水俣病被害救済の概要クリックすると拡大表示します

[2]「環境問題の原点 水俣病の50年」

平成18年は行政が水俣病を公式に確認してから50年目の年に当たります。
水俣病のような問題を二度と起こさないためにはどうすればよいのかを、公式確認50年を機会に私たちがもう一度考えるきっかけとなるよう、水俣病問題の経緯や現状を記述しています。

(1)昭和31年の公式確認から昭和43年の政府統一見解が発表されるまでの歴史を記述し、被害が拡大したのはまさに高度成長の時期であったこと、昭和34年末には水俣病問題が曖昧なまま社会的に終息させられてしまったことなどを説明しています。
また、水俣病を発生させた企業に長期間にわたって適切な対応をなすことができず、被害の拡大を防止できなかったという経験は、初期対応の重要性など、現在に通じる課題を投げかけていることを述べています。

(2)被害者の方々に対する救済として、

  1. [1] 公害健康被害補償法などにより水俣病と認定された者に対し、原因企業が補償を行う制度
  2. [2] [1]で認定されなかった者等に対する救済として一時金の支払いや医療費、療養手当等の支給が行われた平成7年の政治解決、
  3. [3] [1]で認定されなかった者に対する裁判による損害賠償、
  4. [4] 最高裁判決等を踏まえた対策として平成17年4月7日に発表した「今後の水俣病対策について」に基づく医療費の支給等や胎児性患者への支援等の地域対策

のそれぞれについて、その経緯や位置づけなどを説明しています。

(3)水俣病被害は、被害者個人の健康被害や環境汚染だけでなく、被害者への差別や住民間の軋轢による地域社会の疲弊をもたらしました。国・関係県・関係団体により、地域再生・振興、水俣病の経験の発信と国際協力等の取組が行われていますが、公式確認から50年を経てもなお、多数の者が認定申請を行い、裁判を提訴するなど、多くの課題が残されています。今後は、

  1. [1]地域の住民が安心してくらしていけるようにするため、医療対策等の充実だけでなく、地域福祉と連携させた取組が重要であること、
  2. [2]水俣病の経験・教訓を引き続き国内外に発信し続けていくこと、を述べています。