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国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画について

平成7年6月13日
閣議決定


 環境基本計画(平成6年12月16日閣議決定)においては、多様な社会経済活動の中において、すべての主体が、それぞれの立場に応じた公平な役割分担の下で自主的積極的に行動することにより、環境保全に関する行動に参加する社会を実現することが求められている。特に国は、通常の経済活動の主体として占める位置が極めて大きいことから、自らがその経済活動に際して環境保全に関する行動を実行することによる環境負荷の低減が大きく期待され、また、地方公共団体や事業者、国民の自主的積極的な行動を求めるためにも、国自らが率先して実行することの意義は高い。
 このため、環境基本計画第3部第3章第3節に基づき、同節に掲げられた取組の分野ごとに、国の各行政機関(以下「関係省庁」という。)が共通して実施する行動計画(以下「計画」という。)を以下のとおり策定する。ただし、関係省庁のうち、その業務の実態からみて計画に掲げられた取組の全部又は一部の実施を期しがたいものにあっては、平成8年度末までに、業務の範囲を限り、当該業務の特性等に応じ、計画に代えて実施すべき行動計画(以下「業務実行計画」という。)を作成することができるものとする。
 計画は、平成12年度までの期間を対象とするものとし、実績、技術の進歩等を踏まえ、平成9年度末までに、必要に応じ見直しを行うものとする。
また、地方公共団体、政府関係機関及び所管公益法人においてもこの計画の趣旨を踏まえた率先的な取組が行われることを期待し、計画の周知を図るとともに、必要な支援に努めるものとする。
 なお、政府及び関係省庁がこれまでに定め、実行してきた環境保全に資する各種取組については、この計画と連携を図りつつ引き続き適切な実行を図るものとする。

1 財やサービスの購入・使用に当たっての環境保全への配慮

(1)生産段階での環境負荷の少ない製品、原材料の選択

(ア)再生紙の使用等
 購入し、使用する用紙類中の初めて使用する木材パルプの使用量を、現状比で、平成12年度までに概ね80%以下とすることに向けて努めることとし、このため、用紙類の古紙利用率の向上等を極力図る。また、その他の紙類についても再生紙の使用を進める。
(イ)再生品等の使用
 再生材料等から作られた物品等生産段階での環境負荷の少ない製品、原材料の選択、使用を極力図る。

(2)使用段階での環境負荷の少ない製品、原材料の選択

(ア)環境負荷の少ない燃料の使用
 灯油、LPG、LNG等環境負荷の少ない燃料の選択、使用を極力図る。
(イ)省エネルギー型のOA機器等の導入等
 エネルギー消費の多いOA機器、家電製品を省エネルギー型のものに極力切り替えることとし、平成12年度までの更新に当たって計画的に実施する。
(ウ)節水機器等の導入等
 洗濯機、ルームエアコン等の買換えに当たっては、節水型等の環境負荷の少ない機器等を選択することとし、平成12年度までの更新に当たって計画的に実施する。
(エ)低公害車等の導入等
 政府保有の公用車のうち通常の行政事務の用に供するものに占める低公害車の割合を平成12年度において概ね10%に高めることを念頭に置きつつ、公用車への低公害車の導入の可能性を積極的に検討し、その結果を踏まえ、率先的、計画的な導入に努める。また、環境負荷の少ない車の導入を極力図る。
(オ)その他使用段階での環境負荷の少ない製品、原材料の使用
その他使用段階での環境負荷の少ない製品、原材料の使用を極力図る。

(3)その他環境負荷の少ない製品、原材料等の選択

(ア)環境負荷の少ない製品、原材料の使用
 環境負荷の少ない製品、環境保全に寄与する製品の選択を極力図る。
(イ)物品等の調達に係る推奨リストの策定
 関係省庁の物品等の調達に当たって参考とするため、平成8年度末までに、物品等の環境負荷の少ない仕様、材質等に関する推奨リストの在り方を検討する。

(4)環境負荷の削減のための資源利用の節約

(ア)用紙類の使用量の削減
 用紙類の使用量を平成12年度において現状比で増加させないよう努めることとし、このため、資料の簡素化、両面印刷等を極力図る。
(イ)公用車の台数の見直し
 公用車の使用実態等を精査し、台数の削減を極力図る。
(ウ)製品等の長期使用等
 詰め替え可能な製品等の積極的利用等により、製品等の長期使用等を極力図る。

(5)環境負荷の少ない形態の販売方法を用いる商品の選択

(ア)エネルギーを多く消費する自動販売機の設置の見直し
 庁舎内の自動販売機の台数及びエネルギー消費の見直しを行い、省エネルギー化、台数削減を呼び掛ける。
(イ)購入時の過剰包装の見直し
 過剰に包装された商品の購入を極力避ける。

2 建築物の建築、管理等に当たっての環境保全への配慮

 「国家機関の建築物及びその附帯施設の位置、規模及び構造に関する基準(平成6年12月15日建設省告示第2379号)」の適切な実施を踏まえつつ、以下の取組を進める。

(1)環境負荷の削減に配慮した建築物等の整備

(ア)適切な汚染物質処理施設等の設置等
 有害物質等の排出の削減や適切な処理が図られるよう必要な設備の整備等を極力図る。
(イ)省エネルギー・省資源の推進
[1] 太陽光利用等エネルギーの有効利用や断熱性の向上等を通じて建築物の省エネルギー化を極力図る。
[2] 廃棄物等から作られた建設材料の利用の促進を極力図る。
[3] 電力使用量の平準化を極力図る。
(ウ)水利用の合理化等
 水利用の合理化、再利用を極力図る。
(エ)敷地等の自然環境の保全等
 緑地の確保等を極力図る。
(オ)環境負荷の少ない施工作業の実施
[1] 建築物の建築等に当たっては環境負荷の少ない施工作業を発注者として促す。
[2] 廃棄物について、平成12年度における予測発生量に対して10%弱の抑制を図るよう発注者として促す。
(カ)その他
[1] 消火設備の新設に当たっては、原則としてハロン消火設備を使用しない。また、更新・廃止に当たっては、ハロンの適切な回収を図る。
[2] クロロフルオロカーボン(CFC)を使用していない空調設備等を積極的に選択し、CFCの使用量の削減を図る。

(2)環境負荷の削減に配慮した建築物等の維持管理及びその周辺の自然環境の保全

(ア)環境負荷の削減に配慮した建築物等の維持管理
[1] 有害物質等の排出の削減や適正な処理が図られるよう設備の維持管理を行う。
[2] 建築物等の維持管理に当たっては、CFCの適切な回収、再利用を図る。
(イ)緑化等の環境整備と周辺の自然環境の保全の推進
[1] 所管する施設について、環境に配慮した緑化や緑地等の維持及び管理を積極的に推進する。
[2] ごみの不法投棄の防止に努める等所管地の環境の保全を図る。
(ウ)地域づくりにおける健全で恵み豊かな環境の確保への貢献
 快適な環境の確保の一環として、所管地において、豊かな自然環境の積極的確保を図る。

3 その他行政事務に当たっての環境保全への配慮

(1)環境負荷の削減のための資源・エネルギー利用の節約

(ア)庁舎におけるエネルギー使用量の抑制等
 事務所の単位面積当たりの電気使用量を、現状比で、平成12年度までに概ね90%以下にすることに向けて努めることとし、このため、庁舎における節電等を極力図る。
(イ)庁舎における節水等の推進
 事務所の単位面積当たりの上水使用量を、現状比で、平成12年度までに概ね90%以下にすることに向けて努めることとし、このため、庁舎における節水等を極力図る。
(ウ)公用車等の利用合理化等
 公用車で使用する燃料の量を、現状比で、平成12年度までに概ね90%以下にすることに向けて努めることとし、このため、公用車等の利用合理化等を極力図るとともに、併せて職員及び来庁者の自動車利用の抑制・効率化に努める。エネルギー供給設備等で使用する燃料の量を、年々の気象状況を考慮し合理的に考えられる使用量の変動を除いて、現状比で、平成12年度までに概ね10%削減することを念頭に置きつつ、計画的な管理、削減に努める。

(2)環境負荷の削減のための廃棄物の減量化、リサイクルの推進等

(ア)p棄物の量の削減、分別収集によるリサイクルの推進
 各事務所から排出される廃棄物の量(湿重量)を、現状比で、平成12年度までに概ね75%以下にすること及び廃棄物中の可燃ごみの量を同期間に概ね70%以下とすることに向けて努めることとし、このため、再使用やリサイクルを極力図る。

(3)環境汚染等の防止に配慮した各種行政事務の実施

(ア)環境汚染等の防止
 大気汚染物質排出量、水質汚濁物質排出量の削減を極力図る。
地球温暖化影響物質である二酸化炭素について、行政事務に伴い直接的及び間接的に排出される量を、平成12年度までの間、地球温暖化防止行動計画(平成2年10月23日地球環境保全に関する関係閣僚会議決定)を踏まえて、抑制するよう努める。なお、政府の行政事務に伴い直接的及び間接的に排出される二酸化炭素の実重量については、平成8年度末までを目途に推計を行う。

4 環境保全に関する職員に対する研修等の実施

(1)職員の環境保全意識の向上

(ア)環境に関する研修及び情報提供の積極的実施
 職員の環境保全に関する意識の啓発を図るため、環境に関する研修、講演会等の積極的な実施を図る。
(イ)環境保全活動への職員の積極的参加の奨励
 希望する職員が環境保全活動に参加できるよう、休暇を取りやすい環境づくりを一層進める等必要な便宜を図る。

5 計画の推進体制の整備と実施状況の検索

(1)計画の実施状況の点検を踏まえた効果的な取組の確保

(ア)推進体制、点検体制の整備等
 計画(業務実行計画を含む。)の推進・点検体制を、平成7年度末までに関係省庁が協議して定める。
(備考)
  1. 計画において現状比とは、平成7年度(ただし、関係省庁において、平成7年度以前で計画実施のための取組に該当する行動を計画的に実施し、かつ当該年度の実績が把握できる場合はその年度)比をいう。
  2. 計画を効果的に実施するために有効な具体的、細目的な取組の例であって、各省庁に共通するものについては、関係省庁が協議して定める。
  3. 計画と連携を図りつつ適切な実行を図るものとされる政府及び関係省庁の環境保全に資する各種取組の例としては、省エネルギー・省資源対策推進会議における決定等及び行政情報化推進共通実施計画がある。

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