第1章 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の状況


第1節 我が国の物質フロー


1. 我が国の物質フロー

循環型社会を構築するためには、私たちがどれだけの資源を採取、消費、廃棄しているかを知ることが第一歩となります。
また、平成15年3月に閣議決定した循環型社会形成推進基本計画(循環型社会基本計画)では、発生抑制、再使用、再生利用、処分等の各対策がバランス良く進展した循環型社会の形成を図るために、この物質フロー(ものの流れ)の異なる断面である「入口」、「出口」、「循環」に関する指標に目標を設定しました。
以下では、我が国の経済社会におけるものの流れ全体を把握する物質フロー会計(MFA:Material Flow Accounts)を基に、我が国における物質フローの全体像とそこから浮き彫りにされる問題点、循環型社会基本計画で設定した物質フロー指標に関する目標の状況について概観します。

(1) 我が国の物質フローの概観と問題点
我が国の物質フロー(平成15年度)を概観すると、19.7億tの総物質投入量があり、その半分程度の9.3億tが建物や社会インフラなどの形で蓄積されています。また1.4億tが製品等の形で輸出され、4.2億tがエネルギー消費、5.8億tが廃棄物等という形態で環境中に排出されています。循環利用されるのは2.2億tです。これは、総物質投入量の1割に過ぎません。廃棄物・リサイクル問題、地球温暖化問題が我が国社会の構造的・根本的な問題であることが見てとれます(1-1-1図)。
我が国の物質フローに見られる課題は以下のとおりです。

1-1-1図	我が国における物質フロー(平成15年度)

ア 「総物質投入量」が高水準
平成15年度の総物質投入量は19.8億tで、昭和58年度の18.7億tの1.06倍、平成5年度の21.6億tの0.92倍となっています。20年前の水準に戻りつつありますが、総物質投入量低減に向けた一層の努力なしには、持続的な発展は確保できないと考えられます。
イ 「天然資源等投入量」が高水準
平成15年度の天然資源等投入量は、国内、輸入を合わせて17.6億tと推計されます。これは昭和58年度の17.2億t(11.5億t(国内分)+5.6億t(輸入分))の1.02倍、平成5年度の19.9億t(12.9億t(国内分)+7.0億t(輸入分))に比べ0.86倍となっています。
また、この天然資源等投入量には、隠れたフロー(資源採取等に伴い目的の資源以外に採取・採掘されるか又は廃棄物などとして排出される物質)を含んでおらず、資源生産性を高め、現在の資源採取の水準をさらに減らしていく必要があるものと考えられます。
なお、天然資源等投入量とは国産・輸入天然資源及び輸入製品の量を指し、直接物質投入量(DMI:Direct Material Input)とも呼ばれます。
ウ 資源、製品等の流入量と流出量がアンバランス
我が国に入ってくる資源や製品の量に比べて、我が国から出ていく製品等の物質量は約6分の1というアンバランスな状態が生じています。国際的な視野で見ると、適正な物質循環が確保されていない状態とも見ることができます。我が国における窒素化合物による公共用水域や地下水への負荷は、諸外国に比べても並外れて多い食料や肥料・飼料などの窒素の輸入により窒素の循環が損なわれていることが原因と見ることもできます。
エ 「循環利用量」の水準が低い
総物質投入量の19.8億tに対して循環利用量は2.2億tです。循環利用量に含まれる水分を除くとこの割合はさらに小さくなります。循環型社会を形成していくためには、この割合を、適切な形で一層高めていく必要があります。
オ 廃棄物等の発生量が高水準
廃棄物等の発生量は、高水準で推移しています。その発生、ひいては環境中への排出を抑えることが、適正な物質循環を確保する上で重要です。
カ エネルギー消費量が高水準
主として化石系資源の使用に起因する二酸化炭素の排出等による地球温暖化は、人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれがある重大な問題となっています。また窒素酸化物による大気汚染の改善も芳しくありません。我が国のエネルギー消費量は約4.2億tと高水準であり、今後、エネルギー利用の一層の効率化が必要です。

コラム 10 物質フロー(分析)について

物質フロー分析の背景
今日、工業化された経済社会では、大量の資源を環境から採取し、これを加工してさまざまな物資を大量に生産し、これを消費することによって便利で豊かな生活を実現しています。一方で、物資の生産・消費に伴って生じる不要な残余物は、環境中へと戻されていくこととなります。こうした人間の活動と環境との間での物質フローの拡大・多様化が、今日の多くの環境問題の根底にあります。
物質フロー分析の概要
こうした物質フローを分析していく手法が物質フロー分析(MFA:Material Flow Analysis)です。MFAは、特定の分野に投入される資源やエネルギーと、そこから産出される製品、副産物、廃棄物、汚染物質などについて、その総量やそこに含まれる特定の物質の量、これらの収支バランスを体系的・定量的に把握する手法の総称で、「物質フロー会計(Material Flow Accounts)」や、「マテリアルバランス(物質収支)分析」などと呼ばれることもあります。
対象物質には、製品を作るための原材料、農林水産物、土砂等の建設用材料、廃棄物などが全て含まれ、さらに酸素などの気体や水を含める場合もあります。
また、MFAの手法は様々であり、大きく分けて、経済活動に伴う物質の出入りの総量をとらえることに主眼をおくアプローチと、環境面で重要性の高い特定の物質についてより詳細に分析するアプローチとがあります。
物質フロー分析は、現実の経済の流れと、これに伴う環境影響を的確に把握する上で有効なツールであり、様々な研究対象として貴重であるのはもとより、環境政策の企画や実施の面でも有意義です。
日本における政策利用と国際的な動向
平成15年に閣議決定された循環型社会形成推進基本計画では、物質フロー分析に基づく3つの指標について、数値目標が導入されています。これは、経済活動をめぐる物質フローを、入口(資源生産性=GDP/資源投入量)、出口(最終処分量)、循環(循環利用率=循環資源量/資源投入量)の3つの切り口でとらえたものです。
また、国際的な動向をみると、我が国が提案して、平成15年のG8サミットで取り上げられ、OECDにおいて物質フローについての理解を深め、資源生産性についての国際共同研究を行うこととされました。
これを受け、OECDでは、平成16年に「物質フローと資源生産性に関するOECD理事会勧告」を採択し、これを受けて、環境情報と展望ワーキング・グループ(議長:森口祐一国立環境研究所循環センター長)において、物質フローの普及に向けたパンフレットの作成や、その活用のための国際的な共通ガイドラインを策定することとしており、我が国は、その中で主導的な役割を果たしています。

コラム10	表 物質フローの分類



(2) 我が国における循環的な利用の概観
次に、平成15年度における我が国の循環的な利用の現状を1-1-2図に示します。1年間に5.8億tの廃棄物等が排出され、そのうち2.2億tが再使用、再生利用などにより循環利用され、2.4億tが焼却・脱水などにより減量化されています。この結果、3,978万t(3,873万t(廃棄物)及び105万t(し尿))が最終処分されています。
以下にもう少し詳しく見てみましょう。

1-1-2図	我が国における循環資源フロー(平成15年度)

ア 平成15年度における我が国の循環資源フロー

(ア)発生段階
資源や物品がある人にとって不要となっても直ちに廃棄物となるわけではありません。リサイクルショップや中古自動車、中古家電などの中古品を販売する業者に引き取られて、さらに販売されることがあります。また、工場等では、端材を生産工程に戻したり、溶剤を浄化して再使用したりして、廃棄物の排出抑制に努めています。
これらの取組によってもなお、廃棄物等として排出された量は、平成15年度では5.8億tです。このうち、一般廃棄物(ごみ(0.54億t)及びし尿等(0.27億t)の合計量)が0.81億t、産業廃棄物が4.07億t、その他の副産物・不要物が0.94億tでした(1-1-3図)。国民1人当たりでは4.5t、GDP(国内総生産額)百万円当たりでは1.1tの廃棄物等が発生していることになります。

1-1-3図	平成15年度の廃棄物等の発生量

発生量をものの性状別に見ると、有機性の汚泥やし尿、家畜排せつ物、動植物性の残さといったバイオマス系が最も多く3.1億t、無機性の汚泥や土砂、鉱さいなどの非金属鉱物系(土石系)が2.2億t、鉄、非鉄金属などの金属系が0.4億t、プラスチック、鉱物油などの化石系が0.2億tでした。

(イ)自然還元段階
廃棄物等のうち、家畜ふん尿の一部や稲わら、麦わら、もみがらといった畜産や農業に伴う副産物が排出され、肥料などとして農地等に還元された量は0.79億tでした。

(ウ)循環・リサイクル段階/再使用(リユース)
平成15年度に再使用された循環資源は0.03億tです。なお、これらの量には中古品として販売された量は含まれていません。
リユース量の内訳は、ビールびんや牛乳びんなどのリターナブルびんの再使用やタイヤの再使用などとなっています。

(エ)循環・リサイクル段階/再生利用(マテリアルリサイクル)
直接再生利用された循環資源と、中間処理・再資源化処理等を行った上で再生利用された資源を合わせると、2.2億tが循環資源としてマテリアルリサイクルされました。すなわち、廃棄物等として排出されたもののうち、38%がマテリアルリサイクルされていることになります。なお、これらのマテリアルリサイクル量の中には、廃油や廃木材などを燃料として使用する量も含まれています。
このうち代表的なものとしては、非金属鉱物系資源の代替原料(再生砕石、再生アスファルト合材)として利用されるがれき類0.54億t、同じく非金属鉱物系資源の代替原料(セメント原燃料、路盤材等)として利用される鉱さい0.48億tなどが挙げられます。

(オ)熱回収(サーマルリサイクル)
サーマルリサイクルのうち、焼却処理の際に熱回収される廃棄物等の量を見てみると、一般廃棄物のかなりの割合は、発電、蒸気・温水利用等の熱回収が行われており、これらの焼却施設から回収された熱によって発電された量は71億kWhになります(第1章第4節2を参照)。
イ 循環資源別の利用の特徴
物質フローにおける天然資源等投入量については、土石などの非金属鉱物系資源が大部分を占めており、その増減が全体に与える影響が大きいこと、持続的利用が可能となるよう環境に適切に配慮して収集等されたバイオマス系資源の増加は望ましいことなどから、種別ごとの内訳も重要になります。天然資源等投入量のものの性状別及び国内外別の内訳は1-1-4、1-1-5図のとおりです。

1-1-4図	天然資源等の資源種別内訳


1-1-5図	天然資源等の国内採取・輸入別内訳

さらに、これらの4つの種別ごとに、我が国で発生する循環資源がどのように循環利用されているか、その特徴をまとめると以下のとおりです(1-1-6図)。

1-1-6図	廃棄物等の循環利用・処分状況(平成15年度)


(ア)バイオマス系循環資源
バイオマス系循環資源は、廃棄物等発生量全体の53%を占めています。その中身を見ると、家畜ふん尿、下水道業や製造業などにおいて水処理の際に発生する有機性汚泥、建設現場や木製品製造業の製造工程から発生する木くず、家庭から発生する厨芥類(生ごみ)などがあります。
バイオマス系循環資源は、水分及び有機物を多く含むため、現状で自然還元率が26%、循環利用率が14%、減量化率が55%、最終処分率が5%と、焼却や脱水による減量化の割合が高いことが特徴として挙げられます。また、循環利用の主な用途としては、農業でのたい肥、飼料としての利用が挙げられます。このほかには、汚泥をレンガ等の原料として利用している場合や、木くずを再生木質ボード等として利用する場合などがあります。我が国におけるバイオマス系資源の投入量は2.0億tですので、投入量に占めるバイオマス系循環資源の循環利用量の割合は23%となっています。
バイオマス系循環資源の循環利用量の拡大及び最終処分量の削減に向けては、農業分野での肥料、飼料としての受入れの拡大、メタン発酵施設などでのエネルギー化や残さの焼却等による減量化処理の徹底などが考えられます。

(イ)非金属鉱物系循環資源
非金属鉱物系(土石系)循環資源は、廃棄物等発生量全体の37%を占めています。その中身を見ると、建設現場から発生するがれき類や、鉄鋼業、非鉄金属業、鋳物業から発生する鉱さい、建設現場、浄水場などから発生する無機性汚泥、家庭、飲食店などから出るガラスびんなどがあります。
非金属鉱物系循環資源は、無機物であり性状的に安定していることから、現状での循環利用率が62%、減量化率が28%、最終処分率が10%と、約6割が循環利用されている反面、最終処分される割合も比較的高いことが特徴として挙げられます。また、循環利用の主な用途としては、路盤材や骨材、セメント原料などの建設分野での利用が挙げられます。我が国における非金属鉱物系循環資源の投入量は9.0億tですので、投入量に占める非金属鉱物系循環資源の循環利用量の割合は15%となっています。
非金属鉱物系循環資源の循環利用量の拡大及び最終処分量の削減に向けては、路盤材、骨材、セメント原料等の土木建築資材としての受入れの拡大などが考えられます。

(ウ)金属系循環資源
金属系循環資源は、廃棄物等発生量全体の7%を占めています。その中身を見ると、建設現場から発生する解体くず、鉄鋼業、非鉄金属業から発生する金属くず、機械器具製造業から発生する加工金属くず、及び金属缶や家電などの使用済製品などが挙げられます。
金属系循環資源は、性状的に安定しており、水分もほとんど含まれていないこと、また、従来から回収・再生利用のシステムが構築されていることから、現状での循環利用率が96%、減量化率が0%、最終処分率が5%と、循環利用される割合が非常に高いことが特徴となっています。また、循環利用の用途としては、電炉による製鉄や、非鉄金属精錬に投入される金属原料としての利用等が挙げられます。我が国における金属系資源の投入量は1.6億tですので、投入量に占める金属系循環資源の循環利用量の割合は24%となっています。
金属系循環資源の循環利用量の拡大及び最終処分量の削減に向けては、これまで比較的循環利用が行われていなかった使用済製品中の金属類の回収・再資源化の徹底などが考えられます。

(エ)化石系循環資源
化石系循環資源は、廃棄物等発生量全体の3%を占めています。その中身を見ると、各種製造業から発生する廃油や、プラスチック製品製造業、機械器具製造業から発生するプラスチック加工くず、家庭や各種産業などから発生する使用済プラスチック製品などが挙げられます。
化石系循環資源は、現状での循環利用率が26%、減量化率が56%、最終処分率が18%と、焼却による減量の割合が高いことが特徴として挙げられます。また、循環利用の用途としては、建設資材や、鉄鋼業での還元剤としての利用などが挙げられます。また、プラスチックとして再生利用される場合もありますが、現状では再生利用する廃プラスチックに、様々なグレードの樹脂及び添加剤が含まれているため、多くの場合カスケード利用になっています。我が国における化石系資源の投入量は5.0億tですので、投入量に占める化石系循環資源の循環利用量の割合は1%となっています。
化石系循環資源の循環利用量の拡大及び最終処分量の削減に向けては、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)や、「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法)を契機として、使用済製品の回収及びその再資源化技術の開発が一層促進されることなどが考えられます。

コラム 11 食品の循環

我が国の食料輸入
現在、我が国の食生活は非常に豊かになり、我が国は、世界中の食品が手に入る世界最大の食料純輸入国となっています。平成15年度の輸入額は4兆3,681億円にも上っており、輸入額そのものでは、米国、ドイツに続いて世界第3位ですが、我が国は輸出額が少ないので、世界で最も食料を輸入に頼っている国といえるのです。
これを裏付けるように、我が国の食料自給率は、長期的に低下傾向にあり、カロリーベースでみると、平成15年には、全体で約40%にまで低下しており、特に飼料はほとんど輸入に頼っているといった状況となっています。
窒素過多の問題
こうした食料・飼料の輸入は、窒素過多の問題と結びついています。私たちの豊かな食生活は、大量の肥料の使用に支えられています。たい肥や化学肥料には大量の窒素が含まれており、地下水にこうした窒素が溶け出すと、環境汚染を引き起こすこととなります。例えば、欧米では、高濃度の窒素に汚染された水を乳児が飲んだことにより貧血状態を起こす、いわゆる「ブルーベビー症」が知られています。我が国では人の被害報告はないものの、一部の畜産地帯に窒素が集中し、その結果として、少なくとも毎年数十頭以上の牛が貧血状態を原因に死亡しているとの指摘もあります。
また、化学肥料に必要なアンモニアは、空気中の窒素から工業的に合成されてい ますが、その際に大量のエネルギーを使っており、地球温暖化の防止の観点からも大きな影響があります。
食品の食べ残しの問題
このように多くの食料・飼料を輸入している一方で、必ずしも全ての食材が無駄なく食べられているとは言えません。例えば、家族での一人当たりの食品の廃棄や食べ残しの割合は4.2%にも上っています。また、食べ残し・廃棄の目安として国民の一人一日当たりの供給熱量(消費に向けられた食品のカロリー)と摂取熱量(実際に食べたカロリー)の差をみると、拡大傾向にあります。これら2つの値は算出方法が異なるために単純に比較することはできないものの、平成14年でその差は、ほぼ1回分の食事に相当する約730kcal程度に上っています。
食事から始まるライフスタイルの見直し
このように、現在の我が国の食生活には様々な問題点があります。環境への負担を減らした生産方法による食材を選択していくことや、食べ残しをしない心がけや、賞味期限や消費期限を考えて食品を利用することで、その廃棄を減らすなど、身近な食事を見直し、循環型社会の形成につながるちょっとした取組を始めていくことが重要ではないでしょうか。


2. 廃棄物の排出量


(1) 廃棄物の区分
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)では、廃棄物とは自ら利用したり他人に有償で譲り渡すことができないために不要になったものであって、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚泥、ふん尿などの汚物又は不要物で、固形状又は液状のものをいいます。ただし、放射性物質及びこれに汚染されたものはこの法律の対象外となっており、ここからは除かれています。
廃棄物は、大きく一般廃棄物と産業廃棄物の2つに区分されています。産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、法律で定められた20種類のものと輸入された廃棄物をいいます。一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物を指し、し尿のほか主に家庭から発生する家庭系ごみであり、オフィスや飲食店から発生する事業系ごみも含んでいます(1-1-7図)。

1-1-7図	廃棄物の区分


(2) 一般廃棄物(ごみ)の処理の状況
平成15年度におけるごみの総排出量*1は5,161万t(前年度比0.01%減)、1人1日当たりのごみ排出量は1,106グラム(前年度比0.5%減)となっています。
これらのごみのうち、生活系ごみと事業系ごみの排出割合を見ると、生活系ごみが3,466万t(約67%)、事業系ごみが 1,695万t(約33%)となっています(1-1-8図)。

1-1-8図	生活系ごみと事業系ごみの排出割合(平成15年度)

ごみは、直接あるいは中間処理を行って資源化されるもの、焼却などによって減量化されるもの、処理せずに直接埋め立てられるものに大別されます。(1-1-9図)

1-1-9図	全国のごみ処理のフロー(平成15年度)

ごみの総処理量のうち、中間処理されるごみは全体の処理量の約92%に当たる4,740万tとなっています。中間処理施設としては、焼却施設のほか、資源化を行うための施設(資源化施設)、堆肥を作る施設(高速堆肥化施設)、飼料を作る施設(飼料化施設)、メタンガスを回収する施設(メタン回収施設)などがあります。中間処理施設に搬入されたごみは、処理の結果、406万tが再生利用され、直接資源化されたものや集団回収されたものと合わせると、総資源化量は916万tになります。ごみの総処理量に対する割合(リサイクル率)は、平成2年度の5.3%から平成15年度の16.8%に大きく増加しています。中間処理量のうち、直接焼却されるごみの量は4,024万t(全体処理量の78.1%:直接焼却率)であり、焼却を始めとした中間処理によって減量されるごみの量は3,676万t(全体処理量の71.3%)にもなります。また、焼却施設には、発電施設や熱供給施設などが併設されて、発電、熱利用等有効利用が行われている事例も増加しています。
一方、直接埋め立てられる廃棄物、焼却残さ(ばいじんや焼却灰)、焼却以外の中間処理施設の処理残さを合わせたものが最終処分場に埋め立てられる量になります。直接埋め立てられるごみの量は約186万tで、総排出量の3.6%となっており、直接埋立量の割合は年々減少しています。また、ごみ処理施設から排出される焼却灰などの処理残さを合わせた埋立総量は845万tであり、こちらも年々減少しています。

*1 「ごみ総排出量」 = 「収集ごみ量+直接搬入ごみ量+自家処理量」である。
廃棄物処理法に基づく「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」における一般廃棄物の排出量は、「ごみ総排出量」から「自家処理量」を差し引き、資源ごみの「集団回収量」を加算したものとしており、その場合の平成15年度の排出量は、5,427万tである。

(3) 一般廃棄物(し尿)の処理の状況
平成15年度の水洗化人口は1億1,105万人で、そのうち公共下水道人口が7,817万人、浄化槽人口が3,288万人(うち合併処理人口は1,256万人)です。また非水洗化人口は1,646万人で、そのうち計画収集人口が1,605万人、自家処理人口が41万人です。
総人口の約4割(非水洗化人口及び浄化槽人口)から排出されたし尿及び浄化槽汚泥の量(計画処理量)は2,853万klで、近年はほぼ横ばいです。そのほとんどは水分ですが、単純にごみの容量と比較するとその数値が大きいことが分かります。それらのし尿及び汚泥はし尿処理施設で2,619万kl、下水道投入で138万kl、農地還元で6万kl、海洋投入で84万kl、そのほかで7万klが処理されています。
なお、下水道終末処理場から下水処理の過程で排出される下水汚泥は産業廃棄物として計上されます。

(4) 産業廃棄物の処理の状況
平成15年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約4億1,162万tとなっています。
そのうち再生利用量が約2億133万t(全体の46%)、中間処理による減量化量が約1億8,000万t(44%)、最終処分量が約3,044万t(7%)となっています。再生利用量は、直接再生利用される量と中間処理された後に発生する処理残さのうち再生利用される量を足し合わせた量になります。また、最終処分量は、直接最終処分される量と中間処理後の処理残さのうち処分される量を合わせた量になります(1-1-10図)。

1-1-10図	産業廃棄物の処理の流れ(平成15年度)

産業廃棄物の排出量を業種別に見ると、排出量の最も多い業種が電気・ガス・熱供給・水道業、農業、建設業となっています。この上位3業種で総排出量の約6割を占めています(1-1-11図)。

1-1-11図	産業廃棄物の業種別排出量(平成15年度)

産業廃棄物の排出量を種類別に見ると、汚泥の排出量が最も多く、全体の5割近くにも達しています。これに次いで、動物のふん尿、がれき類となっています。これらの上位3種類の排出量が総排出量の8割を占めています(1-1-12図)。

1-1-12図	産業廃棄物の種類別排出量(平成15年度)

産業廃棄物の排出量を排出地域別に見ると、関東地方からの排出量が最も多く、これに中部地方と近畿地方を合わせた地域からの排出量が全体の約6割を占めています。

3. 循環的な利用の現状


(1) 容器包装(ガラスびん、ペットボトル、プラスチック製容器包装、紙製容器包装等)
容器包装リサイクル法に基づく分別収集及び再商品化の実績は1-1-1表のとおりです。平成16年度の実施状況で見ると、平成9年度から分別収集の対象となった品目では、紙パックを除いて、9割以上の市町村が分別収集を行っています。なお、平成12年度から追加されたプラスチック製容器包装、紙製容器包装及び段ボールについては、分別収集に取り組む市町村が着実に増加しています。

1-1-1表	容器包装リサイクル法に基づく分別収集・再商品化の実績

ア ガラスびん
ガラスびんの生産量は平成16年で約155.4万tであり、減少傾向にあります。これは、重く、割れることがあるガラスびんに比べ、デザインが多様で、軽く、携帯の利便性に優れるペットボトルなどの容器に、消費者の嗜好が変化したためと考えられます。
なお、「資源の有効な利用の促進に関する法律」(資源有効利用促進法)に基づき、国内で製造されるガラス容器のカレット利用率を平成22年度までに91%に向上することが目標として定められています。
ガラスびんは1回限りの利用を前提として作られるワンウェイびんと洗浄して繰り返し利用されるリターナブルびんとに分けられます。廃棄されたワンウェイびんは砕かれてカレットになり、新しいびんを作る場合の原料などとしてリサイクルされています。カレットとはガラスを砕いたもので、カレット利用率とは新しいガラスびんの生産量に対するカレット使用量の比率を表したものです(1-1-13図)。

1-1-13図	ガラスびんの生産量とカレット使用量

イ ペットボトル
ペットボトルの用途の約90%以上を占める清涼飲料の生産量は年々増加傾向にありますが、ペットボトル用樹脂生産量の伸び率は安定しています。
ペットボトルのリサイクルは、事実上平成9年4月からの容器包装リサイクル法に基づく市町村による分別収集によって開始され、平成9年に9.8%であった回収率(分別収集量に対する樹脂生産量の比率)は平成16年度には46.4%となっています。また、清涼飲料メーカー、ペットボトル等製造メーカーの団体から構成されるPETボトルリサイクル推進協議会が調査している、市町村以外に主に事業者によって回収された量を合わせると、平成16年度の回収率は62.3%になっています。
分別収集を実施した市町村数については、平成9年度の631から平成16年度では2,796へと増えてきています。これは全市町村数の91.6%になります。
また、食品(主に飲料)用として使用したボトルを再生し、再び食品用ボトルとして使用することを「ボトルtoボトル」と呼びますが、この技術は既に実用化されています。リサイクルの技術開発の進展とともに再商品化施設の能力は十分に整備された状況となっています(1-1-14図、1-1-15図)。

1-1-14図	ペットボトルの生産量と回収量


1-1-15図	ペットボトルの再生樹脂用途の構成比推移

ウ プラスチック製容器包装
プラスチック製容器包装は、平成12年度から新たに容器包装リサイクル法に基づく対象品目となり、市町村による分別収集が始まりました。
平成16年度の分別収集実績量は、47.1万tですが、容器包装リサイクル制度の浸透に伴い分別収集量の増加が進むものと見込まれます。なお、平成16年度に分別収集を実施した市町村数は、1,757であり、全市町村数の57.5%となっています。
エ 紙製容器包装
紙製容器包装は、プラスチック製容器包装と同様に平成12年度から新たに容器包装リサイクル法に基づく対象品目となり、市町村による分別収集が始まりました。
平成16年度の分別収集実績量は7.0万tであり、分別収集を実施した市町村数は772にとどまっています。これは、当該数値が紙製容器包装を単独で分別収集している市町村を対象とした集計であり、各市町村が法施行前から収集を行っていた新聞や雑誌の回収ルートで紙製容器包装を併せて収集した量は、実際に分別収集が行われていても集計に含まれていないためです。
オ スチール缶
スチール缶の消費重量は、近年下降傾向を示しており、平成16年度では90.1万tとなっています。スチール缶リサイクル協会によれば、リサイクル率(消費重量に対する再資源化量(回収され鉄スクラップとして再資源化される量)の割合)は、平成16年には87.1%となっています(1-1-16図)。
この背景には、スチール缶の受け皿の体制が確立されていることなどが考えられます。

1-1-16図	スチール缶の消費重量と再資源化重量及びリサイクル率

カ アルミ缶
アルミ缶の消費重量は、近年横ばい傾向にあり、平成16年では30.3万tとなっています。アルミ缶リサイクル協会によると、アルミ缶のリサイクル率(消費重量に対する再生利用重量の割合)は、平成16年で86.1%に達しています(1-1-17図)。また、回収されたアルミ缶を再びアルミ缶にするいわゆる「CAN TO CAN」の割合は61.7%となっています。
この背景には、スチール缶と同様に回収されたアルミ缶の受け皿の体制が確立されていることなどが考えられます。

1-1-17図	アルミ缶の消費重量と再生利用重量及びリサイクル率

キ 紙パック
紙パック(アルミニウムが利用されているものを除く。)は、牛乳用、清涼飲料用、酒類用などに使用されています。平成16年度の分別収集実績量は、1.6万tであり、分別収集を実施した市町村数は、1,966と年々増加傾向にあります。
全国牛乳容器環境協議会によると、平成16年度の飲料用紙パック出荷量は21.3万tであり、そのうち一般家庭等で18.8万t、自動販売機、飲食店等で1.5万t、学校給食で1.0万t消費されています。
また、回収量は市町村回収、店頭回収、集団回収を合わせて4.6万tとなっており、再生用途としては、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、板紙などにリサイクルされています。
ク 段ボール
段ボールは平成12年度から新たに容器包装リサイクル法に基づく対象品目となり、市町村による分別収集が始まりました。平成16年度の分別収集実績量は、54.7万tとなっています。
また、分別収集を実施した市町村数は、2,391であり、同じ時期に容器包装リサイクル法に基づく対象品目となったプラスチック製容器包装や紙製容器包装と比較するとかなり多くなっています。これは、既に段ボールのリサイクルシステムが確立されていたためであると考えられます。
段ボールリサイクル協議会によれば、利用された段ボールは回収され、再び段ボールとなって使用され、約7回まで使用可能といわれています。
平成16年の段ボールの生産量は869.4万tあり、段ボール古紙の回収量は949.6万tで、リサイクル率(段ボール原紙のメーカー消費量に対する段ボール古紙回収量の割合)は109.2%となっています。
ただし、平成16年度は約145万tの輸入超過のため、これを加味するとリサイクル率は約93.6%になります。

(2) 紙
平成16年度の古紙の回収率及び利用率はそれぞれ69.0%、60.3%となっています(1-1-18 図)。紙の中には、トイレットペーパーなどの回収の不可能なものや、書籍のように長期間にわたって保存されるものなどがあるため、約73.2%の回収率が限界と考えられています。古紙の回収率及び利用率を向上させるためには、一人ひとりが注意して分別排出を心掛けるとともに、再生紙の利用に努めることが必要と言えます。
なお、資源有効利用促進法に基づき、国内で製造される紙の古紙利用率を平成22年度までに62%に向上させることが目標として定められています。

1-1-18図	古紙の回収率・利用率


(3) プラスチック類
プラスチックは加工のしやすさ、用途の多様さから非常に多くの製品として利用されています。
プラスチック処理促進協会によると、平成16年におけるプラスチックの生産量は、1,446万tと推定され、国内消費量、総排出量とともに前年度と比べ増加しています。また、容器包装リサイクル法で定められたリサイクル手法による処理量が増加しており、産業廃棄物の再生利用量や熱回収量を加えた有効利用量は増加し、排出量に対する有効利用量の割合である有効利用率は60%と着実に向上し(1-1-19図)、その他、単純焼却が14%、埋立処理が26%と推計されています。

1-1-19図	プラスチックの生産量、消費量、排出量及び再生利用量等の推移


(4) 家電製品
家庭から排出される廃家電製品については、基本的に市町村が収集し、処理を行ってきましたが、特に、家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機の4品目については、リサイクルをする必要性が特に高いにもかかわらず、市町村等によるリサイクルが困難でした。このため、平成13年4月に本格施行された家電リサイクル法に基づき、特定家庭用機器廃棄物として規定され、製造業者等に一定の水準以上の再商品化が義務付けられています。
家電4品目の素材構成は、現在生産されているモデルの場合、1-1-20図に示すような割合となっており、金属類やガラス類などの処理により、規定された再商品化率を達成することは十分可能です。しかしながら、品目によっては40%を超える構成比のプラスチックを今後いかにリサイクルしていくかが課題となっています。廃家電製品のプラスチックは素材が様々で、かつ製品によっては難燃剤が入っている場合があり、リサイクルの困難性を高めています。

1-1-20図	家電4品目の素材構成例

家電リサイクル法施行前の状況を見ると、家庭用エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機の4品目の家電製品の排出量60万tのうち、2割が粗大ごみ等として市町村に回収され、残り8割が販売店等により回収されていました。販売店によって回収されたもののうち4分の1が市町村により処理されており、その結果、処理量で見た場合は4割が市町村に、残り6割が処理業者によって処理されていました。その処理のほとんどが直接又は破砕後の埋立処分であり、破砕後に金属回収が行われている割合は1割程度と極めて低い水準で推移していました。
家電リサイクル法の施行により、製造業者等に対して各家電4品目の再商品化を義務付け、再商品化率(サーマルリサイクルを含まない。)を、家庭用エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫・冷凍庫(平成16年4月より冷凍庫を追加)50%以上、洗濯機50%以上と定めて、リサイクルを推進しています。平成17年度に全国の指定引取場所において引き取られた廃家電4品目は、合計約1,162万台でした。これは、前年度比約4%の増加であり、前年度を上回るペースで引き取られ、リサイクルが行われました(1-1-21図)。
平成16年度における製造業者等の再商品化率は、エアコン82%、テレビ81%、冷蔵庫・冷凍庫64%、洗濯機68%であり、いずれも法定の基準を上回っています(1-1-22図)。

1-1-21図	廃家電処理の状況


1-1-22図	家電4品目再商品化率の実績(平成15年度)


(5) 建設廃棄物
建設廃棄物は、産業廃棄物の排出量の約2割、最終処分量の約2割を占め、また、不法投棄件数の約7割、不法投棄量の約9割を占めています。中でも建築物解体による廃棄物については、昭和40年代以降に急増した建築物が更新期を迎えており、今後とも発生量が増加することが予想されています。
また、建設廃棄物の排出量のうち、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)で一定規模以上の工事について再資源化等が義務づけられているコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊及び建設発生木材が占める割合は約8割で、その3品目の再資源化をまず実施することが必要です(1-1-23図)。

1-1-23図	建設廃棄物の種類別排出量

コンクリート塊及びアスファルト・コンクリート塊については、平成3年12月より「公共建設工事における再生資源活用の当面の運用について」(平成14年5月改訂国土交通省)の策定、各地方整備局での運用に伴い、再資源化率が大きく伸びています。これらは、平成14年度の実績でいずれも建設リサイクル法の目標である95%を越えています。
また、建設発生木材については、千葉県をモデルとした「建設発生木材リサイクル促進行動計画」を平成17年10月に策定しました。
そのほか、その排出量自体は上記3品目に比べると少ないものの、再資源化等率が低くとどまっているものに、建設汚泥と建設混合廃棄物が挙げられます(1-1-24図)。このうち、建設汚泥については、廃棄物該当性や再生利用に係る基準の明確化、建設資材としての利用用途の拡大などの再生利用促進方策について、「建設汚泥再生利用指針検討委員会」を平成17年6月に設置して、検討を行い、平成18年3月に委員会報告書を取りまとめました。

1-1-24図	建設廃棄物の品目別再資源化等の状況

さらに、建設混合廃棄物については、工事現場において建設副産物をリサイクル用途に合わせて分別することが効果的と考えられていますが、その際に少量化・多品目化した建設副産物を分別した状態のまま効率良く回収するための小口巡回共同回収システムの構築が必要と考えられることから、「首都圏建設副産物小口巡回共同回収システム構築協議会」を平成17年6月に設置し、検討を進めています。

(6) 建設発生土
建設工事現場から場外に搬出された建設発生土は平成14年度の実績で約2億4,500万m3で、このうち工事間利用した割合は30%となり、平成12年度と比較して建設工事で利用する土砂のうち新材利用量は約26%減少しました。さらなる工事間利用の推進に向けて、平成15年10月に国土交通省が策定した「建設発生土等の有効利用に関する行動計画」に基づき、各種の取組を進めていくことが必要となっています。

(7) 食品廃棄物
食品廃棄物は、食品の製造、流通、消費の各段階で生ずる動植物性の残さ等であり、具体的には加工食品の製造過程や流通過程で生ずる売れ残り食品、消費段階での食べ残し・調理くずなどです。
これら食品廃棄物は、食品製造業から発生するものは産業廃棄物に、一般家庭、食品流通業及び飲食店業等から発生するものは一般廃棄物に区分され、平成15年度において前者が339万t、後者が1,633万t(うち一般家庭から発生するもの1,134万t)、合わせて1,972万tが排出されています(1-1-2表)。

1-1-2表	食品廃棄物の発生及び処理状況(平成15年度)

食品製造業から発生する食品廃棄物は、必要量の確保が容易なこと及びその組成が一定していることから比較的再生利用がしやすく、たい肥化が114万t(33%)、飼料化が101万t(30%)及び油脂の抽出その他が50万t(15%)で合計265万t(78%)が再生利用されています。
また、食品流通業及び飲食店業等から発生する食品廃棄物(事業系一般廃棄物)は、たい肥化が39万t(8%)、飼料化が33万t(6%)及び油脂の抽出その他が49万t(10%)で合計121万t(24%)が再生利用されています。
一方、一般家庭から発生する食品廃棄物(家庭系一般廃棄物)は、多数の場所から少量ずつ排出され、かつ組成も複雑であることから、26万t(2%)が再生利用されているにすぎません。
これらの結果、食品廃棄物全体では、412万t(21%)がたい肥・飼料等に再生利用され、残りの1,560万t(79%)は焼却して埋立処分されています。
また、食品廃棄物を含むバイオマス系廃棄物は、飼料・たい肥などへの再生利用や熱・電気に転換するエネルギー利用の可能性があり、循環型社会及び脱温暖化社会の実現を目指すため、平成17年9月からその3R・処理のあり方について検討を開始しました。

(8) 自動車
ア 自動車
使用済みとなる自動車は、自動車販売業者等の引取業者から自動車解体業者に渡り、そこでエンジン、ボディ部品等の有用な部品、部材が回収されます。さらに残った廃車ガラは、シュレッダー業者に渡り、そこで鉄等の有用な金属が回収され、その際発生する残さ(シュレッダーダスト)が、主に廃棄物として処理されています(1-1-25図)。自動車については1台当たりの重量比で、20~30%程度が解体業者によって有用部品として回収(部品リユース)され、50~55%程度が素材としてリサイクル(マテリアルリサイクル)されています。

1-1-25図	使用済自動車処理のフロー

使用済自動車の再資源化等に関する法律(以下「自動車リサイクル法」という」)が平成17年1月より本格施行され、平成17年4月から平成18年3月までの1年間の累計で、3,952万台分のリサイクル料金が預託されるとともに、約305万台の廃車が自動車リサイクル法のルートにより処理されました。
また、平成17年10月からは、使用済自動車の引渡しに支障が生じている離島市町村に対して、特定再資源化預託金を用いた支援事業を開始しました。平成17年度には70市町村において0.6万台に対して資金出えんがされました。
イ タイヤ
(社)日本自動車タイヤ協会リサイクル事業本部によれば、平成17年における廃タイヤの排出量102.2万t(平成16年104.3万t)のうち、輸出、更生タイヤ台用、再生ゴム・ゴム粉などとして、37.3万t(平成16年44.8万t)が原形・加工利用され、52.4万t(平成16年46.8万t)が製錬・セメント焼成用、発電などとして熱利用されています。
廃タイヤについては有価物と不要物の区別が困難であるため、有価物等と偽って不適切に野積みされ、火災等の問題を引き起こしている事案も発生しています。このため、環境省からも、使用済タイヤを有価物であると称して野積みする事案について、厳正に対処するための通知が都道府県あてに発出されており、野積みされた使用済タイヤが廃棄物であって生活環境の保全に支障が生じるおそれがあると判断される場合には、行政処分をもって厳正に対処することを示しています。

コラム 12 エコ自動車

各自動車メーカーは環境問題に対する取組を行っています。東京モーターショーのような、最先端の自動車デザインや技術を紹介する場でも、多くの出展者が環境をテーマにした出展を行っています。
循環型社会形成のための取組はどうでしょうか。
使用済自動車は中古部品や再生利用可能な部品が回収されると、残りの部分は破砕されてシュレッダーダストとなります。このシュレッダーダストは主に埋立て処分されていましたが、自動車リサイクル法の施行により、シュレッダーダストについてもリサイクル率を高めるように目標値が設定されています。
また、自動車メーカーは、設計段階からリサイクルのし易さに配慮した製品づくりを行うなど3Rに取組んでいます。
車体の構造、材質面では以下のような工夫が行われています。

(1)解体容易化構造
部品の取り外しがしやすい車体構造のことです。具体的には部品の数や締結箇所を減らす、特殊な工具が要る部品を使用しない、手解体ができる構造にするといった工夫によって、効率よく解体、部品回収が行える構造を実現します。
また分別回収しやすいように、部品に材質を表示します。

(2)リサイクルが容易な素材の利用
樹脂製の部品を例に挙げると、リサイクルしやすい熱可塑性樹脂の利用を推進されています。特にポリプロピレンなど自動車以外の産業でも利用しやすい素材を使う配慮がなされています。また、部品に使用される素材をなるべく統一する、有害物質を使用しないなどの工夫も行われます。

(3)再生材の利用
再生材から作られた部品を採用します。金属以外にもPETボトルの再生材や古紙も使用されています。
このほかにも製造工程から発生する金属の端材の再利用や、工場から排出される廃棄物の建設資材への利用、流通過程においても、梱包材などを木材からリユース可能なものに取り替える、販売店での部品回収の促進といった取組が行われています。

コラム12	エコ自動車 写真



(9) パーソナルコンピュータ及びその周辺機器
パーソナルコンピュータ(パソコン)及びその周辺機器については、平成14年度でリース・レンタル会社に引き取られた4.3万tのうち3.7万tが製品・部品中古市場に流れ、再使用されています。
資源有効利用促進法の施行により、製造等事業者に対して平成13年4月から事業系パソコン、平成15年10月から家庭系パソコンの再資源化を義務付け、再資源化率を、デスクトップパソコン(本体)50%以上、ノートブックパソコン20%以上、ブラウン管式表示装置55%以上、液晶式表示装置55%以上と定めてリサイクルを推進しています(1-1-26図、1-1-27図)。

1-1-26図	事業系パソコンの回収・リサイクルシステム(例)


1-1-27図	家庭系パソコン回収基本スキーム

平成16年度における製造等事業者の再資源化率は、デスクトップパソコン(本体)76.9%、ノートブックパソコン54.8%、ブラウン管式表示装置73.9%、液晶式表示装置64.2%であり、いずれも法定の基準を上回っています。
また、これ以外の回収ルートとして、リース・レンタル会社、販売店及び販売会社を経由し又は直接に廃棄物処理業者に引き取られるか、地方公共団体において回収・処理されているものもあります。

(10) 充電式小形電池(ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小形制御弁式鉛蓄電池)
充電式電池(二次電池)には、主な材料としてニッケル〔Ni〕やカドミウム〔Cd〕、コバルト〔Co〕、鉛〔Pb〕など希少な資源が使われており、ケーシングの金属リサイクルのみの一次電池と比べ、二次電池のリサイクルは大きな効果を持っています。
資源有効利用促進法の施行により、製造等事業者に対して平成13年4月から小形二次電池の再資源化を義務付け、再資源化率を、ニカド電池60%以上、ニッケル水素電池55%以上、リチウム二次電池30%以上、小形制御弁式鉛蓄電池50%以上と定めて、リサイクルの一層の推進を図っています。
平成16年度における小形二次電池(携帯電話・PHS用のものを含む)に係るリサイクルの状況は、ニカド電池の処理量878t、再資源化率73.7%、ニッケル水素電池の処理量99t、再資源化率76.8%、リチウム二次電池の処理量216t、再資源化率55.1%、小形制御弁式鉛蓄電池の処理量3,938t、再資源化率50.0%であり、再資源化率の実績は、いずれも法令上の目標を達成しています。

(11) 下水汚泥
水道事業において発生する汚泥(下水汚泥)は、下水道の普及に伴って年々増加する傾向にあります(1-1-28図)。平成15年度現在、全産業廃棄物の発生量の2割近くを占める約7,484万t(対前年度約50万t増、濃縮汚泥量として算出)が発生していますが、最終処分場に搬入される量は71万t(対前年度比約2万t減)であり、脱水、焼却等の中間処理による減量化や再生利用により、最終処分量の減量化を推進しています。なお、平成15年度において、下水汚泥の有効利用率は、乾燥重量ベースで64%となっています。

1-1-28図	年度別下水汚泥発生量の推移

下水汚泥の再生利用の形態は多岐に渡っています。有機物に富んでいる下水汚泥の性質に着目して古くから緑農地利用が行われています。以前は脱水ケーキの状態で利用されていましたが、最近はコンポスト化して肥料として用いる方法が主流となっています。汚泥が焼却・溶融処理されるようになった近年では、建設資材としての利用が増加しています。
平成15年度には乾燥重量ベースで139万tが再生利用され、用途としては、セメント原料(59万t)、肥料等の緑農地利用(32万t)、レンガ、ブロック等の建設資材(47万t)などに利用されています。
また、下水汚泥の熱回収の取組として、嫌気性消化過程で発生するメタンガスなどの消化ガスを用いた消化ガス発電を平成15年度において全国19か所で実施しているほか、下水汚泥焼却廃熱の利用、汚泥自体の燃料化などが行われています。


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