平成26年1月21日
大気環境

平成25年光化学大気汚染の概要−注意報等発令状況、被害届出状況−(お知らせ)

 平成25年光化学大気汚染の概要について、取りまとめましたのでお知らせいたします。
 平成25年の全国における光化学オキシダント注意報等の発令状況は、発令都道府県数が18都府県、発令延日数が106日でした。
 また、光化学大気汚染によると思われる被害届出人数は、3都県で合計78人でした。

1.光化学オキシダント注意報等発令状況等

 平成25年の光化学オキシダント注意報等※の発令状況は、発令都道府県数が18都府県、発令延日数が106日であり、平成24年(17都府県、53日)と比べて、発令都道府県数は微増、発令延日数は倍増しました。また、警報の発令はありませんでした。(表1及び図2参照)
 発令延日数について都道府県別に見ると、東京都が17日で最も多く、次いで神奈川県が16日となっています。月別にみると8月の63日が最も多く、次いで7月の40日、5月の2日の順でした。(表2参照)なお、平成25年の光化学オキシダント濃度の1時間値の最高値は、8月10日の東京都多摩北部の0.197ppm でした。

光化学オキシダント注意報及び警報を併せて「光化学オキシダント注意報等」としています。

2.被害届出状況

 平成25年の光化学大気汚染によると思われる被害の届出は、3都県で合計78人であり、平成24年(3府県、80人)に比べ若干減少しました。(表1及び図1参照)
 都道府県別では神奈川県の75人が最も多く、次いで東京都の2人となっています。
 月別では、8月の59人が最も多くなっています。(表3参照)
 これらの大部分は、サッカー競技などの運動中に発生しています。被害症状としては、咳、呼吸困難など、のどに関する症状が多くみられました。
 集団的被害(同一場所で同時に20人以上)の届出は1件あり、その届出人数の合計は23人で、被害届出総数の約30%を占めています。

3.今後の対策

 光化学オキシダントの主な原因物質は窒素酸化物(以下、「NOx」という。)と揮発性有機化合物(以下、「VOC」という。)であり、これらの削減対策を進めることが必要です。環境省では、NOx 対策として、大気汚染防止法、自動車NOx・PM 法等に基づく発生源からの排出抑制を進めるとともに、VOC 対策として、平成18年4月から大気汚染防止法に基づく排出規制を開始し、大気環境の一層の改善を図っているところです。
 また、光化学オキシダント濃度の上昇要因の一つとして、国内における発生要因に加えて、広域的な大気汚染の影響が指摘されており、日中韓三カ国環境大臣会合における合意に基づき光化学オキシダントに関する研究協力を行うなど、国際的な取組を推進しています。
 しかし、光化学大気汚染については、その汚染メカニズムなど未解明な部分も多いため、平成23年度から光化学オキシダント調査検討会を開催し、現象解明を進めているところです。また、平成24年12月26日付けで中央環境審議会会長から環境大臣になされた「今後の揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制対策の在り方について(答申)」において、「残された課題を解決に導いていくため、VOC のみならず、光化学オキシダントやPM2.5 を含めて総合的な検討を行う専門委員会を新たに立ち上げ、今後必要な対策等について幅広い議論を行うことが適当である」との提言を踏まえ、平成25年12月27日に中央環境審議会大気・騒音振動部会に新たに「微小粒子状物質等専門委員会」が設置されました。今後、本委員会等において、より効果的な対策の検討を進めてまいります。
 さらに、「大気汚染物質広域監視システム」(愛称:そらまめ君)を活用して、全国の光化学オキシダント注意報等の発令状況等に関する情報をインターネットや携帯電話用サイトでリアルタイムに提供しており、引き続き光化学大気汚染による被害の未然防止に努めてまいります。

[添付図表]
図1 光化学オキシダント注意報等発令延日数及び被害届出人数の推移
図2 平成25年の都道府県別光化学オキシダント注意報発令延日数状況図
表1 光化学オキシダント注意報等の発令状況及び被害届出人数の推移
表2 平成25年の光化学オキシダント注意報月別発令延日数
表3 平成25年の日別被害届出人数

<備考>

[1] 光化学オキシダント注意報・警報について

 光化学オキシダント注意報は、大気汚染防止法に基づき光化学オキシダント濃度の1 時間値が0.12ppm 以上になり、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合に都道府県知事等が発令します。
 光化学オキシダント警報は、各都道府県知事等が独自に要綱等で定めているもので、一般的には光化学オキシダント濃度の1時間値が0.24ppm 以上で、気象条件からみてその状態が継続すると認められる場合に都道府県知事等が発令します(一部の県では、別の数値を設定しています)。
 なお、都道府県知事等は、光化学オキシダントの濃度が高くなり、被害が生ずるおそれがあるときは、一般住民に対して周知を行うとともに、工場・事業場等に対してばい煙やVOC の排出量の削減、自動車の使用者に対して運転の自主的制限について、それぞれ協力を求めることとなっています。

[2]発令延日数について

 都道府県を一つの単位として光化学オキシダント注意報等の発令日数を合計したものであり、同一日に同一都道府県内の複数の発令区域で注意報等が発令されても、当該都道府県での発令は1日として数えます。

[3]光化学オキシダントの発生機構について

 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出されるNOx、VOC を主体とする汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応を起こすことにより発生する二次的な汚染物質です。日差しが強く、気温が高く、風が弱い日等に高濃度になりやすいことが知られています。

[4]大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)について

 全国の大気環境データや光化学オキシダント注意報等の発令状況などをリアルタイムで収集し、インターネット及び携帯電話用サイト上により情報提供を行うシステムです。

URL:http://soramame.taiki.go.jp/
URL:http://sora.taiki.go.jp/ (携帯電話用サイト)

URL:http://soramame.taiki.go.jp/
URL:http://sora.taiki.go.jp/ (携帯電話用サイト)

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通   :03−5521−8294
代表   :03−3581−3351
課長   :難波 吉雄(内線 6530)
課長補佐 :中島 靖史(内線 6538)
担当   :山口 恒平(内線 6539)