環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会

国立・国定公園内における
風力発電施設設置のあり方に関する検討会(第6回)
議事要旨


委員名簿(50音順・敬称略)
氏名 所属
飯田 哲也 NPO環境政策エネルギー研究所所長
牛山 泉 足利工業大学総合研究センター長
小河原 孝生 (株)生態計画研究所所長
(座長)熊谷 洋一 東京大学大学院新領域創成科学研究科・農学生命科学研究科教授
瀬田 信哉 (財)国立公園協会理事長
本藤 祐樹 (財)電力中央研究所 経済社会研究所 主任研究員
森本 幸裕 京都大学地球環境学堂大学院教授
山岸 哲 (財)山階鳥類研究所所長 (欠席)
吉野 正敏 筑波大学名誉教授・国際連合大学上席学術顧問

1 開催日時:

平成16年2月9日(月)14:00〜16:00

2 開催場所:

経済産業省944会議室

3 議題:

(1) 国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する基本的考え方(案)について
(2) その他

4 議事経過:

 なお、検討会における主要な発言は以下のとおりである。

○意見募集結果については、意見の多寡のみで重要性を判断すべきではないことを確認したい。
(事務局)ご指摘の通り。

○一般から寄せられた意見の中に“景観評価は主観的”という主張があるが、景観評価についてはかなり客観的な評価が可能と考える。「基本的考え方(案)」についても、景観評価が主観的であるかのような誤解を与えうる表現は修正すべき。
(事務局)ご指摘を踏まえ表現を工夫したい。

○風車の「親和性」に関する一般からの意見があるが、新しいものを持ち込んで、それが風景に合う、合わないということではなく、日本の風土に合うよう試行錯誤した成果として「親和性」は論じられるべきもの。

○公園区域の見直しに関する一般からの意見があるが、人工的改変等により国立公園らしくない風景となった場所をどのように扱うかという問題は残るが、公園が大規模構造物を許容しうるというような誤解を生じないように留意すべき。

○特別保護地区・第1種特別地域は国土の約1.25%にとどまり、これら地域については立地から除外することは当然であり、あえて強調すべきものではない。その他の地域についても基本的に立地を回避すべき。

○送電鉄塔など従来の大規模な工作物に比較すれば、風車の方がより美しく風景になじみやすいと申し上げたい。

○風力発電施設については、地球温暖化防止の公益性を前提にして、国立・国定公園における取り扱いがどうあるべきかという観点で検討されるべき。
(事務局)風力発電の持つ地球温暖化防止等の一般的な公益性は認識するものの、国立・国定公園においては個別案件毎に公益性を比較衡量する慎重な姿勢が必要と考える。

○地域毎に自然環境の特性は異なるため、全国一律の審査基準として数値基準を盛り込まない方針は妥当。数値基準については、運用上の参考となる指標などとして扱われたい。
(事務局)「基本的考え方(案)」の添付資料にある見込角などの数値指標は、風力発電施設の視認性という観点から審査に係る指針、目安としたい。

○メガワット級大型風車のブレード回転は2秒に1回程度とゆっくりとしたものであるが、小型風車の回転はより早く、鳥類への影響も懸念され、「積極的に」導入するとまでいわずに、導入は慎重に考えた方が良い。

○風車は他のエネルギー施設に比べ設置・撤去が容易であり、設置後のモニタリングで問題があれば撤去することもできる。

○大規模工作物は航空法により、むしろ目立つような対策が義務付けられるかと思うが、「基本的考え方(案)」どおり目立たないようにすることは可能なのか。
(事務局)紅白模様のポールを立てる、障害灯をつける、風車の羽の先端を赤く塗るなど、現実に対応が求められようが、それらを含め個別事例に応じて審査を行うこととなる。

○ライトアップの問題についても、同様に慎重に判断すべきである。

○基本的考え方(案)」については、全体的にバランス良くまとまっており、異論はない。そもそも風力発電の推進にとって国立・国定公園における設置の是非は本論ではない。今年度電力会社が実施した33万kWの募集枠に対し、国立・国定公園区域外から204万kWの応募があるというように、エネルギー政策上の問題が大きい。

○むしろ、ドイツやデンマーク等のように、公園区域外においても秩序ある風力発電の推進が望まれる。国土全体としては、面的に守るべき場所・開放すべき場所のゾーニングの考え方が必要と感じる。同時に、国立・国定公園内では、風力発電施設以外の工作物、「公益性」の考え方も含めて、将来に向けて検討すべき課題があるのではないか。
(事務局)今回の「基本的考え方(案)」については国立・国定公園における風力発電施設の取扱について検討されたもの。ただ、検討された着眼点等については、他の地域においても参考となりうるものと認識。

○「基本的考え方(案)」については、生物多様性に関して現在不足している情報や知見の充実を求めるという態度が示されるなど、かなり積極的に記載されていることについて評価できる。

○2月7日の毎日新聞で、風車への衝突死の可能性を指摘する、北海道苫前町におけるオジロワシの幼鳥の死亡記事が報道された。希少な野生生物への評価を考える際、たとえ一個体でも悪影響があれば、その地域個体群にとって重大なダメージとなる可能性に留意すべき。

○また、生物調査については、生息・生育の証明は出来ても、「不在証明」は困難であり、調査精度にも限界があることに留意し、ポテンシャルマップの作成など、生息・生育の可能性も含めて評価することが必要である。

○今回の検討会は、異なる価値と価値のぶつかりあいであった。このような場合に、一方の価値を優先する際には、異なる価値を持つ人に対する説明が必要。今回についていえば、国立・国定公園外における風力発電導入のポテンシャルや、風力発電施設によらない地域振興のメニューの提示等が必要であろう。

(座長)
「基本的考え方(案)」について、各委員から概ねご了承頂けたものと理解し、大幅な変更は必要ないものと思料。表現ぶりの修正等について、座長及び事務局に一任いただきたい。(各検討委員了)

(事務局)

○本日頂いた意見を踏まえ、座長及び事務局の責任により若干の表現ぶりの修正を行い、本検討会のまとめとしたい。その後、行政的には、「基本的考え方」を踏まえ自然公園法施行規則の改正案を作成し、本考え方も参考として添付しパブリックコメントを実施するなど、今年度末を目標に環境省令の改正及び運用通知の作成等の作業を行う予定。

○今回の検討の結論は、部分的規制緩和。政府全体として地球温暖化防止に取り組む一方で、観光立国が宣言され、景観法の審議が予定されるなど、景観保全への取組も活発化する中で、価値の対立する困難な議論を伴うものであったと理解。風力発電施設に限らず、経済的な空白を埋める事案に対して地域の側にも立ってどう対応していくか、自然公園行政の宿命として真剣に考えていきたい。


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環境省自然環境局国立公園課(大代表03−3581−3351)
課長 : 笹岡達男(内線6440)
課長補佐 : 牛場雅己(内線6442)
保護管理専門官 : 中島尚子(内線6438)