平成22年12月16日
自然環境

第13回日中渡り鳥等保護協定会議、第15回日豪渡り鳥等保護協定会議及び第10回日韓渡り鳥保護協力会合の開催について(結果)(お知らせ)

 第13回日中渡り鳥等保護協定会議、第15回日豪渡り鳥等保護協定会議及び第10回日韓渡り鳥保護協力会合が11月29日から12月1日にかけて新潟県新潟市で開催されました。
 各国における渡り鳥等の保護施策、研究等に関する情報交換、今後の協力のあり方に関する討議が行われ、日豪、日中、日韓の間でそれぞれ共同研究等を進めることにより、渡り鳥の生態を解明し、渡り鳥の保全や鳥インフルエンザ対策等に役立てていくことを確認しました。

1.開催日程及び場所

(1)日時

平成22年11月29日(月)〜12月1日(水)
11月29日
 4ヶ国全体会合
30日
 日豪渡り鳥等保護協定会議(午前)
 日中渡り鳥等保護協定会議(午後)
12月1日
 日韓渡り鳥保護協力会合(午前)

(2)場所

新潟県新潟市 ANAクラウンプラザホテル新潟
(新潟市中央区万代5-11-20)

2.各会議の概要

(1)4ヶ国全体会合

 前回会議と同様に、会期の前半に日中豪韓の4ヶ国が一堂に会し、共通の議題についての報告等を行うことにより、その後の二国間会議における議事進行の円滑化を図りました。前回会議以降の各国の保護施策、各国の標識調査、人工衛星追跡調査及び鳥インフルエンザ関連調査の実施状況、日中韓の間の希少な渡り鳥であるズグロカモメやクロツラヘラサギの調査結果、日豪間の希少な渡り鳥であるベニアジサシの調査結果、その他各国におけるモニタリング及び一斉カウント調査結果等の報告がされました。

(2)日豪渡り鳥等保護協定(注1)会議

絶滅のおそれのある鳥類の通報

 豪州側から、前々回及び前回会合で情報提供のあった10種の追加に加え、新たに5種を絶滅のおそれのある鳥類に加えたこと、19種の名前について変更を加えたことが報告され、近日中に外交ルートを通じた通報が行われることとなりました。
 日本側から、前回会合で報告したルリカケスの削除について外交ルートを通じて通報したことを報告しました。

協定付表の鳥類リストの見直し

 豪州側から、2008年の豪州産鳥類目録の改訂に基づく協定附表対象種の追加削除及び学名変更について提案があり、日本側から、1982年に開催された第2回会合において合意した協定附表の原則に基づき、迷鳥については、明らかに渡っていないことが確認されていなければ削除すべきでない旨発言し、迷鳥のリストを別途両国で調整しながら作成することを提案しました。これを受け、今後両国の専門家が迷鳥のリストを作成するとともに、今後2〜3年のうちに日本産鳥類目録が改訂されてから協定附表対象種全体のレビューを実施し、次回会合での合意に向けて検討することとなりました。

標識調査

 日本側から、全体会合で行われた標識調査の実施状況報告に加え、本年よりシギ・チドリ類に刻印入りのカラーフラッグを使用し始めたことを報告し、豪州側からは、ジオロケーター(※)の活用について検討し始めたことが報告され、今後も両国間の情報交換を進めていくことを確認しました。また、標識調査結果のデータ公開についても意見交換を行いました。

(※)
ジオロケーター:鳥類に装着する小型の装置で、光を感知し、日の出・日の入りの時間を記録することにより、鳥が位置する緯度経度を算出する。
鳥インフルエンザ等感染症等

 日本側から、全体会合で報告した鳥インフルエンザの発生状況及び野鳥サーベイランスの結果に加え、島根県において11月30日に高病原性鳥インフルエンザの感染の疑いが高いニワトリが見つかった事について報告しました。豪州側からは、野鳥サーベイランスを実施した結果、高病原性鳥インフルエンザの感染は確認されていない事が報告され、今後も両国間の情報交換を進めていくことを確認しました。

東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(注2)

 豪州側から、黄海の保全のために中国及び韓国で実施した事業の結果について報告され、今後の事業の実施について意見交換を行いました。また、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップについては、両国がパートナーシップの設立国として引き続き協力していくことを確認しました。

その他

 次回会合はおおむね2年後に韓国で開催することが合意されました。

(3)日中渡り鳥等保護協定(注3)会議

協定付表の鳥類リストの見直し

 日本側から、日本産鳥類目録及び中国鳥類分類・分布目録の改訂に伴って前回会議において両国の専門家により示された改正案を整理した結果を示しました。今後日本案を元に中国側の専門家が検討し、その検討結果を受け、両国政府で確認し、次回会合での最終的な合意を目指すこととなりました。

標識調査

 全体会合で行われた両国の標識調査の実施状況報告に加え、日本側から、本年よりシギ・チドリ類に刻印入りのカラーフラッグを使用し始めたことを報告し、中国側からは、中国でも同様の取組が行われていることが報告されました。
 また、標識調査結果のデータ公開や人材交流についても意見交換を行いました。

日中韓ズグロカモメ共同調査

 日中韓ズグロカモメ共同調査については、日本側から全体会合において取組を発表したほか、今年度九州でズグロカモメに衛星発信器を装着し、来春には中国における装着を検討していることを報告しました。今後の両国の連携を確認するとともに、来春に中国の山東省の黄河三角州で衛星発信器を取り付けることについて合意されました。
 また、日本側より示したズグロカモメ保全行動計画案については、日中韓の共同計画とし、今後三カ国の窓口で調整を進めることについて合意されました。

渡り鳥飛来経路解明調査

 日本側から全体会合において取組を発表したほか、中国側からも衛星追跡結果について報告されました。発信器に関する技術的な意見交換が行われるとともに、衛星追跡結果について今後両国でデータ共有を進めることについて合意されました。

鳥インフルエンザ等感染症等

 日中双方から全体会合で鳥インフルエンザの発生状況及び野鳥サーベイランスの結果が報告されたことに加え、日本側から、島根県において11月30日に高病原性鳥インフルエンザの感染の疑いが高いニワトリが見つかった事について追加で報告しました。今後鳥インフルエンザその他の感染症について両国で情報交換を進めることについて合意されました。具体的な内容については両国の窓口を通じて今後検討することとなりました。

東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ

 東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップについては、日本側よりツル及びガンカモ類の作業部会の活動について報告し、同作業部会について日中双方で協力していくことを確認するとともに、両国がパートナーシップに引き続き協力していくことを確認しました。

その他

 日中双方のトキの野生復帰及び両国の協力について意見交換を行いました。
 次回会合はおおむね2年後に韓国で開催することが合意されました。

(4)日韓渡り鳥保護協力会合

二国間協定に関する意見交換

 日韓の渡り鳥保護協定については、早期締結に向けて両国が調整することを双方が確認し、渡り鳥の定義、渡り鳥の保護施策、絶滅のおそれのある鳥類の取扱い等の協定に関する考え方について意見交換を行いました。

標識調査

 全体会合で行われた両国の標識調査の実施状況報告に加え、日本からシギ・チドリ類の標識調査に今年から刻印入りカラーフラッグを使用した事を報告し、韓国においても同様の取組を検討している事が報告されました。また、標識調査のデータの取り方等の技術的な意見交換が行われ、更なる情報共有の必要性が認識されました。

日中韓ズグロカモメ共同調査

 日中韓ズグロカモメ共同調査については、日本側から全体会合において取組を発表したほか、今年度九州でズグロカモメに衛星発信器を装着し、今冬に韓国の西・南部海岸においてズグロカモメの越冬状況の調査を検討していることを報告しました。韓国側からも最近の調査結果が報告され、今後の両国の連携を確認するとともに、今冬の韓国の調査について合意されました。
 また、日本側より示したズグロカモメ保全行動計画案については、日中韓の共同計画とし、今後三カ国の窓口で調整を進めることについて合意されました。

鳥インフルエンザ等感染症等

 日本側から全体会合で鳥インフルエンザの発生状況及び野鳥サーベイランスの結果が報告されたことに加え、島根県において11月30日に高病原性鳥インフルエンザの感染の疑いが高いニワトリが見つかった事について追加で報告しました。韓国側からも最近の取組について報告され、これまでのところ感染例がないことが報告されました。今後鳥インフルエンザその他の感染症について両国で窓口を定め、情報交換を進めることについて合意されました。

陸生鳥類

 陸生鳥類の生息状況について日韓双方から紹介し、アジア地域のデータが少なく、情報共有の必要があることについて双方が認めました。次回日韓会合までに、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの参加者会合等の機会を活用して、日韓共催で情報交換のためのワークショップを開催することについて合意されました。

東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ

 東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップについては、日本側から事務局の設置国及び議長国として韓国が貢献していることに感謝するとともに、ガンカモ類の最新の情報について意見交換を行い、今後両国の立場に応じて両国がパートナーシップに引き続き協力していくことを確認しました。

その他

 日韓双方のトキについて意見交換を行い、今後日韓でも協力を進めていくこととなりました。
 次回会合はおおむね2年後に韓国で開催することが合意されました。

注1)
正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」:昭和56年4月30日発効
注2)
平成18年11月に発足した、アジア太平洋地域の渡り性水鳥の保全のための枠組み。法的拘束力を持たず、アジア太平洋地域の政府機関、国際機関、NGO等を主体とし、情報交換や共同保全事業を行っている。WSSDタイプ2パートナーシップ及びラムサール条約の地域イニシアティブとして認められている。
注3)
正式名称「渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」:昭和56年6月8日発効
連絡先
環境省自然環境局野生生物課
直通:03−5521−8283
代表:03−3581−3351
課長:亀澤 玲治(6460)
課長補佐:堀内 洋(6475)
係長:中山 直樹(6468)