第2節 水利用の各段階における負荷の低減

1 汚濁負荷の発生形態に応じた負荷の低減

(1)特定汚染源対策

 ア 排水規制の実施と上乗せ排水基準の設定

 公共用水域の水質保全を図るため、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)により特定事業場から公共用水域に排出される水については、全国一律の排水基準が設定されていますが、環境基準の達成のため、都道府県条例においてより厳しい上乗せ基準を設定が可能であり、すべての都道府県において上乗せ排水基準が設定されています。

 また、平成13年に健康項目として排水基準が設定されたほう素・ふっ素・硝酸性窒素類について、26業種に適用されていた暫定排水基準を平成19年6月に見直しを行い、うち19業種について暫定排水基準の強化又は撤廃を行いました。

 イ 汚水処理施設の整備

 下水道整備については、「社会資本整備重点計画」に基づき、普及が遅れている中小市町村の下水道整備、閉鎖性水域における水質保全のための高度処理の積極的導入等を重点的に実施しました。

 合流式下水道については、平成16年から原則10年以内での改善が義務化されたことを受け、「合流式下水道緊急改善事業」等を活用し、緊急的・総合的に合流式下水道の改善を推進しました。さらに、流域全体で効率的に高度処理を実施することができる高度処理共同負担事業を推進するとともに、高度処理に係る費用負担の算定方法等に関するガイドラインを策定し、各地の検討を支援しました。

 生活排水対策については処理施設の整備がいまだ十分でないため(図3−2−1)、地域の実情に応じ、下水道、浄化槽、農業等集落排水施設、コミュニティ・プラント(地域し尿処理施設)など各種生活排水処理施設の整備を推進しました。その際、都道府県ごとに策定された汚水処理施設の整備等に関する都道府県構想に基づき、効率的な生活排水処理施設の整備が図られました。下水道の未普及対策については、平成19年6月より「下水道未普及解消クイックプロジェクト社会実験」を実施し、従来の技術基準にとらわれず地域の実情に応じた低コスト、早期かつ機動的な整備が可能な新たな整備手法の導入を推進しました。


図3−2−1 汚水処理人口普及率の推移

 浄化槽については、個人の設置に対する補助を行う市町村や、市町村自らの整備に対する国庫補助制度により、平成18年度においては、全国約1,800の市町村のうち約1,300の市町村で整備が図られました。また、既存の単独処理浄化槽の浄化槽への転換については、単独処理浄化槽の撤去を交付金の対象とすることにより推進しました。さらに、下水道、浄化槽、農業集落排水施設等の整備事業を関係省が重点的に支援する「汚水処理施設連携整備事業」においては、18年度は新たに2市町の事業を認定し、14年度以降に始まった継続事業と合わせて22市町で実施しました。

 農業振興地域においては、農業集落におけるし尿、生活雑排水等を処理する農業集落排水施設の整備を512地区、緊急に被害防止対策を必要とする地区については、用排水路の分離、水源転換等を行う水質障害対策に関する事業(直轄6地区、補助6地区)を実施しました。さらに、漁業集落から排出される汚水等を処理し、漁港及び周辺水域の浄化を図るため、漁業集落排水施設整備を推進しました。

 水質汚濁防止法では生活排水対策の計画的推進等が規定されており、同法に基づき都道府県知事が重点地域の指定を行っています。平成20年3月末現在、42都府県、210地域、351市町村が指定されており、生活排水対策推進計画による生活排水対策が推進されました。


(2)非特定汚染源対策

 降雨等により流出するいわゆる非特定汚染源も、水質汚濁の大きな要因の一つになっています。市街地、農地等の非特定汚染源については、効果的な施策を構築するため、モデル流域における計画の策定・検討調査を実施しました。また、雨天時に宅地や道路等の市街地から公共用水域に流入する汚濁負荷を削減するため、新世代下水道支援事業制度水環境創造事業ノンポイント汚濁負荷削減型を活用し、対策を推進しました。さらに、れき等の利用による浄化型水路の整備などにより、農業用排水路等の水質浄化を図るため、水質保全対策事業を推進しました。

2 負荷低減及び浄化手法の開発、普及等

 下水道に関わる新技術を先駆的に導入・評価し、新技術の普及と効率的な事業の執行を図るために、新世代下水道支援事業制度機能高度化促進事業など総合的な技術開発を実施しました。また、合流式下水道改善、高度処理に関する技術の普及を図りました。

 農業集落排水事業においては、高度処理技術の一層の開発・普及を推進するとともに、遠方監視システムの活用による高度処理の普及促進を支援しました。

3 水環境の安全性の確保

(1)水道水源の水質保全対策

 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成6年法律第8号)に基づき、平成19年度末までに、都道府県計画(8計画)・河川管理者事業計画(1計画)が策定されました。


(2)地下水汚染対策

 水質汚濁防止法に基づいて、地下水の水質の常時監視、有害物質の地下浸透禁止、事故時の措置、汚染された地下水の浄化等の措置が取られています(図3−2−2)。また、地下水の水質調査により井戸水の汚染が発見された場合、井戸所有者に対して飲用指導を行うとともに、周辺の汚染状況調査を実施し、汚染源が特定されたときは、指導等により、適切な地下水浄化対策等が行われます。


図3−2−2 水質汚濁防止法の地下水の規制等の概要

 環境基準超過率が最も高い硝酸性窒素による地下水汚染対策については、硝酸性窒素による地下水汚染が見られる地域において効果的な汚染防止及び浄化の手法の確立に向けた調査を実施するとともに、地域の実情に応じた重点的な対策の在り方について検討しました。


(3)漁場環境等調査

 ダイオキシン類等有害物質の魚介類中での蓄積状況把握、蓄積機構解明、試験方法検討などの調査のほか、二枚貝等が体内に蓄積する貝毒のモニタリング手法の検討、内湾域における発電所の取放水を活用した、貧酸素水塊等による漁業被害の軽減について検討等を行いました。


(4)農薬環境汚染対策

 農薬については、水質汚濁の未然防止を図る観点から、農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づき水質汚濁に係る農薬登録保留基準を定めており、平成19年度に4農薬(うち基準値改定1農薬を含む。累計126農薬)の基準値を設定しました。また、平成17年に施行した水産動植物の被害防止に係る改正農薬登録保留基準について、平成19年度に16農薬(累計17農薬)の基準値を設定しました。



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