○平成12年度環境の状況に関する年次報告

第1部 序説 地球と共生する「環(わ)の国(くに)」日本を目指して

第1章 21世紀社会の環境政策に与えられた課題とその基本戦略

<第1章の要約>
内外の社会経済の構造変化に伴い、私たちが対処すべき環境問題が大きく変容しており、これを受けて、わが国の環境政策に与えられた課題も変化しています。
この章では、21世紀の鍵を握る「環境」の面でわが国の能力と経験を最大限に発揮して、社会経済のあり方を持続可能なものに変えていくこと、地球と共生する「環(わ)の(国)くに*」日本としての実績を世界に示すことが、わが国にふさわしい国際貢献の仕方ではないかという考え方を明らかにしています。その上で、昨年末に閣議決定された新しい環境基本計画から「環の国」日本の実現に向けた基本戦略を明らかにしていきます。
*「環(わ)の国(くに)」とは「持続可能な簡素で質を重視する循環型社会」をイメージするもの

第1節 環境問題の変容と私たちの社会の進むべき方向を見据える


1 社会経済の構造変化と環境問題の変容
(1)21世紀初頭の社会経済の構造変化
 20世紀最後の10年間、わが国の社会経済の構造変化を加速させた大きな2つの世界的な潮流が「情報化」と「グローバル化」でした。情報化の進展や世界貿易の拡大などを背景に、資金、物、人、情報の国境を越えた流れが飛躍的に増大し、人々の価値観にも多大な影響を及ぼしています。
 21世紀初頭にかけても続くと考えられる、これら社会経済の潮流は、産業構造やライフスタイルの変化など、社会経済の構造に様々な影響を及ぼしています。

世界の社会・経済の動き(指数比較)

(2)態様を変える環境問題
 私たちのライフスタイルは、情報化やグローバル化の進展や経済成長、家族構成、居住地域などの背景を受けて知らず知らずのうちに変化しています。
 環境への影響と生活や産業形態は密接に関わっていることから、環境問題も同時に変容しています。例えば、カラーテレビは、1970年(昭和45年)〜85年頃には技術開発により大幅な省エネルギー化が実現しましたが、その後、大型モデルの普及などにより1台当たりの消費電力量は一時期かえって増大しました。また、普及台数の増加により、家庭におけるカラーテレビの消費電力量は増え続けています。同様に産業についても、環境対策が進んでいる一方で、経済活動の拡大や大量生産、大量消費の帰結としての大量の廃棄物の発生など、環境負荷の増大が生じています。
 環境問題の解決のためには、社会経済活動のあり方やライフスタイルを、表面的ではなく根源に遡って考え直す必要があります。
 さらに、私たちの経済活動、産業活動、そして日常生活による環境への影響は、深刻な地球環境問題を発生させることとなっています。地球環境問題の個別の原因やその影響は様々ですが、突き詰めていくと、有限な地球上での人口増加と経済活動の拡大が主な原因です。また、グローバル化などの社会経済の変化が問題の深刻化に影響を与えているのです。個別の環境問題が相互に複雑に関連しながら、自然の物質循環や生態系へ大きな影響を及ぼすことを通じて、人類の存続を脅かす存在となるのです。

住宅の環境配備、テレビの環境配慮

カラーテレビの加重平均消費電力と家庭におけるカラーテレビの消費電力量

社会経済の構造変化と環境影響

問題群としての地球環境問題

2 私たちの社会の進むべき方向
 環境の面はもとより、経済的な面、社会的な面においても可能な限り、質の高い生活のできる社会を実現するためには、私たちの社会自体を持続可能なものに変えていくことが必要です。そのためには、資源・エネルギーと環境の両面において高い効率性を達成することにより、経済の成熟化を伴いながら、資源とエネルギーの大量消費に依存しない新しい段階に移行していかなければなりません。
 こうして私たちの社会を持続可能なものへ転換していく過程で得られた経験や、今後得られる経験を広く国際社会に伝え、世界全体を持続可能な姿に転換していくことが重要です。経済の面からも環境の面からも地球規模で大きな影響を及ぼしているわが国の責務でもあります。

持続可能な社会への移行
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