環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部>第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策>第1節 政府の総合的な取組

第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策

第1節 政府の総合的な取組

1 環境保全経費

 政府の予算のうち環境保全に関係する予算について、環境保全に係る施策が政府全体として効率的、効果的に展開されるよう、環境省において見積り方針の調整を図り、環境保全経費として取りまとめています。平成28年度予算における環境保全経費の総額は、前年度比18.1%増の2兆1,337億円となりました(http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/keihi.html(別ウィンドウ))。

2 環境基本計画の進捗状況の点検

 中央環境審議会は、環境基本計画に基づく施策の進捗状況等を点検し、政府に報告しています。平成27年は、第四次環境基本計画の第3回目の点検として、「経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進」、「国際情勢に的確に対応した戦略的取組の推進」、「持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進」、「水環境保全に関する取組」、「大気環境保全に関する取組」の分野及び東日本大震災からの復旧・復興に際して環境の面から配慮すべき事項における施策の進捗状況を点検しました。その点検結果は、平成27年12月の閣議において報告されました。

 「第3回点検結果」http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/plan/plan_4_check.html(別ウィンドウ)

3 予防的な取組方法の考え方に基づく環境施策の推進

 化学物質による健康や生態系への影響、地球温暖化による環境への影響等、環境問題の多くには科学的な不確実性があります。しかし、一度問題が発生すれば、それに伴う被害や対策コストが非常に大きくなる可能性や、長期間にわたる極めて深刻な、あるいは不可逆的な影響をもたらす可能性があります。このため、環境影響が懸念される問題については、科学的証拠が欠如していることを理由に対策を遅らせず、知見の充実に努めながら、予防的な対策を講じるという「予防的な取組方法」の考え方に基づいて対策を講じていくべきです。この予防的取組は、第四次環境基本計画においても「環境政策における原則等」として、位置付けられており、様々な環境政策における基本的な考え方として取り入れられています。関係府省は、第四次環境基本計画に基づき、予防的な取組方法の考え方に関する各種施策を実施しました。

4 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした取組の推進

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、環境省は平成26年8月に「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を契機とした環境配慮の推進について」(http://www.env.go.jp/press/files/jp/24949.pdf(別ウィンドウ))を取りまとめました。そこでは、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)とその充電ステーションや水素ステーションの普及及びこれらに係る技術開発、大会関連施設の低炭素化の促進、ヒートアイランド対策の推進、良好な大気・水環境の実現、食品ロスの削減やドーピング検査に使用する注射針等の円滑な処理等を含めた各種の対策を進めていくなどの3R等の徹底、我が国の環境先進性を国内外に広くPRするための環境情報の発信等について述べています。

 平成27年度、環境省は、新たに開催した「持続可能な東京都市圏づくりに関する懇談会」での意見を受けつつ、東京都市圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)における環境対策モデル分析を行いました(http://pwcms.env.go.jp/policy/olypara/moderubunseki/post_2.html(別ウィンドウ))。具体的には、2020年(平成32年)、2030年(平成42年)及び2050年(平成52年)における将来の環境負荷並びに対策の効果及び経済への影響を総合的に推計しました。これにより、これまで推計ができなかった、地球温暖化とヒートアイランド現象のような異なる環境問題について、分野間の相互効果も含めた多面的な分析が可能となるとともに、都市のコンパクト化による環境負荷の変化を明らかにしました。今後、この結果が2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした環境対策を具体的に進める上での一助となることが期待されます。