令和2年3月19日
保健対策

平成30年度PRTRデータの概要等について-化学物質の排出量・移動量の集計結果等-

環境省は、経済産業省と共同で、化学物質排出・移動量届出(PRTR)制度に基づく化学物質の平成30年度の排出量・移動量等のデータの集計等を行い、その結果を取りまとめました。
平成30年度の届出排出量は148千トン(前年度比2.6%の減少)、届出移動量は243千トン(同3.1%の増加)、その合計は391千トン(同0.8%の増加)となりました。
排出量・移動量等の集計結果は、事業者から届出された事業所ごとの届出排出量・移動量とともに、環境省のウェブサイト上で公表します。

1.経緯

平成11年7月に公布された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(以下「化管法」という。)に基づき、化学物質排出・移動量届出(PRTR:Pollutant Release and Transfer Register)制度が導入されました。

PRTR制度の導入により、相当広範な地域の環境において継続して存すると認められ、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれのある化学物質(第一種指定化学物質)について、事業者は環境中へ排出した量(排出量)や廃棄物などとして処理するために事業所の外へ移動させた量(移動量)の届出を行い、国はその集計結果及び推計を行った届出対象外の排出量の集計結果を公表することとなっています。

平成30年度の届出排出量・移動量については、平成31年4月1日から令和元年7月2日までの間に、全国33,669の事業所から届出が行われました。

今般、環境省は、経済産業省と共同で、化学物質の届出排出量・移動量(PRTRデータ)を集計するとともに、届出対象外の排出量の推計及び集計を行い、その結果を集計表として取りまとめました。なお、平成20年11月の化管法施行令の改正により、平成22年度の届出から、対象物質の見直し(354物質に代えて462物質を指定)及び医療業の対象業種への追加がなされています。

2.平成30年度PRTRデータのポイント

(1)届出排出量・移動量

平成30年度の1年間に届出対象事業者が把握し、平成31年4月1日から令和元年7月2日までに届出を行った排出量・移動量を集計しました。平成30年度は、前年度に比べ、届出排出量が減少し、届出移動量が増加しました。

このうち、平成22年度の届出対象物質の見直しから引き続き継続して届出対象物質として指定された物質(以下「継続物質」という。276物質。)について比較したところ、届出排出量は減少し、届出移動量は増加しました。

  • 全対象化学物質(462物質のうち届出があった435物質)

平成30年度 平成29年度

前年度との比較

(△:減少)
届出事業所数(事業所) 33,669 34,333 1.9%
届出排出量(トン) 148,188 152,180 2.6%
届出移動量(トン) 243,154 235,955 3.1%
届出排出量・移動量(トン) 391,342 388,135 0.8%
  • 継続物質(276物質のうち届出があった263物質)

平成30年度 平成29年度

前年度との比較

(△:減少)
届出排出量(トン) 132,078 136,033 2.9%
届出移動量(トン) 219,736 211,699 3.8%
届出排出量・移動量(トン) 351,814 347,732 1.2%

(2)届出外排出量

届出対象以外の事業所や、家庭、自動車等からの排出量については国が推計を行いました。その結果、平成30年度に推計対象とした物質(333物質)の届出外排出量は221,047トン、継続物質のうち推計対象とした物質(214物質)の届出外排出量は199,897トンでした。前年度の届出外排出量は238,719トン(うち継続物質217,173トン)でしたが、推計対象とした物質数は今年度と異なり、さらに産業廃棄物処理施設からの排出量の推計を追加しています。

(3)前年度と比較した傾向

・ 届出事業所数:届出事業所数は33,669で微減(前年比△664事業所)、届出事業所数の減少の寄与が最も大きかった業種は燃料小売業(前年比△446事業所)でした。

・ 届出排出量:届出排出量が増加した主な業種はパルプ・紙・紙加工品製造業(前年度比+0.81千トン)、下水道業(同+0.20千トン)、その他製造業(同+0.11千トン)でした。一方、届出排出量が減少した主な業種は輸送用機械器具製造業(前年度比△1.3千トン)、非鉄金属製造業(同△1.0千トン)、電気機械器具製造業(同△0.59千トン)でした。

・ 届出移動量:届出移動量が増加した主な業種は鉄鋼業(前年度比+3.0千トン)、化学工業(同+2.5千トン)、窯業・土石製品製造業(同+1.6千トン)でした。一方、届出移動量が減少した主な業種は輸送用機械器具製造業(前年度比△0.75千トン)、電気業(同△0.58千トン)、金属製品製造業(同△0.55千トン)でした。

・ 届出外排出量:塗料の出荷量の減少や最新排ガス規制に対応した自動車の割合が増加したこと等により、届出外排出量が減少しています(平成29年度:塗料35,913トン・自動車55,184トン→平成30年度:塗料30,054トン・自動車50,625トン)。

3.公表資料

(1)集計表

「第一種指定化学物質の排出量等の届出事項の集計の方法等を定める省令」(経済産業省・環境省令)に基づき集計した、化学物質別、都道府県別、業種別、従業員数別などの集計表

(2)平成30年度PRTRデータの概要

事業者からの届出状況、業種別・都道府県別の届出排出量・移動量の集計結果、届出外排出量の推計結果などの概要を取りまとめたもの

(3)届出排出量・移動量の経年変化の概要について

平成30年度PRTRデータの集計結果と前年度までの集計結果を対比したもの

(4)平成30年度PRTR届出外排出量の推計方法等の概要及び詳細

届出外排出量の推計方法、推計の基礎としたデータを取りまとめたもの

(5)個別事業所のPRTRデータ

届出のあった全事業所の化学物質の排出量・移動量

以上の(1)~(5)につきましては、本日3月19日から以下のウェブサイトに掲載します。

環境省 http://www.env.go.jp/chemi/prtr/risk0.html

経済産業省 http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html

4.その他

環境省では、集計結果から作成したグラフ・地図など、膨大なPRTRデータを分かりやすく表示した資料を前述のウェブサイトに掲載しています。

また、PRTR制度を広く一般の方にも御理解・御活用いただけるよう、PRTRデータについて分かりやすく解説した「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック -化学物質による環境リスクを減らすために-」を毎年作成しています。今回公表した平成30年度集計結果の解説を追加するなど内容を新たにしたガイドブックについては、令和2年10月を目途に公表する予定です。なお、現在は上記ウェブサイトにて平成29年度集計結果を掲載したガイドブックを公開しています。

添付資料

連絡先

環境省大臣官房環境保健部環境安全課

  • 代表03-3581-3351
  • 直通03-5521-8259
  • 課長太田 志津子
  • 課長補佐福嶋 慶三(内線 6359)
  • 課長補佐笹原 圭(内線 6360)
  • 主査関口 真行(内線 6390)
  • 担当妹尾 光平(内線 6390)