環境省総合環境政策環境基本計画第三次環境基本計画

第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検結果について

  第三次環境基本計画(平成18年4月7日閣議決定)の進捗状況の第3回点検結果に関する中央環境審議会の報告が、平成21年12月11日(金)に閣議報告されました。

1.第三次環境基本計画の進捗状況の第3回点検について

 第三次環境基本計画においては、中央環境審議会が、国民各界各層の意見も聴きながら、環境基本計画に基づく施策の進捗状況などを点検し、その後の政策の方向について政府に報告することとされています。
 今回の点検は、昨年に続き3回目の点検となりますが、去る12月8日、点検結果が中央環境審議会会長から環境大臣に報告され、環境省はこれを12月11日、閣議に報告しました。

2.中央環境審議会における第3回点検の進め方

○ 中央環境審議会総合政策部会において
をもとに、点検が行われました。
○ 点検にあたっては、効率的に点検を実施するため、環境基本計画に記載された10の重点分野政策プログラムから、重点的に点検を行う分野(重点点検分野)として、5つの重点分野政策プログラムを選定しました。(下表参照)
○ さらに、各重点点検分野では、特に焦点を当てて審議を行う重点調査事項を設定しました。今回の点検では、平成19年の第1回点検において設定した各重点点検分野の重点調査事項について、その後のフォローアップを行うとともに、新たに、重点点検分野ごとに新規の重点調査事項を1つ設けて、点検を行っています。
重点分野政策プログラム名 H19 H20 H21 H22
[1] 地球温暖化問題に対する取組
[2] 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組
[3] 都市における良好な大気環境の確保に関する取組
[4] 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
[5] 化学物質の環境リスクの低減に向けた取組
[6] 生物多様性の保全のための取組
[7] 市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり
[8] 環境保全の人づくり・地域づくりの推進
[9] 長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備
[10] 国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進

3.点検報告書の概要

(1)全般的評価

(総括)
  • 各分野における環境施策の基本的枠組の充実や施策の重点化は進められてきたが、今後、国レベルのみならず地域や地球レベルでの施策を戦略的に展開すべき。
  • 国、地方公共団体等の行政主体は、目標達成のために必要かつ十分な具体的施策を、目標達成に向けた工程とともに立案し、着実に推進すべき。
(各主体の状況)
  • 環境の状況について、地球レベルでの悪化を実感している国民の割合が高い。
  • 「国民」が環境保全に重要な役割を担うという認識は強く、国民の環境保全行動の実行率を向上させる取組が望まれる。
  • 地方公共団体と事業者・民間団体との連携・協働の仕組みづくりが必要。

(2)重点点検分野の点検

[1] 都市における良好な大気環境の確保に関する取組

概況
  • Ox(光化学オキシダント)を除き、環境基準の達成率は概ね高い値。
  • 都市域における熱帯夜数は、変動が大きいが改善傾向は認められない。
大気汚染に係る環境基準達成率

※ 環境基準達成率
: 環境基準達成測定局数/有効測定局数×100

都市域における年間の熱帯夜数


 
今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:固定発生源からの大気汚染物質の削減に向けた取組
  • 大陸からの寄与分等についても十分考慮した、VOC削減によるOx等の低減効果の検証の精度を高めていくべき。
重点調査事項[2]:環境的に持続可能な交通システム(EST)実現のための取組
  • ESTを推進するための仕組みとその具体的方策について検討すべき。
  • 自動車関係諸税の税率水準や高速道路料金の設定が、地球温暖化等の観点から如何なる影響を及ぼすかについて、定量的に知見を深めていくべき。
重点調査事項[3]:ヒートアイランド対策のための取組
  • 民有地も含めた緑とオープンスペースや風の通り道を確保する取組を進めるべき。

[2] 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組

概況
  • 湖沼及び閉鎖性海域を除き、環境基準の達成率は概ね高い値。
水質汚濁に係る環境基準の達成率

※ 環境基準達成率 :  環境基準達成水域数/ 類型指定水域数×100
(健康項目,地下水については、環境基準達成調査地点(井戸)数/調査地点(井戸)数)

今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:ノンポイントソースによる水質汚濁に対応するための取組
  • 当面、適正な施肥の推進、家畜排せつ物の適正管理等一定の効果が見込まれる対策について、取組状況を把握し、必要な改善を図っていくべき。
重点調査事項[2]:閉鎖性水域における環境改善のための取組
  • 汚濁メカニズムの解明を進めるとともに、汚水処理施設、廃棄物処理施設等の整備、流入河川、湖沼、海域等に対する浄化対策事業等を総合的に推進すべき。
重点調査事項[3]:流域における水循環改善のための取組
  • 連絡会議等の活用により関係府省間の連携を図るとともに、流域ごとに地方公共団体が連携し、関係主体と協力しながら望ましい水循環の姿を共有し、具体的な取組を実践すべき。

[3] 市場において環境の価値が積極的に評価される仕組みづくり

概況
  • 各主体によるグリーン購入実施率については大きな進展は見られない。
  • 我が国におけるSRIは欧米と比較して極端に少ない状況。

グリーン購入実施率

SRIファンドの純資産残高


 
今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:適切な環境表示の推進
  • 商品等のライフサイクル全体の観点からの環境への影響の評価方法を検討すべき。
重点調査事項[2]:地方公共団体のグリーン購入実施状況
  • 地方公共団体のグリーン購入に進展が見られない理由の精緻な分析を行うべき。
重点調査事項[3]:SRI等の環境投資の拡大
  • 機関投資家による環境投資を促進させる方策を検討し、環境投資の促進に繋がる具体的政策を講ずるべき。

[4] 長期的な視野を持った科学技術、環境情報、政策手法等の基盤の整備

概況
  • 環境分野における政府研究開発投資総額は、過去5年、減少傾向。
  • 環境情報に関する国民の満足度は20%前後で推移。

環境分野における政府研究開発投資総額
政府研究開発投資総額に占める環境分野の投資割合

環境情報に関する国民の満足度


 
今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:環境分野の研究・技術開発の戦略的重点化
  • 環境と経済の好循環が実現される経済社会の将来像を提示しながら、環境分野の研究・技術開発の戦略的重点化を中長期的な見通しを持って進めるべき。
  • 環境保全に資する製品・サービスの需給を促進する経済的手法を用いた施策を講じ、民間企業による当該製品・サービスに係る研究・技術開発を促進すべき。
  • 温室効果ガス排出削減に向け、次世代の再生可能エネルギーの開発を進めるべき。
重点調査事項[2]:環境に関する情報の整備及び提供についての取組状況
  • 環境情報の整備及び提供は、情報が持つ政策上の目的を明らかにすること、利用者のニーズ(目的や方法)に合った情報を提供すること等に留意して行うべき。
重点調査事項[3]:戦略的環境アセスメントの取組状況
  • 戦略的環境アセスメントについて、諸外国の情報を収集しつつ、我が国における基本的なあり方を検討すべき。

[5] 国際的枠組みやルールの形成等の国際的取組の推進

概況
  • 環境関係の条約、議定書等の策定及び我が国の締結は一段落した状況。
  • 国際的取組を行っているNGO/NPOの数は、平成18年度以降横ばい。

我が国の環境関係条約・議定書の締結数

環境NGO総覧における「国内と海外地域」で活動する団体数


 
今後の政策に向けた提言
重点調査事項[1]:東アジアにおける地球環境及び地域環境の改善に係るネットワーク構築の進捗状況
  • 日中韓三か国環境大臣会合(TEMM)等を活用しつつ、個々のネットワーク等の相互連携を促進し、長期的視野に立った協調・協力を広域的に進めるべき。
重点調査事項[2]:国際的な経済連携・地域統合と環境の融合
  • 経済連携・地域統合の形態(参加国数、広さ、強さ等)と、対象となる環境問題との組合せを念頭に置き、よりきめ細かい経済連携・地域統合のあり方を検討すべき。
重点調査事項[3]:NGO/NPOが東アジア地域等の環境管理能力の向上に果たしている役割の強化・向上
  • NGO/NPOの活動の多くは何らかの形で環境問題に関わることを踏まえ、活動実態を把握し、NGO/NPOが抱える課題を整理し、引き続き支援・育成を図るべき。

【参考】

【本件問い合わせ先】

〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2
環境省総合環境政策局環境計画課
電話:03-3581-3351(内線 6226)
FAX:03-3581-5951

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