはりこの生ごみの側にトレーサビリティというものをきっちりとつくっていくと。だれがそれを保証するのかと、品質保証していくのかというようなものが裏にないと、やはりこれから先は行けないんじゃないかと思います。
 それで、もう一つ意味があるのは、最近いろんなところへ行って聞きますけども、特にたい肥化のところで非常に怪しいたい肥化が全国にはたくさんあると。もうほとんど不適正処理みたいにぎりぎりのところを結構、私聞いてきます。やっぱりこれもある意味出したものがどこに行くのかというトレーサビリティがとれてないから、そういうところに回ってしまうというような問題もある。その不適正処理の点も私は言っているんですが。そういった意味で、そういった情報管理と検査のシステムというのをどうつくっていくのかというのが、一つ大きい私は論点だと思います。

【石川座長】 どうもありがとうございました。特に今お話あったようなたい肥化の中での不適正処理ぎりぎりみたいな話になってきますと、現状でそういう話があるんだとすれば、市町村からごみ処理の機会費用が補助金として出ますという話になると、これはもっと心配になってくる。ある種のビジネスになっちゃう可能性があるわけで、それは何か担保する仕組みというのは恐らく必要になってきて、それはこのお話に限って言えば多分、食べ物をつくる話ですから、食べ物の安全性を担保する意味で、崎田委員からお話あったような顔が見えるという信頼性というところで、担保するべきものと恐らくほぼ同じかなという気もいたします。
 いかがでしょうか。ご意見ございますか。はい、どうぞ。じゃあ大塚さん、先に。

【大塚委員】 先ほどから議論をずっとお聞きしておりまして、私のやはりキーワードの一つは顔が見える関係、これが非常に大事じゃないかなと思ってますし、顔の見える関係という文章は非常にわかりやすくて、いろんなところで使わせていただこうかなと思っていますが。産業廃棄物の処理業者の立場から言いますと、やはりほとんどが零細企業でございまして、地場として成り立ってますので、地産地消の関係もあるかもわかりませんが、顔の見える関係というのは一体、社会的なシステムとして見た場合に、具体的にはどういう形のものを顔の見える関係かということを、もう少し煮詰めていただきたいなと思います。
 例えば先ほどでは、市民団体とか地方自治体の問題もありますけども、例えば文章を見てみますと、やはり全農の関係が非常に大きいですよね。JAが使っていただくという、率先していただかないと、実際には、農家にはなかなか普及しないという実情がありますけれども、それとの関係もありますし。それから産廃の場合でしたら、行政が入りにくい排出事業者責任というのが壁になっておりますから、それとの関係をどうするかとかいう問題もありますし、それから山田委員の指摘されましたおそれ、これも顔の見える関係というのは、一種の情報公開をお互いにしていくということにもつながってくると思いますので、そういった部分をどういうふうな形でやっていくのかということを、大きな論点として今後煮詰めていただければありがたいなと思っています。

【石川座長】 ちょっと犬伏さん、先に。

【犬伏委員】 顔の見える関係というか、生産物ですと、ある意味では非常に出しやすいと思うので、例えば極端な話、ブランド化、座長のおひざ元の神戸牛だとか、鹿児島の黒豚だとか有名ですけれども、そういうような形だと、もう全国展開できるし、皆さん自信を持って顔を出していくと。逆の流れに、いかに顔を出せるかというようなところが問題だと思います。
 それから、先ほどの川島委員のご指摘にもありました、国レベルでの窒素収支ということもあるんですが、地産地消に結びつけるとすると、都道府県レベルあるいは流域レベルでの収支というものもある程度出ておりまして、例えば宮崎とか鹿児島なんて真っ黒に塗られたような図があるわけですね。つまり非常に窒素過多になっているというようなところが出したものが、どこで消費されているのかというようなことで、結局、逆の流れがどれぐらいコスト的にペイするのかというようなところが一つ重要なことだと思います。
 あと11ページのところで、最後、土が野菜・米に行っておりますけど、そこだけちょっと補足しておきますと、野菜についてはかなり安全性のことが指摘されておりますけど、米については窒素過多で安全性に対する懸念はないんですが、食味が落ちるということはやはりよくない。でも、逆に水田というのは、窒素を浄化する機能もありますので、そういうような意味で、地形連鎖をうまく考えたような窒素の浄化というようなものも、地産地消の流域の流れの中で考えられるのではないかと。
 ただ、山田委員がご指摘になるように、生体濃縮ということでは、前回にもご指摘したように重金属の問題、これは特に蓄積性がありますので、ある程度農薬とかもありますけど、分解されていくのに対して、重金属の蓄積性というのはやはり相当深刻に考えないといけないと思っております。
 以上です。

【石川座長】 ありがとうございました。それでは、何か流域とか都道府県レベルの情報がございましたら、ちょっと参考になるかと思いますので、ご提供いただけますでしょうか。じゃあ崎田委員、お願いします。

【崎田委員】 すみません。先ほどの顔の見える信頼関係というところで、もう少し具体的にというお話があったので、ちょっと今考えていたんですが。例えば物すごく身近な小さな話で言えば、消費者から見れば顔の見える信頼関係というのは、例えばスーパーでお野菜を買ったときに、そのお野菜にここはどこの農家から来ていますとか、そういう情報が最近随分スーパーで出てたりします。そういうのを顔の見える信頼関係だなんていう感じで思うんですが。
例えば今回のこれの場合、私4~5年前に取材したところの事例をお話ししますと、ある大きな、ある有名な缶コーヒーをつくっているメーカーの工場で、定期的に廃棄物としてコーヒーかすが出てくると。それがもう大きなトラックいっぱいたまるぐらいの感じで、ある三浦半島の方の15軒ぐらいで有機栽培をやっている農家グループに定期的に運ばれ、それをその農家では一生懸命たい肥化し、いいたい肥をつくるわけですけれども、そのときに、今日持ってきたものがちょっとどういうものかなとか、そのコーヒーのメーカーのご担当者、運送会社の人とか、その先の出した会社の人に問い合わせの電話をしたり、その人はどういう人かというのがわかっているんですね。
それで、いろいろ質問があると電話をするとか、そういうふうに、やはり原料が来たときにどこから来ているのかがちゃんとわかって、そこがどういうような形でそれが出てきたかとか、そういうのがわかっている。必要なときには、逆からの質問とかコミュニケーションまで、相互コミュニケーションができるという、そういうのが顔の見える信頼関係なんじゃないかと思うんです。考えると、先ほど先生がおっしゃったトレーサビリティのお話とか、結局はそういうこととすべてつながってくるんじゃないかと思うのでそういう、やはり考えてみたら、マニフェストみたいなものが生ごみの世界で、今までは考えたことがなかったわけですけれども、何かそういう仕組みとかですね、あるのかなという感じもいたします。
 あと、先ほど私が循環の輪に大学などの研究者の方を入れていただいたらいいというお話したのは、やはりこういうトレーサビリティとか、こういうのを考えたときとか、わけのわからないたい肥化をしているのか、どういうたい肥化なのかなというときに、やはりきちんと大学の研究者がそこで品質をきちんと研究をしたりという、そういう目が入っていると、やはりきちんと品質が常に表示できたりとか、そういうものがあるわけです。個別にやっているところには、そういう目が必要ですけれども、もし何か仕組みができれば、そういう仕組みの中にそういう専門性がちゃんと入るという、そういうふうになっていけばいいんじゃないかなという感じがいたします。

【石川座長】 どうもありがとうございました。それでは、中井委員、お願いします。

【中井委員】 時間がありませんので、ちょっと簡単に申し上げたいと思いますけど。今のテーマになっています地産地消なんですが、現実の食品・食材の流通というのは極めて広域流通になっているわけですので、無理にこれを地産地消がすばらしいということで、地産地消を廃棄物の処理に関しても進めるべきだというふうに安易に行くべきではないと思います。そういう意味では、現実での整合性ということをきちんと考えなくちゃいけないのではないかなというふうに思います。
 それから、ついでに2点ちょっと申し上げたいのは、6ページの飼料化のその他の重要なポイントの中で、食品関連事業者は、その円滑な運営のメリットを受ける者として、最も重要な役割を担うという表現がありますけども、確かにこのとおりだと思いますけども、実はメリットを受けられるのは、やはりこれを利用される方であって、食品関連事業者が大きなメリットを受けるというだけではちょっとこう、非常に偏った表現ではないかなという気がいたします。
 それからもう一点は、10ページの窒素の過多の問題ですけれども、ここに整理がきれいにしてありますように、酪農地帯は家畜ふん尿のたい肥化を考えて、酪農の少ない農村地帯は生ごみのたい肥化を考えるというような割り切りになっていますけども、やはり重要なのは複合的なバイオマスをどういうふうに活用していくかということが極めて大事であって、このように簡単に割り切ることは現実としてはなかなか難しいのではないかという気がいたします。
 以上です。

【石川座長】 どうもありがとうございました。
 議論がどうも尽きないんですけれども、予定された時間になりました。今後、次回もこの議論を続けて整理をしていきたいと思いますので、もしどうしてもということがなければ……。何かございますか。

【伊藤委員】 すみません、お時間のないところ恐縮です。
 方向性というところで、地産地消も重要かと思うんですけども、飼料化の5ページの価格に関する事柄ということが実際取引上は重要になってくるのではないかと思います。ここに書いてあるように、排出側で飼料化にかかるコストを負担するということは、要は養豚業者さんとか、飼料業者さんに処理をしてくださいということで、排出側がお金を出すということは処理業の許可が必要になるのかと、現状ではですね。それは産業廃棄物、一般廃棄物、それぞれにこの問題がかかわると思います。
 あとはその価格についても、今は言い値といいますか、価格基準があってないようなものですので、ここはどういうふうな価格設定が必要なのかとか、透明性の問題にもなろうかと思います。
 そんなところが私、排出側としては一番気にかかるところですので、ちょっと一言、すみませんでした。

【石川座長】 ありがとうございました。
 一応、ちょっと時間になりましたので、ここで議論はやめたいと思いますけども、次回、またご議論を続けていただきたいと思います。
 事務局の方で、何か次回の日程その他ございますか、ご連絡は。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 1月下旬から2月上旬の間で、具体的には1月23日の週から2月6日の週あたりまでの、この3週程度で委員の先生方のご都合がつくところを、もし可能であれば仮予定ということで、二つほどちょうだいできたらというふうに思っています。

【石川座長】 23日から2月の第1週ですか。6日の週ですね。23日からですと、私の予定から先に言わせていただくと、23日の月曜日、それから30日、31日、これは全日。それから水曜日の2月1日は、午前中は空いています。あと6日からの週は、月、火、水は大丈夫です。このあたりでいかがでしょうか。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 それでは23日の月曜日は終日ということですか。

【石川座長】 終日、大丈夫です。

【松澤廃棄物対策課課長補佐】 23日の月曜日でご都合の悪い方は、犬伏先生ですね。崎田委員もそうですね。
 30日の月曜日はいかがでしょうか。
 31日の火曜日はいかがでしょうか。火曜日はご都合悪いですね、はい。
 1日の水曜日の午前中はいかがでございましょうか。
 その次の週になりますが、6日の月曜日はいかがでしょうか。
 7日の火曜日はいかがでしょうか。
 8日の水曜日はいかがでしょうか。
 そうですね、30日か6日ということで、とりあえず30日は午前中をご予定いただいて、6日は、できるだけ早くご連絡しますが、できれば終日ご予定、ちょっと仮予定ということにさせておいていただければと思います。堀尾先生、お帰りになられてますけれども、堀尾先生、それからきょうご欠席の酒井委員、エネルギー利用、それぞれご専門でもいらっしゃいますので、お2人のご都合もちょっと考えながら、ご予定を決めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【石川座長】 ありがとうございました。それでは、これで閉じたいと思います。ご苦労さまでした。

午後12時08分閉会午後12時00分閉会