第5章
 化学物質対策

 第1節 化学物質による環境汚染の現状

 現代の社会においては、物の生産などに多種多様な化学物質が利用され、私たちの生活に利便を提供しています。また、物の焼却などに伴い非意図的に発生する化学物質もあります。今日、推計で5万種類以上の化学物質が流通しています。また、日本においては、工業用途等の目的で「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(昭和48年法律第117号。以下「化学物質審査規制法」という。)に基づき、毎年300件程度の新規化学物質の届出が行われています。
 化学物質の中には、その製造、流通、使用、廃棄の各段階で適切な管理が行われない場合に環境汚染を引き起こし、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものがあります。
 環境省では、化学物質審査規制法が施行された昭和49年度から、化学物質環境汚染実態調査により、化学物質の一般環境中の残留状況を調査し、「化学物質と環境」(http://www.env.go.jp/chemi/kurohon/index.html)として公表しています。平成14年度からは、本調査の結果が環境中の化学物質対策に積極的に有効活用されるよう、施策に直結した調査対象物質選定と調査の充実を図り、@初期環境調査、A暴露量調査、Bモニタリング調査の3つの調査体系により調査を実施しています(図5-1-1)。

平成14年度化学物質環境汚染実態調査検討会体系

 なお、平成14年度までの調査の累計では、801物質(群)について調査が行われ、そのうち346物質(群)が一般環境から検出されています。

1 初期環境調査

 初期環境調査は、化学物質審査規制法指定化学物質や化学物質排出把握管理促進法指定化学物質、非意図的生成物質、環境リスク評価及び社会的要因から必要とされる物質等の環境残留状況を把握するための調査です。
 平成14年度は、13物質(群)(延べ24物質(群)・媒体)について、水質は29地点で、底質は28地点で、水生生物は10地点で、大気は18地点で調査を実施しました。
 その結果、13物質(群)中9物質(群)が検出されました。

2 暴露量調査

 暴露量調査は、環境リスク評価に必要なヒト及び生物の化学物質の暴露量を把握するための調査です。
 平成14年度は、6物質(群)(延べ15物質(群)・媒体)について、水質は38地点で、底質は62地点で、水生生物は10地点で、大気は29地点で、食事は50世帯で調査を実施しました。
 その結果、6物質(群)中6物質(群)すべてが検出されました。

3 モニタリング調査

 モニタリング調査は、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(以下、「POPs条約」という。)対象物質等、環境残留性が高く、環境実態の経年的把握が必要な物質を対象として実施する調査です。
 平成14年度は、POPs条約対象物質、ヘキサクロロシクロヘキサン及び有機スズ化合物(トリブチルスズ化合物、トリフェニルスズ化合物)の8物質(群)(延べ29物質(群)・媒体)について、水質は38地点で、底質は63地点で、生物(魚類・貝類・鳥類)は延べ24地点で、大気は34地点で調査を実施しました。
 その結果、POPs条約対象物質となっているものについては、これまでのところ、いずれも低い値で推移していることが分かりました(例:図5-1-2)。

DDT、クロルデンのモニタリング調査の経年変化

4 大気モニタリングの概要

 有害大気汚染物質のモニタリング調査は平成9年度から地方公共団体(都道府県、大気汚染防止法の政令市)において本格的に実施されています(測定結果については、第2章第1節7参照)。

 第2節 科学的知見の充実及び環境リスク評価の推進

1 化学物質の環境リスク評価の推進

 化学物質による人や生態系への影響を未然に防止するためには、多くの化学物質を対象に、その生産、使用、廃棄等の仕方に応じた人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすおそれ(環境リスク)の評価を行い、その結果に基づき適切な環境リスク対策を講じていく必要があります。
 このため、化学物質の環境リスク評価のための知見の収集を進めるとともに、平成14年度に環境リスク初期評価等について第2次取りまとめを行いました。この中では、環境リスク初期評価を13物質を対象として行ったほか、生態リスクについては69物質を選定して初期評価を行いました。また、発がん性評価の手順を検討しつつ試行的に評価を行い、6物質を対象とした定量的なリスク評価と19物質を対象とした定性的な評価を実施しました。
 その結果、発がん性については2物質、生態リスクについてはクロロホルム等22物質が、相対的にリスクが高い可能性があり「詳細な評価を行う候補」と判定されました。
 また、生態系に対する影響に関する知見を充実させるため、平成7年度から経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインを踏まえて藻類、ミジンコ及び魚類を用いた生態影響試験を実施しており、平成15年度は32物質について試験を行いました。

2 内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)問題について

 内分泌系に影響を及ぼすことにより生体に障害や有害な影響をおこす外因性の化学物質は、内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)と呼ばれています。
 内分泌かく乱化学物質問題については、その有害性など未解明な点が多く、関係府省が連携して、汚染実態の把握、試験方法の開発及び健康影響などに関する科学的知見を集積するための調査研究を、国際的に協調して実施しています。
 環境省は、平成10年5月に内分泌かく乱化学物質問題への対応方針として、「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」を取りまとめ、本方針に基づき、一般環境中(大気、水質、底質、土壌、水生生物)での検出状況及び野生生物における蓄積状況等を全国的な規模で調査するなどの取組を実施しています。
 環境リスク評価に係る具体的な取組として、優先的に取り組む物質を選定し、順次調査を実施しています。平成12年度は12物質、13年度は8物質、14年度は8物質、15年度はさらに8物質を選定し、哺乳類、魚類を使った動物実験による有害性評価を進めています。
 これまでに、19物質について哺乳類(げっ歯類)を用いた人健康影響に関する有害性評価結果及び魚類を用いた生態系影響に関する有害性評価結果を取りまとめました。この中でノニルフェノール及び4-オクチルフェノールについては魚類に対して内分泌かく乱作用を有することが強く推察されました。また、平成13年には、国立環境研究所に環境ホルモン総合研究棟が設置され、同施設を拠点とした質の高い調査研究が進められています。さらに、平成15年10月には、SPEED'98の平成16年度中の改定に向けた作業に着手しました。また、OECDを中心として先進各国が協力・分担して取り組んでいるスクリーニング試験法等の開発に参加しています。さらに、日英国際共同研究、日韓国際共同研究を行っているほか、平成10年から毎年開催している「内分泌かく乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」を、平成15年は仙台市で開催しました。
 厚生労働省では、人に対する健康影響を調査するため平成8年度から文献調査を実施するなど必要な情報の収集に努め、10年11月、「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」の中間報告書を取りまとめました。また、13年12月には、新たに得られた知見、今後実施されるべき調査研究及び行動計画を含む中間報告書追補を取りまとめました。現在引き続き、研究や必要な調査を推進し、科学的な知見の収集に努めています。
 経済産業省では、国際的な動向に留意しながら、厚生労働省と共同で内分泌かく乱作用に関するリスク評価スキームの確立を目指し、スクリーニング試験法の開発等を推進しています。また、内分泌かく乱作用によってもたらされる有害影響(毒性)に対しては、適切なリスク評価に基づいた効果的な対応が必要であることから、化学物質審議会内分泌かく乱作用検討小委員会を中心に、さまざまな科学的情報を収集しています。SPEED'98の調査対象となった物質のうち、日本での生産・使用実態がないとされた物質群、農薬取締法に基づき登録されている農薬やダイオキシン等の各種対策が進められている物質群を除き、平成14年度4月に有害性評価書を作成・公表した15物質のうち7物質について追加試験をして実施された二世代繁殖毒性試験の結果を15年7月に公表しました。また、得られた有害性評価結果を踏まえ、三つの物質群について化学物質リスク評価管理研究会を独立行政法人製品評価技術基盤機構に設置してリスク評価情報の取りまとめを進めており、15年9月より逐次公表しています。
 国土交通省では、環境省と連携し平成10年度から水環境中の内分泌かく乱化学物質の存在状況を把握するため、全国109の一級河川を対象に、水質及び底質の調査を実施するとともに、主要な下水道における流入・放流水の水質調査を実施しています。また、代表河川における挙動や流入実態の調査、河川浄化施設等の除去効果把握調査等を実施し、今後の河川における内分泌かく乱化学物質の管理のあり方について検討を行いました。 
 国際的な検討の成果としては、平成15年3月、OECDの内分泌かく乱化学物質の試験及び評価に関するタスクフォース会合の非動物試験検証管理グループの第1回会合が開催され、日本及びアメリカがリード国となって動物を用いずに内分泌かく乱化学物質の試験と評価を行う手法開発のための取組が進められることとなりました。

3 本態性多種化学物質過敏状態について

 近年、微量な化学物質に対するアレルギー様の反応により、さまざまな健康影響がもたらされる病態の存在が指摘されています。このような病態については、欧米において「MCS:Multiple Chemical Sensitivity(本態性多種化学物質過敏状態)」等の名称が与えられ研究が進められています。日本では「化学物質過敏症」として一般的に呼称されていますが、その病態をはじめ、実態に関する十分な科学的な議論がなされていない状況です。
 このため環境省では、平成9年度からその実態の把握や原因の究明のための調査研究を開始し平成16年2月にとりまとめ、公表しました。その結果では、ごく微量(指針値の1/2である40ppb以下)のホルムアルデヒド暴露と被験者の症状誘発との間に関連性は見いだされませんでした。このことから、いわゆる化学物質過敏症の中には、化学物質以外の原因(ダニやカビ、心因等)による病体が含まれていることが推察されました。今後は、指針値を超えるような化学物質の暴露による未解明の病体(MCS)の研究を充実していく必要があります。

 第3節 環境リスクの低減及びリスクコミュニケーションの推進

1 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の取組

(1)化学物質審査規制法の施行状況
 化学物質審査規制法では、化学物質による環境汚染を通じた人の健康被害を防止するため、新たな工業用化学物質の有害性を事前に審査し、環境中で分解しにくく(難分解性)、継続して摂取すると人への毒性(長期毒性)のある化学物質について、その有害性の程度に応じた製造・輸入などの規制を講じています。平成15年は362件の新規化学物質の製造・輸入の届出があり、審査を行いました。16年1月には指定化学物質(改正法の第二種監視化学物質)として51物質を追加し、16年1月末現在、第一種特定化学物質としてPCB等13物質、第二種特定化学物質としてトリクロロエチレン等23物質及び指定化学物質としてクロロホルム等739物質を、それぞれ指定しています。

(2)化学物質審査規制法の改正
 近年、諸外国においては、人の健康と並んで環境(生態系)への影響にも着目した審査・規制を行うとともに、化学物質の有害性のみでなく、環境中への放出可能性も考慮したより効率的な審査・規制を行うことが一般的であり、日本においても適切な制度改正を行うことが求められました。
 このため、厚生労働省、経済産業省及び環境省の関係審議会において、今後の化学物質の審査及び規制のあり方についての審議が行われ、その内容を踏まえた化学物質審査規制法の一部改正法が平成15年5月に国会で成立し、平成16年4月から施行されました。改正法では、生態系への影響を考慮する観点から動植物への毒性が化学物質の審査項目に新たに加えられ、この審査の結果、必要な場合には製造・輸入の規制などを行うこととしています。また、リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直しとして、@難分解・高蓄積性の既存化学物質に関する規制の導入、A環境中への放出可能性に着目した審査制度の導入、B事業者が入手した有害性物質の報告の義務付け等を規定しています(図5-3-1)。

改正化学物質審査規制法に基づく新たな化学物質の審査・規制制度の概要

2 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)の施行

 OECDによる加盟国に対するPRTR制度の導入の勧告等を踏まえ、事業者による化学物質の自主的な管理を促すため、PRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)とMSDS(化学物質等安全データシート)制度を二つの大きな柱とする、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(平成11年法律第86号。以下「化学物質排出把握管理促進法」という。)が平成11年7月に公布されました(図5-3-2)。

PRTR制度の実施手順

 平成15年度には、法施行後の第2回目の届出として、平成14年度の1年間に事業者が把握した排出量等が都道府県経由で国へ届け出られました。そして、16年3月に、事業所からの届出排出量等の集計結果及び国が行った届出対象外の排出源(届出対象外の事業者、家庭、自動車等)からの排出量の推計値の集計結果を、あわせて公表しました(図5-3-3届出排出量・届出外排出量上位10物質とその量(平成14年度分))。公表日以降、届出された個別事業所のデータについて、国民からの開示請求を受け、そのデータの提供を行っています。

届出排出量・移動量の排出先・移動先別の内訳(平成14年度分)
届出排出量・届出外排出量上位10物質とその量(平成14年度分)

 また、PRTR制度の円滑かつ確実な実施のため、事業者説明会の開催、排出量把握のためのマニュアルの改訂、インターネットによる届出及び開示請求の方法を新たに追加したほか、届出対象外の排出源からの排出量の推計精度を向上すべく推計方法の改善を進めました。
 MSDS制度については、平成13年1月より施行され、化学物質及びそれを含有する製品を事業者間で取引する際には、化学物質を適切に取り扱うために必要な情報の提供が着実に行われるよう、パンフレットの配布、事業者説明会等を行いました。

3 ダイオキシン類問題への取組

(1)背景
ア ダイオキシン類とは
 「ダイオキシン類対策特別措置法」(平成11年法律第105号。以下「ダイオキシン法」という。)では、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)に加え、同様の毒性を示すコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)をダイオキシン類として定義しています。
 ダイオキシン類は、毒性の強い物質ですが、日常の生活の中で摂取するような微量では、急性毒性が生じるようなことはありません。
 ダイオキシン類は、炭素・水素・塩素を含むものが燃焼する工程などで意図せざるものとして生成されます。現在、日本での主な発生源はごみ焼却施設ですが、その他にも金属精錬などにおける熱処理工程などのさまざまな発生源があります。
イ 環境中の汚染状況
 全国的なダイオキシン類の汚染実態を把握するため、平成14年度にダイオキシン法に基づく常時監視などにより、大気、水質、底質、土壌等の調査が実施されました(表5-3-1)。

平成14年度ダイオキシン類に係る環境調査結果(モニタリングデータ)(概要)

ウ 人の摂取量
 平成14年度に厚生労働省が実施した調査では、日本における平均的な食事からのダイオキシン類の摂取量の推計値は1.49pg-TEQ/kg/日とされています。そのほか、呼吸により空気から摂取される量が約0.028pg-TEQ/kg/日、手についた土が口に入るなどして摂取される量が約0.0076pg-TEQ/kg/日と推定され、人が一日に平均的に摂取するダイオキシン類の量は、体重1kg当たり約1.53pg-TEQと推定されています(図5-3-5)。この水準は、耐容一日摂取量の4pg-TEQ/kg/日を下回っています(食品からのダイオキシン類一日摂取量の経年変化)。

日本におけるダイオキシン類の一人一日摂取量(平成14年度)
食品からのダイオキシン類一日摂取量の経年変化

(2)ダイオキシン類対策の枠組み
 ダイオキシン対策は、現在二つの枠組みに基づいて進められています。一つは平成11年3月に「ダイオキシン対策関係閣僚会議」において策定された「ダイオキシン対策推進基本指針」(以下「基本指針」という。)であり、もう一つは、同年7月に制定されたダイオキシン法で、平成12年1月から施行されました。
 基本指針では、「今後4年以内に全国のダイオキシン類の排出総量を平成9年に比べ約9割削減する」との政策目標を導入するとともに、排出インベントリーの作成や測定分析体制の整備、廃棄物処理及びリサイクル対策の推進を定めています。
 一方、ダイオキシン法では、施策の基本とすべき基準(耐容一日摂取量及び環境基準)の設定、排出ガス及び排出水に関する規制、廃棄物処理に関する規制、汚染状況の調査、汚染土壌に係る措置、国の削減計画の策定などが定められています。

(3)基本指針に基づく施策
ア 排出インベントリー
 平成15年12月にダイオキシン類の排出量の目録(排出インベントリー)の見直しが行われました(図5-3-7)。それによると、9年の日本のダイオキシン類の年間排出量は約7,680〜8,140g-TEQ、14年は940〜970g-TEQで、9年からの5年間でおおむね88%の削減がなされたと推計されています。15年の予測値では約91%削減と削減目標は達成される見通しです。
イ ダイオキシン類に関する検査体制の整備
 ダイオキシン類の環境測定における的確な精度管理を推進するために定めた「ダイオキシン類の環境測定に係る精度管理指針」の普及を図るために、平成15年度に環境省が実施するダイオキシン類の環境測定を伴う請負調査については、環境省が測定分析機関に対し同指針に規定された事項等が実施されているかの受注資格審査を行い、ダイオキシン類に係る環境測定を的確に実施できると認めた機関であることを引き続き受注先の要件にしました。また、「ダイオキシン類の環境測定を外部に委託する場合の信頼性の確保に関する指針」に沿ってダイオキシン類測定を進めました。さらに、分析技術の向上を図るため、地方公共団体の公的検査機関の技術者に対する研修を引き続き実施しました。
ウ 健康及び環境への影響の実態把握
 ダイオキシン類の各種環境媒体や食物を通じた暴露等に関する科学的知見の一層の充実を図るため、血液中のダイオキシン類濃度の測定を目的とした人への蓄積量調査や環境中でのダイオキシン類の実態調査などを引き続き実施しました。
ダイオキシン類の排出量の推移

エ 調査研究及び技術開発の推進
 平成15年度においては、特に廃棄物の適正な焼却技術、汚染土壌浄化技術、ダイオキシン無害化・分解技術、簡易測定等に関する技術開発及び毒性評価、人への暴露評価、生物への影響等に関する調査研究に重点的に取り組みました。
オ 廃棄物処理及びリサイクル対策の推進
 平成11年9月に設定した廃棄物の減量化の目標量を踏まえ、政府全体として一体的、計画的な廃棄物対策を推進しました。
 また、「循環型社会形成推進基本法」をはじめとする廃棄物・リサイクル関連法に基づき、廃棄物等の発生抑制に努めるとともに、循環資源の再使用(リユース)や再生利用(リサイクル)を推進しました。
 さらに、学校においては、原則としてごみ焼却炉を廃止したため、今後は適切なごみ処理やごみの減量化等を推進することが重要です。

(4)ダイオキシン法の施行
ア 特定施設の届出状況の把握
 ダイオキシン法に基づく特定施設の届出状況について、大気基準適用の特定施設については、平成14年度末現在、全国で1万3,685施設の届出があり、廃棄物焼却炉が1万2,728施設(4t/h以上の大型炉:1,052、2〜4t/hの中型炉:1,557、2t/h未満の小型炉:1万119)、産業系施設が957施設(アルミニウム合金製造施設:787、製鋼用電気炉:118等)でした。また、14年度に、5,772の廃棄物焼却炉が廃止又は排出基準の適用を受けない小さな規模に構造を変更されました。
 水質基準適用の特定施設については、平成14年度末現在、全国で3,829施設の届出があり、その大部分(3,135)が廃棄物焼却炉に係る廃ガス洗浄施設・湿式集じん施設・灰の貯留施設でした。
イ 環境の汚染状況の調査
 ダイオキシン法に基づき、都道府県等が実施する大気、水質、底質、土壌の汚染状況の常時監視に対し、助成を行いました。また、河川における水質・底質に関する実態調査を行いました。
ウ 特定施設の追加について
 平成15年12月に4−クロロフタル酸水素ナトリウムの製造の用に供する施設等2業種の施設を、一定レベル以上の濃度のダイオキシン類の発生が新たに確認された施設として、ダイオキシン法の特定施設(水質基準対象施設)に追加しました(施行は、16年1月1日)。
エ 土壌汚染対策について
 環境基準を超過し、汚染の除去等を行う必要がある地域として、これまでに2地域がダイオキシン類土壌汚染対策地域に指定され、対策計画が策定されています。これまでに指定された2地域について、都道府県が実施するダイオキシン類による土壌の汚染の除去等について都道府県が負担する経費を助成しました。
 加えて、ダイオキシン類に係る土壌環境基準等の検証・検討のための各種調査を実施しました。
オ 水底土砂の取扱について
 水底土砂については、一部の底質中に高濃度のダイオキシン類が含まれていることが判明したことを踏まえ、海防法施行令等が改正され、ダイオキシン類を含む水底土砂の排出方法に関する基準が定められ、平成15年10月1日から適用されました。
カ その他の取組
 ダイオキシン法に基づく大気総量規制に関し、その手法の検討を引き続き実施しました。また、ダイオキシン法附則に基づき、臭素系ダイオキシン類の毒性や暴露実態、分析法に関する情報を収集・整理するとともに、環境中の臭素系ダイオキシン類を測定するパイロット調査等の調査研究、排出実態に関する調査研究等を進めました。
 また、排出ガス、ばいじん及び燃え殻に含まれるダイオキシン類の簡易測定法に係る技術的適用可能性を検討しました。
 河川等の水質、底質に関しては、平成15年に、「河川、湖沼等におけるダイオキシン類常時監視マニュアル(案)」及び「河川・湖沼等における底質ダイオキシン類対策マニュアル(案)」を策定するとともに、環境基準値を超える底質を除去するための対策技術や、ダイオキシン類を含んだ底質の簡易測定技術についても調査・検討を実施しています。

4 農薬のリスク対策

(1)農薬の環境影響の現状
 農薬については、毒性の低い薬剤の開発が進み、毒性及び残留性の高いものは使用されなくなったこと、また、農薬取締法の改正等により使用規制が強化されたこと等もあり農薬による環境汚染の問題は少なくなってきています。
 しかし、本来、農薬の使用は生理活性を有する物質を環境中に放出するものであり、今後とも、人体や環境に悪影響を及ぼすことのないよう、安全性を評価し、適正に管理していく必要があります。

(2)農薬の環境リスク対策の推進
 国内で販売される農薬については、農薬取締法に基づき登録の制度を設け、使用による人畜や環境への悪影響を未然に防止するため、毒性、残留性等について評価し登録を保留するかどうかの基準(農薬登録保留基準)を定めています。これらの基準のうち、@作物残留に係るもの、A土壌残留に係るもの、B水産動植物に対する毒性に係るもの及びC水質汚濁に係るものは環境大臣が定めています。平成15年度においては、作物残留に係る基準は5農薬(累計383農薬)、水質汚濁に係る基準は2農薬(累計135農薬)について基準値を設定しました。
 生態系保全を視野に入れた取組を強化するため、平成15年3月に改正した水産動植物に対する毒性に係る農薬登録保留基準については、17年4月の円滑な施行に向け、試験法等について調査及び検討を行いました。
 また、登録された農薬が適正に使用されるよう、農薬取締法第12条に基づき農林水産大臣及び環境大臣が定める「農薬使用者が遵守しなければならない基準」も水質汚濁防止の観点から平成15年11月に改正しました。
 さらに、平成14年の農薬取締法改正で新たに導入された、特定農薬制度の円滑な運用のため、その指定の際の評価に関するガイドラインを農林水産省・環境省共同で定めました。
 また、水質汚濁性農薬指定等の検討を行うため、農薬リスク総合評価システムの確立・推進、農薬の各種残留実態調査、農薬の生態影響等調査研究を実施しました。
 さらに、平成16年5月に発効する見込みであるPOPs条約の内容を踏まえ、POPs廃農薬の無害化処理技術の実証調査等を実施しました。

4 農薬のリスク対策

 化学物質は、私たちの生活を豊かにし、また生活の質の維持向上に欠かせないものとなっている一方で、日常生活のさまざまな場面、製造から廃棄にいたる事業活動の各段階において、環境を経由して人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれがあり、こうした環境リスクに対する国民の不安も大きなものとなっています。このため、化学物質に関する正確な情報を市民・産業・行政等のすべての者が共有しつつ相互に意思疎通を図るというリスクコミュニケーションを推進しています。
 環境省では、情報の整備のため、「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」の作成・配布や、化学物質の情報データベースのホームページでの設置などを進めています。さらに、事例集などの関連情報を掲載した「リスクコミュニケーションホームページ」(http://www.env.go.jp/chemi/communication/index.html)を平成12年から開設しており、随時その内容の充実を図っています。また、化学物質と環境に関する学習関連資料の利用促進を図るため、平成15年6月に同ホームページ内に「化学物質と環境に関する学習関連資料データベース」を設置し、既存の学習関連資料を紹介しているほか、国民から募集して得られたアイデアをもとにパソコン上で遊びながら学べる学習関連資料を作成しています。経済産業省では、事業者向けに作成・配布している「化学物質について正しく理解してもらうために」やリスクコミュニケーションのホームページにて情報の提供を行いました。
 また、対話の推進には、対話を円滑に進める人材等が必要です。環境省では、化学物質アドバイザーの育成・活用を推進するため、研修・登録・派遣を試行的に行うパイロット事業を平成14年度より着手して平成15年度には派遣を開始し、PRTR制度についての講演会講師等として延べ125件の派遣を行いました。このほか、環境省では、市民、産業、行政等の代表による情報の共有及び相互理解のための場である「化学物質と環境円卓会議」を平成15年度には3回開催し、会議における議論等の内容についてインターネットを通じて市民、産業、行政に発信しています。

6 その他の取組

(1)有害大気汚染物質対策
 有害大気汚染物質対策については、大気汚染防止法に基づき、ベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンを指定物質に指定し、指定物質排出施設を定めるとともに、指定物質抑制基準を設定し排出抑制を図っています。さらに、有害大気汚染物質の排出抑制に係る事業者の自主管理取組を促進しています。(自主管理については第2章第6節1参照)

(2)PCB対策
 PCBについては、昭和47年から新たな製造がなくなり、さらに昭和49年に事実上製造・輸入禁止となって以降、約30年間にわたって保管が続けられてきましたが、国はPCB特別措置法に基づき、PCB廃棄物の拠点的処理施設の整備を推進しています。また、これとは別に電力会社等の多量のPCB廃棄物を所有している事業者の中には、自社でPCB廃棄物を処理する取組もあり、PCB特別措置法に定められた平成28年7月までのすべてのPCB廃棄物の処理を目指して取り組んでいます。
 また、使用中のPCBを含む電気工作物及び保管されているPCB廃棄物の紛失・不適正処理等を未然に防止するため、事業者は「電気事業法」(昭和39年法律第170号)及びPCB特別措置法に基づき、保管・使用状況について届出を行うこととなっています。

 第4節 国際的動向とわが国の取組

1 国際動向

 経済協力開発機構(OECD)、世界保健機関(WHO)、国連環境計画(UNEP)などの国際機関では、それぞれの立場から、相互に協力しつつ化学物質対策に関する種々の活発な活動を主宰しており、日本も積極的に参加しています。

(1)OECDの活動
 OECDでは、環境保健安全プログラムの下で化学物質の安全性試験の技術的基準であるテストガイドラインの作成及び改廃、優良試験所基準(GLP)の策定、化学物質のリスク評価手法及び管理方策の検討、化学物質の有害性項目の分類方法等について検討を行う有害性に関する分類と表示の調和作業(国連と協力)、化学品事故への対応方策の検討、環境暴露評価手法の開発、化学物質の環境中への排出量の推計方法の検討や情報交換等を通じたPRTR推進等の活動が行われており、これらの活動の成果を受けて、化学物質の適正な管理に関する種々の理事会決定や理事会勧告が採択されています。
 上記の取組の他にも、新規化学物質については、OECD加盟各国における新規化学物質届出様式の標準化など新規化学物質の届出や評価の調和について検討を行う作業チームが設置され、作業が進められています。
 既存化学物質については、OECD加盟各国で大量に生産又は輸入されている化学物質(HPV Chemicals)の安全性点検を各国政府及び産業界が分担して実施する国際プロジェクトを推進しています。
 平成6年から特別プロジェクトとして実施されている農薬ワーキンググループでは、農薬の安全性に係る再評価の国際分担や農薬によるリスク削減対策等についての検討等が進められています。

(2)WHOの活動
 WHOでは、UNEP、国際労働機関(ILO)のほか、各国の主要な研究機関との間の有機的な協力に基づき、国際化学物質安全性計画(IPCS)において、安全性に係る対策の優先度の高い化学物質のリスク評価、健康へのリスク評価手法の開発等の活動が実施されており、この成果として化学物質ごとの環境保健クライテリア(EHC)の刊行等が行われています。また、内分泌かく乱化学物質については、平成14年8月に、UNEP及びILOと協力して、内分泌かく乱化学物質の科学的現状に関する全地球規模の評価を公表しました。このほか、電磁波の健康影響に関し、EHC作成のための取組が進められています。

(3)UNEPの活動及び国際条約
 UNEPでは、化学物質の人及び環境への影響に関する既存情報の収集・蓄積並びに化学物質の各国の規制に係る諸情報の提供などの活動が行われています。
 また、有害な化学物質による人の健康及び環境を潜在的な害から保護し、並びに当該化学物質の環境上適正な使用に寄与するため、「国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約(以下「PIC条約」という。)が平成10年9月に採択され、16年2月に発効しました。また、平成13年からは、暫定的なPIC手続から条約への円滑な移行について検討が進められており、平成16年3月現在、本条約の対象となる27物質に8物質を加えた計35物質が暫定PIC手続の対象となっています。
 PCB、DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)は、国境を越えて広い地域を移動し、生物の体内に蓄積されるため、北極グマやアザラシから検出されるなど、地球規模の汚染をもたらしています。
 このため、国際的な強調のもとにその製造・使用の廃絶・削減等を行う目的で、平成13年5月に「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が採択されました。同条約は難分解性、生体内での高蓄積性、長距離移動性、人の健康や環境(生態系)に対する悪影響を有する物質として、当面、PCB、DDT、クロルデン、ダイオキシンなど12物質を対象に、その製造・使用の禁止・制限、排出の削減、廃棄物の適正処理や在庫・貯蔵物の適正管理等の措置を各国に義務付けています。同条約は平成16年5月に発効しました。
 また、化学物質によるリスクを削減するためのさらなる手法の必要性や化学物質に関する国際的な活動をより調和のとれた効率のよいものとすべきことから、平成14年に開催されたヨハネスブルグ・サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)で採択された実施計画において、「国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)」を平成17年末までに取りまとめることとされており、平成15年11月にはバンコクで第1回準備会合が開催されるなど、SAICMの策定に向けての取組が進められています。

(4)「アジェンダ21」のフォローアップ
 平成4年に採択された「アジェンダ21」に、「有害かつ危険な製品の不法な国際取引の防止を含む有害化学物質の環境上適正な管理」として、@化学的リスクの国際的なアセスメントの拡大及び促進、A化学物質の分類と表示の調和、B有害化学物質及び化学的リスクに関する情報交換、Cリスク低減計画の策定、D化学物質の管理に関する国レベルでの対処能力の強化、E有害及び危険な製品の不法な国際取引の防止、F国際協力の強化が示されました。
 これらのフォローアップを行うため、平成6年に化学物質の安全性に関する政府間フォーラム(IFCS)が設立され、平成12年には「2000年以降の優先行動事項」及び「バイーア宣言」が合意されました。これを踏まえ、上記B及びDに関連して、「地球規模化学物質情報ネットワーク(GINC)」の構築が企図され、日本の積極的な支援により取組が進められています。また、Dに関連して、平成15年10月に「化学物質の管理に係るナショナル・プロファイル」を取りまとめ、公表しました。
 また、Aについては、国連危険物輸送専門家委員会(UNCETDG)、経済協力開発機構(OECD)、国際労働機関(ILO)での過去の検討結果を基に、国連経済社会理事会に新たに設置された常設委員会(GHS小委員会)において検討され、平成15年7月に「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)」として国連より勧告されました。

2 国際的動向を踏まえた日本の取組

 関係府省においては、OECDにおける環境保健安全プログラムに関する作業として、HPV化学物質の安全性点検作業に積極的に対応するとともに、新規化学物質の試験データの信頼性確保及び各国間のデータ相互受入れのため、GLPに関する国内体制の維持・更新、生態影響評価試験法等に関する日本としての評価作業、化学物質の安全性を総合的に評価するための手法等の検討、内外の化学物質の安全性に係る情報の収集、分析等を行っています。平成15年度においては、OECDのHPV点検プロジェクトにおいて、わが国として必要な知見を収集する試験の一環として、生態影響試験、毒性試験等を実施し、OECDの初期評価会合に12物質の初期評価報告書を提出しました。
 また、PIC条約については、日本は未締結であり、締結に向けた準備を進めています。
 POPs条約については、日本は平成14年8月に締結しており、条約の適切な履行に向け、関係府省が連携して国内実施計画等の検討を進めているほか、14年度より毎年、東アジアPOPsモニタリングワークショップを開催するなど、アジア・太平洋地域におけるPOPsモニタリングについての協力等の取組を進めています。

 第5節 国内における毒ガス弾等に対する取組

 平成14年9月以降、神奈川県寒川町、平塚市において、道路建設現場等において作業員が割れたビンから流出した毒ガス等により被災する事故が起きています。また、15年3月には茨城県神栖町において、住民から手足のしびれ、ふるえ等の訴えがあり、飲用井戸の水質を検査した結果、旧軍の毒ガス由来の可能性が高い有機ヒ素化合物(ジフェニルアルシン酸)が検出されました。これらの問題を契機として、国内における毒ガス弾等による問題に対応するため、政府が一体となって毒ガス弾等に対する以下のような取組を進めています。

1 全国調査

(1)経緯
 平成15年6月の閣議了解に基づき、昭和48年の「旧軍毒ガス弾等の全国調査」のフォローアップ調査として、国内における旧軍毒ガス弾等による被害の未然防止を図るための基礎資料を得ることを目的に実施し、その結果を平成15年11月末に取りまとめました。

(2)調査方法
 本調査では、関係府省及び都道府県等に対して調査協力を依頼し、各都道府県は、市町村の協力を得て調査を行いました。また、アメリカ・オーストラリア等からも関連資料を取り寄せるとともに、政府広報等を通じて、広く国民に対しても毒ガス弾等に関する情報提供を呼びかけました。

(3)調査結果
ア 保有・廃棄・発見・被災及び掃海等の状況
 旧軍毒ガス弾等の生産・保有状況については全国で34か所、廃棄・遺棄状況については44か所の地域が報告され(図5-5-1)、発見・被災・掃海等の処理状況については823件の報告がありました。

旧軍毒ガス弾等の廃棄・遺棄状況

イ 地域毎の状況
 本調査では、今回新たに、情報を基に地域毎に集約整理し、全国における毒ガス弾等に関する状況を138(陸域と水域にまたがる5事案を含む。)の事案に取りまとめました。その上で、毒ガス弾等の存在に関する情報の確実性が高く、かつ、地域も特定されている事案として、神奈川県寒川町、平塚市、茨城県神栖町及び千葉県習志野の事案を位置づけるなど、現段階における情報の内容に応じて、各事案の分類及び対応の考え方について整理しています。(http://www.env.go.jp/chemi/report/h15-02/index.html)なお、今回の調査において、健康被害が現に発生している等の切迫した事案で新たに判明したものは存在しませんでした。

2 閣議決定

 昨年12月16日、フォローアップ調査結果を踏まえ、毒ガス弾等の被害の未然防止のための施策を政府全体が一体となって実施するため、「国内における毒ガス弾等に関する今後の対応方針について」が閣議決定されました。この閣議決定では、フォローアップ調査の報告書において示された事案の分類を踏まえ、環境調査の実施等各類型に応じた対策の内容と関係省庁の事務分担を定め、関係省庁が一体となって毒ガス問題に対応していくこととなりました。
 また、この閣議決定に基づき、被害の未然防止について、関係省庁の緊密な連携を確保し、施策の円滑な実施を図るため、「国内における毒ガス弾等に関する関係省庁連絡会議」(連絡会議)が、同年12月17日に設置されました。この連絡会議の下に幹事会が設置され、未然防止のための具体的な施策について検討しています。
 さらに、同閣議決定に基づき、毒ガス弾等に関する情報を一元的に扱うセンターを同年12月17日に環境省に設置しました。今後、継続的に毒ガス弾等に関する情報を受け付ける窓口としての役割を果たすとともに、集めた情報を整理し、ホームページ(http://www.env.go.jp/chemi/gas_inform/index.html)等を通じて適切な周知・広報等を行っていきます。

3 個別地域における事案

(1)茨城県神栖町
 茨城県神栖町において、旧軍の毒ガス由来の可能性が高い有機ヒ素化合物による環境汚染と健康影響が生じていることを受け、平成15年6月に「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物汚染等への緊急対応策について」が閣議了解されました。
 この閣議了解に基づき、環境省では、神栖町においてジフェニルアルシン酸に暴露したと認められる人たちに対して、健康診査を行うとともに、医療費及び療養に要する費用を支給し治療を促すことなどによって、発症のメカニズム、治療法等を含めた症候や病態の解明を図るための緊急措置事業を実施しています。
 また、環境省は専門家による検討会を開催し、平成15年5月から健康影響の発生したA井戸の周辺において汚染源の特定に向けた調査を進めています。当初予想していたよりも汚染の範囲が広く深かったことからボーリング本数を拡充するなどした結果、16年2月に、A井戸の南東地点のそれまでよりも相対的に浅い位置から極めて高濃度のジフェニルアルシン酸が検出されました。この周辺において汚染源が埋設されている可能性が考えられるため、まずはこの地点で掘削することを決定しています。また、15年11月には汚染源調査の一環として、広範囲での井戸水調査を行い、地下水の汚染範囲はほとんど拡大していないことを確認しています。さらに、A井戸から西方1km離れた地点(B地区)においても汚染源の特定に向けて、既存の井戸水の分析や地歴の調査、ボーリングによる地下水の調査を進めました。

(2)神奈川県寒川町・平塚市、千葉県習志野
神奈川県寒川町で瓶入りの毒ガスが発見された「さがみ縦貫道路」建設予定地については、国土交通省が平成15年2月以降ボーリング調査、掘削調査及び汚染残土と不審物の分離作業等を進めるとともに、毒ガス等の無害化処理を進めるため、処理設備の建設等を行いました。また、神奈川県平塚市の事案については、国土交通省が毒ガスの掘削調査と無害化処理を進めました。寒川町及び平塚市の毒ガスが発見された周辺地域及び千葉県習志野の事案については、公共用地を中心に環境省(習志野の事案については財務省と共同)が、大気、地下水等の環境調査を実施しました。

(3)その他の事案
 環境省において、平成16年1月に地方公共団体の担当者会議を開催し、追加的情報の提供を呼びかけるとともに、順次現地調査を進めました。