第6節 自然とのふれあいの推進

1 自然解説活動及び健全なふれあい利用の推進

 「みどりの月間」(4月15日~5月14日)、「自然に親しむ運動」(7月21日~8月20日)、「全国・自然歩道を歩こう月間」(10月)等を通じて、自然観察会等自然とふれあうための各種活動を実施します。また、「平成20年度自然公園ふれあい全国大会」は、平成19年に国立公園に単独指定された尾瀬国立公園(福島県、群馬県、栃木県、新潟県)において8月に開催します。

 国立・国定公園の利用の適正化のため、自然公園指導員の研修を実施するとともに、利用者指導の充実を図ります。また、地方環境事務所等においてパークボランティアの養成及びその活動に対する支援を行います。さらに、自然解説活動における指導者育成のための研修を実施します。

 また、関係省庁が連携し実施する、農山漁村での小学生の長期宿泊体験等において、その体制づくりの一環として自然体験プログラムの開発や子どもたちに自然保護官の業務を体験してもらうなどにより自然環境の大切さなどを学ぶ機会を提供することで、自然と人との共生について子どもたちを始め関係者の理解を深める事業を展開します。

 国有林野においては、森林教室、体験セミナー等を通じて、森林とのふれあいを楽しみながら理解を深める森林ふれあい推進事業等を実施します。また、学校等による体験学習の場として利用できる「遊々の森」や国民が中心となった森林の整備等の活動の場として利用できる「ふれあいの森」等の設定・活用を推進します。

 国営公園においては、ボランティア等による自然ガイドツアーやプロジェクト・ワイルド等を活用した指導者の育成等、多様な環境教育プログラムを提供します。

2 利用のための施設の整備

 国立・国定公園等において、木材等の自然素材を活用し、自然環境の保全やバリアフリー化にも配慮しつつ、自然とのふれあいを求める国民のニーズに応え、安全で快適な利用を推進するための施設を計画的に整備します。


(1)国立公園の整備

 国立公園の保護及び利用上重要な公園事業を国の直轄事業として着実に実施するため、引き続き国立公園の主要な入口における情報提供施設、山岳地域における登山道、集団施設地区の景観形成、国立公園の利用の基幹となる施設整備を行うとともに、優れた自然景観にふれあうための景観歩道、国民保養温泉地の健全な発展・活性化を図るための施設を整備します。


(2)国定公園等の整備

 国と地方の協力の下、自然とのふれあいの場の整備や自然環境の保全・再生を推進するため、地方公共団体の行う国定公園の整備及び長距離自然歩道の整備について自然環境整備交付金事業により支援します。


(3)森林の多様な利用の推進

 保健保安林等を対象として防災機能、環境保全機能等の高度発揮を図る共生保安林整備事業を実施します。また、国民が自然に親しめる森林環境の整備を行う森林空間総合整備事業等を助成します。

 また、森林環境教育、林業体験学習の場となる森林・施設の整備、学校林の整備・活用を行うモデル学校林の設定等を推進します。

 さらに、森林総合利用施設等において、年齢や障害の有無にかかわらず多様な利用方法の選択肢を提供するユニバーサルデザイン手法の普及を図ります。

 国有林野については、自然休養林等のレクリエーションの森において、民間活力をいかしつつ利用者のニーズに対応した森林及び施設の整備等を行います。また、体験・学習活動の場としての「遊々の森」の設定・活用を図るとともに、学校、NPO、企業等、多様な主体と連携して森林環境教育を推進します。加えて、NPO等による森林づくり活動の場としての「ふれあいの森」や、伝統文化の継承等に貢献する「木の文化を支える森づくり」、企業の社会貢献活動としての「法人の森林」のほか、NPO等による協働型の「知床自然の森林づくり」など国民参加の森林づくりを推進します。


(4)独立行政法人国立青少年教育振興機構

 (独)国立青少年教育振興機構の施設整備及び立地条件や各施設の特色をいかした自然体験活動等の事業の充実を図ります。


(5)海岸等のふれあい施設の整備

 海と緑の豊かな海岸環境を確保する白砂青松の創出や生物の生息・繁殖場所となる砂浜、干潟等の保全や創出を行う「エコ・コースト事業」を実施します。また、海岸利用を活性化し、海岸の観光資源としての魅力を向上させるなど、地域の特色を活かした自主的・戦略的取組を支援するため、「海岸環境整備事業」を拡充します。


(6)港湾等のふれあい施設の整備

 港の良好な自然環境の市民による利活用を促進し、自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、自治体やNPOなどが行う自然体験・環境教育活動等の場ともなる藻場干潟等の整備を行います。


(7)河川等のふれあい施設の整備

 河川の高水敷やダム周辺等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備を「水系環境整備事業」等により行います。水辺プラザや水辺の楽校等の整備により、水辺での活動を促進し、親水レクリエーションの促進を図ります。

3 エコツーリズムの推進

 エコツーリズムのより一層の普及・定着を図るため、エコツーリズム推進法(平成19年法律第105号)に基づく政府の基本方針を策定し、地域の創意工夫をいかした取組を支援するとともに、エコツーリズムに関する普及啓発、全国エコツーリズムセミナーの開催によるノウハウ確立、エコインストラクター等の人材育成などを総合的に実施します。

4 都市と農山漁村の交流

 全国の小学校において農山漁村での1週間程度の長期宿泊体験活動の実施を目指す「子ども農山漁村交流プロジェクト」を推進し、子どもの豊かな心を育むとともに、自然の恩恵などを理解する機会の促進を図ります。

 都市住民の農山漁村情報に接する機会の拡大、地域資源を活用した交流拠点の整備、都市と農村の多様な主体が参加した取組等を総合的に推進し、グリーン・ツーリズムの普及を進め、農山漁村地域の豊かな自然とのふれあい等を通じて自然環境に対する理解の増進を図ります。

5 温泉の保護及び安全・適正利用

 温泉法の運用に当たり、温泉源の保護、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止及び温泉の適正かつ効率的な利用の増進を図るため都道府県等に対し適切な助言を行います。また、温泉の公共的利用増進のため、保健、休養等に適した温泉地を国民保養温泉地に指定します。



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