環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会

国立・国定公園内における
風力発電施設設置のあり方に関する検討会(第5回)
議事要旨


委員名簿(50音順・敬称略)
氏名 所属
飯田 哲也 NPO環境政策エネルギー研究所所長
牛山 泉 足利工業大学総合研究センター長
小河原 孝生 (株)生態計画研究所所長
(座長)熊谷 洋一 東京大学大学院新領域創成科学研究科・農学生命科学研究科教授
瀬田 信哉 (財)国立公園協会理事長
本藤 祐樹 (財)電力中央研究所 経済社会研究所 主任研究員
森本 幸裕 京都大学地球環境学堂大学院教授
山岸 哲 (財)山階鳥類研究所所長
吉野 正敏 筑波大学名誉教授・国際連合大学上席学術顧問

1 開催日時:

平成16年1月19日(月)14:00〜16:00

2 開催場所:

環境省第1会議室

3 議題:

(1) 国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する基本的考え方(概要案)について
(2) 今後の検討の進め方について
(3) その他

4 議事経過:

なお、検討会における主要な発言は以下のとおりである。

◆ 国立・国定公園の意義と立地計画(公益性、立地の必然性等)

○風力発電量の目標を達成するために洋上での設置も含め国立・国定公園外における計画は検討されたのか。
(事業者懇話会)400万KW(全国の運転中、建設中及び計画中の現時点での総容量)の算定には洋上風力は含まず、全て公園外のもの。将来的に洋上での発電もありうるが、現状ではコストが陸上の1.5倍程あり、事業化は困難。可能ならば国立公園内でも設置を認めていただきたい。

○そもそも海外で「国立公園内に風力発電施設を」という話を聞いたことがない。国立公園は世界に誇る日本固有の自然の風景であり、公園内に大規模な風車が建設されることを危惧する。

○国立公園はその設置の目的からいっても社会的に自然風景を保護すべき場所として認知されていることに十分留意が必要。そこでの立地の必然性に説得力があるか。国立・国定公園の面積は国土の9%を占めるに過ぎない。

○事務局の「公益性」の概念は狭い、あるいは曖昧に思われるが、地域の活性化や地球温暖化対策等を公益性として加味する余地はないか。
(事務局)自然公園法での「公益性」は当該地以外ではなし得ない行為の公益性と自然風景を保護する公益性とを比較衡量するもの。地球温暖化防止に資する風力発電の一般的な公益性については認識している。

○土地収用法の適用は公益性を示す一つの指標ではある。いずれにしても、国民に対して、公園内で立地の必然性を説明する努力が必要ではないか。

○この検討会では「国立・国定公園地域での」という前提を忘れてはいけない。単に要望があることをもって検討するのではなく、将来にわたってどのように国立・国定公園がその地域の景観をマネージメントするかを検討すべき。

○天然記念物であった優れた自然が戦時下の食糧増産のために水田に変えられてしまった事例もあったが、風力発電についても公園区域内での必要性がどれだけあるのか十分検討すべき。

◆ 風力発電施設の景観評価等

○大規模工作物である高圧鉄塔は山稜線を分断し、また決して美しいとは思えないが、風車は美しく、周辺の風景と「親和性」を持ち合わせており、風景を引き立たせる場合もあるという大きな違いがある。
(事務局)送電鉄塔は、立地の必然性の検討を経て、環境アセスメント等の結果を踏まえ、極力自然風景の中で目立たないように山稜線を避けるなど、立地や色彩、レイアウト等に景観上の配慮がされていると認識。

○風車を美しいと思うか思わないかは個人の主観。仮に美しいと感じたとしても自然風景の中で目立つものでいいのか。過去に、国定公園内において高さ100メートルの観音像を作りたいという計画が持ち上がったこともあるが、やはり自然景観への影響が大きいことから実現しなかった。例え構造物として美しいものであっても、自然公園内では高く目立つことは問題。

○個人的には風車を美しいとも、風景と親和性があるとも思わない。なぜ美しいと言えるのか。

○景観は主観的なものなので、美しいか美しくないかは各人の判断によるであろう。しかし、風力発電施設を導入したいという自治体の数も増えているし、港湾でのアメニティ向上を検討する際に風車も検討されていると聞く。またオランダではクラシックな風車が観光客を集めている。このように人を集める工作物は美しいと考えてよいのでは。また、きちんとレイアウト、アセスメントされれば美しいと感じる人が多いと思う。

○美しいかどうかの認識を主観の問題とするだけではなく、そこから何らかの法則を導くべき。人が美しいと感じる時は、真新しく珍しい場合と絶滅のおそれのある場合で、前者が今話題の風車で後者がオランダのクラシックな風車。珍しい風車で地域活性化を目指しても沢山出来れば陳腐化する。

○「風車のある風景の良し悪し」についての議論と「ありのままの自然景観を残すべき」との議論が十分整理されていない。

◆ 基準のあり方及び数値基準の取扱い

○風力発電施設は新しいタイプの工作物であるため、従来の基準の適用ではなく、新たな視点で対応すべきではないか。

○認められる場所であれば、小規模な風力発電施設を多数建設するよりも、高さを制限せずに、集中的に効率よくエネルギーを取る方が環境面から良いこともあるのではないか。規模の最小化ではなく、環境影響の最小化を考えるべき。
(事務局)新しいタイプの工作物であっても、意味論を除けば、大きさによる支障は従来の工作物と大差がないのではないか。設置可能な場所を限定し環境影響を最小化すべきことには同意見であり、当検討会においてご議論いただきたい。

○風力発電施設をはじめ分散型エネルギー施設は、基本的に地域特性に応じて風車等の構造・規模が定まることから、全国一律の数値基準による取扱はそぐわないと思う。また、地方の意見、地域の声を聴くべきではないか。
(事務局)各公園、各地域毎に自然環境の特性が異なることは承知。検討いただいている基準は、国立・国定公園の保護のために最低限定める必要がある、いわばナショナルミニマムであるとの認識。

○将来にわたって国が責任を持って保全すべき国立公園ということを考えた際、地域の意見をどこまで聴くべきか。
(事務局)国立公園・国定公園・都道府県立自然公園についてはそれぞれ指定する主体、管理主体が異なっているため、都道府県が管理する国定公園、都道府県立自然公園については、国は法の精神に基づき技術的助言を行う立場との認識。

◆ 基準案の解釈について

○基準案に「山稜線を分断しない等・・・」とあるが、「山稜線」とは「スカイライン」や「シルエット」と同義なのか。定義をはっきりさせておくべき。「山稜線」は地形学上の山の尾根を指す言葉であり、尾根を垂直方向に切ることを通常「分断」とは言わないのではないか。また、数値基準に関連して視角について説明があったが、これは垂直・水平方向のどちらのことか。
(事務局)従来より「山稜線」については「スカイライン」や「シルエット」と同義で使用。「分断」については「見え方」に係る評価で用いている言葉。また、地形のスケールの大小により風力発電施設の景観影響の程度は左右されると思われるが、同時に絶対的な大きさによっても影響は異なるため、数値基準の検討は必要と認識。視角については、風車のような縦長の構造物を評価するため、垂直方向の視角を意味する。

○普通地域の審査に係る説明では「山稜線の分断」という言葉が使用されていないが、普通地域では山稜線に係る審査は行わないということか。
(事務局)普通地域でも、風車が設置される普通地域内にある山稜線そのものと、風車の背景に位置する特別地域内の眺望対象となる山稜線の双方について、風景への影響の程度を判断する必要があると認識。

○スカイラインを切ることが認められないのであれば、山稜線、つまり尾根の上に作ることも認めないと考えてよいか。
(事務局)その山稜線が公園利用上の眺望対象となっている場合については、そのとおり。眺望の対象を阻害しない、また、景観上重要な場所等から外れる場合については認められる可能性がある。

◆ 事前調査及び事後モニタリング

○設置後のモニタリングを条件と位置づけ、データの蓄積を今後の環境問題に生かすことが大事。

○野生生物についてきちんと把握するということが大事。事前の調査、知見の積み重ねが大切であり、事業者でも努めてほしい。


資料一覧はこちら

環境省自然環境局国立公園課(大代表03−3581−3351)
課長 : 笹岡達男(内線6440)
課長補佐 : 牛場雅己(内線6442)
保護管理専門官 : 中島尚子(内線6438)