環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第3章>第6節 万全な災害廃棄物処理体制の構築

第6節 万全な災害廃棄物処理体制の構築

2019年は山形県沖を震源とする地震、8月の前線に伴う大雨、房総半島台風、東日本台風など、全国各地の広い範囲で甚大な被害を生じた災害が発生しました。これらの災害によって生じた災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理のため、被害の程度に応じて、被災自治体に対して、環境省の職員や災害廃棄物処理支援ネットワーク(以下「D.Waste-Net」という。)の専門家からなる現地支援チームの派遣、地方環境事務所が主導して策定した災害廃棄物対策行動計画に基づく支援自治体職員の派遣、公益社団法人全国都市清掃会議や民間団体の協力による県内外の自治体等からのごみ収集車の派遣、地方環境事務所によるきめ細かい技術的支援、災害廃棄物処理や施設復旧のための財政支援等を実施しました。また、環境省が支援自治体、関係機関等と連携して調整・支援を実施し、道路輸送のみならず海上輸送や鉄道輸送といった様々な形での広域処理の実施、損壊家屋の解体の体制構築等により、着実に処理が進められました。

1 地方公共団体レベルでの災害廃棄物対策の加速化

近年の広範囲で甚大な被害を生じた災害対応における経験・教訓により、特に災害時初動対応に係る事前の備えや、大規模災害時においても適正かつ円滑・迅速に処理を行うための体制確保を一層推進する必要性が改めて認識されました。環境省では、災害廃棄物対策推進検討会を開催し、近年の災害廃棄物処理実績の蓄積・検証を実施しており、災害時の初動対応能力向上のための手引きを2020年2月に公表しました。さらに、地方公共団体における災害廃棄物処理計画の策定や災害廃棄物対策の実効性の向上等を支援するため、地方公共団体向けのモデル事業を実施しました。

2 地域レベルでの災害廃棄物広域連携体制の構築

県域を越え地域ブロック全体で相互に連携して取り組むべき課題の解決を図るため、地方環境事務所が中心となって都道府県、市区町村、環境省以外の国の地方支分部局、民間事業者、専門家等で構成される地域ブロック協議会を全国8か所で開催し、災害廃棄物対策行動計画に基づく地域ブロックごとの広域連携を促進するため、共同訓練等を実施しました。

3 全国レベルでの災害廃棄物広域連携体制の構築

全国規模で災害廃棄物対応力を向上させるため、D.Waste-Netの体制強化や、南海トラフ地震における災害廃棄物処理シナリオ、地域ブロックをまたぐ連携方策等について検討しました。また、防衛省・自衛隊との連携強化に向けて、今後の災害に備えるための連携マニュアルの策定に向けた検討を行いました。

港湾においては、大規模災害時に発生する膨大な災害廃棄物の受入施設の把握、海上輸送を活用して広域処理する際に生じる課題整理を行い、災害廃棄物の受入れに関する検討を行いました。