第6章 自然環境の保全と自然とのふれあいの推進

第1節 生物多様性国家戦略及び生物多様性条約COP10

1 生物多様性国家戦略

 「第三次生物多様性国家戦略」に基づき、生物多様性の確保に係る施策の総合的かつ計画的な推進を図ります。

2 生物多様性条約COP10に向けた取組

 2010年(平成22年)に開催が予定されている生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)及び同条約カルタヘナ議定書第5回締約国会議の日本招致に向け、生物多様性そのものや条約についての国民への周知や、生物多様性総合評価などの積極的な取組を行うとともに、条約の主要議題等に関する国際的議論に貢献します。

3 生物多様性総合評価

 「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という、生物多様性の2010年目標の達成に貢献するため、科学的知見に基づき、社会経済的側面も含めた生物多様性の総合評価を行い、我が国の生物多様性の全体像を把握します。また、優先的に保全・回復すべき地域での取組を進展させるため、生物多様性の危機の地図化や、保全上重要な地域の選定作業を開始します。

4 自然環境調査

 第7回自然環境保全基礎調査(平成17~21年度)の一環として、「植生調査」、「特定哺乳類生息状況調査」等を実施します。「植生調査」では、自然環境の基本情報である縮尺2万5千分の1植生図をGISデータとして整備していきます。「特定哺乳類生息状況調査」では、農林水産業や生態系に大きな影響を及ぼすクマ、シカ等を対象として、モデル地域における現地調査による生息密度等の把握、全国的な生息情報及び生息環境情報の収集整理により、全国的な個体数の推定、分布動向の把握等を行います。

 全国の生態系の変化状況を把握するため、重要生態系監視地域モニタリング推進事業(以下「モニタリングサイト1000」という。)により、森林、里地里山、陸水域(湖沼及び湿原)、沿岸域(砂浜、干潟、磯、藻場、アマモ場及びサンゴ礁)、小島嶼の各生態系タイプに設置した合計約1000か所の調査サイトにおいて、生態系タイプ毎に決めた調査項目及び調査手法により本格的調査を実施します。また、地球温暖化の影響を受けやすい高山帯にも新たに調査サイトを設けます。

 さらに、地球温暖化の影響を受けやすい身近な自然事象(昆虫の分布や植物の開花など)についても、市民参加による情報収集を行い、過去の調査結果と比較分析しその結果を分かりやすく情報発信することで、地球温暖化を身近な問題として捉えてもらい、二酸化炭素排出削減行動に結び付けていきます。

 加えて、海洋基本法の制定を受け、主に我が国の200海里域内を対象として、海洋の生物多様性に関する広域的なデータを収集整理し、GISデータとして統合・解析を行い、生物多様性保全上重要な海域・海洋生物を特定した「海洋自然環境情報図」の作成に着手します。



前ページ 目次 次ページ