第2部 環境問題の現状と政府が環境の保全に関して講じた施策


 環境問題の現状と環境基本計画に基づいて平成13年度に実施した環境保全施策を、次のような章立てで報告しています。以下では、主要な分野における環境問題の現状と課題を明らかにしています。

 第1章 環境への負荷が少ない循環を基調とする社会経済システムの実現
 第2章 各種施策の基盤及び各主体の参加に係る施策
 第3章 国際的取組に係る施策
 第4章 環境基本計画の効果的実施


1 地球規模の大気環境の保全

(1)地球温暖化
 近年、人間活動の拡大に伴って二酸化炭素やメタン等の温室効果ガスが大量に大気中に排出されることで、温室効果が強まり地球が温暖化するおそれが生じています。

世界のCO2排出量の推移(1950-1996)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2001年(平成13年)の報告によると、1861年以降、全球平均地上気温が0.6±0.2℃上昇し、さらに、今後、2100年までに1.4〜5.8℃上昇し、海面水位が9〜88cm上昇することが予測されています。気象庁の観測によれば、わが国でも年平均気温はこの100年間で約1.0℃上昇しており、オホーツク海の海氷面積の減少や動植物の生息域の移動など、温暖化による自然環境等への影響がすでに現れつつあるともされています。

日本の年平均地上気温の平年差の経年変化(1898年〜2001年)

 わが国の平成11年度の温室効果ガスの排出量のうち二酸化炭素排出量は12億2500万トン、1人当たり排出量は9.67トン(ともに二酸化炭素換算)で、平成2年度に比べ1人当たり排出量では、6.3%、総量については9.0%増加しています。これを部門別に見ると、運輸部門が23.0%、民生(業務)部門が20.1%、民生(家庭)部門が15.0%増加している一方、産業部門については0.8%の増加です。

わが国の部門別二酸化炭素排出状況(1999年度)

 地球温暖化問題の解決を図るため、わが国では、先進国の温室効果ガス排出量について、数字化された拘束を設定した京都議定書の2002年(平成14年)締結に向け、第154回通常国会における京都議定書締結の承認とこれに必要な国内担保法の成立に万全を期すこととしていますが、それに加え、社会経済システムのあらゆる場所で対策を強化し、各方面の対策を有機的に組み合わせるとともに、将来的には、現代の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済システムを見直し、変更していく抜本的な取組が必要となっています。

(2)オゾン層の破壊
オゾンホールの規模の推移
 オゾン層がCFC(クロロフルオロカーボン)等のオゾン層破壊物質により破壊されていることが明らかになっています。オゾン層が破壊されると、地上に到達する有害な紫外線が増加し、皮膚ガンや白内障等の健康被害を発生させるおそれ等が懸念されています。
 オゾン層は、熱帯地域を除きほぼ全球的に減少傾向にあり、特に高緯度地域で減少率が高くなっています。わが国でも札幌で統計的に有意な減少傾向が確認されており、南極では、2000年(平成12年)に過去最大規模のオゾンホールが観測されるなど脆弱な状態にあります。
 わが国では、昭和63年にオゾン層保護法を制定し、CFC等の製造等の規制を行っているほか、平成13年6月には議員立法により「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」が制定され、業務用冷凍空調機器及びカーエアコン中のフロン類の回収・破壊等を義務付けることとなりました。


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