環境省自然環境・生物多様性国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会

国立・国定公園内における
風力発電施設設置のあり方に関する検討会(第3回)
議事要旨


委員名簿(50音順・敬称略)
氏名 所属
飯田 哲也 NPO環境政策エネルギー研究所所長
牛山 泉 足利工業大学総合研究センター長(欠席)
小河原 孝生 (株)生態計画研究所所長
熊谷 洋一 東京大学大学院新領域創成科学研究科・農学生命科学研究科教授
瀬田 信哉 (財)国立公園協会理事長
本藤 祐樹 (財)電力中央研究所 経済社会研究所 主任研究員
森本 幸裕 京都大学地球環境学堂大学院教授 (欠席)
山岸 哲 (財)山階鳥類研究所所長
吉野 正敏 筑波大学名誉教授・国際連合大学上席学術顧問 (欠席)

1 開催日時:

平成15年11月17日(月)14:00〜16:00

2 開催場所:

環境省第1会議室

3 議題:

(1) 前回検討会等における論点の再整理
(2) 風力発電施設の設置に係る景観への影響について
(3) その他

4 議事経過:

なお、検討会における主要な発言は以下のとおりである。

◆基本原則及び全般的事項

○デンマークのように、わが国でも持続可能なエネルギーとして風力発電を拡大するためのルール化を図るという基本的な方向性が必要ではないか。

○但し、デンマーク型の保護と開発のゾーニングの重要性や、自然公園内における既存の人間活動、風力発電施設以外の工作物による影響やそれらへの対応とのバランスを考慮するとともに、自然公園に限定せず景観・鳥類への影響について配慮すべき。

○環境問題に対応する上で予防的態度を基本原則とすることに異議はないが、風力発電に対してはどのような方向性や方策を想定しているのか。
(事務局)風力発電施設に適用した場合の方向性や具体的な措置についてはまさに本検討会における論点と認識。

○不確実性が高く、非可逆的で、知見の少ない環境問題にとって予防的方策は重要である。風力発電施設の事後評価の実施により知見を積み重ね、次の展開に生かすべき。

○風力発電施設の推進が政府目標としても位置付けられているが、本四架橋の建設を公益性が高いものとして認めた理由は、国家的事業であるということか。
(事務局)本四架橋については、橋梁を建設する必要性、立地の必然性、規模等の必要性も含め、国家的プロジェクトとして議論を経た上で公益性が認められたもの。

○公益性の議論は、地球環境保全と地域環境保全、すなわちグローバルとローカルの問題間のジレンマとして捉えられるが、今後、自然的要素、社会的・経済的要素からの整理が必要ではないか。

◆景観への影響について

(下村教授)自然公園では優れた自然の風景が主役であることを立脚点とすると、意味論的立場からは、風力発電施設と自然風景との親和性については立地の必然性や時間的要素が重要である。また、視覚論的立場から、大規模な風力発電施設は人間中心のスケール感覚から逸脱しており、自然との調和性の観点から慎重な検討が必要である。

○風力発電施設と風景との「親和性」をどのように扱うかが問題である。景観評価は時間とともに変化する可能性もあるため、日光東照宮のように人工物であっても時間をかけて周囲の自然風景と馴染む例もあるが、風力発電施設について風景への親和性を認めるには今はまだ機が熟していないのではないか。
(事務局)わが国では地形・地質や植生等がモザイク状に組み合わさって欧米とは違う複雑繊細な自然風景を形成している。順化された自然が大半を占める国土の中で、僅か数%の国立・国定公園が社会の中で果たす意味を考えたい。自然公園の中での議論はその他の地域のテストケースともなる。時代とともに風景の価値観が変化していく中で、大規模開発との調整など現場管理の積み重ねの結果として現行の許可基準は存在する。風力発電施設は新しい景観として自然風景への影響を否定できず、自然公園内での取扱いは慎重にならざるを得ないが、過去の自然公園行政の積み重ねを踏まえつつ新たな課題に如何に対応すべきか勉強していきたい。

○自然公園の役割はそもそも自然の風景地の保護であったとのことだが、これまで野生生物や生態系についてはどのように取扱われていたのか。
(事務局)従来、自然の風景地を構成する景観の一要素として野生生物やそれらの生存基盤としての生態系の存在をとらえていた。昨年の自然公園法改正においては、生物多様性の確保を国等の責務として明確に位置づけたところ。今後も個別案件の審査の中で、また公園計画の見直し等においても、特に生物多様性保全上重要な地域について適切に対応したい。

○島国のわが国において、海岸景観の保全は重要な意味を持っている。また、海岸域に生息する鳥類の知見は少ない。今後、風況がよい海岸域にも風力発電施設の設置が進むことが想定されるが慎重な対応が必要である。

◆野生生物への影響について

○鳥類への影響評価については、まだデータが少なすぎるため一律のガイドラインを作成することは難しい。しかし、鳥類の専門家が協力して、例えばレーダーを利用した鳥類の行動調査などのマニュアルを作成することは可能と思う。


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環境省自然環境局国立公園課(大代表03−3581−3351)
課長 : 笹岡達男(内線6440)
課長補佐 : 牛場雅己(内線6442)
保護管理専門官 : 中島尚子(内線6438)